(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試料ガス中に存在し得る都市ガスのエタンの有無を判断する前記第1のステップの前に、測定によって得られたメタン濃度zが自然発生メタンの存在する最低限の規定値以上であるかを判断するステップを含む請求項1又は2記載のガス種の識別方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の第1の実施形態のガス種の識別方法が図面を参照しながら説明される。一実施形態のガス種の識別方法は、
図1にその一例のフローチャートが示されるように、試料ガス中の都市ガスの成分としてのエタンの有無を判断する第1のステップ(S23)と、試料ガス中のLPGの有無を判断する第2のステップ(S24)と、第1のステップで都市ガスを含む場合に、試料ガス中の自然発生メタンの有無を判断する第3のステップ(S25)と、を有している。
【0013】
すなわち、本発明者は、都市ガスやLPGはその生産地により組成比が異なることはあるが、
(a)同じ生産地の原料と同一条件で製造される都市ガスやLPGのメタン、エタン、プロパンの組成比は常に一定であること、
(b)LPG中のエタンとプロパン組成比が一定で、家庭用及び業務用のLPGでは、プロパンの含有率は95%以上でその含有率βはほぼ一定であり、プロパンとエタン比は一定で、LPG中にはメタンを含まないこと、
(c)自然発生メタンには、発酵によって生じるメタン、その他のメタンが含まれるが、エタン、プロパンは殆ど含んでいないこと、
(d)都市ガスにはメタン、エタン、プロパンの他に、雑ガスが含まれているが、その雑ガスの含有率αは、常に一定であること(ほぼ2%程度)、
という一定の規則があることに本発明者は注目し、この知見に基づいて本発明を完成した。なお、試料ガスの測定場所における都市ガスやLPGの産地が分からず、その組成比が分らない場合には、その測定場所の近傍で取り扱われている都市ガスやLPGのガスを測定分析することで、それぞれの組成比は簡単に分る。
【0014】
試料ガス中のエタン濃度x、プロパン濃度y、メタン濃度zは、例えばそのガスのみに感応するガスセンサを用いたエタン濃度検出器、プロパン濃度検出器、メタン濃度検出器などにより測定され得る。一方、都市ガス中のエタン濃度をx
1、プロパン濃度をy
1、メタン濃度をz
1、LPG中のエタン濃度をx
2、プロパン濃度をy
2、自然発生メタンのメタン濃度をz
3とすると、前述の(a)の知見から、次式(1)〜(3)が得られる。
x
1/y
1=a(一定) (1)
x
2/y
2=b(一定) (2)
x
1/z
1=c(一定) (3)
【0015】
一方、前述の知見(b)〜(d)から、次式(4)〜(6)が得られる。
エタン濃度x=x
1+x
2 (4)
プロパン濃度y=y
1+y
2 (5)
メタン濃度z=z
1+z
3 (6)
【0016】
前述の各式で、x
1、x
2、y
1、y
2、z
1、z
3は、仮に設定された濃度であるが、これらは、上記6個の式から既知の値a、b、cと測定値x、y、zを用いて表され得る。すなわち、式(1)〜(6)の連立方程式を解いて、
x
1=a(by−x)/(b−a) (7)
x
2=b(x−ay)/(b−a) (8)
y
1=(by−x)/(b−a) (9)
y
2=(x−ay)/(b−a) (10)
z
1=a(by−x)/{c(b−a)} (11)
z
3=z−a(by−x)/{c(b−a)} (12)
と全て既知の値a、b、c、x、y、zを用いて表される。
【0017】
一方、前述のように、都市ガスやLPGは、その産地により異なる組成を有している。そして、LPGでは、エタン濃度が非常に小さく、LPG中のエタンを無視し得る程度の場合もある。その場合には式(4)でx
2が0になるので、x
1=x (7’)
になる。その結果、前述の式(1)は、
x
1/y
1=aがx/y
1=aになる。すなわち、y
1=x/a (9’)
また、式(5)のy=y
