(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
SLO光源からのSLO光の焦点位置を変更するSLO焦点位置変更部を含み、前記SLO光で被検眼をスキャンすることにより前記被検眼のデータを収集するSLO系と、
OCT光源からのOCT光に基づく測定光を前記被検眼に投射し、その戻り光と前記OCT光に基づく参照光との干渉光を検出して前記被検眼の画像を形成するOCT系と、
前記SLO光の焦点位置及び前記測定光の焦点位置を変更する焦点位置変更部と、
前記焦点位置変更部により前記SLO光の焦点位置及び前記測定光の焦点位置が前記被検眼の眼底と異なる部位に変更されたとき、前記SLO焦点位置変更部を制御することにより前記SLO光の焦点位置を前記眼底に変更させ、かつ、前記被検眼を固視させるための固視光として前記SLO光を前記眼底に投射するように前記SLO系を制御する制御部と、
を含む眼科撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係る眼科撮影装置の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
【0012】
以下の実施形態に係る眼科撮影装置は、少なくともSLOの機能と光干渉断層計の機能とを備え、被検眼における複数の撮影部位の断層像を選択的に形成することが可能な装置である。SLOの機能には、SLO光源からのSLO光で被検眼をスキャンすることにより被検眼のデータを収集する機能が含まれる。光干渉断層計の機能には、OCT光源からOCT光に基づく測定光を被検眼に投射し、被検眼からの測定光の戻り光とOCT光に基づく参照光との干渉光を検出して被検眼の断層像を形成する機能が含まれる。眼科撮影装置は、眼底と異なる部位に測定光の焦点位置が変更されたとき、SLO光を固視光として被検眼に投射しつつ、被検眼に対してOCTを実行することにより当該部位における断層像を形成することが可能である。
【0013】
このような眼科撮影装置には、被検眼に向かう光路(SLO光の光路及び測定光の光路)に対して挿入及び退避が可能なレンズ(前眼部撮影用レンズ、前眼部観察用レンズ)170が設けられている。レンズ170は、1以上のレンズにより構成される。レンズ170は、図示しない挿脱機構によりSLO光の光路及び測定光の光路に対して挿脱される。レンズ170は、眼科撮影装置に装着可能なアタッチメント(アダプタ、光学ユニット)に内蔵され、当該アダプタを眼科撮影装置に装着することにより上記の光路に配置されてもよい。レンズ170は、眼底のOCT計測を行うときにSLO光の光路及び測定光の光路から退避され、前眼部のOCT計測を行うときにSLO光の光路及び測定光の光路に配置される。
【0014】
以下では、眼底撮影用の眼科撮影装置の光学系の光軸にレンズ170が配置され、その用途が前眼部撮影用に変更されるものとして説明する。なお、前眼部撮影用の眼科撮影装置の光学系の光軸からレンズが退避され、その用途が眼底撮影用に変更されるように構成されてもよい。撮影部位(観察部位、計測部位)は、眼底や前眼部に限定されるものではなく、例えば硝子体や水晶体など、被検眼の任意の部位であってよい。
【0015】
実施形態に係る眼科撮影装置は、スウェプトソースOCTを実行する機能を備えているが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。例えば、OCTの種別はスウェプトソースOCTには限定されず、スペクトラルドメインOCT等であってもよい。スウェプトソースOCTは、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した測定光の戻り光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、この干渉光をバランスドフォトダイオード等で検出し、波長の掃引及び測定光のスキャンに応じて収集された検出データにフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。スペクトラルドメインOCTは、低コヒーレンス光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した測定光の戻り光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル分布を分光器で検出し、検出されたスペクトル分布にフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。実施形態に係る眼科撮影装置には、スリットランプ顕微鏡や手術用顕微鏡や光凝固装置などが設けられてもよい。
【0016】
以下では、被検者から見て左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、被検者から見て光学系の奥行き方向をZ方向として説明する。また、この明細書では、SLOを用いて取得される画像をSLO画像と総称し、OCTによって取得される画像(断層像)をOCT画像と総称することがある。
【0017】
<第1実施形態>
[光学系]
図1A及び
図1Bに、第1実施形態に係る眼科撮影装置の光学系の構成例を示す。
図1Aは、眼底撮影(眼底計測)時の光学系の構成例を表したものである。
図1Aでは、被検眼Eの眼底Efと光学的に共役な位置又はその近傍が眼底共役位置Pとして図示され、被検眼Eの瞳(瞳孔)と光学的に共役な位置又はその近傍が瞳共役位置Qとして図示されている。
図1Bは、前眼部撮影(前眼部計測)時の光学系の構成例を表したものである。
図1Bにおいて、
図1Aと同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1Bでは、被検眼Eの眼底Efと光学的に共役な位置又はその近傍が眼底共役位置P´として図示され、被検眼Eの瞳(瞳孔)と光学的に共役な位置又はその近傍が瞳共役位置Q´として図示されている。
【0018】
第1実施形態に係る眼科撮影装置の光学系100は、対物レンズ系110を介して被検眼Eに光を投射する投射系と、投射系により被検眼Eに投射された光の戻り光を対物レンズ系110を介して受光する受光系とを含む。眼科撮影装置は、受光系による受光結果に基づいて画像を形成する。眼科撮影装置は、SLO画像及びOCT画像を形成することが可能である。すなわち、光学系100は、SLO光学系130と、OCT光学系140とを含む。SLO光学系130は、SLO投射系と、SLO受光系とを含む。OCT光学系140は、OCT投射系と、OCT受光系とを含む。
【0019】
眼科撮影装置には、被検眼の前眼部を撮影するための前眼部撮影系120が設けられている。光学系100は、対物レンズ系110や前眼部撮影系120と共に、図示しない移動機構(後述の移動機構100D)によりX方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。眼科撮影装置は、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部像に基づいて移動機構により光学系100等を移動することにより、被検眼Eに対して光学系100の位置合わせを行うためのアライメントを行うことが可能である。以下では、光学系100が対物レンズ系110や前眼部撮影系120を含む場合について説明するが、光学系100が対物レンズ系110及び前眼部撮影系120の少なくとも一方を含まない構成であってもよい。
【0020】
(対物レンズ系)
対物レンズ系110は、対物レンズ111を含む。対物レンズ111は、2以上のレンズにより構成されていてもよい。実施形態に係る対物レンズ系110は、2以上のレンズを含む。2以上のレンズの間には、ダイクロイックミラーDM1が設けられる。例えば、対物レンズ系110は、対物レンズ111と、凹レンズ112とを含むレンズユニット(ナグラータイプ)であってよい。被検眼Eの側から対物レンズ111及び凹レンズ112の順序で配置されている。ダイクロイックミラーDM1は、SLO光学系130の光路及びOCT光学系140の光路の双方に前眼部撮影系120の光路を結合する光路結合部材である。対物レンズ系110と被検眼Eとの間には、レンズ170が配置可能である。
図1Aに示すように、SLO光学系130やOCT光学系140を用いた眼底撮影時にはレンズ170が対物レンズ系110と被検眼Eとの間から待避される。眼底撮影時にはダイクロイックミラーDM1と凹レンズ112との間に眼底共役位置P(
図1A)が設けられる。
図1Bに示すように、SLO光学系130やOCT光学系140を用いた前眼部撮影時にはレンズ170が対物レンズ系110と被検眼Eとの間に配置される。前眼部撮影時にはダイクロイックミラーDM1と凹レンズ112との間に瞳共役位置Q´(
図1B)が設けられる。
【0021】
