特許第6842235号(P6842235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6842235染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842235
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/20 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   H01G9/20 111D
   H01G9/20 111Z
   H01G9/20 311
   H01G9/20 115A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-244881(P2015-244881)
(22)【出願日】2015年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-28239(P2017-28239A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0105178
(32)【優先日】2015年7月24日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】506392274
【氏名又は名称】成均館大学校産学協力団
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金,元 中
(72)【発明者】
【氏名】金,相 學
(72)【発明者】
【氏名】金,雪
(72)【発明者】
【氏名】梁,貞 熙
(72)【発明者】
【氏名】閔,美 淑
(72)【発明者】
【氏名】李,孝 永
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−094254(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0001087(KR,A)
【文献】 特開2013−209261(JP,A)
【文献】 特開2010−198836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/20
CAplus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極基板上に所定の間隔で複数の電極を離隔して配列して電極層を形成する段階、及び
前記電極層が形成された前記透明電極基板の全面又は前記電極層上にだけ部分的に第1バリアー層を形成する段階、を含み、
前記第1バリアー層を形成する段階は、グラフェンオキシド溶液をコートする工程、及び前記コートされたグラフェンオキシドを還元させ、還元されたグラフェンオキシドを形成する工程で行われ、
前記コートされたグラフェンオキシドを還元させる工程は、200〜500℃の温度で1〜10時間行われることを特徴とする染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法。
【請求項2】
透明電極基板上に所定の間隔で複数の電極を離隔して配列して電極層を形成する段階、及び
前記電極層が形成された前記透明電極基板の全面又は前記電極層上にだけ部分的に第1バリアー層を形成する段階、を含み、
前記第1バリアー層を形成する段階は、還元されたグラフェンオキシド溶液をコートした後乾燥する工程で行われることを特徴とする染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法。
【請求項3】
前記グラフェンオキシド溶液又は還元されたグラフェンオキシド溶液の固形分含有量は0.01〜50mg/mlであることを特徴とする請求項又はに記載の染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法。
【請求項4】
前記第1バリアー層は、厚さが0.01〜100μmであることを特徴とする請求項又はに記載の染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法。
【請求項5】
前記第1バリアー層又は前記第1バリアー層が部分的に形成された透明電極基板の全面上に第2バリアー層を形成する段階、をさらに含むことを特徴とする請求項又はに記載の染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法。
【請求項6】
前記第2バリアー層は、ポリビニルアルコール(PVA)又はシラン系化合物の高分子膜又はシリコン膜であることを特徴とする請求項に記載の染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法。
