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特許6842603配送システム、配送方法、及び無人配送機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6842603
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】配送システム、配送方法、及び無人配送機
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   B65G61/00 550
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-549070(P2020-549070)
(86)(22)【出願日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2019046654
【審査請求日】2020年9月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−141182(JP,A)
【文献】 特開2018−058656(JP,A)
【文献】 特開2018−043879(JP,A)
【文献】 特開平09−077212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G08G 1/00−99/00
B60P 1/00−1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を受け取るための格納部の扉が設けられ互いに異なる方向を向く少なくとも2つの面を含む無人配送機と、
前記無人配送機から配送先において荷物を受け取るユーザを推定するユーザ推定手段と、
前記少なくとも2つの面のうち、前記推定されたユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を推定する面推定手段と、
前記推定された面に基づいて、前記ユーザが前記無人配送機に到達する前に、前記無人配送機の向きを調整する方向調整手段と、
を含む配送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配送システムにおいて、
前記ユーザ推定手段は、次に前記無人配送機で荷物を受け取るユーザを推定する、
配送システム。
【請求項3】
請求項2に記載の配送システムにおいて、
前記ユーザ推定手段は、カメラにより撮影された画像から前記ユーザの顔が認識されるか否か、または、前記ユーザが所有する携帯デバイスのセンサからの出力に基づいて、次に前記無人配送機で荷物を受け取るユーザを推定する、
配送システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の配送システムにおいて、
前記ユーザ推定手段は、前記無人配送機が前記配送先に到着した後に、次に前記無人配送機で荷物を受け取るユーザを推定する、
配送システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の配送システムにおいて、
前記方向調整手段は、前記無人配送機の周囲の構造物を特定し、前記特定された構造物に前記推定された面と異なる面が隣接するように前記無人配送機の方向を調整する、
配送システム。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の配送システムにおいて、
前記方向調整手段は、前記推定されたユーザが到来する方向を取得し、前記到来する方向と前記推定された面とに基づいて前記無人配送機の方向を調整する、
配送システム。
【請求項7】
請求項1に記載の配送システムにおいて、
前記方向調整手段は、前記無人配送機が前記配送先において待機位置に停止する前に、前記無人配送機の周囲の構造物を特定し、前記構造物に前記推定された面と異なる面が隣接するように前記無人配送機の方向を調整する、
配送システム。
【請求項8】
無人配送機から配送先において荷物を受け取るユーザを推定するステップと、
前記無人配送機の外周を構成する面であって、荷物を受け取るための格納部の扉が設けられ互いに異なる方向を向く少なくとも2つの面のうち、前記推定されたユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を推定するステップと、
前記推定された面に基づいて、前記ユーザが前記無人配送機に到達する前に、前記無人配送機の向きを調整するステップと、
を含む配送方法。
【請求項9】
荷物を受け取るための格納部の扉が設けられ互いに異なる方向を向く少なくとも2つの面を有する無人配送機であって
前記無人配送機から配送先において荷物を受け取るユーザを推定するユーザ推定手段と、
前記少なくとも2つの面のうち、前記推定されたユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を推定する面推定手段と、