対物レンズ111は、被検眼の眼底(網膜)におけるSLO光のスポット径が既定値以下になるように設定された角倍率を有する。ここで、SLO光学系130におけるSLO光源(後述のSLO光源131B)から出力され対物レンズ111に入射するSLO光のビーム径をDミリメートルとし、角倍率をK倍とすると、K≧D/2を満たすことが望ましい。例えばDが7である場合、Kは3.5以上である。すなわち、第1実施形態に係る眼科撮影装置は、3.5倍以上の所定の角倍率を有する対物レンズを設けることによりSLO光の眼底におけるデフォーカス量を低減する。それにより、前眼部のOCT画像を取得するためにSLO光の光路と測定光の光路との間にレンズ170が配置された場合であっても、眼底のSLO画像の取得に用いるSLO光を固視光として眼底に投射することができるようになる。従って、光学系を追加することなく固視標を用いて被検眼の動きを小さく抑え、OCTによる安定した前眼部観察が可能になる。
【0022】
対物レンズ系110は、ダイクロイックミラーDM1を含んでもよい。ダイクロイックミラーDM1は、SLO光学系130からの光(SLO光)、その被検眼Eからの戻り光、OCT光学系140からの光(OCT光、測定光)及びその被検眼Eからの戻り光を透過させる。ダイクロイックミラーDM1は、前眼部撮影系120からの光を被検眼Eに向けて反射し、その被検眼Eからの戻り光を前眼部撮影系120に向けて反射する。
【0023】
対物レンズ系110は、互いに撮影範囲が異なる撮影モードに応じて光学系100の光軸Oに選択的に配置可能な複数の対物レンズユニットを含んでもよい。撮影モードには、第1範囲(例えば画角が100度)で被検眼Eを撮影する広角撮影モードと、第1範囲より狭い第2範囲(例えば画角が50度)で被検眼Eを撮影する高倍率撮影モードとがある。広角撮影モードでは、被検眼Eの第1範囲を表す広角の画像(SLO画像又はOCT画像)が取得される。高倍率撮影モードでは、被検眼Eの第1範囲より狭い第2範囲を表す高倍率(狭角)の画像(SLO画像又はOCT画像)が取得される。複数の対物レンズユニットは、例えば撮影モードに応じて公知の回転機構又はスライド機構により手動又は自動で光軸Oに選択的に配置される。
【0024】
対物レンズ系110は、図示しない移動機構(後述の移動機構110D)により光軸Oに沿って移動可能である。それにより、光学系100に対して対物レンズ系110をZ方向に移動することが可能になり、SLO光学系130及びOCT光学系140の双方の焦点位置を変更することができる。
【0025】
(前眼部撮影系)
前眼部撮影系120は、前眼部照明光源121と、コリメートレンズ122と、前眼部撮影カメラ123と、結像レンズ124と、ビームスプリッタBS1とを含む。ビームスプリッタBS1は、被検眼Eの前眼部を照明するための照明光の光路に、その戻り光の光路を結合する光路結合部材である。
【0026】
前眼部照明光源121は、被検眼Eの前眼部を照明するための光源である。前眼部撮影カメラ123は、前眼部照明光源121により照明された被検眼Eの前眼部からの反射光(戻り光)を検出するための撮像素子を備えている。前眼部照明光源121には、例えば、中心波長が近赤外領域の波長帯に含まれる光を発するLEDが用いられる。前眼部照明光源121により発せられた光は、コリメートレンズ122により平行光束とされる。平行光束とされた照明光は、ビームスプリッタBS1によりダイクロイックミラーDM1に向けて反射される。ビームスプリッタBS1により反射された照明光は、ダイクロイックミラーDM1により被検眼Eに向けて偏向される。被検眼Eからの照明光の戻り光は、ダイクロイックミラーDM1により反射され、ビームスプリッタBS1を透過する。ビームスプリッタBS1を透過した戻り光は、結像レンズ124により前眼部撮影カメラ123における撮像素子の検出面に集光される。例えば、撮像素子の検出面は、瞳共役位置に配置されている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementaly Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成されている。撮像素子による被検眼Eの前眼部からの戻り光の検出結果は、前眼部の画像の形成に用いられる。
【0027】
(SLO光学系)
図1A及び
図1Bに示すように、SLO光学系130の光路とOCT光学系140の光路とは、ダイクロイックミラーDM2により結合される。SLO光学系130の少なくとも一部がテレセントリック光学系として形成されている。同様に、OCT光学系140の少なくとも一部がテレセントリック光学系として形成されている。ダイクロイックミラーDM2は、SLO光学系130のテレセントリック光学系により形成される光路とOCT光学系140のテレセントリック光学系により形成される光路とを結合する。それにより、対物レンズ系110の移動により光学系100の焦点位置を変更した場合でも瞳(例えば対物レンズ系110による射出瞳)の収差が小さくなるため、合焦状態の調整が容易になる。
【0028】
SLO光学系130は、近赤外光を用いてSLO画像を取得するための第1SLO光学系と、可視光(例えばグリーン光)を用いてSLO画像を取得するための第2SLO光学系とを備えている。具体的には、第1SLO光学系は、SLO光源131Aと、コリメートレンズ132Aと、集光レンズ133Aと、共焦点絞り134Aと、検出器135Aとを含む。第2SLO光学系は、SLO光源131Bと、コリメートレンズ132Bと、集光レンズ133Bと、共焦点絞り134Bと、検出器135Bとを含む。SLO光学系130には、第1SLO光学系と第2SLO光学系とが互いに共有する光路に、ビームスプリッタBS2〜BS4と、光スキャナ136と、レンズ137とが設けられている。ビームスプリッタBS2は、被検眼Eに投射されるSLO光(SLO光源131A、131BからのSLO光)の光路に、その戻り光の光路を結合する光路結合部材である。ビームスプリッタBS3は、被検眼EからのSLO光の戻り光のうちSLO光源131Aからの近赤外光の戻り光を透過させ、SLO光源131Bからの可視光の戻り光を反射する光路分離部材である。ビームスプリッタBS4は、SLO光源131AからのSLO光の光路に、SLO光源131BからのSLO光の光路を結合する光路結合部材である。
【0029】
SLO光源131Aは、例えば近赤外領域の波長帯に中心波長が含まれる光を発するものが用いられる。SLO光源131Bは、例えば緑の波長帯に中心波長が含まれる光を発するものが用いられる。SLO光源131A、131Bとして、例えばレーザーダイオード(Laser Diode:以下、LD)、スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)、レーザードリブンライトソース(Laser Driven Light Source:LDLS)などが挙げられる。
【0030】
SLO光源131Aから発せられた光は、コリメートレンズ132Aにより平行光束とされる。平行光束とされた光は、ビームスプリッタBS4を透過し、ビームスプリッタBS2に導かれる。同様に、SLO光源131Bから発せされた光は、コリメートレンズ132Bにより平行光束とされる。平行光束とされた光は、ビームスプリッタBS4により反射され、ビームスプリッタBS2に導かれる。ビームスプリッタBS2に導かれたSLO光源131A、131Bからの光は、ビームスプリッタBS2を透過し、光スキャナ136に導かれる。
【0031】
光スキャナ136は、SLO光源131A、131Bからの光で被検眼Eの眼底Efをスキャンするために用いられる。光スキャナ136は、X方向に光を偏向させる光スキャナ136Xと、Y方向に光を偏向させる光スキャナ136Yとを含む。光スキャナ136Xは、その傾きが変更可能なミラーであり、後述の制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ136は、例えば、眼底面内や前眼部内の水平方向のスキャンに用いられる。光スキャナ136Xの被検眼Eの側には、光スキャナ136Yが配置されている。光スキャナ136Yは、その傾きが変更可能なミラーであり、制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ136Yは、例えば、眼底面内や前眼部内において水平方向に直交する垂直方向のスキャンに用いられる。光スキャナ136X及び光スキャナ136Yのいずれか一方は、ガルバノミラーなどの低速スキャナであり、他方は、レゾナントミラーやポリゴンミラー、或いはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:以下、MEMS)ミラーなどの高速スキャナであってよい。
【0032】
光スキャナ136は、眼底撮影時には瞳共役位置Qに配置され(
図1A)、前眼部撮影時には眼底共役位置P´に配置される。瞳共役位置Qや眼底共役位置P´は、光スキャナ136Xの反射面(偏向面)と光スキャナ136Yの反射面(偏向面)との間の位置(中間位置)であってよい。
【0033】
光スキャナ136Yの被検眼Eの側には、レンズ137と、ダイクロイックミラーDM2とが配置されている。光スキャナ136により偏向されたSLO光源131A、13Bからの光は、レンズ137を通過し、ダイクロイックミラーDM2を透過し、対物レンズ系110を介して被検眼Eに投射される。
【0034】
