(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842285
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車の能動型振動低減制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B60W 20/17 20160101AFI20210308BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20210308BHJP
B60K 6/485 20071001ALI20210308BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20210308BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20210308BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20210308BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20210308BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20210308BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20210308BHJP
【FI】
B60W20/17
B60W10/08 900
B60K6/485ZHV
B60K6/54
B60L50/16
B60L15/20 J
H02P5/46 A
B60K6/26
B60K6/40
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-233547(P2016-233547)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-8672(P2018-8672A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年8月20日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0087514
(32)【優先日】2016年7月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丁 泰 榮
(72)【発明者】
【氏名】任 亨 彬
(72)【発明者】
【氏名】姜 亨 ソク
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−111910(JP,A)
【文献】
米国特許第06150780(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 10/30
B60W 20/00 − 20/50
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
H02P 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの一側に結合されている第1モータの回転角に基づいて基準信号及び第1位相を生成する基準信号生成部と、
前記エンジンの他側に結合されている第2モータから振動信号を抽出する振動抽出部と、
前記基準信号と前記振動信号との間の位相差が最小になるようにするフィルター係数を決める係数決定部と、
前記第1モータの速度信号と前記フィルター係数とを利用して前記基準信号と前記振動信号との間の位相差に該当する第2位相を検出する位相決定部と、
前記第1モータの速度信号を利用して位相遅延を補償するための第3位相を検出する位相偏移量検出部と、
前記第1モータの補償力の決定のため、前記第1位相、前記第2位相、又は前記第3位相を利用して、正弦波ではなく実際の振動形状の逆位相信号を生成する同期信号生成部と、を備え、
前記同期信号生成部は、エンジン始動後の実際の振動波形に基づいて所定の位相値別の信号の大きさが予め格納されたルックアップテーブルを用いて、前記第1位相、前記第2位相、又は前記第3位相を利用して決定された位相に対する前記実際の振動形状の逆位相信号を生成することを特徴とするハイブリッド車の能動型振動低減制御装置。
【請求項2】
前記逆位相信号に基準トルクを掛けて逆位相トルクを生成した後、指令トルクと合算して振動低減用トルクを生成するトルク生成部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御装置。
【請求項3】
前記同期信号生成部は、
前記第1位相から前記第2位相を引いた結果に前記第3位相を足した位相に基づき、実際の振動の形状に対応する位相合成信号を生成する位相合成器と、 前記位相合成信号の逆位相信号を生成する逆位相信号生成器と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御装置。
【請求項4】
前記振動抽出部は、
前記第2モータの回転角を測定する位置測定器と、
前記位置測定器によって測定された回転角を微分して速度信号を算出する速度算出器と、
前記速度算出器により算出された速度信号をフィルタリングして振動信号を抽出する振動抽出器と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御装置。
【請求項5】
前記基準信号生成部は、
前記第1モータの回転角を測定する位置測定器と、
前記位置測定器により測定された第1モータの回転角に2を掛けて2倍回転角を前記第2位相として算出する算出器と、