【請求項7】
前記第2バリアー層は、厚さが0.1〜200μmであることを特徴とする請求項に記載の染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染料感応太陽電池用集電極保護膜及びその形成方法並びにこれを含む染料感応太陽電池に係り、より詳しくは集電極保護膜として超疎水性の還元されたグラフェンオキシドを第1バリアー層として適用することで、集電極の金属表面を水分、電解質又は空気などから保護し、腐食を防止して集電効率を向上させることができる染料感応太陽電池用集電極保護膜及びその形成方法並びにこれを含む染料感応太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、そのサイズが大きくなる場合、透明伝導層の抵抗によって集電効率が落ちる。これを補うために、一般的に金属電極をさらに挿入する。しかし、挿入された金属電極では、電解質、特に、ヨード系電解質によって電極が腐食される現象がたびたび発生している。
そこで、新しい電極保護層として、ガラスフリット、UV硬化又は熱硬化型の高分子樹脂フィルムなどを適用した事例が報告されている。しかし、ガラスフリットは、ガラス素材で、優れた保護材料ではあるが、太陽電池製造工程の許容温度範囲では完全に集電極を保護することができないため、最近では余り使用されなくなってきている。特に、圧力が加わったときや、外部から振動や衝撃が伝わったとき、割れ又はクラックが発生する恐れが高いため、電解質による腐食を防ぐ部材として使用しにくい欠点がある。
また、エポキシ樹脂はエポキシ基を持っている熱硬化性樹脂に分類され、これを使う時には硬化剤と一緒に使われる。このようなエポキシ樹脂は一度加熱されて硬化成形されれば、さらに熱を加えても形態が変わることがなく、耐熱性に優れ、接着性が良いため、一般的に接着材料として広く使われる。しかし、エポキシ樹脂の使用時に生成した環境ホルモンが人体に撹乱物質として悪影響を与えること恐れがあることから、バリアー層として使用されることは適当でなく、また、ヨード系電解質による腐食を完全に防ぐことが難しい材料でもある。
【0003】
また、UV硬化剤は、紫外線硬化型樹脂に微量含まれている光開始剤が紫外線を受けることにより光重合反応が開始され、樹脂の主成分である単量体(monomer)やオリゴマー(oligomer)が瞬間的に重合体(polymer)となって硬化する材料として多様な分野に使われている。しかし、UV硬化剤の厚さ差による硬化速度の差が大きく、角部や凹凸部等の平面ではない部分の硬化が難しくなる欠点がある上に、熱硬化型材料と同様にヨード系電解質を完全に防ぐことが難しい材料である。
近年、新素材として脚光を浴びている材料であるグラフェン(graphene)は、炭素原子からできた蜂の巣のような六角形格子構造を有する炭素素材であり、その固有の特性のため、多様な分野で研究が進んでいる。グラフェンを製造する方法としては、銅ホイルのような基板上で直接蒸着する方法と機械的剥離法及び化学的剥離法などがある。この中で、特に酸化−還元反応を用いた化学的剥離法で製造された酸化還元グラフェンは単一層から数十層からなる炭素ナノ物質で、高い透過率を初めとして、有機溶媒、熱、光及び硫化水素ガス(HS)などに対する耐久性に優れた特性がある。
【0004】
特許文献1には、基材、基材上に形成される第1電極層、及び第1電極層の上部及び/又は下部に形成されるグラフェンオキシド層を含む透明電極及びこれを含む電子材料が開示されている。
また、特許文献2には、基材、基材上の第1電極層、及び第1電極層の上部及び/又は下部に形成されるグラフェンオキシド層を含む透明電極を持つ電子材料が開示されている。
さらに、特許文献3には、保護膜と透明な炭素系薄膜は炭素ナノチューブ又はグラフェン薄膜であることを特徴とする金属フレキシブル染料感応太陽電池が開示されている。
しかし、上記のように、透明電極上に形成されたグラフェンオキシド(graphene oxide:以下、GOと略す)は、有機溶媒、熱、光、及びガスなどに対する耐久性は優れるが、本発明において最も重点的に考慮しているヨード系電解質によって引き起こされる腐食の問題に対しては全く考慮されていない。
上記の状況下、電極腐食を防止し、集電効率を高めることができる電極保護層としての新素材についての研究が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許公開第2013−0127781号公報
【特許文献2】大韓民国特許公開第2014−0071314号公報
