(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側面は、前記底面と前記側面との境界を起点として、前記厚さ方向視において、外側に向かうほど、前記被押し付け面側に向かう第1曲面部と、前記被押し付け面と前記側面との境界を起点として、前記厚さ方向視において、外側に向かうほど、前記底面側に向かい、かつ、前記第1曲面部に繋がる第2曲面部と、を有する、
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のワイヤボンディング構造。
前記電子素子を搭載するダイパッドと、前記封止樹脂に覆われ、かつ、前記ワイヤの前記ボンディング部分と反対側の端部がボンディングされたインナーリードと、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記インナーリードと一体的に形成されたアウターリードと、を有するリードフレームを、さらに備える、
請求項14ないし請求項22のいずれか一項に記載の電子装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなボンディング部分の接合強度が低いと、ボンディングワイヤが接合対象から外れ、その結果、電気的な導通が取れなくなったり、意図せず他の端子等に短絡してしまったりする要因となる。したがって、ボンディング部分の接合強度の向上が求められる。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ワイヤボンディング、特に、ボールボンディングによって接合されたボンディング部分の接合強度の向上を図ることが可能なワイヤボンディング構造および電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供されるワイヤボンディング構造は、接合対象と、前記接合対象に接合されたボンディング部分を有するワイヤと、を備えたワイヤボンディング構造であって、前記ボンディング部分の外面は、前記接合対象に接する底面と、前記ボンディング部分の厚さ方向において前記底面と反対側を向く被押し付け面と、前記底面および前記被押し付け面を繋ぐ側面と、を有し、前記被押し付け面は、前記厚さ方向視において円環状であり、かつ、第1屈曲部を介して互いに繋がる、第1環状部および第2環状部を有しており、前記第1環状部は、前記底面に対して平行であり、かつ、前記厚さ方向視において前記第2環状部より内側に位置しており、前記第2環状部は、前記第1屈曲部を起点として、前記厚さ方向視において外側に向かうほど、前記厚さ方向において前記底面と反対側に向かう、ことを特徴とする。
【0008】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記第1環状部は、前記厚さ方向視において、前記底面と重なっている。
【0009】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記被押し付け面は、第2屈曲部を介して前記第1環状部に繋がり、かつ、前記厚さ方向視において前記第1環状部より内側に位置する、円環状の第3環状部をさらに有する。
【0010】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記第3環状部は、平坦であり、前記第2屈曲部に繋がる側に向かうほど、前記厚さ方向に直交する平面における断面が大となる。
【0011】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記ボンディング部分の外面は、前記第3環状部に繋がり、かつ、前記被押し付け面から起立する周面をさらに有する。
【0012】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記周面は、前記厚さ方向に直交する平面における断面形状が円形状である。
【0013】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記第1環状部は、前記周面に対して垂直である。
【0014】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記側面は、前記底面と前記側面との境界を起点として、前記厚さ方向視において、外側に向かうほど、前記被押し付け面側に向かう第1曲面部と、前記被押し付け面と前記側面との境界を起点として、前記厚さ方向視において、外側に向かうほど、前記底面側に向かい、かつ、前記第1曲面部に繋がる第2曲面部と、を有する。
【0015】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記第2環状部は、径方向内側の端部と径方向外側の端部との離間距離が、2〜10μmである。
【0016】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記厚さ方向視における前記ボンディング部分の径は、45〜78μmである。
【0017】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記ワイヤの径は、20〜35μmである。
【0018】
前記ワイヤボンディング構造の好ましい実施の形態において、前記厚さ方向視における、前記ボンディング部分の径は、前記ワイヤの径の2〜3倍である。
【0019】
