(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、対象物の詳細モデルのメッシュを間引くことで数値解析の実行時間の短縮を行えるものの、基本的には、高精度の解析が可能なメッシュサイズで設計対象物を再現した詳細モデルの数値解析を行っている。このため、詳細モデルの修正の必要性が生じた場合には詳細モデルの数値解析を繰返し行うことになるため、数値解析の実行時間の大幅な削減は難しい。この点、特許文献2では、単純化解析モデルを用いて熱流動解析を行い、良好な結果が得られた段階で詳細設計を行うため、その後工程における設計の大幅な手戻りは抑制されると考えられる。しかしながら、熱流動解析が良好でない場合には詳細なレイアウト設計からやり直す必要がある。つまり、熱流動解析が良好となるまで、詳細なレイアウト設計(詳細モデルの作成)と、その詳細モデル対応する単純化解析モデルの作成およびその熱流動解析とを繰り返し行うので、詳細設計に移行するまでに膨大な時間を要することが予想される。そして、このようにして得られた単純化解析モデル(新規詳細モデルが概略化されたものに相当)自体を用いて更に詳細な設計を進めることで新規詳細モデルを作成している。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、設計期間の短縮化や設計コストの抑制が可能な設計対象物の詳細モデル作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る設計対象物の新規詳細モデル作成方法は、
設計対象物の新規詳細モデルを、前記新規詳細モデルの参考となる参考詳細モデルに基づいて作成する設計対象物の新規詳細モデル作成方法であって、
前記参考詳細モデルよりも前記設計対象物を単純化してモデル化した単純化解析モデルであって、前記設計対象物を構成する複数の部材のうちから抽出されると共に形状が単純化された複数の主要部材で構築された単純化解析モデルを作成する単純化解析モデル作成ステップと、
前記単純化解析モデルを数値解析し、前記設計対象物の目標性能の達成が可能となるような前記単純化解析モデルにおける前記複数の主要部材の解析パラメータを決定する解析パラメータ決定ステップと、
前記解析パラメータ決定ステップによって決定された前記複数の主要部材の解析パラメータを前記参考詳細モデルに反映することによって、前記新規詳細モデルを作成する新規詳細モデル作成ステップと、を備える。
【0008】
上記(1)の構成によれば、設計対象物(例えばシリンダヘッドなど)の新規詳細モデルの作成は、設計対象物に関連する例えば実績のある現行の物の詳細モデルや、設計対象物の要求仕様(目標性能)に基づいて設計者が経験等に基づいて作成した詳細モデルなどといった、設計対象物の設計において参考となる参考詳細モデルに対して、これと等価とみなすことが可能な単純化解析モデルをまずは作成し、その上で、作成した単純化解析モデルに対するパラメータスタディの結果に基づいて行われる。具体的には、構造解析であれば、主要部材は設計対象物の体格(基本形状)をなすような主要な部材(部位)であり、単純化解析モデルは形状等が単純化された複数の主要部材で構築される。また、単純化解析モデルに対して、その主要部材の解析パラメータを修正しつつ数値解析を行うことによって、単純化解析モデルにおいて目標性能(要求仕様)を満たすことが可能な解析パラメータが決定される。そして、決定された解析パラメータを参考詳細モデルに反映することによって新規詳細モデルを作成する。つまり、参考詳細モデルや新規詳細モデルの前身(新規詳細モデルが概略化されたもの)に対して、その主要部材の解析パラメータを修正しつつその数値解析を行うのではなく、それに代えて、参考詳細モデルとの等価性が確保された単純化解析モデルの数値解析に基づいて参考詳細モデルの主要部材の解析パラメータの修正指針を獲得し、獲得した修正指針に基づいて新規詳細モデルが作成される。
【0009】
したがって、単純化解析モデルの数値解析に要する時間は参考詳細モデルの数値解析に要する時間よりも短く、設計対象物となる設計対象物の新規詳細モデルの作成時間を大幅に短縮化することができる。また、このように作成された新規詳細モデルの細部について後工程において修正する必要が生じた場合であっても、その修正によって生じる設計対象物の目標性能への影響を大幅に低減できるので、設計の大幅な手戻りを回避することができる。したがって、設計対象物の設計期間の短縮化および設計コストの抑制を行うことができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記単純化解析モデル作成ステップは、
前記複数の主要部材の各々の形状を単純化して構築された初期解析モデルを作成する初期解析モデル作成ステップと、
前記複数の主要部材の一部であって、前記初期解析モデルの妥当性を評価するのに適した少なくとも1つの特定主要部材を決定する特定主要部材決定ステップと、
