特許第6842364号(P6842364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝産業機器システム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6842364-液面表示装置及び液冷式電気機器 図000002
  • 特許6842364-液面表示装置及び液冷式電気機器 図000003
  • 特許6842364-液面表示装置及び液冷式電気機器 図000004
  • 特許6842364-液面表示装置及び液冷式電気機器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842364
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】液面表示装置及び液冷式電気機器
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/58 20060101AFI20210308BHJP
   G01F 23/34 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   G01F23/58
   G01F23/34
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-95554(P2017-95554)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-194311(P2018-194311A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 剛
(72)【発明者】
【氏名】塩田 広
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特公平6−73338(JP,B2)
【文献】 特許第5483760(JP,B2)
【文献】 特公昭57−52973(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転部と、
前記第1回転部に同軸で一体的に回転可能に構成された第2回転部と、
第3回転部と、
前記第3回転部の回転に伴って回転可能に配置された指針と、
前記第2回転部と前記第3回転部とに巻き掛かることにより前記第2回転部の回転を前記第3回転部に伝達する第2回転伝達部材と、
コンサベータタンク内の絶縁油の油面位置の変動を回転角として前記第1回転部に伝達可能に構成された油面位置伝達部と、を備え、
前記第2回転部の直径と前記第3回転部の直径との比を調整することにより、前記指針の振れ角を調整可能な液面表示装置。
【請求項2】
絶縁油の油面位置を表示する表示器を備えており、
前記指針は前記表示器において油面位置を表示する請求項1に記載の液面表示装置。
【請求項3】
前記表示器は作業者が視認可能な位置に配置された請求項1又は2に記載の液面表示装置。
【請求項4】
前記油面位置伝達部には、コンサベータタンク内の絶縁油の油面の変動に追従して移動する浮き子と、前記浮き子に一体的に配置された第1磁石と、前記第1磁石の磁気により前記第1磁石の動きに追従して移動可能な第2磁石と、前記第2磁石が固定され前記第2磁石の動きに追従して移動する第1回転伝達部材と、を備え、前記第1回転部には前記第1回転伝達部材が巻き掛かることにより前記浮き子の動きが前記第1回転部の回転角として伝達される請求項1から3の何れか一項に記載の液面表示装置。
【請求項5】
前記油面位置伝達部には、コンサベータタンク内の絶縁油の油面の変動に追従して移動する浮き子と、前記浮き子と前記第1回転部とを接続する連結棒と、を備え、前記浮き子の動きが前記連結棒を介して前記第1回転部の回転角として伝達される請求項1から3の何れか一項に記載の液面表示装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の液面表示装置を備える液冷式電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液面表示装置及び冷却電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば変圧器やリアクトルのような液冷式電気機器は、絶縁油や液体シリコーン等の冷却液中に浸漬されることにより冷却されている。液冷式電気機器においては、保守の際に、冷却液を貯留すると共に電気機器を収容している液槽の外部から、液槽内の冷却液の残存量を確認できることが必要である。
