【実施例】
【0019】
以下に、試験例、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
1.試験例1(ヒト表皮角化細胞株を用いた外部刺激によるVDR活性影響試験)
1)細胞培養
ヒト成人男性皮膚から樹立された不死化角化細胞(ケラチノサイト)株であるHaCaT細胞(Deutsches Krebsforschungszentrumより購入)を35mmディッシュに1.6×10
5cellsの細胞密度で播種し、2日間前培養した。
細胞は37℃、5%二酸化炭素、95%空気雰囲気下にて培養を行った。培地は不活性化したウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories)10%、Penicillin−Streptomycin(Sigma Aldrich)1%を添加した培地DMEM(Life Technologies)を用いた。
なお、通常培養には、100mmディッシュに細胞を播種し80〜90 %コンフルエント時に0.05%Trypsin−EDTA(Sigma Aldrich)にて剥離し継代を行った細胞を用いた。
【0020】
2)紫外線又は活性酸素刺激
前記培養後、外部刺激として紫外線(UVB 10mJ/cm
2)照射、もしくは過酸化水素5mM添加し1時間処理を行った。細胞はD−PBSにて洗浄の後TRIzol Reagent(Life Technologies)にて細胞を溶解し回収した。なお過酸化水素は、活性酸素を発生するため、この試験では細胞に対する活性酸素の影響を知ることができる。
【0021】
3)RNA抽出
回収した細胞溶液は抽出まで−80℃にて保存した。total RNAの抽出はTRIzol Reagentのプロトコルに準じて行った。
【0022】
4)cDNA合成
cDNAの合成はPrimeScript RT Master Mix(Perfect Real Time)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。
5×PrimeScript RT Master mix:total RNA (250ng):RNase−free水を1:1:3の割合で混合し、サーマルサイクラー(MJ Research)を用いて逆転写(37℃ 15分)、逆転写酵素の熱失活(85℃ 5秒)を行い合成した。合成したcDNAは−20℃にて保存した。
【0023】
5)VDR活性の測定
VDR遺伝子の増幅発現を指標としてVDR活性を測定した。
PCR反応はLightCycler 480 System(Roche Diagnostics)を用いて行った。
プライマーはPrimer−BLASTを用いて設計し、eurofins Genomicsより購入した。
PCR Forward Primer: GCTTGTCAAAAGGCGGCAG
PCR Reverse Primer: ACCCAAAGGCTTCTGGTCC
増幅反応はSYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。すなわち、SYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(2X)にPCR Forward Primer(0.4mM)、PCR Reverse Primer(0.4mM)、およびcDNAを混合し、RNase−free水を加え調整した。PCR反応は初期変性95℃、PCR反応(95℃ 5秒、60℃ 30秒、40サイクル)、融解曲線分析(95℃ 5秒、60℃ 1分)を行い後冷却(50℃ 30秒)した。増幅効率は、比較Ct法(ΔΔCt法)を用いて算出した。なお試験結果は、controlに対する分散性をF検定にて確認後、等分散性と仮定できる場合Student’sのt検定、仮定できない場合にはWelchのt検定を用いて行った。有意水準はp<0.05とした。
【0024】
6)結果
図1に紫外線によるVDR活性への影響試験結果を、
図2に過酸化水素水添加によるVDR活性への影響試験結果を示した。
この試験結果から、紫外線及び活性酸素(過酸化水素)によって皮膚角層のVDR活性が抑制されることが明らかとなった。すなわち、皮膚は日常的に紫外線や活性酸素に曝露しているため、当然皮膚細胞に発現するVDR活性は低下するものと予想された。
【0025】
2.試験例2(VDR活性化作用を有する物質の探索試験)
市販されている各種の抽出エキスのVDR活性化作用を試験した。
