特許第6842704号(P6842704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842704
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】カバー及び保護のデバイス
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/06 20060101AFI20210308BHJP
   B60J 11/04 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   E04H15/06
   B60J11/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-564545(P2017-564545)
(86)(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公表番号】特表2018-524499(P2018-524499A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】IB2016052722
(87)【国際公開番号】WO2016198972
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2019年4月10日
(31)【優先権主張番号】102015000021750
(32)【優先日】2015年6月9日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517428171
【氏名又は名称】ベラチーニ,ジュセッペ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベラチーニ,ジュセッペ
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−157372(JP,A)
【文献】 特開2001−105890(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0178618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/00 − 15/64
B60J 11/00 − 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーデバイス(1)であって、
巻き取られた形状および広げられた形状をとることに適したカバー(2)と、
ケース(4)を下底面(6)に対して持ち上げた状態に保持するスタンド(5)上へ置かれることに適した硬質なケース(4)とを備え、
前記ケース(4)は、
前記カバー(2)の少なくとも大部分が巻き取られた形状で前記ケース(4)内に包含されるところの閉鎖された形状と、
前記カバーが、外に出てほどけると共に前記ケース(4)の周りへ半径方向(K)に広がり、巻き取られた形状から広げられた形状になって前記カバーの下で且つ前記下底面(6)と当該カバー(2)との間に含まれる空間エリアをカバーするところの開放された形状と、
をとることに適している、ことを特徴とするカバーデバイス(1)。
【請求項2】
カバーされる空間領域を上方から見た平面投影図は、略円形もしくは略楕円形、または擬似的な略楕円形状を有する、請求項1に記載のカバーデバイス(1)。
【請求項3】
前記カバーの広げられた形状において前記カバーの骨組として作用することに適していると共に、前記巻き取られた形状で巻き上がることに適した、前記カバー(2)の少なくとも1つの補強エレメント(8)を備える、請求項1又は2に記載のカバーデバイス(1)。
【請求項4】
前記補強エレメント(8)は、前記カバー(2)と一体である複数の弾性バンド(8a、8b、8c)を含み、これら弾性バンドは、前記広げられた形状においては前記ケースから半径方向へカバーの周囲(21)へ向かって広がり、前記巻き取られた形状においては螺旋状に巻き取られ、よって、前記複数の弾性バンド(8a、8b、8c)の弾性力は、前記カバー(2)の巻取り、又はその逆の前記カバー(2)の拡張に必要な力に寄与する、請求項3に記載のカバーデバイス(1)。
【請求項5】
前記カバー(2)は、可撓性材料で且つ流体封止材料製の少なくとも1つの内室(9)を備え、
当該カバーデバイス(1)は、前記カバーのインフレーションデバイスと、デフレーションデバイスとを含み、前記インフレーションおよびデフレーションデバイスは、前記内室(9)へ導入される又は前記内室(9)から除去される流体によって前記カバー(2)を膨張および収縮させるべく、前記少なくとも1つの内室(9)と流体連通している、
請求項1〜4の何れかに記載のカバーデバイス(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの内室(9)は、周囲のシール接合部(21a)に沿って互いに接合される可撓性で且つ流体封止性材料製の少なくとも2つの層(22、23)の間に配置された空間として作られている、請求項5に記載のカバーデバイス(1)。
【請求項7】
前記カバー(2)は、前記広げられた形状において、前記ケース(4)から半径方向に離隔される外周部(21)によって外側を画定されると共に、内周セグメント(24)によって内側を画定される可撓性材料の布であり、
