(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題に対する有効な対策として、二酸化炭素(CO
2)を回収して貯留する二酸化炭素回収貯留技術(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage)が注目されている。具体的には、火力発電所や製鉄所、清掃工場等で排出されるプロセス排ガス(処理対象排ガス)中の二酸化炭素を、吸収液で回収する二酸化炭素回収システムが検討されている。
【0003】
二酸化炭素回収貯留技術の一つとして、化学吸収法を用いた二酸化炭素回収システムが知られている。このような二酸化炭素回収システムは、吸収塔と、再生塔と、を備えている。このうち吸収塔において、プロセス排ガスに含有されている二酸化炭素が、例えばアミン等の吸収液成分および水分を含有する吸収液に吸収される。この際、吸収塔からは、二酸化炭素を放出したプロセス排ガスが排出される。二酸化炭素を吸収した吸収液は再生塔に供給されて加熱され、再生塔において吸収液から二酸化炭素が放出される。この際、再生塔からは、放出された二酸化炭素が蒸気とともに排出されて、二酸化炭素が分離回収される。再生塔において二酸化炭素を放出した吸収液は、吸収塔に戻されて、吸収塔において再び二酸化炭素を吸収する。このようにして、吸収液が吸収塔と再生塔とを循環し、プロセス排ガスに含有されている二酸化炭素が連続的に回収されるようになっている。
【0004】
このような二酸化炭素回収貯留技術は、様々なプロセス排ガスから二酸化炭素を回収して利活用するCCU(Carbon Dioxide Capture and Utilization)技術に展開されている。このCCU技術を具現化する二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素の回収規模が小さくなる傾向にあり、多様なニーズに適合させるために小型化されてパッケージ化される場合がある。このことにより、吸収塔や再生塔といった二酸化炭素回収システムを構成する各装置が密集して配置されるため、運転時に高温となる装置(例えば、二酸化炭素を放出させるために吸収液を加熱する再生塔)の外表面の冷却が困難になるという問題がある。この場合、装置の外表面が高温になり、安全上の問題が生じ得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0012】
まず、
図1〜
図4を用いて、本実施の形態における二酸化炭素回収システム1について説明する。
【0013】
二酸化炭素回収システム1は、複数の装置を備えている。本実施の形態においては、複数の装置は、吸収装置、再生装置,再生熱交換装置、第1吸収液用ポンプ装置、第2吸収液用ポンプ装置、吸収液用冷却装置、ガス用冷却装置および気液分離装置により構成されている。以下に、本実施の形態による二酸化炭素回収システム1の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、二酸化炭素回収システム1は、プロセス排ガス2(処理対象排ガス)に含有される二酸化炭素を、水分を含有する吸収液(リーン液5)に吸収させる吸収塔20(吸収装置)と、吸収塔20から供給される二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液4)から二酸化炭素を放出させて、リッチ液4を再生する再生塔30(再生装置)と、を備えている。このうち吸収塔20において二酸化炭素をリーン液5に吸収させたプロセス排ガス2は、吸収塔排ガス3として吸収塔20から排出される。また、放出された二酸化炭素が蒸気と共に再生塔排ガス8(再生装置排ガス)として再生塔30から排出される。なお、吸収塔20に供給されるプロセス排ガス2は、特に限定されるものではないが、例えば火力発電所や、製鉄所、清掃工場等で排出される排ガスとすることができる。このような排ガスは、図示しない排ガス送風機によって吸収塔20に供給される。
【0015】
