特許第6842504号(P6842504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イトーキの特許一覧

<>
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000002
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000003
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000004
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000005
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000006
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000007
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000008
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000009
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000010
  • 特許6842504-オフィス用のフレーム式ブース状家具。 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842504
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】オフィス用のフレーム式ブース状家具。
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   E04H1/12 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-114518(P2019-114518)
(22)【出願日】2019年6月20日
(62)【分割の表示】特願2015-143063(P2015-143063)の分割
【原出願日】2015年7月17日
(65)【公開番号】特開2019-178606(P2019-178606A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2019年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】臼本 浩人
(72)【発明者】
【氏名】江連 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】海福 恒太
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−046600(JP,A)
【文献】 特開2001−279938(JP,A)
【文献】 実開昭61−174457(JP,U)
【文献】 特開2009−089805(JP,A)
【文献】 特開2003−220101(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0352746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A47C 4/28
A63B 17/04
A61H 1/02
A47B 83/00 − 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフィスに設置されるフレーム式ブース状家具であって、
平面視四角形の底板と、
前記底板の各辺に沿って配置された4本の底枠材から成る平面視四角形の底部枠体と、
前記底部枠体の各コーナー部から立ち上がった4本の支柱と、
前記支柱の上端に固定された天枠体とを備えており、
周囲が4つの面で形成されている構成であって、
前記周囲を構成する4つ面は出入り口になる面と他の面とで構成されて、前記他の面は人が自由に接近可能であり、
かつ、前記他の面のうち少なくとも1つの面に、書き込み板又は電子モニターを配置して、前記他の面のうち前記書き込み板又は電子モニターが配置されていない面に、人がもたれ得るベルト又はロープが水平状の姿勢に配置されている
オフィス用のフレーム式ブース状家具。
【請求項2】
オフィスに設置されるフレーム式ブース状家具であって、
