【文献】
片桐 眞美,実務情報Series これだけは理解しておきたい「消費税」のきほん,株式会社日本実業出版社,2018年 2月25日,第57巻, 第4号,p.1-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0011】
(実施形態)
<会計処理システム100の全体構成>
図1は、本実施形態に係る会計処理システム100の全体構成を示す図である。
図2は、本実施形態に係る会計処理装置1の機能ブロックを示す図である。
図3は、本実施形態に係る会計処理装置の証憑データ記憶部32の例を示す図である。
図4は、本実施形態に係る会計処理装置の仕訳データ記憶部33の例を示す図である。
図5は、本実施形態に係る会計処理装置の会社マスタ34の例を示す図である。
【0012】
図1に示す会計処理システム100(証憑判定システム)は、顧問先から依頼を受けた会計事務所の会計処理装置1(証憑判定装置)が、各種の業務用アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションプログラムのことを、単に「プログラム」ともいう。)を実行して会計処理を行うシステムである。
会計処理システム100は、会計処理装置1と、事業者DB(データベース)4と、スキャナ5(画像化装置)とを備える。そして、会計処理装置1と、スキャナ5とは、通信可能に接続されている。また、会計処理装置1と、事業者DB4とは、インターネット回線等の通信回線で接続されている。
【0013】
会計処理装置1は、例えば、会計事務所に設けられ、各種会計処理を行う装置である。会計処理装置1は、各種の会計処理に対応する複数の業務処理を行う。
会計処理装置1は、例えば、サーバ1aと、複数台の端末1bとにより構成される。サーバ1aは、端末1bから受信した操作データに基づいて処理を行う。複数台の端末1bは、例えば、会計事務所の業務処理担当者(以下、「ユーザ」や「職員」ともいう。)が操作する端末である。
【0014】
なお、
図1では、会計処理装置1を、サーバ1aと、端末1bとからなるものとして説明しているが、これは、一例である。会計処理装置1は、例えば、1台のスタンドアロンのコンピュータ(PC)で構成されていてもよい。また、会計処理装置1は、複数台のPCによって構成されたワークステーション(WS)であってもよい。
また、会計処理装置1は、会計事務所ではなく、顧問先企業内にあったり、業務委託等のサービスを行っている企業内であったり、クラウドサービスであってもよい。例えば、端末1bは、必ずしも会計事務所内に設けられる必要はなく、外出先や自宅勤務の職員の端末や、外注先の職員の端末も含まれる。
さらに、その他、会計処理装置1は、サーバのみ、あるいは複数のサーバで構成されていてもよく、会計事務所のサーバである場合の他、複数の企業(の従業員)の会計ファイルを預かって管理するサービスを行うIDC(インターネットデータセンター)のサーバでもよい。
【0015】
さらには、会計処理装置1は、実体が仮想化された仮想マシンやクラウドであってもよい。
さらにまた、企業の本社等が各部門や各支店(の従業員)等を対象に財務管理を行う場合には、会計処理装置1は、企業内のサーバであってもよい。
会計処理装置1は、本発明の処理を専用的に行う装置であってもよいし、会計処理を行う装置が、様々な機能のうちの1つとして、会計処理装置1の機能を有してもよい。
【0016】
事業者DB4は、国税庁が所管するデータベースである。事業者DB4は、適格請求書発行事業者の情報として、少なくとも事業者名及び登録番号を記憶している。
適格請求書発行事業者は、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受けたものであり、法人番号を有する課税事業者又は個人事業者や人格のない社団等の課税事業者である。
また、登録番号は、適格請求書発行事業者を識別する識別情報である。登録番号は、「T」から始まり、法人番号又は13桁の数字がその後に続く番号により構成される。
なお、通常は、インターネット回線等を経由して事業者DB4に接続しているが、常時接続が難しい場合は、事業者DB4を会計処理装置1にコピーして利用してもよい。
【0017】
スキャナ5は、例えば、会計事務所に設けられ、顧問先が保有する請求書6を読み取って、請求書6の画像である証憑データを生成する装置である。
請求書6は、「請求書」の記載のあるものの他、例えば、伝票、レシート、領収書、納品書等を含む。
顧問先が保有する請求書6は、例えば、顧問先から郵送によって、又は、顧問先の担当者が持参することによって、会計事務所に届けられる。また、会計事務所の担当者(職員)が顧問先に訪問したときに、顧問先が保有する請求書6を受け取ってもよいし、顧問先に訪問したときに、顧問先が保有する請求書6に対して携帯端末等を用いて、後述する画像化処理を行ってもよい。
【0018】
<会計処理装置1>
図2に示すように、会計処理装置1は、制御部10と、記憶部30と、入力部37と、表示部38と、通信部39とを備える。
図1の会計処理装置1の構成によれば、サーバ1aは、制御部10と、記憶部30と、通信部39とに相当し、端末1bは、入力部37と、表示部38とに相当する。
制御部10は、会計処理装置1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0019】
制御部10は、証憑データ受付部11と、テキスト処理部12(テキスト化手段)と、適格確認処理部13と、仕入税額控除確認部20(仕入税額控除確認手段)と、仕訳関連付け部21(仕訳関連付け手段)とを備える。