(1)試験試料
次の11種の植物抽出エキスを試験試料とした。
1.摘果グレープフルーツ/テクノーブル:グレープフルーツ果実エキス
(グレープフルーツ)
2.セイヨウサンザシB/一丸ファルコス:セイヨウサンザシ果実エキス
(セイヨウサンザシ)
3.テンニンカ果実抽出液BG80/丸善製薬:テンニンカ果実エキス(テンニンカ)
4.ファルコレックス キウイB/一丸ファルコス:キウイエキス(キウイ)
5.キュアパッション/一丸ファルコス:クダモノトケイソウ果実エキス
(パッションフルーツ)
6.タイソウリキッドB/一丸ファルコス:ナツメ果実エキス(タイソウ)
7.ガデニールイエローNE/一丸ファルコス:クチナシ果実エキス(クチナシ)
8.ファルコレックス ノバラB/一丸ファルコス:カニナバラ果実エキス
(カニナバラ)
9.ユズセラミドB/一丸ファルコス:ユズ果実エキス(ユズ)
10.マンダリンクリア/一丸ファルコス:マンダリンオレンジ果皮エキス(オレンジ)
11.シークワーサーエキスBG/日油:シイクワシャー果皮エキス(シークワーサー)
なお記載は、商品名/販売者:原料部位(植物名)の順。
【0026】
(2)試験方法
試験例1と同様の条件で実施した。
1)細胞培養
ヒト成人男性皮膚から樹立された不死化角化細胞(ケラチノサイト)株であるHaCaT細胞(Deutsches Krebsforschungszentrumより購入)を35mmディッシュに1.6×10
5cellsの細胞密度で播種し、2日間前培養した。
細胞は37℃、5%二酸化炭素、95%空気雰囲気下にて培養を行った。培地は不活性化したウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories)10%、Penicillin−Streptomycin(Sigma Aldrich)1%を添加した培地DMEM(Life Technologies)を用いた。
なお、通常培養には、100mmディッシュに細胞を播種し80〜90%コンフルエント時に0.05%Trypsin−EDTA(Sigma Aldrich)にて剥離し継代を行った細胞を用いた。
【0027】
2)試験試料の添加
その後、各試験試料を1質量%になるように添加し、24時間培養した。細胞はD−PBSにて洗浄の後TRIzol Reagent(Life Technologies)にて細胞を溶解し回収した。
【0028】
3)RNA抽出
回収した細胞溶液は抽出まで−80℃にて保存した。total RNAの抽出はTRIzol Reagentのプロトコルに準じて行った。
【0029】
4)cDNA合成
cDNAの合成はPrimeScript RT Master Mix(Perfect Real Time)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。
5×PrimeScript RT Master mix:total RNA(250ng):RNase−free水を1:1:3の割合で混合し、サーマルサイクラー(MJ Research)を用いて逆転写(37℃ 15分)、逆転写酵素の熱失活(85℃ 5秒)を行い合成した。合成したcDNAは−20℃にて保存した。
【0030】
5)VDR活性の測定
VDR遺伝子の増幅発現を指標としてVDR活性を測定した。
PCR反応はLightCycler 480 System(Roche Diagnostics)を用いて行った。
プライマーはPrimer−BLASTを用いて設計し、eurofins Genomicsより購入した。
用いたプライマーの配列は試験例1と同様とした。
増幅反応はSYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。すなわち、SYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(2X)にPCR Forward Primer (0.4mM)、PCR Reverse Primer(0.4mM)、およびcDNAを混合し、RNase−free水を加え調整した。PCR反応は初期変性95℃、PCR反応(95℃ 5秒、60℃ 30秒、40サイクル)、融解曲線分析(95℃ 5秒、60℃ 1分)を行い後冷却(50℃ 30秒)した。増幅効率は、比較Ct法(ΔΔCt法)を用いて算出した。なお試験結果は、controlに対する分散性をF検定にて確認後、等分散性と仮定できる場合Student’sのt検定、仮定できない場合にはWelchのt検定を用いて行った。有意水準はp<0.05とした。
