特許第6842491号(P6842491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6842491顧客データ整備システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842491
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】顧客データ整備システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20210308BHJP
【FI】
   G06Q40/02
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-66428(P2019-66428)
(22)【出願日】2019年3月29日
(65)【公開番号】特開2020-166554(P2020-166554A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水村 広秋
(72)【発明者】
【氏名】田中 大希
(72)【発明者】
【氏名】溝呂木 俊一
(72)【発明者】
【氏名】国広 篤史
(72)【発明者】
【氏名】藤村 優太
(72)【発明者】
【氏名】永野 智治
【審査官】 田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−242365(JP,A)
【文献】 特開2009−245073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
預金保険機構向けの顧客データを整備するシステムであって、
複数の業務システムから収集した顧客データに対して名寄せを実行し、
前記名寄せされた顧客データに対して、顧客または担当者による内容の確認が必要なデータ項目を特定するための疑義箇所チェックを実行し、
前記疑義箇所チェックのチェック結果を後続の対応方法ごとに分割し、前記分割されたチェック結果は、第1のチェック結果および第2のチェック結果を含み、前記第1のチェック結果および前記第2のチェック結果はそれぞれ、内容の確認が必要なデータ項目を示す情報を含み、
前記第1のチェック結果に関連付けられる第1の対応方法に応じて、前記顧客データの修正を受け付け、前記第2のチェック結果に関連付けられる第2の対応方法に応じて、前記顧客データの修正を受け付け
ように構成されたプロセッサを備えた、システム。
【請求項2】
前記第1のチェック結果に基づいて、前記顧客のコンタクト発生時に前記内容の確認が必要なデータ項目を示すアラームを登録し、
前記アラームを前記第1の対応方法に関連付けられる端末に表示し、
前記表示したことに応じた前記顧客による前記顧客データの修正を受け付ける
ようにさらに構成されたプロセッサを備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
コンピュータによって実施される預金保険機構向けの顧客データを整備する方法であって、
複数の業務システムから収集した顧客データに対して名寄せを実行することと、
前記名寄せされた顧客データに対して、顧客または担当者による内容の確認が必要なデータ項目を特定するための疑義箇所チェックを実行することと、
前記疑義箇所チェックのチェック結果を後続の対応方法ごとに分割することであって、前記分割されたチェック結果は、第1のチェック結果および第2のチェック結果を含み、前記第1のチェック結果および前記第2のチェック結果はそれぞれ、内容の確認が必要なデータ項目を示す情報を含む、分割することと、
前記第1のチェック結果に関連付けられる第1の対応方法に応じて、前記顧客データの修正を受け付け、前記第2のチェック結果に関連付けられる第2の対応方法に応じて、前記顧客データの修正を受け付けることと
を含む、方法。
【請求項4】
前記第1のチェック結果に基づいて、前記顧客のコンタクト発生時に前記内容の確認が必要なデータ項目を示すアラームを登録することと、
前記アラームを前記第1の対応方法に関連付けられる端末に表示することと
前記表示したことに応じた前記顧客による前記顧客データの修正を受け付ける
ことをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客データ整備システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
預金保険法上、同一金融機関内の同一顧客の預金額を確定する必要がある。金融機関は、自身が有する顧客情報の集約・統合(名寄せ)を行い、整備された顧客データを預金保険機構に提出していた。
【0003】
一般的な名寄せ処理は、例えば、少なくとも名称および住所が相互に一致した2つの個人情報を重複した個人情報とする手法、少なくとも名称および電話番号情報が相互に一致した2つの個人情報を重複した個人情報とする手法等が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−11049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
預金保険機構向けの顧客データは提出時期が定まっていないため、特定の時点の顧客情報に基づく顧客データではなく、可能な限り最新かつ正確な顧客データを保持しておく必要がある。顧客情報が新規登録された場合においても、預金保険機構への提出対象外となるデータや、名寄せに必要な情報が不足しているデータが混在する可能性もある。また、顧客データの特性に応じて、修正要否の判定が適切になされる必要もある。以上のことから、預金保険機構向けの顧客データを適切に整備するシステムが望まれる。
【0006】
本発明はこのような課題に対し、顧客データ整備システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。より詳細には、異なる経路を介して顧客データが修正され得る、預金保険機構向けの顧客データ整備システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様である、預金保険機構向けの顧客データを整備するシステムは、複数の業務システムから収集した顧客情報に対して名寄せを実行し、名寄せされた顧客情報に対して疑義箇所チェックを実行し、疑義箇所チェックのチェック結果を後続の対応方法ごとに分割し、分割されたチェック結果は内容の確認が必要なデータ項目を示す情報を含み、分割されたチェック結果に応じて、顧客データの修正を受け付けるように構成されたプロセッサを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、預金保険機構向けの顧客データの項目の特性に応じて、異なる経路で内容の確認および修正が可能となる。また、顧客とのコンタクト時にアラームによる顧客データの内容確認を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る顧客データ整備システムの構成を例示する図である。