証憑データ受付部11は、請求書6を取り込んだスキャナ5で生成された、請求書6の画像データである証憑データを、例えば、スキャナ5から受信することで受け付ける。ここで、証憑データ受付部11が受け付ける証憑データの数は、限定されない。例えば、証憑データ受付部11は、1枚の請求書6の証憑データを受け付けてもよいし、複数枚の請求書6に対応する複数の証憑データを受け付けてもよい。
【0020】
また、証憑データは、会計事務所に有するスキャナ5から取得するものに限定されない。証憑データ受付部11は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記憶媒体により、例えば、顧問先から証憑データを直接受領してもよい。また、証憑データ受付部11は、例えば、図示しない顧問先の端末から、通信ネットワークを介して会計事務所のサーバ1aや端末1bに証憑データを送信することで、証憑データを受け付けてもよい。この場合、顧問先において、例えば、スキャナ5を用いて証憑データを取得した上で、顧問先の端末が証憑データを送信する(メール添付やファイル転送等の方法による)。さらに、証憑データは、スキャナ5により画像化するものに限定されない。証憑データ受付部11は、例えば、デジタルカメラ及びビデオカメラ等を含むカメラ(画像化装置)や、携帯電話及びスマートフォン等を含む携帯端末(画像化装置)の撮影機能で請求書6を撮影することで、証憑データを得てもよい。また、画像化や画像送信の処理は、会計事務所の担当者(職員)が行ってもよいし、顧問先の担当者(社員等)が行ってもよい。
【0021】
そして、証憑データ受付部11は、受け付けた証憑データを、証憑ID(IDentification)に対応付けて証憑データ記憶部32(後述する)に記憶させる。証憑データ記憶部32は、例えば、会計事務所のサーバ1aが備えるものである。ここで、証憑データの格納場所は、会計事務所のサーバ1aに限られない。クラウド上のサーバ(仮想サーバ含む)であっても構わない。
【0022】
テキスト処理部12は、証憑データ受付部11によって受け付けた証憑データを、テキスト化して、複数の文字からなるテキストデータを得る。具体的には、テキスト処理部12は、証憑データに対してOCR(Optical Character Reader)を使用した文字認識処理をすることによって、証憑データからテキストデータを取得する。なお、文字認識処理は、公知の手法を用いて行ってもよい。
【0023】
適格確認処理部13は、証憑データ受付部11によって受け付けた証憑データが、「適格請求書」としての記載要件を満たすものであるか否かを確認する処理を行う。
適格確認処理部13は、情報読取部14(情報読取手段、指定文字列読取手段)と、DB情報取得部15(データベース情報取得手段)と、識別情報確認部16(第1確認手段)と、名称確認部17(第2確認手段)と、証憑判定部18(証憑判定手段)とを備える。
【0024】
情報読取部14は、証憑データから各種の情報を取得する。具体的には、情報読取部14は、テキスト処理部12によって得たテキストデータから、適格請求書発行事業者の登録番号をまず読み取る。そして、情報読取部14は、登録番号が読み取れない場合に、適格請求書発行事業者の事業者名を読み取る。また、登録番号が読み取れない場合や事業者名を読み取れない場合には、電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報を読み取ってもよい。
【0025】
より具体的には、情報読取部14は、「登録番号」と記載された文字列(指定文字列)をサーチし、「登録番号」に続く文字列を、登録番号(特定情報)として読み取ってもよい。また、情報読取部14は、「T」の文字(指定の英字)をサーチし、「T」と、「T」に続く数字列とから構成された情報を、登録番号として読み取ってもよい。さらに、情報読取部14は、上記した2つの方法のいずれをも行って登録番号を読み取ってもよい。
【0026】
次に、情報読取部14は、例えば、テキスト処理部12によって得たテキストデータの最後尾から前方向に向かってサーチし、例えば、「株式会社」や「(株)」といった会社の種類を表す用語(所定の文字)を含む文字列を、事業者名(所定文字列)として読み取ってもよい。ここで、情報読取部14がテキストデータの最後尾から前方向に向かってサーチするのは、適格請求書発行事業者の事業者名の多くは、証憑データの下部に記載されていることによる。
なお、証憑データには、書類の交付を受ける相手側の事業者名を含む場合がある。そのため、情報読取部14は、読み取った文字列が2つある場合には、例えば、会社の種類を表す用語(所定の文字)を含む文字列であって、末尾に「御中」を含まないものを読み取る事業者名としてもよい。
【0027】
DB情報取得部15は、情報読取部14によって登録番号及び事業者名のうち少なくとも一方である記載情報を読み取った場合に、事業者DB4を参照し、記載情報に基づいて事業者DB4の登録番号及び事業者名を取得する。
具体的には、DB情報取得部15は、情報読取部14によって登録番号を読み取った場合には、登録番号に対応付けられた事業者名を、事業者DB4から取得する。
また、DB情報取得部15は、情報読取部14によって事業者名を読み取った場合には、事業者名と同一、又は、類似した事業者DB4の事業者名に対応付けられた登録番号を、事業者識別情報として取得する。
【0028】