平面視四角形の底板と、
前記底板の各辺に沿って配置された4本の底枠材から成る平面視四角形の底部枠体と、
前記底部枠体の各コーナー部から立ち上がった4本の支柱と、
前記支柱の上端に固定された天枠体とを備えており、
周囲が4つの面で形成されている構成であって、
前記周囲を構成する4つの面は出入り口になる面と他の面とで構成されて、前記他の面は人が自由に接近可能であり、前記他の面のうち少なくとも1つの面に、人がもたれ得るベルト又はロープが水平状の姿勢に配置されている、
オフィス用のフレーム式ブース状家具。
【請求項3】
前記天枠体は、平面視円形又は角形若しくは小判形のリング状に構成されていて、平面視において前記底部枠体の外周面よりも内側に配置されている、
請求項1又は2に記載したオフィス用のフレーム式ブース状家具。
【請求項4】
前記各支柱の上部は、その上端が平面視において前記底部枠体の内側にずれるように曲げられており、前記各支柱の上端に前記天枠体が固定されている
請求項1〜3のうちのいずれかに記載したオフィス用のフレーム式ブース状家具。
【請求項5】
前記天枠体には、人が手を掛けてぶら下がり得る直線状のハンギングバー又はループ状のハンギングリングが水平状の姿勢で接続されている
請求項1〜4のうちのいずれかに記載したオフィス用のフレーム式ブース状家具。
【請求項6】
前記ハンギングバー又はハンギングリングは、前記支柱及び天枠体よりも小径に設定されている
請求項5に記載したオフィス用のフレーム式ブース状家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オフィスに独立した状態で設置できるフレーム式ブース状家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスでは、作業目的に応じて各種の家具が使用されている。一般には、椅子とセットで使用される机(或いはテーブル)が家具の基準になっており、多数の机を様々なレイアウトで配置している。この場合、机の使用者が決まっていないフリーアドレス方式も広く普及している。
【0003】
執務には机が使用されて、商談や会議にはテーブルが使用されるのが一般的であるが、特許文献1に開示されているように、建物の床に立設した複数本の支柱の上端をビームで連結することによってフレーム構造体を構成し、支柱にリング状の天板を取り付けてテーブルと成したり、支柱に棚板を取付けたりすることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−183249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、近年、オフィスにおいては、ワーカーの生産性を高める等の観点から、ワーキングスタイルに変化がみられる。上記したフリーアドレス方式もその一環であり、また、特許文献1のフレーム構造体も、人の動きの自由性を高めたり、寛ぎ効果によってコミュニケーション効果を高めたりできるものであり、知的生産性を高めるための環境作りに貢献できるものである。
【0006】
このように、ワーカーの自由性を高めて知的生産性向上に貢献できるような環境作りは進んでいるが、生産性向上のネックとして存在するワーカー自身の疲れや思考の行き詰まりに対しては、ワーカー自身の問題として、環境面からの配慮は成されていないのが実情である。
【0007】
すなわち、ワーカーが仕事で疲れて能率が低下したり、アイデア等の創造に行き詰まって仕事が事実上停止したりしても、それはワーカーの内面の問題として認識されており、ワーカーは、せいぜい、椅子にもたれて休息するといった対策しか採ることができず、このため、仕事の能率(生産性)を高め難いという問題があった。
【0008】
本願発明はこのような現状を改善すべく成されたものであり、心身の疲れを取ってリフレッシュしたり、気分転換によって思考の行き詰まりを打破したりできる環境作りに貢献できる家具(設備)を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、オフィスに設置されるフレーム式ブース状家具に関する。この発明は様々な構成を含んでおり、その典型の構成を各請求項で特定している。
このうち請求項1の発明は、
「オフィスに設置されるフレーム式ブース状家具であって、
平面視四角形の底板と、
前記底板の各辺に沿って配置された4本の底枠材から成る平面視四角形の底部枠体と、
前記底部枠体の各コーナー部から立ち上がった4本の支柱と、
