(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るデバイスキャリアを使用する電子部品試験装置を示す概略断面図である。
図2は、
図1の電子部品試験装置を示す斜視図である。
図3は、
図1および
図2の電子部品試験装置でのトレイの移送について説明するための概念図である。
【0014】
図1および
図2に示す電子部品試験装置は、ICデバイスに高温又は低温の熱ストレスを印加し、この状態でICデバイスが適切に動作するか否かを、テストヘッド5及びテスタ6を用いて試験(検査)する。そして、この電子部品試験装置は、試験結果に基づいてICデバイスを分類する。
【0015】
電子部品試験装置では、試験対象となる多数のICデバイスがカスタマトレイKST(
図5参照)に搭載される。また、電子部品装置のハンドラ1内では、テストトレイTST(
図6参照)が循環される。ICデバイスは、カスタマトレイKSTからテストトレイTSTに載せ替えられて試験される。なお、ICデバイスは、図中において符号ICで示されている。
【0016】
図1に示すように、ハンドラ1の下部には空間8が設けられており、この空間8にテストヘッド5が配されている。テストヘッド5上にはICソケット50が設けられており、このICソケット50はケーブル7を通じてテスタ6に接続されている。
【0017】
この電子部品試験装置では、テストトレイTSTに載せられたICデバイスと、テストヘッド5上のICソケット50とが、接触して電気的に接続され、かかる状態のICデバイスに電気信号などが与えられ、テスタ6から出力される信号に基づいてICデバイスが試験(検査)される。なお、ICデバイスの品種交換の際には、ICソケット50および後述のコア730が、ICデバイスの形状やピン数などに適合するものに交換される。
【0018】
図2および
図3に示すように、ハンドラ1は、格納部200と、ローダ部300と、テスト部100と、アンローダ部400とを備える。格納部200は、試験前や試験済みのICデバイスを格納する。ローダ部300は、格納部200から移送されるICデバイスをテスト部100に移送する。テスト部100は、テストヘッド5のICソケット50が内部に臨むように構成されている。アンローダ部400は、テスト部100で試験が行われた試験済みのICデバイスを分類する。
【0019】
図4は上記の電子部品試験装置において用いられるICストッカを示す分解斜視図である。
図5は上記の電子部品試験装置において用いられるカスタマトレイを示す斜視図である。
図4に示すように、格納部200は、試験前ストッカ201と、試験済ストッカ202とを備える。試験前ストッカ201は、試験前のICデバイスを収容したカスタマトレイKSTを格納する。試験済ストッカ202は、試験結果に応じて分類されたICデバイスを収容したカスタマトレイKSTを格納する。試験前ストッカ201および試験済ストッカ202は、枠状のトレイ支持枠203と、このトレイ支持枠203の下部から進入して上部に向かって昇降するエレベータ204とを備える。トレイ支持枠203には、カスタマトレイKSTが複数積み重ねられている。この積み重ねられたカスタマトレイKSTは、エレベータ204によって上下に移動される。なお、
図5に示すように、カスタマトレイKSTは、ICデバイスを収容する凹状の複数の収容部を備える。この複数の収容部は、複数行複数列(例えば14行13列)に配列されている。なお、試験前ストッカ201と試験済ストッカ202とは同一の構造である。
【0020】
図2および
図3に示すように、試験前ストッカ201には、2個のストッカSTK−Bと2個の空トレイストッカSTK−Eとが設けられている。2個のストッカSTK−Bは、相互に隣り合い、これらの2個のストッカSTK−Bの隣において、2個の空トレイストッカSTK−Eが相互に隣り合っている。空トレイストッカSTK−Eは、アンローダ部400に移送される空のカスタマトレイKSTが積み重ねられている。
【0021】
試験前ストッカ201の隣には、試験済ストッカ202が設けられている。この試験済ストッカ202には、8個のストッカSTK−1,STK−2,…,STK−8が設けられている。試験済ストッカ202は、試験済のICデバイスを試験結果に応じて最大で8分類に仕分けて格納できるように構成されている。例えば、試験済のICデバイスは、試験済ストッカ202において、良品と不良品とに仕分けできる他に、動作速度が高速な良品と、動作速度が中速な良品と、動作速度が低速な良品とに仕分けでき、或いは、再試験が必要な不良品と再試験が不要な不良品とに仕分けできる。
