【実施例4】
【0042】
<振動センサー2>
図10のAは、実施例4に係る圧電素子4の分解状態を示している。この圧電素子4には、圧電シート8の上面側に信号極10−1、シールド導体層42−1、表面保護層46−1が積層され、圧電シート8の下面側に接地極10−2、シールド導体層42−2、表面保護層46−2が積層されている。信号極10−1および接地極10−2はたとえば、カプトンフィルム付きパターン電極であり、シールド導体層42−1、42−2はたとえば、銅箔テープである。表面保護層46−1、46−2はたとえば、片面粘着材付きカプトンである。
信号極10−1には同軸ケーブル34の導体36がはんだなどの接続手段により直付けされ、接地極10−2、シールド導体層42−1、42−2には同軸ケーブル34のシールド導体40が同様にはんだなどの接続手段により直付けされる。
下面側の表面保護層46−2の露出面側には保持部材の一例としてマグネットシート48−1、48−2が設置される。
【0043】
この振動センサー2において、圧電素子4は、
図10のBに示すように、圧電シート8の上面側に信号極10−1、シールド導体層42−1、表面保護層46−1が積層され、圧電シート8の下面側に接地極10−2、シールド導体層42−2、表面保護層46−2が積層された単一の積層体を構成する。
出力取出し部6である同軸ケーブル34は、信号極10−1に導体36が直付けされるとともに、接地極10−2、シールド導体層42−1、42−2にシールド導体40が直付けされることにより、圧電素子4の一辺部から引き出されている。この同軸ケーブル34の端部にはコネクタ14が備えられ、出力端子14−1には導体36、出力端子14−2にはシールド導体40が接続されている。
【0044】
圧電素子4は、
図10のCに示すように、その背面側にマグネットシート48−1、48−2が備えられ、振動源32に取り付け可能である。マグネットシート48−1、48−2は、両面接着材であってもよい。
【0045】
<製造工程>
この振動センサー2の製造方法には一例として、(a)圧電素子4の製作工程、(b)同軸ケーブル34の接続工程、(c)コネクタ14の接続工程が含まれる。
(a)圧電素子4の製作工程
たとえば、圧電素子4の上面側から組み立てる場合には、表面保護層46−1を構成する絶縁シートにシールド導体層42−1を接着し、このシールド導体層42−1の上に絶縁層を介して信号極10−1を取り付け、この信号極10−1の上に圧電シート8を設置して固定する。
この圧電シート8の上に接地極10−2を取り付け、この接地極10−2の上に絶縁層を介してシールド導体層42−2を取り付け、このシールド導体層42−2の上に表面保護層46−2を構成する絶縁シートを接着する。
これにより単一の積層体である圧電素子4が形成される。表面保護層46−2の上にマグネットシート48−1、48−2を取り付ける。
(b)同軸ケーブル34の接続工程
圧電素子4の製作工程または製作工程に移行前に、信号極10−1に同軸ケーブル34の導体36を接続する。
接地極10−2およびシールド導体層42−1、42−2に同軸ケーブル34のシールド導体40を接続する。
(c)コネクタ14の接続工程
同軸ケーブル34の端部にコネクタ14を取り付け、導体36に出力端子14−1、シールド導体40に出力端子14−2を形成する。
【0046】
<圧電素子4の材質など>
圧電素子4は、単一部材または複数の部材の積層体の圧電機能層であればよい。圧電シート8は圧電層の一例であり、両面平滑化層、保護層、絶縁層などを積層させてよいし、モノモルフやバイモルフおよび積層型でもよい。この圧電層は圧電性樹脂からなるシート、多孔質樹脂シートなどの有機圧電層でもよく、水晶、チタン酸バリウム、チタンジルコン酸鉛などの無機圧電材料層でもよい。
この圧電層の形状や大きさなどの形態には、振動源32の振動検出が可能であればよく、振動源32の表面と平行にする形態なども含まれる。
圧電素子4には厚さ方向の振動検出でより優れた振動検出機能を達成するため、たとえば、圧電定数d33を好ましくは20×10
-12〔C/N〕以上、より好ましくは100×10
-12〔C/N〕以上の圧電材料を用いればよい。
圧電素子4にはたとえば多孔質樹脂シートを用いればよい。この多孔質樹脂シートには次のような特徴がある。
【0047】
a)微小振動に対する電荷応答性や振動検出機能が高く、高温環境下で電荷保持が可能である。優れた振動検出機能が得られ、高い可撲性や耐衝撃性とともに、軽量化を図ることができる。
b)振動センサー2の薄膜化や、大面積化等の任意の形状もしくは曲面形状、振動源32の検出面形状に対する形状追従性が得られ、検出面の自由度が拡大する。