被検眼Eに投射されたSLO光源131A、131Bからの光の戻り光は、同じ光路を経由してビームスプリッタBS2によりビームスプリッタBS3に向けて反射される。ビームスプリッタBS3に導かれてきた戻り光のうちSLO光源131Aからの近赤外光の戻り光は、ビームスプリッタBS3を透過して集光レンズ133Aに導かれる。ビームスプリッタBS3に導かれてきた戻り光のうちSLO光源131Bからの可視光の戻り光は、ビームスプリッタBS3により反射され集光レンズ133Bに導かれる。集光レンズ133Aに導かれた戻り光は、共焦点絞り134Aに形成された開口を通過し、検出器135Aの検出面に入射する。同様に、集光レンズ133Bに導かれた戻り光は、共焦点絞り134Bに形成された開口を通過し、検出器135Bの検出面に入射する。共焦点絞り134A、134Bに形成された開口は、眼底撮影時には眼底共役位置Pに配置され(
図1A)、前眼部撮影時には瞳共役位置Q´に配置される。検出器135A、135Bは、例えば、アバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode:APD)又は光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube:PMT)により構成されている。
【0035】
(OCT光学系)
OCT光学系140は、合焦レンズ141と、光スキャナ142と、コリメートレンズ143と、干渉光学系150とを含む。干渉光学系150は、OCT光源151と、ファイバーカプラ152、153と、プリズム154と、検出器155とを含む。
【0036】
合焦レンズ141は、図示しない移動機構(後述の移動機構141D)によりOCT光学系140の光軸(光路)に沿って移動可能である。それにより、SLO光学系130とは独立にOCT光学系140の焦点位置を変更することが可能になる。従って、例えば対物レンズ系110の移動によりSLO光学系130及びOCT光学系140の合焦状態が調整された後、合焦レンズ141の移動によりOCT光学系140の合焦状態の微調整を行うことができる。
【0037】
光スキャナ142は、OCT光源151からの光に基づく測定光で被検眼Eの眼底Efをスキャンするために用いられる。光スキャナ142は、X方向に光を偏向させる光スキャナ142Xと、Y方向に光を偏向させる光スキャナ142Yとを含む。光スキャナ142Xは、その傾きが変更可能なミラーであり、制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ142は、例えば、眼底面内や前眼部内の水平方向のスキャンに用いられる。光スキャナ142Xの被検眼Eの側には、光スキャナ142Yが配置されている。光スキャナ142Yは、その傾きが変更可能なミラーであり、制御部200により反射面の傾きが制御される。光スキャナ142Yは、例えば、眼底面内や前眼部内において水平方向に直交する眼底面内の垂直方向のスキャンに用いられる。光スキャナ142X及び光スキャナ142Yのいずれか一方は、低速なガルバノミラーなどの低速スキャナであり、他方は、高速なガルバノミラーなどの高速スキャナであってよい。光スキャナ142X、142Yの間には、眼底撮影時に瞳共役位置Qが配置され、前眼部撮影時には眼底共役位置P´が配置される。光スキャナ142YのOCT光源151の側には、コリメートレンズ143が配置されている。
【0038】
なお、光スキャナ142は、2次元的に光を偏向する場合について説明したが、1次元的に光を偏向するものであってもよい。この場合、光スキャナ142は、光スキャナ142X、142Yの一方だけを含む。
【0039】
干渉光学系150には、被検眼EのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する干渉光学系である。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す信号である。なお、干渉光学系150は、スウェプトソースタイプのOCT装置ではなく、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有していてもよい。
【0040】
OCT光源151は、OCT光(出射光)の波長を掃引(走査)可能な波長掃引型(波長走査型)光源である。波長掃引型光源には、例えば、共振器を含み、中心波長が1050nmの光を発するレーザー光源が用いられる。OCT光源151は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
【0041】
OCT光源151から出力された光(OCT光)L0は、光ファイバーf1によりファイバーカプラ152に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
【0042】
参照光LRは、光ファイバーf2によりファイバー出射端c1に導かれて、ファイバー出射端c1からコリメートレンズ156に照射される。ファイバー出射端c1から出射された参照光LRは、コリメートレンズ156により平行光束とされる。平行光束とされた参照光LRは、プリズム154に導かれる。プリズム154は、コリメートレンズ156により平行光束とされた参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。プリズム154に入射する参照光LRの光路と、プリズム154から出射する参照光LRの光路とは平行である。プリズム154は、図示しない移動機構(後述の移動機構154D)により参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動可能である。この場合、移動機構を駆動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。それにより、参照光LRの光路の長さが変更される。
【0043】
プリズム154を経由した参照光LRは、コリメートレンズ157によって平行光束から集束光束に変換されてファイバー入射端c2に入射し、光ファイバーf3によりファイバーカプラ153に導かれる。なお、コリメートレンズ156、157とプリズム154との間に、光路長補正部材や分散補償部材が配置されていてもよい。光路長補正部材は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。分散補償部材は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
【0044】
一方、ファイバーカプラ152により生成された測定光LSは、光ファイバーf4によりファイバー端c3に導かれる。ファイバー端c3は、眼底共役位置Pに配置されている。ファイバー端c3に導かれた測定光LSは、コリメートレンズ143に照射される。ファイバー端c3から照射された測定光LSは、コリメートレンズ143により平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、光スキャナ142及び合焦レンズ141を経由してダイクロイックミラーDM2に到達する。測定光LSは、ダイクロイックミラーDM2により反射され、対物レンズ系110により屈折されて被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。このような後方散乱光を含む測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバーカプラ152に導かれ、光ファイバーf5を経由してファイバーカプラ153に到達する。
【0045】
ファイバーカプラ153は、光ファイバーf5を介して入射された測定光LSと、光ファイバーf3を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバーカプラ153は、所定の分岐比(例えば1:1)で、測定光LSと参照光LRとの干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバーカプラ153から出射した一対の干渉光LCは、検出器155に導かれる。
【0046】
検出器155は、例えば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器155は、その検出結果(検出信号)を図示しないDAQ(Data Acquisition System)に送る。DAQには、OCT光源151からクロックが供給される。このクロックは、OCT光源151において、波長掃引型光源により所定の波長範囲内で掃引(走査)される各波長の出力タイミングに同期して生成される。DAQは、このクロックに基づき、検出器155の検出結果をサンプリングし、後述の画像形成部等に送る。画像形成部は、例えば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器155により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、画像形成部は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
【0047】
[処理系]
図2に、実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成例を示す。
図2において、
図1A及び
図1Bと同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0048】
