(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記運転状態として、前記圧縮機が停止する直前の該圧縮機の駆動周波数に応じて、再起動時の前記駆動周波数を変更させる請求項9記載の衣類乾燥機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、衣類乾燥機としてのドラム式の洗濯乾燥機に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、複数の実施形態間で共通する部分については、同一符号を付して、新たな図示や繰返しの説明を省略することとする。
【0012】
(1)第1の実施形態
第1の実施形態について、
図1から
図7を参照しながら説明する。まず、
図1から
図3を参照しながら、本実施形態に係る衣類乾燥機としてのドラム式の洗濯乾燥機1の全体構成について述べる。洗濯乾燥機1の本体を構成する外箱2は、ほぼ矩形箱状をなし、外箱2内には、円筒状の水槽3が後下がりに傾斜した状態で、図示しない弾性支持機構を介して支持されている。前記水槽3内には、衣類(洗濯物)が収容される回転槽としての円筒状の回転ドラム4が回転可能に支持されている。この回転ドラム4は、前後方向に延び且つ後下がりに傾斜した傾斜軸を中心に回転するように構成されている。
【0013】
図1に示すように、この回転ドラム4の周壁部及び後壁部には通水、通気用の多数の孔4aが形成され、また、回転ドラム4の周壁部の内面には、洗濯物撹拌用の図示しない複数個のバッフルが設けられている。図示はしないが、この回転ドラム4の前面部には、衣類が出し入れされる開口部が設けられている。前記水槽3の前面部には、前記開口部に連なる投入口が形成されており、外箱2の前面には、その投入口を開閉する扉5が設けられている。外箱2の前面部の上部には、操作パネル6(
図3参照)が設けられている。
【0014】
図1、
図2に示すように、前記水槽3の後部には、例えばアウタロータ形のブラシレスモータからなるドラムモータ8が配置されている。このドラムモータ8の回転軸の先端は、水槽3の背面を貫通して水槽3内に突出し、前記回転ドラム4の後部中心部に連結固定されている。このような構成により、回転ドラム4はドラムモータ8により直接的に回転駆動される。また、このドラムモータ8には、該ドラムモータ8のロータの回転を検出するための回転センサ42(
図3にのみ図示)が設けられている。この回転センサ42が、回転ドラム4内の布量を検出する負荷検出手段として機能するようになっている。
【0015】
詳しく図示はしないが、前記外箱2内の上部には、前記水槽3内に給水するための給水装置が設けられている。この給水装置は、給水源としての水道の蛇口に接続ホースを介して接続される給水弁11(
図3参照)、洗剤投入ケースを引出し可能に有する注水ケース等を備えて構成されている。一方、
図1に示すように、水槽3の下部には、排水管路12が接続され、この排水管路12の途中部には排水弁13設けられている。排水弁13が閉鎖された状態で給水装置から水槽3内に水が供給された場合には、その水は水槽3内に貯留される。このとき、水槽3内の水位は、水位センサ7(
図3参照)により検出されるようになっている。前記排水弁13が開放されることに伴い、水槽3内に貯留されていた水は、排水管路12を通して機外へ排出される。
【0016】
図1に示すように、前記水槽3には、前部の上面右寄り部位に空気の排出口17が設けられていると共に、背面部の上部左寄り部位に空気の供給口18が設けられている。そして、
図1、
図2に示すように、外箱2内部には、回転ドラム4内に乾燥風(温風)を循環供給する乾燥機構19が設けられている。本実施形態では、乾燥機構19は、水槽3の外部に位置して、循環風路20を備えると共に、ヒートポンプ21を備えている。前記循環風路20は入口と出口を有していて、その入口が水槽3の前記排出口17に接続され、出口が前記供給口18に接続されている。また、乾燥機構19は、排出口17から排出された空気を、循環風路20内を矢印A方向に循環させながら前記供給口18から水槽3ひいては回転ドラム4内に供給する送風機22を備えている。