【特許文献3】大韓民国特許登録第10−1192981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、集電極保護膜として集電極の金属表面を水分又は空気(酸素)だけでなく、ヨード系電解質からも保護して腐食を防止した染料感応太陽電池用集電極保護膜及びその形成方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的とするところは、上記集電極保護膜を含む染料感応太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の染料感応太陽電池用集電極保護膜は、透明電極基板上に複数の金属電極が離隔して配列された電極層、及び電極層が形成された透明電極基板の全面又は電極層上にだけ部分的に形成された第1バリアー層 を含み、第1バリアー層は還元されたグラフェンオキシド(Reduced graphene oxide:以下、rGOと略す)であることを特徴とする。
【0008】
本発明の染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法は、透明電極基板上に所定の間隔で複数の電極を離隔して配列して電極層を形成する段階、及び電極層が形成された透明電極基板の全面又は電極層上にだけ部分的に第1バリアー層を形成する段階を含み、第1バリアー層を形成する段階は、還元されたグラフェンオキシド層を形成する工程で行われることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の染料感応太陽電池は、上記集電極保護膜を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、集電極保護膜として超疎水性の還元されたグラフェンオキシドを第1バリアー層として適用することで、集電極の金属表面をヨード系電解質と水分又は空気(酸素)から保護し腐食を防止して集電効率を向上させることができる。
また、還元されたグラフェンオキシド上に高分子膜又はシリコン膜をさらにコートして二重構造の集電極保護膜を形成することにより、集電極の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1による集電極保護膜の形成方法を示した工程図である。
図2】本発明の実施例1による集電極保護膜の断面図である。
図3】本発明の実施例2による集電極保護膜の形成方法を示した工程図である。
図4】本発明の実施例2による集電極保護膜の断面図である。
図5】本発明の実施例3による集電極保護膜の形成方法を示した工程図である。
図6】本発明の実施例3による集電極保護膜の断面図である。
図7】本発明の比較例1による集電極保護膜の形成方法を示した工程図である。
図8】本発明の比較例1による集電極保護膜の断面図である。
図9】本発明の実施例1及び比較例1によるrGO及びGOのX線光電子分光(XPS)測定結果を示すチャートである。
図10】本発明の実施例1によるrGOのX線光電子分光(XPS)測定結果を示すチャートである。
図11】本発明の比較例1によるGOのX線光電子分光(XPS)測定結果を示すチャートである。
図12】本発明の実施例1による集電極保護膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、(a)は倍率×2,000、(b)は倍率×15,000の画像である。
図13】本発明の実施例1による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池の写真であり、(a)はシルバー集電極上にGOが形成された表面の画像、(b)は裏面の画像を示す。
図14】本発明の実施例1による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池の腐食性評価結果を示す写真であり、(a)は電解質含浸前、(b)は500時間電解質に含浸後の写真である。
図15】本発明の比較例1による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池の腐食性評価結果を示す写真であり、(a)は電解質含浸前、(b)は150時間電解質に含浸後の写真である。
図16】本発明の比較例2による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池の腐食性評価結果を示す写真であり、(a)は電解質含浸前、Ag集電バリアー層が形成された様子、(b)は電解質含浸後、24時間でバリアー層に電解質が侵透し、集電極が腐食されて電極が切れた様子を示した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を一実施例に基づいてより詳細に説明する。