ここで、DB情報取得部15は、まず、読み取った事業者名と同一の事業者DB4の事業者名に対応付けられた登録番号を、事業者識別情報として取得して、次に説明する識別情報確認部16による処理を行ってもよい。そして、識別情報確認部16による処理を行った結果、事業者識別情報がテキストデータに含まれなかった場合に、DB情報取得部15は、読み取った事業者名と類似する事業者DB4の事業者名に対応付けられた登録番号を、事業者識別情報としてさらに取得し、識別情報確認部16による処理を行ってもよい。ここで、類似の範囲は、適宜設定可能である。例えば、1文字が相違するものまでを類似としてもよいし、濁音や半濁音の有無の相違や、促音か否かの相違を類似としてもよい。また、事業者名の略称や通称等の事業者を想起させる名称や、「(株)」(株式会社)や「(有)」(有限会社)のような省略した表記も類似としてもよい。なお、事業者識別情報がテキストデータに含まれているかの判定は、事業者名の同一又は類似だけでなく、事業者名だけで判定できない場合は、電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報も事業者識別情報としてもよい。また、事業者名と電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報を組み合わせて事業者識別情報としてもよい。
【0029】
識別情報確認部16は、情報読取部14によって事業者名を読み取った場合に、DB情報取得部15が取得した事業者識別情報が、テキストデータに含まれるか否かを確認(照合)する。
名称確認部17は、情報読取部14によって登録番号を読み取った場合に、DB情報取得部15が取得した事業者名が、テキストデータに含まれるか否かを確認(照合)する。
【0030】
証憑判定部18は、識別情報確認部16により、事業者識別情報がテキストデータに含まれると確認できた場合には、証憑データが適格であると判定する。他方、証憑判定部18は、識別情報確認部16により、事業者識別情報がテキストデータに含まれないと確認できた場合には、証憑データが不適格であると判定する。
また、証憑判定部18は、名称確認部17により、事業者名がテキストデータに含まれると確認できた場合には、証憑データが適格であると判定する。他方、証憑判定部18は、名称確認部17により、事業者名がテキストデータに含まれないと確認できた場合には、証憑データが不適格であると判定する。
ここで、DB情報取得部15が、情報読取部14によって登録番号及び事業者名の両方を読み取った場合には、証憑判定部18は、名称確認部17による処理を優先して行う。
【0031】
さらに、証憑判定部18は、情報読取部14によって登録番号及び事業者名のいずれをも読み取れなかった場合に、証憑データが不適格であると判定する。
また、証憑判定部18は、DB情報取得部15によって記載情報に基づいて事業者DB4の登録番号及び事業者名のいずれをも取得できなかった場合に、証憑データが不適格であると判定する。
【0032】
仕入税額控除確認部20は、証憑判定部18によって不適格と判定された証憑データについて、仕入税額控除が認められるか否かを確認する。仕入税額控除確認部20は、不適格であると判定された証憑データについて、一部については、仕入税額控除が認められると確認する。ここで、一部とは、例えば、(1)帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合であって、古物営業、質屋又は宅建建物取引業を営む者が適格請求書発行事業者でない者から棚卸資産を購入する取引、従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当等に係る課税仕入れ等をいう。また、(2)見積額が記載された適格請求書の交付を受けた場合や、(3)交付が受けられなくても電気、ガス、水道水の供給や機械等の保守点検、弁護士顧問契約のように契約等に基づきのような継続的に課税資産の譲渡等が行われ、金額が確定した際に適格請求書の交付を受ける蓋然性の高い取引の場合も仕入税額控除が認められる。さらに、(4)「公共交通機関(船舶、バス又は鉄道等)による旅客の運送」又は「自動販売機、自動サービスにより行われる課税資産の譲渡(物品やサービスの購入)等」で1回の取引の税込価額が3万円未満や、「郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストで出したはがきや封筒の送付等)」のような適格請求書を交付することが困難な取引、(5)「適格請求書等保存方式の導入前までの期間」かつ「3万円未満(税込み)の課税仕入れ」及び「請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるとき」にも仕入税額控除が認められる。上記のものは、証憑データの適格請求書交付義務免除対象である。このように、仕入税額控除が認められるものは、予め定められたものであって、仕入税額控除が認められる条件が記憶部30に記憶されていてもよい。
【0033】
仕入税額控除確認部20は、上記の(1)から(5)の条件を満たすかの判定を行うことで、仕入税額控除が認められるか否かの確認を行う。なお、判定については、目視確認でもよいし、自動で判定したものを目視確認してもよく、目視確認により修正した結果と判定に使用した条件(「上記の(1)から(5)の仕入税額控除が認められる条件を1以上満たすか」と「取引先や取引内容の情報等」の組み合わせ)とをフィードバック(学習)することで、仕入税額控除が認められるか否かの判定について人工知能(AI)等を利用した判定処理の学習を行ってもよい。分類器である仕入税額控除判定学習モデル(第4学習モデル)を、学習モデル記憶部(図示せず)に記憶させてもよい。
具体的には、仕入税額控除確認部20は、目視確認により修正した結果と判定に使用した条件とを学習した仕入税額控除判定学習モデルを用いたAIによる学習処理によって、証憑データについて仕入税額控除が認められるか否かを判定する。そして、仕入税額控除確認部20は、これらの判定結果を用いてさらに適格判定学習モデルを学習させる。そのようにすれば、自動判定の精度を高めることができる。