1+y
2より、y
2=y−x/a (10’)
さらに、式(3)のx
1/z
1=cから、z
1=x/c (11’)
また、式(6)から、z
3=z−z
1=z−x/c (12’)
になる。従って、これらの関係を用いれば、各ガスの組成の濃度を求めることなく、ガス種の識別がなされる。その例が
図1を参照して後述される。
【0018】
また、例えば都市ガスやLPGが存在する場合、その都市ガス及びLPG内のエタン、プロパン、メタンの組成の濃度が、一定値a、b、cと、測定値x、y、zで表される。一方、測定誤差と区別するため、測定された各ガスの組成に基づく都市ガスやLPGの濃度が一定の規定値以上である場合にその都市ガスやLPGが存在するという判断をする必要がある。これらの都市ガスやLPGが存在するか否かの判断は、例えば測定装置や測定方法、識別方法を使用するユーザの保有する安全に関する規定などに基づいて決められる。そのときの濃度が規定値として設定される。例えば都市ガスの検出として判断され得る最低限の都市ガスの濃度が規定値sとして設定され、LPGの最低限の濃度が規定値tとして設定され、自然発生メタンの最低限の濃度が規定値pとして設定される。それぞれのガスの濃度がこれらの規定値以上であるか否かが調べられ、その規定値以上であれば、そのガスが試料ガス中に存在すると判定され得る。
【0019】
一方、例えば都市ガスの組成は、前述の(d)に示される組成であり、それぞれの割合も分っている。例えば都市ガス中のエタンの濃度は、都市ガスの6%程度であることが分っている。そのため、都市ガスの最低限の規定値sに代えて、都市ガスのエタンの最低限の濃度が規定値として設定され得る。従って、エタンの濃度x
1(LPGのエタン濃度を殆ど無視できる場合はx)により都市ガスの有無を判断することができる。具体的には、都市ガスの最低限の濃度sは、都市ガス中のエタンの濃度0.06s=qがエタンの最低限の規定値とされ得る。要するに、エタンの濃度x
1(LPGのエタン濃度を殆ど無視できる場合はx)で都市ガスの存在の有無が判断され得る。
【0020】
LPGについても同様で、LPG中のプロパン濃度が95%以上の含有率βが一定であることが分っており(工業用のLPGでは異なる場合があるが、通常の場合は家庭用または業務用のLPGになる)、LPGの最低限の規定値の濃度tを、例えばLPG中のプロパン濃度y
2(=βy)の最低限の規定値r=βt(0.95≦β<1)として、LPG中のプロパンの濃度y
2が規定値r以上であるか否かによって、LPGの存在の有無が判定され得る。すなわち、y
2が規定値r以上であるかによって、LPGの存在の有無が判定され得る。
【0021】
この場合、測定されたプロパン濃度yが試料ガス中に存在し得る都市ガスのプロパン濃度よりも大きいことが前提になる。従って、まず、x
1/y<x
1/y
1=aであることが調べられる必要がある。この際、x
1/y<x/y=(x
1+x
2)/(y
1+y
2)<x1/y1=aが成立する。従って、LPG中にエタンが含まれる場合でも、前述のx
1/y<aに代えて、x/y<aで判断することもできる。すなわち、算出されたエタン濃度x
1とプロパン濃度yの比(x
1/y)がaよりも小さければ、都市ガスを構成するエタンの濃度x
1と釣り合うプロパンの濃度y
1よりも測定されたプロパンの濃度が大きいことになり、都市ガス以外のプロパンが存在することになる。その上で、都市ガス以外のプロパンの濃度が規定値r以上であるか否かが判定されることにより、LPGの存在の有無が判定され得る。この場合も、LPGのエタン濃度を殆ど無視できる場合はxで判断される。
【0022】
また、自然発生メタンの濃度は、自然発生メタン中のメタン濃度z
3が、そのまま自然発生メタンの濃度Cmになる。そのため、Cmの最低限の規定値は、自然発生メタン中のメタン濃度z