前記算出器により算出された2倍回転角を利用して基準信号を生成する基準信号生成器と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御装置。
【請求項6】
前記位相決定部は、
前記位置測定器により測定された回転角を微分して速度信号を算出する速度算出器と、
前記速度算出器により算出された速度信号と前記決定されたフィルター係数とを利用して前記基準信号と前記振動信号との間の位相差を前記第2位相として検出する位相決定器と、を含むことを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御装置。
【請求項7】
前記係数決定部は、
フィルター係数更新器と、
前記フィルター係数更新器により更新されたフィルター係数を利用して前記基準信号生成部により生成された基準信号をフィルタリングする可変フィルターと、
前記基準信号生成部により生成された基準信号と前記振動抽出部により抽出された振動信号との間の位相差を算出する位相差算出器と、を含み、
前記フィルター係数更新器は、前記位相差算出器により算出された位相差が最小になるように前記フィルター係数を更新計算することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御装置。
【請求項8】
エンジンの一側に結合されている第1モータの回転角に基づいて基準信号及び第1位相を生成する段階と、
前記エンジンの他側に結合されている第2モータから振動信号を抽出する段階と、
前記基準信号と前記振動信号との間の位相差が最小になるようにするフィルター係数を決める段階と、
前記第1モータの速度信号と前記フィルター係数とを利用して前記基準信号と前記振動信号との間の位相差に該当する第2位相を検出する段階と、
前記第1モータの速度信号を利用して位相遅延を補償するための第3位相を検出する段階と、
前記第1モータの補償力の決定のため、前記第1位相、前記第2位相、又は前記第3位相を利用して、正弦波ではなく実際の振動形状の逆位相信号を生成する段階と、を有し、
前記逆位相信号を生成する段階は、エンジン始動後の実際の振動波形に基づいて所定の位相値別の信号の大きさが予め格納されたルックアップテーブルを用いて、前記第1位相、前記第2位相、又は前記第3位相を利用して決定された位相に対する前記実際の振動形状の逆位相信号を生成する段階を含むことを特徴とするハイブリッド車の能動型振動低減制御方法。
【請求項9】
前記逆位相信号に基準トルクを掛けて逆位相トルクを生成した後、指令トルクと合算して振動低減用トルクを生成する段階を更に含むことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御方法。
【請求項10】
前記逆位相信号を生成する段階は、
前記第1位相から前記第2位相を引いた結果に前記第3位相を足した位相に基づき、実際の振動の形状に対応する位相合成信号を生成する段階と、
前記位相合成信号の逆位相信号を生成する段階と、を含むことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御方法。
【請求項11】
前記振動信号を抽出する段階は、
前記第2モータの回転角を測定する段階と、
前記回転角を微分して速度信号を算出する段階と、
前記速度信号をフィルタリングして振動信号を抽出する段階と、を含むことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御方法。
【請求項12】
前記基準信号及び第1位相を生成する段階は、
前記第1モータの回転角を測定する段階と、
前記第1モータの回転角に2を掛けて2倍回転角を前記第2位相として算出する段階と、
前記2倍回転角を利用して前記基準信号を生成する段階と、を含むことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御方法。
【請求項13】
前記第2位相を検出する段階は、
前記第1モータの回転角を微分して速度信号を算出する段階と、
前記速度信号と前記フィルター係数とを利用して前記基準信号と前記振動信号との間の位相差を前記第2位相として検出する段階と、を含むことを特徴とする請求項12に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御方法。
【請求項14】
前記フィルター係数を決める段階は、
可変フィルターに前記フィルター係数を利用して前記基準信号をフィルタリングする段階と、
前記基準信号と前記振動信号との間の位相差を算出する段階と、
前記基準信号と前記振動信号との間の位相差が最小になるように、前記可変フィルターに提供する前記フィルター係数を更新する段階と、を含むことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車の能動型振動低減制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車の能動型振動低減制御装置及びその方法に係り、より詳細には、内燃機関エンジンの爆発行程時に駆動系(Powertrain)を介して伝えられる振動成分を抽出し、振動信号の逆位相トルクを駆動系に取り付けられたモータに印加することにより、エンジンの爆発によって発生する振動を能動的に低減するハイブリッド車の能動型振動低減制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンは、気筒爆発行程中の燃焼圧力によって回転力を発生させ、燃焼圧力の急激な変動によってエンジントルクは軸回転当りの気筒爆発数に比例する振動成分を含む。このような振動成分は、エンジンマウント及び駆動軸を介して車体に伝えられ、振動及び騷音を誘発して乗り心地を低下させる。
