(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842366
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】害虫忌避剤
(51)【国際特許分類】
A01N 31/06 20060101AFI20210308BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20210308BHJP
A01N 37/46 20060101ALI20210308BHJP
A01N 47/16 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
A01N31/06
A01P17/00
A01N37/46
A01N47/16 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-98197(P2017-98197)
(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公開番号】特開2018-193322(P2018-193322A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104318
【弁理士】
【氏名又は名称】深井 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100182796
【弁理士】
【氏名又は名称】津島 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100181308
【弁理士】
【氏名又は名称】早稲田 茂之
(72)【発明者】
【氏名】久田 祐士
【審査官】
進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−006823(JP,A)
【文献】
特表2012−509917(JP,A)
【文献】
特開2013−112634(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/054021(WO,A1)
【文献】
ソフトケアKG−301W 株式会社マツモト交商[オンライン],2007年10月 1日,[検索日:2020.11.11], インターネット:<URL:http://matsumoto-trd.com/materialdetail.php?materialid=941>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 31/06
A01N 37/46
A01N 47/16
A01P 17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
Mintel GNPD
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸1−メチルプロピル、およびp−メンタン−3,8−ジオールからなる群より選択される少なくとも1種の害虫忌避成分と、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体と
を含有することを特徴とする害虫忌避剤。
【請求項2】
前記害虫忌避成分が、5w/v%以上の濃度で含有される請求項1に記載の害虫忌避剤。
【請求項3】
3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸1−メチルプロピル、およびp−メンタン−3,8−ジオールからなる群より選択される少なくとも1種の害虫忌避成分を含む害虫忌避剤に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体を添加して、害虫忌避剤を噴霧することを特徴とする害虫忌避成分の刺激緩和方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘膜に対する刺激が抑制された害虫忌避剤に関する。
【背景技術】
【0002】
蚊類、ブユ類、ダニ類などの吸血害虫は、種々の感染症(例えば、マラリア、黄熱、ライム病、デング熱など)を媒介する。従来、これらの吸血害虫による被害を防止するために、害虫忌避剤が開発されている。このような害虫忌避剤に含まれる害虫忌避成分としては、例えば、3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)などが挙げられる。これらの害虫忌避成分は、例えば特許文献1に記載のようにエアゾール形態の害虫忌避剤として使用される。
【0003】
このような害虫忌避剤は、通常、手足や腕などに直接塗布したり、衣服の上から塗布したりして使用される。害虫忌避剤には、十分な忌避効果を発揮させるために、ある程度の濃度で害虫忌避成分が含有されている。このような害虫忌避成分には人体にも刺激を与えるものがある。そのため、噴霧して塗布すると、ミスト状に散布された害虫忌避成分が眼、鼻および喉の粘膜に付着して刺激を与える場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−206442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、害虫忌避剤を問題なく噴射することができ、害虫忌避剤を噴霧して使用しても、粘膜に対して刺激をほとんど与えない害虫忌避剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸1−メチルプロピル、およびp−メンタン−3,8−ジオールからなる群より選択される少なくとも1種の害虫忌避成分と、カチオン性ポリマーとを含有することを特徴とする害虫忌避剤。
(2)カチオン性ポリマーが、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体である上記(1)に記載の害虫忌避剤。
(3)害虫忌避成分が、5w/v%以上の濃度で含有される上記(1)または(2)に記載の害虫忌避剤。
(4)3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸1−メチルプロピル、およびp−メンタン−3,8−ジオールからなる群より選択される少なくとも1種の害虫忌避成分を含む害虫忌避剤にカチオン性ポリマーを添加して、害虫忌避剤を噴霧することを特徴とする害虫忌避成分の刺激緩和方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の害虫忌避剤によれば、害虫忌避剤を問題なく噴射することができ、噴霧して使用しても、粘膜に対して刺激をほとんど与えない。さらに、本発明に係る害虫忌避成分の刺激緩和方法によれば、優れた害虫忌避効果を維持しながら、害虫忌避成分の刺激が緩和される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の害虫忌避剤は、3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸1−メチルプロピル、およびp−メンタン−3,8−ジオールからなる群より選択される少なくとも1種の害虫忌避成分と、カチオン性ポリマーとを含有する。
