特許第6842267号(P6842267)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6842267-クリーニング装置 図000002
  • 特許6842267-クリーニング装置 図000003
  • 特許6842267-クリーニング装置 図000004
  • 特許6842267-クリーニング装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842267
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/12 20060101AFI20210308BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20210308BHJP
   B41F 35/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B41F15/12 A
   B41F15/08 303E
   B41F35/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-185935(P2016-185935)
(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公開番号】特開2018-47665(P2018-47665A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 直樹
(72)【発明者】
【氏名】横井 良宗
【審査官】 加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−347222(JP,A)
【文献】 特開2007−144690(JP,A)
【文献】 特開平02−215533(JP,A)
【文献】 特開昭61−171346(JP,A)
【文献】 特開2009−196248(JP,A)
【文献】 特開2007−196562(JP,A)
【文献】 特開2007−301809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F15/08
B41F15/12
B41F35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンマスクをクリーニングするクリーニング装置であって、
前記スクリーンマスクの裏面を移動可能に設置されるクリーニングヘッドと、
前記スクリーンマスクをクリーニングするクリーニングシートと、
前記クリーニングシートを前記クリーニングヘッドに供給するシート供給部と、を備えており、
前記シート供給部は、前記スクリーンマスクを平面視したときに前記クリーニングヘッドと重ならない位置に設置されており、
前記クリーニングヘッドは、前記シート供給部から供給される前記クリーニングシートの一端を把持する把持機構を備えており、
前記クリーニング装置は、前記クリーニングヘッドと前記シート供給部との間に配置され、前記クリーニングシートに張力を与える張力付与機構をさらに備えており、
前記張力付与機構は、前記クリーニングヘッドが前記シート供給部から離れる方向に移動するときに上昇し、前記クリーニングヘッドが前記シート供給部に近づく方向に移動するときに下降する昇降部材を有しており、
前記昇降部材は前記クリーニングシートに支持されており、前記昇降部材の自重によって前記クリーニングシートに張力が付与される、クリーニング装置。
【請求項2】
前記クリーニングヘッドは、前記スクリーンマスクの裏面から退避した退避位置と、前記スクリーンマスクの裏面に設定されたクリーニング完了位置との間を移動可能となっており、
前記クリーニングヘッドが前記退避位置から前記クリーニング完了位置までを移動することで、前記スクリーンマスクの裏面がクリーニングされるようになっており、
前記シート供給部は、前記退避位置の近傍に配置されると共に、前記スクリーンマスクを平面視したときに当該スクリーンマスクと重ならない位置に配置されている、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
スクリーンマスクをクリーニングするクリーニング装置であって、
前記スクリーンマスクの裏面を移動可能に設置されるクリーニングヘッドと、
前記スクリーンマスクをクリーニングするクリーニングシートと、
前記クリーニングシートを前記クリーニングヘッドに供給するシート供給部と、を備えており、
前記クリーニングヘッドは、前記シート供給部から供給される前記クリーニングシートの一端を把持する把持機構を備えており、