前記推定された面に基づいて、前記ユーザが前記無人配送機に到達する前に、前記無人配送機の向きを調整する方向調整手段と、
を含む無人配送
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送システム、配送方法、及び配送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無人配送機(以下ではUGV(Unmanned Ground Vehicle)とも記載する)により、配送拠点から住居などの配送先へ荷物の配送を行うことが可能になっている。UGVが配送先に到着すると、荷物の受取人がUGVに格納される荷物を受け取る。
【0003】
特開2018−58656には、無人配送機の側面の扉に格納されている荷物を受け取る際に、ユーザが認証キーを入力し、記録されている配送命令と入力されたユーザ認証キーとが適合すると判断された場合に、無人配送機はユーザあての荷物が収容されている扉を開くことが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人配送機を構成する複数の面に、荷物を受け取るための扉を設けることが考えられる。このような無人配送機が配送先で待機し、その後ユーザが荷物を受け取る場合に、無人配送機の待機位置によっては荷物の取出しの際に何らかの支障が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みたものであって、その目的は、ユーザが無人配送機からよりスムーズに荷物を受け取ることを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る配送システムは、荷物を受け取るための格納部の扉が設けられ互いに異なる方向を向く少なくとも2つの面を含む無人配送機と、前記少なくとも2つの面のうち、次にユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を推定する面推定手段と、前記推定された面に基づいて、前記ユーザが前記無人配送機に到達する前に、前記無人配送機の向きを調整する方向調整手段と、を含む。
【0007】
本発明に係る配送方法は、無人配送機の外周を構成する面であって、荷物を受け取るための格納部の扉が設けられ互いに異なる方向を向く少なくとも2つの面のうち、次にユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を推定するステップと、前記推定された面に基づいて、前記ユーザが前記無人配送機に到達する前に、前記無人配送機の向きを調整するステップと、を含む。
【0008】
本発明に係る配送装置は、荷物を受け取るための格納部の扉が設けられ互いに異なる方向を向く少なくとも2つの面と、前記少なくとも2つの面のうち、次にユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を推定する面推定手段と、前記推定された面に基づいて、前記ユーザが前記無人配送機に到達する前に、前記無人配送機の向きを調整する方向調整手段と、を含む。
【0009】
また本発明の一形態では、配送システムは、次に前記無人配送機で荷物を受け取るユーザを推定するユーザ推定手段をさらに含み、前記面推定手段は、前記推定されたユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を前記推定された面として取得してもよい。
【0010】
また本発明の一形態では、前記ユーザ推定手段は、カメラにより撮影された画像から前記ユーザの顔が認識されるか否か、または、前記ユーザが所有する携帯デバイスのセンサからの出力に基づいて、次に前記無人配送機で荷物を受け取るユーザを推定してもよい。
【0011】
また本発明の一形態では、前記方向調整手段は、前記無人配送機の周囲の構造物を特定し、前記特定された構造物に前記推定された面と異なる面が隣接するように前記無人配送機の方向を調整してもよい。
【0012】
また本発明の一形態では、前記方向調整手段は、前記推定されたユーザが到来する方向を取得し、前記到来する方向と前記推定された面とに基づいて前記無人配送機の方向を調整してもよい。
【0013】
また本発明の一形態では、前記ユーザ推定手段は、前記無人配送機が配送先に到着した後に、次に前記無人配送機で荷物を受け取るユーザを推定してもよい。
【0014】
また本発明の一形態では、前記方向調整手段は、前記無人配送機が配送先において待機位置に停止する前に、前記無人配送機の周囲の構造物を特定し、前記構造物に前記推定された面と異なる面が隣接するように前記無人配送機の方向を調整してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザが無人配送機からよりスムーズに荷物を受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態にかかる荷物配送システムの構成の一例を示す図である。
図2】無人配送機の一例を示す斜視図である。
図3】荷物配送システムが実現する機能を示すブロック図である。