【0034】
仕訳関連付け部21は、証憑判定部18により証憑データが適格であると判定された場合に、証憑データと、仕訳データとを関連付ける。また、仕訳関連付け部21は、証憑判定部18により証憑データが不適格であると判定された場合であっても、仕入税額控除確認部20によって仕入税額控除が認められると確認された証憑データについては、証憑データと、帳簿の記載事項を満たした仕訳データとを関連付ける。
より具体的には、仕訳関連付け部21は、例えば、帳簿の記載事項を満たした仕訳データを含む、仕訳データ記憶部33に記憶された仕訳データに、証憑データの証憑IDを対応付ける。
仕訳データは、証憑データに基づいて公知の技術によって作成されるものである。例えば、会計処理装置1の制御部10が仕訳プログラム31b(後述する)を実行して証憑データを画面に表示させたうえで、取込処理をユーザが指示した場合に、証憑データから仕訳データを生成して仕訳データ記憶部33に記憶させる。なお、会計処理装置1の制御部10は、その後に仕訳データの編集等を行ってもよい。
【0035】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、証憑データ記憶部32と、仕訳データ記憶部33と、会社マスタ34とを備える。
【0036】
プログラム記憶部31は、各種プログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部31は、証憑判定プログラム31aと、仕訳プログラム31bとを記憶している。
証憑判定プログラム31aは、上述した制御部10が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。
【0037】
仕訳プログラム31bは、証憑データに基づいて仕訳データを生成する処理を行うプログラムである。仕訳プログラム31bによって生成した仕訳データは、仕訳データ記憶部33に記憶される。
なお、この例では、証憑判定プログラム31aと、仕訳プログラム31bとを別のプログラムとして記載したが、1つのプログラムによって上述した各種機能を実行してもよい。また、証憑判定プログラム31aと、仕訳プログラム31bとをさらに細分化して、別プログラムにしてもよい。
【0038】
証憑データ記憶部32は、証憑データ受付部11が受け付けた証憑データを記憶する記憶領域である。
図3に示す証憑データ記憶部32は、1枚の請求書6に対応する証憑データを識別する証憑IDに対応付けて、証憑データに関するデータを記憶する。証憑データ記憶部32は、例えば、証憑IDをキーとして、処理日と、イメージ登録先と、登録番号と、発行事業者名と、適格判定フラグと、仕入税額控除フラグと、仕訳IDとを記憶する。
【0039】
証憑IDは、証憑データを識別する識別情報である。会計処理装置1の制御部10は、証憑データを受け付けた際に、証憑IDを付与してもよい。
処理日は、証憑データを受け付けた日付である。
イメージ登録先は、証憑データを記憶した証憑データ記憶部32の位置情報(アドレス)を示す。
登録番号及び発行事業者名は、証憑データから読み取った登録番号及び事業者名である。なお、証憑データから読み取れなかった場合には、その項目はブランク(空欄)であってもよい。
適格判定フラグは、証憑データが適格であること(適格請求書交付義務免除対象であることを含む)を設定するフラグである。適格判定フラグは、初期値として、例えば、ブランクが設定されており、適格であると判定された場合に、「1」が設定されるものであってもよい。
仕入税額控除フラグは、証憑データが仕入税額控除の対象であることを設定するフラグである。仕入税額控除フラグは、初期値として、例えば、ブランクが設定されており、仕入税額控除の対象であると判定された場合に、「1」が設定されるものであってもよい。
仕訳IDは、仕訳関連付け部21の処理によって関連付けがされた仕訳データの識別情報である。
【0040】
仕訳データ記憶部33は、仕訳データを識別する仕訳IDをキーにして、仕訳データを記憶する記憶領域である。
図4に示す仕訳データ記憶部33は、仕訳データを識別する仕訳IDに対応付けて、日付と、会社IDと、借方データと、貸方データと、摘要と、証憑IDとを対応付けて記憶している。ここで、日付は、仕訳データの発生日付であり、証憑データに含まれる日付と同じである。会社IDは、顧問先等を識別する識別情報である。借方データは、借方勘定科目と、借方金額を含む。貸方データは、貸方勘定科目と、貸方金額を含む。摘要は、科目に対する補足内容である。証憑IDは、仕訳データの元である証憑データを識別する識別情報である。
【0041】
また、帳簿の記載事項を満たした仕訳データとは、仕訳データのうち、日付には、課税仕入れを行った年月日を、借方金額には、課税仕入れに係る支払対価の額を、摘要には、課税仕入れの相手方の氏名又は名称(事業者名)と課税仕入れに係る資産又は役務の内容(軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)を、税区分(図示せず。税区分は借方金額及び貸方金額の消費税の税率である。)の項目又は「※が軽減税率の対象であることを示すこと」を記載した仕訳データをいう。
【0042】
なお、課税仕入れの相手方の氏名又は名称(事業者名)と課税仕入れに係る資産又は役務の内容(軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)の例としては、摘要に「△△(株) 11月分 ※食料品」を記載し、税区分に「8%」又は「帳簿に(※:軽減税率対象品目)の表示」を記載したものや、摘要に「△△(株) 11月分 文房具」を記載し、税区分に「10%」を記載したものをいう。なお、「※」は、軽減税率マークであるが、軽減税率マークは「※」に限られない。