これを克服するため、エコカーなどの電気モータを備えた電動化(Electrification)された自動車の場合、駆動系に発生する振動を、モータを利用して能動的(Active)に低減する方法を用い、特に、内燃機関エンジンの爆発行程時に駆動系を介して伝えられる振動成分を測定し、駆動系に取り付けられたモータに振動に対する逆位相トルクを印加することにより振動を低減する方法が用いられる。このとき、逆位相トルクの基準になる基準信号は主にサイン(Sin)波が用いられ、発生した振動と基準サイン波の誤差が最小になるように能動型フィルターの係数が決定される。このとき、逆位相トルクの基準になる基準信号(
図1の110を参照)が実際のエンジン爆発による振動の形状(
図1の120を参照)と相違するので、実際の振動のピークと基準サイン波のピークとの間に位相差が存在することになり、これは振動低減制御の性能を低下させるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−111910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、逆位相のモータ補償力を決めるため、逆位相トルクの基準になる基準信号をサイン波形態の正弦波ではなく実際の振動の形状に生成して、実際の振動と基準信号との間の位相同期性能を向上させ、かつ、時間領域でなく周波数領域で直接位相を調整し、エンジンの爆発によって発生する振動の能動的かつ効果的な低減が可能な、ハイブリッド車の能動型振動低減制御装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるハイブリッド車の能動型振動低減制御装置は、エンジンの一側に結合されている第1モータの回転角に基づいて基準信号及び第1位相を生成する基準信号生成部、前記エンジンの他側に結合されている第2モータから振動信号を抽出する振動抽出部、前記基準信号と前記振動信号との間の位相差が最小になるようにするフィルター係数を決める係数決定部、前記第1モータの速度信号と前記フィルター係数を利用して前記基準信号と前記振動信号との間の位相差に該当する第2位相を検出する位相決定部、前記第1モータの速度信号を利用して位相遅延を補償するための第3位相を検出する位相偏移量検出部、及び前記第1モータの補償力の決定のため、前記第1位相、前記第2位相、または前記第3位相を利用して、正弦波ではなく実際の振動形状の逆位相信号を生成する同期信号生成部を含むことを特徴とする。
【0006】
前記逆位相信号に基準トルクを掛けて逆位相トルクを生成した後、指令トルクと合算して振動低減用トルクを生成するトルク生成部をさらに含むことを特徴とする。
【0007】
前記同期信号生成部は、前記第1位相から前記第2位相を引いた結果に前記第3位相を足した位相に基づき、実際の振動の形状に対応される位相合成信号を生成する位相合成器、及び前記位相合成信号の逆位相信号を生成する逆位相信号生成器を含むことを特徴とする。
【0008】
前記同期信号生成部は、位相値別の信号の大きさに対するルックアップテーブルを利用し、前記第1位相、前記第2位相、または前記第3位相を利用して決定された位相に対する前記実際の振動形状の前記逆位相信号を生成することを特徴とする。
【0009】
前記同期信号生成部は、線形補間方式を利用して前記ルックアップテーブルの位相値の間の詳細位相に対応される信号の大きさを算出することを特徴とする。
【0010】
または、前記同期信号生成部は、前記エンジンの吸入、圧縮、膨張、排気行程と係わるエンジンやクランク軸トルクモデル等に基づき、前記第1位相、前記第2位相、または前記第3位相を利用して、前記実際の振動形状の前記逆位相信号を計算して出力することを特徴とする。
【0011】
前記振動抽出部は、前記第2モータの回転角を測定する位置測定器、前記位置測定器によって測定された回転角を微分して速度信号を算出する速度算出器、及び前記速度算出器により算出された速度信号をフィルタリングして振動信号を抽出する振動抽出器を含むことを特徴とする。
【0012】
前記基準信号生成部は、前記第1モータの回転角を測定する位置測定器、前記位置測定器により測定された第1モータの回転角に2を掛けて2倍回転角を前記第2位相として算出する算出器、及び前記算出器により算出された2倍回転角を利用して基準信号を生成する基準信号生成器を含むことを特徴とする。
【0013】
前記位相決定部は、前記位置測定器により測定された回転角を微分して速度信号を算出する速度算出器、及び前記速度算出器により算出された速度信号と前記決定されたフィルター係数とを利用して前記基準信号と前記振動信号の間の位相差を検出する位相決定器を含むことを特徴とする。
【0014】
前記係数決定部は、フィルター係数更新器、前記フィルター係数更新器により更新されたフィルター係数を利用して前記基準信号生成部により生成された基準信号をフィルタリングする可変フィルター、及び前記基準信号生成部により生成された基準信号と前記振動抽出部により抽出された振動信号との間の位相差を算出する位相差算出器を含み、前記フィルター係数更新器は前記位相差算出器により算出された位相差が最小になるように前記フィルター係数を更新することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明によるハイブリッド車の能動型振動低減制御方法は、エンジンの一側に結合されている第1モータの回転角に基づいて基準信号及び第1位相を生成する段階、前記エンジンの他側に結合されている第2モータから振動信号を抽出する段階、前記基準信号と前記振動信号の間の位相差が最小になるようにするフィルター係数を決める段階、前記第1モータの速度信号と前記フィルター係数とを利用して前記基準信号と前記振動信号の間の位相差に該当する第2位相を検出する段階、前記第1モータの速度信号を利用して位相遅延を補償するための第3位相を検出する段階、及び前記第1モータの補償力の決定のため、前記第1位相、前記第2位相、または前記第3位相を利用して、正弦波ではなく実際の振動形状の逆位相信号を生成する段階を含むことを特徴とする。
