【実施例1】
【0017】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はシートスライド機構を示し、
図1は当該シートスライド機構を備えた車両用シートの斜視図、
図2はシートスライド機構の要部拡大正面図、
図3はリテーナおよび摺動許容部材の斜視図、
図4の(a)は中空部材より成る摺動許容部材の断面図である。
【0018】
図1において、車両用シート10は、乗員の着座面を形成するシートクッション11と、乗員の背もたれ面を形成するリクライニング可能なシートバック12と、乗員の頭部を保持する高さ調整可能なヘッドレスト13とを備えている。
【0019】
シートクッション11は、中央部に位置する着座部11aと、この着座部11aの左右両サイド部から上方へ突出して車両前後方向に延びるサイドサポート部11b,11b(いわゆる張出し部)と、を一体形成したものであり、シートクッション11は、シートクッションフレーム14とシートクッションスプリングとウレタン部材とを備えている。
【0020】
シートバック12は、中央部に位置する背もたれ部12aと、この背もたれ部12aの左右両サイド部から前方へ突出して車両上下方向に延びるサイドサポート部12b,12b(いわゆる張出し部)と、を一体形成したものであり、シートバック12はシートバックフレームとシートバックスプリングとウレタン部材とを備えている。
【0021】
この実施例1の車両用シート10は、バケットシート(セパレートシートと同意)であって乗員の体格に対応して当該シート10は車両前後方向に位置調整可能に構成されている。
すなわち、この実施例1の車両用シート10はシートクッションフレーム14と車体のフロアパネルとの間に、左右一対のシートスライド機構15,15を備えている。左右のシートスライド機構15,15はそれぞれ同一構造に形成されている。
【0022】
上述のシートスライド機構15は、車体のフロアパネルに固定され車両前後方向に延びるロアレール16と、該ロアレール16内を摺動すると共に上方にシート10が取付けられるスライダ17と、ロアレール16とスライダ17との間に配置され、スライダ17のロアレール16に沿った摺動を許容する摺動許容部材30(
図2参照)とから構成されている。
【0023】
図1に示すように、シートスライド機構15を構成するスライダ17の前側上部とシートクッションフレーム14の対応部との間は、ロアブラケット18およびアッパブラケット19にて連結されており、同様に、スライダ17の後側上部とシートクッションフレーム14の対応部との間も、ロアブラケット20およびアッパブラケット21にて連結されている。
【0024】
図2に示すように、ロアレール16と、スライダ17と、摺動許容部材30とを備えたシートスライド機構15において、摺動許容部材30はリテーナ22に支持された状態で、ロアレール16とスライダ17との間に介設されている。
【0025】
図2、
図3に示すように、摺動許容部材30は、上側に位置する相対的に小形状の摺動許容部材30Uと、下側に位置する相対的に大形状の摺動許容部材30Lとから成り、これら上下の摺動許容部材30U,30Lがリテーナ22に支持されてユニット化された左右一対のユニットU1,U2が形成されている。
【0026】
図2、
図3に示すように、左側のユニットU1と右側のユニットU2とは、左右略対称構造に形成されており、左右一対のユニットU1,U2が、ロアレール16とスライダ17との間において、これら両者16,17の長手方向に複数対介設されるものである。
【0027】
図2に示すように、上述のロアレール16は、フロアパネルに固定される底辺部16aと、この底辺部16aの車幅方向外部からコーナアール部16bを介して上方に立上がる縦辺部16cと、この縦辺部16cの上端部から円弧状のコーナ部16dを介して、斜め上方に延びる連結部16eと、この連結部16eの上端部から円弧状のコーナ部16fを介して下方に延びる内辺部16gと、を一体に折曲げ形成したものである。
【0028】
図2に示すように、上述のスライダ17は、
図1に示すブラケット18〜21を介して上方にシート10が取付けられる上辺部17aと、この上辺部17aの車幅方向外部からコーナ部17bを介して下方に延びる縦辺部17cと、この縦辺部17cの下端からコーナ部17dを介して斜め外方かつ上方に延びる連結部17eと、この連結部17eの外端から上方に延びる下部外辺部17fおよび上部外辺部17gと、上部外辺部17gと下部外辺部17fとの間に形成された円弧状のコーナ部17hと、を一体に折曲げ形成したものである。