図4】無人配送機の処理の一例を示すフロー図である。
図5】無人配送機の処理の一例を示すフロー図である。
図6】配送先における無人配送機の配置の一例を示す図である。
図7】配送先における無人配送機の転回を説明する図である。
図8】配送先における無人配送機の転回を説明する図である。
図9】無人配送機の処理の他の一例を示すフロー図である。
図10】配送先における無人配送機の転回を説明する図である。
図11】配送先における無人配送機の転回を説明する図である。
図12】配送先における無人配送機の転回を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。同じ符号を付された構成に対しては、重複する説明を省略する。本実施形態では、配送先として複数のユーザが居住する集合住宅などに荷物を配送する荷物配送システムについて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にかかる荷物配送システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、荷物配送システムは、1または複数の無人配送機1と、中央サーバ2と、ユーザ端末3と、配送先4に設けられた1または複数のカメラ5とを含む。
【0019】
無人配送機1は、運転手が乗車せず自動制御により地上を走行し、荷物を配送する機器である、無人配送機1はUnmanned Ground Vehicle(UGV)と呼ばれる。図1には、1つの無人配送機1が記載されているが、複数の無人配送機1が存在してよい。無人配送機1は、無線通信を介して中央サーバ2と通信接続されている。無線通信は、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に基づくものであってよい。
【0020】
中央サーバ2は、無人配送機1、ユーザ端末3と通信し、それらを管理する。また中央サーバ2は必要に応じて、ユーザ端末3またはカメラ5からユーザの行動に関する情報を取得する。なお、図示しない配送拠点が存在し、配送拠点は無人配送機1へユーザあての荷物を格納する。
【0021】
図2は、無人配送機1の一例を示す斜視図である。図1および図2に示されるように、無人配送機1は、プロセッサ11、記憶部12、通信部13、入出力部14、センサ部15、複数の格納部16、図示しない駆動部を含む。
【0022】
プロセッサ11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。またプロセッサ11は通信部13、入出力部14、センサ部15、格納部16を制御する。
【0023】
記憶部12は、RAMなどの揮発性メモリと、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリとを含む。記憶部12はさらにハードディスクなどの記憶装置を含んでもよい。記憶部12は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12は、プロセッサ11、通信部13、入出力部14から入力される情報や演算結果を格納する。上記プログラムは、インターネット等を介して提供されてもよいし、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0024】
通信部13は、無線通信用の通信インタフェースを実現する集積回路等を含む。通信部13は、プロセッサ11の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ11や記憶部12に入力し、他の装置に情報を送信する。
【0025】
入出力部14は、表示出力デバイスや、入力デバイス、およびそれらとのインタフェースにより構成される。入出力部14は、具体的にはディスプレイ付きタッチパネル(以下では「入力パネル」と記載する)であり、認証のための受取コードを入力するために用いられる。入出力部14は、ディスプレイおよび物理ボタンであってもよいし、他の種類の表示出力デバイスおよび入力デバイスであってもよい。入出力部14は、プロセッサ11の制御に基づいて、表示出力デバイスに画像を表示させ、入力デバイスからユーザが入力するデータを取得する。センサ部15は、周辺の障害物の大きさおよび位置を認識するライダーとカメラとを含む。
【0026】
複数の格納部16は、荷物を格納する領域である。無人配送機1は、その外周に、格納部16の扉が配置され互いに対向する側面19a,19bと、それらの側面19a,19bと異なる方向を向き入出力部14が配置される面である端部18bと、端部18bに対向する面である端部18aと、を有する。
【0027】
無人配送機1の側面19a,19bのそれぞれには複数の格納部16が設けられる。格納部16のそれぞれには扉が設けられており、その扉には鍵が設けられている。格納部16は、電気的に扉の鍵の施錠、解錠を制御する回路も含み、内部に荷物の有無を検知するセンサが配置される。無人配送機1の上面にはライダーが設けられ、端部18aには図示しないカメラが設けられている。
