(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発電要素を含む扁平な電池本体及び該電池本体から導出した電極タブを備える単電池と、上記電極タブを保持するスペーサと、を積層してなる電池群を有する組電池の製造装置において、
上記スペーサが押し当てられる基準面を備えた基準治具と、
上記基準治具に対する相対的な移動が可能で、かつ上記スペーサと係合可能な係合治具と、
上記スペーサが上記基準治具の基準面に押し当てられるように上記係合治具を付勢する弾性部材と、
上記基準治具に上記スペーサが押し当てられた状態で上記組電池の搬送が可能な搬送台と、を有し、
上記スペーサを上記基準治具に押し当てることで、上記電極タブの所定位置への位置決めがなされることを特徴とする組電池の製造装置。
上記弾性部材の付勢力に抗して上記スペーサを上記基準面から離間させる方向に上記係合治具を移動させることが可能なアクチュエータを有することを特徴とする請求項1または2に記載の組電池の製造装置。
発電要素を含む扁平な電池本体及び該電池本体から導出した電極タブを備える単電池と、上記電極タブを保持するスペーサと、を積層してなる電池群を有する組電池の製造方法であって、
上記単電池及び上記スペーサを搬送台上に積層した状態で、上記スペーサと係合する係合治具に弾性部材の付勢力を作用させて上記スペーサを基準治具の基準面に押し当て、上記スペーサに保持された上記電極タブを所定位置に位置決めされた状態に保持する位置決め工程と、
上記電極タブの所定位置への位置決めされた状態で、上記搬送台で上記組電池を次工程に搬送可能な搬送工程と、を有することを特徴とする組電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図中におけるX軸は、後述する単電池110の積層方向と交差し、かつ、単電池110の長手方向に沿った方向(長手方向X)を示している。各図中におけるY軸は、単電池110の積層方向と交差し、かつ、単電池110の短手方向に沿った方向(短手方向Y)を示している。各図中におけるZ軸は、単電池110の積層方向Zを示している。
【0013】
まず、
図1〜
図6を用いて、組電池100について説明する。
図1は、組電池100の概略を模式的に示した分解斜視図である。
図2は、積層体100Sの概略を模式的に示した分解斜視図である。
図3は、バスバユニット130の分解斜視図である。
図4は、単電池110及びスペーサ120の斜視図である。
図5は、単電池110の電極タブ113にバスバ131を接合した状態を模式的に示した説明図である。
図6は、単電池110の電極タブ113にバスバ131を接合した状態を示す断面図である。
【0014】
組電池100は、扁平な単電池110を厚み方向に複数枚積層した電池群100Gを含む積層体100Sを有している。組電池100はさらに、積層体100Sの前面側に取り付けられる保護カバー140と、単電池110の積層方向に沿ってそれぞれの単電池110を加圧した状態において積層体100Sを収容する筐体150と、を有している。
【0015】
図2に示すように、積層体100Sは、電池群100Gと、電池群100Gの前面側に取り付けられ複数個のバスバ131を一体的に保持するバスバユニット130と、を有している。保護カバー140は、バスバユニット130を被覆して保護している。
【0016】
図3に示すように、バスバユニット130は、複数個のバスバ131と、複数個のバスバ131が取り付けられる格子状のバスバホルダ132と、を有している。複数のバスバ131のうち、アノード側の終端には、アノード側ターミナル133が取り付けられ、カソード側の終端にはカソード側ターミナル134を取り付けられている。
【0017】
電池群100Gは、電気的に並列接続した3つの単電池110からなる第1セルサブアッシ100M(後述の
図7を参照)と、電気的に並列接続した別の3つの単電池110からなる第2セルサブアッシ100N(後述の
図7を参照)と、をバスバ131によって直列に接続することで構成される。
【0018】