【0003】
そこで、従来、液槽に例えばのぞき窓を設けて、液槽内部の液面を直接視認することにより冷却液の残存量を確認していたが、液面の変動を視認するためにはのぞき窓を液面付近に設ける必要がある。そのため、のぞき窓の取り付け位置は、冷却液の液面付近に制限されることになる。しかし、液冷式電気機器が大型の場合には、のぞき窓は設置面から高い位置に設けられることとなるため、作業者による視認性が低下するという問題がある。
【0004】
また、例えばコンサベータの冷却液の残存量の確認のため、紐状に構成されたラインゲージの一方の端部を、液槽内の液面の変動に伴って上下動可能となるように、コンサベータの空気袋の内側に設ける構成が考えられている(例えば引用文献1)。この場合、ラインゲージの他方の端部は、液槽から外部に引き出されているため、作業者は、紐部材の他方の端部を引き伸ばし、その伸長時の紐部材の長さを見ることで、液面の高さ位置つまり冷却液の残存量を確認するこができる。これによれば、作業者は、液面から離れた位置であっても冷却液の残存量を確認することができる。
【0005】
しかしながら、上記構成のものにおいては、作業者が冷却液の残存量を確認しようとする度に、ラインゲージを収納するボックスを外してラインゲージを引き伸ばさなければならないため、その作業が煩雑である。また、上記構成のラインゲージは、剛性を有する金属配管の内部に通されている。この場合、配管の形状や配置によって、ラインゲージの他方の端部の引き出し位置が制限されてしまうため、作業者は、ラインゲージの配管からの引き出し位置つまり確認位置を容易に変更することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−061069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、液面の変化量を表示する液面表示装置も小さく構成したいという要求が有る。
実施形態は、上記課題に鑑みたものであり、液面表示装置の表示器の取り付け位置の自由度を高めるとともに冷却液の液面高さの確認を容易にすることができ、さらにサイズの小さな液面表示装置、及びその液面表示装置を備えた液冷式電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る液面表示装置は、第1回転部と、前記第1回転部に同軸で一体的に回転可能に構成された第2回転部と、第3回転部と、第3回転部の回転に伴って回転可能に配置された指針と、前記第2回転部と前記第3回転部とに巻き掛かることにより前記第2回転部の回転を前記第3回転部に伝達する第2回転伝達部材と、コンサベータタンク内の絶縁油の油面位置の変動を回転角として前記第1回転部に伝達可能に構成された油面位置伝達部と、を備え、前記第2回転部の直径と前記第3回転部の直径との比を調整することにより、指針の振れ角を調整可能に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る液面表示装置及び液冷式電気機器の概略構成を示す断面図
図2】表示盤の概略構成を示す平面図
図3】表示盤の概略構成を示す平面図
図4】第2実施形態に係る液面表示装置及び液冷式電気機器の概略構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下、実施形態の説明において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る液面表示装置及び液冷式電気機器の概略構成を示す断面図である。実施形態では、液冷式電気機器の一例として、変圧器1を例にして説明する。図1に示されるように、実施形態に係る変圧器1は、変圧器タンク10、コンサベータ15を備えている。
【0011】
変圧器タンク10内には変圧器本体14が収納されている。変圧器タンク10内には絶縁油12が充填貯留されており、変圧器本体14は絶縁油12中に浸漬されることにより冷却されている。絶縁油12は変圧器本体14を冷却するための冷却液として機能する。
【0012】
コンサベータ15は、コンサベータタンク16を備えている。コンサベータタンク16は液密に構成されている。コンサベータタンク16内には、絶縁油袋18が収納されている。絶縁油袋18は連結管23により変圧器タンク10に接続されており、絶縁油袋18内は変圧器タンク10内の絶縁油12が双方向に往来可能となるように連通している。絶縁油袋18内には絶縁油12が貯留されている。絶縁油袋18は、例えば可撓性を有するゴム製の部材である。
【0013】
