特許第6842689号(P6842689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842689
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】搬送装置およびスクライブシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20210308BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20210308BHJP
   B28D 7/02 20060101ALI20210308BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20210308BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20210308BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20210308BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20210308BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B28D5/00 Z
   B28D7/02
   B65G49/06 A
   H01L21/68 N
   G02F1/13 101
   G02F1/1333
   H01L21/78 L
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-235604(P2016-235604)
(22)【出願日】2016年12月5日
(65)【公開番号】特開2018-93071(P2018-93071A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】西尾 仁孝
(72)【発明者】
【氏名】高松 生芳
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−056928(JP,U)
【文献】 特開2005−033120(JP,A)
【文献】 実開平06−016436(JP,U)
【文献】 国際公開第2016/159062(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B28D 5/00
B28D 7/02
B65G 49/06
G02F 1/13
G02F 1/1333
H01L 21/301
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して第1テーブルから第2テーブルへと搬送する搬送装置であって、
前記基板の搬送方向後方に配置され、前記基板を前記第1テーブルから前記第2テーブルへと搬送する工程において前記第1テーブルの上面に接触し、前記第1テーブルの上面を清掃する第1清掃ユニットと、
前記基板の搬送方向前方に配置され、前記基板を前記第1テーブルから前記第2テーブルへと搬送する工程において前記第2テーブルの上面に接触し、前記第2テーブルの上面を清掃する第2清掃ユニットと、
前記第1テーブルと前記第2テーブルとの間の搬送経路に配置され、前記基板を前記第1テーブルから前記第2テーブルへと搬送する工程において前記基板の下面に接触し、前記基板の下面を清掃する第3清掃ユニットと、
を備え、
前記第3清掃ユニットによる前記基板の下面の清掃は、前記第1清掃ユニットによる前記第1テーブルの上面の清掃と、前記第2清掃ユニットによる前記第2テーブルの上面の清掃とのうちの少なくとも1つと同時に行う、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第1清掃ユニットは、第1清掃具と、前記第1清掃具を前記第1テーブルの上面に対して接触および離間させる第1駆動部と、を備える、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第2清掃ユニットは、第2清掃具と、前記第2清掃具を前記第2テーブルの上面に対して接触および離間させる第2駆動部と、を備える、請求項に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第3清掃ユニットは、第3清掃具と、前記第3清掃具を前記基板の下面に対して接触および離間させる第3駆動部と、を備える、請求項に記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項ないしの何れか一項に記載の搬送装置と、