図2】本発明の一実施形態に係る顧客データ整備処理フローを例示する図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシステムの構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。複数の図面において同一の符号は同一の要素を表し、重複した説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る顧客データ整備システムの構成を例示する図である。図1は概略的に、経営情報システム100、顧客ID管理システム110、本部システム120、営業店システム130、勘定系システム140、ネットワーク150が例示される。
【0012】
経営情報システム100は、金融機関の経営を支援するためのシステムであり、複数の業務システムが保持しているデータを集約して管理することができる。複数の業務システムは、例えば金融機関の本部システム120、営業店システム130、勘定系システム140を含む。経営情報システム100はまた、顧客ID管理システム110を備えることができる。
【0013】
顧客ID管理システム110は、名称、住所、電話番号等を含む顧客情報を収集し、顧客IDマスタデータベース111に格納することができる。顧客ID管理システム110はまた、所定の期間(例えば、四半期)ごとに顧客データの名寄せを実行することができる。名寄せは、処理の一部にデータクレンジングおよびマッチングを含む。データクレンジングは、顧客情報の各項目(名称、住所、電話番号等)のデータ表現(ハイフン、括弧の表記等)を統一する。マッチングは、データクレンジング後の各項目(名称、住所、電話番号等)を使用して、複数の顧客情報が同一の顧客を示すかどうかを比較する。名寄せは、データクレンジングおよびマッチングによって判定された同一の顧客に対して、同一の顧客IDを付与等することにより、実行され得る。
【0014】
顧客ID管理システム110は、疑義箇所チェック部112によって、名寄せされた顧客情報を使用して、内容の確認が必要な顧客データを特定するために疑義箇所チェックを実行することができる。疑義箇所チェックは、例えば顧客が預金保険の非対象者(例えば、金融機関等)であるかどうか、法人名または個人名が所定の形式に沿っているかどうか、法人の設立年月日または個人の生年月日が所定の期間以前であるかどうか、等のチェックを含み得る。疑義箇所チェックのチェック結果は、顧客データの各項目のうち内容確認が必要な(疑義のある)データ項目を示す情報を含むことができる。
【0015】
顧客ID管理システム110は、疑義箇所チェックのチェック結果を後続の対応方法ごとに分割することができる。分割されたチェック結果は、例えばチェック結果(全量)、チェック結果(アラーム形式)、チェック結果(営業店処理分)等とすることができる。分割されたチェック結果はより細分化または統合されたチェック結果としてもよく、さらに項目の抽出または加工が行われてもよい。分割されたチェック結果はそれぞれ、1つまたは複数の業務システムに送信される。
【0016】
チェック結果(全量)は、例えば金融機関の本部の担当者等によって、顧客データを修正するかどうかの判定に使用され得る。チェック結果(全量)は、顧客が預金保険の非対象者であるかどうか等、金融機関の本部等で判定が必要なデータ項目を示してもよい。
【0017】
チェック結果(アラーム形式)は、顧客とコンタクトがあったときに内容の確認が必要なデータ項目を示すアラームの登録条件として使用できる。コンタクトは、例えば顧客が金融機関等の窓口に訪れた場合、インターネットバンキングや証券口座にログインした場合等が含まれ得る。アラームの表示内容は、例えば顧客または金融機関の営業店の担当者等によって、顧客データを修正するかどうかの判定に使用され得る。顧客が確認する内容は、例えば生年月日、カナ表記、電話番号等とすることができる。
【0018】
チェック結果(営業店処理分)は、例えば金融機関の営業店の担当者等によって、顧客データを修正するかどうかの判定に使用され得る。チェック結果(営業店処理分)は、顧客データのうち、例えば印鑑届け等の確認が必要なデータ項目を示してもよい。
【0019】
各チェック結果は、内容確認が必要なデータ項目について、各担当者による確認をガイドするように、担当者が使用する端末等の画面に表示されてもよい。
【0020】
本部システム120は業務システムの1つであり、顧客ID管理システム110からチェック結果(全量)およびチェック結果(アラーム形式)を受信することができる。金融機関の本部の担当者等は、本部システム120にアクセス可能な端末を使用して、チェック結果(全量)の内容を確認すること、および顧客データを修正することができる。アラーム登録部121は、チェック結果(アラーム形式)に基づいて、店頭に設置された端末等に表示させるアラームを登録することができる。
【0021】
営業店システム130は業務システムの1つであり、チェック結果(営業店処理分)を受信することができる。金融機関の営業店の担当者等は、営業店システム130にアクセス可能な端末を使用して、チェック結果(営業店処理分)の内容を確認すること、および顧客データを修正することができる。
【0022】