(制御部)
第1実施形態に係る眼科撮影装置の処理系は、制御部200を中心に構成される。制御部200は、眼科撮影装置の各部の制御を行う。制御部200は、主制御部201と、記憶部202とを含む。主制御部201の機能は、例えばプロセッサにより実現される。記憶部202には、眼科撮影装置を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。このコンピュータプログラムには、各種の光源制御用プログラム、光スキャナ制御用プログラム、各種の検出器制御用プログラム、前眼部撮影カメラ制御用プログラム、各種の機構制御用プログラム、画像形成用プログラム、データ処理用プログラム及びユーザインターフェイス用プログラムなどが含まれる。このようなコンピュータプログラムに従って主制御部201が動作することにより、制御部200は制御処理を実行する。
【0049】
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等を含む処理回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0050】
対物レンズ系110に対する制御として、対物レンズ系110を光軸Oに沿って移動させる移動機構110Dに対する制御などがある。例えば、移動機構110Dには、移動機構110Dを駆動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構110Dに対する制御を行う。
【0051】
SLO光学系130に対する制御として、SLO光源131A、131Bの制御、光スキャナ136の制御、検出器135A、135Bの制御などがある。SLO光源131A、131Bの制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。光スキャナ136の制御には、光スキャナ136Xによる走査位置や走査範囲の制御、光スキャナ136Yによる走査位置や走査範囲の制御などがある。検出器135A、135Bの制御には、検出素子の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。
【0052】
OCT光学系140に対する制御として、OCT光源151の制御、光スキャナ142の制御、移動機構141Dや移動機構154Dの制御、検出器155の制御などがある。OCT光源151の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。光スキャナ142の制御には、光スキャナ142Xによる走査位置や走査範囲の制御、光スキャナ142Yによる走査位置や走査範囲の制御などがある。移動機構141Dは、OCT光学系140の光路に沿って合焦レンズ141を移動する。例えば、移動機構141Dには、移動機構を駆動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構141Dに対する制御を行う。移動機構154Dは、プリズム154を参照光LRの入射光路及び出射光路に沿う方向に移動する。例えば、移動機構154Dには、移動機構を駆動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構154Dに対する制御を行う。検出器155の制御には、検出素子の露光調整やゲイン調整や検出レート調整などがある。
【0053】
前眼部撮影系120に対する制御として、前眼部照明光源121の制御、前眼部撮影カメラ123の制御などがある。前眼部照明光源121の制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞り調整などがある。前眼部撮影カメラ123の制御には、撮像素子の露光調整やゲイン調整や撮影レート調整などがある。
【0054】
光学系100に対する制御として、光学系100(ダイクロイックミラーDM1、前眼部撮影系120を含む)をX方向、Y方向及びZ方向に移動する移動機構100Dの制御などがある。例えば、移動機構100Dには、移動機構を駆動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201は、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構100Dに対する制御を行う。
【0055】
主制御部201は、アライメント制御部201Aと、トラッキング制御部201Bと、表示制御部201Cとを含む。
【0056】
アライメント制御部201Aは、被検眼Eに対して光学系100の位置合わせを行うためのアライメントの実行を制御する。アライメント制御部201Aは、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部像に基づいて移動機構100D、110Dを制御する。アライメント制御部201Aは、例えば、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部像中の特徴部位を特定し、特定された特徴部位の位置と所定の目標位置とのずれ量がキャンセルされるように光学系100等の移動量を求める。アライメント制御部201Aは、求められた移動量に基づいて移動機構100D等を制御することにより被検眼Eに対して光学系100の位置合わせを行う(XY方向)。目標位置は、あらかじめ決められた位置であってもよいし、UI部230を用いて指定された前眼部像中の位置であってもよい。
【0057】
アライメント制御部201Aは、例えば、前眼部撮影系120により得られた被検眼Eの前眼部像の合焦状態(ぼけ具合)を特定し、特定された合焦状態が所望の合焦状態となるように光学系100のZ方向の移動量を求めることが可能である。アライメント制御部201Aは、求められた移動量に基づいて移動機構100D等を制御することにより、被検眼Eに対する光学系100及び光学系100の位置合わせを行う(Z方向)。なお、2以上のカメラを用いて互いに異なる方向から前眼部を撮影し、視差が設けられた2以上の画像から3次元的に合焦状態を特定し、特定された合焦状態が所望の合焦状態となるように光学系100のZ方向の移動量を求めてもよい。
【0058】
アライメント制御部201Aは、SLO光学系130により得られたSLO画像に基づいて移動機構110Dを制御することにより被検眼Eに対する対物レンズ系110の位置合わせ(Z方向)を行ってもよい。この場合、アライメント制御部201Aは、取得されたSLO画像の合焦状態(ぼけ具合)を特定し、特定された合焦状態が所望の合焦状態となるように対物レンズ系110のZ方向の移動量を求める。アライメント制御部201Aは、求められた移動量に基づいて移動機構110Dを制御する。
【0059】
トラッキング制御部201Bは、SLO光学系130により得られた被検眼EのSLO画像に対するトラッキングを制御する。トラッキング制御部201Bは、例えば、所定のタイミングでSLO画像中の特徴部位を特定し、特定された特徴部位の位置が変化したとき、その位置のずれ量がキャンセルされるように移動量を求める。トラッキング制御部201Bは、求められた移動量に基づいてSLO画像に対するトラッキングを制御する。
【0060】
また、トラッキング制御部201Bは、OCT光学系140により得られた被検眼EのOCT画像に対するトラッキングをSLO画像に基づいて制御する。トラッキング制御部201Bは、例えば、所定のタイミングでSLO画像中の特徴部位を特定し、特定された特徴部位の位置が変化したとき、その位置のずれ量がキャンセルされるように移動量を求める。トラッキング制御部201Bは、求められた移動量に基づいてOCT画像に対するトラッキングを制御する。トラッキング制御部201Bは、データ処理部220に設けられていてもよい。
【0061】
表示制御部201Cは、各種情報を後述のUI部230に表示させる。UI部230に表示される情報には、制御部200により生成された情報、画像形成部210により形成された画像、データ処理部220によるデータ処理後の情報などがある。
【0062】
(画像形成部)
画像形成部210は、SLO画像形成部210Aと、OCT画像形成部210Bとを含む。SLO画像形成部210Aは、検出器135Aから入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、近赤外光を用いたSLO画像の画像データを形成する。また、SLO画像形成部210Aは、検出器135Bから入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、緑成分の光を用いたSLO画像の画像データを形成する。OCT画像形成部210Bは、検出器155から入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、OCT画像の画像データを形成する。また、画像形成部210は、前眼部撮影カメラ123の撮像素子による被検眼Eの前眼部からの反射光の検出結果に基づいて前眼部像を形成する。画像形成部210により形成された各種の画像(画像データ)は、例えば記憶部202に保存される。
【0063】
(データ処理部)