前記第1テーブルに載置された前記基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、を備えるスクライブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を吸着して搬送するための搬送装置、および当該搬送装置を備えたスクライブシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板等の脆性材料基板の分断は、基板表面にスクライブラインを形成するスクライブ工程と、形成されたスクライブラインに沿って基板表面に所定の力を付加するブレイク工程とによって行われる。スクライブラインの形成には、スクライブヘッドを備えたスクライブ装置が用いられる。
【0003】
スクライブ装置は、たとえば、基板が載置されるテーブルを備え、このテーブルに載置された基板に対して、スクライブヘッドが水平方向および上下方向に移動する。スクライブヘッドの下端には、ホイールホルダが取り付けられており、このホイールホルダにカッターホイールが回転自在に保持される(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−26539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクライブ装置では、スクライブラインを形成する際に、基板から微小なカレット(切り粉)が発生する。このカレットがテーブル上または基板上に付着し、テーブルと基板の間にカレットが挟まれた状態でテーブルが基板の吸着を行うと、基板の表面に傷や局所的な色ムラが生じてしまう。また、テーブル上にカレットが存在した状態で基板がテーブルに載置されると、基板の上面の高さがあらかじめ想定した高さよりも高くなり、基板の分断不良の原因になるという問題もある。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、簡素な構成により円滑にテーブルの上面および基板の下面を清掃することが可能な搬送装置および当該搬送装置を備えたスクライブシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、基板を保持して第1テーブルから第2テーブルへと搬送する搬送装置であって、前記基板の搬送方向後方に配置され、前記基板を前記第1テーブルから前記第2テーブルへと搬送する工程において前記第1テーブルの上面に接触し、前記第1テーブルの上面を清掃する第1清掃ユニットと、前記基板の搬送方向前方に配置され、前記基板を前記第1テーブルから前記第2テーブルへと搬送する工程において前記第2テーブルの上面に接触し、前記第2テーブルの上面を清掃する第2清掃ユニットと、前記第1テーブルと前記第2テーブルとの間の搬送経路に配置され、前記基板を前記第1テーブルから前記第2テーブルへと搬送する工程において前記基板の下面に接触し、前記基板の下面を清掃する第3清掃ユニットとを備え、前記第3清掃ユニットによる前記基板の下面の清掃は、前記第1清掃ユニットによる前記第1テーブルの上面の清掃と、前記第2清掃ユニットによる前記第2テーブルの上面の清掃とのうちの少なくとも1つと同時に行う。
【0008】
本態様に係る搬送装置によれば、基板を保持して第1テーブルから第2テーブルへと搬送する工程において、第1清掃ユニットが第1テーブルの上面に接触し、第2清掃ユニットが第2テーブルの上面に接触し、第3清掃ユニットが基板の下面に接触する。したがって、第1清掃ユニットは、基板の搬送に伴い、第1テーブルの上面に接触しながら移動し、第1テーブルの上面を清掃し、第2清掃ユニットは、第2テーブルの上面に接触しながら移動し、第2テーブルの上面を清掃し、第3清掃ユニットは、基板の下面に接触しながら相対的に移動し、基板の下面を清掃する。これにより、たとえば、第1テーブルの上面にカレット等が散在していたとしても、第1清掃ユニットによって、第1テーブルからカレット等が除去され、第2テーブルの上面にカレット等が散在していたとしても、第2清掃ユニットによって、第2テーブルからカレット等が除去され、基板の下面にカレット等が付着していたとしても、第3清掃ユニットによって、基板の下面からカレット等が除去される。したがって、簡素な構成により、円滑に、基板の下面を清掃すると同時に第1テーブルの上面又は/及び第2テーブルの上面の清掃をすることができる
【0009】
本態様に係る搬送装置において、前記第1清掃ユニットは、第1清掃具と、前記第1清掃具を前記第1テーブルの上面に対して接触および離間させる第1駆動部と、を備える構成とされ得る。こうすると、第1テーブルの上面を清掃する期間以外において、第1清掃具を上方に退避させることができる。よって、第1清掃具が搬送体の搬送に支障となることを抑止できる。
【0011】
記第2清掃ユニットは、第2清掃具と、前記第2清掃具を前記第2テーブルの上面に対して接触および離間させる第2駆動部と、を備える構成とされ得る。こうすると、第2テーブルの上面を清掃する期間以外において、第2清掃具を上方に退避させることができる。よって、第2清掃具が搬送体の搬送に支障となることを抑止できる。
【0015】