【0017】
具体的には、前記循環風路20は、排気ダクト23と、ヒートポンプダクト24と、給気ダクト25とを備えている。そのうち排気ダクト23は、その基端部が前記排出口17に接続され、外箱2内の右側上部を後方に延びた後、折曲って水槽3の後方を下方に延び、その先端がヒートポンプダクト24の基端部(右端部)に接続されている。また、排気ダクト23の前端側部分には、乾燥風から糸くずを捕獲するための周知のリントフィルタ26が設けられている。
【0018】
前記ヒートポンプダクト24は、外箱2内の底部後寄り部位を右左方向に延び、その先端側(
図2で右端側)に前記送風機22が設けられている。この送風機22は、例えばファンケーシング14内に遠心ファン15及びそれを駆動するファンモータ16を備えて構成されている。前記ファンケーシング14の出口部に、前記給気ダクト25の基端部(下端部)が接続されている。給気ダクト25は、外箱2内の左側の水槽3の後方を上方に延び、その先端部(上端部)が前記供給口18に接続されている。
【0019】
図2に示すように、前記ヒートポンプダクト24内には、ヒートポンプ(冷凍サイクル)21を構成する蒸発器27及び凝縮器28が、右左(
図2で左右)に順に位置して配置されている。前記ヒートポンプ21は、圧縮機29と、前記凝縮器28と、減圧装置たる絞り弁30と、前記蒸発器27とを、冷媒配管31により閉ループ状に接続して構成されている。減圧装置としては絞り弁30に代えてキャピラリチューブ等を採用しても良い。ヒートポンプ21の内部には、所要量の冷媒が封入され、冷媒配管31を循環する。このとき、凝縮器28が乾燥風を加熱する加熱手段として機能し、また、蒸発器27が乾燥風から湿気を除去する除湿手段として機能する。
【0020】
このヒートポンプ21は、乾燥運転時において、圧縮機29が駆動されることにより、圧縮機29から吐出された気体冷媒が、凝縮器28に流入し、該凝縮器28における熱交換により凝縮されて液体冷媒とされる。凝縮器28から流出した液体冷媒が絞り弁30によって膨張させて霧状とされ、その霧状の冷媒が、蒸発器27に流入される。そして、蒸発器27において、外気との熱交換により冷媒が気化され、その気体冷媒が圧縮機29に戻される。圧縮機29にて冷媒が圧縮されて高温、高圧とされて吐出されるという循環が行われる。
【0021】
このヒートポンプ21の駆動と共に、送風機22が駆動されることにより、
図1、
図2に矢印Aで示すように、水槽3(回転ドラム4)内の空気が、排出口17から排気ダクト23を通ってヒートポンプダクト24に至り、ヒートポンプダクト24内を流れて蒸発器27及び凝縮器28を順に通った後、給気ダクト25に流れ、供給口18及び孔4aを通って回転ドラム4内に供給されるという循環が行われる。この空気の循環により、水槽3(回転ドラム4)内の衣類から湿気を奪って多量の蒸気を含んだ空気が、ヒートポンプダクト24内の蒸発器27部分を通って冷却されることにより、蒸気が凝縮(あるいは昇華)されて除湿され、その除湿空気が凝縮器28部分を通ることにより加熱されて乾いた温風となり、再び回転ドラム4内に供給され、衣類の乾燥に供されるようになる。
【0022】
このとき、
図2に示すように、ヒートポンプ21には、冷媒流路37を流れる冷媒の温度を検知する複数個の温度センサが設けられている。具体的には、圧縮機29の吐出側には、圧縮機出口温度センサ32が設けられ、凝縮器28には凝縮器温度センサ33が設けられ、蒸発器27の入口部には、蒸発器温度センサ34が設けられ、圧縮機29の吸入側には、圧縮機入口温度センサ35が設けられている。更に、
図1にも示すように、前記循環風路20における給気ダクト25には、供給口18の近傍に位置して、循環風路20内を流れる乾燥風の温度を検知する乾燥風温度センサ36が設けられている。
【0023】
そして、