【0016】
前記ハイブリッド車の能動型振動低減制御方法は、前記逆位相信号に基準トルクを掛けて逆位相トルクを生成した後、指令トルクと合算して振動低減用トルクを生成する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
前記逆位相信号を生成する段階は、前記第1位相から前記第2位相を引いた結果に前記第3位相を足した位相に基づき、実際の振動の形状に対応される位相合成信号を生成する段階、及び前記位相合成信号の逆位相信号を生成する段階を含むことを特徴とする。
【0018】
前記逆位相信号を生成する段階は、位相値別の信号の大きさに対するルックアップテーブルを利用し、前記第1位相、前記第2位相、または前記第3位相を利用して決定された位相に対する前記実際の振動形状の前記逆位相信号を生成する段階を含むことを特徴とする。
【0019】
前記逆位相信号を生成する段階で、線形補間方式を利用して前記ルックアップテーブルの位相値の間の詳細位相に対応される信号の大きさを算出することを特徴とする。
【0020】
または、前記逆位相信号を生成する段階は、前記エンジンの吸入、圧縮、膨張、排気行程と係わるエンジンやクランク軸トルクモデル等に基づき、前記第1位相、前記第2位相、または前記第3位相を利用し、前記実際の振動形状の前記逆位相信号を計算して出力する段階を含むことを特徴とする。
【0021】
前記振動信号を抽出する段階は、前記第2モータの回転角を測定する段階、前記回転角を微分して速度信号を算出する段階、及び前記速度信号をフィルタリングして振動信号を抽出する段階を含むことを特徴とする。
【0022】
前記基準信号及び第1位相を生成する段階は、前記第1モータの回転角を測定する段階、前記第1モータの回転角に2を掛けて2倍回転角を前記第1位相として算出する段階、及び前記2倍回転角を利用して前記基準信号を生成する段階を含むことを特徴とする。
【0023】
前記第2位相を検出する段階は、前記第1モータの回転角を微分して速度信号を算出する段階、及び前記速度信号と前記フィルター係数とを利用して前記基準信号と前記振動信号の間の位相差を前記第2位相として検出する段階を含むことを特徴とする。
【0024】
前記フィルター係数を決める段階は、可変フィルターに前記フィルター係数を利用して前記基準信号をフィルタリングする段階、前記基準信号と前記振動信号の間の位相差を算出する段階、及び前記基準信号と前記振動信号の間の位相差が最小になるよう、前記可変フィルターに提供する前記フィルター係数を更新する段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるハイブリッド車の能動型振動低減制御装置及びその方法によれば、逆位相トルクの基準になる基準信号を、サイン波形態の正弦波ではなく実際の振動の形状に生成して実際の振動と基準信号の間の位相同期性能が向上するように逆位相のモータ補償力を決めることができ、時間領域でなく周波数領域で直接位相を調整し、エンジンの爆発によって発生する振動の能動的かつ効果的な低減が可能である。
また、FIR(Finite Impulse Response)、IIR(Infinite Impulse Response)形式などの適応フィルター(Adaptive Filter)を利用して目標信号と基準信号の間の誤差が最小になるように最適に近いフィルター係数を決めることにより、実際の振動と基準信号の間の位相同期性能を向上させることができ、エンジンの爆発によって発生する振動を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】逆位相トルクを利用した従来の振動低減方法を説明するための図である。
【
図2】本発明の能動型振動低減制御装置が適用されるハイブリッド車に対する一例示図である。
【
図3】本発明において、車両の振動低減のための逆位相トルクの生成概念を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態で、ハイブリッド車の能動型振動低減制御装置を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態で、ハイブリッド車の能動型振動低減制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態で、同期信号生成部260を説明するための図である。
【
図7】本発明における実際の振動の形状に対応される位相合成信号の生成のためのルックアップテーブルの一例を示す図である。
【
図8】本発明における実際の振動の形状に対応される位相合成信号の計算のための図である。
【
図9】本発明における実際の振動の形状に対応される位相合成信号の生成のためのエンジンモデリングを利用する方式を説明するための図である。
【
図10】本発明の一実施形態で、ハイブリッド車の能動型振動低減制御装置の具現方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明に対して詳しく説明する。ここで、各図面で同一の構成要素は同一の符号とした。既に公知の構成は説明を省略した。多様な実施例に係る動作の理解に必要な部分は重点的に説明した。図面は一部を省略する又は略的に示した。各構成要素の大きさは実際の大きさを反映するものではない。各図面に描かれている構成要素は、相対的な大きさである。
【0028】
図2は、本発明の能動型振動低減制御装置が適用されるハイブリッド車に対する一例示図である。