記第3清掃ユニットは、第3清掃具と、前記第3清掃具を前記基板の下面に対して接触および離間させる第3駆動部と、を備える構成とされ得る。こうすると、基板の下面を清掃する期間以外において、第3清掃具を下方に退避させることができる。よって、第3清掃具が搬送体の搬送に支障となることを抑止できる。
【0016】
本発明の第の態様は、スクライブシステムに関する。本態様に係るスクライブシステムは、上記第の態様に係る搬送装置と、前記第1テーブルに載置された前記基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置と、を備える。
【0017】
本態様に係る搬送装置によれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、簡素な構成により円滑にテーブルの上面および基板の下面を清掃することが可能な搬送装置および当該搬送装置を備えたスクライブシステムを提供できる。

【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係るスクライブシステムおよびブレイクシステムの構成を示す斜視図である。
図2図2(a)〜(d)は、それぞれ、実施形態に係る搬送体に設置された清掃ユニットの構成および動作を模式的に示す側面図である。図2(e)、(f)は、それぞれ、実施形態に係る搬送体とは別に配置された清掃ユニットの構成および動作を模式的に示す側面図である。
図3図3(a)は、実施形態に係る搬送装置の構成を示すブロック図である。図3(b)は、実施形態に係る搬送装置の搬送制御を示すフローチャートである。
図4図4(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る搬送装置の動作を模式的に示す側面図である。
図5図5(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る搬送装置の動作を模式的に示す側面図である。
図6図6(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る搬送装置の動作を模式的に示す側面図である。
図7図7(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る搬送装置の動作を模式的に示す側面図である。
図8図8(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る搬送装置の動作を模式的に示す側面図である。
図9図9(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る搬送装置の動作を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するXYZ軸が付記されている。X−Y平面は水平面に平行で、Z軸正方向は鉛直下方向である。
【0024】
図1は、スクライブシステム1およびブレイクシステム2の構成を示す斜視図である。
【0025】
スクライブシステム1は、スクライブ装置100と、搬送装置200とを備えている。ブレイクシステム2は、回転装置400とブレイク装置500とを備えている。スクライブ装置100は、基板10の上面にスクライブラインを形成する。搬送装置200は、スクライブラインが形成された基板10を、スクライブ装置100から回転装置400へと搬送する。回転装置400は、搬送された基板10を上下方向に回転させてブレイク装置500に受け渡す。ブレイク装置500は、受け渡された基板10をスクライブラインに沿って分断する。基板10は、液晶パネル等の脆弱性基板である。
【0026】
スクライブ装置100は、テーブル110と、回転機構120と、移動機構130と、スクライブヘッド140とを備えている。
【0027】
テーブル110は、平面視において略正方形の形状を有し、上面に、基板10を吸着するための多数の孔を備えている。図示しない空圧源によってテーブル110の孔に圧力が付与される。孔に負圧が付与されることにより、基板10がテーブル110に吸着される。テーブル110は、基板10の搬送元である第1テーブルを構成する。
【0028】
テーブル110は、回転機構120によってZ軸に平行な回転軸の周りに回転可能に支持されている。回転機構120は、テーブル110を回転可能に支持するための支持機構と、テーブル110を回転させるためのモータとを備える。回転機構120は、支持台121に設置され、支持台121とともに、移動機構130によってY軸方向に送られる。
【0029】
移動機構130は、支持台121をY軸方向に平行に案内するための一対のガイド131と、支持台121をY軸方向に平行に駆動するためのボールネジ132と、ボールネジ132を駆動するモータ(図示せず)とを備えている。
【0030】
スクライブヘッド140は、アーチ状の支持機構141によって、X軸方向に平行に移動可能に支持されている。スクライブヘッド140は、モータによってX軸方向に移送される。スクライブヘッド140の下端には、ホイールホルダが取り付けられており、このホイールホルダにカッターホイールが回転自在に保持されている。スクライブヘッド140は、内部に、ホイールホルダを上下方向に昇降させる昇降機構を備えている。