前記特定主要部材の解析値に関する判定基準を決定する判定基準決定ステップと、
前記初期解析モデルの数値解析を実行する数値解析実行ステップと、
前記数値解析実行ステップによって得られる前記特定主要部材の解析値である特定解析値が前記判定基準を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記特定解析値が前記判定基準を満たすと判定された前記初期解析モデルを前記単純化解析モデルとする単純化解析モデル決定ステップと、を含む。
【0011】
上記(2)の構成によれば、単純化解析モデルは、設計対象物の体格をなすような複数の主要部材で構築されると共にこれら主要部材の形状等が単純化されている。よって、このように単純化された分だけ数値解析の実行時間を短縮することができる。さらに、単純化解析モデルにおける複数の主要部材のうちから選択された特定主要部材の数値解析による解析値(特定解析値)が判定基準を満たすことを検証することによって、単純化解析モデルと参考詳細モデルとの等価性を確保することができる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記単純化解析モデル作成ステップは、さらに、
前記判定ステップにおいて前記特定解析値が前記判定基準を満たさないと判定した場合には、前記特定解析値が前記判定基準を満たすように、前記初期解析モデルを調整する初期解析モデル調整ステップを含む。
上記(3)の構成によれば、単純化解析モデル作成ステップによる初期解析モデルの解析条件の調整によって、参考詳細モデルと等価とみなすことが可能な単純化解析モデルを作成することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(3)の構成において、
前記判定基準決定ステップは、
前記初期解析モデルの数値解析と同じ境界条件を用いて前記参考詳細モデルの数値解析を実行し、前記初期解析モデルにおける前記特定主要部材の解析値である前記特定解析値に対応する参照解析値を取得する参照解析値取得ステップと、
前記参照解析値に基づいて前記判定基準を作成する判定基準作成ステップと、を含む。
上記(4)の構成によれば、参考詳細モデルの数値解析値に基づいて、特定解析値の判定基準を合理的に設定することができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(4)の構成において、
前記特定主要部材決定ステップは、前記初期解析モデルの数値解析と同じ境界条件を用いて前記参考詳細モデルの数値解析を実行し、最も応力が高くなる部分を有する前記主要部材を選択する主要部材選択ステップと、
前記主要部材選択ステップで選択された前記主要部材を前記特定主要部材として定める特定主要部材設定ステップと、を含む。
上記(5)の構成によれば、参考詳細モデルの数値解析値に基づいて、特定主要部材を合理的に決定することができる。
【0015】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(5)の構成において、
前記設計対象物は、エンジンの一部を構成するエンジン構成物である。
上記(6)の構成によれば、エンジン構成物を設計対象として、その新規詳細モデルを作成することができる。
【0016】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記エンジン構成物は、シリンダヘッドであり、
前記特定部材の前記特定解析値は、前記シリンダヘッドの底板部での曲げ応力である。
上記(7)の構成によれば、シリンダヘッドを設計対象として、その新規詳細モデルを作成することができる。
【0017】
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る設計対象物製造方法は、
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の新規詳細モデル作成方法によって作成された前記新規詳細モデルに基づいて、前記設計対象物を製造する。
【0018】
上記(8)の構成によれば、新規詳細モデルと同様な構造を有する設計対象物を実際に製造することで、目標性能を達成可能な設計対象物を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、設計期間の短縮化や設計コストの抑制が可能な設計対象物の詳細モデル作成方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る設計対象物1の新規詳細モデル作成方法を示すフロー図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係る設計対象物1の新規詳細モデル作成方法における単純化解析モデル作成ステップ(S1)を詳細化して示すフロー図である。