本発明の第2の側面によって提供される電子装置は、前記第1の側面によって提供されワイヤボンディング構造を有する電子装置であって、前記ワイヤがボンディングされ、前記接合対象としてのボンディングパッドを含む電子素子を備えている、ことを特徴とする。
【0020】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記電子素子および前記ワイヤを覆う封止樹脂を、さらに備える。
【0021】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記ボンディングパッドは、前記厚さ方向において、互いに反対側を向くパッド表面およびパッド裏面を有し、前記ワイヤは、前記パッド表面にボンディングされている。
【0022】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記電子素子は、絶縁性の保護層を含み、前記保護層は、前記パッド表面を露出させる開口部を有しており、前記ボンディング部分は、前記開口部から露出した前記パッド表面に配置されている。
【0023】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記保護層は、パッシベーション膜を有する。
【0024】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記保護層は、前記パッシベーション膜を覆うポリイミド層を、さらに有する。
【0025】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記ボンディングパッドは、前記ボンディング部分に沿って前記パッド表面から延び出た延出部を、さらに有する。
【0026】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記延出部は、前記側面に接している。
【0027】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記延出部の上端は、前記パッシベーション膜の上端より上方に位置し、かつ、前記ポリイミド層の上端より下方に位置する。
【0028】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記厚さ方向において、前記延出部と前記パッド表面との間に前記封止樹脂が介在する部分を有する。
【0029】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記電子素子を搭載するダイパッドと、前記封止樹脂に覆われ、かつ、前記ワイヤの前記ボンディング部分と反対側の端部がボンディングされたインナーリードと、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記インナーリードと一体的に形成されたアウターリードと、を有するリードフレームを、さらに備える。
【0030】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記ボンディングパッドは、主成分がAlである。
【0031】
前記電子装置の好ましい実施の形態において、前記ワイヤは、主成分がCuである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ボンディング部分の接合強度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して、以下に説明する。
【0035】
図1〜
図6は、本発明の実施形態に係るワイヤボンディング構造を有する電子装置A1を示している。当該電子装置A1は、リードフレーム1、電子素子2、ワイヤ3、および、封止樹脂4を備える。
図1は、電子装置A1の断面図を示している。
図2は、
図1に示す電子装置A1の平面図である。なお、
図2において、封止樹脂4を透過させて図示している。
図3は、
図1の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図4は、
図3の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図5は、
図3のV−V線に沿う断面図である。なお、
図5において、封止樹脂4の記載を省略する。
図6は、
図5からワイヤ3を省略した図である。なお、
図5において、後述する接合領域211Rを網掛けにして示している。電子装置A1としては、例えば、ICやLSIなどの集積回路、ダイオードやトランジスタ、キャパシタなどのディスクリート半導体、フォトカプラー、LEDなどが挙げられる。本実施形態においては、電子装置A1は、
図2に示すように、ICやLSIなどの集積回路である場合を例に説明する。
【0036】
リードフレーム1は、電子素子2を支持し、かつ、電子素子2を導通させるために用いられる。リードフレーム1は導通性材料よりなり、例えば、銅製のプレートを打ち抜き加工することによって形成されている。リードフレーム1は、ダイパッド11、インナーリード12、および、アウターリード13を有している。本実施形態においては、リードフレーム1は、1つのダイパッド11に対して、複数のインナーリード12および複数のアウターリード13を有している。
【0037】
ダイパッド11は、電子素子2を搭載する部分である。ダイパッド11には、電子素子2がダイボンディングされている。本実施形態においては、ダイパッド11は、厚さ方向z視において、矩形状である。