図2に示すように、本発明が適用されるハイブリッド車は、エンジン114と第1モータ112がトーショナルダンパ(torsional damper)113を介して連結されているTMED(Transmission−Mounted Electric Device)方式のハイブリッド車であって、このようなハイブリッド車の駆動系は、変速機111、第1モータ112、トーショナルダンパ113、エンジン114、ベルトプーリ(Belt−Pulley)115、第2モータ116、変速機制御器(Transmission Control Unit、TCU)117、エンジン制御器(Engine Control Unit、ECU)118、モータ制御器(Motor Control Unit、MCU)(インバータを含む)119、第1バッテリー120、第1バッテリー制御器(Battery Management System、BMS)121、第2バッテリー122、電圧制御器(Voltage Converter)123及びハイブリッド制御器(Hybrid Control Unit、HCU)124などを含む。
【0029】
ここで、第1モータ112は、エンジン114とトーショナルダンパ113及びエンジンクラッチ(図示省略)を介して連結され、基本的に第1バッテリー120からの高電圧に基づいて車両を駆動させ、走行時の駆動力及び減速時の回生制動要求に応じてエンジンクラッチが結合または解除されるに伴い、HEV(Hybrid Electric Vehicle)モード及びEV(Electric Vehicle)モードの走行を支援する。
【0030】
特に、第1モータ112は、本発明において振動を低減させる主体としての役割を担う。つまり、第1モータ112は変速機111段に振動が伝えられることを防止する。第2モータ116は、ベルトプーリ115を介してエンジン114と連結され、エンジン114の動力を利用して第1バッテリー120を充電するか、第1モータ112へ電力を供給する。第1バッテリー制御器121は、高電圧を供給する第1バッテリー120を管理する。第2バッテリー122は、電場負荷に電源を供給する。電圧制御器123は、第1バッテリー120の電圧を第2バッテリー122の定格電圧に変換する。ハイブリッド制御器124は、車両の運転点を決めるなどの車両の全般的な制御を担当する。さらに、ハイブリッド制御器124は、各制御器の駆動制御及びハイブリッド運転モードの設定、そして車両全般の制御を担当する最上位の制御器であって、前記各制御器が最上位制御器であるハイブリッド制御器124を中心に高速CAN(Controller Area Network)通信ラインで連結され、制御器の相互間に情報を取り交わしながら、上位制御器は下位制御器に命令を伝える。
【0031】
以下、本発明の要旨を説明する。
本発明に係るハイブリッド車の能動型振動低減制御のための核心的な技術である逆位相の把握は、駆動系の周波数応答特性を利用して達成される。駆動系に加振力が作用して振動が発生することはシステム伝達関数にモデリング可能であり、入力と出力振動の間の振幅及び位相関係は伝達関数の周波数応答で表すことができる。
【0032】
図3は、本発明において、車両の振動低減のための逆位相トルクの生成概念を説明するための図である。
エンジン114から発生した加振力は、駆動系に連結されている変速機111、第2モータ116(またはHSG(Hybrid Starter Generator))、DS(駆動軸、Drive Shaft)158、WH(Wheel House)159などの各要素へ伝えられて車体160の各部位に振動が発生することになり、伝達経路ごとに別途の伝達関数が存在して各部位の振動の振幅及び位相差は加振源と互いに異なることになり、その値は慣性モーメント、剛性、ダンピング係数などの機械システムのパラメーターによって決まる。エンジン加振力が低減目標部位(例えば、第1モータ112)に伝えられるとき、第2モータ116に基づいて測定された速度振動信号を利用して位相と振幅を調整し、エンジン加振力に逆位相となる補償力を目標部位に適用すれば、目標部位に振動が相殺されて振動を低減することができる。
【0033】
図2または
図3に示す通り、駆動系の特定部位で測定された振動とエンジン加振力、そして振動低減目標部位の振動は、それぞれ一定の周波数応答関係を有するので、駆動系周波数応答特性を利用して目標部位の逆位相を推定することができる。第2モータ116の位置信号(例えば、HSG回転子の位置)を微分(或いは観測器)して速度を測定した後、フィルタリングを介して抽出された速度に対する振動成分とエンジン加振力との間には一定の周波数応答、即ち、位相及び振幅の差が存在し、エンジン加振力から振動低減目標部位(例えば、第1モータ)まで一定の周波数応答が存在するので、測定された振動信号と目標部位との間には一定の周波数応答関係が存在する。さらに、モータ発生力から目標部位までも一定の周波数関係が存在するので、結局、抽出された振動信号と、目標部位において逆位相振動の低減のために目標部位(例えば、第1モータ)が発生させなければならない補償力との間にも一定の周波数応答関係が成り立つ。
【0034】
前述のハイブリッド車では、振動低減目標部位であるとともに実際の振動を低減させる第1モータ112の補償力を決めるため、第2モータ116の速度信号から抽出された振動信号に同期化された基準信号を生成した後、予め把握された駆動系伝達関数の周波数特性に従って振幅の調整及び位相の偏移を行うことにより、振動低減のための逆位相の補償力を決める。このとき、補償力の振幅は、エンジン制御器118で提供するエンジントルクなどを利用して決めることもできる。本発明では特に、第1モータ112の位相情報に基づいて通常の能動型振動低減技術に用いられるサイン(Sin)形態の正弦波ではなく実際の振動の形状に逆位相信号を生成し、実際の振動と基準信号の位相同期性能を向上させることができるようにした。