コンサベータタンク16内の絶縁油袋18以外の領域は空気で満たされている。コンサベータタンク16は呼吸管22及び吸湿呼吸器20を介して大気に連通している。これによりコンサベータタンク16内と外部が連通し、空気の出入りを可能にしている。吸湿呼吸器20には吸湿剤が備えられており、コンサベータタンク16内の空気が出入りする際に吸湿し、コンサベータタンク16内に大気中の水分が混入することを防止している。絶縁油袋18は、絶縁油12と空気とを隔絶する隔絶部として機能し、絶縁油12が空気に接触することを防止している。
【0014】
変圧器本体14の運転時には、膨張収縮する絶縁油12が、連結管23を介してコンサベータタンク16の絶縁油袋18内に出入りすることで絶縁油袋18が膨張収縮し、これに伴ってコンサベータタンク16内の空気が吸湿呼吸器20から出入りする。また、絶縁油袋18の膨張収縮に伴って絶縁油袋18の上面位置、すなわち油面位置が変動する。この作用により、コンサベータ15は、絶縁油12と空気とを接触させることなく、変圧器タンク10内の絶縁油12の膨張収縮を吸収することができる。
【0015】
絶縁油袋18内には、浮き子32を備えている。浮き子32には第1磁石33が設けられている。浮き子32と第1磁石33は接着剤などにより一体的に接続されており、第1磁石33は浮き子32の浮き沈みに連動して移動する。浮き子32は最低位置と最高位置の間を移動可能であり、最低位置と最高位置の間の距離は図に示すように移動距離Hである。
【0016】
コンサベータタンク16の一つの面には仕切り板17が設けられており、仕切り板17を介して油面表示装置(液面表示装置)30の格納部42が備えられている。仕切り板17としては、第1磁石33と後述する第2磁石35の間の磁力線を透過するものであって、コンサベータタンク16内を気密に保ち、内部の絶縁油12が漏れ出ないものであればよく、例えばアクリル板を用いることができる。
【0017】
格納部42内には第2磁石35が仕切り板17を介して第1磁石33に対面するようにして配置されている。第1磁石33と第2磁石35は磁力により互いに引き合うように配置されている。第2磁石35は第1回転伝達部材36に固定されている。第1回転伝達部材36は例えば環状のベルト状の部材である。第1磁石33はガイド36aにより、仕切り板17に近接して対面する位置を移動可能となるように案内されている。第1回転部37は、所定の厚さを備える円盤状の部材である。第1回転伝達部材36は第2磁石35が配置されている側の反対側において、第1回転部37に巻き掛けられている。第2磁石35は第1回転伝達部材36に固定されているため、第2磁石35に移動により、第1回転伝達部材36も移動する。これにより、第2磁石35の移動は第1回転伝達部材36により第1回転部37に伝達され、第1回転部37の回転角に変換される。
【0018】
ここで、第1回転部37の直径は、第2磁石35が第1磁石33の移動距離Hだけ移動した場合に、半周回転するように設定されている。例えば、移動距離H=300mmの場合に、第1回転部37が半周分だけ回転するためには、第1回転部37の直径は、300×2/π=約190mmに設定する。
【0019】
第1回転部37の中心部には、第1回転部37と同軸に固定される第2回転部38が設けられている。第2回転部38は第1回転部37の回転に対して一体的に回転する。
油面表示装置30は表示器50を備えている。表示器50は例えば変圧器タンク10の側面であって、作業者が視認しやすい高さの任意の場所に設置されている。表示器50は内部に、ケース51を備えており、ケース内に表示盤52、表示盤52の中心が回転軸となるように第3回転部60が備えられている。第3回転部60には、これと一体的に回転するように設置された指針53が設けられている。第2回転部38及び第3回転部60は、所定の厚さを備えた円盤状の部材であり、これらの間には、第2回転部38の回転を第3回転部60に伝達するために第2回転伝達部材39が巻き掛けられている。第2回転伝達部材39は例えば環状のベルト状の部材である。このようにして、第1回転部37、第3回転部60、及び第2回転伝達部材39は、第1回転部37の回転角を第3回転部60に伝達する巻掛け伝動装置を構成している。
【0020】