データ処理部220は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部210又は他の装置により形成された画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像に対する解析処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
【0064】
(UI部)
UI(User Interface)部230は、ユーザと眼科撮影装置との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。UI部230は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、表示部を含んでよく、それ以外の表示デバイスを含んでもよい。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。制御部200は、操作デバイスに対する操作内容を受け、操作内容に対応した制御信号を各部に出力することが可能である。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
【0065】
SLO光源131Bは、実施形態に係る「SLO光源」の一例である。SLO光学系130、SLO画像形成部210Aは、実施形態に係る「SLO系」の一例である。OCT光源151は、実施形態に係る「OCT光源」の一例である。OCT光学系140、OCT画像形成部210Bは、実施形態に係る「OCT系」の一例である。SLO光の光路及び測定光の光路に対してレンズ170を挿脱する挿脱機構は、実施形態に係る「第2機構」の一例である。前眼部は、実施形態に係る「眼底と異なる部位」の一例である。レンズ170及び上記の挿脱機構は、実施形態に係る「焦点位置変更部」の一例である。
【0066】
[動作]
第1実施形態に係る眼科撮影装置の動作について説明する。
【0067】
図3に、実施形態に係る眼科撮影装置の動作の一例を示す。
図3は、被検眼Eの前眼部や眼底のSLO画像及びOCT画像を取得する場合の動作例を表す。
【0068】
(S1)
前眼部OCT撮影を行うとき(S1:Y)、眼科撮影装置の動作はS2に移行する。前眼部OCT撮影を行う場合、手動又は自動で対物レンズ111と被検眼Eとの間にレンズ170が配置される。それにより、レンズ170は、SLO光の光路及び測定光の光路に配置される。
【0069】
手動でレンズ170が当該光路に配置される場合、制御部200は、レンズ170が当該光路に配置されたことを検知するセンサーからの検知結果を受けて、眼科撮影装置の動作をS2に移行させることが可能である。
【0070】
自動で対物レンズ111が当該光路に配置される場合、制御部200は、SLO光の光路及び測定光の光路に対してレンズ170を挿脱させる挿脱機構(図示せず)を駆動するための駆動力を発生するアクチュエータを制御することにより、レンズ170を当該光路に配置させる。続いて、制御部200は、眼科撮影装置の動作をS2に移行させる。
【0071】
一方、前眼部OCT撮影を行わないとき(S1:N)、眼科撮影装置の動作はS10に移行する。前眼部OCT撮影を行わないとき、眼底OCT撮影を行うものとする。この場合、手動又は自動で対物レンズ111と被検眼Eとの間からレンズ170が退避される。
【0072】
手動でレンズ170が当該光路から退避される場合、制御部200は、レンズ170が当該光路か退避されたことを検知するセンサーからの検知結果を受けて、眼科撮影装置の動作をS10に移行させることが可能である。
【0073】
自動で対物レンズ111が当該光路から退避される場合、制御部200は、SLO光の光路及び測定光の光路に対してレンズ170を挿脱させる挿脱機構(図示せず)を駆動するための駆動力を発生するアクチュエータを制御することにより、レンズ170を当該光路か退避させる。続いて、制御部200は、眼科撮影装置の動作をS10に移行させる。
【0074】
(S2)
前眼部OCT撮影を行うとき(S1:Y)、制御部200は、SLO光学系130及びSLO画像形成部210Aを制御することにより被検眼Eの前眼部像を取得する。具体的には、制御部200は、SLO光源131Aをオンにして、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131Aからの光で被検眼Eの前眼部のスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135Aによる反射光の検出結果に基づいて近赤外光を用いた前眼部のSLO画像を形成する。
【0075】
なお、S2において、制御部200は、前眼部撮影系120を制御して被検眼Eの前眼部を撮影することにより前眼部像を取得してもよい。
【0076】
(S3)
アライメント制御部201Aは、S2において取得された前眼部像に基づいて移動機構100Dを制御することにより、被検眼Eに対する光学系100及び対物レンズ系110の位置合わせを行う(X方向、Y方向及びZ方向)。
【0077】
(S4)
制御部200は、SLO光学系130からのSLO光を固視光として被検眼Eに投射させる。具体的には、制御部200は、SLO光源131Bをオンにして緑成分の光を固視光として被検眼Eに投射させる。
【0078】
制御部200は、被検眼Eの眼底EfにおけるSLO光のスポット径を変更することにより固視標のサイズを変更させることが可能である。例えば、制御部200は、SLO光源131BからのSLO光が通過する絞り(図示せず)の開口径を変更することによりSLO光のビーム径を変更して被検眼Eに提示される固視標のサイズを変更させることが可能である。例えば、SLO光の光路及び測定光LSの光路にレンズ170が配置される前後で、被検者が視認する固視標のサイズが変化しないように眼底Efに投射される固視標のサイズを変更することが可能である。
【0079】
また、制御部200は、被検眼Eの眼底EfにおけるSLO光の投射位置を変更することにより固視標の形状を変更させることが可能である。例えば、制御部200は、SLO光源131Bの点灯タイミングと光スキャナ136によるSLO光の偏向方向とを連係的に制御することによりSLO光の投射位置を変更することで、被検眼Eに提示される固視標の形状を変更させることが可能である。
【0080】
(S5)
続いて、制御部200は、SLO光源131Aをオンにして、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131Aからの光で被検眼Eの前眼部のスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135Aによる反射光の検出結果に基づいて前眼部のSLO画像を形成する。また、制御部200は、OCT光源151をオンにして、光スキャナ142を制御することによりOCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの前眼部のスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて前眼部のOCT画像を形成する。S5において、トラッキング制御部201Bは、SLO画像に対するトラッキング制御とOCT画像に対するトラッキング制御とを開始してもよい。
【0081】
(S6)
アライメント制御部201Aは、S1又はS5において得られたSLO画像から網膜のフォーカス方向のアライメントを行う。それにより、対物レンズ系110の光軸Oの方向の位置の微調整が可能になる。
【0082】
(S7)
主制御部201は、OCT光学系140により得られた干渉光の検出信号に基づいてOCT光学系140の焦点位置を変更する。主制御部201は、例えば、所定の干渉光の検出信号の振幅が最大となるように移動機構141Dを制御することによりOCT光学系140の焦点位置を変更する。
【0083】
(S8)
制御部200は、再び、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131Aからの光で被検眼Eの前眼部のスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135Aによる反射光の検出結果に基づいて近赤外光を用いた前眼部のSLO画像を形成する。
【0084】
また、制御部200は、再び、光スキャナ142を制御することによりOCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの前眼部のスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて前眼部のOCT画像を形成する。それにより、SLO光による固視標を用いて被検眼の動きを小さく抑え、OCTによる安定した前眼部観察が可能になる。
【0085】
(S9)
次に、制御部200は、OCT撮影を終了するか否かを判定する。主制御部201は、UI部230に対する操作内容を検出することが可能である。主制御部201は、UI部230に対する操作内容に基づいて、OCT撮影を終了するか否かを判定する。主制御部201によりOCT撮影を終了すると判定されたとき(S9:Y)、眼科撮影装置の動作は終了する(エンド)。主制御部201によりOCT撮影を終了しないと判定されたとき(S9:N)、眼科撮影装置の動作はS1に移行する。