前記クリーニングヘッドは、前記スクリーンマスクの裏面から退避した退避位置と、前記スクリーンマスクの裏面に設定されたクリーニング完了位置との間を移動可能となっており、
前記クリーニングヘッドが前記退避位置から前記クリーニング完了位置までを移動することで、前記スクリーンマスクの裏面がクリーニングされるようになっており、
前記シート供給部は、前記退避位置の近傍に配置されると共に、前記スクリーンマスクを平面視したときに当該スクリーンマスクと重ならない位置に配置されており、
前記クリーニング装置は、前記クリーニングヘッドが前記退避位置にあるときに、前記クリーニングヘッドから送り出された前記クリーニングシートの一部であって、前記スクリーンマスクのクリーニングに使用した部分をそれ以外の部分から切断する切断部をさらに備えている、クリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、クリーニング装置に関する。詳細には、スクリーン印刷機が備えるスクリーンマスクをクリーニングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、スクリーンマスクを用いて回路基板にはんだを転写する。スクリーン印刷機を繰り返し使用すると、スクリーンマスクの裏面には、滲んだはんだが付着する。このため、スクリーン印刷機は、このスクリーンマスクの裏面に付着した余分なはんだを除去するためのクリーニング装置を備えている。例えば、特許文献1のクリーニング装置は、スクリーンマスクの裏面を移動するクリーニングユニットを備えている。クリーニングユニットは、クリーニングシートを供給するシート供給ローラと、シート供給ローラから供給されるクリーニングシートをスクリーンマスクに当接させるクリーニングヘッドと、清掃後のクリーニングシートを巻き取るシート巻き取りローラを備えている。クリーニングユニットにクリーニングヘッドとシート供給ローラとシート巻き取りローラが備えられているため、これらは一体となってスクリーンマスクの裏面を移動して、スクリーンマスクの裏面をクリーニングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−16571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクリーンマスクの裏面をクリーニングする際には、スクリーンマスクと回路基板を支持する装置との間に空間が設けられる。そして、スクリーンマスクと回路基板を支持する装置との間に設けられた空間内をクリーニングユニットが移動することで、スクリーンマスクの裏面がクリーニングされる。このため、スクリーンマスクの裏面を移動するクリーニングユニット全体の大きさを小さくすることが好ましい。しかしながら、特許文献1のクリーニング装置では、クリーニングユニットにクリーニングヘッドとシート供給ローラとシート巻き取りローラが装備されているため、クリーニングユニットが大型化するという問題がある。
【0005】
一方、特許文献1のクリーニング装置でも、上記の2つのローラの径を小さくすれば、クリーニングユニットを小型化できる。しかしながら、ローラの径を小さくするためには、ローラに保持されるクリーニングシートの量を少なくする必要があるため、クリーニングシートを補充する頻度が高くなるという問題が生じる。
【0006】
本明細書は、スクリーンマスクの裏面を移動する部分を小さくすると共に、クリーニングシートの補充の頻度を減らすことができるクリーニング装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示するクリーニング装置は、スクリーンマスクをクリーニングする。クリーニング装置は、スクリーンマスクの裏面を移動可能に設置されるクリーニングヘッドと、スクリーンマスクをクリーニングするクリーニングシートと、クリーニングシートをクリーニングヘッドに供給するシート供給部と、を備えている。シート供給部は、クリーニングヘッドとは別の場所に設置されている。クリーニングヘッドは、シート供給部から供給されるクリーニングシートの一端を把持する把持機構を備えている。
【0008】
上記のクリーニング装置では、スクリーンマスクの裏面を移動するクリーニングヘッドとは別の場所にシート供給部が設置されている。すなわち、シート供給部は、クリーニングヘッドと一体化されておらず、スクリーンマスクの裏面を移動しない。また、クリーニングヘッドは、シート供給部から供給されるクリーニングシートの一端を把持する。このため、シート供給部を伴うことなくクリーニングヘッドがスクリーンマスクの裏面を移動しても、スクリーンマスクの裏面をクリーニングすることができる。したがって、スクリーンマスクの裏面を移動する部分を小さくすることができる。