前記内周セグメント(24)は、前記ケース(4)の内部に位置決めされていると共に、前記巻き取られた形状において前記カバー(2)が周りに巻かれる回転可能な巻取りサポート(30)へ連結されている、請求項1〜6の何れかに記載のカバーデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、保護カバーに関する。具体的には、本発明は、天候から、または破壊行為による損傷から空間領域を保護するためのカバーデバイスに関する。本カバーデバイスは、例えば、陸上、海上もしくは空中の乗物を保護する、または大規模に、仕事場または展示エリアを保護することを意図したものである。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、屋外に駐車される自動車、ボートまたはトラックを覆って悪天候から保護することに適する様々なタイプの布が知られている。さらに、例えば建設中のより広いエリアもしくは土木工事の保全現場を覆うために、または展示会もしくは見本市の訪問者を保護するために、より大きなサイズの布が特別なフレームに取り付けられることが知られている。
【0003】
しかしながら、この種の布は、費用がかかり、長時間の組立および分解作業を必要とし、起こりうる破壊行為の防止に適していない。実際に、上述の布は、概して可撓性プラスチック材料(例えばPVC)製であって、作業者は、布を開いて、これを覆われるべきエリアの周りまたは上に広げ、次には、これが結びつけられるフレームから外れないようにケーブルまたはロープでその周囲を固定しなければならないことから、実用的ではない。さらに、この布が役目を終えると、布をフレームからほどいて手作業で折り畳み、ケースに入れて、または保管場所で保管する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上述の欠点を克服して、カバーを開閉すること並びにそれをそのケース/保管場所に配置することを迅速かつ容易にしつつ、天候から、または起こり得る破壊行為から空間領域を保護することに適したカバーデバイスを提供することにある。
【0005】
この目的は、請求項1に記載のカバーデバイスによって達成される。従属請求項は、実施形態の変形例を記載している。
【0006】
本発明の特徴および優位点は、添付の図面に従って非限定的な例として提示されている、以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態における、とりわけ自動車の屋根の上に位置合わせされている閉鎖された形状(閉じ形態)のカバーデバイスを概略的に示している。
図2図2は、本発明の一実施形態における、カバーが広げられている、開放された形状(開き形態)のカバーデバイスを概略的に示している。
図3図3は、本発明の実施形態の一変形例における、カバーが開放されて広げられた形状のカバーデバイスを示す平面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態における、カバーがほぼ巻き上げられて、ほぼ完全に閉鎖された形状のカバーデバイスを示す正面断面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態における、図3の詳細部分を示す。
図6図6は、本発明の一実施形態における、カバーがほぼ完全にほどかれた状態の、カバーを巻き取る一段階における巻取りサポート、巻取りデバイスおよびカバーの正面断面での概略図である。
図6a図6aは、本発明の一実施形態による、渦巻形弾性バンドの概略正面図である。
図6b図6bは、本発明の一実施形態による、弾性バンドの断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態における、固定スリーブの近傍における巻取りサポートの一部分、および巻取りサポートに巻き取られたカバーの一部分の部分的に正面断面での概略図である。
図8図8は、本発明の一実施形態における、カバーの内室へと運ばれる流体を導入するための入口を備える、固定スリーブに近接した巻取りサポートのモジュール部分を示す概略断面図である。
図8a図8aは、本発明の一実施形態における、カバーの内室へと運ばれる流体を導入するための入口を備える、固定スリーブに近接した巻取りサポートのモジュール部分を示す概略断面図である。
図8b図8bは、本発明の一実施形態における、カバーの内室から流体を排出するための出口を備える、固定スリーブに近接した巻取りサポートのモジュール部分を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の諸図面によれば、1は、カバーデバイス全体を示し、カバーデバイス1は、巻き取られた形状(巻取り形態)および広げられた形状(展開形態)をとることに適したカバー2と、ケース4を下底面6に対して持ち上げられた状態に保つサポート5上へ位置合わせされることに適した剛性ケース4とを備える。ケース4は、カバー2の少なくとも大部分が巻き取られた形状でこのケース4内に含まれるところの閉鎖された形状(例えば、図1に示す)をとることに適する。
【0009】
好ましくは、巻き取られた形状のカバー2は、閉鎖された形状(閉じ形態)のケース4の内部に完全に収納される。