図1に示すように、前記排気ダクト23の途中部、つまりリントフィルタ26の後方部位の上壁部には、循環風路20を外部に開放する、つまり循環風路20内の空気(ひいては水槽3内の空気)を、外箱2外へ排気するための開口部としての排気口37が設けられている。この排気口37は、外箱2に設けられた外側排気口38に連通している。前記排気口37部分には、該排気口37を開閉するためのダンパ39が設けられている。このダンパ39は、例えばダンパモータ40(
図3にのみ図示)を駆動源として動作されるようになっている。
【0024】
また、
図2に示すように、前記ヒートポンプダクト24の上部には、蒸発器27と凝縮器28との間に位置させて吸気口24aが設けられている。この吸気口24aは、常時開放されていて、循環風路18内と循環風路18外とを連通させている。これにて、送風機22の駆動状態で、ダンパ39を動作させて排気口37が開放されると、
図1に矢印Bで示すように、循環風路20内を通過する空気の一部が排気口37及び外側排気口38を通って外箱2外部へ排気される。これと共に、
図2に矢印Cで示すように、吸気口24aから外気が循環風路18内に取込まれる。
【0025】
尚、前記操作パネル6には、電源入りスイッチ、電源切りスイッチや、必要な表示を行う表示部9のほか、各種の操作部10が設けられている(いずれも
図3にのみ図示)。本実施形態では、ユーザが操作部10を操作して、洗濯運転に連続して乾燥運転を実行する洗濯乾燥運転の実行を指示することが可能となっている。また、乾燥運転に関する運転のコースを選択設定することができる。
【0026】
このとき、本実施形態では、
図4にも示すように、乾燥運転に関して設定できるコースとして、省エネコースと、お急ぎコースと、念入りコースとが含まれている。そのうち省エネコースは、消費電力の抑制を図るコースで、圧縮機29の駆動周波数は低めで、送風機22の回転数は低め(例えば3700rpm)とされ、乾燥風の温度が比較的低く、乾燥時間が比較的長くなる。お急ぎコースは、乾燥時間の短時間化を図るコースで、圧縮機29の駆動周波数は高めで、送風機22の回転数は高め(例えば5000rpm)とされ、循環風温度が高めで、乾燥時間が比較的短くなる。念入りコースは、しっかりと乾燥させるコースで、圧縮機29の駆動周波数は高めで、送風機22の回転数は高め(5000rpm)、循環風温度は高めで、乾燥時間は長めとなる。
【0027】
さて、前記外箱2内には、例えばマイクロコンピュータを主体に構成され、洗濯乾燥機1全体の制御を行う制御手段としての制御装置41が設けられている。
図3は、制御装置41を中心とした、本実施形態の洗濯乾燥機1の電気的構成を概略的に示している。即ち、制御装置41には、操作パネル6の操作部10からの操作信号が入力されると共に、制御装置41が操作パネル6の表示部9の表示を制御する。
【0028】
また、制御装置41には、前記水位センサ7、回転センサ42、ヒートポンプ21の各温度センサ32〜35、乾燥風温度センサ36からの検知信号が入力される。更に、制御装置41には、外気温センサ43の検知した外気温の検知信号が入力される。制御装置41は、前記給水弁11、排水弁13、ドラムモータ8、送風機22(ファンモータ16)、ヒートポンプ21の圧縮機29及び絞り弁30、ダンパモータ40(ダンパ39)を制御する。このとき、制御装置41は、送風機22(ファンモータ16)を、可変の回転数(出力)で制御することが可能とされている。また、圧縮機29は、インバータモータが採用され、制御装置41は、インバータ制御により圧縮機29を可変の周波数(回転数)で駆動するようになっている。
【0029】
以上の構成により、制御装置41は、操作部10にてユーザにより設定される運転コースに応じて、各センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯乾燥機1の各機構を制御し、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯運転や、上記した乾燥運転を自動で実行する。洗濯運転に連続して乾燥運転を行う洗濯乾燥運転の実行も可能に構成されている。洗濯運転の各行程については、周知であるので説明を省略するが、洗濯運転の開始時には、回転ドラム4に対する負荷検知に基づいて衣類の容量(布量)の判定が行われ、その判定結果に応じて水位等が決定される。