【0029】
図2に示すように、上述のロアレール16およびスライダ17はスチール(steel、鋼)によりそれぞれ左右対称または左右略対称に形成されている。
【0030】
図3に示すように、リテーナ22は、リテーナ本体22aの上端部前後に前後一対の支持部22b,22cが形成されており、これら前後一対の支持部22b,22c間の空間と連通して下方に窪む凹部22dが形成されている。
【0031】
同様に、リテーナ本体22aの下端部前後に前後一対の支持部22e,22fが形成されており、これら前後一対の支持部22e,22f間の空間と連通して上方に窪む凹部22gが形成されている。
【0032】
ところで、上述の摺動許容部材30は、スチール製のロアレール16またはスチール製のスライダ17に対してバネ定数が小さく設定されている。
【0033】
バネ定数を小さく設定するため、この実施例1では、摺動許容部材30は、
図4の(a)に示すように、中空部材31にて円筒状に形成され、該摺動許容部材30が上述のロアレール16およびスライダ17に沿ってこれら両者16,17間に配置されている。
【0034】
詳しくは、上述の中空部材31は、金属製(例えば、ステンレス鋼製)の円筒状パイプ部材32の外周部に合成樹脂(例えば、超低摩擦フッ素樹脂)をコーティングして、樹脂製かつ円筒状の外殻33を一体的に形成し、上述のパイプ部材32と外殻33との両者32,33により中空部材31を構成したものであり、パイプ部材32の内側に内部空間32aを有している。
【0035】
この実施例では、上述の中空部材31の長手方向両端(前後方向両端)には、当該中空部材31の支持を目的として略半球状部33a,33bが一体形成されている。
【0036】
図3、
図4の(a)に示すように、上述の中空部材31にて形成された摺動許容部材30のうち上側に位置する摺動許容部材30Uは、その長さが10mmに設定されると共に、直径が約5mmに設定されている。
【0037】
また摺動許容部材30のうち下側に位置する摺動許容部材30Lは、その長さが約14mmに設定されると共に、直径が約7mmに設定されている。但し、上記長さ、および、直径の数値は一例であって、これに限定されるものではない。
【0038】
図4の(a)で示した中空部材31(いわゆる中空ローラ)より成る摺動許容部材30を、
図3に示すリテーナ22に支持させる場合、上側に位置する摺動許容部材30Uは、その前後の略半球状部33a,33bがリテーナ22の上側前後の支持部22b,22cに支持され、下側に位置する摺動許容部材30Lは、その前後の略半球状部33a,33bがリテーナ22の下側前後の支持部22e,22fに支持される。
【0039】
ここで、上述のリテーナ22における各支持部22bと22cとの対向面部、並びに支持部22eと22fとの対向面部には、略半球状部33a,33bを支持するために、略半球状に凹む凹部(図示せず)が形成されている。
【0040】
上下一対の摺動許容部材30U,30Lがリテーナ22に組付けられた左右のユニットU1,U2(
図3参照)は、
図2に示すように、ロアレール16とスライダ17とに沿ってこれら両者16,17間に配置されるが、この場合、上側の摺動許容部材30Uは、同図に示すように、ロアレール16のコーナ部16dと、スライダ17のコーナ部17hとの間に介設され、下側の摺動許容部材30Lは、ロアレール16のコーナアール部16bと、スライダ17の連結部17eとの間に介設される。
【0041】
なお、
図3において、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0042】
図5は車両用シート10の振動モデルを示す説明図である。
図5に示すように、加振源(車両の車輪参照)24から振動の入力点(フロアパネル参照)25を介して車両用シート10に着座した乗員Xに至るシートの振動モデルは、シートフレーム26と、シートのスプリング27と、シートのクッション部材を構成するウレタン部材28と、の3要素に大別される。
【0043】
シートフレーム26は、シートクッションフレーム14(
図1参照)とシートバックフレームとシートスライド機構15(
図1参照)とを含み、このシートフレーム26は、質量m1、バネ定数k1、および、減衰項c1(減衰係数と同意)を有している。
【0044】
シートのスプリング27は、シートクッションスプリングとシートバックスプリングとを含み、このシートのスプリング27は、質量m2、バネ定数k2、および減衰項c2(減衰係数と同意)を有している。