第1セルサブアッシ100M及び第2セルサブアッシ100Nは、単電池110の電極タブ113の先端部113dの屈折方向を除いて同一の構成となっている。具体的には、第2セルサブアッシ100Nは、第1セルサブアッシ100Mに含まれる単電池110の天地を逆転させたものである。但し、第2セルサブアッシ100Nの電極タブ113の先端部113dの屈折方向は、第1セルサブアッシ100Mの電極タブ113の先端部113dの屈折方向と同一になるように積層方向Zの下方の側に揃えている。各々の単電池110には、一対のスペーサ120(第1スペーサ121及び第2スペーサ122)が取り付けられている。換言すると、単電池110は、一対のスペーサ120に保持されている。
【0019】
単電池110は、例えば、扁平なリチウムイオン二次電池に相当する。単電池110は、
図4〜
図6に示すように、発電要素111を一対のラミネートフィルム112によって封止した電池本体110Hと、発電要素111に電気的に接続され電池本体110Hから外部に導出された薄板状の電極タブ113と、を備えている。
【0020】
発電要素111は、正極と負極をセパレータで挟持したものを複数枚積層して構成されている。発電要素111は、外部から電力の供給を受けて充電した上で、外部の電気デバイスに対して放電しつつ電力を供給する。
【0021】
一対のラミネートフィルム112は、発電要素111を積層方向Zの両側から被覆して、その四辺を封止している。一対のラミネートフィルム112は、
図4に示すように、短手方向Yに沿った一端部112aの間から外部に向かって、アノード側電極タブ113A及びカソード側電極タブ113Kを導出させている。
【0022】
ラミネートフィルム112は、
図4に示すように、短手方向Yに沿った一端部112aの両端に一対の連結穴112eを有している。一端部側の連結穴112eには、第1スペーサ121の連結ピン121iが挿入される。
【0023】
ラミネートフィルム112は、短手方向Yに沿った他端部112bの両端に一対の連結穴112eを有している。他端部側の連結穴112eは、第2スペーサ122の連結ピン122iが挿入される。
【0024】
ラミネートフィルム112は、長手方向Xに沿った両端部112c、112dが、積層方向Zの上方に向かって折り曲げられている。
【0025】
電極タブ113は、
図4に示すように、アノード側電極タブ113A及びカソード側電極タブ113Kから構成され、それぞれ一対のラミネートフィルム112の一端部112aの間から互いに離間した状態で外部に突出している。
【0026】
電極タブ113は、
図6に示すように、電池本体110Hと隣接する基端部113cから先端部113dにかけてL字状に形成されている。電極タブ113の先端部113dは、バスバ131と対向している。先端部113dは、平面状に形成されている。
【0027】
各々の電極タブ113の先端部113dは、複数枚積層した単電池110において、
図6に示すように、積層方向Zの下方に揃えて屈折させている。ここで、組電池100は、電気的に並列接続した3つの単電池110(第1セルサブアッシ100M)と、電気的に並列接続した別の3つの単電池110(第2セルサブアッシ100N)を、直列に接続している。したがって、3つの単電池110毎に、その単電池110の天地を入れ替えて、単電池110のアノード側電極タブ113Aとカソード側電極タブ113Kの位置を、積層方向Zに沿って千鳥状に配置している。
【0028】
但し、3つの単電池110毎の天地を単純に入れ替えただけでは、電極タブ113の先端部113dの位置が積層方向Zでばらついてしまうため、全ての単電池110の電極タブ113の先端部113dの位置が揃うように適宜調整して屈折させる。
【0029】
一対のスペーサ120(第1スペーサ121及び第2スペーサ122)は、
図5及び
図6に示すように、積層した単電池110の間に配置される。第1スペーサ121は、
図4に示すように、単電池110の電極タブ113を突出させたラミネートフィルム112の一端部112aに沿って配置される。第2スペーサ122は、
図4に示すように、ラミネートフィルム112の他端部112bに沿って配置される。第2スペーサ122は、第1スペーサ121の形状を簡略した構成となっている。各々の単電池110は、一対のスペーサ120(第1スペーサ121及び第2スペーサ122)を取り付けた上で、積層方向Zに沿って複数枚積層する。一対のスペーサ120(第1スペーサ121及び第2スペーサ122)は、絶縁性を備えた強化プラスチックスからなる。
【0030】