【0022】
図2に示すように、トレイ移送アーム205が、格納部200と装置基台101との間に設けられている。このトレイ移送アーム205は、カスタマトレイKSTを、装置基台101の下側からローダ部300に移送する。ここで、装置基台101には、一対の窓部370が形成されている。この一対の窓部370は、トレイ移送アーム205により装置基台101の下側からローダ部300に移送されたカスタマトレイKSTが装置基台101の上面に臨むように配置されている。
【0023】
ローダ部300は、デバイス搬送装置310を備える。このデバイス搬送装置310は、2本のレール311と、可動アーム312と、可動ヘッド320とを備える。2本のレール311は、装置基台101上に架設されている。可動アーム312は、2本のレール311に沿ってテストトレイTSTとカスタマトレイKSTとの間を往復移動する。なお、可動アーム312の移動方向をY方向と称する。可動ヘッド320は、可動アーム312によって支持され、X方向に移動する。可動ヘッド320には、不図示の複数の吸着パッドが下向きに装着されている。
【0024】
デバイス搬送装置310は、複数の吸着パッドで複数のICデバイスを吸着した可動ヘッド320をカスタマトレイKSTからプリサイサ(preciser)360に移動させる。これにより、ICデバイスが、カスタマトレイKSTからプリサイサ360に移送される。そして、デバイス搬送装置310は、プリサイサ360において、可動アーム312および可動ヘッド320により、ICデバイスの相互の位置関係を修正する。その後、デバイス搬送装置310は、ICデバイスを、ローダ部300で停止しているテストトレイTSTに移送する。これにより、ICデバイスが、カスタマトレイKSTからテストトレイTSTに積み替えられる。
【0025】
図2および
図3に示すように、テスト部100は、ソークチャンバ110と、テストチャンバ120と、アンソークチャンバ130とを備える。ソークチャンバ110は、テストトレイTSTに搭載されたICデバイスに、目的とする高温又は低温の熱ストレスを印加する。テストチャンバ120は、ソークチャンバ110において熱ストレスが印加されたICデバイスをテストヘッド5に押し付ける。アンソークチャンバ130は、テストチャンバ120で試験されたICデバイスから熱ストレスを除去する。
【0026】
ソークチャンバ110においてICデバイスに高温を印加する場合には、アンソークチャンバ130においてICデバイスを送風により室温まで冷却する。一方、ソークチャンバ110においてICデバイスに低温を印加する場合は、アンソークチャンバ130においてICデバイスを温風又はヒータ等により結露が生じない程度の温度まで加熱する。
【0027】
図2に示すように、ソークチャンバ110及びアンソークチャンバ130は、テストチャンバ120よりも上方に突出している。また、
図3に概念的に示すように、ソークチャンバ110には、垂直搬送装置が設けられており、先行のテストトレイTSTがテストチャンバ120内に存在する間、後行の複数のテストトレイTSTが垂直搬送装置に支持された状態で待機する。後行の複数のテストトレイTSTに搭載されたICデバイスは、待機中に高温または低温の熱ストレスを印加される。
【0028】
テストチャンバ120の中央には、テストヘッド5が配置されている。そのテストヘッド5の上にテストトレイTSTが移送される。テストチャンバ120の中央では、テストトレイTSTに搭載されたICデバイスの端子HB(
図16および
図17参照)と、テストヘッド5上のICソケット50の端子51(
図16および
図17参照)とが接触され、ICデバイスの試験が行われる。試験が終了したICデバイスが搭載されたテストトレイTSTは、アンソークチャンバ130に移送される。アンソークチャンバ130では、試験が終了したICデバイスが室温まで除熱される。除熱されたICデバイスが搭載されたテストトレイTSTは、アンローダ部400に搬出される。
【0029】
ソークチャンバ110の上部には、テストトレイTSTを装置基台101からソークチャンバ110に搬入するための入口が形成されている。一方、アンソークチャンバ130の上部には、テストトレイTSTをアンソークチャンバ130から装置基台101に搬出するための出口が形成されている。