【0035】
一方、本発明における逆位相把握は駆動系伝達関数の周波数応答を利用して達成され、振動を抽出することができるセンサーが付着された地点から振動の減少を目標とする地点までの伝達関数を利用する。その過程を説明すれば、センサーで測定された速度(或いは位置)情報から正弦波形態の振動成分を抽出した後、当該経路の伝達関数の周波数応答、即ち、振幅応答及び位相応答ほどに大きさと位相が調整された正弦波を発生させることにより、振動測定部位に伝えられた作用力を追従する正弦波を推定し出す。引続き、推定された正弦波を振動低減目標地点への伝達関数に従って前記で推定された作用力の振幅及び位相を調整したあと反転させただけの動力を、第1モータ112を利用して発生させると、目標地点の振動が相殺される。本発明の逆位相調整の過程は、時間領域(time domain)でフィルターを利用せず、基準信号の位置角(position angle)に対し位相を合算する過程を介して周波数領域(frequency domain)で行われることを特徴とする。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500を説明するための図である。
図4に示すように、本発明によるハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500は、振動抽出部210、基準信号生成部220、係数決定部230、位相決定部240、位相偏移量検出部250、同期信号生成部260及びトルク生成部270を含む。本発明の一実施形態のハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500の各部の構成要素等は、半導体プロセッサのようなハードウェア、応用プログラムのようなソフトウェア、またはこれらの組み合わせで具現され得る。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500の動作を説明するためのフローチャートである。
先ず、振動抽出部210は、動作中の第2モータ116から振動信号(振動成分)を抽出する(501)。本発明は、振動を低減する主体である第1モータ112と振動を発生させるエンジン114との間にトーショナルダンパ113が位置する場合、エンジンの爆発によって発生した振動がトーショナルダンパ113を通過しながら大幅に減殺され、第1モータ112からの振動信号の抽出が困難であるため、第2モータ116からエンジンの爆発によって発生する振動信号を抽出する。
【0038】
このような振動抽出部210は、第2モータ116内の回転子の位置(例えば、HSG回転子の回転角)(θm2)を測定する位置測定器(レゾルバ)211、位置測定器211によって測定された回転角(θm2)を微分して速度信号(W2m)を算出する速度算出器212、及び速度算出器212により算出された速度信号をフィルタリングして振動信号(Wd)を抽出する振動抽出器213を含む。
【0039】
ここで、振動抽出器213は、エンジンの爆発によって発生する振動成分だけを通過させる帯域通過(Band−Pass)形式のデジタルフィルターで具現され得る。このとき、デジタルフィルターの遮断周波数は、予め所望の領域を決めて用いることもでき、エンジンの回転数に基づいて可変して用いることもできる。例えば、4気筒4行程内燃機関の場合、機械的に1回転する度に2回の爆発が発生するので、エンジン回転速度の2倍になる周波数の爆発成分が観測され、これを考慮して遮断周波数を決めることができる。
【0040】
次に、基準信号生成部220は、第1モータ112の回転角(位相)(θm1)に基づいて基準信号(Wx)を生成する(502)。つまり、基準信号として大きさが1である単位正弦波を生成する。さらに、基準信号生成部220は、第1モータ112の回転角(θm1)に基準値を掛けた結果(例えば、エンジン爆発周期の2倍、即ち、2倍回転角)(θ1m2)を生成する(502)。このとき、クランク軸が1回転する度に2回の爆発が発生する4気筒4行程内燃機関を例に挙げたので2を掛けるが、内燃機関が異なると掛ける値も変わる。このような基準信号生成部220は、第1モータ112の回転角(θm1)を測定する位置測定器(resolver)221、前記位置測定器221によって測定された回転角(θm1)に基づいて2倍回転角(θ1m2)及び回転角(θm1)に相応する大きさ1の単位正弦波形態の基準信号(Wx)を生成する生成器222を含む。
【0041】
次に、係数決定部230は、基準信号生成部220により生成された基準信号(Wx)と振動抽出部210により抽出された振動信号(Wd)との間の位相差が最小になるようにするフィルター係数を決める(503)。このとき、基準信号生成部220により生成された基準信号と振動抽出部210により抽出された振動信号とは周波数が同一である。このような係数決定部230は、可変フィルター231、位相差算出器232及びフィルター係数更新器233を含むことができる。このような適応フィルター(Adaptive Filter)形態の係数決定部230は、二つの信号(Wd、Wx)の誤差が最小になるように最適に近いフィルター係数を決めることができる。
【0042】
FIR(Finite Impulse Response)形式またはIIR(Infinite Impulse Response)形式などの可変フィルター231は、フィルター係数更新器233によって更新されたフィルター係数を利用し、基準信号生成部220によって生成された基準信号(Wx)をフィルタリングする。このとき、FIRフィルターを利用したフィルタリング結果(Wy)は、下記数式(1)の通りである。
【0044】