【0045】
ウレタン部材28は、シートクッション11側のウレタン部材と、シートバック12側のウレタン部材とを含み、このウレタン部材28は、質量m3、バネ定数k3、および、減衰項c3(減衰係数と同意)を有している。なお、乗員Xのみ質量m4で表される。
【0046】
上述のシートフレーム26、シートのスプリング27、ウレタン部材28および乗員Xから成る系全体の加速度Aは、運動の第二法則(いわゆる運動の方程式)により次の[数1]で表すことができる。
【0047】
【数1】
【0048】
上記[数1]により系全体の質量Mが大きい程、系全体の加速度Aが小さくなり、また、バネ定数k1,k2,k3が小さい程、系全体の加速度Aが小さくなり、系全体の加速度Aを小さくすることにより、系全体(シートフレーム26、シートのスプリング27、ウレタン部材28、乗員X参照)が振動しないことになる。
【0049】
NVH性能向上のためには、振動の吸収は、振動の入力点25であるフロアパネルに極力近く、かつ振動出力先の質量が大きいシートスライド機構15の改善が振動低減に最も効果的である。
【0050】
本願発明は、このような知見に基づいて、質量を大きくする、つまり、振動出力先の質量が大きい部位(スライダ17以降の質量が大きい部分であるシートスライド機構15参照)にて、対策する点、並びに、バネ定数Kを小さくする、つまり、摺動許容部材30のバネ定数そのものを小さく設定するという構成にて、シート10の振動低減を図るよう構成したものである。
【0051】
特に、振動の入力点25であるフロアパネルに近いシートスライド機構15において摺動許容部材30のバネ定数を小さくすることで、シート10の振動低減を効果的に行なうよう構成したものである。
【0052】
このように、
図1、
図2、
図3、
図4の(a)、
図5で示した実施例1のシートスライド機構は、車体のフロアパネルに固定され車両前後方向に延びるロアレール16と、該ロアレール16内を摺動すると共に上方にシート10が取付けられるスライダ17と、上記ロアレール16と上記スライダ17との間に配置され、該スライダ17の上記ロアレール16に沿った摺動を許容する摺動許容部材30とを備えたシートスライド機構15であって、上記摺動許容部材30は、上記ロアレール16または上記スライダ17に対してバネ定数が小さく設定されたものである(
図1、
図2、
図4の(a)参照)。
【0053】
この構成によれば、スチール製のロアレール16またはスチール製のスライダ17に対して摺動許容部材30(ステンレス製パイプ部材32と樹脂製外殻33とから成る中空部材31参照)のバネ定数を小さく設定したので、次の如き効果がある。
すなわち、振動の入力点25(
図5参照、具体的にはフロアパネル)に近く、かつ振動出力部(スライダ17参照)以降の質量が大きい部分であるシートスライド機構15において、上述のバネ定数が小さい摺動許容部材30にて振動を減衰することができるので、シート10に着座した乗員が感じる振動(特に、上下方向の振動)を効果的に低減することができる。
【0054】
これは、振動の入力点25であるフロアパネルに近く、かつ振動出力先の質量が大きいシートスライド機構15の改善が振動低減に効果的であるという知見に基づくものである。
また、上記構成によれば、既存の構造に対して摺動許容部材30のみの変更により、上述の効果を得ることができる。
【0055】
この発明の一実施形態においては、上記摺動許容部材30は、中空部材31(いわゆる中空ローラ)にて筒状(この実施例では円筒状)に形成され、当該摺動許容部材30が上記ロアレール16および上記スライダ17に沿ってこれら両者16,17間に配置されたものである(
図2、
図4の(a)参照)。
【0056】
この構成によれば、筒状の中空部材31の長さ等を変更することで、摺動許容部材30のバネ定数コントロールを簡単に行なうことができる。
【実施例2】
【0057】
図4の(b)は中実部材(いわゆる中実ローラ)により成る摺動許容部材30の断面図である。
図4の(b)に示す実施例2では、摺動許容部材30を、中実部材34にて円柱状に形成し、当該摺動許容部材30が、
図2で示すロアレール16およびスライダ17に沿ってこれら両者16,17間に配置されたものである。
【0058】
この実施例2においても、摺動許容部材30のバネ定数を、スチール製のロアレール16またはスチール製のスライダ17に対して小さく設定するため、上記中実部材34は樹脂により形成されている。