c)多孔質樹脂シートを用いれば、振動源32に対して巻き付けや貼り付けなどの任意の固定形態を選択できる。したがって、振動源32の表面の法線に対して圧電層の分極軸を一致させることができ、振動検出の感度を高めることができる。
【0048】
そして、多孔質樹脂シートは、電荷を保持し得るたとえば、有機系材料からなるシートであることが好ましい。この多孔質樹脂シートには、ファイバーからなる不織布または織布、有機重合体からなるシート状の発泡体、有機重合体からなる延伸多孔質膜、マトリックス樹脂と中空粒子(中空粒子の表面の少なくとも一部に導電性物質が付着していてもよい)とを含む多孔質樹脂シート、有機重合体中に分散させた相分離化剤を超臨界二酸化炭素などの抽出剤を用いて除去し空孔を形成する方法によって形成されるシートなどが含まれる。耐久性や変形性能の維持の側面からみれば、ポリマー製ファイバーを用いた不織布または織布が好ましい。
多孔質樹脂シートには1種または2種以上の無機フィラーを含んでもよい。これにより、電荷保持量が高く、優れた圧電特性が得られる。無機フィラーを用いれば、高圧電率を持つシートが得られる。無機フィラーには、ポリマーより高誘電率のものが好ましく、比誘電率ε=10〜10000のものを用いてよい。無機フィラーには酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化スズなどが含まれる。
多孔質樹脂シートの厚さは、たとえば10〔μm〕〜1〔mm〕でよく、より好ましくは50〔μm〕〜500〔μm〕でよい。高電荷保持性を得るには、空孔率が好ましくは60〔%〕以上、より好ましくは75〔%〕以上、さらに好ましくは80〜99〔%〕でよい。この空孔率は、
(樹脂の真密度−多孔質樹脂シートの見掛けの密度)×100/樹脂の真密度
・・・(1)
により求められる。見掛けの密度には、多孔質樹脂シートの重量および見掛けの体積を用いて算出される値を用いればよい。
ファイバーを構成するためのポリマーは、体積抵抗率が1.0×10
13〔Ω・cm〕以上のものがよく、たとえばポリアミド系樹脂(6−ナイロン、6,6−ナイロンなど)、芳香族ポリアミド系樹脂(アラミドなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタラートなど)、ポリアクリロニトリル、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、イミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ビスマレイミドなど)などの何れかでよい。
【0049】
耐熱性や耐候性に優れるなどの点からすれば、分子および結晶構造に起因する双極子を持たないポリマーが好ましい。たとえば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンエレフタラートなど)、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコン樹脂等の非フッ素系樹脂、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルピニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂などを用いてよい。
【0050】
耐熱性や耐候性などを考慮すれば、連続使用可能温度が高く、ガラス転移点を使用温度域に持たないことが好ましい。たとえばUL746B(UL規格)の連続使用温度試験によれば、ポリマーの連続使用可能温度は好ましくは50〔℃〕以上であること、より好ましくは100〔℃〕以上であること、さらに好ましくは200〔℃〕以上であればよい。耐湿性を考慮すれば、溌水性を示すものが好ましい。
これらの特性を備えるポリマーには、たとえばポリオレフィン系樹脂や、フッ素系樹脂を用いればよい。ポリオレフィン系樹脂や、フッ素系樹脂を用いれば、100〔℃〕下や100〔℃〕を超える高温下での振動検出においても、圧電特性に低下を来すことなく、振動検出が可能となる。フッ素系樹脂ではPTFEが好ましい。
PTFEでは、耐熱性、振動検知能および耐久性に優れ、高温の振動源32の振動検出が可能な振動センサー2を実現でき、高温および高圧の環境下で、振動検出性能や構造の維持が可能である。
【0051】
ファイバーについて、平均繊維径が好ましくは0.05〜50〔μm〕、より好ましくは0.1〜20〔μm〕、さらに好ましくは0.3〜5〔μm〕でよい。平均繊維径がこの範囲内であれば、高柔軟性を示す不織布または織布が得られる。繊維表面積が大きくなれば、電荷を保持するに十分な空間が形成でき、不織布または織布を薄く形成した場合にも繊維の分布均一性を高くできる。