【0086】
(S10)
S1において前眼部OCT撮影を行わないとき(S1:N)、制御部200は、SLO光学系130及びSLO画像形成部210Aを制御することにより被検眼Eの前眼部像を取得する。S10の動作はS2と同様である。
【0087】
(S11)
アライメント制御部201Aは、S10において取得された前眼部像に基づいて移動機構100Dを制御することにより、被検眼Eに対する光学系100及び対物レンズ系110の位置合わせを行う(X方向、Y方向及びZ方向)。S11の動作はS3と同様である。
【0088】
(S12)
制御部200は、SLO光源131Aをオンにして、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131Aからの光で被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135Aによる反射光の検出結果に基づいて眼底EfのSLO画像を形成する。また、制御部200は、OCT光源151をオンにして、光スキャナ142を制御することによりOCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。S12において、トラッキング制御部201Bは、SLO画像に対するトラッキング制御とOCT画像に対するトラッキング制御とを開始してもよい。
【0089】
(S13)
アライメント制御部201Aは、S10又はS12において得られたSLO画像から網膜のフォーカス方向のアライメントを行う。それにより、対物レンズ系110の光軸Oの方向の位置の微調整が可能になる。
【0090】
(S14)
主制御部201は、OCT光学系140により得られた干渉光の検出信号に基づいてOCT光学系140の焦点位置を変更する。主制御部201は、例えば、所定の干渉光の検出信号の振幅が最大となるように移動機構141Dを制御することによりOCT光学系140の焦点位置を変更する。
【0091】
(S15)
制御部200は、再び、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131Aからの光で被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135Aによる反射光の検出結果に基づいて近赤外光を用いた眼底EfのSLO画像を形成する。また、制御部200は、光スキャナ136を制御することによりSLO光源131Bからの光で被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。SLO画像形成部210Aは、検出器135Aによる反射光の検出結果に基づいて緑成分の光を用いた眼底EfのSLO画像を形成する。近赤外光によるSLO画像と緑成分の光によるSLO画像とを略同時に取得してもよい。
【0092】
更に、制御部200は、再び、光スキャナ142を制御することによりOCT光源151からの光に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。OCT画像形成部210Bは、検出器155による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。眼科撮影装置の動作はS9に移行する。
【0093】
[効果]
第1実施形態に係る眼科撮影装置の効果について説明する。
【0094】
実施形態に係る眼科撮影装置は、SLO系(SLO光学系130、SLO画像形成部210A)と、OCT系(OCT光学系140、OCT画像形成部210B)と、焦点位置変更部(レンズ170、挿脱機構)と、対物レンズ(111)と、制御部(200)とを含む。SLO系は、SLO光源(131B)からのSLO光で被検眼(E)をスキャンすることにより被検眼のデータを収集する。OCT系は、OCT光源(151)からのOCT光(光L0)に基づく測定光(LS)を被検眼に投射し、その戻り光とOCT光に基づく参照光(LR)との干渉光(LC)を検出して被検眼の画像を形成する。焦点位置変更部は、SLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置を変更する。対物レンズは、SLO光の光路及び測定光の光路に配置され、被検眼の眼底(Ef)におけるSLO光のスポット径が既定値以下になるように設定された角倍率を有する。制御部は、焦点位置変更部によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が眼底と異なる部位(前眼部)に変更されたとき、被検眼を固視させるための固視光としてSLO光を眼底に投射するようにSLO系を制御する。
【0095】
このような構成によれば、SLO系とOCT系とを備えた眼科撮影装置において、被検眼の眼底におけるSLO光のスポット径が既定値以下になるように設定された角倍率を有する対物レンズを設け、焦点位置変更部によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が眼底と異なる部位に変更されたとき、固視光としてSLO光を眼底に投射させるようにしたので、光学系を追加することなくデフォーカス量が低減された固視光を眼底に投射することができる。それにより、ピントが合った固視標を被検眼に提示することが可能になり、被検眼の動きを小さく抑え、安定してOCTによる所定部位の観察が可能になる。
【0096】
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、SLO光源から出力され対物レンズに入射するSLO光のビーム径をDミリメートルとし、角倍率をK倍とすると、K≧D/2を満たしてもよい。
【0097】
このような構成によれば、対物レンズに入射するSLO光のビーム径に応じた角倍率を有する対物レンズを用いることで、光学系を追加することなくデフォーカス量が低減された固視光を眼底に投射することができる。
【0098】
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、角倍率は、3.5倍以上であってよい。
【0099】
このような構成によれば、対物レンズに入射するビーム径が7ミリメートルであるSLO光を固視光として用いることにより、被検眼の動きを小さく抑え、OCTによる安定した所定部位の観察が可能になる。
【0100】
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、眼底と異なる部位は、前眼部であってよい。
【0101】
このような構成によれば、光学系を追加することなく固視標を用いて被検眼の動きを小さく抑え、OCTによる安定した前眼部観察が可能になる。
【0102】
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、焦点位置変更部は、1以上のレンズ(レンズ170)と、SLO光の光路及び測定光の光路に対して1以上のレンズを挿脱する第2機構(挿脱機構)と、を含んでもよい。
【0103】
このような構成によれば、第2機構により1以上のレンズをSLO光の光路及び測定光の光路に対して挿脱することによってSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が変更された場合であっても、ピントが合った固視標を被検眼に提示することが可能になり、被検眼の動きを小さく抑え、安定してOCTによる所定部位の観察が可能になる。
【0104】
<第2実施形態>
第1実施形態では、所定の倍率以上の角倍率を有する対物レンズを設けることにより固視光として投射されるSLO光の眼底におけるデフォーカス量を低減する場合について説明したが、実施形態に係る眼科撮影装置の構成はこれに限定されるものではない。第2実施形態では、SLO合焦レンズ137aを設けることにより固視光として投射されるSLO光の眼底におけるデフォーカス量を低減する。以下では、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0105】
図4に、第2実施形態に係る眼科撮影装置の光学系の構成例を示す。
図4は、前眼部撮影時の光学系の構成例を表したものである。
図4において、
図1Bと同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、眼底撮影時の構成は第1実施形態と同様であるため、第2実施形態における眼底撮影時の光学系の構成例の図示を省略する。
【0106】
第2実施形態に係る光学系100aの構成が第1実施形態に係る光学系100の構成と異なる点は、対物レンズ系110に代えて対物レンズ系110aが設けられた点と、SLO光学系130に代えてSLO光学系130aが設けられた点である。対物レンズ系110aの構成が対物レンズ系110の構成と異なる点は、対物レンズ111に代えて対物レンズ111aが設けられた点である。対物レンズ111aは、被検眼の眼底におけるSLO光のスポット径が既定値以下になるように設定された角倍率を有さなくてよい。例えば、対物レンズ111aは、2倍の角倍率を有する。SLO光学系130aの構成がSLO光学系130の構成と異なる点は、レンズ137に代えてSLO合焦レンズ137aが設けられた点である。SLO合焦レンズ137aは、図示しない移動機構(後述の移動機構137D)によりSLO光学系130の光軸(光路)に沿って移動可能である。それにより、SLO光学系130の焦点位置を変更することが可能になる。従って、例えばレンズ170がSLO光の光路及び測定光の光路に配置された場合でもSLO合焦レンズ137aの移動により眼底EfにおけるSLO光の結像状態を変更して、ピントが合った固視標を被検眼に提示することが可能になる。