【0028】
中央サーバ2は、プロセッサ21、記憶部22、通信部23、入出力部24を含む。中央サーバ2は1台の物理サーバであってもよいし、いわゆるクラウドのように、複数の物理サーバにより構成されてもよい。
【0029】
プロセッサ21は、記憶部22に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。またプロセッサ21は通信部23、入出力部24を制御する。
【0030】
記憶部22は、RAMなどの揮発性メモリと、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリと、ハードディスクなどの記憶装置とを含む。記憶部22は、上記プログラムを格納する。また、記憶部22は、プロセッサ21、通信部23、入出力部24から入力される情報や演算結果を格納する。上記プログラムは、インターネット等を介して提供されてもよいし、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0031】
通信部23は、有線通信用の通信インタフェースを実現する集積回路等を含む。通信部23は、プロセッサ21の制御に基づいて、他の装置から受信した情報をプロセッサ21や記憶部22に入力し、他の装置に情報を送信する。なお、通信部23は、通信ネットワークおよび通信ネットワークに含まれる無線通信機器を介して無人配送機1と通信してよい。
【0032】
入出力部24は、表示をコントロールするビデオコントローラや、入力デバイスからのデータを取得するコントローラなどにより構成される。入力デバイスとしては、タッチパネル、キーボード、マウスなどがある。入出力部24は、プロセッサ21の制御に基づいて、表示出力デバイスに表示データを出力し、入力デバイスをユーザが操作することにより入力されるデータを取得する。
【0033】
ユーザ端末3は、例えばスマートフォンなどユーザが所有するデバイスである。ユーザ端末3はGPSセンサや、加速度センサなどを含み、ユーザの動作を検知することができる。
【0034】
配送先4に配置される1または複数のカメラ5は、例えば集合住宅の通路に配置される監視カメラであり、通信機能を有する。カメラ5は画像を撮影し、撮影された画像を、通信回線を介して中央サーバ2へ送信する。カメラ5はユーザを認識する顔認識機能を有してよく、この場合は顔認識されたユーザを中央サーバ2または無人配送機1へ送信してよい。また、配送先4にカメラ5を管理する管理サーバが配置され、管理サーバがカメラ5により撮影された画像により顔認識を行ってもよい。
【0035】
ユーザから商品が注文され、その商品を含む荷物がユーザへ配送される際の概要について説明する。はじめに商品を所有する倉庫から配送拠点へその商品を含む荷物が輸送され、配送拠点において、中央サーバ2の指示に基づいて、例えば配送拠点の従業員が無人配送機1にユーザ向けの荷物を格納する。無人配送機1は1つの集合住宅(配送先4に相当)に居住する複数のユーザ向けの複数の荷物を格納してよい。荷物が格納された無人配送機1は中央サーバ2の指示に基づいて配送先4へ移動する。無人配送機1が配送先4の待機エリア(例えば集合住宅のエントランス)に到着すると、中央サーバ2はユーザへ、荷物の受取の際のユーザの認証に用いる認証情報とともに到着を知らせる通知を送信する。ユーザが無人配送機1に向けて移動し到着すると、ユーザは無人配送機1の入出力部14に対して認証情報を入力する。認証情報によりユーザが認証されると無人配送機1はそのユーザ向けの荷物を格納する格納部16の扉を解錠し、ユーザはその格納部16から荷物を受け取る。ここで本実施形態では、ユーザが無人配送機1に到着する前に、ユーザが受取しやすいように無人配送機1の向きを調整する。以下ではこの方法についてより詳細に説明する。
【0036】
図3は、荷物配送システムが実現する機能を示すブロック図である。荷物配送システムは、機能的に、ユーザ推定部51と、面推定部52と、方向調整部53と、移動制御部54と、格納制御部55と、を含む。これらの機能は、無人配送機1に含まれるプロセッサ11が記憶部12に格納されるプログラムを実行し、通信部13、入出力部14、センサ部15を制御することにより実現される。ユーザ推定部51、面推定部52の機能、および、方向調整部53、移動制御部54、格納制御部55のそれぞれのうち一部の機能は、中央サーバ2に含まれるプロセッサ21が記憶部22に格納されるプログラムを実行し、通信部23を制御することにより実現されてもよいし、複数のサーバに含まれるプロセッサ21が記憶部22に格納されるプログラムを実行し、通信部23を制御することにより実現されてもよい。
【0037】
ユーザ推定部51は、無人配送機1で荷物を受け取るユーザを推定する。より具体的には、カメラ5により撮影された画像からユーザの顔が認識されるか否か、または、ユーザが所有するユーザ端末3のセンサからの出力に基づいて、次に無人配送機1で荷物を受け取るユーザを推定する。ユーザ推定部51は、無人配送機1が配送先4の待機エリアに到着し、待機を始めた後にユーザの推定を行ってよい。