【0031】
6)結果
図3にVDR活性化を測定した結果を示す。なお測定結果は、試験試料無添加のHaCaT細胞のVDR活性を1とする相対値で示す。
試験に用いた試料のなかで、柑橘類抽出物は全てVDR活性を上昇させた。またキウイ抽出物、クチナシ抽出物も高値を示した。柑橘類ではオレンジ抽出物及びグレープフルーツ抽出物が高値を示した。これらの抽出物は、紫外線や活性酸素によって低下したVDRを活性化するのに有用である。
【0032】
3.試験例3(グレープフルーツ抽出物が紫外線及び過酸化水素によるVDR発現低下作用を抑制する効果を有することを確認した試験)
(1)試験方法
試験例1と同様に、35mmディッシュに、HaCaT細胞を1.6×10
5cellsの細胞密度で播種した。1日間前培養の後、試験例で陽性となったグレープフルーツエキスを1%濃度で添加し、24時間培養を行った。
培養終了後、細胞をD−PBSで洗浄し、紫外線(UVB 10mJ/cm
2)照射し、グレープフルーツ未添加の培地にて24時間培養を行った。
また、対照として前培養の後、細胞をD−PBSで洗浄し、グレープフルーツ未添加の培地にて過酸化水素を5mM添加し1時間処理を行った。
各処理後の細胞は、D−PBSにて洗浄の後TRIzol Reagent(Life Technologies)にて細胞を溶解した。回収した細胞溶液は、抽出まで−80℃にて保存した。試験例1と同様にtotal RNAを抽出し、cDNAを合成し、さらにVDRの遺伝子発現を検出した。
【0033】
(2)結果
1)紫外線に対する効果
紫外線によるVDR発現低下に対する効果試験結果を
図4に示す。40〜50%コンフルエント状態の表皮角化細胞において、グレープフルーツ抽出物を24時間前処理した細胞と、グレープフルーツ抽出物無処理の細胞とを比較した。UVB 10mJ/cm
2照射24時間後に、無処理の細胞は有意にVDRの発現低下を示した。一方、グレープフルーツ前処理した細胞は、紫外線によるVDRの発現低下を抑制することができた。
【0034】
2)過酸化水素(活性酸素)に対する効果
過酸化水素によるVDR発現低下に対する効果試験結果を
図5に示す。紫外線に対する試験と同様に、40〜50%コンフルエント状態の表皮角化細胞において、グレープフルーツ抽出物を24時間前処理した細胞と、グレープフルーツ抽出物無処理の細胞とを比較した。過酸化水素5mM添加1時間後に、無処理の細胞は、有意にVDRの発現低下を示した。一方、グレープフルーツ前処理した細胞は、過酸化水素によるVDRの発現低下を抑制することができた。
【0035】
4.試験例4(VDR遺伝子が概日リズムを持つ遺伝子であることの確認試験)
VDR遺伝子が概日リズムを持つ遺伝子であることを明らかにした。
1)試験対象細胞及び細胞培養
ヒト新生児由来線維芽細胞株であるNB1RGB細胞(理化学研究所バイオリソースセンターより購入)を35mmディッシュに1.6×10
5cellsの細胞密度で播種し、2日間前培養した。
細胞は37℃、5%二酸化炭素、95%空気雰囲気下にて培養を行った。培地は不活性化したウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories)10%、Penicillin−Streptomycin(Sigma Aldrich)1%を添加した培地MEM α,Nucleosides(Life Technologies)を用いた。
なお、通常培養には、100mmディッシュに細胞を播種し80〜90%コンフルエント時に0.05%Trypsin−EDTA(Sigma Aldrich)にて剥離し継代を行った細胞を用いた。
【0036】
2)細胞の同調培養
35mmディッシュにNB1RGBを1×10
5cellsになるように播種し、3日間前培養を行った。そして、MEM αに100nM Dexamethasone(Sigma Aldrich)を添加した培地にて2時間培養した。その後、再度100nM Dexamethasone未添加のMEM αに培地を交換し、所定の時間培養を行い、NB1RGB細胞を同調させた。
【0037】
3)時計遺伝子のリズム確認
時計遺伝子BMAL1、PER2を指標に、VDR遺伝子が概日リズムを有している細胞であることを確認した。同調後0時間(T0)、18時間(T18)、24時間(T24)、30時間(T30)において細胞を回収し、試験例1、2と同様にしてRNAを回収した。このRNAを用いて、BMAL1、PER2遺伝子発現の変動を指標としてリズムの確認を行った。