設計対象物1の新規詳細モデル作成方法(以下、単に、新規詳細モデル作成方法という。)は、設計対象となる物(設計対象物1)の新規詳細モデル6(後述する
図8参照)を、この新規詳細モデル6の参考となる参考詳細モデル3に基づいて作成するための方法であり、本方法を実行することにより設計対象設計対象物の新規詳細モデル6が作成される。ここで、上記の設計対象物1は、例えばエンジンや、エンジンのシリンダヘッド7など、製品あるいは製品の一部を構成する構造物や部品である。また、上記の新規詳細モデル6は設計対象物1を数理モデル化したものとなる。また、参考詳細モデル3は、設計対象物1と同じ種類の物、同様の機能を有する物、あるいは類似する構造を有する物など、設計対象物1を設計する上で参考となる物を数理モデル化したものである。具体的には、設計対象物1に関連した実績のある現行の物の詳細モデルや、設計対象物1の要求仕様に基づいて設計者が経験等に基づいて作成した詳細モデルなどが、参考詳細モデル3の例として挙げられる。これらの新規詳細モデル6および参考詳細モデル3は、有限要素法(FEM)などの解析手法を用いた数値解析の対象となる。
【0023】
そして、
図1〜
図2に示されるように、新規詳細モデル作成方法は、単純化解析モデル作成ステップ(
図1のS1あるいは
図2のS11〜S17)と、解析パラメータ決定ステップ(
図1のS2)と、新規詳細モデル作成ステップ(
図1のS3)と、を備えており、これらのステップが順番に実行される。
以下、新規詳細モデル作成方法が備える上記の各ステップ(S1〜S3)について、それぞれ説明する。
【0024】
単純化解析モデル作成ステップ(S1)は、参考詳細モデル3よりも設計対象物1を単純化してモデル化した単純化解析モデル4を作成するステップである。単純化解析モデル4は、設計対象物1を構成する複数の部材のうちから抽出された複数の主要部材12で構築される。主要部材12は、例えば構造解析などといった数値解析の内容に比較的大きな影響を与えるような部材である。つまり、数理モデルにおいて主要部材12に設定された解析パラメータPを変更すると、数値解析の解析結果が比較的大きく変わる。解析パラメータPは、数理モデルを数値解析するのに必要となるパラメータである。例えば構造解析の場合には、解析パラメータPは、設計対象物1を構成する部材の例えば長さ、厚さ、断面積といった形状に関する形状パラメータPsや、弾性率といった物性パラメータPpを含むことになる。設計対象物1における主要部材12の抽出は、例えば、参考詳細モデル3の数値解析結果に基づいて行っても良いし、あるいは、設計者の経験的な知見に基づいて行っても良い。この際、単純化解析モデル4は主要部材12以外の部材も含んで構築されることになっても良い。
【0025】
また、単純化解析モデル4においては、複雑な形状を有している主要部材12は、それぞれ、円筒や円柱、直方体などの単純な形状に置き換えられる。このように単純な形状に置き換えられた主要部材12の形状パラメータPsは、例えば、主要部材12の厚さであれば、主要部材12における複数の部分に重み付けし、その重み付け平均の値を設定しても良い。この重みは、例えば構造解析の場合には、主要部材12において強度を高めているような部分の形状等に着目して設定しても良い。
【0026】
このようにして作成された単純化解析モデル4は、詳細は
図2を用いて後述するが、構造解析といった数値解析の内容に関して参考詳細モデル3との等価性が確保されている数理モデルとなる。換言すれば、単純化解析モデル4は、構造解析といった数値解析の内容に関して、参考詳細モデル3を特徴づける形状が見出された数理モデルに相当する(後述する
図3A〜
図3C参照)。
【0027】
解析パラメータ決定ステップ(S2)は、単純化解析モデル4を数値解析し、設計対象物1の目標性能の達成が可能となるような単純化解析モデル4における複数の主要部材12の解析パラメータ(前述)を決定するステップである。具体的には、有限要素法(FEM)などの解析手法を用いて単純化解析モデル4の数値解析を行う。構造解析の場合には、拘束条件や荷重条件といった設計対象物の境界における境界条件Bcを目標性能から導出するなどして設定し、数値解析を実行する。例えば、設計対象物1の目標性能が、実績のある現行の設計対象物1の参考詳細モデル3よりも向上されたものである場合には、参考詳細モデル3と等価な単純化解析モデル4を目標性能に対応する境界条件Bcで数値解析すると、強度が確保できないといった不具合を示す解析結果が得られる。このような場合には、単純化解析モデル4の強度が向上されるなど不具合が取り除かれた望ましい結果が得られるまで、単純化解析モデル4における主要部材12の解析パラメータPの修正および修正後の単純化解析モデル4の数値解析を繰り返す。
【0028】