吸収塔20と再生塔30とは、リッチ液ラインL1およびリーン液ラインL2によって連結されている。このうちリッチ液ラインL1は、吸収塔20から排出されたリッチ液4を再生塔30に供給する。リーン液ラインL2は、再生塔30から排出されたリーン液5を吸収塔20に供給する。吸収液4、5は、リッチ液ラインL1およびリーン液ラインL2によって吸収塔20と再生塔30とを循環し、吸収塔20において二酸化炭素を吸収してリッチ液4となり、再生塔30において二酸化炭素を放出してリーン液5となる。なお、吸収液には、例えば、モノエタノールアミン(monoethanolamin)、ジエタノールアミン(diethanolamin)などのアミン系水溶液を好適に用いることができるが、このようなアミンの種類に限定されることはない。また、1種類以上のアミンを含有する水溶液で構成されていてもよい。
【0016】
吸収塔20は、吸収塔20に収容された吸収部20a(充填層またはトレイ)を有している。この吸収部20aは、向流型気液接触装置として構成されており、プロセス排ガス2とリーン液5とを接触させて、プロセス排ガス2に含有される二酸化炭素をリーン液5に吸収させる。より具体的には、吸収塔20の下部に供給されたプロセス排ガス2は、吸収部20a内を上昇する。一方、再生塔30からのリーン液5が、吸収部20a内を分散落下する。吸収部20aにおいて、プロセス排ガス2とリーン液5とが気液接触して、プロセス排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収される。二酸化炭素を吸収したリーン液5はリッチ液4になる。
【0017】
リッチ液4は、吸収塔20の下部で一端貯留されて、底部からリッチ液ラインL1に排出される。リーン液5と気液接触したプロセス排ガス2は、二酸化炭素が除去されて、吸収塔排ガス3として吸収部20aから排出されて吸収塔20内を上昇し、吸収塔20の頂部から排出される。
【0018】
吸収塔20と再生塔30との間には再生熱交換器31(再生熱交換装置)が設けられている。この再生熱交換器31は、リッチ液ラインL1を通って吸収塔20から再生塔30に供給されるリッチ液4と、リーン液ラインL2を通って再生塔30から吸収塔20に供給されるリーン液5とを熱交換させるように構成されている。このことにより、リーン液5が熱源となって、リッチ液4が所望の温度まで加熱される。言い換えると、リッチ液4が冷熱源となって、リーン液5が所望の温度まで冷却される。
【0019】
再生塔30は、再生塔30に収容された再生部30a(充填層またはトレイ)を有している。この再生部30aは、向流型気液接触装置として構成されており、リッチ液4を加熱してリッチ液4から二酸化炭素を放出させる。より具体的には、再生塔30の上部に供給されたリッチ液4は、再生部30a内を下降する。一方、再生塔30の下部には、ヒータ33が設けられており、再生塔30の下部に貯留されたリーン液5がヒータ33によって加熱されてリーン液5から蒸気が生成される。生成された蒸気は再生部30a内を上昇する。再生部30aにおいて、リッチ液4と蒸気とが気液接触して、リッチ液4が加熱されてリッチ液4から二酸化炭素が放出される。二酸化炭素を放出したリッチ液4はリーン液5になる。このようにして再生塔30において吸収液が再生される。
【0020】
再生塔30におけるリーン液5の加熱は、上述したヒータ33ではなく、リボイラー(図示せず)によって行われるようにしてもよい。リボイラーは、再生塔30から排出されるリーン液5の一部を、外部から供給される高温の蒸気等の加熱媒体によって加熱してリーン液5から蒸気を生成し、生成した蒸気を再生塔30の下部に供給するように構成される。また、リーン液5の加熱は、再生塔30内に熱交換器(図示せず)を挿入して、外部から熱交換器に供給される高温の蒸気等の加熱媒体と再生塔30内のリーン液5とを熱交換させてリーン液5から蒸気を生成するようにしてもよい。
【0021】
また、再生塔30の構成は、充填層などの再生部30aを有していることに限られることはない。例えば、リッチ液4を貯留してリッチ液4を直接的に加熱することで二酸化炭素をリッチ液4から放出させるフラッシュドラム(フラッシュタンク)として構成するようにしてもよい。この場合、フラッシュドラム内に貯留されるリッチ液4は、フラッシュドラムの下部に設けられたヒータや熱交換器などによって加熱することができる。
【0022】
リーン液5は、再生塔30の底部からリーン液ラインL2に排出される。リッチ液4と気液接触した蒸気は、二酸化炭素を含有して再生塔排ガス8として再生部30aから排出されて再生塔30内を上昇し、再生塔30の頂部から排出される。
【0023】