3の最低限の規定値と等しく、その値をpと設定することができる。この自然発生メタンの存在の有無の場合も前述のプロパンの場合と同様に、まず、測定されたメタンの濃度zが、都市ガス中のメタンの濃度よりも大きいか否かが調べられる。その後に、都市ガス以外のメタンの濃度が前述の一定の規定値p以上であるか否かが調べられる。都市ガスを構成するメタン以外のメタンがあるか否かを調べるには、計算されたエタンの濃度x
1とメタンの濃度zとの比(x
1/z)がx
1/z
1=cより小さいか否かで調べられる。プロパンの場合と同様に、メタンの濃度zの測定値が、都市ガスを構成するエタンの濃度x
1に対応するメタンの濃度z
1よりも大きければ、都市ガス以外のメタンが存在することになるからである。その後で、都市ガス以外のメタン濃度z
3が規定値p以上であるか否かが調べられる。測定されたエタンの濃度xではなく、計算されたエタンの濃度x
1で調べられるのは、高濃度のLPG中が試料に含まれる場合xにはエタン濃度x
2が含まれるからである。LPG中のエタン濃度が殆ど0の場合には、測定されたエタン濃度xが用いられ得る。
【0023】
この観点で、まず、LPG中のエタン濃度が殆ど0の場合を例にとり、ガス種を分別する方法が
図1を参照しながら説明される。
【0024】
まず、試料ガス中のエタンの濃度x、プロパンの濃度y、及びメタンの濃度zが各ガスの検出器によって測定される(S21)。この際に、メタンの濃度zも測定されると、後に自然発生メタンの濃度を求める際に都合がよい。しかし、この時点では必須ではないが、この実施形態では、メタンの濃度zも測定している。また、エタンなどの濃度は、前述のように、各ガスのみに感応するガスセンサを用いたエタン濃度検出器、プロパン濃度検出器、メタン濃度検出器などにより測定され得る。
【0025】
次に、測定されたメタン濃度zが規定値p以上であるか否かが調べられる(S22)。この規定値pは、自然発生メタンが存在すると判断される最低限の濃度である。前述の式(6)より、z=z
1+z
3、すなわちメタン濃度zの測定値は、都市ガス中のメタン濃度z
1と自然発生メタン中のメタン濃度z
3との和である。従って、ステップS22でz≧pであれば、試料ガスは、少なくとも都市ガス又は自然発生メタンを含んでいる可能性が高いことを示している。このステップS22で、z<pであれば、試料ガスは、都市ガスも自然発生メタンも含んでいないことを示している。この規定値pは、自然発生メタンが存在すると判定され得る最低限の濃度であるが、都市ガスのメタン濃度は非常に大きい(都市ガス濃度の80%以上)であるため、いずれかの存在を確認するのに、自然発生メタンの最低限の値でその存在の有無が判断されている。
【0026】
ステップS22でY(イエス)の場合には、都市ガスの存在を都市ガス中のエタン濃度x
1=xが規定値q以上であるかで調べられる(S23)。LPG中のエタン濃度はほぼ0と見做しているからである。この規定値qは、前述のように、都市ガスが存在すると判断し得る最低限の濃度に対応する都市ガス中のエタン濃度の最低限の値に設定されている。従って、このステップS23でYの場合には、都市ガスが存在すると判定される。
【0027】
ステップS23で都市ガスが存在することが判明すれば、LPGが存在するか否かが調べられる(S24)。この判断は、前述のように、測定されたプロパンの濃度yが都市ガス中のプロパン濃度y
1よりも大きく、かつ、その差が規定値r以上あるか否かで調べられる。従って、x/y<x
1/y
1=aであるか、及びLPG中のプロパン濃度y
2が規定値r以上であるか否かにより行われる。y
2=y−y
1=y−x
1/aであり、x
1=xにより、y>x/aであるか否か、及びy−x/aがr以上であるか否かが調べられる。
【0028】
ステップS24で、LPGの存在が確認されたら(S24でY)、自然発生メタンが存在するか否かが判断される(S25)。すなわち、前述のように、測定されたメタンの濃度zが都市ガス中のメタン濃度z
1よりも大きく、かつ、その差が規定値p以上あるか否かで調べられる。従って、LPG中のエタン濃度を無視しているので、x/z<x
1/z
1=cであるか、及び自然発生メタンのメタン濃度z