【0010】
ケース4が開放された形状(開き形態)をとると、カバー2は、適切に外へ出てほどけ、ケース4の周りを半径方向Kへと広がり、巻き取られた形状から広げられた形状へと変わってカバー2より下で、且つ下底面6とカバー2自体との間に含まれる空間領域を覆う。カバーの広げられた形状の一例は、図2に示されていて、カバーは、ケースから半径方向へ広がって「傘」状のカバーリングを形成し、自動車の一部を覆っている。
【0011】
一実施形態において、カバーは、少なくとも2つの主たる半径方向K、Wに沿って、ケース4の中心に対して対称的にケース4の周りにほどけ、かつ広がることにより外へ出ることに適する。ケースの中心は、例えば、主たる2方向K、Wの交点である。例えば、カバーが円形である場合、これは、水塊に投げ込まれた石によって発生する波が石の中心から放射状に伝播するのと同じように、ケース4の中心に対して放射状かつ対称に広がる。
【0012】
好ましくは、覆われる空間領域を上から見た平面投影図は、略円形もしくは略楕円形、または擬似楕円形の形状を有する。換言すれば、覆われる空間領域の基部の周囲は、略円形もしくは楕円形、または擬似楕円形の形状である。擬似楕円形とは、形状は楕円に近似され得るが、例えば、その主軸に対して楕円の正準対称性を持たないこと、または、それが、例えば反対の両側が平行であって平坦な形状を呈することに起因して、楕円とは異なることを意味する。
【0013】
好ましくは、本デバイスは、その広げられた形状でカバーの骨組として作用するのに適し且つ巻き取られた形状における巻取りに適する、少なくとも1つのカバーの補強エレメント8を備える。
【0014】
例えば、補強エレメント8は、カバー2と一体である複数の弾性バンド8a、8b、8cを備え、これらのバンドは、カバーの広げられた形状においてケースから半径方向へカバーの周囲21へ向かって広がり、かつカバーが巻き取られた形状において(例えば、図6aに示すように)螺旋に巻き取られ、よって、前記複数の弾性バンド8a、8b、8cの弾力は、カバー2を巻き取る段階、またはその逆のカバーを広げる段階に必要な力に寄与する。言い替えれば、静止状態(休止状態)にある弾性バンド8a、8b、8cが自然に開放された形状(展開形態)をとっていれば、それらが螺旋状に巻き取られると、弾性エネルギーを蓄え、ケースがその広げられた形状になるやいなやこの弾性エネルギーが解放され、カバーが広がってその広げられた形状へと至る手助けをする。逆に、別の実施形態では、静止状態(休止状態)にある弾性バンド8a、8b、8cが自然に螺旋形状をとっていれば、カバーを広げる段階でこれらが広げられると、カバーの巻取り段階を手助けするために解放することができる弾性エネルギーが蓄えられる。
【0015】
好ましくは、弾性バンドは、(例えば、図6aに示すような)螺旋形状の鋼ばねであって、例えば、巻取り式ローラシャッタに使用される薄い矩形断面(図6b参照)を有する金属ストリップばねと同じタイプである。
【0016】
ある実施形態において、カバー2は、流体不浸透性の可撓性材料で作られた少なくとも1つの内室9を備える。この実施形態には、内室9内に導入される又は内室9から除去される流体によってカバー2を膨張させかつ収縮させるための、内室9と流体連通するカバーのインフレーションデバイスおよびデフレーションデバイスが存在する。好ましくは、例えば図5を参照すると、インフレーションデバイスおよびデフレーションデバイスは、内室9と流体連通するコンプレッサ10と、膨張の場合には膨張流体をコンプレッサ10から内室9へと方向づけると共に収縮の場合には内室9からコンプレッサ10へと方向づけることに適するバルブ手段50とを備えてなる単一のデバイス内に作られている。膨張流体は、あらゆるタイプの圧縮性または非圧縮性流体、例えば空気、であってもよい。
【0017】
好ましくは、カバー2は、(例えば図3のような)上方からの平面図では、広げられた形状においてケース4に対し半径方向へ離隔されるカバーの外周21によって外側を画定される可撓性材料製の布である。内部的には、その布は、ケース4の内部に配置された内周セグメント24であって、巻き取られた形状においてカバー2が周りに巻き取られる回転可能な巻取りサポート30へ接続される内周セグメント24によって画定される。内周セグメント24は、好ましくは、各々の端部に沿って互いに接合され、単一の内周を形成する。
【0018】
ケース4は、好ましくはボックス形状であり、底壁4bへ接合される側壁4aと、ケースの開放を可能にする取外し可能な蓋4cとを有する。更に、閉鎖された形状において、蓋4cは、水が浸透する可能性を防止するためにケース4を密閉する。
【0019】
好ましくは、剛性ケース4の開閉は、開/閉デバイスによって行われ、当該開/閉デバイスは、カバー2を巻き取られた形状から広げられた形状へ推移する際にケース4から解放することを可能にし、且つカバーが巻き取られた形状になるとケースを閉じる。さらに、好ましくは、開/閉デバイスは、電動デバイスである。
【0020】
例えばケースの開/閉デバイスの一実施形態において、蓋4cは、(例えば図4に示すように)ケースからカバーを解放することができるように、側壁の端部4a’と蓋自体との間の空間を開放すべく垂直方向Zに沿って平行移動可能である。
【0021】