【0038】
面推定部52は、無人配送機1の外周を構成する複数の面のうち、次にユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部16の扉が設けられた面を推定する。より具体的には、面推定部52は、ユーザ推定部51により推定されたユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部16の扉が設けられた面を推定された面として取得する。
【0039】
方向調整部53は、推定された面に基づいて、荷物を受け取る予定のユーザが無人配送機1に到達する前に、無人配送機1の向きを調整する。より具体的には方向調整部53は、例えば、無人配送機1の周囲の構造物(例えば壁)を特定し、特定された構造物に推定された面と異なる面が隣接するように無人配送機1の方向を調整する。方向調整部53は、推定されたユーザが到来する方向を取得し、到来する方向と推定された面とに基づいて無人配送機1の方向を調整してもよい。
【0040】
移動制御部54は、無人配送機1のライダー、GPSにより取得されたデータに基づいて無人配送機1の配送拠点から配送先4への移動、および配送先4から配送拠点への移動を制御する。移動制御部54は、無人配送機1に取り付けられたカメラにより取得されたデータに基づいて移動を制御してもよい。移動制御部54の機能の一部は、サーバコンピュータにより実現されてもよい。
【0041】
格納制御部55は、無人配送機1の格納部16に格納される荷物のユーザへの受け渡しを制御する。より具体的には、格納制御部55は、ユーザにより入力される認証情報を入出力部14から受け付ける。そして、無人配送機1が認証情報に基づいてユーザを認証すると、認証されたユーザ向けの荷物を格納する格納部16の鍵(厳密には格納部16の扉の鍵)を解錠する。格納制御部55は、また格納部16に設けられたセンサの出力に基づいて格納部16内の荷物がなくなったか否か(ユーザが荷物を受け取ったか否か)を検出する。格納制御部55はユーザが荷物を受け取ったことを検出すると、ユーザに荷物を配送したことを示す配送完了情報を中央サーバ2へ送信する。なお中央サーバ2は配送完了情報に基づいてユーザへ配送完了通知を送信する。
【0042】
図4および図5は、無人配送機1の処理の一例を示すフロー図である。図4および図5に示される処理は、無人配送機1の格納部16に複数の荷物が格納され、記憶部12に、格納部16のそれぞれに格納される荷物の宛先となるユーザが記憶される状態から実行される。
【0043】
はじめに、移動制御部54は、格納部16に格納される荷物の配送先4を取得する(ステップS101)。ここで、複数の荷物の配送先4が同一であってもよいし、一部の荷物の配送先4が異なっていてもよい。次に、移動制御部54は、無人配送機1が、取得された配送先4の待機エリアへ向けて移動するよう制御する(ステップS102)。
【0044】
そして、無人配送機1が配送先4の待機エリアに到着すると、方向調整部53は、センサ部15に含まれるライダーおよび/またはカメラを用いて、無人配送機1の周囲(例えば半径1.5m)に構造物があるか否か判定する(ステップS103)。周囲に構造物が存在する場合には(ステップS103のY)、方向調整部53は、その構造部に対して、無人配送機1の側面19a,19bのうち一方が隣接するように移動する(ステップS104)。より具体的には、ステップS104において方向調整部53は、入出力部14が構造物に隣接せず、かつ、側面19a,19bのうち一方が隣接するように移動する。一方、無人配送機1の周囲に構造物がない場合には(ステップS103のN)、ステップS104をスキップする。そして無人配送機1が待機を始め、その旨を中央サーバ2へ送信する。中央サー2はユーザへ無人配送機1の到着を示す通知を送信する。
【0045】
図6は、配送先4における無人配送機1の配置の一例を示す図である。図6の例では、側面19bが構造物である壁に隣接するように無人配送機1が移動している。ステップS103,S104の動作により、無人配送機1が待機する際に通行人がスムーズに通行することが可能になる。
【0046】
待機が始まると、ユーザ推定部51は、中央サーバ2からユーザの接近を示す情報を取得する(ステップS105)。この処理は、無人配送機1だけでなく中央サーバ2の処理によっても実現される。より具体的には、ユーザ端末3は加速度センサおよびGPSセンサの出力を中央サーバ2へ送信し、中央サーバ2においてプログラムを実行するプロセッサ21が、加速度センサおよびGPSセンサの出力に基づいてユーザの移動方向および位置を推定する。プロセッサ21は、無人配送機1に、その無人配送機1に格納される荷物の宛先となるユーザについて、移動方向および位置を送信し、ユーザ推定部51はその移動方向および位置を取得する。なお、プロセッサ21はユーザが無人配送機1に接近するか否かを推定し、接近すると推定された場合にそのユーザの接近を示す情報を無人配送機1へ送信してもよい。またプロセッサ21は、顔認識技術により、配送先4のカメラ5により撮影された画像から、荷物の宛先となるユーザの顔が認識されるか否かを判定し、プロセッサ21は、通信部23を制御してユーザの顔が認識された場合にカメラ5の位置と認証されたユーザとを示す情報をユーザの接近を示す情報として無人配送機1へ送信してよい。ユーザ推定部51は、ユーザの接近を示す情報を取得するまでステップS105を繰り返し実行してよい。