ここで、H(z)は変数zを有する関数形態のFIRフィルターであって、本発明の一実施形態では1次可変フィルターを例に挙げて説明するが、可変フィルターの次数は必要に応じて2次以上を用いることもできる。位相差算出器232は、基準信号(Wx)から生成されたフィルタリング結果(Wy)と、振動抽出部210により抽出された振動信号(Wd)との間の位相差(E)を算出する。フィルター係数更新器233は、RLS(Recursive Least Square)方式のアルゴリズムを利用して基準信号(Wx)から生成されたフィルタリング結果(Wy)と、振動抽出部210により抽出された振動信号との間の位相差(E)が最小になるようにするフィルター係数(b0、b1…)を計算する。
【0045】
一方、第1モータ112とエンジン114の間にクラッチのような出力断絶部(図示省略)が位置する場合、フィルター係数更新器233は、クラッチによって出力が断絶された時は係数更新を中断し、連結されている時だけ係数更新を行うことが好ましい。
【0046】
次に、位相決定部240は、位置測定器221によって測定された第1モータ112の回転角(θm1)を微分して速度信号(W1m)を算出し、算出された速度信号(W1m)と係数決定部230により決定された係数を利用して、基準信号生成部220により生成された基準信号(Wx)と、振動抽出部210により抽出された振動信号(Wd)との間の位相差(θd)を決める(504)。このような位相決定部240は、位置測定器221により測定された第1モータ112の回転角(θm1)を微分して速度信号(W1m)を算出する速度算出器241、及び速度算出器241により算出された速度信号(W1m)と係数決定部230により決定された係数とを利用して、基準信号生成部220により生成された基準信号(Wx)と、振動抽出部210により抽出された振動信号(Wd)との間の位相差(θd)を検出する位相決定器242を含む。ここで、位相決定器242は、下記の数式(2)のように位相差(θd)を決めることができる。ここで、wは角速度、Tsは時間に該当する。
【0048】
次に、位相偏移量検出部250は、前記第1モータ112の速度信号(W1m)を利用して振動抽出器213(または振動抽出部210)から第1モータ112までの伝達遅延による位相差を補償するための補償値(θp)を検出する(505)。さらに、位相偏移量検出部250は、振動抽出器213によって発生する位相遅延を補償するための補償値(θv)をさらに検出することもできる。このとき、位相遅延は、振動抽出器213、即ち、帯域通過フィルターによって発生する位相遅延を意味する。
【0049】
次に、同期信号生成部260は、基準信号生成部220の生成器222により生成された位相(θ1m2)と、位相決定部240によって検出された位相(θd)、及び、位相偏移量検出部250によって検出された補償値(θp/θv)を利用して逆位相信号を生成する(506)。本発明では特に、同期信号生成部260が、基準信号生成部220からの第1モータ112の位相情報(θ1m2)に基づき、通常の能動型振動低減技術に用いられるサイン(Sin)形態の正弦波ではなく実際の振動の形状に逆位相信号を生成し、実際の振動と基準信号の位相同期性能を向上させることができるようにした。
【0050】
次に、トルク生成部270は、同期信号生成部260により生成された逆位相信号と、振幅比決定器271が決める基準トルク(T)とを乗算器272で掛けて逆位相トルクを生成した後、これを加算器273で指令トルクと合算して振動低減用トルクを生成する(507)。このような振動低減用トルクに基づいて目標部位(例えば、第1モータ)が補償力を発生することになる。このとき、基準トルクは既に設定された定数であってもよく、エンジントルクまたは駆動系に印加された総計トルクの一定の割合であってもよく、エンジントルクまたは駆動系に印加された総計トルクに周波数領域での振幅比を掛けた値であってもよい。指令トルクは、上位制御器(一例として、ハイブリッド制御器124またはアクセルペダル(図示省略))からの指令トルクであってよい。
図6は、本発明の一実施形態に係る同期信号生成部260を説明するための図である。
【0051】
図6に示す通り、本発明の一実施形態に係る同期信号生成部260は、位相合成器610及び逆位相信号生成器620を含む。
本発明において、基準信号生成部220で第1モータ112の位相情報に従ってエンジンの爆発周期の倍数を適用した変更位相(θ1m2)を生成すれば、位相合成器610は、位相(θ1m2)と幾多の補償位相(θd、θp/θv)を反映するために前記位相等を適宜合成した信号を生成し、逆位相信号生成器620は、当該位相合成信号の逆位相(例えば、180度の位相差)信号を生成する(
図3を参照)。
【0052】
例えば、位相合成器610は、基準信号生成部220により生成された位相(θ1m2)から位相決定部240によって検出された位相(θd)を引いた結果に位相偏移量検出部250によって検出された補償値(θp)を足した位相に基づき、実際の振動の形状に対応される位相合成信号を生成する。このとき、振動抽出器213により発生する位相遅延を補償するための補償値(θv)をさらに合算して、実際の振動の形状に対応される位相合成信号を生成することもできる。逆位相信号生成器620は、当該位相合成信号の逆位相(例えば、180度の位相差) 信号を生成する。
【0053】
一例として、前記のような位相情報(θ1m2、θd、θp/θv)を利用して実際の振動の形状に対応される位相合成信号を生成するため、