第1スペーサ121は、扁平な直方体形状の一対の載置部121M及び121Nと、載置部121M及び121Nを連結する細長い板状の支持部121Pと、を備えている。
【0031】
載置部121M及び121Nの上面121aは、積層方向Zで隣接する他の第1スペーサ121の載置部121M及び121Nの下面121bに接する。
【0032】
ロケート穴121eには、積層方向Zに沿って複数の単電池110同士を連結するボルトが挿入される。
【0033】
載置部121Mの外側側面121w(側面121w)及び載置部121Nの外側側面121w(側面121w)には、凹部121fが形成されている。換言すると、第1スペーサ121の両側の側面121wには、
図4に示すように、断面C字形状の凹部121fが形成されている。凹部121fは、後述する組電池100の製造装置700の係合治具730に設けられる凸部731と係合する。
【0034】
凹部121fは、
図4に示すように、前面側に位置する平面状の第1面121sと、背面側に設けられる平面状の第2面121tと、第1面121s及び第2面121tを連結する平面状の連結面121uと、を有している。本実施例では、第1面121s及び第2面121tが互い平行となるよう形成されている。また、連結面121uは、第1面121s及び第2面121tに対して直交するよう形成されている。
【0035】
また、載置部121M及び121Nは、前面側に平面状の先端面121vを有している。先端面121vは、上面121a、下面121bに対して直交しており、Y軸及びZ軸を含む平面と平行となっている。
【0036】
支持部121Pは、積層方向Zに沿った厚み(肉厚)が、載置部121M及び121Nよりも薄くなるよう形成されている。
【0037】
支持部121Pは、バスバ131と共に電極タブ113の先端部113dを挟持して、先端部113dとバスバ131とが互いに十分に接触するようにしている。
【0038】
支持部121Pは、平面状の第1支持面121gと、平面状の第2支持面121hと、平面状の第3支持面121jと、を備えている。第1支持面121gは、第2支持面121hよりも積層方向Zで高くなるよう形成され、かつ単電池110側に位置している。第1支持面121gは、第2支持面121hよりも上方側(上面121a側)に位置している。第1支持面121gは、載置部121M及び121Nの上面121aよりも、積層方向Zで低くなるよう形成されている。
【0039】
第1支持面121gは、第2支持面121hと、載置部121M及び121Nの上面121aと、平行となるよう形成されている。
【0040】
第1支持面121gは、電極タブ113を突出させたラミネートフィルム112の一端部112aを支持している。第1支持面121gは、その両端に上方に突出した連結ピン121iを有している。
【0041】
第3支持面121jは、バスバ131とともに電極タブ113の先端部113dを挟持する。
【0042】
第2スペーサ122は、
図4に示すように、第1スペーサ121の形状を簡略した構成からなる。すなわち、第2スペーサ122は、扁平な直方体形状の一対の載置部122M及び122Nと、載置部122M及び122Nを連結する細長い板状の支持部122Pと、を備えている。
【0043】
載置部122M及び122Nの上面122aは、積層方向Zで隣接する他の第2スペーサ122の載置部122M及び122Nの下面122bに接する。
【0044】
ロケート穴122eには、積層方向Zに沿って複数の単電池110同士を連結するボルトが挿入される。
【0045】
支持部122Pは、積層方向Zに沿った厚み(肉厚)が、載置部122M及び122Nよりも薄くなるよう形成されている。
【0046】
支持部122Pは、平面状の支持面122k、を備えている。支持面122kは、載置部122M及び122Nの上面122aよりも、積層方向Zで低くなるよう形成されている。
【0047】
支持面122kは、載置部122M及び122Nの上面122aと、平行となるよう形成されている。
【0048】
支持面122kは、ラミネートフィルム112の他端部112bを支持している。支持面122kは、その両端に上方に突出した連結ピン122iを有している。
【0049】
バスバユニット130は、
図2及び
図3に示すように、バスバ131を一体的に複数備えている。バスバ131は、導電性を備えた金属からなり、異なる単電池110の電極タブ113の先端部113d同士を電気的に接続する。バスバ131は、平板状を呈し、積層方向Zに沿って起立している。