3=z−z
1=z−x/cが、自然発生メタンの存在を確認できる最低限を示す規定値p以上であるかが調べられる。すなわち、z>x/cであるか否か、及びz
3の値がp以上であるか否かは直ちに判断され得る。ステップS22で、メタン濃度zが規定値p以上であるか否かが調べられているが、このメタンの濃度zは都市ガスのメタンを含んでいる可能性がある。そのため、都市ガス中のメタン濃度z
1を差し引いたメタン濃度z
3が規定値p以上であるかが調べられている。
【0029】
しかし、後述の
図3に示される実施形態のように、各ガスの組成が計算される場合には、前述のステップS21の後で、その自然発生ガスのメタン濃度z
3が規定値p以上であるか否かが調べられてもよい。このz
3も、前述の式(12)により既知の値のみで表される。この時点で、自然発生メタンガスの存在の有無が検出されれば、後述されるステップS28などの自然発生メタンの有無を調べるステップが省略され得る。しかし、その自然発生メタンの有無の判断の結果、自然発生メタンがない場合には、エタン濃度x
1≧qか、及びプロパン濃度y
2≧rか、の判断がされる必要がある。
【0030】
以上の各ステップ(S23、S24、S25)での判断で、全てYであれば、試料ガスは、都市ガス、LPG、及び自然発生メタンの全てに由来する混合ガスであることを示している。
【0031】
ステップS22で、メタン濃度zの測定値が規定値p未満である場合(S22のN(ノー)の場合)には、都市ガスも自然発生メタンも存在しないことになる。そして、試料ガス中のプロパン濃度y(測定値)が、LPG中のプロパン濃度の最低限の規定値r以上であるかが調べられる(S26)。ここで、試料ガス中のプロパンの濃度の測定値がLPG中のプロパンの最低限の規定値rと比較されている。これは、ステップS22で都市ガスが無いと判断されているので、都市ガス中のプロパン濃度y
1は0となり、y=y
2になるからである。
【0032】
ステップS26の判断で、Yの場合には、試料ガスはLPGのみを含むことになり、試料ガスがLPGに由来するガスを含んでいるとわかる。また、ステップS26でNの場合には都市ガス、LPG、及び自然発生メタンのいずれのガスも含んでいないと判断されることになり、試料ガスは、大気として無視できると判定される。
【0033】
次に、ステップS23でNの場合、都市ガスが存在しないことになる。その場合、プロパンの濃度y(測定値)が規定値r以上であるか否かが判断される(S27)。この場合も、ステップS26の場合と同じ理由によって、測定されたプロパンの濃度yの測定値が規定値rと比較されている。その理由は、前述のステップS26の説明と同じである。
【0034】
ステップS27で、プロパンの濃度yが規定値r以上である場合(S27でYの場合)には、自然発生メタンの存在はステップS22で既に確認されているが、都市ガスの存在とは判定されない場合でも、都市ガスの若干のメタン(基準値未満のメタン)が含まれ得る。従って、x/z<x
1/z
1=cであるか、及び自然発生メタンのメタン濃度z
3=z−z
1=z−x/c≧pであるかが調べられる(S28)。自然発生メタンの存在が確認(S28でY)されれば、その試料ガスは、LPGと自然発生メタンに由来するガスの混合ガスを含んでいることを示し、試料ガスはLPGと自然発生メタンの混合ガスを含むと判定される。ステップS28でNの場合には、試料ガスはLPGのみに由来するガスを含むと判定される。
【0035】
ステップS27で、yがr未満である場合(S27でNの場合)には、前述と同様に、自然発生メタンの存在の有無が確認され(S29)、自然発生メタンの存在が確認されれば(S29でYの場合)、自然発生メタンのみの存在となり、試料ガス中には自然発生メタンに由来するガスだけを含むと判定される。ステップS29で自然発生メタンの存在が確認されない(S29でNの場合)には、大気として無視できると判定される。
【0036】
ステップS24において、y>x/a、又は、y