図2及び図3に表示盤52aを備える表示器50a、及び表示盤52bを備える表示器50bを示す。図2に示す表示盤52aには、目盛が表示されている。ここでは、目盛は絶縁油12の液面の最下位を示すLowから最高位を示すHighまで、180度の回転角となるように設定されている。この場合、第2回転部38と第3回転部60の直径は同寸法となるように設定されている。このようにすれば、浮き子32が移動距離Hだけ移動する場合に、第1回転部37は半回転すなわち180度回転するように設定されている。この回転が第2回転伝達部材39によって第2回転部38に伝達され、第2回転部38も180度回転する。第2回転部38と第3回転部60の直径を同じにすれば、第3回転部60も180度回転するように設定できる。格納部42と表示器50の間には保護部40が設けられており、第2回転伝達部材39は保護部40により外部を覆われており、保護されている。
【0021】
上記の構成により、コンサベータタンク16内の絶縁油12の液面の移動距離は浮き子32及び第1磁石33により第2磁石35に伝達され、さらに、第1回転伝達部材36により第1回転部37の回転角に変換される。第1回転部37の回転角は第2回転部38及び第2回転伝達部材39により距離的に離間する第3回転部60に伝達され、第3回転部60の回転角となる。
【0022】
第3回転部60の回転角は、第2回転部38と第3回転部60の直径の比により調整することができる。この場合、浮き子32の移動距離Hにより、第1回転部37、第2回転部38、第3回転部60及び指針53は、半回転すなわち180度の回転角をもって回転するように設定されている。ここで、図3に示すように、指針53の回転角すなわち指針53の振れ角を例えば270度としたい場合には、第3回転部60の直径を第2回転部38の直径の0.66倍すなわち2/3の寸法となるように設定すればよい。
【0023】
また、ここで、第1回転部37が移動距離Hに対して360度回転するような直径に設定されている場合を考える。例えば移動距離H=300mmの場合に、第1回転部37が360度回転するようにするには、第1回転部37の直径を約95mmに設定すればよい。また、この場合に、第3回転部60を180度の回転角としたい場合は、第3回転部60の直径を第2回転部38の直径の2倍の比となるような寸法とすればよい。
【0024】
このように、第2回転部38と第3回転部60の直径の比を調整することにより、指針53の回転角すなわち振れ角を調整することが可能である。また、このため、表示器50の小型化を図ることができる。また、このように調整すれば表示盤52の直径は任意の寸法とすることができるので、例えば既存のサイズの表示盤52を用いることが可能であるため、コストを削減することができる。
【0025】
なお、浮き子32、第1磁石33、第2磁石35、及び第1回転伝達部材36は、コンサベータタンク16内の絶縁油12の油面位置の変動すなわち移動距離Hを回転角として第1回転部37に伝達する油面位置伝達部に相当する。
【0026】
上記構成により下記の効果を奏する。
上記構成により、コンサベータタンク16内の絶縁油12の液面高さを示す浮き子32の移動量を、油面表示装置30により、任意の高さに設置可能な表示器50に伝達可能となる。油面表示装置30の構成は、以下のとおりである。浮き子32に一体的に構成された第1磁石33と、仕切り板17を介して第1磁石33に対向する位置に配置され、磁力により相互に吸引可能な第2磁石35を固定された第1回転伝達部材36と、第1回転伝達部材36により第2磁石35の移動を回転に変換可能に構成された第1回転部37と、第1回転部37と同軸に構成された第2回転部38と、第2回転部38の回転を伝達可能に構成された第2回転伝達部材39と、第2回転伝達部材39により回転を伝達可能に構成された第3回転部60と、第3回転部60に固定された指針53を備えている。この構成により、表示器50の取り付け位置の自由度を高めることができ、表示器50を任意の高さに設置することが可能となる。例えば変圧器タンク10の側面部の作業者が視認可能な高さ位置に表示器50を設置することができる。これにより、作業者は、視認しやすい位置に設置された表示器50の指針53を確認することにより、コンサベータタンク16内の絶縁油12すなわち冷却液の液面高さを確認することができるため、作業性が向上する。
【0027】
また、第2回転部38の直径と第3回転部60の直径の比を調整することにより、表示器50の指針53の振れ角を任意に設定可能となる。また、第2回転部38の直径と第3回転部60の直径の比を調整することにより、表示器50のサイズを小さく構成することも可能となり、さらにサイズの小さな液面表示装置の提供も可能となる。また、表示器50またはこれを構成する表示盤52を新たに作成することが必要なく、既存の表示器50を利用して油面表示装置30を構成することができるため、コストを削減することができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態につき、図4を用いて説明する。第2実施形態では、絶縁油12の液面位置の動きを外部に伝達する機構を、いわゆる振り子構造とした構成を適用した例を示している。図4に示すように、変圧器1はコンサベータタンク16、及び油面表示装置(液面表示装置)58を備えている。コンサベータタンク16内には絶縁油12が充填貯留されている。コンサベータタンク16は連結管62により変圧器タンク10内の絶縁油12が双方向に往来可能となるように連通している。図においてコンサベータタンク16内の下部は絶縁油12により満たされている。コンサベータタンク16内の絶縁油12の量は、変圧器タンク10内の絶縁油12の膨張収縮により変動する。