この構成において、好ましくは、蓋は、ケース4を開閉するために蓋の垂直方向Zへの平行移動を可能にするのに適したアクチュエータ60と動作的に連結される。
【0022】
好ましくは、蓋の側壁4aは、底壁4bに対して鈍角αだけ傾斜している。この実施形態において、カバー2は、カバーを広げる段階の間および巻取り段階の間の双方で側壁4aの内面に沿って滑動し、よって、拡張段階におけるカバー2の外側への解放が促進されかつ整然としたものになる。言い替えれば、ケースの側壁4aは、カバーの滑動ガイドとして作用する。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態では、上方からの平面図において、カバーは、略円形の冠形状を有し、円形の冠の内孔は、ケース4内に収容される。
【0024】
乗物(陸上または海上の乗物を問わず)を覆うためのものである場合、円形の冠形状は、乗物の異なる長さおよび幅に適合するように変更される。例えば、自動車の場合、長さが幅よりも大きく、よって必然的に、円形の冠の「ドーナツ」形状は、(例えば、図3に示すように)例えば略直線である2つの対向する外周辺21a、21bを有する疑似楕円形状をとり、よって、広げられた形状のカバーを上から見た平面図では、これらの2辺に垂直な方向Wに沿って計算される対向する外周辺21a、21b間の距離は、カバーされる車両の幅以上であり、一方で、方向Wに垂直な方向Kにおいて、カバーは、好ましくは、少なくとも車両の長さに等しい長さを有する。例えば、対向する外周辺21a、21bの間の距離は、カバー2が(図2のように)「傘」形状をとる場合、このようなカバー2が、上部および側面周囲の双方を含む車両全体を包み込むように、車両の屋根の長さと車両側面の高さとの和に略等しい。
【0025】
好ましくは、内室9は、カバーの周囲21の近傍において、周囲のシール接合部21a’に沿って互いに接合される可撓性かつ流体不浸透性材料製の少なくとも2つの層22、23の間に置かれる空間として作られる。例えば、2つの層22、23は、円形の冠の外周に縫い付けられる、または溶接される、かつその円形の内周が内周セグメント24によって形成される、サンドイッチを形成すべく重ね合わされた円形の冠形状を有する2つの布である。
【0026】
ある実施形態において、内室は、カバー2を構成する布の内側に挿入され、一方で、別の好ましい実施形態において、内室を構成する2つの層22、23は、カバー2を構成する2つの層でもある。具体的には、前記2層のうちの一方22は、下底面6に面するカバー外側の下層であり、もう一方の層23は、反対方向に(例えば、空に向って)面する外側の上層である。言い替えれば、層22、23の外面は、外向きであってカバー2を構成し、一方でこれらの層の内面は、内室9を画定し、よって内室9は、層22、23の内面、周囲のシール接合部21a’および内周セグメント24によって画定される。
【0027】
内室9は、適切な半径方向ジョイント25によって互いから分離される幾つかの内室9a、9bに分割されることが可能である。
【0028】
好ましくは、カバーデバイス1は、滑動方向Xに移動されることに適した緊張ベルトまたは緊張バンド41であって、カバー2と(例えば、内室9を構成する2つの層22、23の一方と)接触して係合することに適した接触面41aを有する緊張ベルトまたは緊張バンド41を含む少なくとも1つの巻取りデバイス40も備えており、よって、ベルトまたはバンド41が移動する間、カバーは、回転しながら引っ張られて巻取りサポート30の周りに巻き取られ、ロール50が形成される。したがって、接触面41aは、巻取り50の間、前記ロールに接したままである(図6は、巻取り段階の一例を示す)。
【0029】
また、巻取りデバイス40は、緊張ベルトまたはバンド41による滑動方向Xへの動きを印加するようにベルトまたはバンド41へ(例えば伝達手段を介して)作動的に連結されたアクチュエータ42をも提供する。
【0030】
好ましくは、回転可能な巻取りサポート30は、モジュール方式で作られ、かつ互いに隣接する複数のスリーブ31、32、33、34、35、36を備える。1つのスリーブの2つの端は、各々、隣接するスリーブの端へ、主軸Qを中心として、例えばこれらの2つの端を結ぶ軸または2つの端の中心を通る軸を中心として回転可能に連結される。かくして、互いに回転可能に係合されるスリーブのチェーン(鎖)が生成され、周りにカバー2が巻き取られる巻取りサポート30が形成される。
【0031】
好ましくは、カバーの内周セグメント24の各々は、個々のスリーブへ接合される。この方法では、スリーブが回転式に配置されることから、カバーは、スリーブの周りで、延ては巻取りサポート30の周りで引っ張られてこれに巻き取られる。
【0032】
好ましくは、巻取りサポート30は、湾曲した形状を有し、かつ底壁4bの近傍でケース4内に収容されるが、より好ましくは、巻取りサポート30は、環形状を有する。言い替えれば、スリーブチェーンは、隣接するスリーブに対してスリーブの相互回転を可能にするジョイントにより互いに接合される複数の隣接するスリーブによって形成される。
【0033】
巻取りサポート30を形成する互いに回転可能に係合されるスリーブチェーンのモジュール部分が、例えば図8図8bに示されている。
【0034】