ファイバーの平均繊維径は、ファイバーの形成条件の選択で調整できる。たとえば、電界紡糸法によれば、電界紡糸の際に湿度を下げ、ノズル径を小さくし、印加電圧を高くし、または電圧密度を高くすることにより、得られたファイバーの平均繊維径が小さくなる傾向がある。
ここで、平均繊維径は、測定対象であるファイバー(群)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、10,000倍の倍率で観測したSEM画像から無作為に複数のたとえば、20本のファイバーを選び、これらの繊維径(長径)の測定結果による平均値である。
ファイバーの繊維径変動係数は、下記式で算出される値から好ましくは0.7以下、より好ましくは0.01〜0.5であればよい。この繊維径変動係数が所定の範囲内にあれば、ファイバーの繊維径が均一となり、このファイバーで得られる不織布または織布はより高い空孔率を有し、電荷保持性の高い多孔質樹脂シートを得る上からも好ましい。
【0052】
繊維径変動係数=標準偏差/平均繊維径 ・・・(2)
なお、「標準偏差」とは、既述の20本のファイバーの繊維径の標準偏差である。
ファイバーの繊維長は、好ましくは0.1〜1000〔mm〕、より好ましくは0.5〜100〔mm〕、さらに好ましくは1〜50〔mm〕であればよい。
ファイバーは、たとえば、電界紡糸法、溶融紡糸法、溶融電界紡糸法、スパンボンド法(メルトブロー法)、湿式法、スパンレース法により製造すればよい。電界紡糸法により得られるファイバーは繊維径が小さい。このファイバーを用いた不織布または織布では、空孔率が高くかつ高比表面積であり、高い圧電性を有する多孔質樹脂シートを得ることができる。
電界紡糸法では、ポリマーおよび必要に応じて溶媒を含む紡糸液が用いられる。ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。紡糸液中に含まれるポリマーの割合は、例えば5〜100〔重量%〕、好ましくは5〜80〔重量%〕、より好ましくは10〜70〔重量%〕でよい。
溶媒はポリマーを溶解しまたは分散し得るものであればよく、限定されない。溶媒はたとえば、水、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルピロリドン、キシレン、アセトン、クロロホルム、エチルベンゼン、シクロヘキサン、ベンゼン、スルホラン、メタノール、エタノール、フェノール、ピリジン、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、トリクロロエタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジエチルエーテルのいずれでもよい。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせた混合溶媒を用いてもよい。紡糸液中に含まれる溶媒は、たとえば、0〜90〔重量%〕、好ましくは10〜90〔重量%〕、より好ましくは20〜80〔重量%〕でよい。
【0053】
紡糸液は、ポリマー以外の無機フィラー、界面活性剤、分散剤、電荷調整剤、機能性粒子、接着剤、粘度調整剤、繊維形成剤などの添加剤を含んでよい。添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上でもよい。紡糸液において、ポリマーの溶媒への溶解度が低い場合、たとえば、ポリマーがPTFEであり、溶媒が水である場合、紡糸時にポリマーを繊維形状に保持させるには1種または2種以上の繊維形成剤を含むことが好ましい。
繊維形成剤は溶媒に対し高い溶解度を有するポリマーであることが好ましい。繊維形成剤としてたとえば、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、デキストラン、アルギン酸、キトサン、でんぷん、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリビニルアルコールが挙げられる。繊維形成剤の使用量は、溶媒の粘度、溶媒への溶解度にもよるが、紡糸液中にたとえば、0.1〜15〔重量%〕、好ましくは1〜10〔重量%〕でよい。
紡糸液は、ポリマー、溶媒および必要に応じて添加剤を公知の方法で混合して製造すればよい。ポリマーがPTFEであれば、紡糸液として、PTFEを30〜70〔重量%〕、好ましくは35〜60〔重量%〕含み、繊維形成剤を0.1〜10〔重量%〕、好ましくは1〜7重量%含み、合計が100〔重量%〕の溶媒を含む紡糸液が好ましい。