本発明の染料感応太陽電池用集電極保護膜は、透明電極基板上に複数の金属電極が離隔して配列された電極層、及び電極層が形成された透明電極基板の全面又は電極層上にだけ部分的に形成された第1バリアー層、を含み、第1バリアー層は還元されたグラフェンオキシド(RGO)であることを特徴とする。
本発明の好適な具現例によると、透明電極は、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと略す)、インジウムドープ酸化スズ(以下、ITOと略す)、グラフェン、シルバーナノワイヤ及び伝導性高分子からなる群から選択された一種を使うことができる。
【0013】
本発明の好適な具現例によると、金属電極は、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)及びコバルト(o)からなる群から選択された1種以上を使うことができる。
本発明の好適な具現例によると、第1バリアー層は、電極層が形成された透明電極基板の全面又は電極層上にだけ部分的に形成される。特に、電極層上にだけ部分的にバリアー層を形成する場合、染料感応太陽電池の透明性を確保するのに有利であるとの利点がある。
本発明の好適な具現例によると、第1バリアー層は、還元されたグラフェンオキシド(Reduced graphene oxide、rGO)を使うことができる。還元されたグラフェンオキシドは、グラフェンオキシドとは異なり、伝導性を持ちながら超疎水性特性を持つ特性を有する。また、直接蒸着方式で製造されたグラフェンと類似した特性を持っていながらも大量生産が可能であるという特性がある。このような還元されたグラフェンオキシドは、グラフェンオキシドを還元させて超疎水性特性を持つ還元されたグラフェンオキシドを形成することができる。還元されたグラフェンオキシドの超疎水性特性は、集電極がヨード系電解質によって腐食されることを遮断して、電極層を保護することができる。
【0014】
本発明の好適な具現例によると、第1バリアー層は、厚さが0.01〜100μmであることが好ましい。第1バリアー層の厚さが0.01μmより薄いと、電解質浸透を効果的に防ぐことができないため、集電極が腐食される恐れがある。第1バリアー層の厚さが100μmより厚くなると、基板との接着力が劣り、第1バリアー層が基板から剥離し、バリア機能を果たせなくなる恐れがある。
本発明によると、第1バリアー層又は第1バリアー層が部分的に形成された透明電極基板の全面上に形成された第2バリアー層をさらに含むことが好ましい。
本発明の好適な具現例によると、第2バリアー層は、ポリビニルアルコール(PVA)又はシラン系化合物の高分子膜又はシリコン膜であることが好ましい。第2バリアー層は、第1バリアー層形成物質であるrGOのバルク(bulk)構造の間に電解質が浸透し得る可能性を無くして、集電極を腐食から保護する役目を果たす。第2バリアー層は要求条件によって省略することができる。
本発明の好適な具現例によると、第2バリアー層は、厚さが0.1〜200μmであることが好ましい。第2バリアー層の厚さが0.1μmより薄いと、バリアー機能が十分に発揮されない恐れがある。また、第2バリアー層の厚さが200μmより厚くなると、太陽電池の上下板の間隔が大きくなって性能面で不利になり最終製品の性能が劣る恐れがある。
【0015】
一方、本発明の染料感応太陽電池用集電極保護膜の形成方法は、透明電極基板上に所定の間隔で複数の電極を離隔して配列して電極層を形成する段階、及び電極層が形成された透明電極基板の全面又は電極層上にだけ部分的に第1バリアー層を形成する段階、を含み、第1バリアー層を形成する段階は還元されたグラフェンオキシド層を形成する工程で行われることを特徴とする。
本発明の好適な具現例によると、第1バリアー層は、スプレーコーティング、ロールコティング、スロットダイコーティング、バーコーティング、スピンコーティング、インクジェットコーティング及びディップコーティングからなる工法群の中から選択されたいずれか一つの工法によって形成できるが、これに制限されるものではない。好ましくは、スプレーコーティング工法によって第1バリアー層を形成することがよい。電極層上にだけ部分的に第1バリアー層を形成するとき、マスクシートを用いて不必要な部分には第1バリアー層が形成されないようにコートすることが好ましい。
【0016】
本発明の好適な具現例によると、第1バリアー層を形成する段階は、還元されたグラフェンオキシド溶液をコートする工程によっても遂行できる。具体的には、還元されたグラフェンオキシド溶液を、電極層が形成された透明電極基板の全面又は電極層上にだけ部分的にコートして第1バリアー層を形成することが好ましい。