【0038】
インナーリード12は、リードフレーム1と電子素子2とを導通させるためのワイヤ3を接合するための部分である。インナーリード12は、封止樹脂4に覆われている。
図2に示すように複数のインナーリード12は、互いに離間して配置されている。
【0039】
アウターリード13は、リードフレーム1のうち、封止樹脂4から露出する部分である。アウターリード13は、電子装置A1を例えば回路基板(図示略)に実装するために用いられる。電子装置A1を回路基板に実装するには、回路基板に設けられたスルーホールにアウターリード13を貫通させ、アウターリード13と回路基板の配線パターンとをハンダによって接合することで実現される。
【0040】
リードフレーム1において、インナーリード12とアウターリード13とは、一体的に形成されている。また、ダイパッド11と、インナーリード12およびアウターリード13とは、離間して配置されている。なお、リードフレーム1は、
図1に示した形状に限定されない。
【0041】
電子素子2は、所望の機能を果たす素子である。電子素子2は、
図3に示すように、第1導電層21、保護層22、第2導電層23、第3導電層24、半導体基板25、複数の第1ビア261、複数の第2ビア262、複数の連絡部263、および、絶縁層27を含んでいる。電子素子2は、第1導電層21、第2導電層23、第3導電層24、および、絶縁層27などが積み重なった積層構造になっている。
【0042】
第1導電層21は、導電性材料よりなる。第1導電層21は、主成分が例えばAlおよびCuの少なくともいずれかよりなる。本実施形態においては、第1導電層21は、Alよりなる。第1導電層21は、厚さ方向zにおいて、ダイパッド11にダイボンディングされた側とは反対側に形成されている。第1導電層21は、厚さの厚い箇所と厚さの薄い箇所とを有する。第1導電層21は、ボンディングパッド211および配線メタル212を有する。ボンディングパッド211および配線メタル212とは、互いに同一面内に配置されている。
【0043】
ボンディングパッド211は、ワイヤ3をボンディングする部分であり、第1導電層21の前記厚さの薄い箇所に相当する。当該ボンディングパッド211が本発明の接合対象に相当する。本実施形態においては、ボンディングパッド211は、
図5および
図6に示すように、矩形状である。ボンディングパッド211は、
図6に示すように、ワイヤ3に接合された接合領域211Rを有する。ボンディングパッド211は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向くパッド表面211Aおよびパッド裏面211Bを有する。
【0044】
図3に示すように、パッド表面211Aは、厚さ方向z上方を向く面であり、パッド裏面211Bは、厚さ方向z下方を向く面である。本実施形態においては、パッド表面211Aは、厚さ方向zに対して直交した平面をなす。パッド表面211Aには、ワイヤ3がボンディングされている。パッド表面211Aは、接合領域211Rを構成している。また、ボンディングパッド211は、パッド表面211Aから延び出る延出部211Eを含む。
【0045】
延出部211Eは、後述するボンディング部分31に沿ってパッド表面211Aから延び出ている。延出部211Eは、ワイヤ3がボンディングパッド211にボンディングされる際に、ボンディングパッド211の一部が、ワイヤ3に押し上げられることにより形成される。延出部211Eは、後述するワイヤボンディング方法において、超音波による振動によって揺れ動く方向に形成される(
図5参照)。なお、超音波によって、厚さ方向zに対して直交する方向すべてに振動が加えられた場合、延出部211Eは、厚さ方向z視において、円形となる。延出部211Eの一部は、封止樹脂4に接している。また、延出部211Eは、
図3に示すように、逆テーパー状になっており、延出部211Eとボンディングパッド211との間に封止樹脂4が介在する部分がある。
【0046】
配線メタル212は、
図3および
図4に示すように、ボンディングパッド211に繋がっている。
【0047】
保護層22は、絶縁性材料よりなり、第1導電層21の一部を覆っている。保護層22は、ボンディングパッド211を露出させている。保護層22には、開口部22Aが形成され、開口部22Aからボンディングパッド211が露出している。保護層22は、パッシベーション膜221およびポリイミド層222を有する。
【0048】
パッシベーション膜221は、SiNおよびSiO
2の少なくともいずれかよりなる。本実施形態においては、パッシベーション膜221は、SiN層およびSiO
2層が積層されて形成されている。ポリイミド層222は、パッシベーション膜221を覆っている。ポリイミド層222と第1導電層21との間にパッシベーション膜221が介在している。
【0049】
本実施形態においては、
図4に示すように、延出部211Eの上端は、厚さ方向zにおいて、パッシベーション膜221の上端より上方に位置し、かつ、ポリイミド層222の上端より下方に位置している。
【0050】
第2導電層23は、厚さ方向zにおいて、第1導電層21および第3導電層24の間に位置し、これらと離間している。第2導電層23は、導電性材料よりなる。第2導電層23は、例えば、スパッタリングにより形成されたAl、あるいは、AlCuよりなる。第2導電層23は、互いに同一面内に配置されている複数の配線部位を有しており、これらは互いに離間している。