リッチ液ラインL1には、リッチ液用ポンプ32(第1吸収液用ポンプ装置)が設けられている。このリッチ液用ポンプ32によって、吸収塔20から排出されたリッチ液4は、再生熱交換器31を通って再生塔30に供給される。
【0024】
リーン液ラインL2には、リーン液用ポンプ34(第2吸収液用ポンプ装置)が設けられている。このリーン液用ポンプ34によって、再生塔30から排出されたリーン液5は、再生熱交換器31を通って吸収塔20に供給される。再生熱交換器31は、上述したように、リーン液ラインL2を通るリーン液5を、リッチ液ラインL1を通るリッチ液4と熱交換させて冷却する。
【0025】
また、リーン液ラインL2には、再生塔30(より具体的には再生熱交換器31)から吸収塔20に供給されるリーン液5を冷却するリーン液用冷却器35(吸収液用冷却装置)が設けられている。このリーン液用冷却器35には、外部から冷却水等の冷却媒体が供給され、リーン液用冷却器35は、再生熱交換器31において冷却されたリーン液5を所望の温度まで更に冷却する。
【0026】
リーン液用冷却器35において冷却されたリーン液5は、吸収塔20の吸収部20aに供給される。吸収部20aにおいて、リーン液5はプロセス排ガス2と気液接触してプロセス排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収されてリッチ液4となる。このようにして、二酸化炭素回収システム1では、吸収液が、二酸化炭素濃度が比較的低いリーン液5となる状態と、二酸化炭素濃度が比較的高いリッチ液4となる状態とを繰り返しながら循環するようになっている。
【0027】
本実施の形態における二酸化炭素回収システム1は、再生塔排ガス8を冷却するガス用冷却器36(ガス用冷却装置)と、気液分離器37(気液分離装置)と、を更に備えている。このうちガス用冷却器36は、外部から冷却水等の冷却媒体で、再生塔30から排出された再生塔排ガス8を冷却する。冷却された再生塔排ガス8は、気液分離器37に供給される。気液分離器37は、冷却された再生塔排ガス8から凝縮水を分離し、再生塔排ガス8を排出する。気液分離器37から排出された再生塔排ガス8は、図示しない回収設備に回収され、利活用される。
【0028】
再生塔30と気液分離器37とは、ガスラインL3によって連結されている。このガスラインL3に、上述したガス用冷却器36が設けられている。また、再生塔30と気液分離器37とは、戻りラインL4によって連結されている。再生塔排ガス8から分離された凝縮水は、この戻りラインL4を通って再生塔30の上部に戻される。
【0029】
上述した二酸化炭素回収システム1には、図示しないが、吸収塔排ガス3および再生塔排ガス8をそれぞれ洗浄する洗浄塔や、これらの排ガス3、8をそれぞれ冷却する冷却塔が設けられていてもよい。
【0030】
ところで、本実施の形態による二酸化炭素回収システム1は、
図2に示すように、上述した吸収塔20および再生塔30等の各装置を収容する筐体40を更に備えている。すなわち、筐体40には、各装置、すなわち吸収塔20、再生塔30、再生熱交換器31、リッチ液用ポンプ32、リーン液用ポンプ34、リーン液用冷却器35、ガス用冷却器36および気液分離器37が収容されている。本実施の形態においては、筐体40は、直方体状に形成されており、4つの側壁40aと、天井壁40bと、を有している。各装置を筐体40に収容することで、筐体40に収容された形態(パッケージ形態)で輸送し、据付することができる。また、二酸化炭素回収システム1の外観の見栄えを良くすることができる。
【0031】
図2および
図3に示すように、筐体40は、冷却壁41(冷却部)を有している。この冷却壁41は、筐体40の4つの側壁40aのうちの1つの側壁40aを構成している。冷却壁41は、再生塔30等の比較的高温の装置の外表面を冷却するように構成されている。
【0032】
図3に示すように、冷却壁41には、再生塔30の外表面が熱的に接続されている。より具体的には、