前記支柱の上端に固定された天枠体とを備えており、
周囲が4つの面で形成されている構成であって、
前記周囲を構成する4つ面は出入り口になる面と他の面とで構成されて、前記他の面は人が自由に接近可能であり、
かつ、前記他の面のうち少なくとも1つの面に、書き込み板又は電子モニターを配置して前記他の面のうち前記書き込み板又は電子モニターが配置されていない面に、人がもたれ得るベルト又はロープが水平状の姿勢に配置されている
という構成になっている。
【0010】
【0012】
請求項の発明では、
オフィスに設置されるフレーム式ブース状家具であって、
平面視四角形の底板と、
前記底板の各辺に沿って配置された4本の底枠材から成る平面視四角形の底部枠体と、
前記底部枠体の各コーナー部から立ち上がった4本の支柱と、
前記支柱の上端に固定された天枠体とを備えており、
周囲が4つの面で形成されている構成であって、
前記周囲を構成する4つの面は出入り口になる面と他の面とで構成されて、前記他の面は人が自由に接近可能であり、前記他の面のうち少なくとも1つの面に、人がもたれ得るベルト又はロープが水平状の姿勢に配置されている」
という構成になっている。
【0013】
請求項の発明に係るフレーム式ブース状家具は、請求項1又は2において、
「前記天枠体は、平面視円形又は角形若しくは小判形のリング状に構成されていて、平面視において前記底部枠体の外周面よりも内側に配置されている」
という構成になっている。
【0014】
請求項の発明は、請求項1〜のうちのいずれかにおいて、
「前記各支柱の上部は、その上端が平面視において前記底部枠体の内側にずれるように曲げられており、前記各支柱の上端に前記天枠体が固定されている」
という構成になっている。
請求項の発明は、請求項1〜のうちのいずれかにおいて、
「前記天枠体には、人が手を掛けてぶら下がり得る直線状のハンギングバー又はループ状のハンギングリングが水平状の姿勢で接続されている」
という構成になっており、この請求項の具体例として、請求項では、
「前記ハンギングバー又はハンギングリングは、前記支柱及び天枠体よりも小径に設定されている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明では、ワーカーは、請求項1,2のようなベルト又はロープや請求項のようなハンギングリング又はハンギングバーを使用することにより、リフレッシュの動作を採ったり、休息したりすることができる。そして、身体を動かすことによって血行が促進されて高いリフレッシュ効果・気分転換効果を得ることができるため、心身の疲れを取って仕事の能率を向上させることが可能になる。つまり、オフィスにスポーツジム機能・エクササイズを持たせることができるのであり、これにより、ワーカーの心身をリフレッシュさせて、生産性向上に貢献できると、ワーカーの健康維持にも貢献できるのである。
【0017】
また、例えば、椅子にもたれた状態で思索しても、居眠りに移行してしまって脳の活性化に繋がらない場合も多いが、本願請求項1,2では、フレーム式ブース状家具に設けたベルト等の補助具にて休息するという非日常的な休息を採り得るため、気分転換効果によって高い休息効果を発揮し、脳の活性化に大きく貢献し得る。従って、椅子にもたれただけの休息に比べて、知的生産性の向上効果は優れていると云える。
【0018】
そして、本願発明の特徴は家具が床に安定良く載置される底部を有することであり、底部を有することにより、建物の床にアンカーを打つような工事を要することなく、フロアーに簡単に設置できる。すなわち、現場で組み立てるだけでよいため、設置は簡単であると共に、底部を強度メンバーとして機能させ得ることにより、フレーム構造体を堅牢な構造とすることができる。なお、現場の状態が許せば、工場等で組み立ててユニット化されたものを搬入してそのまま設置することも可能であり、この場合は、現場での組み立てが不要になるため、非常にユーザーフレンドリーである。
【0019】
本願発明では、リフレッシュ用の補助具を設けることが可能であり、その例として吊り輪を使用すると、ぶら下がり行為に際して音は出ないため、他人に迷惑をかけることなく血行を促進して高いリフレッシュ効果・気分転換効果を得ることができる。
【0020】