【0009】
また、シート供給部はクリーニングヘッドとは別の場所に設置されており、スクリーンマスクの裏面を移動することがない。このため、シート供給部を大きくすることができ、シート供給部が一度に保持するクリーニングシートの量を多くすることができる。したがって、クリーニングシートを補充する頻度を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係るクリーニング装置を備えたスクリーン印刷機の概略構成を示す図であり、クリーニングヘッドが退避位置にある状態を示す。
図2】実施例に係るクリーニング装置を備えたスクリーン印刷機の概略構成を示す図であり、クリーニングヘッドがクリーニング開始位置にある状態を示す。
図3】実施例に係るクリーニング装置を備えたスクリーン印刷機の概略構成を示す図であり、クリーニングヘッドがクリーニング完了位置にある状態を示す。
図4】実施例に係るクリーニング装置のクリーニング処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0012】
(特徴1)本明細書に開示するクリーニング装置は、クリーニングヘッドとシート供給部との間に配置され、クリーニングシートに張力を与える張力付与機構をさらに備えていてもよい。このような構成によると、把持機構に把持されたクリーニングシートに張力を付与することができる。このため、クリーニングヘッドがスクリーンマスクの裏面を移動するときに、クリーニングヘッドとシート供給部との間に架け渡されるクリーニングシートが弛むことを回避することができる。
【0013】
(特徴2)本明細書に開示するクリーニング装置では、張力付与機構は、クリーニングヘッドがシート供給部から離れる方向に移動するときに上昇し、クリーニングヘッドがシート供給部に近づく方向に移動するときに下降する昇降部材を有していてもよい。昇降部材はクリーニングシートに支持されており、昇降部材の自重によってクリーニングシートに張力が付与されていてもよい。このような構成によると、昇降部材の自重を利用するため、簡易な構成でクリーニングシートに張力を付与することができる。
【0014】
(特徴3)本明細書に開示するクリーニング装置では、クリーニングヘッドは、スクリーンマスクの裏面から退避した退避位置と、スクリーンマスクの裏面に設定されたクリーニング完了位置との間を移動可能となっていてもよい。クリーニングヘッドが退避位置からクリーニング完了位置までを移動することで、スクリーンマスクの裏面がクリーニングされるようになっていてもよい。シート供給部は、退避位置の近傍に配置されると共に、スクリーンマスクを平面視したときに当該スクリーンマスクと重ならない位置に配置されていてもよい。このような構成によると、シート供給部が平面視したときにスクリーンマスクと重ならない位置に配置されるため、スクリーンマスクをクリーニングするために設けられるスクリーンマスクと回路基板との間の距離を好適に小さくすることができる。また、シート供給部が退避位置の近傍に配置されるため、シート供給部からクリーニングヘッドにクリーニングシートを好適に供給することができる。
【0015】
(特徴4)本明細書に開示するクリーニング装置では、クリーニングヘッドが退避位置にあるときに、クリーニングヘッドから送り出されたクリーニングシートの一部であって、スクリーンマスクのクリーニングに使用した部分をそれ以外の部分から切断する切断部を備えていてもよい。このような構成によると、クリーニングシートの使用済みの部分を切断して廃棄することができる。このため、使用済みのクリーニングシートを巻き取るためのローラを不要とすることができる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例に係るクリーニング装置10について説明する。クリーニング装置10は、スクリーン印刷機100に設置されている。図1に示すように、スクリーン印刷機100は、制御装置20と、インターフェース装置22と、回路基板位置決め装置24と、スクリーンマスク28と、スキージ装置30と、クリーニング装置10を備えている。スクリーン印刷機100は、実装ラインの上流側から回路基板Cを受け入れ、回路基板Cに所望のはんだをスクリーン印刷した後、回路基板Cを実装ラインの下流側に送り出す。なお、以下の説明では、スクリーン印刷機100において、回路基板Cの搬送方向をX方向とし、水平面内でX方向に直行する方向をY方向とし、X方向及びY方向に直行する方向をZ方向とする。
