(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842353
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】エノラーゼ産生抑制用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7004 20060101AFI20210308BHJP
A61K 31/7016 20060101ALI20210308BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20210308BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20210308BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
A61K31/7004
A61K31/7016
A61P43/00 105
A61K8/60
A61Q19/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-87480(P2017-87480)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-184374(P2018-184374A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202430
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 千香子
(72)【発明者】
【氏名】吉野 崇
(72)【発明者】
【氏名】松熊 祥子
【審査官】
新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−045186(JP,A)
【文献】
特開2000−290135(JP,A)
【文献】
国際公開第2003/033717(WO,A1)
【文献】
日本皮膚アレルギー学会雑誌,2016年,Vol.10, No.4,p.456
【文献】
アレルギー,2005年,Vol.54, No.3-4,p.378, Abstract 232
【文献】
日本皮膚科学会雑誌,2013年,Vol.5,p.942, Abstract P3-1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 45/00−45/08
A61P 17/00
A61P 43/00
A61K 8/00− 8/99
A61Q 19/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
D−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールから選択される1以上の物質を有効成分として含有するエノラーゼ1産生抑制用組成物。
【請求項2】
エノラーゼ1産生が、外部刺激によって引き起こされるものである請求項1に記載のエノラーゼ産生抑制用組成物。
【請求項3】
外部刺激が乾燥、界面活性剤又は化学物質による刺激である請求項1又は2に記載のエノラーゼ1産生抑制用組成物。
【請求項4】
組成物が外用剤の形態である請求項1〜3のいずれかに記載のエノラーゼ1産生抑制用組成物。
【請求項5】
D−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールから選択される1以上の物質を0.1〜30質量%含有する請求項4に記載の外用目的のエノラーゼ1産生抑制用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエノラーゼ産生抑制用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エノラーゼ(Enolase)は、正式名称をホスホピルビン酸ヒドラターゼ(Phosphopyruvate hydratase)といい、解糖系に関わる重要な酵素である。この酵素は、グルコースからピルビン酸に至るまでのカスケード反応において、最後から2番目のステップである、2−ホスホグリセリン酸がホスホエノールピルビン酸に変換される反応を触媒する。また、この酵素は、典型的なスーパーファミリーであるエノラーゼスーパーファミリーに属している。ヒトには5種類のホスホピルビン酸ヒドラターゼのアイソザイムが存在する。主なエノラーゼのアイソザイムとして、α、β、γの3タイプが良く知られている。α−エノラーゼは細胞質に偏在しており、エノラーゼ1ともいう。β−エノラーゼは筋肉細胞に存在しエノラーゼ3ともいう。γ−エノラーゼは、主としてニューロンに存在し、エノラーゼ2ともいう。
【0003】
近年、エノラーゼのアイソザイムについての研究が進み、エノラーゼを指標とする診断や検査方法が提案されている。
特許文献1には、皮膚から採取した角層のエノラーゼ1の発現量を測定することによって皮膚の皮膚粘弾性(弾力性)の指標とできることが記載されている。また非特許文献1にはエノラーゼ1がアトピー性皮膚炎患者において上昇することが記載されている。