第1バリアー層を形成する段階は、グラフェンオキシド溶液をコートする工程と、これに続く、コートされたグラフェンオキシドを還元して、還元されたグラフェンオキシドを形成する工程からなる。ここで、グラフェンオキシド溶液は、グラフェン(Graphene)を用る直接合成法、機械的剥離法、化学的剥離法などによって製造することができる。好ましくは、グラフェンが多数枚積層されているグラファイト(Graphite)を酸処理などの化学的処理によって製造する化学的剥離法である。酸処理されたグラファイトは、グラフェン表面の一部が水酸基(−OH)又はヒドロキシカルボニル基(−COOH)を持つことになり、これを水又は有機溶媒に入れて分散させることで、グラフェンオキシド(Graphene oxide:GO)溶液を製造する。
グラフェンオキシド溶液は、電極層が形成された透明電極基板の全面又は電極層上にだけ部分的にコートすることが好ましい。
グラフェンオキシドを還元する工程は、4%の水素(H)を含むアルゴン(Ar)ガスの雰囲気で200〜500℃の温度で1〜10時間反応させる。具体的には、グラフェンオキシド溶液がコートされた表面を高真空炉(High vacuum furnace)中で200〜500℃の高温で還元処理することで、還元されたグラフェンオキシドの第1バリアー層を形成することができる。還元反応の温度が200℃より低いと、ヒドロキシカルボニル基(−COOH)及び水酸基(−OH)の一部が残るため、rGOの特性である超疎水性を示さない恐れがある。還元反応の温度が500℃より高いと、太陽電池製造工程に必要な温度以上の熱を加えることになるため、太陽電池の性能が悪くなる恐れがある。
【0017】
本発明の好適な具現例によると、グラフェンオキシド溶液又は還元されたグラフェンオキシド溶液の固形分含有量は0.01〜50mg/mlであることが好ましい。固形分含有量が0.01mg/mlより少なければ、集電極を完全に覆いきれなくなる恐れがあり、一方、固形分含有量が50mg/mlより多ければ、溶液の分散性が悪くなることから、均一なコーティングが難しくなり、出来上がった太陽電池の性能が悪くなる恐れがある。
本発明の好適な具現例によると、第1バリアー層は、厚さが0.01〜100μmであることが好ましい。
本発明の好適な具現例によると、第1バリアー層又は第1バリアー層が部分的に形成された透明電極基板の全面上に第2バリアー層を形成する段階をさらに含むことが好ましい。
【0018】
本発明の好適な具現例によると、第2バリアー層は、ポリビニルアルコール(PVA)又はシラン系化合物の高分子膜又はシリコン膜であることが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコールの場合、水、エタノール、メタノール、アセトン、イソプロピルアルコール及びブタノールからなる群から選択された1種以上の溶媒に0.1〜10重量%のポリビニルアルコールを混合して作成したポリビニルアルコール溶液をコートして第2バリアー層を形成することができる。
本発明の好適な具現例によると、第2バリアー層は、厚さが0.1〜200μmであることが好ましい。
【0019】
一方、本発明は集電極保護膜を含む染料感応太陽電池を提供する。
本発明による集電極保護膜として超疎水性の還元されたグラフェンオキシドを適用することにより、集電極の金属表面をヨード系電解質と水分又は空気(酸素)から保護して腐食を防止し、集電効率を向上させることができる。また、還元されたグラフェンオキシド上に高分子膜又はシリコン膜をさらにコートして二重構造の集電極保護膜を形成することにより、集電極の腐食を防止することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明が次の実施例に限定されるものではない。
【0020】
〔実施例1〕
染料感応太陽電池を構成する透明電極用物質であるフッ素ドープ酸化スズ(FTO)がコートされたガラス上に銀(Ag)ペーストをコートした後、500℃で30分間熱処理して銀(Ag)電極を形成した。その後、GO溶液5mg/mLをスプレーコーティング法でコートした後、コートされたGOを4%水素(H)含有アルゴン(Ar)ガス混合物を流しながら300℃で5時間還元することにより、rGOの第1バリアー層を形成した。形成された第1バリアー層の厚さは0.5μmであった。ついで、第1バリアー層上にPVAの5重量%をエタノールに溶解した溶液をスプレー法でコートして第2バリアー層を形成した。この際、第2バリアー層の厚さは10μmであった。