【0030】
乾燥運転においては、制御装置41は、ユーザにより設定された乾燥コースの種類に応じて、送風機22及びヒートポンプ21を駆動制御する。ここで、ヒートポンプ21の駆動状態で、内部(圧縮機29から凝縮器28にかけて)の冷媒が必要以上の高温高圧になると、圧縮機29の故障などを招く虞がある。このように圧縮機29から凝縮器28にかけての冷媒の温度が異常に高温となった状態を、冷媒高温異常と称する。また、蒸発器27内の冷媒の温度が低くなり過ぎた場合には、蒸発器27の表面における結露、凍結が発生し、空気通路が狭められて乾燥風との間の熱交換効率が著しく低下する虞がある。このように蒸発器27の温度が異常に低温となった状態を、蒸発器低温異常と称する。
【0031】
そこで、制御装置41は、乾燥行程において、前記圧縮機出口温度センサ32又は凝縮器温度センサ33の検出温度を監視し、それらのいずれかの検出温度がしきい値(例えば80℃)を超えた高温となった場合には、冷媒高温異常の発生として圧縮機29を停止させる。また、制御装置41は、圧縮機出口温度センサ32又は凝縮器温度センサ33の検出温度が所定温度(例えば60℃)まで低下した場合には、冷媒高温異常が解消されたと判断して、圧縮機29を再起動させる。
【0032】
これと共に、制御装置41は、乾燥行程において、前記蒸発器温度センサ34の検出温度を監視し、その検出温度がしきい値(例えば0℃)を下回った低温となった場合には、蒸発器低温異常の発生として圧縮機29を停止させる。また、制御装置41は、圧縮機29の一時停止後に一定時間(例えば3分)が経過した場合、又は蒸発器温度センサ34の検出温度が所定温度(例えば15℃)まで上昇した場合には、蒸発器低温異常が解消されたと判断して、圧縮機29を再起動させる。
【0033】
そして、本実施形態では、制御装置41は、上記したような異常発生により圧縮機29を一時停止させた後、再起動させた場合には、設定された乾燥時間を延長する追加乾燥時間を設定するようになっている。或いは、制御装置41は、圧縮機29の再起動時には、残りの乾燥時間に関して圧縮機29の駆動周波数を増加させるように再設定する。又は制御装置41は、圧縮機29の再起動時には、残りの乾燥時間に関して送風機22の回転数を増加させるように再設定する。尚、実際に実施するにあたっては、圧縮機29の再起動時に、追加乾燥時間を設ける、圧縮機29の駆動周波数を増加させる、送風機22の回転数を増加させる、の3つの制御態様のうち、いずれか一つを実行すれば良いが、説明の便宜上、一つの実施形態にまとめて説明する。
【0034】
このとき、次の作用説明でも述べるように、本実施形態では、制御装置41は、圧縮機29の一時停止時の運転状態に応じて、圧縮機29の再起動時における、追加乾燥時間、或いは増加する圧縮機29の駆動周波数、又は増加する送風機22の回転数を変更するようになっている。具体的には、
図4に示すように、運転状態として、乾燥運転のコースに応じて、追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を変更させるようになっている。
【0035】
即ち、
図4に示すように、追加乾燥時間を設ける場合には、省エネコースでは5分、お急ぎコースでは10分、念入りコースでは10分とされる。圧縮機29の駆動周波数を変更させる場合には、省エネコースでは+5Hz、お急ぎコースでは+10Hz、念入りコースで+10Hzとされる。送風機22の回転数を変更させる場合には、省エネコースでは+100rpm、お急ぎコースでは+200rpm、念入りコースでは+200rpmとされる。
【0036】
次に、上記構成の洗濯乾燥機1の作用について、
図4〜
図7も参照して述べる。今、例えば洗濯運転に連続して乾燥運転を行う洗濯乾燥運転を実行させる場合、ユーザは、回転ドラム4内に衣類を投入すると共に、洗剤投入ケース内に必要な洗剤等を投入した上で、操作パネル6の操作部10を操作して設定を行う。この場合、洗濯乾燥運転を設定すると共に、乾燥行程におけるユーザの好みのコース、即ち、省エネコース、お急ぎコース、念入りコースのいずれか選択設定することができる。