【0043】
会社マスタ34は、会社IDをキーに、会社情報を記憶する。会社マスタ34は、
図5(A)に示すように、会計事務所がこの会計処理システム100を複数の顧問先に対して使用する場合の他、
図5(B)に示すように、企業が本支店(本社支社間や本社営業所間等も含む)ごとに使用する場合にも対応している。
図5(A)に示す会社マスタ34では、会社IDは、顧問先を識別する識別情報である。また、
図5(B)に示す会社マスタでは、会社IDは、その企業の本支店を識別する識別情報である。会社マスタ34は、
図5(A)及び(B)に記載の各項目に限定されない。
【0044】
図2の入力部37は、キーボードやマウス等の入力装置である。また、入力部37は、タッチパネルやペン入力であってもよい。
表示部38は、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される表示装置である。
通信部39は、例えば、スキャナ5や、通信ネットワークを介して事業者DB4等の外部装置との間での通信を行うインタフェースである。
なお、本発明でいうコンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、会計処理装置1は、制御部10、記憶部30等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0045】
<会計処理装置1の処理>
次に、会計処理装置1による処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る会計処理装置1での証憑データ処理を示すフローチャートである。
図7は、本実施形態に係る会計処理装置1での適格確認処理を示すフローチャートである。
図8は、本実施形態に係る会計処理装置1で用いる証憑データ60の例を示す図である。
図9は、本実施形態に係る会計処理装置1での登録番号確認処理を示すフローチャートである。
【0046】
図6で説明する証憑データ処理は、例えば、会計事務所に顧問先から請求書6を受領した都度のタイミングや、月1回等の定期的なタイミング等で、会計事務所において実行される処理である。なお、証憑データ処理は、1枚の請求書6に対しても行うことができ、また、複数枚の請求書6に対して、まとめて処理することもできる。
【0047】
会計事務所のユーザが、会計処理装置1に記憶された証憑判定プログラム31aを起動することで、会計処理装置1の制御部10は、図示しない初期画面を、表示部38に出力する。そして、会計事務所のユーザが、初期画面から顧問先を選択又は入力等をすることで、
図6のステップS(以下、単に「S」という。)11において、制御部10は、顧問先の指定を受け付ける。
【0048】
制御部10は、顧問先の指定を受け付けると、次に、例えば、スキャナ5に請求書6を取り込むよう指示する画面を、表示部38に出力するので、ユーザは、指定した顧問先の請求書6を、スキャナ5に読み取らせる。スキャナ5は、請求書6を読み取って、証憑データを生成し、会計処理装置1に対して証憑データを送信するので、S12において、制御部10(証憑データ受付部11)は、スキャナ5から送信された証憑データを受け付ける。制御部10は、請求書6ごとに生成された証憑データを受け付ける。例えば、スキャナ5に読み取らせた請求書6が1枚であった場合には、証憑データは1つであり、請求書6が複数枚であった場合には、証憑データは複数である。
そして、制御部10(証憑データ受付部11)は、認証IDを付与して、受け付けた認証データを、証憑データ記憶部32に記憶させる。
S13において、制御部10は、適格確認処理を行う。
【0049】
ここで、適格確認処理について、
図7に基づき説明する。
図7のS21において、制御部10は、証憑データを解析して、証憑データから各種の情報を取得する。具体的には、制御部10(テキスト処理部12)は、証憑データに対して文字認識処理をすることによって、証憑データからテキストデータを取得する。そして、制御部10(情報読取部14)は、テキストデータをサーチして各種の情報を取得する。各種の情報とは、例えば、適格請求書発行事業者の登録番号や事業者名や電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報等をいう。
【0050】
ここで、各種の情報について、具体例に基づき説明する。
図8は、請求書6から生成された証憑データ60の例である。
証憑データ60は、交付先情報61と、取引日付62と、取引品目63と、品目マーク64と、マーク説明65と、合計対価額66と、消費税額67と、適格請求書発行情報68とを含む。
交付先情報61は、書類の交付を受ける事業者の事業者名である。
取引日付62は、実際の取引の日付である。
取引品目63は、取引内容を示す。
品目マーク64は、取引品目63が軽減税率の対象品目である場合に付するものであり、取引品目63が示す取引内容の近傍に付与される。
マーク説明65は、品目マーク64の意味を説明するものである。
合計対価額66は、税率ごとに合計した対価額と、適用税率とを示す。
消費税額67は、一請求書あたり、税率ごとに1回ずつの消費税額を示す。
適格請求書発行情報68は、適格請求書発行事業者の事業者名及び登録番号である。
【0051】
図7のS22において、制御部10は、取得した情報に基づいて、証憑データ記憶部32を更新する。具体的には、認証データのテキストデータから得られた登録番号及び事業者名について、証憑データ記憶部32に記憶させる。