好ましくは、各スリーブは、スリーブの右端31b、32b、33bと左端31a、32a、33aとの間を左右に貫通する空胴(cavity)300、301、302を囲む。各空胴301は、右端32bに隣接するスリーブ33の空胴302、左端32aに隣接するスリーブ31の空胴300、そして好ましくは、カバー2の内室9または副室9a、9bとも流体連通する。さらに、少なくとも1つのスリーブは、インフレーションおよびデフレーションデバイスと流体連通する。
【0035】
結果的に、各スリーブの空胴を互いに流体連通させるスリーブチェーンは、内部で流体を循環させることが可能な略管形状の巻取りサポート30を作り上げる。さらに、少なくとも1つのスリーブは、カバー2の少なくとも1つの内室9と流体連通していることから、スリーブチェーンは、膨張および収縮を可能にするための、カバーの内室9a、9bに向かう流体の分配回路を実現する。
【0036】
好ましくは、スリーブは、プラスチック材料または金属またはゴムで製造される。例えば、これらは、ゴム製またはPVC製の小管であってもよい。さらに、好ましくは、各スリーブは、カバーと一体である個々の弾性バンド8a、8bへ接合される。具体的には、各弾性バンドは、図6に示すように、その一方の端81aに沿って、スリーブ自体の内部空胴を画定するスリーブの内壁400へ固定される。スリーブと弾性バンドとの合体は、機械的な固定手段(ねじ、ボルト、等)によって、またはインターロッキング(相互連結具)、接着または溶接によって行われてもよい。
【0037】
ある実施形態において、互いに隣接する複数のスリーブは、雄スリーブ32、35と雌スリーブ31、33、34、36とが交互する繰り返しを含み、雄スリーブの右端32bは、雄スリーブ32の右側に隣接する雌スリーブ33の左端33a上に形成される左側の穴33a’へと挿入され、雄スリーブ32の左端32aは、雄スリーブ32の左側に隣接する雌スリーブ31の右側31b上に形成される右側の穴31b’へと挿入される。
【0038】
雄スリーブ32の右端32bおよび左端32aは、各々、空胴301への各入口(右側32b”および左側32a”)の周りに放射状に突き出す右側の環状壁32b’および左側の環状壁32a’を備える。これらの右側および左側の環状壁32b’および32a’は、各々、雄スリーブ32の右に隣接する雌スリーブ33および左に隣接する雌スリーブ31からの逃げを防止する。さらに、各環状壁32b’、32a’は、上に各々雌スリーブ33および31の左側の穴33a’および右側の穴31b’が形成される左側の頭壁330および右側の頭壁320と個々に当接して内側へ動くことに適する。したがって、これらの右および左の頭壁320および330は、左および右の環状壁32a’および32b’の、それぞれ右側の穴31b’および左側の穴33a’からの逃げを防止する。
【0039】
好ましくは、各雌スリーブ31、33は、空胴300、302の内部に、互いに隣接するところの、少なくとも1つの左側の副室300a、302aと、中央の副室300b、302bと、右側の副室300c、302cとを含む。左側の副室300a、302aは、左側の頭壁321、330と、左側の頭壁321、330に対して平行に且つ軸方向Qの内側へ離隔される第1の左側のシール壁322、332との間に画定される。右側の副室300c、302cは、右側の頭壁320、331と、右側の頭壁320、331に対して平行に且つ軸方向Qの内側へ離隔される第1の右側の封じ込め壁323、333との間に画定される。中央の副室300b、302bは、右側の副室300c、302cと左側の副室300a、302aとの間に挟まれている。左側のシール壁322、332には、左側の副室300a、302aと中央の副室300b、302bとの流体連通を可能にする少なくとも1つの穴322a、332aが形成される。また、この左側のシール壁322、332は、加圧された流体がインフレーション手段を介してスリーブの空胴に導入される場合に、雄スリーブの環状壁32b’を密封当接して受け入れることにも適する。右側の封じ込め壁323、333には、右側の副室300c、302cと中央の副室300b、302bとの流体連通を可能にする少なくとも1つの穴323a、333aが形成される。また、右側の頭壁320、331は、加圧された流体がインフレーション手段を介してスリーブの空胴に導入される場合に、雄スリーブの左側の環状壁32a’、33’を密封当接して受け入れることにも適する。
【0040】
好ましくは、複数のスリーブのうちの少なくとも1つのスリーブ31、36は、ハードケース(硬質なケース)4を画定し且つチェーンを形成する複数のスリーブを支持する機能を有する壁4a、4bの一方へ固定して繋ぎ留められる。例えば、第1の固定スリーブは、雌型スリーブ31であって、インフレーションデバイスから到来する加圧流体を出力するために中央の副室300bの壁上に形成される取入れ口310を有する。第2の固定スリーブ36は、カバーの内室9、9a、9bから到来する加圧流体を排出するために中央の副室306bの壁上に作られる吐出し口360を有する雌スリーブである。
【0041】