また、補助具として、人が腰掛け得るハンモック又は遊動板を採用することも可能であり、この場合は、椅子による休息とは異なる刺激的な休息を得ることができて、脳の活性化に大きく貢献できる。人が底部(底板)に立った状態でもたれ掛かり得る水平状のバンド又はロープも休息のための手段と云えるが、これも、通常は見られない休息態様であるため、脳の活性化に貢献できると云える。バンド又はロープとして強い弾性があるものを使用すると、クッション作用によってより高い休息効果を得ることができると云える。
【0021】
バンドやロープにもたれ掛かる場合は、例えば腰や背中のような一部が支持されることになるが、人を底部に足を付けた後傾姿勢に支持するもたれ板を使用すると、前身が安定した状態に支持されるため、リラックス性が高くなると云える。この場合も、人は基本的には立った姿勢なので、ベッドに寝た状態や椅子にもたれた状態に比べて居眠りへの移行は生じ難く、従って、一時的に休息して脳を活性化させる機能に優れていると云える。
【0022】
補助具としてのエキスパンダーやダンベル、サンドバックの使用も可能であり、この場合も、血行を促進して高いリフレッシュ効果を得ることができる。僅かの時間だけ運動に近い動作を採ることにより、心身の疲れを取って知的生産性の向上に貢献できるのである。
【0023】
請求項の発明は、補助具を使用せずに、枠体を構成するハンギングリングやハンギングバーに人が直接手を掛けるようにしたものであり、この場合も、血行の促進や気分転換により、高いリフレッシュ効果を発揮して知的生産性向上に貢献できる。
【0024】
請求項1の発明は、フレーム構造体にいわばオプション的な機能を保持させたものであり、各部材の性質に応じて効果が発揮される。
【0025】
また筆記用ボードやノートパソコンを載置可能な天板を設けると、フレーム式ブース状家具を作業スペースとして使用できる。この例から理解できるように、フレーム式ブース状家具は、ワーカーを活性化させるための専用スペースとして使用することもできるし、リラックス機能付き作業スペースとして使用することもできる。
【0026】
人の腰掛け部材(すなわち、椅子又はその類似物)を設けると、人がフレーム式ブース状家具の内部で作業をしたり談話したりすることができる。この場合も、腰を落ち着けるものではなくて身体に少し負荷が掛かる状態になるため、脳への刺激という点では優れている。
【0027】
実施形態のように、テーブルや腰掛け部材を設けると、フレーム式ブース状家具を作業や商談、談話のスペースとしても使用できるため、使用価値が一層向上すると云える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は全体を上方から見た斜視図、(B)は下方から見た部分斜視図である。
図2】第1実施形態の分離斜視図である。
図3】第1実施形態の部分斜視図である。
図4】第1実施形態を示す図で、(A)は正面図、(B)は使用状態の一例を示す部分的な正面図である。
図5】第2実施形態の斜視図である。
図6】(A)は第2実施形態の正面図、(B)はハンモックの別例断面図である。
図7】第3実施形態を示す図で、(A)は全体の斜視図、(B)は使用状態の一例を示す図である。
図8参考例の斜視図である。
図9】(A)は第4実施形態の部分斜視図、(B)は第5実施形態の部分斜視図、(C)は第6実施形態の部分斜視図である。
図10】(A)は第7実施形態の部分斜視図、(B)は第8実施形態の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(1).第1実施形態の基本構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1図4を参照して第1実施形態を説明する。本実施形態のフレーム式ブース状家具は、主要要素として、平面視四角形(正方形)の底板1と、大まかには直方体状のフレーム構造体2とを備えている。
【0030】
本実施形態では、フレーム構造体2は、底板1の各辺の外側に寝かせて配置された4本の底枠材から成る底部枠体3と、底1の各コーナーの外側から立ち上がった4本の支柱(縦枠体)4と、底部枠体3と平行な姿勢で支柱4の上端間に配置された4本の天枠体5と、4本の天枠体5で囲われた内部に配置された平面視円形のハンギングリング6とを有している。底板1と底部枠体3とによって底部が構成されている。他方、ハンギングリング6はリフレッシュ用補助具の一例であり、人はハンギングリング6にぶら下がることができる。ハンギングリング6は平面視四角形であってもよい。
【0031】