図3においては、第1配線部位231および第2配線部位232を有している。
【0051】
第1配線部位231は、第1導電層21に導通する部分である。第2配線部位232は、第1導電層21に導電しない部分である。よって、第2導電層23は、第1導電層21に導通する部分と導通しない部分とを有している。第1配線部位231と第2配線部位232とは離間している。
【0052】
第3導電層24は、厚さ方向zにおいて、第2導電層23および半導体基板25の間に位置し、これらと離間している。第3導電層24は、導電性材料よりなる。第2導電層23は、例えば、スパッタリングにより形成されたAl、あるいは、AlCuよりなる。第3導電層24は、互いに同一面内に配置されている複数の配線部位を有しており、これらは互いに離間している。第3導電層24は、第2導電層23に導通する部分と導通しない部分を有する。また、第3導電層24は、半導体基板25と導通する部分と導通しない部分を有する。
【0053】
半導体基板25は、半導体材料よりなる。本実施形態においては、半導体基板25は、Siよりなる。半導体基板25は、半導体素子を有している。このような半導体素子としては、例えば、ダイオード、トランジスタ、抵抗、キャパシタ、および、これらの複合体などが挙げられる。
【0054】
複数の第1ビア261は、厚さ方向zに沿って延びている。各第1ビア261は、第1導電層21および第2導電層23の間に介在している。各第1ビア261は、導電性材料よりなり、例えば、W(タングステン)よりなる。なお、各第1ビア261の材質は、例示したものに限定されない。第1ビア261を介して、第1導電層21の一部と第2導電層23の一部とが導通している。
【0055】
複数の第2ビア262は、厚さ方向zに沿って延びている。各第2ビア262は、第2導電層23および第3導電層24の間に介在している。各第2ビア262は、導電層材料よりなり、例えば、W(タングステン)よりなる。なお、各第2ビア262の材質は、例示したものに限定されない。第2ビア262を介して、第2導電層23の一部と第3導電層24の一部とが導通している。
【0056】
複数の連絡部263は、半導体基板25に形成されており、厚さ方向zに沿って延びている。各連絡部263は、第3導電層24および半導体基板25の間に介在し、かつ、第3導電層24および半導体基板25に接している。各連絡部263は、導通性材料よりなり、例えば、W(タングステン)よりなる。なお、各連絡部263の材質は、例示したものに限定されない。連絡部263を介して、第3導電層24の一部と半導体基板25における半導体素子とが導通している。ボンディングパッド211(第1導電層21)と半導体素子とは、一部の第1ビア261、第2導電層23の第1配線部位231、一部の第2ビア262、一部の第3導電層24、および、一部の連絡部263を介して、導通している。
【0057】
絶縁層27は、第1導電層21および半導体基板25の間に形成されている。絶縁層27は、第1導電層21および第2導電層23の間に介在する部分と、第2導電層23および第3導電層24の間に介在する部分と、第3導電層24および半導体基板25の間に介在する部分とを有する。絶縁層27は、例えば、SiO
2を主成分とするシリカガラスからなる。なお、絶縁層27の材質は、これに限定されない。
【0058】
本実施形態においては、第1導電層21は、第1ビア261により、厚さ方向zに微小に凹凸している(なお、凹凸の図示は省略する)。この凹凸により、第1導電層21のうち、第1ビア261が配置されている部分は、
図5および
図6に示すように、厚さ方向z視において、ドット状の柄が表れている。
【0059】
なお、第1導電層21、第2導電層23、第3導電層24、第1ビア261、第2ビア262、連絡部263、および、絶縁層27の配置は
図3に示すものに限定されるものはない。
【0060】
ワイヤ3は、導電性材料よりなり、電子素子2とリードフレーム1とを導通させるものである。ワイヤ3は、一端が電子素子2にボンディングされており、他端がリードフレーム1(インナーリード12)にボンディングされている。ワイヤ3は、主成分が例えば、Cu、Au、あるいは、Agよりなる。本実施形態においては、ワイヤ3はCuよりなる。また、本実施形態においては、ワイヤ3は、そのワイヤ径L1(
図3参照)が20〜35μmとしている。ワイヤ3は、
図1および
図3に示すように、ボンディング部分31を有する。
【0061】
ボンディング部分31は、電子素子2にボンディングされた部分である。具体的には、ボンディング部分31は、第1導電層21(ボンディングパッド211)にボンディングされた部分である。電子装置A1の製造の際、ワイヤ3は、インナーリード12よりも先に電子素子2にボンディングされるため、ボンディング部分31は、ファーストボンディング部である。ボンディング部分31の外面は、
図3に示すように、底面311、側面312、被押し付け面313、および、周面314を有する。
【0062】
底面311は、ボンディングパッド211に接している。底面311は、厚さ方向z視において円形状であり、厚さ方向zのうちボンディング部分31からボンディングパッド211に向かう方向を向いている。
【0063】