図4に示すように、再生塔30は、再生部30aを収容する塔本体30bと、塔本体30bの外周面に設けられた断熱部材30cと、を有している。このうち断熱部材30cは、再生塔30内の温度を維持するとともに、再生塔30内の熱が外部に放出されて他の装置に伝達されることを防止するための部材である。しかしながら、再生塔30内の熱の一部によって、断熱部材30cの外表面の温度が高まる傾向にある。このため、断熱部材30cの外表面を冷却するために、断熱部材30cの外表面が、筐体40の冷却壁41の内面に機械的に接触して、熱的に接続されている。なお、断熱部材30cの外表面から冷却壁41に熱を伝えることができれば、断熱部材30cの外表面は、他の部材を介して冷却壁41に熱的に接続されるようにしてもよい。また、断熱部材30cの外表面には、断熱部材30cを再生塔30の外表面に保持するための結束バンド(図示せず)が設けられていてもよい。
【0033】
冷却壁41は、その外表面に設けられた冷却面42を含んでいる。冷却壁41に熱的に接続された装置の熱は、この冷却面42から後述する筐体冷却器50に回収されるようになっている。
【0034】
本実施の形態においては、
図3に示すように、冷却壁41に、冷却壁41を冷却する筐体冷却器50が設けられている。この筐体冷却器50は、冷却壁41に熱的に接続された冷却器プレート51と、冷却器プレート51内に設けられ、外部から供給される冷却水等の冷却媒体が通流する通路52と、を有している。このように、本実施の形態による筐体冷却器50はプレート式熱交換器として構成され、冷却壁41は冷却媒体で冷却される。冷却器プレート51は、冷却面42に機械的に接触し、熱的に接続されている。
【0035】
再生塔30と同様にして、再生熱交換器31、リーン液用ポンプ34、ガス用冷却器36が、冷却壁41によって冷却されるようにしてもよい。すなわち、冷却壁41に、再生熱交換器31の外表面が熱的に接続されて冷却されるようになっている。再生熱交換器31の外周面に断熱部材が設けられている場合には、この断熱部材の外表面が冷却壁41に機械的に接触して熱的に接続されるようにしてもよい。同様に、冷却壁41に、リーン液用ポンプ34の外表面が熱的に接続されて冷却されるようになっている。リーン液用ポンプ34の外周面に断熱部材が設けられている場合には、この断熱部材の外表面が冷却壁41に機械的に接触して熱的に接続されるようにしてもよい。また、冷却壁41に、ガス用冷却器36の外表面が熱的に接続されて冷却されるようになっている。ガス用冷却器36の外周面に断熱部材が設けられている場合には、この断熱部材の外表面が冷却壁41に機械的に接触して熱的に接続されるようにしてもよい。
【0036】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、
図1〜
図4に示す二酸化炭素回収システム1の運転方法について説明する。
【0037】
二酸化炭素回収システム1の運転中、吸収塔20において、プロセス排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収される。吸収塔20に供給されるリーン液5は、リーン液用冷却器35によって冷却される。このことにより、吸収塔20の内部は低温(例えば、40℃程度)になり、プロセス排ガス2からリーン液5に二酸化炭素が効率良く吸収される。二酸化炭素を吸収したリッチ液4の温度は低いため、リッチ液用ポンプ32の内部も低温になる。
【0038】
一方、再生塔30において、吸収塔20から供給されるリッチ液4は加熱されて二酸化炭素を放出する。再生塔30に供給されるリッチ液4は、後述するように再生熱交換器31において加熱されているため、リッチ液4の温度は上がる。また、再生塔30の下部に貯留されたリーン液5がヒータ33によって加熱され、リーン液5から蒸気が生成される。このことにより、再生塔30の内部が高温(例えば、120℃程度)になり、リッチ液4が加熱されてリッチ液4の温度が更に上がる。このため、リッチ液4から二酸化炭素が効率良く放出される。二酸化炭素を放出したリーン液5の温度は高いため、リーン液用ポンプ34の内部および再生熱交換器31の内部もそれぞれ高温になる。
【0039】
再生熱交換器31では、高温のリーン液5が、吸収塔20から供給された低温のリッチ液4と熱交換するため、再生熱交換器31から排出されたリッチ液4の温度は上がるとともに、再生熱交換器31から排出されたリーン液5の温度は下がる。リーン液5は、リーン液用ポンプ34によって更に冷却されて、吸収塔20に供給される。
【0040】
また、再生塔30から排出される再生塔排ガス8の温度も高くなる。このことにより、ガス用冷却器36の内部も高温になる。ガス用冷却器36では、冷却水によって再生塔排ガス8が冷却されるため、ガス用冷却器36から排出された再生塔排ガス8の温度は下がる。このため、気液分離器37の内部は低温になっている。