【0059】
上述の中実部材34を構成する樹脂としては、耐衝撃性に優れ、摩擦係数が小さく、かつ、自己潤滑性を有するポリアミド(Polyamide)いわゆるナイロン(nylon)を採用することができる。
【0060】
また、この実施例2においても、中実部材34の円柱状中実部34aの長手方向両端(前後方向両端)には、当該中実部材34をリテーナ22(
図3参照)で支持させることを目的として半球状部34b,34cが一体形成されている。
【0061】
このように、
図4の(b)で示した実施例2においては、上記摺動許容部材30は、中実部材34(いわゆる中実ローラ)にて柱状(この実施例では、円柱状)に形成され、当該摺動許容部材30が上記ロアレール16および上記スライダ17に沿ってこれら両者16,17間に配置されたものである(
図2、
図4の(b)参照)。
【0062】
この構成によれば、柱状の中実部材34の長さ等を変更することで、摺動許容部材30のバネ定数コントロールを簡単に行なうことができる。
図4の(b)に示す実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1とほぼ同様である。
【実施例4】
【0068】
図6はリテーナおよび摺動許容部材の他の実施例を示す斜視図、
図7の(a)は内部を中空に形成した球体の断面図である。
図6、
図7の(a)に示す実施例4においては、摺動許容部材40として球体41を用いている。
【0069】
図6に示すように、摺動許容部材40は、上側に位置する相対的に小径の複数の摺動許容部材40U…と、下側に位置する相対的に大径の複数の摺動許容部材40Lとから成り、これら上下の摺動許容部材40U,40Lがリテーナ22に支持されてユニット化された左右一対のユニットU3,U4が形成されており、これら左右一対のユニットU3,U4が、
図2に示すロアレール16とスライダ17との間において、その長手方向(車両前後方向)に複数対介設されている。
【0070】
図6に示すように、リテーナ22は、リテーナ本体22aの上端部に複数の支持部22h,22i,22jが互いに前後方向に離間して形成されており、各支持部22h,22i間、22i,22j間の空間と連通して下方に窪む凹部22k,22lが形成されている。
【0071】
同様に、リテーナ本体22aの下端部に複数の支持部22m,22n,22oが互いに前後方向に離間して形成されており、各支持部22m,22n間、22n,22o間の空間と連通して上方に窪む凹部22p,22qが形成されている。
【0072】
図6に示すように、上側に位置する摺動許容部材40Uは、対向する前後の支持部22h,22i間、22i,22j間に支持されており、下側に位置する摺動許容部材40Lも同様に、対向する前後の支持部22m,22n間、22n,22o間に支持されている。
【0073】
上述のリテーナ22において各支持部22hと22iとの対向面部、22iと22jとの対向面部、22mと22nとの対向面部、並びに、支持部22nと22oとの対向面部には球状の摺動許容部材40U,40Lを支持するために、球状に凹む凹部(図示せず)が形成されている。
【0074】
複数の摺動許容部材40U,40Lがリテーナ22に組付けられた左右のユニットU3,U4は、実施例1のユニットU1,U2と同様に、ロアレール16とスライダ17との間に配置されるが、この場合、上側の摺動許容部材40Uは、ロアレール16のコーナ部16dと、スライダ17のコーナ部17hとの間に介設され、下側の摺動許容部材40Lは、ロアレール16のコーナアール部16bと、スライダ17の連結部17eとの間に介設される。
【0075】
図7の(a)に示すように、上述の摺動許容部材40は、球体41(いわゆる中空ボール)で形成されると共に、当該球体41はその内部が中空部42を有するように形成されている。
【0076】
摺動許容部材40は、スチール製のロアレール16またはスチール製のスライダ17に対してバネ定数が小さく設定されており、当該バネ定数を小さく設定するために、この実施例では、上記球体41を樹脂にて形成している。
【0077】
この球体41を構成する樹脂としては、耐衝撃性に優れ、摩擦係数が小さく、かつ、自己潤滑性を有するポリアミド(Polyamide)いわゆるナイロン(nylon)を採用することができる。
【0078】
ここで、
図6の上側に位置する摺動許容部材40Uの直径は約5mmに設定されており、下側に位置する摺動許容部材40Lの直径は約7mmに設定されているが、この数値に限定されるものではない。