【0017】
制御装置20は、プログラム等を記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶されたプログラムを実行するプロセッサと、実装ラインの全体の動作を管理する生産管理コンピュータ(図示せず)と通信する通信装置を備えている。制御装置20は、生産管理コンピュータからの指示に従って、スクリーン印刷機100の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置20は、スクリーン印刷機100におけるはんだ印刷作業の状態を示すデータを生産管理コンピュータへ送信する。
【0018】
インターフェース装置22は、モニタ等を介して作業者に対してスクリーン印刷機100の設定状態や作業状態を表示すると共に、スイッチ等を介して作業者からの各種の入力を受け付ける。
【0019】
回路基板位置決め装置24は、Y方向移動機構40と、X方向移動機構42と、回転機構44と、昇降機構46と、X方向搬送機構48と、クランプ機構50と、サポート機構52を備えている。
【0020】
Y方向移動機構40は、スクリーン印刷機100の基台に支持されている。Y方向移動機構40は、アクチュエータ(図示省略)の駆動によって、スクリーン印刷機100の基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。
【0021】
X方向移動機構42は、Y方向移動機構40に支持されている。X方向移動機構42は、アクチュエータ(図示省略)の駆動によって、Y方向移動機構40に対してX方向に相対移動が可能となっている。
【0022】
回転機構44は、X方向移動機構42に支持されている。回転機構44は、モータ(図示省略)の駆動によって、X方向移動機構42に対してZ軸周りに相対回転が可能となっている。
【0023】
昇降機構46は、回転機構44に支持されている。昇降機構46は、アクチュエータ(図示省略)の駆動によって、回転機構44に対してZ方向に相対移動が可能となっている。
【0024】
X方向搬送機構48と、クランプ機構50と、サポート機構52は、昇降機構46に支持されている。X方向搬送機構48は、X方向に沿って配置されている一対のコンベアベルト54と、それぞれのコンベアベルト54を駆動するサーボモータ(図示省略)を備えている。回路基板CのY方向の両端を一対のコンベアベルト54の上に載置し、サーボモータを駆動することで、回路基板CはX方向に搬送される。回路基板Cのサイズに応じて、一対のコンベアベルト54の間隔は調整可能となっている。
【0025】
クランプ機構50は、回路基板CをY方向の両端から挟持して、所望の幅で回路基板Cを保持することができる。サポート機構52は、クランプ機構50によって保持された回路基板Cの下面に複数のサポートピン56を当接させて、回路基板Cを下面側から支持することができる。
【0026】
スクリーンマスク28は、矩形状に形成された金属製の板状部材であって、スクリーン印刷機100の基台に対して位置を固定されたマスク支持枠66によって4辺を支持されている。スクリーンマスク28の中央部には、回路基板Cに印刷するはんだのパターンに対応して開口部が形成されている。以下では、スクリーンマスク28に形成された開口を印刷パターンともいう。
【0027】
スキージ装置30は、Y方向移動機構70と、スキージヘッド74a、74bと、スキージ76a、76bを備えている。
【0028】
Y方向移動機構70は、スクリーン印刷機100の基台に支持されている。Y方向移動機構70は、アクチュエータ(図示省略)の駆動によって、基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。
【0029】
スキージヘッド74a、74bは、Y方向移動機構70に支持されている。スキージヘッド74a、74bは、それぞれアクチュエータ(図示省略)の駆動によって、Y方向移動機構70に対してZ方向に相対移動が可能となっている。
【0030】
スキージ76aは、スキージヘッド74aによって支持されている。スキージ76aは、サーボモータ(図示省略)の駆動によって、スキージヘッド74aに対して傾動可能となっている。スキージ76bは、スキージヘッド74bによって支持されている。スキージ76bは、サーボモータ(図示省略)の駆動によって、スキージヘッド74bに対して傾動可能となっている。スキージ76a、76bは、はんだ供給装置(図示省略)からスクリーンマスク28の上面に供給されるはんだを印刷パターン上でスキージングする。
【0031】
クリーニング装置10は、クリーニングヘッド12と、シート供給部14と、張力付与機構16と、クリーニングシート18を備えている。