【0030】
図2に示すように、装置基台101には、トレイ搬送装置102が設けられている。このトレイ搬送装置102は、テストトレイTSTを装置基台101からソークチャンバ110に搬入し、テストトレイTSTをアンソークチャンバ130から装置基台101に搬出する。このトレイ搬送装置102は、例えば回転ローラ等で構成されている。
【0031】
テストトレイTSTが、トレイ搬送装置102によってアンソークチャンバ130から装置基台101に搬出された後、そのテストトレイTSTに搭載されている全てのICデバイスが、デバイス搬送装置410(後述)により試験結果に応じたカスタマトレイKSTに積み替えられる。その後、テストトレイTSTは、アンローダ部400およびローダ部300を経由してソークチャンバ110に移送される。
【0032】
図2に示すように、アンローダ部400には、2台のデバイス搬送装置410が設けられている。このデバイス搬送装置410は、ローダ部300に設けられたデバイス搬送装置310と同一構造である。2台のデバイス搬送装置410は、試験済みのICデバイスを、装置基台101に存在するテストトレイTSTから、試験結果に応じたカスタマトレイKSTに積み替える。
【0033】
装置基台101には、二対の窓部470が形成されている。この二対の窓部470は、アンローダ部400に移送されたカスタマトレイKSTが装置基台101の上面に臨むように配置されている。この二対の窓部470と上述の窓部370との下側には、不図示の昇降テーブルが設けられている。この昇降テーブルは、試験済のICデバイスが搭載されたカスタマトレイKSTを下降させてトレイ移送アーム205に受け渡す。
【0034】
図6は、テストトレイTSTを示す斜視図である。この図に示すように、テストトレイTSTは、フレーム700と、複数のデバイスキャリア710とを備える。フレーム700は、矩形の外枠701と、外枠701内に格子状に設けられた内枠702とを備える。このフレーム700は、外枠701と内枠702とにより複数行複数列に区画された矩形状の開口703を備える。
【0035】
複数のデバイスキャリア710は、複数行複数列に配列されている。それぞれのデバイスキャリア710は、フレーム700のそれぞれの開口703に対応して設けられている。デバイスキャリア710は、ボディ720と、複数(例えば、図示するように4個)のコア730とを備える。ボディ720は、矩形板状の樹脂成形体であり、コア730の個数と同数(本実施形態では4個)の矩形状の開口721が複数行複数列(本実施形態では2行2列)で形成されている。
【0036】
複数のボディ720は、フレーム700の下側に複数行複数列で配列されている。最外周に位置するボディ720は、その外周部が、外枠701または内枠702と重なり、複数の開口721がフレーム700の開口703と重なるように配されている。一方、その他のボディ720は、その外周部が、内枠702と重なり、複数の開口721がフレーム700の開口703と重なるように配されている。これらの複数のボディ720は、フレーム700における外枠701と内枠702との交差部および内枠702同士の交差部に固定されている。
【0037】
図7は、テストトレイTSTの一部を拡大して示す分解斜視図である。この図に示すように、コア730は、ボディ720に着脱可能に装着されている。コア730は、それぞれの開口721に対応して配されており、ボディ720に対して平面内(図中XY平面内)で微動(遊動)可能に装着されている。コア730は、コア本体740と、フィルム750とを備える。コア本体740は、矩形状の開口(貫通孔)741が形成された樹脂成形体である。このコア本体740の外周部には、複数の爪部742と、複数のガイド部743とが形成されている。ボディ720には、爪部742が係合する不図示の係合部と、ガイド部743が挿入されるガイド溝722とが形成されている。爪部742が係合部に係合することによりコア本体740がボディ720に支持される。コア本体740をボディ720に装着する際には、ガイド部743をガイド溝722に挿入してコア本体740を開口721に押し込むことにより、爪部742を係合部に係合させることができる。一方、爪部742と係合部との係合を解除させることにより、コア本体740をボディ720から取り外すことができる。