2がr未満である場合(S24でNの場合)、すなわちLPGが含まれていない場合には、ステップS30に進み、x/y<aで、かつ、z
3=z−x/cが規定値p以上であるか否かが調べられる(S30)。この場合も、前述のステップS28の場合と同様にz
3≧pが調べられる。z
3が規定値p以上である場合(S28でYの場合)には、この試料ガス中には、都市ガスに由来するガスと自然発生メタンに由来するガスとが含まれていることになる。すなわち、この試料ガスは、都市ガスと自然発生メタンに由来するガスを含む旨の判定がなされる。また、ステップS30で、x/y<a、又はz
3=z−x/cが規定値p未満である場合(S30でNの場合)には、この試料ガスは都市ガスに由来するガスのみを含む旨の判定がなされる。
【0037】
ステップS25で自然発生メタンが含まれない場合(S25でNの場合)には、この試料ガスには、都市ガスに由来するガスとLPGに由来するガスとを含む旨の判定がなされる。
【0038】
以上の
図1に示される実施形態では、各ガスの組成ごとの濃度、及び都市ガス、LPG、自然発生メタンのガス種ごとの濃度のいずれもが分らない場合でも、既知のそれらの組成比の関係と、測定されるエタン、プロパン、及びメタンの濃度に基づいて、試料ガスが、どのガス種に由来するガスを含んでいるかの分別が、容易になされ得る。
【0039】
図2は、
図1に示されるフローの変形例を示すフローチャートである。すなわち、
図2に示される例は、
図1のLPGの存在の有無の判断(S24)と自然発生メタンの存在の有無の判断(S25)の順番を変えたフローチャートである。この変更に伴い、ステップS30の内容も変っている。
【0040】
すなわち、ステップS23までは、前述の
図1に示される例と同じであり、その説明は省略される。ステップS23でx≧qである場合(S23でYの場合)には、自然発生メタンの存在の有無が判断される(S31)。この判断は、
図1のステップS25と同様に行われるので、その説明は省略される。
【0041】
ステップS31で、自然発生メタンが含まれている場合(ステップ31Yの場合)には、ステップS32に進み、LPGが存在するか否かが判断される(S32)。このLPGの存在の有無の判断も、前述のステップS24と同じであるので、その説明は省略される。そして、このステップS31およびS32で共にYの場合には、ステップS23で判断された都市ガスの存在に加えて、自然発生メタンもLPGも含むことになり、
図1の場合と同様に、試料ガスは、都市ガス、LPG、及び自然発生メタンのいずれにも由来するガスを含む混合ガスであることが分り、その旨が判定される。
【0042】
ステップS31で、自然発生メタンが含まれない場合(S31でNの場合)には、ステップS33に進み、LPGが存在するか否かが判断される(S33)。このLPGの存在の有無の判断も、前述の
図1のステップS24と同様に行われるので、その説明は省略される。LPGが含まれる場合(S33でYの場合)には、試料ガスは、都市ガスとLPGにそれぞれ由来するガスの混合物を含むことになり、その旨が判定される。ステップS33で、LPGが含まれないと判断された場合(S33でNの場合)には、自然発生メタンもLPGも含まれないことになるので、試料ガスは都市ガスに由来するガスのみを含むことになり、その旨が判定される。
【0043】
その他のステップは、
図1に示される場合と同じであり、同じステップのところには同じステップ番号を付してその説明が省略される。
【0044】
図1および
図2に示される例は、各ガス種およびそのガス種の組成の濃度を一切求めないで、ガス種の混合状態の識別が行われた。しかし、前述のように、ガス種ごとの各組成の濃度は、それぞれ前述の式(7)〜(12)により求められる。また、これらの組成の濃度が求まれば、又はこれらの値を仲介して、ガス種ごとの都市ガス、LPG、自然発生メタンのそれぞれの濃度も次式(13)〜(15)のように求められる。
都市ガス濃度Ct=(x
1+y
1+z
1)/(1−α)
=x