【0050】
バスバ131は、アノード側電極タブ113Aが溶接されるアノード側バスバ131Aと、カソード側電極タブ113Kと溶接するカソード側バスバ131Kを、接合している。
【0051】
アノード側バスバ131Aは、アノード側電極タブ113Aと同種の金属材料(例えばアルミニウム)からなる。カソード側バスバ131Kは、カソード側電極タブ113Kと同種の金属材料(例えば銅)からなる。アノード側バスバ131Aとカソード側バスバ131Kは、例えば、超音波接合によって接合される。
【0052】
バスバホルダ132は、絶縁性を備えた樹脂からなり、枠状に形成している。
【0053】
図2及び
図3に示すアノード側ターミナル133は、電池群100Gのアノード側の終端に相当する。
【0054】
アノード側ターミナル133は、導電性を備えた金属板からなっている。アノード側ターミナル133は、平板状の中央部133aと、長手方向Xで中央部133aの両側に位置する平板状の一端部133b及び平板状の他端部133cとを有している。一端部133b及び他端部133cは、中央部133aに対して直交している。
【0055】
アノード側ターミナル133は、一端部133bと他端部133cが中央部133aからそれぞれ逆方向に折り曲げられた形になっている。
【0056】
一端部133bは、アノード側バスバ131Aにレーザ接合される。他端部133cは、その中央に開口した穴133d(ネジ溝を含む)に、外部の入出力端子が接続される。
【0057】
図2及び
図3に示すカソード側ターミナル134は、電池群100Gのカソード側の終端に相当する。
【0058】
カソード側ターミナル134は、導電性を備えた金属板からなっている。カソード側ターミナル134は、平板状の中央部134aと、長手方向Xで中央部134aの両側に位置する平板状の一端部134b及び平板状の他端部134cとを有している。一端部134b及び他端部134cは、中央部134aに対して直交している。
【0059】
カソード側ターミナル134は、一端部134bと他端部134cが中央部134aからそれぞれ逆方向に折り曲げられた形になっている。
【0060】
一端部134bは、カソード側バスバ131Kにレーザ接合される。他端部134cは、その中央に開口した穴134d(ネジ溝を含む)に、外部の入出力端子が接続される。
【0061】
保護カバー140は、矩形板状の部材であり、
図1及び
図2に示すように、矩形状の穴からなる第1開口部140a及び矩形状の穴からなる第2開口部140bを有している。
【0062】
第1開口部140aは、バスバユニット130に備えられたアノード側ターミナル133に対応する位置に形成されている。第1開口部140aからは、アノード側ターミナル133の他端部133cを臨むことが可能となっている。
【0063】
第2開口部140bは、バスバユニット130に備えられたカソード側ターミナル134に対応する位置に形成されている。第2開口部140bからは、カソード側ターミナル134の他端部134cを臨むことが可能となっている。
【0064】
つまり、保護カバー140は、アノード側ターミナル133及びカソード側ターミナル134を外部に臨ませて、各々の単電池110の発電要素111に充放電をさせることが可能な形状となっている。
【0065】
また、保護カバー140の上端と下端は、バスバユニット側に折り曲げられており、バスバユニット130に嵌合させることが可能となっている。
【0066】
保護カバー140は、絶縁性を備えたプラスチックスからなり、バスバ131同士が短絡したり、バスバ131が外部の部材に接触して短絡したり漏電したりすることを防止するものである。
【0067】
筐体150は、
図1に示すように、上部加圧板151、下部加圧板152及び一対の側板153を有している。
【0068】
上部加圧板151及び下部加圧板152により、電池群100Gに備えられた各々の単電池110の発電要素111を挟持しつつ加圧することによって、発電要素111に適正な面圧が与えられる。
【0069】