【0038】
ここで、爪部742と係合部との係合と、ガイド部743とガイド溝722との嵌め合いとは、コア本体740とボディ720とを固定せず、コア本体740とボディ720との相対的な平面内での微動(遊動)を許容する。それにより、後述するように、コア730とICソケット50との相対的な位置決めを行うことが可能である。
【0039】
フィルム750は、矩形の薄膜状に形成された樹脂成形体である。このフィルム750の外周部がコア本体740の底部に固定されることで、フィルム750がコア730の底部を構成している。このフィルム750にICデバイスが載置される。
【0040】
図8は、コア730を底側から示す斜視図である。
図9は、コア730を示す底面図である。
図10は、コア730を示す平面図である。
図11は、コア730を示す正面図である。
図12は、コア730を示す側面図である。
図13は、
図9の13−13断面図である。
図14は、
図13の一部を拡大して示す断面図である。これらの図に示すように、コア本体740は、上述の開口741が形成された矩形環状の枠部744と、一対の位置決め板745、746と、一対のレバー収容部747、748とを備える。
【0041】
枠部744の底面(下端面)には、複数のカシメ749が設けられている。カシメ749は、枠部744の底面の4隅と、枠部744の底面の各辺とに設けられている。枠部744の底面の各辺には、複数(例えば、図示するように2個)のカシメ749が設けられている。それに対して、フィルム750の外周部750Aには、カシメ749の位置に対応して、複数の開口751が形成されている。それぞれのカシメ749は、断面形状が円形状の胴部7491(
図14参照)と、断面形状が円形状の頭部7492とを備える。胴部7491は、枠部744の底面から下方に突出し、フィルム750の開口751に挿通されている。頭部7492は、胴部7491および開口751よりも大径であり、胴部7491の先端(下端)から径方向に広がっている。この頭部7492と枠部744の底面とにより、フィルム750の外周部750Aが挟持されている。なお、フィルム750の外周部750A、枠部744の底面、およびカシメ749の構造の詳細については後述する。
【0042】
位置決め板745は、枠部744の第1の側壁7441の上端に設けられている。他方の位置決め板746は、枠部744の第2の側壁7442の上端に設けられている。第1の側壁7441と第2の側壁7442とは相互に対向する。位置決め板745は、第1の側壁7441の上端から開口741の反対側へ張り出し、他方の位置決め板746は、第2の側壁7442の上端から開口741の反対側へ張り出している。位置決め板745、746の上面には、それぞれ、一対のガイド部743が設けられている。
【0043】
位置決め板745、746の長手方向の一端と他端とにはそれぞれ爪部742が設けられている。即ち、4個の爪部742が、開口741の対角線上に配されている。対角に配された一対の爪部742は、相互に逆向きで配されている。一方、相互に隣り合う爪部742は、90°だけ異なる向きで配されている。
【0044】
位置決め板745、746は、矩形状の板体であり、第1の側壁7441および第2の側壁7442に沿う方向を長手方向とし、第1の側壁7441および第2の側壁7442に対して直交する方向を幅方向とする。この位置決め板745の長手方向中央部には、位置決め孔7451が形成され、位置決め板746の長手方向中央部には、位置決め孔7461が形成されている。位置決め孔7451は、円形状の貫通孔である。一方、位置決め孔7461は、長円形状の貫通孔である。この位置決め孔7461の長手方向は、位置決め板746の幅方向と一致する。位置決め孔7451に後述の位置決めピン55が挿入され、位置決め孔7461に後述の位置決めピン56が挿入されることにより、コア730がICソケット50に対して位置決めされる。
【0045】
レバー収容部747は、枠部744の第3の側壁7443に設けられている。他方のレバー収容部748は、枠部744の第4の側壁7444に設けられている。第3の側壁7443と第4の側壁7444とは、相互に対向する。レバー収容部747の下部は、第3の側壁7443から開口741の反対側に突出するように設けられ、レバー収容部747の上部は、第3の側壁7443から上方に突出するように設けられている。レバー収容部747は矩形箱状に構成されており、内部にレバー760を収容している。他方のレバー収容部748の下部は、第4の側壁7444から開口741の反対側に突出するように設けられ、レバー収容部748の上部は、第4の側壁7444の上端から上方に突出するように設けられている。レバー収容部748は矩形箱状に構成されており、内部にレバー761を収容している。レバー760とレバー761とは同じ構造であり、左右対称に配されている。