図1は本発明の実施例1による集電極保護膜の形成方法を示した工程図であり、図2は本発明の実施例1による集電極保護膜の断面図である。図1及び2に示したとおり、FTOがコートされたガラス上にAg電極が離隔して配列されるように電極層を形成した。Ag電極を含むガラス基板上に、さらにGOを1次コートした後、これを還元することで、rGOがコートされた第1バリアー層を形成し、その後、その上にPVAを2次コートして第2バリアー層を形成して集電極保護膜とした。
【0021】
〔実施例2〕
染料感応太陽電池を構成する透明電極用物質であるFTOがコートされたガラス上にAgペーストをコートした後、500℃で30分間熱処理してAg電極を形成した。Ag電極のみをコートすることができるようにマスクシートを付着した後、マスクシート上からGO溶液5mg/mLをスプレーコーティング法でコートした。マスクシートを外し、部分的にコートされたGOを水素(H)含有アルゴン(Ar)ガス混合物を流しながら300℃で5時間還元させることにより、Ag電極上にだけrGOがコートされた形態の第1バリアー層を形成した。形成された第1バリアー層の厚さは0.5μmであった。その後、第1バリアー層とFTO層の全面上にPVAの5重量%をエタノールに溶解した溶液をスプレー法でコートして第2バリアー層を形成した。この際、第2バリアー層の厚さは10μmであった。
図3は本発明の実施例2による集電極保護膜の形成方法を示した工程図であり、図4は本発明の実施例2による集電極保護膜の断面図である。図3及び4に示したとおり、FTOがコートされたガラス上にAg電極が離隔して配列されるように電極層を形成した。マスクシートを活用して電極層上にだけGOを部分的に1次コートした後、これを還元することで、rGOがコートされた第1バリアー層を形成し、その上にPVAで2次コーティングして第2バリアー層を形成して集電極保護膜とした。
【0022】
〔実施例3〕
染料感応太陽電池を構成する透明電極用物質であるFTOがコートされたガラス上にAgペーストをコートした後、500℃で30分間熱処理してAg電極を形成した。その後、5mg/mLのrGO溶液をスプレーコーティング法でコートした後、300℃で1時間乾燥して第1バリアー層を形成した。形成された第1バリアー層の厚さは0.5μmであった。その後、第1バリアー層上にPVA5重量%をエタノールに溶解した溶液をスプレー法でコートして第2バリアー層を形成した。この際、第2バリアー層の厚さは20μmであった。
図5は本発明の実施例3による集電極保護膜の形成方法を示した工程図であり、図6は本発明のこのような実施例3による集電極保護膜の断面図である。図5及び6に示したとおり、FTOがコートされたガラス上にAg電極が離隔して配列されるように電極層を形成した。さらにrGOを1次コートして第1バリアー層を形成し、その上にPVAで2次コーティングして第2バリアー層を形成して集電極保護膜とした。
【0023】
〔実施例4〕
GOを5mg/mLの水に分散させた後、ヒドラジンハイドレート(hydrazine hydrate)1mlを添加し、80℃の条件で3時間反応させた。その後、溶媒を除去し、エタノールで洗浄し、15時間乾燥してrGOを得た。得られたrGOはDMF溶媒で分散させた。この際、溶液の溶解度を向上させるために、アンモニア水5mLを添加し、2時間反応させた後、アンモニア水を除去した。その後、製造されたrGO5mg/mLを染料感応太陽電池を構成する透明電極用物質であるFTOがコートされたガラス上に直接コートして第1バリアー層を形成した。形成された第1バリアー層の厚さは0.5μmであった。その後、第1バリアー層上にPVAの5重量%をエタノールに溶解した溶液をスプレー法でコートして第2バリアー層を形成した。この際、第2バリアー層の厚さは20μmであった。
【0024】
〔比較例1〕
染料感応太陽電池を構成する透明電極用物質であるFTOがコートされたガラス上にAgペーストをコートした後、500℃で30分間熱処理してAg電極を形成した。その後、GO溶液5mg/mLをスプレーコーティング法でコートした後、300℃で1時間乾燥して第1バリアー層を形成した。形成された第1バリアー層の厚さは0.5μmであった。その後、第1バリアー層上にPVAを5重量%エタノールに溶解した溶液をスプレー法でコートして第2バリアー層を形成した。この際、第2バリアー層の厚さは20μmであった。
図7は本発明の比較例1による集電極保護膜の形成方法を示した工程図であり、図8は本発明の比較例1による集電極保護膜の断面図である。図7及び8に示したとおり、FTOがコートされたガラス上にAg電極が離隔して配列されるように電極層を形成した。さらにGOを1次コーティングして第1バリアー層を形成し、その上にPVAで2次コーティングして第2バリアー層を形成した集電極保護膜とした。
【0025】
〔比較例2〕