【0037】
洗濯乾燥運転がスタートされると、制御装置41により、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯運転が実行される。洗濯運転の開始時においては、回転ドラム4内の衣類の容量判定が行われる。洗濯運転が終了すると、引続き、乾燥行程(乾燥運転)が実行される。この乾燥行程は所定の乾燥時間(例えば200分等)だけ実行されるのであるが、この乾燥時間は、設定されたコースや衣類の容量に基づいて自動で設定される。上記したように、乾燥行程においては、ヒートポンプ21及び送風機22が駆動されると共に、回転ドラム4の比較的低速での正逆回転が所定周期で繰返される。
【0038】
これにて、
図2に矢印Aで示すように、回転ドラム4内の衣類を回転によりほぐしながら、循環風路20を通して、回転ドラム4(水槽3)内に乾いた温風からなる乾燥風が循環供給され、衣類が乾燥されるようになる。上記のように、この乾燥運転中においては、制御装置41により、圧縮機出口温度センサ32、凝縮器温度センサ33、蒸発器温度センサ34の検出温度が監視される。そして、圧縮機29の出口又は凝縮器28の冷度がしきい値以上の高温になる、或いは、蒸発器27温度がしきい値以下の低温となった場合には、異常状発生と判断されて圧縮機29が停止される。これにより、冷媒が異常な高温、高圧となって故障に繋がったり、蒸発器27の表面に凍結が発生したりすることが未然に防止される。
【0039】
このとき、上記の異常状態は、圧縮機29が停止されることにより容易に解消され、異常状態が解消された場合には、圧縮機29が再起動される。この圧縮機29の再起動時にあっては、追加乾燥時間を設ける、圧縮機29の駆動周波数を増加させる、送風機22の回転数を増加させる、のいずれかの制御が実行されるのであるが、
図4に示すように、圧縮機29の一時停止時の運転状態、本実施形態では乾燥運転のコースに応じて追加乾燥時間、或いは増加する圧縮機29の駆動周波数、又は増加する送風機22の回転数が変更されるようになっている。
【0040】
図5〜
図7は、乾燥行程の開始(時間T0)からの時間経過に伴う、蒸発器27の温度及び圧縮機29の駆動周波数の変動の様子の3つの具体例を挙げたものであり、ここでは、蒸発器27温度の異常が発生したことに伴う圧縮機29の再起動時に、追加乾燥時間を設けた場合を例示している。
図5は、省エネコースの乾燥運転を実行した場合において、圧縮機29を停止させるような異常発生がなかった様子を示している。例えば蒸発器27の温度が異常に低温となることはなく、圧縮機29は停止されることなく、乾燥時間(終了時間Teまで)についての運転が行われる。
【0041】
これに対し、
図6は、省エネコースの乾燥運転を実行した場合において、蒸発器低温異常が発生した際の様子を示している。この場合、乾燥運転中に、蒸発器温度センサ34の検出温度がしきい値以下の低温となったときに(時間T1)、圧縮機29の駆動が一時停止されるようになる。圧縮機29が停止されることに伴い、蒸発器27の温度が次第に上昇して行き、一定時間が経過して異常が解消されると(時間T2)、圧縮機29が再起動される。ここでは、例えば追加乾燥時間が設けられ、乾燥終了時間は、終了時間Teではなく、5分だけ追加された時間Taとなる。
【0042】
また、
図7は、お急ぎコースの乾燥運転を実行した場合において、蒸発器低温異常が発生した際の様子を示している。このお急ぎコースでは、乾燥時間(終了時間Te´)は、省エネコース等と比べてもともと短く設定されている。この場合、乾燥運転中に、蒸発器温度センサ34の検出温度がしきい値以下の低温となったときに(時間T1)、圧縮機29の駆動が一時停止され、異常が解消されると(時間T2)、圧縮機29が再起動される。ここでも追加乾燥時間が設けられ、乾燥終了時間は、終了時間Te´ではなく、10分だけ追加された時間Ta´となる。
【0043】