特許文献2には、ニューロン特異エノラーゼNSEを測定することで緑内障の発症リスクを評価する技術が記載されている。
特許文献3にはα−エノラーゼを腎がんの血中マーカーとして利用する技術が記載されている。また非特許文献2には血清γエノラーゼが腫瘍マーカーとして利用可能であることが記載されている。
特許文献4には、シクロペンテノン型プロスタグランジンの細胞膜上の結合部位を明らかにし、該結合部位に作用する物質の活性を測定する方法としてエノラーゼ2を利用する技術が記載されている。
特許文献5にはエノラーゼ1がアトピー性皮膚炎のマーカーとして利用可能なことが記載されている。
特許文献6には、アルツハイマー病、レービー小体疾患、パーキンソン病および前頭側頭葉痴呆などの疾患の神経変性特異的マーカーとしてニューロン特異的マーカーが利用できることが記載されている。
以上の先行技術のほかにも、エノラーゼやエノラーゼのアイソザイムが疾患の診断やマーカーとして利用できることが開示されている。
【0004】
また特許文献7には、エノラーゼの阻害剤が抗がん剤として利用可能であることが記載されている。
特許文献7には、3(トランス)−クロロホスホエノールピルベート、3(シス)−シアノホスホエノールピルベート、D−タルトロネートセミアルデヒドホスフェート、アミノエノールピルベート、D−グリシドールホスフェート、およびL−グリシドールホスフェートなどのエノラーゼの阻害剤が、髭や腋毛などの体毛の生育の抑制剤として利用可能であることが記載されている。
特許文献8には、低酸素誘導因子−1α(HIF−1α)を制御するか、又はこれによって制御される因子であるエノラーゼ1を抑制することでリュウマチを治療できることが記載されている。
このようにエノラーゼの測定は、疾患の診断の指標として利用可能であり、さらにエノラーゼの阻害や抑制剤は、疾患治療や、美容用途などに利用可能なことが、多くの先行技術によって明らかになってきた。
しかし、エノラーゼの増減と代謝の関係については、現段階では解明されている部分が少なく、さまざまな研究が試行錯誤的に行われているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−114517号公報
【特許文献2】特開2016−048265号公報
【特許文献3】特開2013−140030号公報
【特許文献4】特開2011−083236号公報
【特許文献5】国際公開第2007/046463号
【特許文献6】特表2002−519702号公報
【特許文献7】特表2016−504402号公報
【特許文献8】特表2007−512369号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Int Arch Allergy Immunol. 2009;150(1):89−101.
【非特許文献2】日泌尿会誌、79巻、2号、1988年、220−226ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、これらの先行技術に基づき、エノラーゼの生体における機能について各種の研究を行ってきた。その過程でエノラーゼ1の増減が、何らかの形で細胞間の結合性に影響を与えている可能性が考えられた。
本発明者らは、細胞外環境要因である乾燥や化学物質の接触といった物理的・化学的な外部刺激を与えることにより、皮膚細胞の産生するエノラーゼが増加することを知見した。そして皮膚細胞への外部刺激とエノラーゼの増加についてさらに研究を進めたところ、塩化コバルトを皮膚細胞の培養液に添加するとより精度良く、刺激量とエノラーゼ産生量の関係を再現できることを見いだした。この刺激とエノラーゼ産生の関係を利用し、刺激によって増加するエノラーゼ量を低下又は抑制させる物質について、各種化合物や天然物を対象にスクリーニングをおこなった。その結果複数の物質が特異的にエノラーゼ産生を抑制することを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、乾燥等の外部刺激によって増加するエノラーゼを抑制するための組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の構成からなる。
(1)D−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールから選択される1以上の物質を有効成分として含有するエノラーゼ産生抑制用組成物。
(2)エノラーゼがエノラーゼ1である(1)に記載のエノラーゼ産生抑制用組成物。
(3)エノラーゼ産生が、外部刺激によって引き起こされるものである(1)又は(2)に記載のエノラーゼ産生抑制用組成物。
(4)外部刺激が乾燥、界面活性剤又は化学物質による刺激である(1)〜(3)のいずれかに記載のエノラーゼ産生抑制用組成物。
(5)組成物が外用剤の形態である(1)〜(4)のいずれかに記載のエノラーゼ産生抑制用組成物。