【0107】
図5に、第2実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成例を示す。
図5において、
図2又は
図4と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0108】
第2実施形態に係る処理系の構成が第1実施形態に係る処理系の構成と異なる点は、制御部200に代えて制御部200aが設けられた点と、移動機構137Dに対する制御が追加された点である。すなわち、制御部200aは、制御部200の制御対象に加えて移動機構137Dに対する制御を行う。移動機構137Dは、SLO光学系130の光路に沿ってSLO合焦レンズ137aを移動する。例えば、移動機構137Dには、移動機構を駆動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。主制御部201aは、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、移動機構137Dに対する制御を行う。
【0109】
制御部200aは、レンズ170によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が眼底から前眼部(眼底と異なる部位)に変更されたとき、SLO合焦レンズ137aを移動することによりSLO光の焦点位置を眼底Efに変更させる。また、制御部200aは、被検眼Eを固視させるための固視光としてSLO光を眼底に投射させる。それにより、SLO光を固視光として被検眼Eの眼底に投射しつつ、前眼部のOCT画像の取得が可能になる。このとき、SLO光の焦点位置が眼底Efに変更されるため、ピントが合った固視標を被検眼Eに提示しつつ、被検眼の動きを小さく抑え、安定してOCTによる前眼部観察が可能になる。
【0110】
図6に、第2実施形態に係る眼科撮影装置の動作例のフロー図を示す。
図6において、
図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0111】
図6に示す動作例のフローが
図3に示す動作例のフローと異なる点は、S4とS5との間にS4aが追加された点である。すなわち、S4において、制御部200aは、SLO光源131Bをオンにして緑成分の光を固視光として被検眼Eに投射させる。続いて、S4aにおいて、制御部200aは、SLO合焦レンズ137aをSLO光学系130の光路に沿って移動することにより固視光の合焦制御を行う。制御部200aは、あらかじめ決められた位置にSLO合焦レンズ137aを移動してもよいし、緑成分の光の被検眼Eからの戻り光の検出結果に基づいてSLO合焦レンズ137aを移動してもよい。その後、S5において、制御部200aは、前眼部のSLO画像と前眼部のOCT画像の形成とを実行させる。
【0112】
SLO合焦レンズ137a及び移動機構137Dは、実施形態に係る「SLO焦点位置変更部」の一例である。
【0113】
[効果]
第2実施形態に係る眼科撮影装置の効果について説明する。
【0114】
実施形態に係る眼科撮影装置は、SLO系(SLO光学系130a、SLO画像形成部210A)と、OCT系(OCT光学系140、OCT画像形成部210B)と、焦点位置変更部(レンズ170、挿脱機構)と、制御部(制御部200a)とを含む。SLO系は、SLO光源(131B)からのSLO光の焦点位置を変更するSLO焦点位置変更部(SLO合焦レンズ137a及び移動機構137D)を含み、SLO光で被検眼(E)をスキャンすることにより被検眼のデータを収集する。OCT系は、OCT光源(151)からのOCT光(L0)に基づく測定光(LS)を被検眼に投射し、その戻り光とOCT光に基づく参照光(LR)との干渉光(OC)を検出して被検眼の画像を形成する。焦点位置変更部は、SLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置を変更する。制御部は、焦点位置変更部によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が被検眼の眼底(Ef)と異なる部位(前眼部)に変更されたとき、SLO焦点位置変更部を制御することによりSLO光の焦点位置を眼底に変更させ、かつ、被検眼を固視させるための固視光としてSLO光を眼底に投射するようにSLO系を制御する。
【0115】
このような構成によれば、SLO系とOCT系とを備えた眼科撮影装置において、SLO光の焦点位置を変更するSLO焦点位置変更部を設け、焦点位置変更部によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が眼底と異なる部位に変更されたとき、SLO焦点位置変更部を制御することによりSLO光の焦点位置を眼底に変更させ、かつ、固視光としてSLO光を眼底に投射させるようにしたので、デフォーカス量が低減された固視光を眼底に投射することができる。それにより、ピントが合った固視標を被検眼に提示することが可能になり、被検眼の動きを小さく抑え、安定してOCTによる所定部位の観察が可能になる。
【0116】
<第3実施形態>
第2実施形態では、SLO合焦レンズ137aを設けることにより固視光として投射されるSLO光の眼底におけるデフォーカス量を低減する場合について説明したが、実施形態に係る眼科撮影装置の構成はこれに限定されるものではない。第3実施形態では、SLO光源131Bからの緑成分のSLO光の光路に開口絞り180を配置することにより固視光として投射されるSLO光の眼底におけるデフォーカス量を低減する。以下では、第3実施形態について、第1実施形態又は第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0117】
図7に、第3実施形態に係る眼科撮影装置の光学系の構成例を示す。
図7は、前眼部撮影時の光学系の構成例を表したものである。
図7において、
図1B又は
図4と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、眼底撮影時の構成は第1実施形態と同様であるため、第3実施形態における眼底撮影時の光学系の構成例の図示を省略する。
【0118】
第3実施形態に係る光学系100bの構成が第1実施形態に係る光学系の構成と異なる点は、対物レンズ系110に代えて対物レンズ系110aが設けられた点と、SLO光学系130に代えてSLO光学系130bが設けられた点である。対物レンズ系110aについては、第2実施形態と同様であるため詳細な説明を省略する。SLO光学系130bの構成がSLO光学系の構成と異なる点は、コリメートレンズ132BとビームスプリッタBS4との間に開口絞り180が挿脱可能に配置されている点である。開口絞り180には、SLO光源131BからのSLO光の光路に配置されたときに当該SLO光の光束を制限する開口が形成されている。開口絞り180に形成された開口のサイズはあらかじめ決められたサイズであってもよいし、サイズは可変であってもよい。開口絞り180は、図示しない挿脱機構(後述の挿脱機構180D)によりSLO光源131BからのSLO光の光路に対して挿脱される。従って、例えばレンズ170がSLO光の光路及び測定光の光路に配置された場合でも開口絞り180によりSLO光源131Bからの緑色成分のSLO光の光束を制限することにより、被検眼Eに入射するSLO光のビーム径を小さくして眼底Efにおけるスポット径を小さくすることができる。それにより、デフォーカス量が低減された固視光を眼底に投射することが可能になる。従って、ピントが合った固視標を被検眼に提示することが可能になり、被検眼の動きを小さく抑え、安定してOCTによる所定部位の観察が可能になる。
【0119】
図8に、第3実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成例を示す。
図8において、
図2又は
図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0120】