1(1+1/a+1/c)/(1−α) (13)
LPG濃度Cp=y
2/β=(x−ay)/{β(b−a)} (14)
自然発生メタン濃度Cm=z
3=z−a(by−x)/{c(b−a)} (15)
【0045】
従って、これらの濃度を計算して得られる濃度が、前述の
図1〜2に示されるフローチャートに適度に盛り込まれることにより、より一層正確なガス種の識別がなされると共に、そのガス種ごとに、どのガスがどの程度の濃度で含まれているかも表示され得る。すなわち、LPGのエタン濃度が0でない場合でも、正確にガス種の分類及びそれぞれの濃度が求められ得る。その例が
図3のフローチャートを参照しながら説明される。
【0046】
まず、ステップS1は、前述の
図1の場合のステップS21と同じであるので、その説明は省略される。
【0047】
次に、都市ガスが存在する場合の、都市ガス中のエタン濃度をx
1、プロパン濃度をy
1、LPGが存在する場合の、LPG中のエタン濃度をx
2、プロパン濃度をy
2として、前述の式(1)〜(6)に基づいて、前述の式(7)〜(10)のように、x
1、x
2、y
1、y
2が計算によって求められる(S2)。この算出は、マイコンなどを用いて計算され得る。
【0048】
その後、自然発生メタンの濃度z
3が求められる(S3)。なお、ステップS1でメタン濃度が測定されていない場合には、このステップS3でメタン濃度zが測定される。このz
1及びz
3も、前述の式(1)〜(6)に基づいて計算され得る。この自然発生メタンの濃度z
3は、z
3=z−z
1で、式(6)によって、z
3=z−x
1/cで求められる(S3)。前述の式(12)のz
3=z−a(by−x)/{c(b−a)によっても求められる。しかし、ステップS2でx
1が求められるので、そのx
1を使用した方が簡単に求められる。
【0049】
次に、メタン濃度zの測定値が規定値p以上であるか否かが判断される(S4)。このステップは、前述の
図1に示される例のステップS22と同じであるので、その説明は省略される。
【0050】
その後、試料ガス中に含まれ得る都市ガスのエタン濃度が規定値q以上であるか否かが判断される(S5)。このステップも前述の
図1のS23と同じであるので、その詳細な説明は省略される。
【0051】
ステップS5で、都市ガスが含まれている場合(S5でYの場合)には、その都市ガスの濃度CtがCt=(x
1+y
1+z
1)/(1−α)の式で、z
1=x
1/cを用いて計算される(S6)。勿論、前述の式(13)を用いて求められてもよい。x
1、y
1はステップS2で求められているからである。ここでαは、前述のように、都市ガス中に存在し得るその他のガスの割合で、その他のガスの種類の詳細はエタン、プロパン、メタン以外のガスであることを除いては不明であるが、前述のように、このその他のガスは、都市ガス中に含まれる割合が常に一定で、例えば2%程度であることが分っている。このその他のガスを除いた部分(1−α)での濃度は、(x
1+y
1+z
1)であるので、都市ガス全体としての濃度Ctは、Ct=x
1(1+1/a+1/c)/(1−α)で求められる。
【0052】
次に、LPGの存在の有無の判断が行われる(S7)が、このステップも前述の
図1におけるステップS24と同様であるので、詳細な説明は省略される。
【0053】
ステップS7でYであれば、LPGが存在することになるので、その濃度CpがCp=y
2/β=によって求められる(S8)。このCpも、y
2が求められているので、簡単に得られるが、前述の式(14)に示されるCp=(x−ay)/{β(b−a)}で求められてもよい。しかし、y
2の値が既に式(10)により求められているので、その値を用いることによって、簡単にLPGの濃度が求められる。
【0054】
その後、自然発生メタンの存在の有無が判断される(S9)。このステップも、前述の
図1に示される例のステップS25と同じであるので、その詳細な説明は省略される。
【0055】