ここで、乾燥運転のコースによって、圧縮機29の駆動周波数や乾燥時間が異なるため、乾燥の進み具合が相違することになる。そのため、圧縮機29の異常停止後の再起動時に、単純に一定の追加乾燥時間を設ける場合では、最終的な乾燥の出来上り状態にばらつきが生ずる虞がある。つまり、圧縮機29の再起動後の適切な(必要な)追加乾燥時間が異なってくる。圧縮機29の駆動周波数を変更する場合や、送風機22の回転数を変更する場合でも、変更する値が一定値に固定されると、乾燥の出来上り状態にばらつきが生ずる。これに対し、上記のように、乾燥コースに応じて、追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を変更することにより、衣類の乾燥不足を招くことのない、適切な乾燥運転を行うことが可能となるのである。
【0044】
このように本実施形態の洗濯乾燥機1においては、乾燥運転中の冷媒高温異常や蒸発器低温異常といった異常発生時に、圧縮機29を一時停止することにより、異常発生に伴う不具合の発生を未然に防止できる。これと共に、圧縮機29の再起動時に、追加乾燥時間を設ける、或いは圧縮機29の駆動周波数を高くする、又は送風機22の回転数を高くすることに加え、運転状態に応じて、その際の追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を変更するように構成した。これにより、圧縮機29の停止時における運転状態に応じた、適切な追加乾燥時間を設ける、或いは適切な圧縮機29の駆動周波数に変更する、又は適切な送風機22の回転数に変更することが可能となる。
【0045】
従って、本実施形態によれば、ヒートポンプ21を備えたものにあって、異常発生により圧縮機29が一時停止した場合でも、衣類の乾燥不足や乾燥過多を招くことのない、適切な乾燥運転を実行することができるという優れた効果を得ることができる。特に本実施形態では、運転状態として、実行していた乾燥運転のコースに応じて、追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を変更するようにしたので、実行している乾燥コースに応じた適切な追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を得ることができる。
【0046】
(2)第2〜第5の実施形態、その他の実施形態
図8は、第2の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態と異なる点は、次の構成にある。即ち、本実施形態では、制御装置41は、異常発生時により圧縮機29が停止した場合に、圧縮機29の一時停止時の運転状態として、圧縮機29が停止する直前の該圧縮機29の駆動周波数に応じて、追加乾燥時間を変更させる、或いは圧縮機29の駆動周波数を変更させる、又は送風機22の回転数を変更させるようになっている。
【0047】
このとき、
図8に示すように、追加乾燥時間を設ける場合、停止する直前の該圧縮機29の駆動周波数が60Hz未満のときには10分、駆動周波数が60Hz以上80Hz未満のときには20分、駆動周波数が80Hz以上のときには30分とされる。圧縮機29の駆動周波数を変更させる場合には、停止する直前の該圧縮機29の駆動周波数が60Hz未満のときには+5Hz、駆動周波数が60Hz以上80Hz未満のときには+10Hz、駆動周波数が80Hz以上のときには+15Hzとされる。送風機22の回転数を変更させる場合には、停止する直前の該圧縮機29の駆動周波数が60Hz未満のときには+100rpm、駆動周波数が60Hz以上80Hz未満のときには+200rpm、駆動周波数が80Hz以上のときには+300rpmとされる。
【0048】
これによれば、運転状態として、圧縮機29が停止する直前の駆動周波数に応じて、適切な追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を得ることができる。従って、ヒートポンプ21を備えたものにあって、異常発生により圧縮機29が一時停止した場合でも、衣類の乾燥不足や乾燥過多を招くことのない、適切な乾燥運転を実行することができる。
【0049】