アラーム表示部131は、本部システム120のアラーム登録部121によって登録されたアラームを表示することができる。アラームは、例えば顧客が営業店を訪れた時(窓口等で顧客を識別した時)、店頭に設置された端末に表示されてもよい。アラームはまた、顧客が金融機関、コンビニエンスストア等の店舗に設置されたATM(Automated Teller machine)を操作するときにATMに表示されてもよい。アラームはまた、顧客が任意の用件でコールセンターに問合せをしたときに、コールセンターの担当者の端末に表示されてもよく、コールセンターの担当者はアラームの表示内容に基づいて顧客にデータ修正・確認を促してもよい。顧客はアラームの表示内容を確認し、修正が必要かどうかを判定する。金融機関の営業店の担当者等は、顧客の判定に応じて、営業店システム130にアクセス可能な端末を使用して顧客データを修正することができる。顧客データは顧客によって修正されてもよい。アラームはまた、顧客がインターネットバンキングや証券口座にログインした時、または所定の画面に遷移した時等、顧客が有する端末に表示されてもよい。顧客はアラームの表示内容を確認し、顧客データを修正することができる。
【0023】
上述の各内容確認の結果、修正が不要である場合、次回以降の疑義箇所チェックで内容確認が必要と判定されないように、例えば「確認済み」を示すフラグ等を顧客データに含めてもよい。
【0024】
勘定系システム140は業務システムの1つであり、修正された顧客データを顧客情報データベース141に格納し、必要に応じて顧客データを経営情報システム100に送信することができる。
【0025】
ネットワーク150は、経営情報システム100と業務システム(本部システム120、営業店システム130、勘定系システム140を含む)との間で相互通信可能な周知のネットワークとすることができ、特に限定されることはない。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る顧客データ整備処理フローを例示する図である。以下、所定の期間ごとに名寄せを行い、預金保険機構向けの顧客データを整備する場面について説明する。
【0027】
ステップS201:顧客ID管理システム110は、名称、住所、電話番号等を含む顧客情報を収集して顧客IDマスタデータベース111に格納する。顧客ID管理システム110は、所定の期間(例えば、四半期)ごとに顧客情報の名寄せを実行する。
【0028】
ステップS202:顧客ID管理システム110は、名寄せされた顧客情報を使用して、内容の確認が必要な顧客情報を特定するために疑義箇所チェックを実行する。疑義箇所チェックのチェック結果は、顧客データの各項目のうち内容確認が必要な(疑義のある)データ項目を示す情報を含む。
【0029】
ステップS203:顧客ID管理システム110は、疑義箇所チェックのチェック結果を後続の対応方法ごとに分割する。分割されたチェック結果は、例えばチェック結果(全量)、チェック結果(アラーム形式)、チェック結果(営業店処理分)等とすることができ、1つまたは複数の業務システムに送信される。チェック結果(アラーム形式)は、顧客とコンタクトがあったときに内容の確認が必要なデータ項目を示すアラームの登録条件として使用でき、例えば本部システム120のアラーム登録部121によりアラームが登録される。
【0030】
ステップS204:業務システムにアクセス可能な担当者等は、分割されたチェック結果の内容を確認し、必要に応じて顧客データを修正する。例えば金融機関の本部の担当者等は、本部システム120にアクセス可能な端末を使用して、チェック結果(全量)の内容を確認すること、および顧客データを修正することができる。例えば金融機関の営業店の担当者等は、営業店システム130にアクセス可能な端末を使用して、チェック結果(営業店処理分)の内容を確認すること、および顧客データを修正することができる。例えば金融機関の営業店の担当者等は、店頭に設置された端末に表示されたアラームの表示内容を顧客が確認し、修正が必要かどうかの判定に応じて、営業店システム130にアクセス可能な端末を使用して顧客データを修正することができる。顧客データは顧客によって修正されてもよい。このように、複数の業務システムを経由して顧客データが別個に修正され得る。
【0031】
ステップS205:勘定系システム140は、修正された顧客データを顧客情報データベース141に格納する。
【0032】
このようにすることで、預金保険機構向けの顧客データの項目の特性に応じて、異なる経路で内容の確認および修正が可能となる。また、顧客データの顧客とのコンタクト時にアラームによる内容確認を通知することができる。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係るシステムの構成を例示する図である。図3に例示するように、制御部301、主記憶部302、補助記憶部303、操作部304、IF部305、および表示部306がバス307等によって接続される。図3は、経営情報システム100、本部システム120、営業店システム130、勘定系システム140の汎用的な構成を例示している。
【0034】
制御部301は、中央処理装置(CPU)であり、業務システムの各構成要素の制御やデータの演算を行うことができる。主記憶部302は、メインメモリであり、入力された各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータ等を記憶することができる。補助記憶部303は、ハードディスク(HDD)等の記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。制御部301は、補助記憶部303に格納されているプログラムを主記憶部302に読み出して実行することができる。
【0035】
操作部304は、キーボード、マウス、タッチパネル等により構成され、アプリケーションの各種操作や入力データを受け付けることができる。IF部305は、他のシステムまたは装置との間でデータを送受信する際のインタフェースである。表示部306は、ディスプレイ等により構成され、アプリケーションの各種画面等を提供することができる。
【0036】
説明のため各処理を分けて記載したが、各処理を統合、連携させ、それぞれが有する処理の一部または全部を他方が行うように実装されてもよい。
【0037】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能である。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
100 経営情報システム
110 顧客ID管理システム
111 顧客IDマスタデータベース
112 疑義箇所チェック部
120 本部システム
121 アラーム登録部
130 営業店システム
131 アラーム表示部
140 勘定系システム
141 顧客情報データベース
150 ネットワーク
図1
図2
図3