つまり、解析パラメータ決定ステップ(S2)では、単純化解析モデル4において主要部材12の解析パラメータPのパラメータスタディが行われることによって、単純化解析モデル4において目標性能の達成が可能な主要部材12の解析パラメータPが決定される。この際、解析パラメータ決定ステップ(S2)では、参考詳細モデル3の数値解析が行われるのではなく、これに代えて、参考詳細モデル3との等価性が確保された単純化解析モデル4の数値解析が行われる。単純化解析モデル4の数値解析に要する時間は、単純化されている分だけ、参考詳細モデル3の数値解析に要する時間よりも短く、数値解析の実行時間が短い。このため参考詳細モデル3を用いてパラメータスタディをするよりも、これと等価性が確保された単純化解析モデル4の数値解析をすることで、数値解析の実行時間が短縮化さられる。なお、本ステップ(S2)では、単に目標性能を満たす解析パラメータPを得ることを目的にするのではなく、目標性能を満たしつつ、かつ、振動や強度が成立する最小重量の設計対象物1が得られるといった目標性能以外の目標条件をも満足する最適な解析パラメータPを得ることを目的に、単純化解析モデル4のパラメータスタディを行っても良い。
【0029】
新規詳細モデル作成ステップ(S3)は、上記の解析パラメータ決定ステップ(S2)によって決定された複数の主要部材12の解析パラメータP(決定解析パラメータPf)を参考詳細モデル3に反映することによって、新規詳細モデル6を作成するステップである。構造解析といった数値解析の内容に関して参考詳細モデル3と等価となるように単純化解析モデル4は作成されているため、解析パラメータ決定ステップ(S2)を通して行われた各々の主要部材12の解析パラメータPにおける修正内容は、参考詳細モデル3における対応する主要部材12の修正指針となる。例えば、上述した解析パラメータ決定ステップ(S2)において、単純化解析モデル4において、ある主要部材12の厚さを所定値大きくすることによって目標性能が達成できた場合には、この修正に係る所定値は、参考詳細モデル3における対応する主要部材12の厚さをどの程度大きくすれば良いのかを示す指針(知見)となる。より具体的には、上記の所定値だけ、参考詳細モデル3の対応する主要部材12の厚さを大きくしても良いし、主要部材12の解析パラメータPの元の値と修正後の値の割合など、所定値に基づいて決定した値だけ、参考詳細モデル3の対応する主要部材12の厚さを大きくしても良い。
【0030】
すなわち、設計者であれば、参考詳細モデル3と設計対象物1の目標性能との比較に基づいて、新規詳細モデル6における主要部材12の厚さをより増大させる必要があるといった定性的なことは直感的にわかるかもしれない。しかしながら、その増大修正がどの程度であるのかといった定量的なことまで判断することは一般的に困難であり、数値解析を繰返し実行することにより最適値を探すことが通常である。特に、目標性能を満たしつつ、かつ、振動や強度が成立する最小重量の設計対象物1を設計するなど、目標性能以外の複数の目標条件をも満足する最適な決定解析パラメータPfを得ること目的とする場合には、通常、性能、振動、強度、重量が通常はトレードオフの関係にあるように、複数の目標条件はトレードオフの関係にある場合が多い。この際、参考詳細モデル3を用いてパラメータスタディを行うとすれば、数値解析の1回あたりの計算量が多く、数値解析の繰り返しにより膨大な時間を要することになる。ところが、単純化解析モデル4を用いたパラメータスタディでは、数値解析の1回あたりの計算量はより少ないため、より短時間で数値解析を繰り返すことが可能となる。こうして得られた修正指針を用いて、参考詳細モデル3における主要部材12の解析パラメータPを修正することによって、より短時間で、新規詳細モデル6を作成することが可能となる。
【0031】
上記の構成によれば、設計対象物1(例えばシリンダヘッド7など)の新規詳細モデル6の作成は、設計対象物に関連する例えば実績のある現行の物の詳細モデルや、設計対象物1の目標性能(要求仕様)に基づいて設計者が経験等に基づいて作成した詳細モデルなどといった、設計対象物の設計において参考となる参考詳細モデル3に対して、これと等価とみなすことが可能な単純化解析モデル4をまずは作成し、その上で、作成した単純化解析モデル4に対するパラメータスタディの結果に基づいて行われる。具体的には、構造解析であれば、主要部材12は設計対象物1の体格(基本形状)をなすような主要な部材(部位)であり、単純化解析モデル4は形状等が単純化された複数の主要部材12で構築される。また、単純化解析モデル4に対して、その主要部材12の解析パラメータPを修正しつつ数値解析を行うことによって、単純化解析モデル4において目標性能(要求仕様)を満たすことが可能な解析パラメータPが決定される。そして、決定された解析パラメータP(決定解析パラメータPf)を参考詳細モデル3に反映することによって新規詳細モデル6を作成する。つまり、参考詳細モデル3や新規詳細モデル6の前身(新規詳細モデル6が概略化されたもの)に対して、その主要部材12の解析パラメータPを修正しつつその数値解析を行うのではなく、それに代えて、参考詳細モデル3との等価性が確保された単純化解析モデル4の数値解析に基づいて参考詳細モデル3の主要部材12の解析パラメータPの修正指針を獲得し、獲得した修正指針に基づいて新規詳細モデル6が作成される。