固定スリーブ31、36の各々において、カバー2は、半径方向に沿って延びる開口200を有する。具体的には、これらの固定スリーブは回転できないことにより、カバーは、これらの固定スリーブ31、36へ接合されない。言い替えれば、カバーの周囲セグメント24は、固定スリーブ31、36へ接合されず、これらに隣接する雄スリーブ32、35へ接合される。したがって図7に示すように、カバー2には、各固定スリーブに跨って、少なくとも固定スリーブの右端31bと左端31aとの距離に等しい幅Dを有する主に半径方向の延長部を有する開口の形の不連続部が存在する。この方法において、固定スリーブの存在は、図7の矢印500で示される巻取り方向へのカバーの巻き取りを妨げない。カバー2が広げられた形状にあるとき、この開口200は、開口200の縁200a、200bを互いに密着するまで引き合わせることを可能にするカバー2の膨張段階によって塞がれる。図3に示すように、好ましくは、開口200は、カバーの外周21までは延びず、巻き取られることになるカバー部分のみに延びている。
【0042】
好ましくは、第1の固定スリーブ31の中央の副室300bの内部には、取入れ口310から到来する液体の流れを空胴301の左側の入力32a”へ向けて、かつ隣接する右側の雄スリーブ32の左側の環状壁32a’上へ運ぶための案内壁311が作られている。この方法において、液体の流れは、空胴201に(かつ必然的に流体分配回路全体に)入ることに加えて、雄スリーブ32の左側の環状壁32a’を隣接する右側の頭壁320へ当接して押し付ける。したがって、左側の環状壁32a’は、右側の頭壁と密封当接状態になり、取入れ口310から到来する加圧流体は、空胴301のみに向けて送られる。その結果、雄スリーブ32が平行移動すると、右側の環状壁32b’も左側のシール壁332と密封当接した状態になり、よって、流体は、隣接する次の雌スリーブの中央の副室302bへ向かって流れ続けることができる。この形は、隣接する雄スリーブおよび雌スリーブのペア毎に繰り返され、よって必然的に、加圧流体の流れが取入れ口310から入り始めると、(例えば、図8aに示すように)各雄スリーブの左側の環状壁32a’、33’が各々隣接する雌スリーブ31、33の個々の右側の頭壁320、331に当接し且つ各雄スリーブの右側の環状壁32b’が隣接する雌スリーブ33の個々の左側のシール壁332に当接するまで、チェーンの雄スリーブによる軸方向Qの右側へのシフトが存在する。第2のスリーブ36の中央の副室306bの内部には、(例えば、図8bに示すように)内室9、9a、9bから到来する液体の流れを吐出し口360へと送って流体を排出しかつ内室9、9a、9bを収縮させるための他の案内壁361が形成されている。内室の収縮は、例えば、デフレーションデバイスのコンプレッサ10を介して強行される。収縮の間、スリーブ間の密封は、図8図8aおよび図8bに示す矢印から明らかであるように、流体の流れの方向が同じであることを所与として、上述の膨張段階と同じ方法で保証される。結果的に、インフレーション手段によって流体がスリーブに導入される段階について説明したことは、デフレーション手段によって流体がスリーブから抜き取られる場合、延ては、より一般的に、流体が膨張段階または収縮段階において循環される場合、にも当てはまる。
【0043】
ある実施形態において、互いの上に存在する又は互いに当接する壁は、密封性を高めるためにこれらの壁の間に置かれる少なくとも1つのガスケット600を備え、例えば、ガスケットは、左側の環状壁32a’と右側の頭壁320との間に置かれ、好ましくは、これは、2つの壁32a’または320のうちの一方に接着するプラスチック材料製またはゴム製の薄膜である。
【0044】
ある変形実施形態において、コンプレッサ10は、予備の加圧流体を収容するタンク51と流体連通している。タンク51は、タンクをスリーブのうちの1つの取入れ口310へ連結する流体連通経路53によって内室9とも流体連通している。第1のタンクバルブ52は、タンク51とスリーブの取入れ口310との間の、延ては、管状の巻取りサポート30の内部空胴への流体連通を可能にする、又は中断することに適する。第2のタンクバルブ54は、タンク51とコンプレッサ10との流体連通を可能にする、又は中断することに適する。
【0045】
好ましくは、コンプレッサ10は、パイプまたはチューブ等の流体連通手段54’を介して少なくとも1つの雄スリーブ31と流体連通している。例えば、流体連通手段54’は、コンプレッサ10を、スリーブのうちの少なくとも1つ、好ましくは固定スリーブのうちの1つ、の取入れ口310および/または吐出し口360と連通させる。さらに、バルブ手段は、膨張段階におけるコンプレッサ10からスリーブの空胴へ、およびこの逆の、収縮段階における空胴からスリーブへと向かう流体の流れの方向を管理することに適するように設けられる。好ましくは、第1のコンプレッサバルブ55は、コンプレッサ10とスリーブ31の取入れ口310との流体連通を可能にし、又は中断し、延ては、管状の巻取りサポート30の内部空胴への流れを可能にし、かつ中断することに適する。第2のコンプレッサバルブ56は、コンプレッサ10とスリーブ36の吐出し口360との流体連通を可能にし、又は中断し、延ては、内室の収縮段階におけるスリーブの空胴からコンプレッサ10への流れを可能にする、または中断することに適する。
【0046】
さらに、内室9を膨張/収縮させるために使用される流体が空気である実施形態では、追加のバルブ手段57、58が、空気を供給または排出するためにコンプレッサ10を外部環境と流体連通状態にする。具体的には、第1の遮断バルブ57は、コンプレッサ10の圧縮空気吐出し口と外部環境との流体連通を可能にし、又は中断し、一方で、第2の遮断バルブ58は、コンプレッサ10の外気取入れ口と外部環境との流体連通を可能にし、又は中断する。