電界紡糸を行う際の印加電圧は、好ましくは1〜100〔kV〕、より好ましくは5〜50〔kV〕、さらに好ましくは10〜40〔kV〕でよい。
電界紡糸に用いられる紡糸ノズルの先端径(外径)は、好ましくは0.1〜2.0〔mm〕、より好ましくは0.2〜1.6〔mm〕でよい。
たとえば、紡糸液を用いる場合、印加電圧は、好ましくは10〜50〔kV〕、より好ましくは10〜40〔kV〕である。紡糸ノズルの先端径(外径)は、好ましくは0.3〜1.6〔mm〕でよい。
【0054】
ファイバーで不織布を形成するにはたとえば、電界紡糸法を用いて、ファイバーを製造する工程、およびファイバーをシート状に集積して不織布を形成する工程を同時に行ってよいし、ファイバーを製造する工程の後、湿式法により前記ファイバーをシート状に集積して不織布を形成する工程を行ってよい。
【0055】
湿式法による不織布の形成ではたとえば、ファイバーを含有する水分散液を用い、メッシュ上にファイバーを堆積(集積)させてシート状に成形(抄紙)する方法を用いてよい。
この湿式法におけるファイバーの使用量は、水分散液全量に対して、好ましくは0.1〜10〔重量%〕、より好ましくは0.1〜5〔重量%〕でよい。この範囲内でファイバーを使用すれば、ファイバーを堆積させる工程で水を効率よく活用でき、また、ファイバーの分散状態がよく、均一な湿式不織布が得られる。
水分散液には、分散状態を良好にするためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系等の界面活性剤などからなる分散剤や油剤、また、泡の発生を抑制する消泡剤等をそれぞれ1種または2種以上添加してよい。
ファイバーによる織布の製造方法には、ファイバーの製造工程、この工程で得られたファイバーをシート状に製織する織布形成工程を含んでよい。ファイバーをシート状に製織する方法には、公知の製織方法を用いてよい。この製織方法にはウォータージェットルーム、エアージェットルーム、レピアルームなどの方法が挙げられる。
ポリマーがPTFEであれば、不織布または織布の形成後、加熱処理を行うことが好ましい。この加熱処理では、該不織布または織布を、通常200〜390〔℃〕、30〜300〔分〕の条件で熱処理すればよい。この加熱処理を行えば、不織布または織布に残留する溶媒や繊維形成剤などを除去できる。
【0056】
不織布の製造方法の一例として、電界紡糸法によるPTFEからなるファイバーの製造工程を含む場合を例示する。PTFEファイバーからなる不織布の製造方法には公知の製造方法を採用でき、たとえば、特表2012−515850号公報に記載された方法が挙げられる。この製造方法には、PTFE、繊維形成剤および溶媒を含み、少なくとも50,000〔cP〕の粘度を有する紡糸液を提供するステップと、紡糸液をノズルより紡糸し静電的牽引力によりファイバー化するステップと、前記ファイバーをコレクター(例:巻き取りスプール)の上に集め、前駆体を形成するステップと、前駆体を焼成して溶媒および繊維形成剤を除去することでPTFEファイバーからなる不織布を形成するステップが含まれる。
【0057】
不織布および織布の目付は、好ましくは100〔g/m
2〕以下、より好ましくは0.1〜50〔g/m
2〕、さらに好ましくは0.1〜20〔g/m
2〕でよい。目付は、紡糸時間を長くし、紡糸ノズル数を増やすなどにより、増大する傾向を呈する。
不織布および織布は、ファイバーをシート状に集積または製織している。斯かる不織布および織布は、単層から構成されるもの、または材質や繊維径の異なる2層以上から構成されるものの何れでもよい。
そして、多孔質樹脂シートは、分極処理されたものが好ましい。分極処理をすれば、該シートに電荷を注入でき、該電荷は、多孔質樹脂シート内の空孔内に集中して分極を誘起させる。内部分極したシートでは、該シートの厚さ方向に印加される圧縮荷重により、シートの表裏面から該電荷を取り出すことが可能である。つまり、斯かる電荷が外部負荷(電気回路)に対して電荷移動を生じ、起電力が得られる。これが電位差、つまり電圧を生起させる。
【0058】
分極処理の方法には、公知の方法を用いてよく、たとえば、直流電圧や交流電圧の印加処理の他、コロナ放電処理を用いればよい。
コロナ放電処理では、高電圧電源および電極装置を用いればよい。放電条件は、多孔質樹脂シートの材料および厚さに応じて適宜選択し、たとえば、PTFEからなる多孔質樹脂シートであれば、好ましい処理条件として、電圧が−0.1〜−100〔kV〕、より好ましくは−1〜−20〔kV〕、電流が0.1〜100〔mA〕、より好ましくは1〜80〔mA〕、電極間距離が0.1〜100〔cm〕、より好ましくは1〜10〔cm〕、印加電圧が0.01〜10.0〔MV/m〕、より好ましくは0.5〜2.0〔MV/m〕とすればよい。