【0009】
3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチルは、下記の式(A)に示される構造を有している。
【0011】
2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸1−メチルプロピルは、下記の式(B)に示される構造を有している。
【0013】
p−メンタン−3,8−ジオールは、下記の式(C)に示される構造を有している。
【0015】
これらの特定の害虫忌避成分の含有量は特に限定されない。本発明の害虫忌避剤中に、これらの特定の害虫忌避成分は、好ましくは5w/v%以上の濃度、より好ましくは10w/v%以上の濃度で含有される。濃度の上限は特に限定されないが、通常30w/v%程度であり、30w/v%を超えて使用することもできる。特定の害虫忌避成分をこのような濃度で含有させることによって、十分な害虫忌避効果が発揮される。本発明の害虫忌避剤は、これらの特定の害虫忌避成分を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の害虫忌避剤に含まれるカチオン性ポリマーは、分子中にカチオン性の官能基を有するポリマーであれば、特に限定されない。カチオン性ポリマーとしては、例えば、4級アンモニウム塩基を有するポリマー、アミン塩型のポリマー、これらを組み合わせた構造を有するポリマーなどが挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム−52)、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体(単独重合体または共重合体)、ビニルピロリドンの第4級化共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化多糖(例えば、カチオン化グアーガムなど)、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−17、ポリクオタニウム−18、ポリクオタニウム−34などが挙げられる。これらの中でも、人体への使用時に感触がよい点から、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体が、特に好ましい。このようなカチオン性ポリマーは、市販されているものを用いてもよい。例えば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体は、「ソフケアKG−301W」として花王(株)より市販されている。本発明の害虫忌避剤は、これらのカチオン性ポリマーを単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
【0017】
カチオン化セルロースとしては、例えば、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム−10)、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム−4)などが挙げられる。ポリクオタニウム−10は、例えば、レオガードG、レオガードGP(いずれもライオン(株)製)、ユーケアポリマーJR−125、ユーケアポリマーJR−400、ユーケアポリマーJR−30M(いずれもダウ・ケミカル社製)などとして市販されている。ポリクオタニウム−4は、例えば、カチナールHC100、カチナールHC200、カチナールLC100、カチナールLC200(いずれも東邦化学工業(株)製)などとして市販されている。
【0018】
カチオン化グアーガムとしては、例えば、グアーヒドロキシトリモニウムクロリドなどが挙げられる。グアーヒドロキシトリモニウムクロリドは、例えば、ジャガーC−13S、ジャガーC−14S、ジャガーC−17(いずれもローディア社製)などとして市販されている。
【0019】
ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体としては、例えば、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(ポリクオタニウム−6)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−7)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド・アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム−22)などが挙げられる。ポリクオタニウム−6は、例えば、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100、ルーブリゾール社製)などとして市販されている。ポリクオタニウム−7は、例えば、マーコート550(ルーブリゾール社製)などとして市販されている。ポリクオタニウム−22は、例えば、マーコート280、マーコート295(いずれもルーブリゾール社製)などとして市販されている。
【0020】
ビニルピロリドンの第4級化共重合体としては、例えば、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−28などが挙げられる。ポリクオタニウム−11は、例えば、ガフカット734、ガフカット755、ガフカット755N(いずれもISP社製)などとして市販されている。ポリクオタニウム−16は、例えば、ルビカットFC307、ルビカットFC550、ルビカットFC905(BASF社製)などとして市販されている。ポリクオタニウム−28は、例えば、ガフカットHS−100(ISP社製)などとして市販されている。
【0021】
カチオン性ポリマーの含有量は特に限定されない。本発明の害虫忌避剤中に、カチオン性ポリマーは、好ましくは0.0001w/v%以上、より好ましくは0.005w/v%以上の濃度で含有され、好ましくは0.1w/v%以下、より好ましくは0.05w/v%以下の濃度で含有される。
【0022】