その後、自然発生メタンの存在が判定されたら(S9でYの場合)、その濃度Cmが、Cm=z
3=z−x
1/cによって求められる(S10)。前述の式(15)に示されるCm=z−a(by−x)/{c(b−a)}の計算で求められてもよいが、z及びx
1が既に求まっているので、Cm=z−x
1/cを用いた方が簡単である。
【0056】
以上の各ステップS5、S7、S9での判断で、全てYであれば、試料ガスが、都市ガス、LPG及び自然発生メタンの全てに由来するガスであることが判定される。しかも、その試料ガス中の都市ガスの濃度Ct、LPGの濃度Cp、及び自然発生メタンの濃度Cmが求まる。
【0057】
ステップS4、S5、S7、S9の判断で、Nの場合には、前述の
図1のステップS22、S23、S24、S25でNの場合と同じであり、その後のフローも同じであるため、説明は省略される。なお、
図3では、ステップS4、S5、S7、S9の判断で、Nの場合のフローで、LPGや自然発生メタンの存在が判定された場合には、前述の例と同様に各ガスの濃度が求められる。そうすることにより、ガス種の分類と共にその分類に含まれるガス種ごとの濃度も同様に表示され得る。しかし、
図3ではその計算のステップが省略されている。
【0058】
図3に示される例では、ステップS3で、自然発生メタンの濃度z
3が求められているので、その後のエタンの有無を判断するステップS5の前のステップで自然発生メタンの存在の有無が簡単に調べられる。すなわち、この時点でステップS9と同様の自然発生メタンの有無の判断がなされ得る。そうすることにより、
図3に示されるステップS13などの自然発生メタンの有無を調べるステップが省略され得る。しかし、自然発生メタンの有無の判断の結果、自然発生メタンがない場合には、都市ガスのエタン濃度x
1≧qであるか、及びLPGのプロパン濃度y
2≧rであるか、の判断がされる必要がある。
【0059】
また、
図3に示される実施形態では、例えば都市ガスやLPGが存在すると判定し得る最低限の濃度である規定値以上であることを確認するのに、例えば都市ガスでは、都市ガスの組成であるエタンx
1の濃度が、その規定値q以上であるか否かで判断された。また、LPGの場合には、その組成であるプロパンの濃度y
2が、その最低限の規定値r以上か否かで判断された。しかし、本実施形態では、都市ガスの濃度CtやLPGの濃度Cpが求められるので、先にこの値を計算して、都市ガスやLPGの計算された濃度が、直接都市ガスの濃度が規定値s以上か否か、LPGの濃度が規定値t以上か否かの判断がなされてもよい。そして、それぞれが規定値以上あれば、計算された濃度でそのガスが前述の試料ガス中に存在すると判定され得る。
【0060】
この
図3に示される例でも、都市ガスの存在の有無、LPGの存在の有無、及び自然発生メタンの存在の有無の判断(S5、S7、S9)の順番はこの例に限定されるものではない。その順番は適宜、前後に変換され得る。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、前述の(a)〜(d)という基本的な事実に基づいて、これらの関係と共に、簡単に測定され得るエタン、プロパン、メタンの測定値に基づいて、都市ガスの成分ごとの濃度、及びLPG中の成分ごとの濃度が求められている。そのため、各組成が存在するか否かの判断が簡単に行われ得る。そして、各ガス種それぞれの濃度も簡単に求められる。その結果、測定雰囲気下で検出されるガス種が何であるかが、簡単に表示され得ると共に、必要であれば、そのガス種ごとの濃度も簡単に表示され得る。
【0062】
前述の
図1および
図2に示される例では、各ガスの濃度及びその組成の濃度を求めなくても、ガス種を区分けすることができた。しかし、
図3に示される例のように、各ガスの組成の濃度を求めることにより、より一層簡単にガス種を分析することができると共に、各ガスの濃度も求められる。従って、
図2に対応するフローチャートで、各ガスの濃度も測定されたフローチャートの例が
図4に示されている。なお、