(6)D−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールから選択される1以上の物質を0.1〜30質量%含有する(5)に記載の外用目的のエノラーゼ産生抑制用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、新たなエノラーゼ産生抑制用組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】乾燥、メチルパラベン(防腐剤)、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)、塩化コバルトによるエノラーゼ1産生促進効果を確認した試験結果を示すグラフである。
【
図2】各種糖類のエノラーゼ1産生抑制効果をスクリーニングした試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、D−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールを含有するエノラーゼ産生抑制用組成物である。
本発明のエノラーゼ産生抑制用組成物の有効成分であるD−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールは、糖として市販されている純度のものであればいずれも使用可能である。98質量%以上の純度に精製されたものを用いることが好ましい。
本発明の組成物は、エノラーゼ産生を抑制しようとする部位、あるいは組織に、必要な濃度で到達させることが必要である。したがって注射剤又は外用剤のようにエノラーゼの低下を必要とする患部あるいは組織に直接投与できる製剤とすることが好ましい。
【0012】
本発明のエノラーゼ産生抑制用組成物及び該組成物を含有する外用剤には、目的部位においてD−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールがエノラーゼ産生抑制作用を発揮する濃度に達するように製剤化できれば、その含有量に特に制限はない。なお、グルコース、フルクトースの場合、インビトロ試験の結果から、細胞のエノラーゼ1産生を抑制するための最低濃度は、25mMである。他の糖類もほぼ同様である。したがって外用製剤としての濃度は、D−グルコース、フルクトースの場合、0.45質量%以上の濃度になるように含有量を調整すれば良い。2糖類であるラクトースは0.9質量%以上、メリビオース、イソマルチトールの場合は、0.86質量%以上である。尚、これらの糖類は毒性がほとんどなく比較的安価なため、製剤の特性に応じて30質量%程度まで配合してもよい。
したがって本発明の外用に用いるエノラーゼ産生抑制用組成物にあっては、D−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールから選択されるいずれか1以上の物質を0.1〜30質量%含有させることが好ましい。
D−グルコース、フルクトース、ラクトース、メリビオース、イソマルチトールのいずれか1以上を含む製剤は、製剤上の常套手段により調製することができる。医薬あるいは化粧料用無毒性担体としては、例えば、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水、油脂等を配合して、所望の濃度に調整すれば良い。また、必要に応じて、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加し、外用剤として調製することができる。
投与回数は、1日当たり1〜3回投与することで、外用剤の投与部位でエノラーゼの産生を抑制することができる。
【実施例】
【0013】
以下に、試験例を示して本発明を具体的に説明する。
1.試験例1(各種刺激によるエノラーゼ産生増加試験)
細胞外部からの物理的刺激や化学物質による刺激によって、刺激量依存性で表皮角化細胞の産生するエノラーゼ(エノラーゼ1)が増加することを確認した。細胞に対する外部刺激としては、公知の乾燥処理、メチルパラベン(MP)、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化コバルト(CoCl
2)の4種の物理的処理又は化学物質処理を選択し、これら外部刺激によるエノラーゼの増加を確認した。
【0014】
(1)使用細胞及び培養方法
ヒト表皮ケラチノサイト(Normal human epidermal keratinocytes;NHEK)(Lonza)を購入して試験に用いた。細胞は、EpiLife(R)Medium(Life Technologies)を用いて培養し、継代の際には、0.01%トリプシン/0.004%EDTAにより接着細胞を剥離させて回収し、これを試験に用いた。
【0015】
(2)刺激試験
細胞培養用24 well plate(住友ベークライト)に、3.5×10
4cells/wellの密度で細胞を播種し、24時間後に、細胞刺激処理を行い、処理後、24時間、48時間又は72時間、5%CO
2、37℃の環境下でインキュベートした。
刺激の条件は表1のとおりとした。なお刺激試験に用いる全ての試薬は、培地を用いて使用する濃度に溶解し、ニトロセルロース膜(0.45μm)を用いてフィルター滅菌した。
【0016】
【表1】
【0017】