分極処理について、多孔質樹脂シート単体に対して分極処理をしてよいが、圧電層として、たとえば、多孔質樹脂シートと絶縁層などとの積層体を構成するのであれば、該積層体を形成した後、絶縁層の積層後に分極処理をすることが好ましい。多孔質樹脂シートに積層される層は、分極処理により多孔質樹脂シートに保持された電荷が外部環境と電気的に接続して減衰するのを防止する役割を果たす。これにより、振動検出の高感度化に寄与する。また、多孔質樹脂シートと多孔質樹脂シートに積層される層との間に電荷を保持し得る新たな界面を形成できる傾向にある。これにより、多孔質樹脂シートの圧電率が向上すると考えられる。
【0059】
<振動源32>
振動センサー2の振動検出対象である振動源32には、既述のモーターに限定されない。交流電源などの電源誘導ノイズの影響を受けるたとえば、交流電源の環境下に設置される配管、回転系部品などを含む機械、地盤、建物、車両、船舶、航空機などを含んでよい。配管には、たとえば水道配管、ガス配管、石化プラント配管、熱交換器配管、燃料配管、油空圧配管、薬液配管、食品プラント配管などを含んでよい。回転系部品には、ポンプ、圧縮機、エンジン、ベアリング、タービン、車輪など回転動作によって振動が発生するものを含んでよい。
たとえば、配管振動の検出に振動センサー2を適用すれば、配管内流体の漏洩などによる異常振動を検出することができる。回転系部品の回転振動の検出に振動センサー2を適用すれば、振動から回転異常を検出することができる。
振動源32の表面材質は、金属、セラミックス、ゴムや樹脂など、金属材料、無機材料、高分子材料など何れでもよい。振動源32の表面状態は、平坦面、円筒や球などの曲面、凹凸面など、何れでもよい。
【実施例5】
【0060】
振動検出システム30(
図6)について、振動源32に交流モーターを使用し、電源誘導ノイズの低減およびモーター振動の検出を行った。モーターには振動センサー2を両面接着テープで固定した。モーターは非接地とした。波形観測には波形観測機器の一例としてオシロスコープを使用した。
出力取出し部6にシールド対策を施していない従来の圧電センサーを比較例とした。
【0061】
シールド対策を施していない圧電センサーでは、
図11のAに示す出力波形が観測された。
図11のAにおいて、縦軸は振動レベル、横軸は時間tを示す。この出力波形では正弦波状の周期変動に対し高周波成分の重畳が観測されている。
この出力波形について、周波数解析(FFT)を実施したところ、
図11のBに示す周波数成分が観測された。
図11のBにおいて、縦軸は周波数分布レベル、横軸は周波数fを示す。しかしながら、この周波数解析出力には、電源誘導ノイズ成分が含まれている結果、この周波数解析出力からモーター振動固有の波形を判別することができない。
【0062】
これに対し、圧電素子4側にシールド導体層42−1、42−2を備える振動センサー2では、
図12のAに示す出力波形が観測された。この出力波形では、正弦波状の周期変動が含まれているものの、その振動レベルは
図11のAに示す出力波形に対して大幅に低減されていることが判る。
【0063】
また、圧電素子4側にシールド導体層42−1、42−2を備え、シールド対策を施した出力取出し部6を備えた振動センサー2では、
図12のBに示す出力波形が観測された。
図12のBにおいて、縦軸は振動レベル、横軸は時間tを示す。この出力波形では、正弦波状の周期変動は観測されず、電源誘導ノイズが皆無であることが判る。
この出力波形について、縦軸の1目盛りレンジをたとえば、1〔V〕から20〔mv〕に変更すると、
図13のAに示すように、モーター固有の振動成分信号が観測された。
この出力波形について、FFTを実施したところ、
図13のBに示す周波数成分が観測された。この周波数解析出力には、商用交流周波数f0=60〔Hz〕、モーター固有周波数であるf1=30〔Hz〕、f1=125〔Hz〕の振動周波数が確認された。
【0064】
この実施例から明らかなように、出力取出し部6における既述のシールド対策が電源誘導ノイズを低減でき、モーターなどの振動源32が発生する固有振動を振動センサー2により、電源誘導ノイズの影響を受けることなく、高精度に検出することが確認された。
【0065】
〔他の実施の形態〕
接続導体に伝送されるノイズを相殺するノイズ相殺手段を備えてもよい。
【0066】
以上説明したように、振動センサーおよび振動検出システムの最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。