図4に示される例では、
図2のステップS27に対応するステップS49に続くフロー(Y及びNの場合)において、自然発生メタンの存在の有無を判断するステップが省略されている。これは、ステップS42で測定されたメタン濃度zがp以上であることが確認されており、ステップS43で都市ガスは存在しないことも確認されており、自然発生メタン以外のメタンは殆ど存在しないと仮定し得ることに基づいている。しかし、厳密には、
図2に示されるように、再度自然発生メタンの有無が判断されることが好ましい。
【0063】
まず、前述の各例と同様に、エタン濃度x、プロパン濃度y、及びメタン濃度zが測定される(S41)。この測定方法は前述の例と同じである。
【0064】
次に、前述の式に基づき、各ガスの組成x
1、y
1、x
2、y
2が算出される(S41a)。そして、メタン濃度zの測定値が規定値p以上であるか否かが調べられる(S42)。次いで、
【0065】
メタン濃度が規定値p以上(S42でY)であれば、エタン濃度xが規定値q以上であるかが調べられる(S43)。前述の例では、都市ガスのエタン濃度x
1がq以上であるかが調べられたが、この例では、x
2が0であり、x
1=xであるので、エタン濃度xの測定値で判定されている。その意味は前述の例と同じであるので、説明は省略される。
【0066】
続いて、自然発生メタンの存在の有無が判断される。すなわち、
図2のステップS31と同様に、x/z<cか否かと、メタン濃度(z−x/c)が規定値p以上であるか否かが調べられる(S44)。さらに、LPGの存在の有無が調べられる(S45)。このLPGの存在の有無の判断も、前述の
図2のステップS32と同様に行われる。これらのステップも、都市ガスのエタン濃度x
1ではなく、エタン濃度の測定値xで調べられていることを除いて、前述の例と同じであるので、詳細な説明は省略される。
【0067】
ステップS43、S44、S45で全てYの場合は、都市ガスの濃度Ct、LPGの濃度Cp、自然発生メタンの濃度Cmが、それぞれ次式で計算される。
Ct=(x
1+y
1+z
1)/(1−α)
=x(1+1/a+1/c)/(1−α) (13’)
Cp=y
2/β=(y−x/a)/β (14’)
Cm=z
3=z−x/c (15’)
すなわち、これらの濃度は、全てエタン、プロパン、メタンの濃度の測定値と一定値のみで求められる。換言すると、各ガス種の組成比を求めなくても、3種類のガスの測定値のみで、ガス種の識別及びそのそれぞれのガス種の濃度が求められる。
【0068】
前述のステップS42でNの場合、ステップS47に進み、プロパン濃度yが規定値r以上であるか否かが判断され(S47)、規定値r以上であれば、プロパン濃度Cpが求められる(S48)。この流れも前述の例と同じであり、詳細な説明は省略される。
【0069】
また、ステップS43、S44でNの場合も、前述の
図2の例と同じであり、ステップS49、S52に進み、
図2のS27、S33に対応している。また、この
図4に示されるフローチャートでは、ステップS49、S52の後及びステップS45でNの場合に、それぞれ存在するガスの濃度の算出が行われている(S50、S53、S51、S54、S55)が行われている。なお、各ステップの判断は、x
1がxになっている以外は、
図3に示される例と同じであるので、詳細な説明は省略される。さらに、各ガスの濃度も、前述の式(13’)〜(15’)により計算される。
【0070】
以上のように、この実施形態によれば、エタン、プロパン、メタンの濃度が調べられるだけで、非常に簡単な計算で、含まれるガス種の識別がなされ、それぞれのガスの濃度、Ct、Cp、Cmも簡単に求められる。
【0071】
上記実施形態における識別方法は、エタン濃度検出器と、プロパン濃度検出器と、演算手段(回路)とを備える、測定装置で実現できる。当該測定装置には、さらにメタン検出器を備えてもよい。また当該測定装置には、表示手段を設け、判定結果(いずれのガスが含まれるかや、各ガスの濃度)を表示するようにしてもよい。