【0031】
スクライブ動作時には、テーブル110に吸着された基板10が、移動機構130によって、スクライブヘッド140の下方に位置づけられる。次に、スクライブヘッド140が、ホイールホルダを下降させ、カッターホイールを一定荷重で基板10の上面を押し付ける。この状態で、スクライブヘッド140がX軸方向に移送される。これにより、基板10の上面に、X軸に平行なスクライブラインが形成される。基板10の上面には、X軸に平行な複数のスクライブラインが、Y軸方向に所定の間隔で形成される。これらのスクライブラインに垂直なスクライブラインをさらに形成する場合、回転機構120によって、テーブル110が90°回転される。そして、同様の工程により、基板10の上面にスクライブラインが形成される。
【0032】
搬送装置200は、搬送レール210と、昇降機構220と、吸着ユニット230と、2つの清掃ユニット240と、清掃ユニット250とを備えている。
【0033】
搬送レール210は、X軸方向に延びる板状の部材からなっており、昇降機構220をX軸に平行な方向に案内する。昇降機構220は、支持台221と、支柱222と、移動体223とを備えている。支持台221は、搬送レール210のY軸方向の両端に係合する一対の溝221aを備えている。一対の溝221aが搬送レール210に係合することにより、支持台221がX軸方向に案内される。支持台221は、ベルトコンベア211によってX軸方向に駆動される。
【0034】
支柱222は、支持台221に設置されている。移動体223は、上下方向に移動可能に支柱222に支持されている。移動体223の内部に、移動体223を支柱222に沿って移動させるための駆動部(図示せず)が設けられている。駆動部は、たとえば、移動体223を上下に案内するスライダと、移動体223を上下に駆動するためのリニアモータとを備える。移動体223のY軸正側の端部に、吸着ユニット230が設置されている。
【0035】
吸着ユニット230は、平面視において長方形の板状の形状を有する。吸着ユニット230は、下面に、基板10を吸着するための多数の孔を備えている。図示しない空圧源によって吸着ユニット230の孔に圧力が付与される。孔に負圧が付与されることにより、基板10が吸着ユニット230に吸着される。
【0036】
吸着ユニット230のX軸正側の端部およびX軸負側の端部に、それぞれ、清掃ユニット240が設置されている。X軸正側の清掃ユニット240は、スクライブ装置100のテーブル110の上面を清掃するための第1清掃ユニットを構成する。また、X軸負側の清掃ユニット240は、回転装置400のテーブル410の上面を清掃するための第2清掃ユニットを構成する。これら2つの清掃ユニット240は、それぞれ、ブラシ241によって、テーブル110、410の上面を清掃する。2つの清掃ユニット240は、互いに同様の構成を有する。清掃ユニット240の構成は、追って、図2(a)〜(d)を参照して説明する。
【0037】
なお、吸着ユニット230と2つの清掃ユニット240とによって、搬送体300が構成される。
【0038】
清掃ユニット250は、スクライブ装置100のテーブル110と回転装置400のテーブル410との間の、基板10の搬送経路に配置されている。清掃ユニット250は、基板10の下面を清掃するための第3清掃ユニットを構成する。清掃ユニット250は、ブラシ251によって、基板10の下面を清掃する。清掃ユニット250の構成は、追って、図2(e)、(f)を参照して説明する。
【0039】
回転装置400は、テーブル410と、支軸420と、モータ430と、を備える。
【0040】
テーブル410は、平面視において長方形の板状の形状を有する。テーブル410は、上面に、基板10を吸着するための多数の孔を備えている。図示しない空圧源によってテーブル410の孔に圧力が付与される。孔に負圧が付与されることにより、基板10がテーブル410に吸着される。テーブル410は、基板10の搬送先である第2テーブルを構成する。
【0041】
テーブル410の下面は、受け台411に載置されている。また、テーブル410は、X軸正側の端部において、モータ430の回転軸に連結された支軸420に支持されている。モータ430によって支軸420が回転されることにより、テーブル410が支軸420を軸として旋回する。基板10を吸着した状態で支軸420が回転されることにより、基板10が、上下に反転された状態で、ブレイク装置500のテーブル510に載置される。この状態で、テーブル410は、基板10の吸着を解除し、ブレイク装置500側のテーブル510が、基板10の吸着を開始する。こうして、基板10が、ブレイク装置500のテーブル510に受け渡される。
【0042】
ブレイク装置500は、テーブル510と、回転機構520と、移動機構530と、ブレイクバー540とを備えている。
【0043】