図9は、第3の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態等と異なる点は、次の構成にある。即ち、本実施形態では、制御装置41は、異常発生時により圧縮機29が停止した場合に、圧縮機29の一時停止時の運転状態として、衣類の乾燥進行状態、具体的には乾燥行程の経過時間(圧縮機29が起動してからの経過時間)に応じて、追加乾燥時間を変更させる、或いは圧縮機29の駆動周波数を変更させる、又は送風機22の回転数を変更させるようになっている。
【0050】
このとき、
図9に示すように、追加乾燥時間を設ける場合、乾燥行程の経過時間が0〜30分未満のときには5分、経過時間が30分以上120分未満のときには15分、経過時間が120分以上のときには10分とされる。圧縮機29の駆動周波数を変更させる場合には、乾燥行程の経過時間が0〜30分未満のときには+5Hz、経過時間が30分以上120分未満のときには+15Hz、経過時間が120分以上のときには+10Hzとされる。送風機22の回転数を変更させる場合には、乾燥行程の経過時間が0〜30分未満のときには+100rpm、経過時間が30分以上120分未満のときには+300rpm、経過時間が120分以上のときには+200rpmとされる。
【0051】
ここで、乾燥開始直後(経過時間が例えば30分未満)は、ヒートポンプ21等の各部の温度(乾燥風の温度)がまだ上昇している加熱過程であり、乾燥の進行スピードは未だ速くない事情もあり、圧縮機29を一時停止したことによる乾燥時間への影響度は最も小さい。これに対し、各部の温度が上昇し、乾燥の進行が安定する恒率期間(経過時間が例えば30分以上120分未満)では、乾燥の進行スピードが速いので、圧縮機29を一時停止したことによる乾燥時間への影響度は最も大きくなる。更に、乾燥終了間際(経過時間が例えば120分以上)では、衣類から蒸発する水分量も少なくなり、圧縮機29を一時停止したことによる乾燥時間への影響度は比較的小さい。
【0052】
上記した制御によれば、運転状態として、圧縮機29停止時の衣類の乾燥進行状態に応じて、適切な追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を得ることができる。従って、ヒートポンプ21を備えたものにあって、異常発生により圧縮機29が一時停止した場合でも、衣類の乾燥不足や乾燥過多を招くことのない、適切な乾燥運転を実行することができる。
【0053】
図10は、第4の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態等と異なる点は、次の構成にある。即ち、本実施形態では、制御装置41は、異常発生時により圧縮機29が停止した場合に、圧縮機29の一時停止時の運転状態として、回転ドラム4内の衣類の容量(布量)に応じて、追加乾燥時間を変更させる、或いは圧縮機29の駆動周波数を変更させる、又は送風機22の回転数を変更させるようになっている。
【0054】
このとき、
図10に示すように、追加乾燥時間を設ける場合、例えば布量が2kg未満のときには5分、布量が2kg以上4kg未満のときには10分、布量が4kg以上のときには15分とされる。圧縮機29の駆動周波数を変更させる場合には、例えば布量が2kg未満のときには+5Hz、布量が2kg以上4kg未満のときには+10Hz、布量が4kg以上のときには+15Hzとされる。送風機22の回転数を変更させる場合には、例えば布量が2kg未満のときには+100rpm、布量が2kg以上4kg未満のときには+200rpm、布量が4kg以上のときには+300rpmとされる。
【0055】
ここで、衣類の容量が大きいほど、含水量が多くなり、乾燥に要する時間も比例的に長くかかる事情がある。上記制御によれば、運転状態として、回転ドラム4内の衣類の布量に応じて、適切な追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を得ることができる。従って、ヒートポンプ21を備えたものにあって、異常発生により圧縮機29が一時停止した場合でも、衣類の乾燥不足や乾燥過多を招くことのない、適切な乾燥運転を実行することができる。