上部加圧板151は、矩形板状を呈し、積層方向Zに沿って下方に突出した加圧面151aを、中央に備えている。加圧面151aによって、各々の単電池110の発電要素111を下方に押圧する。上部加圧板151は、4隅に長手方向Xに沿って延びる保持部151bを備えている。保持部151bは、第1スペーサ121の載置部121M及び121N、または第2スペーサ122の載置部122M及び122Nを被覆する。保持部151bの中央には、第1スペーサ121のロケート穴121eまたは第2スペーサ122のロケート穴122eと積層方向Zに沿って連通するロケート穴151cが貫通形成されている。ロケート穴151cには、組電池100同士を連結するボルトが挿入される。
【0070】
上部加圧板151は、
図1に示すように、4隅に切欠き部151dを有している。上部加圧板151が切欠き部151dを有するため、後述する組電池100の製造装置700を構成する係合治具730の凸部731を、上部加圧板151に近接する複数の第1スペーサ121の凹部121fに対して係合させることができる。
【0071】
下部加圧板152は、
図1に示すように、上部加圧板151と略同一の構成となっている。下部加圧板152は、電池群100Gの積層方向Zに沿った下方に配置される。下部加圧板152は、積層方向Zに沿って上方に突出した加圧面152aによって、各々の単電池110の発電要素111を上方に押圧する。
【0072】
下部加圧板152は、4隅に長手方向Xに沿って延びる保持部152bを備えている。保持部152bは、第1スペーサ121の載置部121M及び121N、または第2スペーサ122の載置部122M及び122Nを被覆する。保持部152bの中央には、第1スペーサ121のロケート穴121eまたは第2スペーサ122のロケート穴122eと積層方向Zに沿って連通するロケート穴152cが貫通形成されている。ロケート穴152cには、組電池100同士を連結するボルトが挿入される。
【0073】
下部加圧板152は、
図1に示すように、4隅に切欠き部152dを有している。下部加圧板152が切欠き部152dを有するため、後述する組電池100の製造装置700を構成する係合治具730の凸部731を、下部加圧板152に近接する複数の第1スペーサ121の凹部121fに対して係合させることができる。
【0074】
一対の側板153は、矩形の金属板であり、上部加圧板151及び下部加圧板152が互いに離間しないように、上部加圧板151及び下部加圧板152の相対位置を固定する。
【0075】
一対の側板153は、上部加圧板151及び下部加圧板152に対して電池群100Gの短手方向Yの両側から溶接によって接合される。
【0076】
つぎに、組電池100の製造装置700及び製造方法を、
図7〜
図13を参照しつつ説明する。
【0077】
図7は、組電池100の製造装置700を構成する搬送台710を模式的に示した説明図である。
図8及び
図9は、第1実施例における組電池100の製造装置700の概略構成を模式的に示した説明図である。
図10は、第1実施例における組電池100の製造装置700の要部を拡大して示した説明図である。
図11及び
図12は、第1スペーサ121が基準治具の基準面に押し当てられた状態を模式的に示した説明図である。
図13は、バスバ131を電極タブ113に溶接する状態を模式的に示した説明図である。
【0078】
組電池100の製造装置700は、
図8及び
図9に示すように、組電池100を構成する部材を搬送可能な搬送台710と、第1スペーサ121の先端面121vが押し当てられる基準面721を備えた左右一対の基準治具720と、第1スペーサ121の凹部121fと係合可能な左右一対の係合治具730と、基準治具720に対する係合治具730の相対的な移動をガイドする左右一対のガイド機構740と、係合治具730を常時付勢する弾性部材としての複数のスプリング750と、スプリング750の付勢力に抗して係合治具730を移動させることが可能なアクチュエータ760と、を有している。
【0079】
搬送台710は、
図7〜
図9に示すように、平板状を呈し、水平面に沿って配置される。搬送台710には、位置決め用のロケートピン711が設けられている。ロケートピン711は、搬送台710の上面710aに、所定の間隔を隔てて4本起立している。
【0080】
各ロケートピン711の互いの間隔は、例えば、上部加圧板151の4隅に備えられたロケート穴152cの互いの間隔に対応している。つまり、各ロケートピン711の互いの間隔は、例えば、上部加圧板151の4隅に備えられたロケート穴152cの互いの間隔と同様の間隔となっている。