第3実施形態に係る処理系の構成が第1実施形態に係る処理系の構成と異なる点は、制御部200に代えて制御部200bが設けられた点と、挿脱機構180Dに対する制御が追加された点である。すなわち、制御部200bは、制御部200の制御対象に加えて挿脱機構180Dに対する制御を行う。挿脱機構180Dは、SLO光源131BからのSLO光の光路に対して開口絞り180を挿脱する。例えば、挿脱機構180Dには、当該光路に略平行な軸を中心に回動可能で開口が形成されたターレット板と、ターレット板を回動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータがターレット板を回動させることで、当該光路に開口を配置したり、当該光路から開口を退避させたりすることが可能である。また、挿脱機構180Dには、開口が形成され当該光路に対して交差する方向に移動可能なスライド板と、スライド板を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられてもよい。アクチュエータがスライド板を移動させることで、当該光路に開口を配置したり、当該光路から開口を退避させたりすることが可能である。主制御部201bは、アクチュエータに対して制御信号を送ることにより、挿脱機構180Dに対する制御を行う。
【0121】
制御部200bは、レンズ170によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が眼底から前眼部(眼底と異なる部位)に変更されたとき、開口絞り180をSLO光の光路に配置させることによりSLO光のビーム径を変更させる。また、制御部200bは、固視光としてSLO光を眼底に投射させる。それにより、SLO光を固視光として被検眼Eの眼底に投射しつつ、前眼部のOCT画像の取得が可能になる。このとき、SLO光の焦点位置が眼底Efに変更されるため、ピントが合った固視標を被検眼Eに提示しつつ、被検眼の動きを小さく抑え、安定してOCTによる前眼部観察が可能になる。
【0122】
図9に、第3実施形態に係る眼科撮影装置の動作例のフロー図を示す。
図9において、
図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0123】
図9に示す動作例のフローが
図3に示す動作例のフローと異なる点は、S4とS5との間にS4bが追加された点と、S1とS10との間にS4cが追加された点である。すなわち、S4において、制御部200bは、SLO光源131Bをオンにして緑成分の光を固視光として被検眼Eに投射させる。続いて、S4bにおいて、制御部200bは、開口絞り180をSLO光の光路に配置することによりSLO光の光束を制限し、当該SLO光のビーム径を小さくする。制御部200bは、開口絞り180に形成された開口径を変更するようにしてもよい。その後、S5において、制御部200bは、前眼部のSLO画像と前眼部のOCT画像の形成とを実行させる。
【0124】
対物レンズ111aは、K(Kは、正の実数)倍の角倍率を有する。被検眼Eの眼底EfにおけるSLO光のスポット径が1ミリメートル以下となるように形成された開口絞り180の開口径をWとすると、W/K≦1ミリメートルを満たすことが望ましい。一般的なKを2とするとW≦2ミリメートルであるため、開口径は2ミリメートルであってよい。
【0125】
また、前眼部OCT撮影を行わずに眼底OCT撮影を行うとき(S1:N)、制御部200bは、S4cにおいて開口絞り180をSLO光の光路から退避させることによりSLO光のビーム径を大きくする。その後、S10において、制御部200bは、眼底のSLO画像と眼底のOCT画像の形成とを実行させる。
【0126】
開口絞り180及び挿脱機構180Dは、実施形態に係る「ビーム径変更部」の一例である。挿脱機構180Dは、実施形態に係る「第1機構」の一例である。
【0127】
[効果]
第3実施形態に係る眼科撮影装置の効果について説明する。
【0128】
実施形態に係る眼科撮影装置は、SLO系(SLO光学系130b、SLO画像形成部210A)と、OCT系(OCT光学系140、OCT画像形成部210B)と、焦点位置変更部(レンズ170、挿脱機構)と、制御部(制御部200b)とを含む。SLO系は、SLO光源(131B)からのSLO光のビーム径を変更するビーム径変更部(開口絞り180、挿脱機構180D)を含み、SLO光で被検眼(E)をスキャンすることにより被検眼のデータを収集する。OCT系は、OCT光源(151)からのOCT光(L0)に基づく測定光(LS)を被検眼に投射し、その戻り光とOCT光に基づく参照光(LR)との干渉光(OC)を検出して被検眼の画像を形成する。焦点位置変更部は、SLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置を変更する。制御部は、焦点位置変更部によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が被検眼の眼底と異なる部位に変更されたとき、ビーム径変更部を制御することによりSLO光のビーム径を変更させ、かつ、被検眼を固視させるための固視光としてSLO光を眼底に投射するようにSLO系を制御する。
【0129】
このような構成によれば、SLO系とOCT系とを備えた眼科撮影装置において、SLO光のビーム径を変更するビーム径変更部を設け、焦点位置変更部によりSLO光の焦点位置及び測定光の焦点位置が眼底と異なる部位に変更されたとき、ビーム径変更部を制御することによりSLO光のビーム径を変更させ、かつ、固視光としてSLO光を眼底に投射させるようにしたので、デフォーカス量が低減された固視光を眼底に投射することができる。それにより、ピントが合った固視標を被検眼に提示することが可能になり、被検眼の動きを小さく抑え、安定してOCTによる所定部位の観察が可能になる。
【0130】
実施形態に係る眼科撮影装置では、ビーム径変更部は、開口絞り(180)と、SLO光の光路に対して開口絞りを挿脱する第1機構(挿脱機構180D)とを含んでもよい。
【0131】
このような構成によれば、簡素な構成で、SLO光のビーム径を変更させてデフォーカス量が低減された固視光を眼底に投射することができる。
【0132】
実施形態に係る眼科撮影装置は、SLO光の光路及び測定光の光路に配置された対物レンズ(111a)を含み、開口絞りの開口径は、略2ミリメートルであってよい。
【0133】
このような構成によれば、角倍率が2倍の対物レンズがSLO光の光路及び測定光の光路に配置された場合でも、デフォーカス量が低減され、ピントが合った固視標を被検眼に提示することが可能になる。
【0134】
<第4実施形態>
実施形態に係る眼科撮影装置は、第1実施形態〜第3実施形態の少なくとも2つを組み合わせた構成を有していてもよい。第4実施形態に係る眼科撮影装置は、第1実施形態〜第3実施形態を組み合わせた構成を有する。以下では、第4実施形態について、第1実施形態〜第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0135】
図10に、第4実施形態に係る眼科撮影装置の光学系の構成例を示す。
図10は、前眼部撮影時の光学系の構成例を表したものである。
図10において、
図1B、
図4、又は
図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、眼底撮影時の構成は第1実施形態と同様であるため、第4実施形態における眼底撮影時の光学系の構成例の図示を省略する。
【0136】
第4実施形態に係る光学系100cの構成が第1実施形態に係る光学系100の構成と異なる点は、SLO光学系130に代えてSLO光学系130cが設けられた点である。SLO光学系130cの構成がSLO光学系130の構成と異なる点は、第2実施形態と同様にレンズ137に代えてSLO合焦レンズ137aが設けられた点と、第3実施形態と同様にSLO光源131BからのSLO光の光路に開口絞り180が挿脱可能に設けられた点である。
【0137】
図11に、第4実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成例を示す。
図11において、
図2、
図5、
図8、又は
図10と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0138】
第4実施形態に係る処理系の構成が第1実施形態に係る処理系の構成と異なる点は、制御部200に代えて制御部200cが設けられた点と、移動機構137Dに対する制御が追加された点と、挿脱機構180Dに対する制御が追加された点である。
【0139】
図12に、第4実施形態に係る眼科撮影装置の動作例のフロー図を示す。
図12において、
図3、
図6又は
図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0140】
図12に示す動作例のフロー図が
図3に示す動作例のフロー図と異なる点は、S4とS5との間にS4a及びS4bが追加された点と、S1とS10との間にS4cが追加された点である。
【0141】
[その他]
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【0142】
上記の実施形態では、対物レンズ系110の構成が
図1に示す構成である場合について説明したが、実施形態に係る対物レンズ系の構成はこれに限定されるものではない。
【0143】
実施形態に係る前眼部撮影系は、互いに異なる2以上の方向から被検眼Eの前眼部を撮影するための2以上の前眼部撮影カメラを含んでいてもよい。この場合でも、実施形態に係るアライメント制御部201Aは、これら前眼部撮影カメラを用いて取得された2以上の撮影画像に基づいて得られる視差からアライメントを実行することが可能である。