【0047】
ユーザ推定部51は、ユーザの接近を示す情報に基づいて、次に荷物を受け取ると推定されるユーザを決定する(ステップS107)。ユーザ推定部51は、接近しているユーザが1人の場合はそのユーザを次に荷物を受け取ると推定されるユーザとして決定してよいし、複数のユーザが接近している場合には、より無人配送機1に近いユーザを次に荷物を受け取ると推定されるユーザとして決定してよい。
【0048】
ユーザが推定されると、面推定部52は、無人配送機1の外周を構成し格納部16が設けられる面のうち、推定されたユーザあての荷物を格納する格納部16の扉が設けられた面を特定する(ステップS108)。具体的には、無人配送機1は、記憶部12に格納された格納部16のそれぞれに格納される荷物の宛先となるユーザの情報に基づいて、推定されたユーザあての荷物を格納する格納部16を選択し、側面19a,19bのうち、選択された格納部16の扉が存在する面を推定された面として特定する。
【0049】
方向調整部53は、ライダーによる周囲の検知結果に基づいて、特定された面が構造物(例えば壁)に隣接しているか判定する(ステップS109)。特定された面が構造物に隣接する場合には(ステップS109のY)、方向調整部53は特定された面が構造物に隣接しないように無人配送機1の方向を変更する(ステップS110)。より具体的には方向調整部53は、駆動部を制御することにより、特定された面と異なる面(例えば対向する面)が構造物に隣接するように無人配送機1の方向を変更する。ここで、方向調整部53は、特定された面および入出力部14のどちらとも異なる面(例えば特定された側面に対向する側面)が構造物に隣接するように無人配送機1の方向を変更してよい。一方、特定された面が構造物に隣接しない場合には(ステップS109のN)、ステップS110の処理はスキップされる。
【0050】
図7,8は、配送先4における無人配送機1の転回を説明する図である。図7には、転回前の無人配送機1が記載されている。ユーザ推定部51により、ユーザaが次に荷物を受け取ると推定されると、面推定部52は、ユーザaあての荷物pが格納される側面19bを特定する。そして、特定された側面19bが壁に隣接しているので、方向調整部53は無人配送機1が180度転回し、側面19bに対向する側面19aが壁に隣接する(図8参照)ように駆動部を制御する。
【0051】
ステップS109,110の処理が実行され、かつ、ユーザが無人配送機1のそばに到着する(厳密には人が無人配送機1の入出力部14の前に立つことが無人配送機1の人感センサにより検出される)と、格納制御部55はユーザに認証情報(例えばPINコード)の入力を促す画面を入出力部14に出力させる(ステップS113)。その表示に従いユーザが認証情報を入力すると、格納制御部55はユーザから入力される認証情報に基づいて、そのユーザの認証結果を取得する(ステップS114)。この処理は、中央サーバ2から予め送付された認証情報を検証する情報(例えば格納部16とPINコードとを紐づけた情報)に基づいて格納制御部55がユーザを認証することにより行われてもよい。またその代わりに、格納制御部55はユーザから入力される認証情報または認証情報を加工した情報(例えばハッシュ値)を中央サーバ2へ送信し、中央サーバ2からユーザの認証結果を受信してもよい。
【0052】
ユーザが認証されると、格納制御部55は、認証されたユーザの荷物を格納する格納部16を特定する(ステップS115)。そして、格納制御部55は、その特定された格納部16の扉の鍵を解錠する(ステップS116)。図8は、ユーザ推定部51により推定されたユーザが荷物の受け取りをする場合を示しており、この場合にはユーザaはスムーズに荷物pを取り出すことができる。
【0053】
なお、推定されたユーザと異なるユーザが認証された場合には、格納部16の受け取りに支障が出ることを防ぐために、ステップS116の後に、方向調整部53がステップS109,S110の処理を行ってもよい。
【0054】
格納部16の扉が解錠されると、格納制御部55はユーザによる荷物の受け取りを検出するまで待機する(ステップS117)。荷物の受け取りを検出すると、格納制御部55は、この待機場所において格納部16に格納される荷物を受け取る他のユーザが存在するか判定する(ステップS118)。他のユーザが存在する場合には(ステップS118のY)、ステップS105以降の処理を繰り返す。一方、他のユーザが存在しない場合には(ステップS118のN)、移動制御部54は、現在の配送先4から、次の配送先4または配送拠点へ向けて移動する(ステップS119)。
【0055】