【0032】
クリーニングヘッド12は、Y方向移動機構80と、昇降機構82と、把持機構84と、切断部86を備えている。
【0033】
Y方向移動機構80は、スクリーン印刷機100の基台に支持されている。Y方向移動機構80は、アクチュエータ(図示省略)の駆動によって基台に対してY方向に相対移動が可能となっている。Y方向移動機構80の移動可能な範囲は、図1に示す退避位置から図3に示すクリーニング完了位置までとなっている。図1に示すように、退避位置は、スクリーンマスク28の近傍であって、スクリーンマスク28を平面視したとき(すなわち、Z方向に沿って見たとき)、スクリーンマスク28と重ならない位置のうち、シート供給部14に近い側(Y方向(−)側)である。図3に示すように、クリーニング完了位置は、スクリーンマスク28の裏面であって、シート供給部14から遠い側の端部(Y方向(+)側の端部)の近傍の位置である。
【0034】
昇降機構82は、Y方向移動機構80に支持されている。昇降機構82は、アクチュエータ(図示省略)によってY方向移動機構80に対してZ方向に相対移動が可能となっている。昇降機構82の上面には、クリーニングシート18が配置される。
【0035】
把持機構84は、2つのローラ状の部材(以下、単にローラという)によって構成されており、各ローラは昇降機構82に回転可能に支持されている。把持機構84の2つのローラには図示しないモータが備えられており、モータを駆動することでローラが回転するようになっている。把持機構84は、昇降機構82のY方向側の両端面のそれぞれに配置されている。クリーニングシート18は、把持機構84の2つのローラの間に挟み込まれている。把持機構84の2つのローラをアクチュエータ(図示省略)によって回転不能にロックすることで、把持機構84はクリーニングシート18を把持する。また、把持機構84の2つのローラのロック状態を解除すると共に、モータによってロータを回転させると、2つのローラの間からクリーニングシート18が送り出される。
【0036】
切断部86は、昇降機構82に支持されている。切断部86は、昇降機構82のシート供給部14から遠い側の端面(Y方向(+)側の端面)であって、把持機構84の下方に配置されている。切断部86は、把持機構84から送り出されたクリーニングシート18を切断する。すなわち、切断部86は、把持機構84により送り出されたクリーニングシート18の端部を切断する。切断部86によって切断されたクリーニングシート18は、シート回収部98に収容される。シート回収部98は、クリーニングヘッド12が退避位置にあるときに、切断部86の下方となる位置に配置されている。
【0037】
シート供給部14は、ローラ状の部材であり、スクリーン印刷機100の基台に回転可能に支持されている。シート供給部14には、長尺のクリーニングシート18が巻き付けられている。シート供給部14は、クリーニングヘッド12とは別の場所、詳細にはクリーニングヘッド12の退避位置よりスクリーンマスク28から離れた位置(Y方向(−)側)に配置される。すなわち、シート供給部14は、スクリーンマスク28を平面視したとき(すなわち、Z方向から見たとき)、スクリーンマスク28及びクリーニングヘッド12(退避位置)と重ならない位置に配置される。上述したように、シート供給部14は、スクリーンマスク28の下方に配置する必要がないため、スクリーン印刷機100内に設けられている他の空間に設置することができる。すなわち、スクリーン印刷機100内の空間的に余裕のある部分に設置することができる。このため、シート供給部14に巻き付けるクリーニングシート18の量を多くすることができる。シート供給部14は、図示しないモータによって回動し、巻き付けられているクリーニングシート18をクリーニングヘッド12に送り出す。
【0038】
クリーニングシート18は、吸湿性を備える多孔性の紙であり、シート供給部14に巻き付けられている。なお、本実施例では、クリーニングシート18に紙を用いているが、はんだを拭取ることができる材質であれば、これに限定されない。クリーニングシート18は、シート供給部14から供給され、供給部側ガイドローラ94、張力付与機構16及びヘッド側ガイドローラ96を介してクリーニングヘッド12まで配置される。供給部側ガイドローラ94は、シート供給部14と張力付与機構16の間に配置され、シート供給部14から送り出されたクリーニングシート18を張力付与機構16に送る。ヘッド側ガイドローラ96は、張力付与機構16とクリーニングヘッド12の間に配置され、張力付与機構16から送り出されたクリーニングシート18をクリーニングヘッド12に送る。クリーニングヘッド12に送られたクリーニングシート18の端部は、クリーニングヘッド12の把持機構84によって把持される。