図7に示す通り、位相値(例えば、合成位相)別の信号の大きさ(例えば、−1と1の間)に対するルックアップテーブル(LUT、Look−up Table)を利用することができる。例えば、エンジンの始動後に実際の振動を計測し、その形状に合わせて前記のような所定の位相値(例えば、合成位相)別の信号の大きさを測定してルックアップテーブルに予め格納し、位相情報(θ1m2、θd、θp/θv)を利用して決定された位相(例えば、合成位相)に対する位相合成信号の生成に利用することができる。位相合成器610は、精密な位相合成信号の生成のため、ルックアップテーブルの位相値の間の詳細位相に対応される信号の大きさを、線形補間方式などで算出して利用することもできる。
【0054】
他の例として、前記のような位相情報(θ1m2、θd、θp/θv)を利用して実際の振動の形状に対応される位相合成信号を生成するため、
図8、
図9に示す通り、対象エンジンを有した車両システムの吸入、圧縮、膨張、排気行程と係わる、エンジンやクランク軸トルクモデル等を利用することができる。通常のエンジンやクランク軸トルクモデル等に対してはよく知られているので、下記のように簡単に説明する。
【0055】
例えば、所定の気筒(例えば、4、6、8、14など)を有するエンジン車両に対し、
図8に示す通り、シリンダー行程(L)、ピストン内径(D)、コネクティングロッドの長さ(l)、ピストン位置(x)、圧縮比(c)、大気圧係数(a=103.25kN/m
2)、クランク軸の回転角(θ)、クランク軸の半径(r)などを考慮したエンジンやクランク軸トルクモデルに基づき、位相合成器610は、前記のような位相情報(θ1m2、θd、θp/θv)を利用して実際の振動の形状に対応される位相合成信号を計算して出力することができる。このとき、
図9に示す通り、オット(Otto)サイクル圧力−体積(P−V)ダイヤグラムで、エンジンの吸入、圧縮、膨張、排気行程と係わった、ピストン位置(x)、シリンダー体積(V)、シリンダー圧力(例えば、P=1/V)、クランク軸トルク、エンジントルク、各行程別の圧力や回転角(θ)範囲などの情報が利用され得る。
【0056】
図10は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500の具現方法の一例を説明するための図である。本発明の一実施形態に係るハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせからなり得る。例えば、ハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500は、
図10に示す通りのコンピューティングシステム1000で具現され得る。
【0057】
コンピューティングシステム1000は、バス1200を介して連結される少なくとも一つのプロセッサ1100、メモリ1300、使用者インタフェース入力装置1400、使用者インタフェース出力装置1500、ストレージ1600及びネットワークインタフェース1700を含むことができる。プロセッサ1100は、中央処理装置(CPU)またはメモリ1300及び/またはストレージ1600に格納されている命令語等に対する処理を行う半導体装置であってよい。メモリ1300及びストレージ1600は、多様な種類の揮発性または不揮発性格納媒体を含むことができる。例えば、メモリ1300は、ROM(Read Only Memory)1310及びRAM(Random Access Memory)1320を含むことができる。
【0058】
したがって、本明細書に開示されている実施形態等と関連して説明された方法またはアルゴリズムの段階は、プロセッサ1100によって実行されるハードウェア、ソフトウェアモジュール、またはその二つの組み合わせで直接具現され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスター、ハードディスク、着脱型ディスク、CD−ROMのような格納媒体(即ち、メモリ1300及び/またはストレージ1600)に常在することもできる。例示的な格納媒体はプロセッサ1100にカップリングされ、該プロセッサ1100は、格納媒体から情報を読み取ることができ、格納媒体に情報を書き込むことができる。他の方法として、格納媒体はプロセッサ1100と一体型であってもよい。プロセッサ及び格納媒体は、注文型集積回路(ASIC)内に常在することもできる。ASICは使用者端末機内に常在することもできる。他の方法として、プロセッサ及び格納媒体は使用者端末機内に個別のコンポネントとして常在することもできる。
【0059】
前述のように、本発明に係るハイブリッド車の能動型振動低減制御装置500では、逆位相トルクの基準になる基準信号を、サイン波形態の正弦波ではなく実際の振動の形状に生成し、実際の振動と基準信号の間の位相同期性能が向上するように逆位相のモータ補償力を決めることができ、時間領域でなく周波数領域で直接位相を調整し、エンジンの爆発によって発生する振動の能動的かつ効果的な低減が可能である。さらに、FIR(Finite Impulse Response)、IIR(Infinite Impulse Response)形式などの適応フィルター(Adaptive Filter)を利用して目標信号と基準信号の間の誤差が最小になるように最適に近いフィルター係数を決めることにより、実際の振動と基準信号の間の位相同期性能を向上させることができ、エンジンの爆発によって発生する振動を効果的に低減することができる。
【0060】
以上のように、本発明では、具体的な構成要素を実施形態及び図面で説明したが、これは、理解を助けるためのもので、実施形態に限定されるものではない。多様な修正及び変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
210 振動抽出部
220 基準信号生成部
230 係数決定部
240 位相決定部
250 位相偏移量検出部
260 同期信号生成部
270 トルク生成部
610 位相合成器
620 逆位相信号生成器