【0046】
第3の側壁の幅方向中央部には、開口7443Aが形成されている。また、レバー収容部747の下部の横方向中央部には、開口747Aが形成されている。一方、第4の側面の幅方向中央部には、開口7444Aが形成されている。また、レバー収容部748の下部の横方向中央部には、開口748Aが形成されている。レバー収容部747に収容されたレバー760は、開口7443Aを通して開口741に進退可能に構成されている。このレバー760は、開口747Aを通して外力を受けることにより、開口741からレバー収容部747内に後退する一方、この外力が取り除かれることにより、開口7443Aを通して開口741内に前進する。他方、レバー収容部748に収容されたレバー761は、開口7444Aを通して開口741に進退可能に構成されている。このレバー761は、開口748Aを通して外力を受けることにより、開口741からレバー収容部748内に後退する一方、この外力が取り除かれることにより、開口7444Aを通して開口741内に前進する。開口741内に前進した一対のレバー760、761は、バネによる付勢力でフィルム750上のICデバイスの外周部に圧接される。これにより、フィルム750上のICデバイスが一対のレバー760、761によって押えられる。
【0047】
フィルム750の中央部には、矩形状の開口752が形成されている。ここで、電子部品試験装置の所定位置には不図示の光センサが設けられており、コア730が、この光センサの光線の位置において停止したりこの光センサの光線の位置を通過したりする。この光センサは、上下に対向する発光部および受光部を備えており、開口752が発光部と受光部との間に位置するタイミングで光線を射出する。ICデバイスがフィルム750上に存在する場合には、光線がICデバイスで遮られることで、ICデバイスが検出される。一方、ICデバイスがフィルム750上に存在しない場合には、発光部から射出された光線が開口752を通過して受光素子に受光されることで、ICデバイスが検出されない。
【0048】
フィルム750の開口752と外周部750Aとの間には、多数の小孔753が形成されている。これらの多数の小孔753は、ICデバイスの底面に設けられた多数のボール状の端子HBに対応して設けられている。小孔753の直径は、端子HBの直径よりも大きく設定されている。これにより、端子HBは、小孔753を通じてフィルム750からICソケット50側に突出する。なお、本実施形態では、ICデバイスの多数の端子HBが複数列で矩形環状に配列されていることから、多数の小孔753が、複数列で矩形環状に配列されている。しかしながら、ICデバイスの端子HBおよび小孔753の配置は、本実施形態の配置に限られるものではなく、適宜変更できる。
【0049】
図14に示すように、枠部744の底面には、内周側の平面部7445と、外周側の斜面部7446とが形成されている。平面部7445には、フィルム750の開口751と小孔753との間の部分が当接している。斜面部7446は、平面部7445から枠部744の外周側にかけて上側に傾斜している。この斜面部7446にカシメ749が形成されている。具体的には、カシメ749の胴部7491が斜面部7446から下方に突出しているのに加えて、カシメ749の頭部7492が、平面部7445に入り込まずに斜面部7446内に収まるように形成されている。
【0050】
ここで、カシメ749の頭部7492には、水平面7492Aが形成されている。この水平面7402Aの高さ位置は、平面部7445よりも高い位置に設定されている。また、フィルム750は、斜面部7446に当接することにより傾斜した外周部750Aと、この外周部750Aの内側の平面部750Bとを備える。この平面部750Bの上面の外周部が平面部7445に当接する。そのため、平面部750Bの下面の高さは、平面部7445に対してフィルム750の厚さを加算した分だけ低い位置に設定されている。従って、カシメ749の最も低い部位(最下点)の高さが、フィルム750の最も低い部位(最下点)の高さよりも高い位置に設定されている。