【0038】
4)RNA抽出
回収した細胞溶液は抽出まで−80℃にて保存した。total RNAの抽出はTRIzol Reagentのプロトコルに準じて行った。
【0039】
5)cDNA合成
cDNAの合成はPrimeScript RT Master Mix(Perfect Real Time)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。
5×PrimeScript RT Master mix:total RNA(250ng):RNase−free水を1:1:3の割合で混合し、サーマルサイクラー(MJ Research)を用いて逆転写(37℃ 15分)、逆転写酵素の熱失活(85℃ 5秒)を行い合成した。合成したcDNAは−20℃にて保存した。
【0040】
6)時計遺伝子BMAL1、PER2活性の測定
BMAL1、PER2遺伝子の増幅発現を指標としてBMAL1、PER2活性を測定した。
PCR反応はLightCycler 480 System(Roche Diagnostics)を用いて行った。
プライマーはPrimer−BLASTを用いて設計し、eurofins Genomicsより購入した。
用いたプライマーの配列は以下の通りである。
(BMAL1)PCR Forward Primer: GAGGTGACCAAGTCCAGAG
PCR Reverse Primer: GGGACATGAAATCACTGATGG
(PER2)PCR Forward Primer: GACATGAGACCAACGAAAACTGC
PCR Reverse Primer: AGGCTAAAGGTATCTGGACTCTG
増幅反応はSYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。すなわち、SYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(2X)にPCR Forward Primer(0.4mM)、PCR Reverse Primer(0.4mM)、およびcDNAを混合し、RNase−free水を加え調整した。PCR反応は初期変性95℃、PCR反応(95℃ 5秒、60℃ 30秒、40サイクル)、融解曲線分析(95℃ 5秒、60℃ 1分)を行い後冷却(50℃ 30秒)した。増幅効率は、比較Ct法(ΔΔCt法)を用いて算出した。なお試験結果は、controlに対する分散性をF検定にて確認後、等分散性と仮定できる場合Student’sのt検定、仮定できない場合にはWelchのt検定を用いて行った。有意水準はp<0.05とした。
測定結果を
図6に示す。24時間サイクルで変動していることが確認された。したがってNB1RGB細胞は、時計遺伝子の制御下で、概日リズムを持って生育活動しているものと判断した。
【0041】
7)DNAマイクロアレイ
同調後0時間(T0)、18時間(T18)、24時間(T24)、30時間(T30)において回収したtotal RNA(n=4)をWhole Human Genome Ver.2 4×44K(Agilent Technologies)を用い、アジレント遺伝子発現マイクロアレイ1色法プロトコル ver.6.9(Agilent Technologies)に準じて行った。
【0042】
8)網羅的遺伝子発現解析
スキャンされたマイクロアレイの生データはGeneSpring GX ver.14.5(Agilent Technologies)にインポートし、Percentile Shift 75%で正規化、T0の中央値をベースラインになるように補正を行った。また、解析にはT18対T24、T24対T30が1.5倍以上変化する遺伝子を抽出した。
【0043】
9)概日リズムを持つ遺伝子の抽出
時計遺伝子と同調する概日リズムを持つ遺伝子を同定するために、Whole Human Genome Ver.2 4×44K(Agilent Technologies)を用いて概日リズムを持つ遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、時計遺伝子BMAL1と同様の変動を示す遺伝子(T18対T24が1.5倍減少、T24対T30が1.5倍増加)5041遺伝子、PER2と同様の変動を示す遺伝子(T18対T24が1.5倍増加、T24対T30が1.5倍減少)173遺伝子を同定した。