本実施形態では、各枠体3,5と支柱4とは同径の金属パイプが使用されており、隣り合った3本の枠体3,5及び支柱4は、互いに直交した3本の筒部を有する三方ジョイント7によって接続されている。すなわち、隣り合った枠体3,5及び支柱4の端部を三方ジョイント7の筒部に挿入して、ボルト(図示せず)で筒部に固定している。互いに直交した3本のボス体を有する三方ジョイントを使用して、各ボス体を枠体3,5及び支柱4の端部に挿入してボルトで固定してもよい。
【0032】
天枠体5は、ステー8を介して各天枠体5に固定されている。ステー8の両端には継手部8a,8bを設けており、継手部8a,8bは、天枠体5及びハンギングリング6にボルトで固定されている。この場合、天枠体5に被嵌した継手部8aは単なる筒状でもよいが、ハンギングリング6に固定される継手部8bは割方式になっている。但し、ハンギングリング6が4分割されている場合は、継手部8bを筒状に構成しても差し支えない。強度の面からは、ハンギングリング6はループ構造であるのが好ましい。ハンギングリング6は、人が握りやすいように支柱4及び天枠体5より小外径になっている。
【0033】
天枠体5は、一般成人の身長よりも高い位置に配置しており、例えば200〜250cmの高さとすることができる。ハンギングリング6は天枠体5よりも少し低い位置に配置している。ハンギングリング6は、平均的な一般成人(例えば身長160cm前後)が手を伸ばして届く程度の高さに設定しており、例えば、190〜210cm程度に設定できる。従って、人は、ハンギングリング6に手を掛けて、膝を折った状態でぶら下がることができる。ハンギングリング6に手が届かない場合は、椅子や踏み台を使用してぶら下がったらよい。
【0034】
上記したように、底板1は、4本の底部枠体3で囲われた内部に配置されており、底部枠体3の上面と略同じ高さになるように設定している。なお、本実施形態では、三方ジョイント7の筒部に底部枠体3の端部が嵌まっているため、建物の床面には下端に位置した三方ジョイント7が当接している。三方ジョイント7と底板1との相互間、又は、底部枠体3と底板1との相互間を金具類で固定することも可能である。
【0035】
図2(B)に示すように、底板1は、格子状の芯材1aに上板を張った構造になっているが、単なる1枚板の構造であってもよい。芯材1aを使用する場合、樹脂製とすることも可能である。また、本実施形態のように底部枠体3の群で囲われた内部に底板1を嵌め込む方式を採用する場合は、底板1として、いわゆるアクセスフロアーの構成部材を使用することも可能である。
【0036】
接地する底部枠体3を使用せずに、底板1から支柱4を立設してもよい。この場合は、底板1が請求項に記載した底部になる。また、この場合は、支柱4の下端にフランジ板を固定して、このフランジ板を底板1にビス止めするなどしたらよい。支柱4及び枠体3,5は丸パイプである必要はなく、例えば、角形鋼管やC形チャンネル材を使用することも可能である。楕円管(オーバル管)も採用できる。ハンギングリング6は、各天枠体5と同じ高さであってもよいし、ハンギングリング6が天枠体5より高い高さであってもよい。
【0037】
(2).付属品
底板1の中央部には、平面視円形のテーブル9を配置している。テーブル9は中央部に配置された脚10を有しており、脚10は底板1に固定されている。なお、テーブル9は、オプション品であってもよいし標準品として装備してもよい。
【0038】
フレーム構造体2の周囲には4つの面が構成されているが、隣り合った2つの面はオープンにして出入り口と成し、他の隣り合った2つの面をそれぞれ壁パネル11で塞いでいる。壁パネル11は1つの面に2枚ずつ配置されているが、枚数は横幅に応じて設定したらよい。壁パネル11は、その周囲を構成する枠体に板材を装着した構成とすることができる。全体を1枚板の構造にしてもよい。いずれにしても、上端は天枠体5に固定されて、下端は底部枠体3に固定されている。
【0039】
壁パネル11の構造は、必要とする機能に応じて様々に選択できる。例えば、完全な目隠し機能を得たい場合は、間仕切パネルのように遮光構造にすることができる。外からも見えるようにしたい場合は、ガラス板やアクリル板のような透明材で構成したらよい。透光性のみ確保したい場合は、スリガラスのような透光性非透明板を使用したらよい。高さ方向の一部だけに透明板を配置するというように、高さによって機能やデザインを変えることも可能である。
【0040】