S23において、制御部10(情報読取部14)は、証憑データから得られたテキストデータに基づいて登録番号を読み取れたか否かを判断する。登録番号は、
図8の適格請求書発行情報68に含む情報である。登録番号を読み取れた場合(S23:YES)には、制御部10は、処理をS24に移す。他方、登録番号を読み取れなかった場合(S23:NO)には、制御部10は、処理をS25に移す。
【0052】
制御部10(情報読取部14)は、例えば、テキストデータから「登録番号」と記載された文字列をサーチし、「登録番号」に続く文字列である「T1234567890123」(
図8参照)を、登録番号として読み取ることができる。また、制御部10(情報読取部14)は、例えば、テキストデータから「T」の文字をサーチし、「T」と、「T」に続く数字列「1234567890123」とから構成された情報を、登録番号として読み取ることができる。
【0053】
S24において、制御部10は、登録番号確認処理を行う。この処理は、読み取った登録番号が、事業者DB4に存在する正規の登録番号であることを確認し、証憑データの適格性を判定するための処理である。
【0054】
ここで、登録番号確認処理について、
図9に基づき説明する。
図9のS31において、制御部10(DB情報取得部15)は、事業者DB4を参照し、読み取った登録番号が事業者DB4に存在するか否かを判断する。登録番号が事業者DB4に存在する場合(S31:YES)には、制御部10は、処理をS32に移す。他方、登録番号が事業者DB4に存在しない場合(S31:NO)には、制御部10は、処理をS35に移す。
【0055】
S32において、制御部10(DB情報取得部15)は、事業者DB4を参照し、登録番号に対応付けられた事業者名を、事業者DB4から取得する。
S33において、制御部10(名称確認部17)は、証憑データから得られたテキストデータに、取得した事業者名が含まれるか否かを判断する。事業者名が含まれる場合(S33:YES)には、制御部10は、処理をS34に移す。他方、事業者名が含まれない場合(S33:NO)には、制御部10は、処理をS35に移す。
【0056】
S34において、制御部10(証憑判定部18)は、証憑データが適格であると判定する。その後、制御部10は、処理を
図6のS14に移す。
他方、S35において、制御部10(証憑判定部18)は、証憑データが不適格であると判定する。その後、制御部10は、処理を
図6のS14に移す。
【0057】
図7のS25において、制御部10(情報読取部14)は、証憑データから得られたテキストデータに基づいて事業者名を読み取れたか否かを判断する。事業者名を読み取れた場合(S25:YES)には、制御部10は、処理をS26に移す。他方、事業者名が読み取れなかった場合(S25:NO)には、制御部10は、処理をS29に移す。
【0058】
制御部10(情報読取部14)は、例えば、テキストデータの最後尾から前方向に向かってサーチし、例えば、「株式会社」や「(株)」といった会社の種類を表す用語や略称を含む文字列を、事業者名として読み取ってもよい。その際、制御部10(情報読取部14)は、「株式会社」や「(株)」といった会社の種類を表す用語を含む文字列を複数読み取った場合には、例えば、会社の種類を表す用語を含む文字列であって、末尾に「御中」を含まないものを事業者名としてもよい。
【0059】
S26において、制御部10(DB情報取得部15)は、事業者DB4を参照し、読み取った事業者名に同一又は類似する事業者名に対応付けられた登録番号を、事業者識別情報として事業者DB4から取得する。
S27において、制御部10(識別情報確認部16)は、証憑データから得られたテキストデータに、事業者識別情報が含まれるか否かを判断する。事業者識別情報が含まれる場合(S27:YES)には、制御部10は、処理をS28に移す。他方、事業者識別情報が含まれない場合(S27:NO)には、制御部10は、処理をS29に移す。
【0060】
S28において、制御部10(証憑判定部18)は、証憑データが適格であると判定する。その後、制御部10は、処理を
図6のS14に移す。
他方、S29において、制御部10(証憑判定部18)は、証憑データが不適格であると判定する。その後、制御部10は、処理を
図6のS14に移す。
【0061】
図6のS14において、制御部10は、上記に説明した判定の結果、処理対象の証憑データが適格なものであるか否かを判断する。証憑データが適格なものである場合(S14:YES)には、制御部10は、処理をS15に移す。他方、証憑データが適格なものではない場合(S14:NO)には、制御部10は、処理をS16に移す。
S15において、制御部10は、証憑データ記憶部32の適格判定フラグに「1」を設定する。その後、制御部10は、処理をS18に移す。
【0062】
S16において、制御部10(仕入税額控除確認部20)は、当該証憑データに係る取引が、仕入税額控除が認められる取引であるか否かを判断する。制御部10は、例えば、記憶部30に仕入税額控除が認められる取引の記載事項を、図示しないテーブルとして登録しておき、当該テーブルを参照して、仕入税額控除が認められる取引であるか否かを判断してもよい。仕入税額控除が認められる取引である場合(S16:YES)には、制御部10は、処理をS17に移す。他方、仕入税額控除が認められる取引ではない場合(S16:NO)には、制御部10は、本処理を終了する。
【0063】
S17において、制御部10は、仕入税額控除フラグに「1」を設定する。