【0041】
ところで、高温の再生塔30の塔本体30bの外表面には、断熱部材30cが設けられているが、再生塔30内の熱の一部は、断熱部材30cの外表面に伝わる。例えば、断熱部材30cの外表面の温度は、70℃〜80℃になる場合がある。同様に、高温のリーン液用ポンプ34の外表面にも、内部の熱の一部が伝わり、当該外表面の温度が高くなり得る。再生熱交換器31の外表面にも、内部の熱の一部が伝わり、ガス用冷却器36の外表面にも、内部の熱の一部が伝わり、各々の外表面の温度が高くなり得る。
【0042】
一方、筐体40の冷却壁41に設けられた筐体冷却器50の通路52に、外部から冷却媒体が供給される。
【0043】
再生塔30の断熱部材30cの外表面が筐体40の冷却壁41に熱的に接続されるとともに、冷却壁41が冷却器プレート51に熱的に接続されているため、再生塔30の断熱部材30cの外表面の熱が、冷却壁41を介して冷却媒体に回収される。このことにより、再生塔30の断熱部材30cの外表面が、筐体冷却器50によって冷却される。同様にして、リーン液用ポンプ34の外表面の熱、再生熱交換器31の外表面の熱、およびガス用冷却器36の外表面の熱も、冷却壁41を介して冷却媒体に回収される。
【0044】
このように本実施の形態によれば、再生塔30の外表面が、再生塔30等を収容した筐体40の冷却壁41に熱的に接続されて冷却される。このことにより、二酸化炭素を放出させるために内部が比較的高温になる再生塔30の外表面の温度を下げることができる。このため、再生塔30の外表面を作業員が触れることができる程度の温度(例えば、60℃以下)に下げることができ、安全性を向上させることができる。この結果、運転時に高温となる再生塔30の外表面を効率良く冷却することができ、安全性を確保することができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、上述したように再生塔30の外表面の温度を下げることができるため、再生塔30内の熱が、低温となる他の装置(例えば、吸収塔20やリーン液用冷却器35)に伝わることを防止できる。この場合、吸収塔20に供給されるリーン液5の温度が上昇することを防止でき、吸収塔20においてプロセス排ガス2からリーン液5への二酸化炭素吸収性能を向上させることができる。また、再生塔30内の熱が周囲の他の装置に伝わることを防止できるため、筐体40内における各装置の配置を密集させることができる。この場合、筐体40の設置スペースを低減し、筐体40の小型化を図ることができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、再生塔30の断熱部材30cが、筐体40の冷却壁41に熱的に接続されている。このことにより、再生塔30内の温度低下を防止しながら、断熱部材30cの外表面の温度を下げることができる。このため、再生塔30内のリッチ液4から効率良く二酸化炭素を放出させながら、安全性を確保することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、再生熱交換器31の外表面が、筐体40の冷却壁41に熱的に接続されて冷却される。このことにより、再生塔30から排出されたリーン液5によって高温になる再生熱交換器31の外表面の温度を下げることができ、安全性を向上させることができる。同様に、リーン液用ポンプ34の外表面が、筐体40の冷却壁41に熱的に接続されて冷却されるため、当該外表面の温度を下げることができ、さらに、ガス用冷却器36の外表面が、筐体40の冷却壁41に熱的に接続されて冷却されるため、当該外表面の温度を下げることができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、筐体40の冷却壁41に、冷却壁41を冷却する筐体冷却器50が設けられている。このことにより、冷却壁41を効率良く冷却することができ、再生塔30等の各装置の外表面を効率良く冷却することができる。
【0049】
なお、上述した本実施の形態においては、筐体40が直方体状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、筐体40が、冷却壁41などの冷却部を有することができれば、任意の形状とすることができる。