【0081】
ロケートピン711は、各部材のロケート穴121e、122e、151c、152cに対して所定のクリアランスを有するように形成されている。
【0082】
そして、組電池100の構成部品を積層する積層工程では、
図7に示すように、下部加圧板152、第1セルサブアッシ100M、第2セルサブアッシ100N、及び上部加圧板151が、例えばロボットアーム等の部材積層機構(図示せず)を用いて、搬送台710上で順次積層される。
【0083】
積層工程では、最初に、4本のロケートピン711が4隅のロケート穴152cにそれぞれ挿入された状態となるように下部加圧板152を搬送台710上に配置する。
【0084】
次に、第1セルサブアッシ100Mを、積層方向Zに沿って降下させつつ、下部加圧板152に積層する。このとき、4本のロケートピン711が4隅のロケート穴121e、122eにそれぞれ挿入された状態となっている。
【0085】
その後、第2セルサブアッシ100Nと第1セルサブアッシ100Mを交互に所定組ずつ(例えば3組ずつ)積層する。このとき、4本のロケートピン711が4隅のロケート穴121e、122eにそれぞれ挿入された状態となっている。
【0086】
そして、4本のロケートピン711が4隅のロケート穴151cにそれぞれ挿入された状態となるように上部加圧板151を第1セルサブアッシ100Mに積層する。
【0087】
基準治具720は、
図8〜10に示すように、直方体形状を呈し、搬送台710の上面710aに固定されている。
【0088】
基準治具720は、第1スペーサ121と対向する基準面721と、後述する係合治具730の第2辺部730Bと対向する基準治具側壁面722と、を有している。この基準治具側壁面722は、基準面721に対して直交している。
【0089】
基準面721には、係合治具730が係合した第1スペーサ121の先端面121vが押し当てられる。
【0090】
係合治具730は、
図8〜10に示すように、先端が第1スペーサ121の凹部121fと係合可能な第1辺部730Aと、第1辺部730Aと所定角度をなす第2辺部730Bと、を備え、全体が略L字形状を呈している。本実施例において、第2辺部730Bは、第1辺部730Aに対して直交している。係合治具730は、基準治具720に対する相対的な移動が可能となっている。
【0091】
第1辺部730Aは、先端に第1スペーサ121の凹部121fと係合可能な凸部731が形成されている。また、第1辺部730Aは、基準治具720の基準面721と対向する壁面732を有している。第1辺部730Aは、
図11に示すように、第1スペーサ121の先端面121vが基準治具720の基準面721に押し当てられた状態において、壁面732が基準面721に対して所定のクリアランスを有するように形成されている。
【0092】
ガイド機構740は、
図9及び
図10に示すように、係合治具730の第2辺部730Bの側壁面733に取り付けられたガイドレール741と、基準治具720の基準治具側壁面722に取り付けられたガイドブロック742と、を有している。
【0093】
ガイドブロック742は、ガイドレール741と係合し、ガイドレール741に沿って移動可能となっている。
【0094】
また、係合治具730は、L字状を呈しているので、長手方向Xに沿った係合治具730の進退移動を、長手方向Xに沿った配置されたガイドレール741に沿ってガイドすることができる。
【0095】
そのため、基準治具720と、基準治具720に対して相対移動可能な係合治具730とを狭いスペースに配置することができ、製造装置700の小型化を図ることができる。
【0096】
なお、ガイド機構740は、ガイドレール741を基準治具720側に取り付け、ガイドブロック742を係合治具730側に取り付けるよう構成してもよい。
【0097】
スプリング750は、
図8〜
図10に示すように、いわゆるコイルスプリングであり、一端が係合治具730の第1辺部730Aに固定され、他端が基準治具720に固定されている。スプリング750は、基準治具720に形成された穴に収容される。スプリング750は、第1スペーサ121が基準治具720の基準面721に押し当てられるように係合治具730に付勢力を常時作用させている。つまり、係合治具730は、スプリング750の付勢力により、第1辺部730Aが基準治具720に近づく方向に常時付勢されている。換言すれば、係合治具730は、スプリング750の付勢力により、長手方向Xに沿って基準治具720の基準面721側に常時付勢されている。