【0047】
ある実施形態において、カバーデバイスはまた、電子制御ユニット61を備え、当該電子制御ユニット61は、ケースを開/閉するためのコマンド(例えば、無線信号、Wi−FiまたはBluetooth(登録商標)で接続されるデバイスからの信号などの電磁波を介するリモートコマンド)を受信し、そして、コンプレッサ10からスリーブの空胴に向かう流体の流れ、およびこの逆の流れ、および/またはタンク51に向かう流体の流れの方向を管理することに適したバルブ手段の開閉を管理するように構成されている。さらに、制御ユニット61は、コンプレッサ10の作動コマンド、並びに、ベルト/バンド41および蓋4cを動かすためのアクチュエータ42および60の作動および停止コマンドを送信するように構成されている。
【0048】
カバーデバイスを乗物(車両)上で使用する場合、好ましくは、制御ユニット61、コンプレッサ10およびアクチュエータ42、60へ緩衝バッテリ59が接続され、これ(59)はまた、カバーを広げ及び/又は閉じるために必要なエネルギーをアクチュエータおよびコンプレッサへ少なくとも部分的に供給すべく車両が走行中に再充電されるようなやり方で、車両の主たるバッテリへも接続されることが適切である。これにより、車両の主たるバッテリが完全に放電する危険性が低減される。
【0049】
好ましくは、カバーは、PVC等の天候に対して不浸透性の材料、並びに/又は、耐切断性材料、例えばパラ−アラミド繊維、炭素繊維、高強力ポリエチレン繊維および/もしくは金属繊維を含む材料で製造される。さらに、カバーは、カバーが接触することになる表面(例えば車両の車体)に傷を生じさせないことに適する材料製の外部被覆層ともなることができる。この耐引掻性材料は、例えば可撓性プラスチック材料(ゴム、PVC、ポリエチレンシート、他)であってもよい。
【0050】
本発明の好ましい一実施形態は、カバーデバイスが携帯可能であることを規定する。言い替えれば、カバーデバイスは、保護されなければならない空間領域の近傍において容易に運搬できるような大きさおよび重量を有する。例えば、カバーデバイスが自動車等の車両を保護するためのものである場合、底壁4bは、カバーデバイスが置かれる自動車の屋根の面積より小さい面積を有し、且つ更に、その重量は、平均的な能力を有する作業者が持ち上げて車両の屋根に載せることができる適切なものである。
【0051】
さらに、好ましくは、本発明の安全装置は、ハードケース4を、下底面6からハードケース4を遠ざけるサポート5へ固定することに適する磁気結合手段を備える。例えば、デバイスが車両を保護するために使用されるものである場合、ケース4の底壁4bには、自動車の屋根との磁気結合を可能にすることに適する磁気手段(永久磁石または電磁石)が装備される。
【0052】
ケースを受け入れ且つ支持することに適した表面がない乗物の場合、あるいは、カバーデバイスが建設現場もしくは展示エリア、またはより一般的には空間領域を覆うために使用される場合、サポート5は、例えば、車両のフレームへ、または覆われるべきエリアの底面6へ固定手段によって固定されるポール、架台、三脚、またはフレームである。また、このサポート5は、サポート5と一体式でありかつケース4を支えて受け入れることに適する支持面も備える。
【0053】
本発明は、これまでに述べたようなカバーデバイスによって空間領域を保護するための方法も含む。本方法は、以下のステップ、即ち、
【0054】
− 剛性ケース内に封入されるカバーを備えるカバーデバイスを提供すると共に、下底面6より上昇された位置において、カバーによって保護されるべく指定される空間エリア内に前記カバーデバイスを配置するステップと、
【0055】
− ケースを開けるステップと、
【0056】
− カバーを半径方向にほどいてケースの周りに広げることにより、カバーをケースから取り出して空間領域を覆うステップと、を含む。
【0057】
既に述べたように、ある実施形態において、本方法は、カバーの内室を所定の動作圧力まで膨張させることも含む。
【0058】
好ましくは、カバーが完全に広げられるとき、流体タンク51は、それまでに蓄えられていた全ての流体を内室へ導入する。カバーデバイスが車両を保護するために使用される場合、タンクにおける流体の蓄積は、例えば車両が動いているときに発生し、よって、バッテリからくるエネルギーが節約される。
【0059】
空間エリアを保護する機能が終了すると、カバーは、巻き戻される。
【0060】
カバーを引っ込めるには、好ましくは、内室から流体を内室が完全に空になるまで吸引する機能により、まずカバーが収縮されると共にコンプレッサが起動される。吸引ステップが完了すると、またはこれと同時に、カバー2は、巻取りデバイス40により、好ましくは静止位置(休止位置)において巻き直される傾向がある弾性バンド8a、8b、8cに手助けされて、ケース4の内側に巻き戻される。巻き戻しの終わりに、蓋4cが密閉される。
【0061】
好ましくは、加圧流体タンク51は、コンプレッサ10により、バルブ手段54を介して補充される。
【0062】
好ましくは、カバーの膨張または収縮段階の後、バルブ52、54、55、56、57、58は、コンプレッサおよび/またはタンク内へ異物が入らないように閉じられる。