【0032】
したがって、単純化解析モデル4の数値解析に要する時間は参考詳細モデル3の数値解析に要する時間よりも短く、設計対象物となる設計対象物1の新規詳細モデル6の作成時間を大幅に短縮化することができる。また、このように作成された新規詳細モデル6の細部について後工程において修正する必要が生じた場合であっても、その修正によって生じる設計対象物1の目標性能への影響を大幅に低減できるので、設計の大幅な手戻りを回避することができる。したがって、設計対象物1の設計期間の短縮化や設計コストの抑制を行うことができる。
【0033】
次に、単純化解析モデル作成ステップ(
図1のS1および
図2)に関する幾つかの実施形態について、
図2〜
図7を用いて説明する。
図3Aは、本発明の一実施形態に係るエンジンのシリンダヘッド7の参考詳細モデル3に基づいて作成された初期解析モデル5の底面図(触火面図)である。
図3Bは、
図3Aに対応したシリンダヘッド7の側面図を示す。
図3Cは、
図3Aのシリンダヘッド7をaa断面で切断した断面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る初期解析モデル5の数値解析により得られた変形図の例示である。
図5Aは、本発明の一実施形態に係る初期解析モデル5に基づいて作成された単純化解析モデル4の数値解析により得られた変形図の例示である。
図5Bは、単純化解析モデル4において追加されている剛体要素Erを示す図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る判定基準決定ステップ(
図2のS13)を示すフロー図である。また、
図7は、本発明の一実施形態に係る特定主要部材決定ステップ(
図2のS12)を示すフロー図である。
【0034】
幾つかの実施形態では、
図2に示されるように、上述した単純化解析モデル作成ステップ(
図1のS1)は、初期解析モデル作成ステップ(S11)と、特定主要部材決定ステップ(S12)と、判定基準決定ステップ(S13)と、初期化モデルの数値解析実行ステップ(S14)と、判定ステップ(S15)と、単純化解析モデル決定ステップ(S16)と、初期解析モデル調整ステップ(S17)を含む。
以下、
図2のフローに沿って、上記の単純化解析モデル作成ステップ(
図1のS1)が備える各ステップ(S11〜S17)をそれぞれ説明する。なお、以下の説明では、設計対象となる設計対象物1がエンジンのシリンダヘッド7であり、シリンダヘッド7の構造解析のための単純化解析モデル4を作成することを例として説明する。ただし、これには限定されず、他のいくつかの実施形態では、設計対象物1は、エンジンの一部を構成するエンジン構成物であっても良いし、その他の幾つかの実施形態では、設計対象物1は、エンジン以外の他の製品やその製品に用いられる部品であっても良い。
【0035】
図2のステップS11において、初期解析モデル5を作成する初期解析モデル作成ステップが実行される。初期解析モデル作成ステップ(S11)は、参考詳細モデル3を構成する複数の部材のうちから抽出された複数の主要部材12の各々の形状を単純化して構築された初期解析モデル5を作成するステップである。初期解析モデル5は、上述した単純化解析モデル4の前身となる数理モデルであり、単純化解析モデル4は初期解析モデル5から作成される。具体的には、初期解析モデル5は、参考詳細モデル3の数値解析結果に基づいて、あるいは、設計者の経験的な知見に基づくなどして、シリンダヘッド7の体格となる部材が抽出されると共に、抽出された複数の部材の各々の形状が単純化された複数の主要部材12で構築された数理モデルとなる。
【0036】
図3A〜
図5Bに示される実施形態では、
図3A〜
図3Cに示されるように、シリンダヘッド7の参考詳細モデル3のシリンダが例えば単純な円筒形状に置き換えられるなど、複雑な形状を有しているシリンダヘッド7の主要部材12が単純化されて初期解析モデル5が構築されている。なお、後述するように、初期解析モデル5は初期解析モデル調整ステップ(S17)によって調整されていくことで単純化解析モデル4が最終的に作成されるが、順次調整されていく初期解析モデル5も、本明細書でいう初期解析モデル5であるものとする。より具体的には、初期解析モデル5において円筒形状に単純化されたシリンダヘッド7は、
図3C(a)に示されるように、各々が単純化された形状に置き換えられた、底板部71、外壁部72、天板部73、ポート壁部75、弁ガイド壁部76などの主要部材12から構築されている。そして、これらの主要部材12の解析パラメータPとして、
図3C(b)に示されるように、底板部71の厚さ(底板厚さt1)、外壁部72の厚さ(外壁厚さt2)、天板部73の厚さ(天板厚さt3)、ポート壁部75の厚さ(ポート壁厚さt5)、弁ガイド壁部76の厚さ(弁ガイド壁厚さt6)や、シリンダヘッド7の全体高さh1などを設定することにより、初期解析モデル5が生成されている(他の解析パラメータPの例示については、