【0039】
張力付与機構16は、クリーニングヘッド12とシート供給部14の間に配置されている。詳細には、張力付与機構16は、供給部側ガイドローラ94とヘッド側ガイドローラ96の間に配置される。張力付与機構16は、第1ローラ90と第2ローラ92を備えている。
【0040】
第1ローラ90は、スクリーン印刷機100の基台に回転可能に案内されている。第1ローラ90は、スクリーン印刷機100の基台に対してZ方向に移動可能に案内される一方、Y方向の移動は規制されている。第1ローラ90は、シート供給部14とクリーニングヘッド12に架け渡されたクリーニングシート18上に載置されている。このため、クリーニングシート18には、第1ローラ90の自重によって張力が付与されている。すなわち、第1ローラ90は、クリーニングシート18によって下方から支持されており、第1ローラ90の落下がクリーニングシート18によって規制されている。第1ローラ90にはアクチュエータ等の駆動装置が接続されておらず、クリーニングヘッド12の移動に伴ってクリーニングシート18上を転動する。第2ローラ92は、第1ローラ90に回転可能に支持されている。第1ローラ90と第2ローラ92の間にはクリーニングシート18が配置されている。第1ローラ90の回転に連動して第2ローラ92が回転することで、第1ローラ90と第2ローラ92の間からクリーニングシート18が両方向に送り出される。なお、第1ローラ90は、「昇降部材」の一例である。
【0041】
クリーニングヘッド12が退避位置(図1に示す位置)にあるとき、張力付与機構16は、張力付与機構16の自重によって下方に配置される。クリーニングヘッド12が退避位置からクリーニング完了位置(図3に示す位置)に移動すると、張力付与機構16は、クリーニングヘッド12の移動と共に上方に移動する。また、クリーニングヘッド12がクリーニング完了位置から退避位置に移動すると、張力付与機構16は、クリーニングヘッド12の移動と共に下方に移動する。すなわち、クリーニングヘッド12が退避位置からクリーニング完了位置までのどの位置に配置されている状態であっても、張力付与機構16によってクリーニングシート18には張力が付与された状態となる。このため、クリーニングシート18は弛むことがなく、クリーニングシート18がスクリーン印刷機100の他の部材(例えば、回路基板位置決め装置24等)に引っ掛かることなくクリーニングヘッド12を移動させることができる。
【0042】
スクリーン印刷機100はさらに、図示しない受け入れ搬送装置と送り出し搬送装置を備えている。受け入れ搬送装置は、スクリーン印刷機100の上流側の基板搬送装置から送られてくる回路基板Cを受け取り、受け取った回路基板Cを回路基板位置決め装置24のX方向搬送機構48に送り出す。送り出し搬送装置は、回路基板位置決め装置24のX方向搬送機構48から送り出される回路基板Cを受け取り、スクリーン印刷機100の下流側の基板搬送装置に送り出す。
【0043】
スクリーン印刷機100の印刷処理について説明する。上流側の基板搬送装置から回路基板Cが送られてくると、制御装置20は、受け入れ搬送装置を駆動して回路基板Cを受け取る。そして、X方向搬送機構48が受け入れ搬送装置から回路基板Cを受け取ることが可能な位置となるように、制御装置20は、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44、昇降機構46を駆動する。そして、制御装置20は、受け入れ搬送装置とX方向搬送機構48を駆動して、受け入れ搬送装置からX方向搬送機構48へ回路基板Cを受け渡す。
【0044】
回路基板CがX方向搬送機構48に受け渡されると、制御装置20は、X方向搬送機構48を駆動して、スクリーンマスク28の印刷パターンに対応するX方向位置まで回路基板Cを搬送する。次いで、制御装置20は、クランプ機構50とサポート機構52を駆動して、回路基板Cを保持する。次いで、制御装置20は、撮像装置(図示省略)を用いて、回路基板Cの上面の撮像と、スクリーンマスク28の下面の撮像を行う。制御装置20は、撮像装置によって撮像した画像データを処理して、回路基板Cとスクリーンマスク28の間の位置ずれを検出する。位置ずれが検出されると、制御装置20は、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44を駆動して、回路基板Cの位置の微調整を行う。そして、制御装置20は、昇降機構46を駆動して回路基板Cを上昇させて、回路基板Cをスクリーンマスク28の下面に当接させる。