【0051】
ここで、開口751の中心よりもフィルム750の外周側の位置において、開口751の縁部が胴部7491にかかることにより、フィルム750に張力が付与されている。かかる状態が形成されるように、胴部7491と開口751との相対位置や胴部7491と開口751との直径が設定されている。胴部7491と開口751との相対位置の設定方法としては、開口751の中心よりもフィルム750の内周側の位置においては、開口751の縁部と胴部7491との間に隙間が形成されるように設定する方法を例示できる。なお、開口751の中心よりもフィルム750の内周側の位置において、開口751の縁部と胴部7491とが接触してもよい。この場合、フィルム750の中央寄りでの開口751の縁部と胴部7491との接触圧を、フィルム750の外周側寄りでの開口751の縁部と胴部7491との接触圧よりも小さくする必要がある。
【0052】
図15は、デバイスキャリア710の底部の四隅を拡大して示す平面図である。この図に示すように、フィルム750の四隅にはそれぞれ、スリット754が形成されている。フィルム750の外周部の四隅にはそれぞれ、フィルム750の外周部750Aと平面部750Bとの境界線の延長線が一対存在し、フィルム750の外周部の四隅はそれぞれ、一対の前記延長線により矩形状に区画されているところ、一方の延長線は、開口751と重なり、他方の延長線は、開口751とは重ならない。この開口751とは重ならない延長線上に、スリット754が形成されている。
【0053】
ここで、張力を付与したフィルム750の外周部750Aを傾斜させるに際して、フィルム750の外周部750Aの四隅にスリット754を形成していない場合には、フィルム750の外周部750Aの四隅に皺が生じる。それに対して、本実施形態では、フィルム750の外周部750Aの四隅にそれぞれスリット754を形成したことにより、フィルム750の外周部750Aの四隅に皺が生じることを防止できる。
【0054】
図16及び
図17は、ICデバイスを試験(検査)している状態を示す断面図である。
図16に示すように、一対の位置決めピン55、56が、矩形状のICソケット50の一組の対辺を挟むように、テストヘッド5上に設けられている。一方の位置決めピン55が、コア本体740の位置決め孔7451と嵌合し、他方の位置決めピン56が、他方の位置決め孔7461と嵌合する。これにより、ICデバイスの端子HBとICソケット50の端子51とが接触するように、コア本体740とICソケット50との相対位置が決まる。
【0055】
図17に示すように、開口741内に前進した一対のレバー760、761は、不図示のバネによる付勢力でフィルム750上のICデバイスの外周部に圧接される。これにより、フィルム750上のICデバイスが一対のレバー760、761によって押えられる。
【0056】
図16及び
図17に示すように、プッシャ121が、ICソケット50の上方に昇降可能に設けられている。このプッシャ121は、不図示のZ軸駆動装置(例えば流体シリンダ)に取り付けられている。ICデバイスの試験時には、Z軸駆動装置がプッシャ121によりICデバイスをICソケット50に押し付ける。
【0057】
ICソケット50は、絶縁性のシート状の母材に複数の端子51が埋設された構成である。端子51は、導電性の弾性部材によって構成されている。端子51を構成する導電性の弾性部材は、合成ゴムに導電性フィラーを添加したものや、ポリエステル等の合成樹脂に導電性フィラーを添加したもの等を例示できる。複数の端子51の数および配置は、ICデバイスの複数の端子HBの数および配置に対応して設定されている。
【0058】
ICデバイスの試験は、ICデバイスの端子HBとICソケット50の端子51とを電気的に接触させた状態でテスタ6により実行される。そのICデバイスの試験結果は、例えばテストトレイTSTに附された識別番号と、テストトレイTST内で割り当てられたICデバイスの番号とで決定されるアドレスに記憶される。
【0059】
ここで、カシメ749の最も低い部位(最下点)が、フィルム750の最も低い部位(最下点)よりも高い位置に設定されていることにより、カシメ749の最も低い部位が、ICデバイスの端子HBの先端(下端)よりも高い位置に位置する。これにより、端子HBのICデバイスの底面からの突出高さにかかわらず、カシメ749とICソケット50の上面とのクリアランスを確保できる。