S18において、制御部10(仕訳関連付け部21)は、仕訳データとの関連付け処理を行う。制御部10は、例えば、証憑データによる仕訳データに、処理対象の証憑データの証憑IDを記憶させることで、証憑データと、処理対象の証憑データに対応する仕訳データとを関連付ける。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0064】
このように、本実施形態の会計処理システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)会計処理装置1は、請求書6の画像データである証憑データから、適格請求書に必要な登録番号や適格請求書発行事業者の事業者名を取得し、適格請求書発行事業者の情報が登録された事業者DB4を参照して、取得した情報について確認(照合)をすることで、証憑データの適格性を判定する。
したがって、証憑データをインプットデータとして用いることで、その証憑データが適格請求書として適格なものであるか否か、といった適格請求書の真偽を確認できる。
また、事業者DB4を参照して登録番号や事業者名を確認するので、登録番号と事業者名との組み合わせが正しいか否かを含めて、適格請求書の真偽を確認できる。
【0065】
(2)会計処理装置1は、まず、証憑データから登録番号を取得し、取得した登録番号に対応付けられた事業者名を事業者DB4から抽出し、事業者名が証憑データに含まれるか否かによって、証憑データの適格性を判定する。よって、証憑データに含まれる登録番号に基づいて、証憑データの適格性を判定できる。
登録番号は、証憑データに「登録番号」から始まる文字列として記載され、「T」を語頭に含み、その後ろは数字の羅列である、といった所定のフォーマットで記載されているため、簡単に読み取ることができる。
【0066】
(3)会計処理装置1は、証憑データから登録番号を取得できなかった場合に、証憑データから事業者名を取得し、取得した事業者名と同一又は類似の事業者名に対応付けられた登録番号を事業者DB4から抽出し、登録番号が証憑データに含まれるか否かによって、証憑データの適格性を判定する。よって、最初の処理において証憑データから登録番号を取得できなかった場合であっても、証憑データに含まれる事業者名に基づいて、証憑データの適格性を判定できる。そして、適格性の判定には、事業者DB4から抽出した登録番号を、証憑データに含むか否かにより行われるが、文字列の一致を確認すればよいため、処理が簡単である。
そして、事業者名は、証憑データに「株式会社」といった文言を含む文字列として記載されているため、比較的簡単に読み取ることができる。
【0067】
(4)会計処理装置1は、証憑データが適格であると確認された場合に、証憑データと仕訳データとを関連付ける。よって、会計処理装置1において生成した仕訳データから、証憑データに関する情報の照会を可能にできる。
また、会計処理装置1は、証憑データが不適格であると確認された場合であっても、仕入税額控除の対象である場合には、証憑データと仕訳データとを関連付ける。よって、仕入税額控除の対象であるものについては、仕訳データに証憑データが関連付けられるため、様々な処理に用いることができる。
【0068】
(5)会計処理装置1は、スキャナ5が請求書6を画像化した証憑データを受け付ける。よって、会計処理装置1は、請求書6から簡単に得らえる証憑データを、処理対象として受け付けることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0070】
(変形形態)
(1)実施形態では、事業者名及び登録番号を確認して、証憑データが適格であるか否かを判定するものを例に説明した。会計処理装置は、さらに、他の項目についての確認を行ってもよい。他の項目としては、a.取引年月日、b.取引内容(軽減税率の対象品目である場合には、その旨)、c.税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率、d.消費税額、e.書類の交付を受ける事業者名、がある。会計処理装置では、これらの項目を有するか否かを、情報読取部が読み取ったテキストから判定し、全ての項目について充足されていれば、証憑データが適格であると判定すればよい。
【0071】
また、会計処理装置は、証憑データが適格であるか否かの判定を、AI等の学習モデルである分類器を記憶する記憶領域である学習モデル記憶部(図示せず)を用意し、適格判定学習モデル(第2学習モデル、第3学習モデル)を用いたAIによる学習処理によって行ってもよい。
具体的には、例えば、区分記載請求書等保存方式と、適格請求書(例:請求書、納品書、領収書、レシート等)等(適格請求書、適格簡易請求書(例:請求書、納品書、領収書、レシート等))保存方式といった証憑データの種類による記載項目の有無による証憑データが適格であるか否かの判定を、適格判定学習モデルを用いて行うこともできる(変形例1)。
【0072】
また、区分記載請求書等保存方式か適格請求書等保存方式かによって仕入税額控除の適用期間が異なるため、証憑データの種類による記載項目(a.取引年月日、b.取引内容(軽減税率の対象品目である場合には、その旨)、c.税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率、d.消費税額、e.書類の交付を受ける事業者名及び登録番号)の有無及び上述のa.取引年月日の組み合わせにより、証憑データが適格であるか否かの判定を、適格判定学習モデルを用いて行うこともできる(変形例2)。
【0073】
さらに、証憑データの種類による記載項目のうち、消費税の項目が、消費税の端数処理により合計が異なることを利用して、消費税の額が合計額から求めている(OKのケース)のか、個々の商品ごとに消費税の額を求めて表示されている(NGのケース)かによって、証憑データが適格であるか否かの判定を、適格判定学習モデルを用いて行うこともできる(変形例3)。