なお、
図6において、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0079】
このように、
図6、
図7の(a)で示した実施例4のシートスライド機構は、車体のフロアパネルに固定され車両前後方向に延びるロアレール16と、該ロアレール16内を摺動すると共に上方にシート10が取付けられるスライダ17と、上記ロアレール16と上記スライダ17との間に配置され、該スライダ17の上記ロアレール16に沿った摺動を許容する摺動許容部材40とを備えたシートスライド機構15であって、上記摺動許容部材40は、上記ロアレール16または上記スライダ17に対してバネ定数が小さく設定されたものである(
図1、
図2、
図6、
図7の(a)参照)。
上記構成によれば、ロアレール16またはスライダ17に対して摺動許容部材40のバネ定数を小さく(換言すれば、たわみ度合いを大きく)設定したので、次の如き効果がある。
すなわち、振動入力点(フロアパネル参照)に近く、かつ振動出力部(スライダ17参照)以降の質量が大きい部分であるシートスライド機構15において、上述のバネ定数が小さい摺動許容部材40にて振動を減衰することができるので、シート10に着座した乗員が感じる振動を効果的に低減することができ、延いては、NVH性能の向上を図ることができる。
【0080】
これは、NVH性能向上のためには、振動の吸収は、振動の入力点であるフロアパネルに極力近く、かつ振動出力先の質量が大きいシートスライド機構15の改善が振動低減に最も効果的であるという知見に基づくものである。
また、上記構成によれば、既存の構造に対して摺動許容部材40のみの変更により、上述の効果を得ることができる。
【0081】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記摺動許容部材40は、球体41(いわゆる中空ボール)にて形成されており、該球体41の内部が中空に形成(中空部42参照)されたものである(
図7の(a)参照)。
【0082】
この構成によれば、摺動許容部材40を球体41で形成したので、従来の一般的なシートスライド機構の大幅な変更を伴うことなく、上述の振動低減効果を得ることができる。
【実施例5】
【0083】
図7の(b)は実施例58を示し、外殻と内側部材とから成る球体の断面図である。
同図に示すように、摺動許容部材40は球体43(いわゆる中実ボール)により形成されている。該球体43は上記ロアレール16または上記スライダ17に対してバネ定数が小さく設定されている。また、この球体43は、外側部材としての外殻44と、この外殻44の内側に位置する内側部材45とを備えており、内側部材45のバネ定数は外殻44のそれに対してバネ定数が小さく設定されている。
【0084】
この実施例では、上述の外殻44は金属、例えば、ステンレス鋼により形成されており、上述の内側部材45は樹脂、例えば、ポリアミド(Polyamid)により形成されている。
【0085】
このように、
図7の(b)で示した実施例5においては、上記摺動許容部材40は、球体43(いわゆる中実ボール)にて形成されており、該球体43は、外殻44と内側部材45とを備え、上記外殻44に対して上記内側部材45のバネ定数が小さく設定されたものである(
図7の(b)参照)。
【0086】
この構成によれば、摺動許容部材40を球体43で形成したので、従来の一般的なシートスライド機構の大幅な変更を伴うことなく、上述の振動低減効果を得ることができる。
また、ステンレス製の外殻44を備えているので、摺動許容部材40の耐久性および防錆効果の向上を図ることができる。
【0087】
このように構成しても、その他の構成、作用、効果については先の実施例4とほぼ同様であるから、
図7の(b)において、
図7の(a)と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0088】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の中空部材は、実施例の円筒状の中空部材31(いわゆる中空ローラ)に対応し、
以下同様に、
中実部材は、円柱状の中実部材34,36(いわゆる中実ローラ)に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記中空部材、中実部材としては、角筒状または角柱状の構造を採用してもよい。