【0044】
変動数の多い、BMAL1様変動を示す遺伝子について、GeneSpring GX ver.14.5(Agilent Technologies)を用いてpathway解析を行った。有意水準p<0.05とし、有意に相同性を示したpathway解析結果を下記の表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
VDR遺伝子は、概日リズムを有する遺伝子であることが確認できた。
【0047】
10)VDR遺伝子の発現リズム
VDR遺伝子の発現変動を指標としてVDRの発現リズムを確認した。
11)RNA抽出
回収した細胞溶液は抽出まで−80℃にて保存した。total RNAの抽出はTRIzol Reagentのプロトコルに準じて行った。
【0048】
12)cDNA合成
cDNAの合成はPrimeScript RT Master Mix(Perfect Real Time)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。
5×PrimeScript RT Master mix:total RNA(250ng):RNase−free水を1:1:3の割合で混合し、サーマルサイクラー(MJ Research)を用いて逆転写(37℃ 15分)、逆転写酵素の熱失活(85℃ 5秒)を行い合成した。合成したcDNAは−20℃にて保存した。
【0049】
13)VDR活性の測定
VDR遺伝子の増幅発現を指標としてVDR活性を測定した。
PCR反応はLightCycler 480 System(Roche Diagnostics)を用いて行った。
プライマーはPrimer−BLASTを用いて設計し、eurofins Genomicsより購入した。
用いたプライマーの配列は試験例1と同様とした。
増幅反応はSYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(TaKaRa)を用い、プロトコルに準じて行った。すなわち、SYBR Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(2X)にPCR Forward Primer(0.4mM)、PCR Reverse Primer(0.4mM)、およびcDNAを混合し、RNase−free水を加え調整した。PCR反応は初期変性95℃、PCR反応(95℃ 5秒、60℃ 30秒、40サイクル)、融解曲線分析(95℃ 5秒、60℃ 1分)を行い後冷却(50℃ 30秒)した。増幅効率は、比較Ct法(ΔΔCt法)を用いて算出した。なお試験結果は、controlに対する分散性をF検定にて確認後、等分散性と仮定できる場合Student’sのt検定、仮定できない場合にはWelchのt検定を用いて行った。有意水準はp<0.05とした。
測定結果を
図7に示す。
VDRは18〜24時に低下し、その後上昇するという周期を持っている。したがってVDR活性化用組成物は、この遺伝子のリズムに合わせて、活性が低下したとき投与すれば効果的であることが判明した。
【0050】
5.試験例5(グレープフルーツ抽出物が概日リズム遺伝子を活性化することの確認試験)
1)試験方法
試験例1と同様に、35mmディッシュにHaCaT細胞を1.6×10
5cellsの細胞密度で播種した。2日間前培養の後、グレープフルーツエキス1%を添加し、24時間培養した。細胞はD−PBSにて洗浄の後TRIzol Reagent(Life Technologies)にて細胞を溶解し細胞溶解液を回収した。試験例4に記載した手法で、時計遺伝子BMAL1、PER2の発現量を測定した。
【0051】
2)結果
時計遺伝子BMAL1、PER2の24時間経過後の発現量を
図8に示す。グレープフルーツ抽出物の添加によりBMAL1は有意な発現亢進を示した。しかし、PER2は発現変動を示さなかった。
このBMAL1の結果は、試験例4で示すように、時計遺伝子様変動遺伝子であるVDRの低下がグレープフルーツ抽出物の添加によって活性化され、これに伴って生体リズムを制御するBMAL1遺伝子が活性化されるためと考えられる。一方PER2は試験例4に示すように24時間目には亢進しており、グレープフルーツ抽出物による作用は影響しなかったものと考えられる。
すなわちグレープフルーツ抽出物は、VDR遺伝子を活性化させ、これに伴ってBMAL1遺伝子に作用を及ぼすものと考えられた。