図3C(b)参照)。
【0037】
ステップS12において、特定主要部材12pを決定する特定主要部材決定ステップが実行される。特定主要部材決定ステップ(S12)は、複数の主要部材12の一部であって、初期解析モデル5の妥当性を評価するのに適した少なくとも1つの特定主要部材12pを決定するステップである。例えば、構造解析の場合には、後述するように最も応力が高くなり、部分を有する主要部材12など、数値解析の内容に応じた解析結果への影響が大きい部分を有する主要部材12を特定主要部材12pとしても良く、換言すれば、特定主要部材12pは疲労評価の結果が厳しい部材としても良い。
図3A〜
図5Bに示される実施形態では、エンジンにおける燃料の燃焼によって生じるガス圧荷重は、天板部73やポート壁部75よりも、シリンダヘッド7の底板部71や外壁部72に大きくかかるとの知見に基づいて、特定主要部材12pをシリンダヘッド7の底板部71として決定している。
【0038】
ステップS13において、判定基準Rを決定する判定基準決定ステップが実行される。判定基準決定ステップ(S13)は、特定主要部材12pの解析値に関する判定基準Rを決定するステップである。例えば、後述するように、参考詳細モデル3の数値解析によって得られる特定主要部材12pの応力値などの解析値(参照解析値Vr)に基づいて、判定基準Rを決定してもよい。あるいは、目標性能から導出される特定主要部材12pの応力値などに基づいて、判定基準Rが決定してもよい。
図3A〜
図5Bに示される実施形態では、上述の通り、特定主要部材12pはシリンダヘッド7の底板部71であり、参考詳細モデル3の数値解析によって得られる特定主要部材12p(底板部71)の応力(曲げ応力)を参照解析値Vrとして、判定基準Rが決定されている。具体的には、参照解析値Vrから±αの範囲を判定基準Rをとしている(Vr−α≦R≦Vr+α)。
【0039】
ステップS14において、初期解析モデル5の数値解析を実行する数値解析実行ステップが実行される。数値解析実行ステップ(S14)は、初期解析モデル5の数値解析を実行するステップである。例えば、有限要素法(FEM)などの解析手法を用いて、作成された初期解析モデル5の数値解析が実行される。
【0040】
ステップS15において、初期解析モデル5の妥当性を判定する判定ステップが実行される。判定ステップ(S15)は、数値解析実行ステップ(S14)によって得られる特定主要部材12pの解析値である特定解析値Vpが判定基準Rを満たすか否かを判定するステップである。本ステップでは、初期解析モデル5の数値解析の結果から、初期解析モデル5が実際の現象を再現できているか否かを、特定解析値Vpが判定基準Rを満たすか否かを判定することにより、判定する。換言すれば、本ステップは、数値解析の内容に応じて、初期解析モデル5が参考詳細モデル3と等価とみなすことができるか否かを判定する。例えば
図4に示されるように、初期解析モデル5の数値解析によって得られる変形図(応力分布図)において、エンジンの燃焼によって生じる応力(ガス圧荷重による曲げ応力、熱による曲げ応力)による変形(変位)が、参考詳細モデル3の数値解析の結果や、現実的、経験的な観点から想定し難いような解析結果となる場合がある。
図4の例示では、シリンダヘッド7の底板部71や天板部73の応力による変形(変位)が想定よりも大きすぎており、現実的ではないと言える(
図4のDa参照)。また、ポート壁部75および弁ガイド壁部76の変形(変位)が想定よりも大きすぎており、現実的ではないと言える(
図4のDb参照)。
【0041】
図3A〜
図5Bに示される実施形態では、特定主要部材12pとして決定されたシリンダヘッド7の底板部71に関する初期解析モデル5の数値解析の解析値(初期モデル解析値Vi)と、判定基準決定ステップ(S13)で決定した判定基準R(Vr−α≦R≦Vr+α)とを比較し、上記の初期モデル解析値Viが判定基準Rとして定義された数値範囲に入っている場合には判定基準Rを満たすと判定し、そうでない場合には判定基準Rを満たさないと判断する。そして、
図2のフローにおいては、ステップS15における判定ステップにおいて判定基準Rを満たすと判定した場合には、次に説明するステップS16に進む。
【0042】
ステップS16において、単純化解析モデル決定ステップが実行される。単純化解析モデル決定ステップ(S16)は、判定ステップ(S15)において特定解析値Vpが判定基準Rを満たすと判定された初期解析モデル5を単純化解析モデル4とするステップである。すなわち、判定基準Rを満足した初期解析モデル5は、構造解析といった数値解析の内容に関して参考詳細モデル3と等価とみなすことができるので、そのような初期解析モデル5を単純化解析モデル4とする。こうして得られた単純化解析モデル4は、モデルにおける主要部材12が想定通りの荷重伝達をしていると共に、想定通りの剛性を有しているものとなる。そして、