【0060】
図18は、フィルム750をコア本体740に取り付ける方法を説明するための斜視図である。
図19は、フィルム750をコア本体740に取り付ける方法を説明するための断面図である。これらの図に示すように、熱カシメにより、フィルム750の外周部750Aをコア本体740の斜面部7446に固定する。まず、
図18に示すように、フィルム750とコア本体740とを用意する。フィルム750の外周部には複数の開口751を形成する。コア本体740の斜面部7446には、複数のボス749Bを形成する。複数のボス749Bの位置は、複数の開口751の位置に対応する。また、ボス749Bの軸心には、開口749Hを形成する。
【0061】
次に、フィルム750をコア本体740の底部に配置する。この際、複数のボス749Bと複数の開口751との位置を合わせ、全てのボス749Bを開口751に挿入する。
【0062】
次に、
図19に示すように、胴部7491と、胴部7491よりも大径の頭部7492とを有するカシメ749を形成し、このカシメ749とコア本体740の斜面部7446とによりフィルム750の外周部750Aを挟む込むことで、フィルム750の外周部750Aをコア本体740の斜面部7446に固定する。本工程では、不図示の樹脂熱カシメ装置を用いてボス749Bを先端側から基端側に加圧して熱変形させることにより、カシメ749を形成する。この際、ボス749Bの軸心に開口749Hが形成されていることにより、中実のボスと比較して、ボス749Bの外径方向へ広がる熱変形が促進される。
【0063】
ここで、コア730をフィルム750が上向きになる姿勢にした状態で、カシメ749の水平面7492Aの高さが、フィルム750の平面部750Bの上面の高さよりも
低くなるように、ボス749Bの寸法や熱カシメの条件等を設定する。また、開口751の中心よりもフィルム750の外周側の位置において、開口751の縁部が胴部7491にかかることにより、フィルム750に張力が付与されるように、開口751と胴部7491との相対位置や開口751と胴部7491との直径や熱カシメの条件等を設定する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るデバイスキャリア710では、カシメ749の最下点が、フィルム750の最下点よりも高い位置に設定されていることにより、カシメ749の最下点が、ICデバイスの端子HBの先端(下端)よりも高い位置に位置する。これにより、端子HBのICデバイスの底面からの突出高さにかかわらず、カシメ749とICソケット50の上面とのクリアランスを確保できる。従って、ICデバイスの薄型化、特に、端子HBの低背化に対応できる。
【0065】
ここで、フィルム750の外周部を枠部744の底面に接着することにより、カシメを無くしてICデバイスの薄型化に対応することも考えられる。しかしながら、かかる場合には、接着剤の収縮によりフィルム750に皺が生じる可能性がある。それに対して、本実施形態に係るデバイスキャリア710では、フィルム750の外周部750Aをカシメ749により枠部744の底面に固定することにより、接着剤を用いる場合のようにフィルム750に皺が生じることを防止できる。
【0066】
また、本実施形態に係るデバイスキャリア710では、コア730の底部を構成するシートを、フィルム750としたことにより、シートを薄型の金属材料にする場合と比較して、シートの薄型化が容易であり、シートの外周部750Aを容易に曲げることができる。従って、ICデバイスの端子HBの低背化に対応できると共に、シートの製造コストを低減できる。
【0067】
さらに、本実施形態に係るデバイスキャリア710では、フィルム750に張力が付与された状態で、フィルム750の外周部750Aがカシメ749により枠部744の底面に固定されている。これにより、フィルム750の小孔753の平面内および高さ方向における位置決め精度を確保できる。特に、本実施形態に係るデバイスキャリア710では、斜面部7446が、枠部744の底面に当該底面の内周側から外周側にかけて高位側へ傾斜するように形成されており、この斜面部7446に複数のカシメ749が形成されている。これにより、フィルム750に張力を付与した状態でフィルム750の外周部750Aをカシメ749により枠部744の底面に固定することを、フィルム750の外周部750Aを平面部750Bに対して90°未満の角度で傾斜させ、外周部750Aの開口751をカシメ749の胴部7491にかけることにより実現できる。従って、フィルム750の外周部750Aの平面部750Bに対する傾斜角度を90°以上にしたり、フィルム750の外周部750Aと平面部750Bとの間に段差部を形成したりする場合と比較して、フィルム750に張力を付与すること、及びフィルム750の位置精度を確保することを容易に実現できる。