テーブル510は、平面視において略正方形の形状を有し、上面に、基板10を吸着するための多数の孔を備えている。図示しない空圧源によってテーブル510の孔に圧力が付与される。孔に負圧が付与されることにより、基板10がテーブル510に吸着される。
【0044】
テーブル510は、回転機構520によってZ軸に平行な回転軸の周りに回転可能に支持されている。回転機構520は、テーブル510を回転可能に支持するための支持機構と、テーブル510を回転させるためのモータとを備える。回転機構520は、支持台521に設置され、支持台521とともに、移動機構530によってY軸方向に送られる。
【0045】
移動機構530は、支持台521をY軸方向に平行に案内するための一対のガイド531と、支持台521をY軸方向に平行に駆動するためのボールネジ532と、ボールネジ532を駆動するモータ(図示せず)を備えている。
【0046】
ブレイクバー540は、アーチ状の支持機構541によって、上下に移動可能に支持されている。ブレイクバー540は、モータ542によってZ軸方向に移送される。ブレイクバー540は、一対の軸543によってZ軸方向に案内される。
【0047】
なお、テーブル110、410、510は、X軸方向に直線状に並ぶよう配置されている。
【0048】
ブレイク動作時には、テーブル510に吸着された基板10が、移動機構530によって、ブレイクバー540の下方に位置づけられる。次に、ブレイクバー540が降下し、ブレイクバー540がスクライブラインの位置に押しつけられる。これにより、基板10は、スクライブラインに沿って分断される。こうして、各スクライブラインに沿って基板10が分断される。Y軸方向に平行なスクライブラインが基板10に形成されている場合、テーブル510が90°回転された後、同様の動作によって各スクライブラインに沿って基板10が分断される。
【0049】
図2(a)〜(d)は、それぞれ、搬送体300に設置された清掃ユニット240の構成および動作を模式的に示す側面図である。図2(a)〜(d)には、X軸負側の清掃ユニット240が図示されているが、X軸正側の清掃ユニット240も同様の構成となっている。
【0050】
清掃ユニット240は、ブラシ241と、支持部材242と、シリンダ243と、一対の軸244と、支持部材245とを備えている。
【0051】
ブラシ241は、毛が密集した構成となっており、カレット等の塵埃を除去可能に構成されている。ブラシ241のY軸方向の幅は、吸着ユニット230のY軸方向の幅と略同じである。ブラシ241のY軸方向の幅は、スクライブ装置100のテーブル110に載置され得る基板10のY軸方向の幅よりも大きく設定される。
【0052】
支持部材242は、吸着ユニット230の端部に設置されている。支持部材242は、シリンダ243を支持する。シリンダ243は、エアシリンダであり、空圧源からの圧力によって、駆動軸243aをZ軸正方向に突出させる。駆動軸243aに支持部材245が設置されている。また、支持部材245は、一対の軸244によって、Z軸方向に案内される。一対の軸244は、支持部材245の上面に設置され、支持部材242に形成された孔に挿入されている。支持部材245の下面にブラシ241が設置されている。
【0053】
図2(a)、(b)の状態からシリンダ243に正圧が付与されると、駆動軸243aが下方に突出する。これにより、図2(c)、(d)に示すように、支持部材245とともにブラシ241が降下する。また、図2(c)、(d)の状態からシリンダ243に負圧が付与されると、駆動軸243aが上方に引っ込む。これにより、図2(a)、(b)に示すように、支持部材245とともにブラシ241が上昇する。
【0054】
図2(e)、(f)は、それぞれ、清掃ユニット250の構成および動作を模式的に示す側面図である。
【0055】
清掃ユニット250は、ブラシ251と、支持部材252と、シリンダ253と、一対の軸254と、支持部材255とを備えている。
【0056】
ブラシ251は、毛が密集した構成となっており、カレット等の塵埃を除去可能に構成されている。ブラシ251のY軸方向の幅は、吸着ユニット230のY軸方向の幅と略同じである。ブラシ251のY軸方向の幅は、スクライブ装置100のテーブル110に載置され得る基板10のY軸方向の幅よりも大きく設定される。
【0057】
支持部材252は、地面に設置された支持台(図示せず)に設置されている。支持部材252は、シリンダ253を支持する。シリンダ253は、エアシリンダであり、空圧源からの圧力によって、駆動軸253aをZ軸正方向に突出させる。駆動軸253aに支持部材255が設置されている。また、支持部材255は、一対の軸254によって、Z軸方向に案内される。一対の軸254は、支持部材255の下面に設置され、支持部材252に形成された孔に挿入されている。支持部材255の上面にブラシ251が設置されている。
【0058】