図2に示される実施形態では、ステップS16の後に
図2のフローを終了する。
【0043】
逆に、ステップS15における判定ステップにおいて判定基準Rを満たさないと判定された場合には、ステップS17において、初期解析モデル5を調整する初期解析モデル調整ステップが実行される。初期解析モデル調整ステップ(S17)は、判定ステップにおいて特定解析値Vpが判定基準Rを満たさないと判定した場合には、特定解析値Vpが判定基準Rを満たすように、初期解析モデル5を調整するステップである。
図3A〜
図5Bに示される実施形態では、初期解析モデル5の数値解析することによって
図4の例示のような結果が得られた場合に、本ステップ(S17)が行われる。
【0044】
図4の例示におけるシリンダヘッド7の底板部71および天板部73における想定外の変形部分Daに関しては、外壁部72による底板部71および天板部73の拘束力が弱い可能性が考えられる。つまり、初期解析モデル5における主要部材12は、参考詳細モデル3の対応する主要部材12における細部による影響を十分に考慮できずに形状が単純化されている可能性があり、参考詳細モデル3では各々の主要部材12における単純化された部分が想定以上に強度に影響していたことが考えられる。このため、
図4に例示される初期解析モデル5では、外壁部72による底板部71および天板部73の拘束力に関して参考詳細モデル3が再現できていないと言える。この場合には、
図5Aに示されるように、初期解析モデル5における上記の想定外の変形部分Daに関連する外壁部72の外壁厚さt2を、厚さがより増大された外壁厚さt2´にしても良い(t2<t2´)。この外壁厚さt2の調整は、
図2のフローに沿って、ステップS14、S15、S17が繰り返される中で、最適な値が決定されても良い。
【0045】
また、ポート壁部75および弁ガイド壁部76における想定外の変形部分Dbに関しては、参考詳細モデル3においてはポート壁部75および弁ガイド壁部76同士が中棚を形成することによって剛性が想定よりも高いと考えられる。つまり、この場合の初期解析モデル5では、ポート壁部75と弁ガイド壁部76との接続に関して参考詳細モデル3が再現できていないと言える。この場合には、
図5Bに示されるように、初期解析モデル5におけるとポート壁部75と弁ガイド壁部76との接続の剛性を調整する為に、剛性の調整された要素、若しくは剛体要素Erを追加して設定しても良い。この際、初期解析モデル5におけるメッシュサイズや数などのモデル化パラメータPmの調整を一緒に行っても良い。また、初期解析モデル5において、単純化によって例えば副室といった底板部71から天板部73に荷重を流すような部材が省略されている場合には、省略した部材に相当するものとして梁要素を初期解析モデル5に追加するなどしても良い。なお、本明細書では、モデル化パラメータPmも解析パラメータPに含まれるものとする。
【0046】
このようにして、初期解析モデル5における解析パラメータPを調整した後に、
図2に示されるように、再度、数値解析実行ステップ(S14)を実行し、調整後の初期解析モデル5の妥当性を判定ステップ(S15)で判定し、特定解析値Vpが判定基準Rを満たすと判定されるまで、ステップS14、S15、S17が繰り返される。このような単純化解析モデル作成ステップ(
図1のS1)による初期解析モデル5の解析条件の調整によって、参考詳細モデル3と等価とみなすことが可能な単純化解析モデル4を作成することができる。
【0047】
なお、初期解析モデル5に対して、構造解析と共に伝熱解析を行い、伝熱解析の結果として得られる温度分布から想定通りの伝熱となるようにも初期解析モデル5を調整することも行うことによって、想定通りの荷重伝達、剛性、伝熱が得られた初期解析モデル5を単純化解析モデル4としても良い。
【0048】
上記の構成によれば、単純化解析モデル4は、設計対象物1の体格をなすような複数の主要部材12で構築されると共にこれら主要部材12の形状等が単純化されている。よって、このように単純化された分だけ数値解析の実行時間を短縮することができる。さらに、単純化解析モデル4における複数の主要部材12のうちから選択された特定主要部材12pの数値解析による解析値(特定解析値Vp)が判定基準Rを満たすことを検証することによって、単純化解析モデル4と参考詳細モデル3との等価性を確保することができる。
【0049】
また、幾つかの実施形態では、
図6に示されるように、判定基準決定ステップ(
図2のS13)は、初期解析モデル5の数値解析と同じ境界条件Bcを用いて参考詳細モデル3の数値解析を実行し、初期解析モデル5における特定主要部材12pの解析値である特定解析値Vpに対応する参照解析値Vrを取得する参照解析値取得ステップ(S13a)と、参照解析値Vrに基づいて判定基準Rを作成する判定基準作成ステップ(S13b)と、を含んでいても良い。つまり、判定基準Rは、参考詳細モデル3の数値解析によって得られる解析値(参照解析値Vr)に基づいて決定される。