側面312は、底面311と被押し付け面313とを繋いでいる。側面312は、環状である。また、側面312は曲面をなす。厚さ方向zに直交する平面による、側面312の断面形状は、直径がボール径L2(
図3参照)と定義された円形状である。当該ボール径L2は、厚さ方向z視における、ボンディング部分31の径である。厚さ方向z視における、ボンディング部分31の径は、ワイヤ3のワイヤ径L1の2〜3倍程度が好ましい。本実施形態においては、当該ボール径L2は、45〜78μmとしている。側面312は、下側曲面部312Aおよび上側曲面部312Bを有する。
【0064】
下側曲面部312Aは、底面311と側面312との境界を起点として、厚さ方向z視において外側に向かうほど、厚さ方向zにおいて被押し付け面313側に向かう曲面状である。下側曲面部312Aの少なくとも一部は、ボンディングパッド211に接している。また、下側曲面部312Aの一部は、封止樹脂4に接している。
【0065】
上側曲面部312Bは、被押し付け面313と側面312との境界を起点として、厚さ方向z視において外側に向かうほど、厚さ方向zにおいて底面311側に向かう曲面状である。上側曲面部312Bは、封止樹脂4に接している。
【0066】
被押し付け面313は、内側環状部313A、中央環状部313B、外側環状部313C、内側屈曲部313D、および、外側屈曲部313Eを有する。
【0067】
内側環状部313Aは、平坦であり、円環状をなす。内側環状部313Aは、周面314に繋がり、かつ、内側屈曲部313Dを介して中央環状部313Bに繋がっている。内側環状部313Aは、厚さ方向z視において、周面314より外側、かつ、中央環状部313Bより内側に位置する。内側環状部313Aは、全体にわたって、厚さ方向z視において、底面311に重なっている。また、内側環状部313Aは、中央環状部313Bに対して傾斜している。具体的には、内側環状部313Aは、厚さ方向zにおいて底面311に近づくほど、厚さ方向zに直交する平面による断面が大となるように、傾斜している。よって、内側環状部313Aは、厚さ方向z視における径方向外側の端部が、厚さ方向z視における径方向内側の端部より、厚さ方向zにおいて、下方に位置している。すなわち、内側環状部313Aは、厚さ方向z上方に向かって先細りとなるテーパー状をなす。
【0068】
中央環状部313Bは、平坦であり、円環状をなす。中央環状部313Bは、内側屈曲部313Dを介して内側環状部313Aに繋がり、かつ、外側屈曲部313Eを介して外側環状部313Cに繋がっている。中央環状部313Bは、厚さ方向z視において、内側環状部313Aより外側、かつ、外側環状部313Cより内側に位置する。中央環状部313Bは、厚さ方向z視において、全体にわたって底面311に重なっている。中央環状部313Bは、径方向内側の端部と径方向外側の端部とが、厚さ方向zにおいて一致しており、底面311に対して、平行としている。よって、中央環状部313Bは、接合対象であるボンディングパッド211のパッド表面211Aに対しても、平行である。なお、ボンディング時の誤差などにより、中央環状部313Bのうち、厚さ方向zに直交する方向において互いに反対側に位置する一対の部分がなす角度θ1(
図3参照)は、171.5〜180°となることがあるが、この範囲であれば上記平行と見做す。また、中央環状部313Bにおいて、
図4および
図5に示すように、厚さ方向z視における帯幅L3は、2〜10μmとしている。なお、帯幅L3とは、厚さ方向z視における、同一径方向の内側の端部と外側の端部との離間寸法を指している。すなわち、中央環状部313Bは、内径と外径との差が4〜20μmである。
【0069】
外側環状部313Cは、円環状をなす。外側環状部313Cは、外側屈曲部313Eを介して中央環状部313Bに繋がり、かつ、側面312に繋がっている。外側環状部313Cは、厚さ方向z視において、側面312より内側、かつ、中央環状部313Bより外側に位置する。外側環状部313Cは、
図3および
図4に示すように、厚さ方向zにおいて、中央環状部313Bに対して上方に突出している。本実施形態においては、外側環状部313Cは、外側屈曲部313Eを起点として厚さ方向z視において外側に向かうほど、厚さ方向zにおいて底面311と反対側(
図3および
図4において上方)に向かう。
【0070】
内側屈曲部313Dは、輪状である。内側屈曲部313Dは、内側環状部313Aおよび中央環状部313Bの間に介在し、これらを繋いでいる。内側屈曲部313Dは、内側環状部313Aおよび中央環状部313Bの境界をなす。
【0071】
外側屈曲部313Eは、輪状である。外側屈曲部313Eは、中央環状部313Bおよび外側環状部313Cの間に介在し、これらを繋いでいる。外側屈曲部313Eは、中央環状部313Bおよび外側環状部313Cの境界をなす。外側屈曲部313Eは、厚さ方向z視において、内側屈曲部313Dよりも外側に位置している。
【0072】
内側屈曲部313Dと外側屈曲部313Eとは、厚さ方向zにおいて、一致している。また、内側屈曲部313Dと外側屈曲部313Eとは、厚さ方向z視における離間距離が2〜10μmである。
【0073】
周面314は、被押し付け面313に繋がっており、かつ、被押し付け面313の内側環状部313Aから起立している。周面314は、厚さ方向z視において、被押し付け面313よりも内側に位置している。周面314に対して、内側環状部313Aは傾斜している。周面314は、厚さ方向zに直交する平面における断面が円形状である。本実施形態においては、周面314の断面における直径L4(