壁パネル11の内側にはインナーパネル12を配置して、壁パネル11の外側にはアウターパネル13を配置している。インナーパネル12及びアウターパネル13は横長の姿勢になっているが、形状や高さ位置は必要に応じて任意に設定できる。これらインナーパネル12及びアウターパネル13は、単なる美粧目的に配置することも可能であるし、例えば、ピンナップ性を持たせて表示板として使用することも可能である。そして、本願発明では、いずれか一方又は両方を、ホワイトボードや黒板のような書き込み板とするか、又は電子モニターを配置する。
【0041】
各パネル11,12,13(書き込み板又は電子モニター)は、1つ又は2つを設けてもよい。1つの面のみに設けたり、出入り口を除いた全周面に設けたりすることも可能であり、各面で配置態様を異ならせてもよい。目隠し手段や美粧手段としては、可撓性を有するスクリーンやカーテンを設けることも可能である。
【0042】
本実施形態では、身体を支持する休息用の補助具として、隣り合った2つの外周面の個所に、人が腰掛け得る第1ベルト14と、第1ベルト14に腰掛けた人がもたれ得る第2ベルト15とを水平姿勢に配置している。第1ベルト14の端部は、支柱4に固定した側面視山形のブラケット16の上傾斜部に固定している。従って、第1ベルト14の広幅面は鉛直線に対して傾斜しており、人は、中腰の状態で第1ベルト14に腰掛けることになる。
【0043】
第2ベルト15は、接続具を介して隣り合った支柱4の間に配置している。この場合、第2ベルト15と壁パネル11との間には間隔が空いている。従って、壁パネル11は支柱4の後端部に取付けられている。第2ベルト15を、第1ベルト14と同様に、フレーム式ブース状家具の内部に突出したブラケットに取り付けることも可能である。
【0044】
両ベルト14,15は、例えば動力伝達用平ベルトのように、伸び変形しない素材が使用されている。このため、人の身体を的確に支持できる。もとより、強弾性糸より成る編地又は織地を使用して、使用者の体圧で僅かながら伸び変形させることも可能である。
【0045】
(3).第1実施形態のまとめ
本実施形態のフレーム式ブース状家具は、例えばオフィスのフロアーにリフレッシュエリアとして設置される。そして、オフィスのワーカーが仕事に疲れたり行き詰まったりしたら、フレーム式ブース状家具にやって来て、図4(A)に示すようにハンギングリング6にぶら下がってストレッチを行ったり、図6(B)に示すように、第1及び第2のベルト14,15にもたれて休息したりすることができる。
【0046】
ハンギングリング6にぶら下がることによって血行が促進されると共に、気分転換によって疲れを癒したり、脳を活性化させてアイデアを引出したりすることができる。つまり、オフィスにエクササイズ機能を設けたのと同じ状態にすることにより、ワーカーの心身を活性化させて知的生産性を高めることができるのである。
【0047】
テーブル9に飲み物を置いて、フレーム式ブース状家具を談話室として使用することも可能である。この場合、人は、ベルト14,15にもたれて休息するという非日常的な休息態様を採るため、休息はしつつも脳の刺激機能は高くて、ワーカーの創造性を高めることができると云える。
【0048】
テーブル9にノートパソコンを置くなどして、フレーム式ブース状家具で作業を行うことも可能である。フレーム式ブース状家具を作業場として使用する態様には、一時的に自席を離れてフレーム式ブース状家具で作業する使用態様と、フレーム式ブース状家具を特定人の作業場として、疲れたらハンギングリング6にぶら下がってリフレッシュするという使用態様とがある。
【0049】
なお、第2実施形態に示すハンモックをハンギングリング6に吊支することも可能である。ハンギングリング6は円形であるが、天枠体5の群と相似形の四角形にすることも可能である。本実施形態では、ハンギングリング6はフレーム構造体2の補強機能も発揮している。
【0050】
また、本実施形態では、三方ジョイント7を使用してフレーム構造体2を組み立ててから、底部枠体3で囲われた内部に底板1を配置したらよいため、組み立ては簡単である。ぶら下がりのための補助具としては、図示のハンギングリング6に代えて、又はこれに加えて、水平状のハンギングバーを適宜個数配置してもよい。
【0051】
(4).第2,3実施形態
図5,6に示す第2実施形態では、天枠体5を平面視円形のリング状に構成して、この天枠体5に補助具の一例としての腰掛け用ハンモック20を吊支している。天枠体5は、T形継手8cで支柱4の上端に固定されている。ハンモック20は2つだけ表示しているが、1つのみ又は3つ以上であってもよい。本実施形態では、各支柱4は底板1のコーナー部に立設している。従って、本実施形態では、底部は底板1として表示していて参考例になっている。天枠体5は底板1の内接円よりも小径であるため、各支柱4の上端部は天枠体5に向けて庇状に曲がっている。