【0098】
アクチュエータ760は、例えばエアシリンダや電動シリンダ等によって構成さ、
図8及び
図9に示すように、搬送台710から離れて配置される。アクチュエータ760は、スプリング750の付勢力に抗して、係合治具730を移動させることが可能となっている。詳述すると、アクチュエータ760は、スプリング750の付勢力に抗して、係合治具730の壁面732が基準治具720の基準面721から遠ざかるように係合治具730を移動させることが可能となっている。
【0099】
なお、アクチュエータ760が駆動しなければ、第1スペーサ121は、スプリング750の付勢力を受けた係合治具730で基準治具720に押し当てられた状態となる。従って、仮に、組電池100の製造時に、動力が遮断されたとしても、第1スペーサ121は、スプリング750に付勢力により、基準治具720に押し付けられた状態で保持される。つまり、仮に、組電池100の製造時に、動力が遮断されたとしても、第1スペーサ121が基準治具720に押し当てられることで、第1スペーサ121に保持された電極タブ113は、所定位置に位置決めされた状態で保持される。
【0100】
上述したように、ロケートピン711は、ロケート穴121e、122e、151c、152cに対して、所定のクリアランスを有するように形成されている。そのため、積層工程が終了した後に、積層方向Zに積層される複数の単電池110およびスペーサ120は、XY平面において位置のばらつきが生じ得る。
【0101】
しかしながら、組電池100の製造装置700においては、
図11及び
図12に示すように、係合治具730の凸部731を第1スペーサ121の凹部121fに係合させることで、スプリング750に付勢力により第1スペーサ121の先端面121vが基準治具720の基準面721に押し当てられる。
【0102】
これによって、積層方向Zに沿う第1スペーサ121の先端面121vは、
図12に示すように、YZ平面において同一平面となる。この結果、第1スペーサ121に保持された電極タブ113のバスバ131に対する接合部位を積層方向Zに沿って揃えることができる。
【0103】
なお、このとき、第1スペーサ121のロケート穴121eは、搬送台710のロケートピン711に挿通されているため、第1スペーサ121が移動する範囲は、ロケート穴121eとロケートピン711との間のクリアランス以下である。この構成によれば、ロケート穴121e及びロケートピン711によって予めラフな位置決めが行われ、係合治具730によって精密な位置決めが行われることになる。
【0104】
また、第1スペーサ121がスプリング750によって基準治具720に押し付けられるので、電極タブ113は、バスバ131に対する接合部位を積層方向Zに沿って揃えた状態で、所定位置に保持される。
【0105】
つまり、電極タブ113は、搬送台710上において、基準治具720、係合治具730及びスプリング750によって所定位置に位置決めされた状態で保持されるので、電池群100Gに対する各種部品の組み付け作業が容易となり、総じて組電池100の製造が容易となる。
【0106】
なお、積層工程では、第1セルサブアッシ100Mや第2セルサブアッシ100Nを積層する際に、アクチュエータ760により係合治具730をスプリング750の付勢力に抗する方向に移動させることで、係合治具730の凸部731と第1スペーサ121の凹部121fとの干渉を回避する。
【0107】
また、スプリング750で付勢力された係合治具730で第1スペーサ121を基準治具720の基準面721に押し当てることが、電極タブ113を所定位置に位置決めされた状態に保持する位置決め工程となる。位置決め工程は、搬送台710上に第1セルサブアッシ100Mや第2セルサブアッシ100N等が積層された状態で実施される。
【0108】
搬送台710上に積層された下部加圧板152、第1セルサブアッシ100M、第2セルサブアッシ100N、及び上部加圧板151は、電極タブ113が所定位置に位置決めされた状態で保持され、この状態でバスバユニット130のバスバ131を電極タブ113に接合するバスバ接合工程である溶接工程へと移動可能となっている。