【0029】
コンサベータタンク16の上部には空気袋74が設けられている。空気袋74内は空気で満たされている。空気袋74は呼吸管22及び吸湿呼吸器20を介して大気に連通している。これにより空気袋74内と外部が連通し、空気の出入りを可能にしている。吸湿呼吸器20には吸湿剤が備えられており、空気袋74内の空気が出入りする際に吸湿し、空気袋74内に大気中の水分が混入することを防止している。空気袋74は、絶縁油12と空気とを隔絶する隔絶部として機能し、絶縁油12が空気に接触することを防止している。空気袋74の底面は、絶縁油12の油面となっている。
【0030】
変圧器本体14の運転時には、膨張収縮する絶縁油12が、連結管62を介してコンサベータタンク16内に出入りすることで空気袋74が膨張収縮し、これに伴って空気袋74内の空気が呼吸管22を通過して吸湿呼吸器20から出入りする。また、空気袋74の膨張収縮に伴って空気袋74の下面位置、すなわち絶縁油12の油面位置が変動する。
【0031】
コンサベータタンク16内には、第1回転部68、第1回転部68と連結棒66により接続された浮き子64が設けられている。浮き子64は絶縁油12に対して浮力を有している。浮き子64は浮力により空気袋74の下面に接しており、浮き子64の位置は絶縁油12の油面となっている。浮き子64と第1回転部68は連結棒66により一体的に接続されており、浮き子64の上下動が第1回転部68の回転角に変換される。
【0032】
第1回転部68の中心部には、第1回転部68と同軸に固定される第2回転部70が設けられている。第2回転部70は第1回転部68の回転と一体的に回転する。第2回転部70は図示しない隔壁により隔絶されてコンサベータタンク16の外部に配置されている。軸部と図示しない隔壁の間は、図示しないシール部材により、絶縁油12が漏洩しないように構成されている。
【0033】
第2回転部70には例えば環状のベルト状の回転伝達部材72が、回転動作を伝達可能に巻き掛けられており、回転伝達部材72は他方において、表示器50に備えられた第3回転部60に回転動作を伝達可能に巻き掛けられている。このようにして、第2回転部70、第3回転部60、及び回転伝達部材72は、第2回転部70の回転角を第3回転部60に伝達する巻掛け伝動装置を構成している。
【0034】
油面表示装置58において、第2回転部70と表示器50との間は保護部40により接続されており、回転伝達部材72は保護部40内に覆われている。
第1実施形態と同様に、第2回転部70の回転角に対する第3回転部60の回転角は、第2回転部70と第3回転部60の直径の比により調整することができる。ここで、例えば、浮き子64の移動距離Hに対して、第1回転部68が90度回転する場合に、表示器50の指針53の振れ角を180度としたい場合は、第3回転部60の直径を第2回転部70の直径の半分すなわち1/2の寸法とすればよい。
【0035】
なお、浮き子64、及び連結棒66は、コンサベータタンク16内の絶縁油12の油面位置の変動を回転角として第1回転部68に伝達する油面位置伝達部に相当する。
第2実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0036】
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1…変圧器(液冷式電気機器)、10…変圧器タンク、12…絶縁油、15…コンサベータ、16…コンサベータタンク、30…油面表示装置(液面表示装置)、32、64…浮き子(油面位置伝達部)、33…第1磁石(油面位置伝達部)、35…第2磁石(油面位置伝達部)、36…第1回転伝達部材(油面位置伝達部)、37、68…第1回転部、38、70…第2回転部、39…第2回転伝達部材、50…表示器、51…ケース、52…表示盤、53…指針、58…油面表示装置(液面表示装置)、60…第3回転部、66…連結棒、72…回転伝達部材
図1
図2
図3
図4