また、適格簡易請求書は、事業者の業種に(不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等)よっても、証憑データが適格であるか否かの判定を、適格判定学習モデルを用いて行うこともできる(変形例4)。
【0074】
上記した「証憑データの種類による記載項目の有無のみ(変形例1)」、「証憑データの種類による記載項目の有無の及び取引年月日の組み合わせ(変形例2)」、「証憑データの種類による記載項目の有無及び消費税額の算出方法の組み合わせ(変形例3)」、「証憑データの種類による記載項目の有無の及び事業者の業種の組み合わせ(変形例4)」、「証憑データの種類による記載項目の有無の及び後述する事業者を特定する情報の組み合わせ(変形例5)」や、変形例同士の組み合わせ等の各変形例についての特徴を学習した適格判定学習モデルを用いたAIによる学習処理によって、証憑データが適格であるか否かを判定する。
【0075】
なお、適用税率又は消費税額等のどちらか又は両方とも記載のケースもあるため、両方の記載から消費税額を算出することで精度を上げることができる。
そして、これらの判定結果を用いてさらに適格判定学習モデルを学習させることで、証憑データが適格であるか否かの判定精度を上げることができる。
【0076】
(2)実施形態では、証憑データから登録番号が読み取れた場合(
図7のS23がYES)であって、読み取った登録番号が事業者DB4に存在しない場合(
図9のS31がNO)に、証憑データが不適格であると判定していた。しかし、この場合に、証憑データが不適格と判定せず、事業者名が読み取れたか否かを判定する処理(
図7のS25)を行うようにしてもよい。
【0077】
また、登録番号と対応付けられた事業者名に関連付けた類似の事業者名(複数可)と電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報(属性情報)の組み合わせを学習した分類器である事業者学習モデル(第1学習モデル)を、学習モデル記憶部(図示せず)に記憶させてもよい。事業者DB4の事業者名に類似の事業者名を関連付けることで、類似の事業者名から登録番号を特定することができるため、証憑データ記憶部32に類似の事業者名を登録しても、証憑データの適格か否かを判定できる。学習モデル記憶部を用意した場合は、制御部10(事業者識別情報確認手段)は、取得した事業者識別情報が学習モデル記憶部に記憶された事業者学習モデルによる分類結果と等しいことを確認する。より具体的には、制御部10(事業者識別情報確認手段)は、類似の事業者名、電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報を入力データとして入力することで、適格請求書発行事業者であるか否かを出力する事業者学習モデルを用いる。
そして、制御部10(確認結果出力手段)は、確認結果を表示部38に出力する。
さらに、制御部10(確認受付手段、学習手段)は、確認結果に対するユーザからの確認データを受け付け、受け付けた確認データに変更内容を含む場合には、変更内容のデータを用いて事業者学習モデルを更新する。
【0078】
例えば、事業者名が一致しない場合や事業者名が読み取れない場合は、証憑データが不適格であるとの確認結果と一緒に事業者名(一致しない事業者名(類似の事業者も含む)等又は読み取れない場合は空白)、電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報が表示される。
事業者名が一致しない場合は、ユーザが類似の事業者名(例えば、「株式会社」や「(株)」といった会社の種類を表す用語や略称を含む文字列や会社の種類を表す用語を含む文字列であって、末尾に「御中」を含まないもの)から事業者名を特定できる場合には特定した事業者名を入力することで、制御部10が、事業者DB4から入力した事業者名と登録番号と類似の事業者名を関連付け、学習モデル記憶部の事業者学習モデルと証憑データ記憶部32を更新する。
また、事業者名が読み取れない場合は、ユーザが電話番号、ファクシミリ番号や住所等の事業者を特定する情報から事業者名を特定できる場合には特定した事業者名を入力することで、制御部10が、事業者DB4から入力した事業者名と登録番号を関連付け、学習モデル記憶部の事業者学習モデルと証憑データ記憶部32を更新する。
【0079】
(3)実施形態では、証憑データから登録番号及び事業者名を取得する方法について、例示して説明したが、これに限定されない。他の方法によって、証憑データから登録番号及び事業者名を取得してもよい。
(4)実施形態では、記憶部に記憶される各情報について、例示して説明したが、これに限定されない。特に、項目は、他の項目があってもよいし、不要な項目を削除してもよい。また、他に会計処理装置として必要な種々のテーブル類があるが、本実施形態においては、記載を省略している。
【解決手段】会計処理装置1は、伝票及びレシートを含む請求書6に係る証憑データに含まれる複数の文字をテキスト化するテキスト処理部12と、テキスト化された複数の文字から登録番号及び事業者名を読み取る情報読取部14と、登録番号及び事業者名のうちの少なくとも一方である記載情報が読み取れた場合に、事業者の事業者名と、事業者を識別する事業者識別情報とが対応付けられた事業者DB4から記載情報に基づいて事業者名と事業者識別情報を取得するDB情報取得部15と、取得した事業者名及び事業者識別情報と、テキスト化した複数の文字とを照合して、証憑データの適格性を判定する証憑判定部18と、を備える。