【0068】
図20は、コア730の第1の変形例を示す断面図である。この図に示すように、第1の変形例に係るコア730では、フィルム750の外周部750Aが直角に屈曲され、枠部744の側面にカシメ749により固定されている。第1の変形例に係るコア730においても、開口751(
図19参照)の中心よりもフィルム750の外周側の位置において、開口751の縁部が胴部7491(
図19参照)にかかることにより、フィルム750に張力が付与されるように、胴部7491と開口部751との相対位置や胴部7491と開口部751との直径などが設定されている。
【0069】
ここで、図示は省略するが、フィルム750の外周部750Aの四隅には、矩形状の切欠き部が形成されている。これにより、張力を付与されたフィルム750において直角に屈曲された外周部750Aに皺が生じることが防止されている。
【0070】
第1の変形例に係るコア730では、カシメ749の最下点が、フィルム750の最下点よりも高い位置に設定されていることにより、カシメ749の最下点が、ICデバイスの端子HBの下端よりも高い位置に配される。これにより、端子HBのICデバイスの底面からの突出高さにかかわらず、カシメ749とICソケット50の上面とのクリアランスを確保できる。
【0071】
図21は、コア730の第2の変形例を示す断面図である。この図に示すように、第2の変形例に係るコア730では、枠部744の底面に、段差部7448が形成されており、この段差部7448よりも内周側の平面部7445と、段差部7448よりも外周側の平面部7447とが形成されている。段差部7448は、内周側から外周側にかけて上側に傾斜した傾斜面である。即ち、外周側の平面部7447の高さは、内周側の平面部7445の高さよりも高い位置に設定されている。カシメ749は、外周側の平面部7447に形成されている。
【0072】
フィルム750の外周部750Aは、枠部744の底面に沿って曲げられており、カシメ749により外周側の平面部7447に固定されている。第2の変形例に係るコア730においても、開口751(
図19参照)の中心よりもフィルム750の外周側の位置において、開口751の縁部が胴部7491(
図19参照)にかかることにより、フィルム750に張力が付与されるように、胴部7491と開口部751との相対位置や胴部7491と開口部751との直径などが設定されている。
【0073】
ここで、図示は省略するが、フィルム750の外周部750Aの四隅には、上述の実施形態と同様にスリット754が形成されている。これにより、張力を付与されたフィルム750の屈曲された外周部750Aに皺が生じることが防止されている。
【0074】
カシメ749の頭部7492の水平面7492Aの高さは、平面部7445よりも高い位置に設定されている。フィルム750の平面部750Bの上面の外周部が平面部7445に当接する。そのため、フィルム750の平面部750Bの下面の高さは、平面部7445に対してフィルム750の厚さを加算した分だけ低い位置に設定されている。従って、カシメ749の最下点が、フィルム750の最下点よりも高い位置に設定されている。これにより、端子HBのICデバイスの底面からの突出高さにかかわらず、カシメ749とICソケット50の上面とのクリアランスを確保できる。
【0075】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0076】
例えば、上述の実施形態では、コア730の底部を構成するシートをフィルム750により構成したが、このシートを薄い金属で構成してもよい。また、コア730をボディ720を介してテストトレイTSTに装着したが、コア730をテストトレイTSTに直接装着してもよい。かかる場合には、コア730をテストトレイTSTに対して平面内で微動(遊動)可能に装着すればよい。