本発明の害虫忌避剤には、上述の特定の害虫忌避成分およびカチオン性ポリマー以外に、溶剤が含まれていてもよい。溶剤は特に限定されず、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、グリコール、アルコール類、エステル類、エーテル類、水などが挙げられる。溶剤の含有量は特に限定されないが、溶剤は、例えば、特定の害虫忌避成分の濃度が5w/v%以上となるように添加される。
【0023】
本発明の害虫忌避剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて一般に害虫忌避剤に添加される添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、香料、酸化防止剤、消臭剤、色素、キレート剤、界面活性剤、保留剤、pH調整剤、殺菌剤、防カビ剤、増粘剤などが挙げられる。
【0024】
本発明の害虫忌避剤を製造する方法は特に限定されない。例えば、上述の特定の害虫忌避成分およびカチオン性ポリマー、必要に応じて溶剤や添加剤を混合して撹拌し、特定の害虫忌避成分やカチオン性ポリマーを溶剤に溶解あるいは分散させればよい。
【0025】
本発明の害虫忌避剤の使用方法は、特に限定されない。本発明の害虫忌避剤は、通常、手足や腕あるいは衣服の上に噴霧する形態で使用される。具体的には、本発明の害虫忌避剤は、エアゾール形態、ポンプ形態(スプレー形態)などで使用される。
【0026】
エアゾール形態の場合、エアゾール缶に、本発明の害虫忌避剤と噴射剤とを封入して使用すればよい。噴射剤としては、例えば、液化石油ガス、ジメチルエーテル、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、窒素ガス、炭酸ガスなどが挙げられる。一方、スプレー形態の場合、ハンドスプレーなどの容器に本発明の害虫忌避剤を封入して使用すればよい。エアゾール形態およびスプレー形態のいずれの場合も、ミスト状に噴射された液滴の平均粒子径は特に限定されない。例えば、噴口から30cm離れた位置における50%平均粒子径は10〜1000μm程度である。
【0027】
このように、特定の害虫忌避成分を含む害虫忌避剤にカチオン性ポリマーを添加することによって、害虫忌避剤を問題なく噴射することができ、ミスト状に散布された害虫忌避成分の刺激が緩和される。そのため、ミスト状に散布された害虫忌避成分が、例えば眼、鼻および喉の粘膜に付着したとしても、痛みなどの刺激が感じられにくい。
【実施例】
【0028】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
害虫忌避成分として20gの3−[アセチル(ブチル)アミノ]プロピオン酸エチル、0.01gのソフケアKG−301W(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体4質量%とポリエチレングリコール(PEG)とを含む水溶液:花王(株)製)、および40gの精製水を混合した。得られた混合物に、調製物の全量が100mLとなるように無水エタノールを添加して撹拌し、検体1を調製した。検体1に含まれる害虫忌避成分の濃度は20w/v%であった。
【0030】
(実施例2)
ソフケアKG−301Wを0.05g用いた以外は、実施例1と同様の手順で検体2を調製した。検体2に含まれる害虫忌避成分の濃度は20w/v%であった。
【0031】
(実施例3)
ソフケアKG−301Wを0.1g用いた以外は、実施例1と同様の手順で検体3を調製した。検体3に含まれる害虫忌避成分の濃度は20w/v%であった。
【0032】
(実施例4)
ソフケアKG−301Wを0.5g用いた以外は、実施例1と同様の手順で検体4を調製した。検体4に含まれる害虫忌避成分の濃度は20w/v%であった。
【0033】
(比較例1)
ソフケアKG−301Wを用いなかった以外は、実施例1と同様の手順で検体5を調製した。検体5に含まれる害虫忌避成分の濃度は20w/v%であった。
【0034】
(比較例2)
ソフケアKG−301Wの代わりに、PEG−1500(ポリエチレングリコール)を0.01g用いた以外は、実施例1と同様の手順で検体6を調製した。検体6に含まれる害虫忌避成分の濃度は20w/v%であった。
【0035】
次いで、実施例1〜4ならびに比較例1および2で得られた検体1〜6について、噴射性および刺激性について評価した。
【0036】
(噴射性)
検体1〜6を、それぞれハンドスプレー(1回噴射量:約0.3mL)に封入した。ハンドスプレーに封入された検体を、それぞれ数回ずつ噴射して、下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
<基準>
A
+:検体が微細なミスト状に散布され、違和感なく噴射された場合。
A:軽微な抵抗感など僅かな違和感を有するものの、検体が微細なミスト状に散布され、噴射の際に実用上問題がない場合。
B:検体がミスト状に散布されない、あるいは噴射の際に明らかな抵抗感など実用に耐えない違和感を有していた場合。
【0037】
(刺激性)
検体1〜6を、それぞれハンドスプレー(1回噴射量:約0.3mL)に封入した。男女各5名(合計10名)のパネラーに、ハンドスプレーに封入された検体を、肩に15cm離した位置から1回噴射してもらった。噴射後、眼、鼻および喉の粘膜に感じた刺激について、下記の基準で評価してもらった。10名のパネラーの合計点を算出し、比較例1の合計点を基準(100)とした場合の各実施例の相対値を算出した。この相対値が低いほど、刺激が緩和されていると評価できる。結果を表1に示す。
<基準>
1点:粘膜に刺激をほとんど感じなかったか、または無刺激の場合。
2点:粘膜に実用上気にならない程度の刺激を感じた場合。
3点:粘膜に刺激を感じた場合。
4点:粘膜に強い刺激を感じた場合。
5点:粘膜に許容範囲を超える著しく強い刺激を感じた場合。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すように、実施例1〜4で得られた検体1〜4は低刺激性であり、噴射性についても、実用上全く問題ないことがわかる。特に実施例4では、カチオン性ポリマーを含まない比較例1と比べて、刺激性が50%以上低下しており、実施例1でも10%程度低下していることがわかる。一方、ソフケアKG−301Wの代わりにPEG−1500を用いた検体6(比較例2)は、噴射性については問題がないものの、基準である比較例1と比べて粘膜に強い刺激を与えていることがわかる。これにより、カチオン性ポリマーであるN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体は害虫忌避剤を問題なく噴射させ、害虫忌避剤を噴霧して使用しても、粘膜に対して刺激をほとんど与えないことがわかった。