染料感応太陽電池を構成する透明電極用物質であるFTOがコートされたガラス上に銀(Ag)ペーストをコートした後、500℃で30分間熱処理して銀(Ag)電極を形成した。その後、エポキシ系UV硬化剤をスクリーン印刷法でコートした後、80℃で30分間乾燥し、紫外線の照射で硬化させてバリアー層を形成した。形成されたバリアー層の厚さは30μmであった。
【0026】
〔実験例1〕
実施例1及び比較例1で製造した集電極保護膜の第1バリアー層のコーティング物質を確認するために、X線光電子分光(XPS)測定を実施し、その結果を図9から図11に示した。
図9は本発明の実施例1及び比較例1によるrGO及びGOのXPS測定結果を示すチャートである。また、図10は本発明の実施例1によるrGOのXPS測定結果を示すチャート、図11は本発明の比較例1によるGOのXPS測定結果を示すチャートである。
図9図10、及び図11のチャートに示したとおり、実施例1及び比較例1において、第1バリアー層であるGO及びrGOのコーティング層がそれぞれ確実に形成されたことをXPS測定のC−O、C=O等のピークから確認することができた。
【0027】
図12は本発明の実施例1による集電極保護膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図12(a)、(b)に示したとおり、銀(Ag)電極上にGO膜が確実に形成されたことが観察され、その厚さが0.5μmであることを確認した。
図13は本発明の実施例1による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池を示す写真である。図13の(a)はシルバー集電極上にGOが形成された表面の画像、(b)は裏面の画像で、シルバー集電極の色相変化がないことから、GOが形成されたときにシルバー集電極の損傷がないことを確認した。
【0028】
〔実験例2〕
実施例1及び比較例1、2で製造された集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池をヨード系電解質にそれぞれの所定時間含浸した後、染料感応太陽電池の表面を肉眼で確認し、その結果は図14図15、及び図16に示した。
図14は本発明の実施例1による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池の腐食性評価結果を示す写真であり、図14の(a)は電解質含浸前、(b)は500時間電解質含浸後の染料感応太陽電池を示す写真である。図14の(b)の500時間が経た後、集電極保護膜が形成された部分(白色部)を確認したが、(a)と比較して白色部がそのまま安定した状態で維持されることから腐食跡がないことを確認した。
【0029】
図15は本発明の比較例1による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池の腐食性評価結果を示す写真であり、図15の(a)は電解質含浸前、(b)は150時間電解質に含浸後の染料感応太陽電池を示す写真である。図15の(b)は電解質含浸後、150時間ぶりに集電極保護膜が形成された部分(白色部)が(a)に比べて腐食されたことを確認した。
図16は本発明の比較例2による集電極保護膜から製造された染料感応太陽電池の腐食性評価結果を示す写真であり、(a)は電解質含浸前、Ag集電バリアー層が形成された様子を示し、(b)は電解質含浸後、24時間でバリアー層に電解質が侵透し、集電極が腐食されて電極が切れた様子を示した。
【0030】
以上のことから、本発明による集電極保護膜として超疎水性を有する還元されたグラフェンオキシドを適用することにより、集電極の金属表面をヨード系電解質と水分又は空気(酸素)から保護して腐食を防止し、集電効率を向上させることができることを確認した。
【符号の説明】
【0031】
FTO: フッ素ドープ酸化スズ(Fluorine−doped tin oxide)
Glass: ガラス
GO: グラフェンオキシド(graphene oxide)
ITO: インジウムドープ酸化スズ(Indium−doped tin oxide)
PVA: ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)
rGO: 還元されたグラフェンオキシド(Reduced graphene oxide)
SEM: 走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)
XPS: X線光電子分光(X−ray Photoelectron Spectroscopy)
図1
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