図2(e)の状態からシリンダ253に正圧が付与されると、駆動軸253aが上方に突出する。これにより、図2(f)に示すように、支持部材255とともにブラシ251が上昇する。また、図2(f)の状態からシリンダ253に負圧が付与されると、駆動軸253aが下方に引っ込む。これにより、図2(e)に示すように、支持部材255とともにブラシ251が降下する。
【0059】
図3(a)は、搬送装置200の構成を示すブロック図である。
【0060】
搬送装置200は、搬送部201と、図1に示した搬送体300と、圧力付与部202と、基板清掃部203と、検出部204と、制御部205とを備える。
【0061】
搬送部201は、基板10を、スクライブ装置100のテーブル110から回転装置400のテーブル410へと搬送する。搬送部201は、図1に示した搬送レール210、ベルトコンベア211および昇降機構220を含んでいる。
【0062】
搬送体300は、テーブル清掃部301と吸着部302とを備える。テーブル清掃部301は、図1のテーブル110、410を清掃する。テーブル清掃部301は、図1に示した2つの清掃ユニット240を含んでいる。吸着部302は、図1に示した吸着ユニット230を含んでいる。
【0063】
圧力付与部202は、空圧源を含み、搬送体300および基板清掃部203に圧力を付与する。基板清掃部203は、基板10の下面を清掃する。基板清掃部203は、図1に示した清掃ユニット250を含んでいる。検出部204は、搬送体300の位置を検出するためのセンサ等の各種センサを含んでいる。制御部205は、CPU等の演算処理回路や、ROM、RAM、ハードディスク等のメモリを含んでいる。制御部205は、メモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御する。
【0064】
図3(b)は、搬送装置200の搬送制御を示すフローチャートである。この制御は、図3(a)に示した制御部205が実行する。以下、制御部205による搬送制御を、適宜、図4(a)〜図9(b)を参照して説明する。図4(a)〜図9(b)は、それぞれ、搬送装置200の動作を模式的に示す側面図である。
【0065】
なお、以下では、スクライブ装置100のテーブル110のことを、特に、第1テーブル110と称し、回転装置400のテーブル410のことを、特に、第2テーブル410と称する。また、搬送体300に配置された2つの清掃ユニット240のうち、基板10の搬送方向後ろ側(X軸負側)の清掃ユニット240のことを、特に、第1清掃ユニット240と称し、基板10の搬送方向前側(X軸正側)の清掃ユニット240のことを、特に、第2清掃ユニット240と称する。さらに、清掃ユニット250のことを、特に、第3清掃ユニット250と称する。
【0066】
基板10の搬送動作開始される直前において、搬送体300は、第1テーブル110と第2テーブル410との間の中間位置(初期位置)に位置付けられている。この状態において、搬送体300は、昇降機構220によって上昇位置に位置付けられ、第1清掃ユニット240および第2清掃ユニット240のブラシ241は、それぞれ、上昇位置に位置付けられている。また、第3清掃ユニット250のブラシ251は、降下位置に位置付けられている。
【0067】
搬送動作が開始すると、制御部205は、図4(a)に示すように、搬送体300を、第1テーブル110の上方に移送する(S101)。次に、制御部205は、搬送体300を降下させて吸着ユニット230の下面を基板10の上面に重ね、さらに、吸着ユニット230に基板10の上面を吸着させる(S102)。その後、制御部205は、図4(b)に示すように、搬送体300を上昇させる(S103)。これにより、基板10が、第1テーブル110から持ち上げられる。
【0068】
次に、制御部205は、図5(a)に示すように、第1清掃ユニット240のブラシ241を降下させ、また、第3清掃ユニット250のブラシ251を上昇させる(S104)。これにより、第1清掃ユニット240のブラシ241の下端が第1テーブル110の上面よりもやや下方に位置付けられ、また、第3清掃ユニット250のブラシ251の上端が、吸着ユニット230に吸着された基板10の下面よりやや上方に位置付けられる。
【0069】
その後、制御部205は、搬送体300を第2テーブル410に向かう方向(X軸正方向)に移送させる(S105)。これにより、図5(b)に示すように、第1清掃ユニット240のブラシ241が、第1テーブル110の上面に当接しながら移動する。こうして、第1テーブル110の上面が清掃される。また、第3清掃ユニット250のブラシ251が、基板10の下面に当接しながら基板10に対して相対的に移動する。こうして、基板10の下面が清掃される。
【0070】
その後、制御部205は、搬送体300の移送を進めながら、図6(a)に示すように、第2清掃ユニット240のブラシ241を降下させる(S106)。これにより、第2清掃ユニット240のブラシ241の下端が第2テーブル410の上面よりもやや下方に位置付けられる。さらに、搬送体300の移送が進むと、図6(b)に示すように、第2清掃ユニット240のブラシ241が、第2テーブル410の上面に当接しながら移動する。こうして、第2テーブル410の上面が清掃される。