【0045】
上記のような、回路基板Cの位置決めと並行して、制御装置20は、はんだ供給装置によりはんだをスクリーンマスク28の上面に供給する。回路基板Cがスクリーンマスク28の下面に当接し、スクリーンマスク28の上面へはんだが供給されると、制御装置20は、一方のスキージヘッド(例えばスキージヘッド74a)を駆動して、一方のスキージ(例えばスキージ76a)をスクリーンマスク28の上面に当接させた後、Y方向移動機構70を駆動して、スクリーンマスク28の印刷パターンに対するスキージングを行う。これによって、スクリーンマスク28の下面に当接して保持されている回路基板Cに、印刷パターンに対応するパターンで、はんだが印刷される。
【0046】
回路基板Cへのはんだ印刷が完了すると、制御装置20は、スキージヘッド74a、74b、Y方向移動機構70を駆動して、スキージ装置30をスキージ装置待機位置へ復帰させる。また、制御装置20は、昇降機構46、クランプ機構50、サポート機構52を駆動して、回路基板Cを再びX方向搬送機構48に受け渡す。さらに、制御装置20は、X方向搬送機構48が送り出し搬送装置へ回路基板Cを受け渡すことが可能な位置となるように、Y方向移動機構40、X方向移動機構42、回転機構44を駆動する。
【0047】
次いで、制御装置20は、X方向搬送機構48と送り出し搬送装置を駆動して、X方向搬送機構48から送り出し搬送装置へ回路基板Cを受け渡す。その後、制御装置20は、送り出し搬送装置を駆動して、下流側の基板搬送装置へ回路基板Cを送り出す。
【0048】
図4を参照して、クリーニング装置10がスクリーンマスク28の裏面をクリーニングする処理について説明する。クリーニング処理は、1枚の回路基板Cに対する印刷処理が完了する毎に実行される処理である。印刷処理により、スクリーンマスク28の裏面及び開口部には、はんだが付着している場合がある。図4は、クリーニング処理の各工程を示すフローチャートである。図1図3は、クリーニングヘッド12がそれぞれ、退避位置、クリーニング開始位置、クリーニング完了位置に移動した状態を示している。なお、クリーニング処理の開始前は、前回のクリーニング処理が終了したときの状態となっている。すなわち、クリーニングヘッド12は退避位置に配置されており、把持機構84はクリーニングシート18の一端を把持した状態になっている。
【0049】
図4に示すように、まず、制御装置20は、Y方向移動機構80を駆動して、クリーニングヘッド12をクリーニング開始位置(図2参照)に移動させる(S10)。図2に示すクリーニング開始位置は、スクリーンマスク28の裏面であって、シート供給部14から近い側の端部(Y方向(−)側の端部)の近傍の位置である。このとき、第1ローラ90は、クリーニングヘッド12の移動と共にクリーニングシート18の上面を転動すると共に、上方へ引き上げられる。このため、張力付与機構16は、クリーニングヘッド12が退避位置にあるときより上方に配置される。
【0050】
次に、制御装置20は、昇降機構82を駆動して、クリーニングシート18をスクリーンマスク28の裏面に当接させる(S12)。すなわち、制御装置20は、クリーニングヘッド12の上面に配置されるクリーニングシート18がスクリーンマスク28の裏面に当接するまで、昇降機構82を上昇させる。
【0051】
次に、制御装置20は、Y方向移動機構80を駆動して、クリーニングヘッド12をクリーニング完了位置(図3参照)に移動させる(S14)。クリーニングヘッド12の上面に配置されるクリーニングシート18は、スクリーンマスク28の裏面に当接している。このため、クリーニングヘッド12をクリーンニング開始位置からクリーニング完了位置まで移動させることによって、スクリーンマスク28の裏面がクリーニングシート18でクリーニングされる。このとき、第1ローラ90は、クリーニングヘッド12の移動と共にクリーニングシート18の上面を転動し、さらに上方へ引き上げられる。このため、張力付与機構16は、クリーニングヘッド12がクリーニング開始位置にあるときより上方に配置される。
【0052】
次に、制御装置20は、昇降機構82を駆動して、クリーニングシート18をスクリーンマスク28の裏面から離間させる(S16)。すなわち、制御装置20は、クリーニングヘッド12の上面に配置されるクリーニングシート18がスクリーンマスク28の裏面から離間するまで、昇降機構82を下降させる。
【0053】