【0063】
カバーの内室の膨張段階は、好ましくは、以下のステップ、即ち、
【0064】
− 第1のタンクバルブ52を開いて、タンク51からカバーの内室9への流体の排出を可能にするステップと、
【0065】
− 第1のタンクバルブ52を閉じるステップと、
【0066】
− 第2の遮断バルブ58および第1のコンプレッサバルブ55を開き、かつコンプレッサを作動して加圧流体をカバーの内室9へ所定の圧力に達するまで導入するステップと、で行われる。
【0067】
コンプレッサ10が作動する前、第1の遮断バルブ57および第2のコンプレッサバルブ56は、閉鎖位置にある。制御ユニットが、第1の遮断バルブ57および第2のコンプレッサバルブ56が閉鎖位置にないことを検出する場合、本方法は、第1の遮断バルブ57および第2のコンプレッサバルブ56を閉鎖するステップも提供する。
【0068】
カバーの内室の収縮段階は、好ましくは、以下のステップ、即ち、
【0069】
− 第1の遮断バルブ57および第2のコンプレッサバルブ56を開くステップと、
【0070】
− コンプレッサを作動して、カバーの内室9内の加圧流体を、内室9が完全に空になるまで抜き取るステップと、で行われる。
【0071】
コンプレッサ10が作動する前、第2の遮断バルブ58および第1のコンプレッサバルブ55は、閉鎖位置にある。制御ユニットが、第2の遮断バルブ58および第1のコンプレッサバルブ55が閉鎖位置にないことを検出すれば、本方法は、第2の遮断バルブ58および第1のコンプレッサバルブ55を閉じるステップも提供して、内室から吸引される流体がコンプレッサバルブ55を介して内室9へ戻ることを防止し、または、開放位置にある遮断バルブ58の存在によって流体の吸引が減速されることを防止する。
【0072】
先の二つの段落において述べた膨張および収縮段階の流体の流れの方向は、図5において、収縮段階の場合は矢印70で、膨張段階の場合は矢印71で表している。
【0073】
収縮および流体吸引の後は、流体分配回路の内部にもはや圧力は存在せず、分配回路を構成するスリーブ(即ち、巻取りデバイス30)は、それ自体で自由に回転することができ、よって、スリーブの周りにカバーを巻き取る次の段階へ進むことが可能である点に留意されたい。
【0074】
革新的には、本発明は、ユーザが手作業によってカバーを広げる重労働を行う必要なしに、カバーを開閉する迅速かつ簡単な作業によって、空間領域を天候および/または起こり得る破壊行為から保護することに適したカバーデバイスを提供する。
【0075】
さらに、本カバーデバイスは、全体サイズを最小限にまで低減する革新的なカバー巻取りシステムによって、容易に運搬することができる。
【0076】
本発明によるデバイスは、異なる規模の多くの変形例において実現可能である。そのうちの幾つかにおいて、本デバイスは、容易な保管を可能にする低減されたサイズを有する。例えば、本カバーデバイスは、ボート(主に、中小サイズのクラフトボート)または自動車(乗用車、キャンピングカー、トラック)の分野における運搬可能なカバーとして使用可能である。あるいは、本カバーデバイスは、例えば航空分野においてより大きな領域を保護するため、または太陽光発電パネルを保護するため、建設分野において、屋根またはテラスを建て替え中に自然力から保護するため、または農業用地または建設現場において作業手段を保護するために使用されることにも適する。
【0077】
効果的には、さらに、本発明のカバーデバイスは、かさばった支持構造体に頼る必要なしに構造を補強することができる膨張可能なカバーも含む。内室内のエアクッションの存在は、外部環境からの隔離によって、覆われるエリア内に適切な温度を保つことを可能にする。本デバイスを自動車のカバーに用いる場合、この点は、特に、車両が一定の日射の下に長期間置かれたままになることが多く、概して車両内で急激な温度上昇が引き起こされる夏の間で効果的である。
【0078】
効果的には、さらに、本保護デバイスは、街路において車両を覆うことができて、雹および雨から車両を守り、また盗難防止装置としても作用することから、携帯式のガレージに等しい。
【0079】
さらに効果的には、カバーに一体化された弾性鋼帯の存在により、本発明によるデバイスは、覆われたエリアの周囲にケージ(おり)を作り上げ、覆われたエリアにアクセスしようとする潜在的な泥棒または侵入者に対する抑止力として作用する。例えば、保護布を完全に巻き戻さなければ、車を運転することはできず、また、運転する視界を得るためには、鋼ばねを全てカットし、または鋼ばねの一部をカットしてコンテナ全体を取り外す必要があると思われる。
【0080】
当業者であれば、特定の必要性を満たすために、上述のカバーデバイスまたは方法を変更し得ることは明らかであるが、これらは全て、添付の特許請求の範囲により規定される保護の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1 カバーデバイス
2 カバー
4 ハードケース(硬質なケース、剛性ケース)
5 サポート(スタンド)
6 下底面
8 補強エレメント
9 内室
24 内周セグメント
30 巻取りサポート
40 巻取りデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6a
図6b
図7
図8
図8a
図8b