【0056】
図11は、第5の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態等と異なる点は、次の構成にある。即ち、本実施形態では、制御装置41は、異常発生時により圧縮機29が停止した場合に、圧縮機29の一時停止時の運転状態として、外気温センサ43の検出した外気温に応じて、追加乾燥時間を変更させる、或いは圧縮機29の駆動周波数を変更させる、又は送風機22の回転数を変更させるようになっている。
【0057】
このとき、
図11に示すように、追加乾燥時間を設ける場合、例えば外気温が5℃未満のときには5分、外気温が5℃以上25℃未満のときには10分、外気温が25℃以上のときには15分とされる。圧縮機29の駆動周波数を変更させる場合には、例えば外気温が5℃未満のときには+5Hz、外気温が5℃以上25℃未満のときには+10Hz、外気温が25℃以上のときには+15Hzとされる。送風機22の回転数を変更させる場合には、例えば外気温が5℃未満のときには+100rpm、外気温が5℃以上25℃未満のときには+200rpm、外気温が25℃以上のときには+300rpmとされる。
【0058】
ここで、外気温が低いほど、乾燥時における放熱ロスが大きくなって乾燥時間が長くかかる事情がある。上記制御によれば、運転状態として、外気温に応じて、適切な追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を得ることができる。従って、ヒートポンプ21を備えたものにあって、異常発生により圧縮機29が一時停止した場合でも、衣類の乾燥不足や乾燥過多を招くことのない、適切な乾燥運転を実行することができる。
【0059】
尚、以下、図示は省略するが、その他の実施形態として、制御装置41は、異常発生により圧縮機29が停止した場合に、圧縮機29の一時停止時の運転状態として、圧縮機29を停止した際の異常の種類、つまり冷媒高温異常か蒸発器低温異常かに応じて、追加乾燥時間を変更させる、或いは圧縮機29の駆動周波数を変更させる、又は送風機22の回転数を変更させる構成とすることもできる。これによれば、やはり、運転状態として、圧縮機29を停止した際の異常の種類に応じて、適切な追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を得ることができる。
【0060】
更に異なる他の実施形態として、制御装置41は、異常発生により圧縮機29が一時停止して再起動した場合に、圧縮機29の停止から再起動までの時間に応じて、追加乾燥時間を変更させる、或いは圧縮機29の駆動周波数を変更させる、又は送風機22の回転数を変更させる構成とすることもできる。これによれば、圧縮機29の停止から再起動までの時間に応じて、より適切な追加乾燥時間、或いは圧縮機29の駆動周波数、又は送風機22の回転数を得ることができる。
【0061】
また、異常発生により圧縮機29が一時停止して再起動させる際の制御として、例えば、乾燥モードの種類と圧縮機29の停止時間との双方に応じて、追加乾燥時間を変更させる、或いは圧縮機29の駆動周波数を変更させる、又は送風機22の回転数を変更させる構成とする等、複数の実施形態を組合せた制御を実施することも可能である。さらには、追加乾燥時間の変更、圧縮機29の駆動周波数の変更、送風機22の回転数の変更のうち、2つ以上を同時に制御する構成とすることも可能である。
【0062】
その他、洗濯乾燥機に限らず、洗濯機能を備えていない衣類乾燥機に適用することも可能である等、全体のハードウエア構成、乾燥コースの種類等についても種々の変更が可能である。更には、上記各実施形態における、各種の時間や、しきい値となる各温度、圧縮機29の周波数、送風機22の回転数などの具体的数値としても、一例を示したに過ぎず、適宜変更することが可能である等、上記した各実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で様々に変更して実施し得るものである。