【0050】
また、上述した本実施の形態においては、筐体40の冷却壁41が、筐体40の4つの側壁40aのうちの1つの側壁40aを構成している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、再生塔30等の各装置を冷却することができれば、冷却壁41は、天井壁40bを構成し、その冷却壁41に、各装置が熱的に接続されるようにしてもよい。また、4つの側壁40aおよび天井壁40bのうちの2つ以上の壁を、冷却壁41として構成してもよい。
【0051】
また、上述した本実施の形態においては、筐体冷却器50が、外部から供給される冷却媒体の通路52を含むプレート式熱交換器として構成されている例について説明した。しかしながら、冷却壁41を冷却することができれば、筐体冷却器50の構成は任意である。例えば、筐体冷却器50は、プレート式熱交換器ではなく、冷却媒体が通流する配管(図示せず)によって構成され、配管が冷却壁41と接触して冷却壁41を冷却するようにしてもよい。また、図示しないが、通路52から排出された冷却媒体の熱を周囲空気に放出させる熱放出部(ラジエータなど)と、冷却媒体を循環させるポンプと、を更に含むようにしてもよい。この場合、ポンプによって冷却媒体が冷却器プレート51と熱放出部とを循環しながら、冷却壁41を冷却することができる。
【0052】
また、上述した本実施の形態においては、筐体冷却器50が、外部から供給される冷却媒体で冷却壁41を冷却するように構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、筐体冷却器50は、周囲空気で冷却壁41を冷却するように構成されていてもよい。
【0053】
例えば、
図5に示すように、筐体冷却器50は、冷却壁41の熱を周囲空気に放出するヒートシンク53を有していてもよい。この場合、ヒートシンク53が冷却壁41の冷却面42に機械的に接触し、熱的に接続される。このことにより、ヒートシンク53と周囲空気との接触面積が大きいため、冷却壁41からヒートシンク53に伝わった熱を周囲空気に効率良く放出することができる。このため、冷却壁41の熱を周囲空気によって効率良く冷却することができる。
【0054】
また、例えば、
図6に示すように、筐体冷却器50は、冷却壁41の冷却面42(表面)に強制対流を形成する少なくとも1つの冷却用送風機54を有している。この場合、冷却用送風機54が、周囲空気を冷却壁41の冷却面42に送り、冷却面42の近傍に、周囲空気による強制対流が生じる。このことにより、冷却壁41の熱を強制対流熱伝達によって周囲空気に効率良く放出することができる。このため、冷却壁41の熱を周囲空気によって効率良く冷却することができる。なお、冷却用送風機54は、冷却壁41に取り付けられるようにしてもよく、または筐体40とは別体に設置されていてもよい。また、筐体冷却器50は、ヒートシンク53と冷却用送風機54の両方を有する構成としてもよい。
【0055】
また、上述した本実施の形態においては、冷却壁41に筐体冷却器50が設けられて、冷却壁41が筐体冷却器50によって冷却される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、冷却壁41を周囲空気によって冷却することができれば、冷却壁41には筐体冷却器50が設けられていなくてもよい。この場合、冷却壁41は、筐体40の他の部分(他の側壁40aや天井壁40b等)よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅等)で形成されていてもよい。このことにより、再生塔30等の高温となる装置の熱を周囲空気に効率良く放出することができる。熱伝導率が高い材料は、冷却壁41として構成される側壁40aの全体を形成していなくてもよく、当該側壁40aの一部分が熱伝導率が高い材料によって形成されて、この部分が冷却壁41として構成されるようにしてもよい。なお、冷却壁41に筐体冷却器50が設けられる場合であっても、冷却壁41を、筐体40の他の部分よりも熱伝導率が高い材料で形成するようにしてもよい。
【0056】
以上述べた実施の形態によれば、運転時に高温となる装置の外表面を効率良く冷却することができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。