図3参照)は、後述するキャピラリ7の貫通孔71に大きさに依存し、例えば、31〜35μmとしている。周面314は、厚さ方向zに沿って延びている。また、周面314は、中央環状部313Bに対して垂直である。なお、ボンディング時の誤差などにより、周面314と中央環状部313Bとがなす角度θ2(
図3参照)は、81.5〜90°となることがあるが、この範囲であれば上記垂直と見做す。
【0074】
封止樹脂4は、リードフレーム1の一部(ダイパッド11およびインナーリード12)、電子素子2、および、ワイヤ3を封止している。封止樹脂4は、側面312の一部を覆っている。封止樹脂4は、絶縁性の樹脂材料からなる。このような樹脂材料として、例えばエポキシ樹脂が挙げられる。
【0075】
次に、本発明の実施形態に係る電子装置A1の製造工程における、ワイヤ3を電子素子2のボンディングパッド211にボンディングするワイヤボンディング方法について説明する。当該ワイヤボンディングは、以下に示すキャピラリ7を用いて行われる。
【0076】
図7〜
図9は、本発明のワイヤボンディング方法に用いられるキャピラリ7の一例を示している。キャピラリ7は、例えばアルミナ製であり、貫通孔71、円筒部72、円錐台部73、および、ボトルネック部74を有している。なお、円筒部72、円錐台部73、および、ボトルネック部74は、一体的に形成されている。
図7は、キャピラリ7の側面図である。
図8は、
図7のキャピラリ7の一部(先端部分)を拡大して示した部分断面図である。
図9は、
図7のキャピラリ7を下から見たときの底面図である。なお、
図9においては、キャピラリ7のボトルネック部74のみを図示している。
【0077】
貫通孔71は、ワイヤ3をキャピラリ7の先端7Aまで誘導する誘導路である。貫通孔71には、ワイヤ3が挿通され、ワイヤボンディングにおいて、ワイヤ3は、当該貫通孔71を通って、キャピラリ7の先端7Aまで送られる。当該ワイヤ3の挿通方向は、上記厚さ方向zと一致し、
図7における上下方向に相当する。
【0078】
貫通孔71は、挿通方向視において、キャピラリ7の中央部に位置し、かつ、キャピラリ7の上方から下方まで全長にわたって形成されている。すなわち、貫通孔71は、円筒部72、円錐台部73、および、ボトルネック部74のすべてを通るように設けられている。本実施形態においては、貫通孔71は、
図9に示すように、キャピラリ7を下方から見たときのホール径L5を31〜35μmとしている。
【0079】
円筒部72は、
図7に示すように、キャピラリ7のうち、挿通方向上方に位置する部分である。円筒部72は、挿通方向に直交する平面における断面が円形状である。本実施形態においては、円筒部72は、前記断面の直径が1.580〜1.588μmとしている。
【0080】
円錐台部73は、円筒部72とボトルネック部74との間に介在する部分であり、これらに繋がっている。挿通方向において、円錐台部73の上方の端縁は、円筒部72の下方の端縁と繋がっており、これらの端縁の外径は同じである。また、挿通方向において、円錐台部73の下方の端縁は、ボトルネック部74の上方の端縁と繋がっており、これらの端縁の外径は同じである。ボトルネック部74の上方の端縁の外径が円筒部72の下方の端縁の外径より小さいので、円錐台部73は、挿通方向において、上方の端縁から下方の端にかけて、挿通方向に直交する平面における断面が小となる。
【0081】
ボトルネック部74は、
図7に示すように、キャピラリ7のうち、挿通方向下方に位置する部分である。本実施形態においては、ボトルネック部74は、円筒状である。ボトルネック部74は、
図8に示すように、側面741、内面742、押し付け面743を有する。
【0082】
側面741は、
図8に示すように、ボトルネック部74の、挿通方向に直交する径方向外側を向く面である。内面742は、
図8に示すように、ボトルネック部74の、挿通方向に直交する径方向内側を向く面である。内面742は、貫通孔71によって形成されている。内面742は、挿通方向に対して、平行している。
【0083】
押し付け面743は、
図8に示すように、ボトルネック部74の、挿通方向下方を向く面である。押し付け面743は、後述するワイヤボンディングにおいて、ワイヤ3を押し付け、ワイヤ3を接合対象に圧着させる部分である。押し付け面743は、内側領域743A、中央領域743B、および、外側領域743Cを有する。
【0084】
内側領域743Aは、内面742と中央領域743Bとに繋がる。内側領域743Aは、平坦であり、かつ、挿通方向視において、円環状である。内側領域743Aは、挿通方向において、内面742に繋がる側から中央領域743Bに繋がる側に向け、挿通方向に直交する平面における断面が大となる。よって、厚さ方向zに直交する方向から見て、内側領域743Aは、テーパー状をなす。当該内側領域743Aは、そのテーパー角β(
図8参照)がおよそ70°としている。本実施形態においては、内側領域743Aは、内面742に繋がる側の端縁の径が、上記ホール径L5と同じ、31〜35μmである。また、中央領域743Bに繋がる側の端縁の径が、45〜51μmである。
【0085】
中央領域743Bは、内側領域743Aと外側領域743Cとに繋がる。中央領域743Bは、平坦であり、かつ、挿通方向視において、円環状である。中央領域743Bは、挿通方向に直交する平面に対して平行としている。なお、キャピラリ7の製造精度などにより、中央領域743Bは、挿通方向に直交する径方向において互いに反対側に位置する一対の部分がなす角度σ1(