本実施形態では、これまでの説明からわかるように、荷物を受け取る予定のユーザが到着する前にそのユーザを推定する。そして、そのユーザ向けの荷物を格納する格納部16の扉が存在する面が構造物に隣接しないように無人配送機1の向きを調整する。これにより、ユーザがスムーズに荷物を取り出すことができ、荷物の受け取りにかかる時間を短縮することが可能になる。
【0056】
ここで、図4および5の例では、荷物配送システムは待機を始める前に荷物を受け取る予定のユーザを推定していないが、ステップS103,S104の移動においてもステップS107からステップS113に相当する処理を行ってもよい。この場合、ユーザ推定部51は、この配送先4において荷物を受け取る予定のユーザをすべて推定し、面推定部52は、格納部16の扉がある側面19a,19bごとに、荷物を格納する格納部16の扉が存在する推定されたユーザの数をカウントし、そのユーザの数が多い面を推定された面として取得してよい。
【0057】
これまでの説明では、構造物とユーザが荷物を受け取る面とに基づいて方向を変更しているが、必ずしも構造物との関係で方向を変更しなくてもよい。図9は、無人配送機1の処理の他の一例を示すフロー図である。図9の記載は、図4,5のステップS103からS113の処理の代わりに実行される。以下では主に図4,5との相違点について説明し、同一の処理については詳細の説明を省略する。
【0058】
図9の例では、無人配送機1が配送先4の待機エリアに到着すると、移動制御部54はライダーなどのセンサにより周囲の構造物を計測し、転回可能な位置に移動し、待機を開始する(ステップS211)。
【0059】
次に、ユーザ推定部51は、中央サーバ2からユーザの接近を示す情報を取得する(ステップS212)。ユーザ推定部51は、ユーザの接近を示す情報に基づいて、次に荷物を受け取ると推定されるユーザを決定する(ステップS213)。また、ユーザ推定部51は、ユーザの接近を示す情報(例えばユーザの位置情報)に基づいて、ユーザが無人配送機1に到来する方向(到来方向)を推定する(ステップS214)。ここで、ユーザ推定部51は、ユーザの位置情報および地図情報に基づいて、ユーザが待機エリアに進入する入口を推定し、その入口の方向をユーザの到来する方向として推定してもよい。
【0060】
ユーザが推定されると、面推定部52は、無人配送機1の外周を構成し格納部16が設けられる面のうち、推定されたユーザあての荷物を格納する格納部16の扉が設けられた面を特定する(ステップS215)。
【0061】
方向調整部53は、特定された面と、推定された到来方向とに基づいて、無人配送機1の方向を調整する(ステップS216)。より具体的には方向調整部53は、駆動部を制御することにより、特定された面が到来方向を向くように無人配送機1の方向を変更する。
【0062】
図10,11は、配送先4における無人配送機1の転回を説明する図である。図10は転回前の無人配送機1を示し、図11は転回後の状態を示す。本図の例では、荷物を受け取る予定のユーザbは図中左から到来する。この場合、方向調整部53はそのユーザb向けの荷物qを格納する格納部16の扉が存在する側面19bがユーザbの到来方向を向くように無人配送機1を転回させる。例えば、ユーザbは到来方向に帰っていくことが考えられ、この転回により荷物を受け取ってから帰るまでの余分な動きを削減できる。このような理由により、ユーザはよりスムーズに荷物を受け取ることができる。
【0063】
ここで、無人配送機1は、どのユーザが到来するか否かを特定せずに、単に接近する人の方向に入出力部14の存在する面(例えば端部18b)を向けてもよい。例えば、方向調整部53は、無人配送機1に装備されるライダーまたはカメラの出力に基づいて人が近づくか否か、および、その人が到来する方向(到来方向)を検出する。方向調整部53は、人が近づくことが検出された場合には、その到来方向に無人配送機1の入出力部14が向くように無人配送機1の方向を調整する。
【0064】
図12は、配送先4における無人配送機1の転回を説明する図である。ユーザが認証情報を入力する入出力部14の存在する面をユーザの到来方向へ向けることで、ユーザが認証情報をスムーズに入力することができ、ユーザがより容易に荷物の受け取りの動作をすることができる。なお、入出力部14以外の面が到来方向を向いてもよい。例えば、面推定部52が、この配送先4において配送予定の荷物の格納部16の扉の配置に基づいて、荷物が受け取られる可能性の高い面を推定し、方向調整部53が、その推定された面が接近する人の到来方向を向くようにしてもよい。

【要約】
ユーザが無人配送機からよりスムーズに荷物を受け取ること。
配送システムは、荷物を受け取るための格納部の扉が設けられ互いに異なる方向を向く少なくとも2つの面を含む無人配送機を含み、前記少なくとも2つの面のうち、次にユーザが受け取る予定の荷物を格納する格納部の扉が設けられた面を推定し、前記推定された面に基づいて、前記ユーザが前記無人配送機に到達する前に、前記無人配送機の向きを調整する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12