【0052】
ハンモック20は強靱な織地又は編地若しくはネット材からなっており、人は、リラックスした状態でハンモック20に腰掛けることができる。ハンモック20は、上に行くに従って幅が狭くなる形状になっている。天枠体5は、平面視でテーブル9を囲うように配置されている。従って、天枠体5に飛び飛びでハンモック20を吊支することにより、複数人が休息しながら談話することができる。
【0053】
フレーム構造体2における隣り合った2つの面の個所には、壁パネル11とインナーパネル12とを配置している。また、パネル11,12を配置していない1つの面の個所には、ハンモック20に腰掛けた人がもたれ得る上下2段のロープ21を配置している。パネル11,12を配置せずに、3つの面にロープ21を配置してもよい。ロープ21の両端は支柱4に接続されている。なお、支柱4は底板1(底部)のコーナーの個所のみに配置しているが、家具の大きさや必要な強度等に応じて、各辺の個所に中間的な支柱4を適宜本数配置してもよい。この点は、他の実施形態も同様である。
【0054】
本実施形態では、パネル11,12を取り付けていない1本の支柱4に、上向き開口のトレー22と鏡23とを取り付けている。トレー22には、植木鉢を収納したり、造花や切り花を飾ったりすることができる。図示していないが、支柱4や天枠体5を利用して灯具を取り付けることも可能である(この点は、他の実施形態も同様である。)。
【0055】
腰掛け式のハンモック20は、図6(B)に示すように、背当て部20aを一体に設け構造も採用可能である。この構成を作用すると、人の身体の安定性が高くなる利点がある。ハンモック20の外面又は内面に、スマートホォン等の小物を入れるポケット部を設けることも可能である。また、ハンモック20に代えて又はこれに加えて、ブランコ状の遊動板を天枠体5から吊支してもよい。天枠体5又は支柱4の上部に、人がぶら下がるための吊り輪を設けることも可能である。
【0056】
図7に示す第3実施形態は第2実施形態の変形例であり、この実施形態は、フレーム式ブース状家具が平面視長方形に形成されており、これに伴って、天枠体5もテーブル9も平面視小判形の形態を成している。または、テーブル9は2本の脚10で支持されている。底部は、参考例として底板1のみを表示している。
【0057】
図7ではハンモック20は1つしか表示していないが、多数のハンモック20を吊支することができる。ハンモック20の上端に鉤体を設けるなどして、ハンモック20を着脱式とすることも可能である。この場合は、使用者の数に応じてハンモック20のを任意に増減できる。また、個人の好みに応じて専用のハンモック20を使用することも可能になる。図7(B)では、ハンモック20とロープ21とを使用している状態を表示している。
【0058】
(5).参考例
図8に示す参考例では、リフレッシュ用の補助具として、多数の吊り輪24を使用した状態を示している。吊り輪24は、平行に配置された多数の横梁25に吊支されており、横梁25は、平行に延びる2本の天枠体5及び中間枠体26に装架されている。吊り輪24の上端はリング構造になっており、横梁25の長手方向に沿って位置を自在に変更できる。底板1は四角形になっているが、円形や小判形であってもよい。
【0059】
本参考例の吊り輪24は電車の吊り輪と同じであり、帯状のベルトにリングを取り付けた構造である。従って、リングは一定の姿勢に保持されている。人が両手を吊り輪にぶら下がる場合、左右の手の平を対向させた姿勢にする場合と、左右の手の平を同じ方向に向けた場合とがあり、どちらの姿勢を採るかは人の好みであるが、本参考例では、1本の横梁25に吊支されている2本の吊り輪にぶら下がると、左右の手の平を同じ方向に向けることになり、平行な2本の横梁に吊支された吊り輪にぶら下がると、左右の手の平を対向させた姿勢になる。このため、人の好みに応じて、腕に負担がかからないぶら下がり姿勢を選択できる。
【0060】
(6).第4〜6実施形態
図9では、リフレッシュ用補助具の別例を示している。このうち図9(A)に示す第4実施形態では、フレーム構造体2の外周面の個所に、補助具の例として、丸パイプ等よりなる横桟27を多段に装架して、人が横桟27を使用して、よじ上り姿勢でぶら下がりできるようにしている。手と足とを横桟27に掛けた状態で身体を屈伸させる、といった全身運動も可能である。このため、血行促進効果は高くて、ワーカーの健康増進に大きく貢献できる。