図8参照)が171.5〜180°となることがあるが、この範囲であれば上記平行と見做す。また、中央領域743Bは、内面742に対して垂直としている。なお、キャピラリ7の製造精度などにより、中央領域743Bと内面742とがなす角度σ2(
図8参照)が81.5〜90°となることがあるが、この範囲であれば上記垂直と見做す。中央領域743Bは、キャピラリ7のうち、挿通方向において最も下方に位置している。本実施形態においては、中央領域743Bは、内側領域743Aに繋がる側の径(内径)と外側領域743Cに繋がる側の径(外径)との差が4〜20μmとしている。すなわち、中央領域743Bは、
図9に示すL6で定義される径方向片側の寸法が、2〜10μmである。また、本実施形態においては、上記するように、中央領域743Bに繋がる側の内側領域743Aの径が45〜51μmであるため、中央領域743Bの内径は、これと同じ45〜51μmであり、外径は、49〜71μmである。
【0086】
外側領域743Cは、中央領域743Bと側面741とに繋がる。外側領域743Cは、挿通方向視において、円環状である。外側領域743Cは、中央領域743Bに繋がる側を起点として、挿通方向視において外側に向かうほど、挿通方向上方に向かって傾斜している。なお、外側領域743Cは、曲面であっても平面であってもこれらの組み合わせであってもよい。
【0087】
図9に示すように、内側領域743Aおよび中央領域743Bの境界、および、中央領域743Bおよび外側領域743Cの境界はともに、円形状である。
【0088】
図10〜
図13は、上記したキャピラリ7を用いたワイヤボンディング手法を説明するための図であり、特にボールボンディングによるファーストボンディングに関するものである。なお、
図11〜
図13において、電子素子2における第1導電層21(ボンディングパッド211、配線メタル212)および保護層22などの図示は省略している。
【0089】
ワイヤボンディングにおいて、
図10に示すように、キャピラリ7の貫通孔71にワイヤ3を挿通させ、キャピラリ7の先端7Aへワイヤ3を送りだす。次に、キャピラリ7の先端7Aから突出したワイヤ3の先端部分に対して、スパークを飛ばすなどにより、ワイヤ3の先端部分を融解する。これにより、ワイヤ3の先端部分がボール状になり、
図11に示す、溶融ボール39が形成される。次に、
図11に示すように、キャピラリ7を電子素子2(具体的には、ボンディングパッド211)上に位置させる。なお、キャピラリ7を電子素子2上に位置させた後に、溶融ボール39を形成してもよい。
【0090】
次に、
図12に示すように、溶融ボール39を電子素子2に付着させる。これにより、溶融ボール39は、キャピラリ7と電子素子2とに挟み込まれて、押しつぶされる。この状態で、キャピラリ7によって、押しつぶされた溶融ボール39を電子素子2に対し押さえ付けつつ、当該溶融ボール39に超音波による振動を加える。これにより、ワイヤ3が電子素子2に接合され、上記ボンディング部分31が形成される。そして、
図13に示すように、ワイヤ3を引き出しつつ、キャピラリ7を電子素子2から離間させる。
【0091】
以上のようにして、ボールボンディングによるファーストボンディングが行われる。そして、ワイヤ3を引き出しながら、キャピラリ7を移動させて、ワイヤループを形成し、ワイヤ3をインナーリード12に押圧させて、ワイヤ3の他端をインナーリード12に接合する。なお、ワイヤ3の他端をインナーリード12にボンディングするセカンドボンディングについては、周知の方法によって行われ、その説明を省略する。
【0092】
以上のように、ボールボンディングによるファーストボンディングにおいて、溶融ボール39がキャピラリ7によって押し付けられることにより、上記被押し付け面313を有するボンディング部分31が形成される。具体的には、押し付け面743における内側領域743Aに押し付けられることにより、被押し付け面313における内側環状部313Aが形成される。同様に、押し付け面743における中央領域743Bに押し付けられることにより、被押し付け面313における中央環状部313Bが形成される。そして、押し付け面743における外側領域743Cに押し付けられることにより、被押し付け面313における外側環状部313Cが形成される。
【0093】
また、溶融ボール39がキャピラリ7によって押し付けられる際に、溶融ボール39の一部がキャピラリ7における貫通孔71の内部に進入する。そのため、内面742に対応する形状の周面314が、ボンディング部分31に形成される。よって、周面314の直径は、キャピラリ7における内面742の内径に一致する。
【0094】
また、電子素子2に付着した溶融ボール39に超音波による振動を加えることで、ボンディングパッド211が振動し、延出部211Eが形成される。なお、本実施形態においては、超音波によって一方向に揺れる振動を加えているため、延出部211Eは当該超音波による振動によって揺れ動いた方向に大きく形成される。本実施形態においては、超音波により、
図5の左右方向に振動を加えたことで、延出部211Eは、
図5に示すように、図中左右方向に形成されている。
【0095】