【0109】
つまり、積層工程及び位置決め工程から溶接工程へと至る間の搬送工程において、第1スペーサ121は、搬送台710上で基準治具720に押し付けられ、電極タブ113は搬送台710上で所定位置に位置決めされた状態に保持されている。
【0110】
バスバ131は、
図13に示すように、溶接工程において、例えばYAGレーザ等を用いた溶接ユニット770を用いて電極タブ113に溶接される。
図13に示す溶接工程では、長手方向Xから溶接ユニット770による溶接が実施される。
【0111】
なお、バスバ131を電極タブ113に接合する際、電極タブ113は所定位置に位置決めされた状態で保持されているので、バスバ131と電極タブ113との接合品質を向上させることができる。
【0112】
次に、本発明の第2実施例における組電池100の製造装置800について、
図14を用いて説明する。なお、上述した第1実施例における組電池100の製造装置700と同一の構成の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0113】
図14は、第2実施例における組電池100の製造装置800の概略構成を模式的に示した説明図である。
【0114】
第2実施例における組電池100の製造装置800は、上述した製造装置700と略同一構成となっているが、係合治具730が、積層方向Zで複数個の係合治具片801に分割された構成となっている。換言すると、この第2実施例の製造装置800においては、係合治具730が同一形状の係合治具片801を積層方向Zに積み重ねて構成されている。各係合治具片801は、第1辺部730A、第2辺部730B、凸部731、壁面732及び側壁面733を有している。
【0115】
係合治具730が複数の係合治具片801から構成される場合には、係合治具片801毎に、ガイド機構740を介して基準治具720に取り付けられる。つまり、係合治具730が複数の係合治具片801から構成される場合には、係合治具片801と同じ数のガイド機構740が必要となる。
【0116】
また、係合治具730が複数の係合治具片801から構成される場合には、係合治具片801毎に、第1辺部730Aがスプリング750によって基準治具720に近づく方向に常時付勢される。換言すれば、各係合治具片801は、スプリング750の付勢力により、長手方向Xに沿って基準治具720の基準面721側に常時付勢されている。つまり、係合治具730が複数の係合治具片801から構成される場合には、係合治具730は、係合治具片801と同じ数のスプリング750によって付勢せれている。
【0117】
そして、係合治具730が複数の係合治具片801から構成される場合には、係合治具片801毎にアクチュエータ760の力を作用させることが可能となっており、係合治具片801毎に移動させることが可能となっている。
【0118】
このような第2実施例の製造装置800においても、上述した第1実施例の製造装置700と略同様の作用効果を得ることができる。
【0119】
また、第2実施例の製造装置800においては、第1スペーサ121の載置部121M及び載置部121Nの寸法精度にばらつきがあっても、第1スペーサ121の先端面121vを精度良く基準治具720の基準面721に押し当てることができる。
【0120】
詳述すると、第2実施例の製造装置800は、第1スペーサ121において、凹部121fの第1面121sと、先端面121vとの距離(厚み)にばらつきがあるような場合でも、係合治具片801毎に、第1スペーサ121の先端面121vを基準治具720の基準面721に押し当てることができる。そのため、第2実施例の製造装置800は、第1スペーサ121に保持された電極タブ113を一層精度良く所定位置に位置決めし、保持することができる。
【0121】
換言すれば、第2実施例の製造装置800は、第1スペーサ121のうち基準治具720と係合治具730とによって挟み込まれる部分の寸法精度や、係合治具730のうち第1スペーサ121と係合して基準治具720との間に第1スペーサ121を挟み込む部分(凸部731)の寸法精度にばらつきがあっても、第1スペーサ121に保持された電極タブ113を一層精度良く所定位置に位置決めし、保持することができる。