【0071】
次に、制御部205は、図7(a)に示すように、第1清掃ユニット240のブラシ241を上昇させ、第3清掃ユニット250のブラシ251を降下させる(S107)。これにより、第1清掃ユニット240のブラシ241の下端が第1テーブル110の上面よりもやや上方に位置付けられ、また、第3清掃ユニット250のブラシ251の上端が、吸着ユニット230に吸着された基板10の下面よりやや下方に位置付けられる。
【0072】
図7(b)に示すように、搬送体300を第2テーブル410の上方まで移送すると、制御部205は、図8(a)に示すように、第2清掃ユニット240のブラシ241を上昇させる(S108)。これにより、第2清掃ユニット240のブラシ241の下端が第2テーブル410の上面よりもやや上方に位置付けられる。
【0073】
次に、制御部205は、搬送体300を降下させて基板10の下面を第2テーブル410の上面に重ね、さらに、吸着ユニット230に基板10の吸着を解除させる(S109)。その後、制御部205は、図8(b)に示すように、搬送体300を上昇させる(S110)。これにより、基板10が、第2テーブル410の上面に載置される。こうして、1つの基板10に対する搬送動作が終了する。
【0074】
図8(b)に示すように、次の基板10が第1テーブル110に載置されている場合、制御部205は、図3(b)のステップS101に戻って、次の基板10に対する搬送制御を実行する。これにより、図9(a)に示すように、搬送体300が、第1テーブル110の上方に移送される。図8(b)の状態において、次の基板10が第1テーブル110に載置されていない場合、制御部205は、搬送体300を、第1テーブル110と第2テーブル410との間の初期位置に移送する。
【0075】
その後、回転装置400のテーブル410が、基板10を吸着した状態で、図9(b)に示すように、支軸420を中心に時計方向に回転する。これにより、基板10が、上下に反転した状態で、ブレイク装置500のテーブル510に受け渡される。その後、基板10に対するブレイク動作が実行される。
【0076】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0077】
搬送体300が、基板10を保持して第1テーブル110から第2テーブル410へと搬送する工程において、図5(b)に示すように、第1清掃ユニット240のブラシ241が第1テーブル110の上面に接触する。したがって、第1清掃ユニット240のブラシ241は、基板10の搬送に伴い、第1テーブル110の上面に接触しながら移動し、第1テーブル110の上面を清掃する。これにより、たとえば、第1テーブル110の上面にスクライブ動作によるカレット等が散在していたとしても、第1清掃ユニット240のブラシ241によって、第1テーブル110からカレット等が除去される。したがって、本実施形態に係る搬送体300によれば、搬送体300に第1清掃ユニット240を配置するといった簡素な構成により、円滑に、第1テーブル110の上面を清掃できる。
【0078】
第1清掃ユニット240は、ブラシ241(第1清掃具)と、ブラシ241を第1テーブル110の上面に対して接触および離間させるシリンダ243(第1駆動部)と、を備えている。これにより、第1テーブル110の上面を清掃する期間以外において、図7(a)に示すように、第1清掃ユニット240のブラシ241を上方に退避させることができる。よって、ブラシ241が搬送体300の搬送に支障となることを抑止できる。
【0079】
搬送体300は、基板10の搬送方向(X軸正方向)の前側に、第2清掃ユニット240を備えている。これにより、基板10を保持して第1テーブル110から第2テーブル410へと搬送する工程において、図6(b)に示すように、第2清掃ユニット240のブラシ241が第2テーブル410の上面に接触する。したがって、第2清掃ユニット240のブラシ241は、基板10の搬送に伴い、第2テーブル410の上面に接触しながら移動し、第2テーブル410の上面を清掃する。これにより、たとえば、第2テーブル410の上面にカレット等が散在していたとしても、第2清掃ユニット240によって、第2テーブル410からカレット等が除去される。したがって、簡素な構成により、円滑に、第2テーブル410の上面を清掃できる。
【0080】
第2清掃ユニット240は、ブラシ241(第2清掃具)と、ブラシ241を第2テーブル410の上面に対して接触および離間させるシリンダ243(第2駆動部)と、を備えている。これにより、第2テーブル410の上面を清掃する期間以外において、図8(a)に示すように、第2清掃ユニット240のブラシ241を上方に退避させることができる。よって、ブラシ241が搬送体300の搬送に支障となることを抑止できる。
【0081】