キャピラリ7によってワイヤ3を電子素子2に押し付ける強さや溶融ボール39の大きさを調整することにより、ボンディング部分31におけるボール径L2を調整することができる。また、前記押し付ける強さや溶融ボール39の大きさに応じて、外側環状部313Cおよび外側屈曲部313Eが形成されないこともある。
【0096】
次に、本発明の実施形態に係るワイヤボンディング構造および電子装置A1の作用効果について説明する。
【0097】
本実施形態によれば、ボンディング部分31の被押し付け面313において、中央環状部313Bを有しており、当該中央環状部313Bにより、被押し付け面313の一部を、底面311および接合対象であるボンディングパッド211のパッド表面211Aに対して平行としている。当該中央環状部313Bは、上記するワイヤボンディングにおいて、キャピラリ7の押し付け面743の中央領域743Bによって、溶融ボール39が押し付けられることにより形成されている。この中央領域743Bが溶融ボール39を押し付ける圧力は、中央領域743Bが向く方向、すなわち、ボンディングパッド211に対して垂直な方向に加えられる。以上のことから、中央環状部313Bにより、被押し付け面313の一部が平行になっていることで、そのすべてが平行である場合に比べて、ボンディングパッド211に対して垂直な方向の圧力を集中させることができる。これにより、ボンディング部分31の接合強度が高くなり、ボンディング部分31の接合強度を向上させることができる。
【0098】
本実施形態によれば、中央環状部313Bにおいて、厚さ方向z視における帯幅L3は、2〜10μmとしている。中央環状部313Bは、上記するワイヤボンディングにおいて、キャピラリ7の押し付け面743の中央領域743Bによって押し付けられることにより形成されている。上記帯幅L3が大きすぎると、当該中央環状部313Bを形成するために加えられた圧力が分散し、ボンディングパッド211に十分な圧力が加えられない可能性がある。その結果、ボンディング部分31の接合強度が十分に得られない可能性がある。一方、上記帯幅L3が小さすぎると、当該中央環状部313Bを形成するために加えられた圧力が集中しすぎてしまう。電子素子2は、
図3に示す積層構造になっており、各層(第1導電層21、第2導電層23、第3導電層24、絶縁層27など)は、厚さ方向zにおいて非常に薄く形成されている。そのため、上記帯幅L3が小さすぎて圧力が集中してしまうと、これらの各層が割れてしまい、電子素子2が損壊する可能性がある。以上のことから、上記帯幅L3を2〜10μmとしておくことで、接合強度の確保および第1導電層21などの電子素子2の損壊の抑制を図ることができる。
【0099】
本実施形態によれば、中央環状部313Bは、厚さ方向z視において、全体にわたって底面311に重なっている。したがって、中央環状部313Bを形成するために加えられた圧力は、底面311に効率的に伝達することができる。
【0100】
本実施形態によれば、接合対象(ボンディングパッド211)にボンディングされたボンディング部分31のワイヤボンディング構造において、キャピラリ7によって押し付けられることで形成される被押し付け面313(特に中央環状部313B)を有する形状とした。当該中央環状部313Bを有しない、従来のワイヤボンディング構造では、ワイヤボンディング時の超音波において、ある決められた範囲の強さでなければ、ボンディング部分31の接合強度を確保できなかった。一方、本実施形態のように中央環状部313Bを有する場合、前記超音波の強度の範囲をより広くしても、ボンディング部分31の接合強度を確保することができる。したがって、歩留まりの向上を図ることができる。
【0101】
本実施形態においては、電子素子2が、
図3に示す積層構造をなす場合を例に説明したが、これに限定されない。
図14は、変形例に係る電子素子2の積層構造を説明するための図である。
図14は、
図3の一部分を拡大した部分拡大図である。変形例に係る電子素子2の積層構造は、
図14が示すように、上記実施形態で示す積層構造(
図3参照)と比べて、バリア層291を有している点で異なる。バリア層291は、第1導電層21と絶縁層27との間に、および、絶縁層27と第2導電層23との間に、それぞれ介在している。バリア層291は、例えば、TiおよびTiNからなる。このように、各導電層(第1導電層21、第2導電層23、第3導電層24)と絶縁層27との間に、バリア層291を介在させてもよい。または、電子素子2は特に階層構造をなさず、第1導電層21を直接、半導体基板25に当接させてもよい。このような場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0102】
本実施形態においては、ワイヤ3をボンディングする接合対象として、電子素子2のボンディングパッド211を例に説明したが、これに限定されない。例えば、ワイヤ3をリードフレーム1のインナーリード12にボールボンディングする場合には、前記インナーリード12が接合対象となる。すなわち、本発明のワイヤボンディング構造は、接合対象が上記したボンディングパッド211に限定されるものではない。
【0103】
本発明に係るワイヤボンディング構造および当該ワイヤボンディング構造を有する電子装置は、上記した実施形態に限定されるものではない。本発明のワイヤボンディング構造および当該ワイヤボンディング構造を有する電子装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。