【0050】
上記の判定基準作成ステップ(S13b)について、幾つかの実施形態では、判定基準Rは、上記の参照解析値取得ステップ(S13a)によって取得された参照解析値Vrの±α%の範囲として作成しても良い(Vr−α≦R≦Vr+α)。この場合において、幾つかの実施形態では、上記のαは、参照解析値Vrの20%としても良い(α=Vr×20)。これは、シリンダヘッド7を対象として検討した際、初期解析モデル5の数値解析により得られる特定解析値Vp(後述)が参照解析値Vrの±20%の範囲(Vr−α≦R≦Vr+α)に入っている場合には、その初期解析モデル5は、構造解析において参考詳細モデル3との等価性が確保可能であることを見出したことによる。つまり、特定主要部材12pは、参考詳細モデル3を数値解析した結果に基づいて決定される。
【0051】
上記の構成によれば、参考詳細モデル3の数値解析値に基づいて、特定解析値Vpの判定基準Rを合理的に設定することができる。
【0052】
また、幾つかの実施形態では、
図7に示されるように、特定主要部材決定ステップ(
図2のS12)は、初期解析モデル5の数値解析と同じ境界条件Bcを用いて参考詳細モデル3の数値解析を実行し、最も応力が高くなる部分を有する主要部材12を選択する主要部材選択ステップ(S12a)と、主要部材選択ステップ(S12a)で選択された主要部材12を特定主要部材12pとして定める特定主要部材設定ステップ(S12a)と、を含んでいても良い。なお、構造解析以外を内容とする数値解析の場合には、要部材選択ステップ(S12a)では、数値解析の内容によって評価される項目に対する寄与が最も大きくなる主要部材12を選択する。
上記の構成によれば、参考詳細モデル3の数値解析値に基づいて、特定主要部材12pを合理的に決定することができる。
【0053】
以上、新規詳細モデル作成方法を説明した。上述したいずれかの実施形態に係る新規詳細モデル作成方法を実行することによって新規詳細モデル6が作成される。その作成後、作成された新規詳細モデル6に基づいて、設計対象物1の試作、評価等を通して、設計対象物1が製造される。
【0054】
また、上述した新規詳細モデル作成方法は新規詳細モデル作成装置8を用いて実行されても良い。
図8は、本発明の一実施形態に係る新規詳細モデル作成装置8を示す図である。
図8に示されるように、新規詳細モデル作成装置8は、コンピュータ81と、出力装置85(ディスプレイなど)と、入力装置88(キーボード、マウスなど)と、を備えている。ここで、コンピュータ81は、CPU82(プロセッサ)、ROMやRAMといったメモリ83(主記憶装置)、ハードディスク84(HDD)などを備えており、これらは相互にバスなどによって接続される。また、ハードディスク84には、上述した新規詳細モデル作成方法を実行するためのソフトウェアプログラム(以下、単に、プログラムFという。)が格納されている。そして、新規詳細モデル作成装置8を使用する設計者などの使用者からのクリック操作などを契機として、ハードディスク84からメモリ83にプログラムFがロードされると共に、このプログラムFの命令に従ってCPUが動作(データの演算など)することで、新規詳細モデル作成方法における上述した各ステップに対応する処理を、使用者との双方向のやり取りを通してインタラクティブに実行する。
【0055】
図8に示される実施形態では、コンピュータ81のメモリ上には、上述した単純化解析モデル作成ステップ(
図1のS1)を実行するための単純化解析モデル作成部F1と、上述した解析パラメータ決定ステップ(
図1のS2)を実行するための解析パラメータ決定部F2と、上述した規詳細モデル作成ステップ(
図1のS3)を実行するための新規詳細モデル作成部F3と、上述したモデルの数値解析を実行する数値解析実行部F6を備えた上記のプログラムFがロードされている。なお、単純化解析モデル作成部F1は、単純化解析モデル作成ステップで実行される上述したステップ(
図2のS11〜S17)に対応した処理を実行する機能部をそれぞれ有していても良い。そして、参考詳細モデル3の選択や主要部材12の抽出、単純化、解析パラメータPの入力などの使用者による入力装置88の操作を通して単純化解析モデル4の作成し、同様に、数値解析の実行や解析パラメータPの修正入力などの使用者による入力装置88の操作を通して解析パラメータPを決定し、こうして決定された決定解析パラメータPfに基づいて参考詳細モデル3の解析パラメータPを修正入力する操作などを通して新規詳細モデル6を作成する。また、これらの使用者による入力装置88の操作の実行とともに、プログラムFは、ディスプレイなどの出力装置85の画面を遷移させる。
【0056】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。