搬送装置200は、第1テーブル110と第2テーブル410との間の搬送経路に配置された第3清掃ユニット250を備えている。これにより、基板10を第1テーブル110から第2テーブル410へと搬送する工程において、図5(b)に示すように、第3清掃ユニット250のブラシ251が基板10の下面に接触する。したがって、第3清掃ユニット250のブラシ251は、基板10の搬送に伴い、基板10の下面に接触しながら基板10に対して相対的に移動し、基板10の下面を清掃する。これにより、たとえば、基板10の下面にカレット等が付着していたとしても、第3清掃ユニット250によって、基板10の下面からカレット等が除去される。したがって、簡素な構成により、円滑に、基板10の下面を清掃できる。
【0082】
第3清掃ユニット250は、ブラシ251(第3清掃具)と、ブラシ251を基板10の下面に対して接触および離間させるシリンダ253(第3駆動部)と、を備えている。これにより、基板10の下面を清掃する期間以外において、図7(a)に示すように、ブラシ251を下方に退避させることができる。よって、ブラシ251が搬送体300の搬送に支障となることを抑止できる。
【0083】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0084】
たとえば、上記実施形態では、ブラシ241およびブラシ251が、それぞれ、シリンダ243およびシリンダ253によって昇降可能であったが、ブラシ241が上記実施形態の降下位置に固定され、また、ブラシ251が上記実施形態の上昇位置に固定されていてもよい。この構成によっても、搬送体300の移送に伴い、第1テーブル110および第2テーブル410の上面と、基板10の下面を、それぞれ、ブラシ241とブラシ251によって清掃できる。
【0085】
また、上記実施形態では、スクライブ装置100のテーブル110から回転装置400のテーブル410に基板10が搬送されたが、搬送元のテーブルと搬送先のテーブルは、必ずしも、これに限られるものではない。たとえば、搬送先のテーブルが、ブレイク装置500のテーブル510であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、第1清掃ユニット240および第2清掃ユニット240と、第3清掃ユニット250の3つの清掃ユニットが配置されたが、必ずしも、これら3つの清掃ユニットの全てが必須でなくてもよい。たとえば、第2テーブル410の上面を清掃せず、あるいは、第2テーブル410の上面を他の清掃手段によって清掃する場合は、搬送体300から第2清掃ユニット240を省略してもよい。あるいは、基板10の下面を清掃せず、あるいは、基板10の下面を他の清掃手段によって清掃する場合は、第3清掃ユニット250を省略してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、図8(a)〜図9(a)に示すように、搬送体300を第1テーブル110の方向に戻す場合に、X軸正側の第2清掃ユニット240のブラシ241を上昇させたが、第2清掃ユニット240のブラシ241を降下させたまま搬送体300を第1テーブル110の方向に移送して、第2テーブル410に載置された基板10の上面を、第2清掃ユニット240のブラシ241で清掃するようにしてもよい。この場合、第2清掃ユニット240のブラシ241で基板10の上面を清掃する工程において、基板10は、ブラシ241の接触によって位置ずれしないように、第2テーブル410によって吸着されていることが好ましい。
【0088】
また、上記実施形態では、図8(b)〜図9(a)に示すように、搬送体300を第1テーブル110の方向に戻す場合に、X軸負側の第1清掃ユニット240のブラシ241を上昇させた状態に維持したが、第1清掃ユニット240のブラシ241を降下させた状態で、搬送体300を第1テーブル110の方向に移送して、第1テーブル110の上面を、再度、第1清掃ユニット240のブラシ241で清掃するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ブラシ241およびブラシ251の昇降をシリンダ243およびシリンダ253を用いて行ったが、たとえば、モータやプランジャ等の他の駆動源を用いて、ブラシ241およびブラシ251を昇降させてもよい。また、テーブル110、410および基板10を清掃するための清掃具は、ブラシ241、251に限らず、スポンジ等の他の清掃具であってもよい。
【0090】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 スクライブシステム
10 基板
100 スクライブ装置
110 テーブル(第1テーブル)
140 スクライブヘッド
200 搬送装置
201 搬送部
240 清掃ユニット(第1清掃ユニット、第2清掃ユニット)
250 清掃ユニット(第3清掃ユニット)
300 搬送体
410 テーブル(第2テーブル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9