培養上清をエノラーゼ1測定用サンプルとして回収した後、刺激後の細胞をPBS(−)(和光純薬工業)を用いて洗浄した。各ウェルに200μLのRIPA Lysis and Extraction Buffer(Thermo Scientific)を加えて、4℃にて30分間の振とうを行い、RIPA buffer中に細胞中のタンパクを抽出した。
【0018】
(3)エノラーゼ1の測定
サンドイッチELISA法により細胞抽出液中のエノラーゼ1を定量した。1次抗体には抗エノラーゼ1モノクローナル抗体(abnova社製 M10)、2次抗体には抗エノラーゼ1モノクローナル抗体(abnova社製 M01)を用いた。さらに、BCA法(Thermo Scientific社)により各検体の総タンパク量を定量した。細胞中の総タンパク1μg当たりのエノラーゼ1量を刺激によるエノラーゼ1発現量とした。
【0019】
(4)結果
測定結果は、3ウェルの平均値を求め、対照(刺激なし)に対するエノラーゼ1増加率として
図1に示した。
乾燥処理では5分、15分、30分ともにエノラーゼ1が増加した。
MP刺激では0.003%、0.03%ともにエノラーゼ1が増加した。また処理時間に応じてエノラーゼ1の増加が確認された。
SDS刺激では、10μM、30μMともにエノラーゼ1が増加した。
CoCl
2刺激では、100μM処理72時間でエノラーゼ1が増加し、300μM処理では48時間及び72時間処理でエノラーゼ1が増加した。
刺激の種類により、エノラーゼ1の増加量は異なるが、刺激時間が長くなるとエノラーゼ1の増加率が高くなることが分かった。
以上の試験結果から、皮膚角化細胞は外部刺激によってエノラーゼ1の産生が促進され、刺激強度、刺激時間に対応して増加するものと考えられた。
【0020】
2.試験例2(エノラーゼ産生抑制作用を有する物質の探索試験)
上記ヒト表皮ケラチノサイトに対する試験により、物理的刺激又は化学物質刺激でエノラーゼ1産生が促進されることが判明した。外部刺激によって増加するエノラーゼ1量を低下又は抑制させる物質を探索した。
(1)細胞培養
試験例1と同様にヒト表皮ケラチノサイト(Normal human epidermal keratinocytes;NHEK)を使用して試験用の表皮細胞を調製した。
エノラーゼ産生を増加させる刺激は、試験例1の結果に基づいて塩化コバルト(CoCl
2)を選択した。24時間後に300μMの塩化コバルトと探索対象物質(試験試料)を溶解した培地に交換し、5%CO
2、37℃の環境下で48時間又は72時間、インキュベートした。
探索対象物質は次の表2に示す糖類である。
【0021】
【表2】
【0022】
なお上記の試験試料は、培地を用いて100μMになるように溶解し、ニトロセルロース膜(0.45μm)を用いてフィルター滅菌した。
【0023】
(2)細胞サンプルの回収
刺激処理終了後、培養上清を回収し、ついで細胞をPBS(−)(和光純薬工業)で洗浄した。各ウェルに200μLのRIPA Lysis and Extraction Buffer(Thermo Scientific)を加えて、4℃で30分間振とうを行い、RIPA buffer中に細胞中のタンパクを抽出した。
【0024】
(3)エノラーゼの定量
試験例1と同様にサンドイッチELISA法を用いて細胞抽出液中のエノラーゼ1を定量した。また、BCA法(Thermo Scientific社)により各検体の総タンパク量を定量し、細胞中の総タンパク1μg当たりのエノラーゼ1量を得た。
【0025】
(4)結果
測定結果は、3ウェルの平均値を求め、対照(試験試料無添加)のエノラーゼ1量を100としたときの、試験試料添加時のエノラーゼ1量を相対値として
図2に示した。また対照の70%以下に抑制した試験試料には「※」を付した。
D(−)−フルクトース、D(+)−グルコース、イソマルチトール、ラクトース一水和物、メリビオースの5試料が強いエノラーゼ1抑制作用を有していた。
すなわち、上記の5種類の糖類は、皮膚角化細胞が外部刺激によって産生するエノラーゼ1を抑制することが判明した。したがってD(−)−フルクトース、D(+)−グルコース、イソマルチトール、ラクトース一水和物、メリビオースがエノラーゼ1の産生抑制剤やエノラーゼ1の産生抑制用組成物として有用である。
【0026】
3.試験例3(エノラーゼ産生抑制作用を有する物質の有効濃度試験)
前記試験例2で有効性が確認できたD(−)−フルクトース、D(+)−グルコース、イソマルチトール、ラクトース一水和物、メリビオースの5つの試験試料について有効濃度を確認した。
試験方法は、各糖類を培養液に25、50、100、200mMの濃度となるように細胞培養培地に溶解し、これを用いて上記試験例2と同様の試験によってヒト表皮ケラチノサイトに対するエノラーゼ1産生抑制試験を行った。
試験結果を表3に示した。
【0027】
【表3】
【0028】
表3に示すとおり、各試料は25〜200mMの濃度範囲でエノラーゼ1の産生を顕著に抑制した。したがって、これらの成分を外用剤に配合する場合0.45〜30質量%の濃度で配合することで、皮膚のエノラーゼ1産生を効果的に抑制できることが確認できた。