次に、制御装置20は、Y方向移動機構80を駆動して、クリーニングヘッド12を退避位置(図1参照)に移動させる(S18)。このとき、第1ローラ90は、クリーニングヘッド12の移動と共にクリーニングシート18の上面に沿って逆方向に転動しながら、その自重によって下降する。このため、張力付与機構16は、クリーニングヘッド12がクリーニング開始位置及びクリーニング完了位置にあるときより下方に配置される。このように、張力付与機構16によって、シート供給部14とクリーニングヘッド12の間に架け渡されるクリーニングシート18には常に張力が付与された状態が維持される。したがって、シート供給部14とクリーニングヘッド12の間に配置されるクリーニングシート18は、クリーニングヘッド12が移動しても弛むことがない。
【0054】
次に、制御装置20は、シート供給部14が備えるモータと把持機構84が備えるモータを駆動して、クリーニングシート18を送り出す(S20)。このとき、制御装置20は、把持機構84が備えるアクチュエータを駆動して把持機構84のロック状態を解除し、クリーニングシート18を移動可能な状態にしておく。すなわち、S10が実行される前に、制御装置20は把持機構84が備えるアクチュエータを駆動して、把持機構84がクリーニングシート18を把持した状態(すなわち、把持機構84をロック状態)にしている。このため、S10〜S18では、把持機構84は、クリーニングシート18を把持した状態を維持している。S20では、制御装置20によって把持機構84のロック状態を解除し、クリーニングシート18が移動可能な状態にする。
【0055】
シート供給部14から送り出されたクリーニングシート18は、供給部側ガイドローラ94、張力付与機構16及びヘッド側ガイドローラ96を介して、クリーニングヘッド12まで送られる。クリーニングヘッド12まで送られたクリーニングシート18は、把持機構84が備えるモータの駆動によって、把持機構84及び切断部86より先にさらに送り出される。クリーニングシート18は、クリーニング処理に使用された部分全体が切断部86より先に配置されるまで送り出される。その後、制御装置20は、シート供給部14が備えるモータと把持機構84が備えるモータの駆動を停止させる。また、制御装置20は、把持機構84が備えるアクチュエータを駆動して、把持機構84がクリーニングシート18を把持した状態にする。
【0056】
最後に、制御装置20は、切断部86が備えるアクチュエータを駆動して、クリーニングシート18の使用済み部分を切断する(S22)。すると、クリーニングヘッド12の上面には未使用のクリーニングシート18が配置され、再びS10の状態に戻る。
【0057】
本実施例のクリーニング装置10は、クリーニングヘッド12とシート供給部14が別の位置に配置されている。すなわち、クリーニングヘッド12はスクリーンマスク28の裏面を移動するが、シート供給部14はスクリーン印刷機100の基台に固定されており、スクリーンマスク28の裏面を移動しない。このため、スクリーンマスク28の裏面を移動する部分を小さくすることができ、回路基板位置決め装置24の昇降機構46の移動距離を小さくすることができる。また、クリーニングヘッド12は把持機構84を備えている。このため、クリーニングヘッド12がシート供給部14と一体となっていなくても、クリーニングヘッド12にクリーニングシート18を固定させることが可能となり、スクリーンマスク28の裏面をクリーニングすることができる。
【0058】
また、クリーニング装置10は、クリーニングヘッド12とシート供給部14が別の位置に配置されているため、シート供給部14をスクリーン印刷機100内の空間的に余裕がある位置に配置することができる。このため、シート供給部14に巻き付けるクリーニングシート18の量を多くすることができる。このため、クリーニングシート18を補充する頻度を減少させることができる。なお、本実施例ではシート供給部14をスクリーン印刷機100内に配置しているが、このような構成に限定されない。シート供給部からクリーニングヘッド12にクリーニングシート18を供給できる位置に配置されていればよく、例えば、シート供給部14をスクリーン印刷機100の外部に設置してもよい。
【0059】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0060】
10:クリーニング装置
12:クリーニングヘッド
14:シート供給部
16:張力付与機構
18:クリーニングシート
20:制御装置
22:インターフェース装置
24:回路基板位置決め装置
28:スクリーンマスク
30:スキージ装置
80:Y方向移動機構
82:昇降機構
84:把持機構
86:切断部
90:第1ローラ
92:第2ローラ
94:供給部側ガイドローラ
96:ヘッド側ガイドローラ
100:スクリーン印刷機
図1
図2
図3
図4