【0061】
図9(B)に示す第5実施形態では、横梁25に、補助具の例として、引っ張りコイルばね28を介して吊り棒29を取付けている。人は、筋力トレーニングのような状態で吊り棒29を引っ張ることができる。ばね28の強さを適度に設定しておくことにより、懸垂や腕立て伏せほどの負荷を身体にかけることなく、疲れを取ることができる。
【0062】
ばね28に代えて、ゴム(例えば平ゴム)を使用することができる。また、支柱にゴムや引っ張りばねを介してグリップを取付けて、エキスパンダーに類似した補助具と成すことも可能である。
【0063】
図9(C)に示す第6実施形態では、支柱4から内向き突設したアーム16′に水平姿勢の支軸30を取付けて、この支軸30に、補助具の一例として、人がもたれ掛かり得るもたれ体31を回動自在に連結している。もたれ体31は、ねじりコイルばねやトーションバー等のばね手段に抗して後傾可能であり、人は、身体を伸ばした状態でもたれ体31にもたれ掛かって、ばね力に抗して身体を後傾させることができる。これにより、高いストレッチ効果を得ることができる。身体を伸ばすだけなので、女性も使用しやすい。
【0064】
(7).第7,8実施形態
図10(A)に示す第7実施形態は、隣り合った支柱4に、人の腰が当たる下部もたれ体31aと、人の背中が当たる上部もたれ体31bとが、互いに独立して水平状の軸心回りに回動自在となるように取付けている。両もたれ体31a,31bは、それぞれ左右のサイドフレーム32をステー33で連結して、左右サイドフレーム32にメッシュ等の可撓性シート材34を張った構造であり、上下もたれ体31a、31bは、ばね体(図示せず)に抗して前後後傾するように支柱4に取付けられている。
【0065】
従って、人は、両もたれ体31a,31bに身体を預けて、ばね体の弾性に抗して身体を伸ばしたり、ばね体の弾性によって身体を曲げた状態に戻したりすることができる。すなわち、両もたれ体31a,31bを利用して屈伸運動を行うことができる。従って、もたれ体31a,31bはリフレッシュ用補助具の一例である。
【0066】
図10(B)に示す第8実施形態ももたれ体31の別例であり、この実施形態のもたれ体31は、1つで人の身体全体を支持するようになっている。すなわち、側面視で極く緩い略S字状に曲がったサイドフレーム33と、左右のサイドフレーム33を繋ぐ上下のステー33と、左右サイドフレーム33に張った可撓性シート材34とから成っている。そ
して、ばね体に抗して前後回動するように、支柱4に突設したアーム16′に取付けられている。この実施形態では、使用者は、身体を、伸ばしたり曲げたりしつつばね体に抗して傾動させることができる。
【0074】
(6).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、リフレッシュ用の補助具として、底部に配置した回転板を採用し、これに人が乗って身体をねじる(ツイストさせる)ことも可能である(この場合は、身体を安定させるための吊り具を併用するのが好ましい。)。補助具として、天枠体からループ状のロープを垂らして、このロープを掴んだ状態で身体を大きく傾かせる、といったリフレッシュ動作を採ることも可能である。
【0075】
更に、リフレッシュ用の補助具としては、重りを持ち上げるダンベルのようなものや、ばねに抗して傾動する左右一対のハンドルから成るボート漕ぎ具のようなもの、或いは、拳で打つことができるサンドバックなども採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願発明は、実際に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0077】
底部を構成する底板
2 フレーム構造体
3 底部を構成する底部枠体
4 支柱
5,5′,36 天枠体
6 リフレッシュ用補助具の一例としてのハンギングリング
9 テーブル
11,12,13 パネル
14,15 休息用補助具の一例としてのベルト
20 休息用補助具の一例としてのハンモック
21 休息用補助具の一例としてのロープ
24 リフレッシュ用補助具の一例としての吊り輪
25 横梁
29 リフレッシュ用補助具の一例としての吊り棒
31,31a,31b リフレッシュ用又は休息用補助具の一例としてのもたれ体
36′ ハンガービーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10