(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも核酸増幅法による増幅量の測定、核酸検出法、免疫測定法若しくは酵素法による検出若しくは定量測定、または濃度若しくは吸光度の測定のいずれかの対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定部と、
指定された前記測光内容により定まる測定用光を照射可能な照射端および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端からなる1対または2対以上の照射受光対と、
前記化学物質溶液を収容可能で前記測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する1または2以上の測光用容器と、
気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構と連通する1または2以上のノズルと、
下端に前記測光用容器内に挿入可能な口部、上端で前記ノズルに着脱可能に装着される1または2以上の流管と、
前記照射端に測定用光を供給し前記受光端で受光した光の強度を得る光測定部と、
前記測光内容に基づいて、少なくとも前記吸引吐出機構および前記光測定部を制御して、前記化学物質溶液を前記ノズルに装着された前記流管内に吸引して保持しまたは前記測光用容器内に収容し、前記受光端で受光した光の強度に基づいて該化学物質溶液に関する物理化学的な性質または数値を導く制御部とを有し、
前記照射受光対の一方の要素は、前記ノズルまたは前記吸引吐出機構に設けられ、該照射受光対の他方の要素はその上側に前記測光用容器の前記透光領域が設置され、前記ノズルに装着された前記流管の口部は、前記測光用容器内に挿入されて前記照射端の端面と受光端の端面とを共通に通る垂直共通軸線が通るように位置付け可能に設けられた汎用光測定装置。
前記光測定部は、1または2以上の光源および1または2以上の光電変換部と、該測光内容指定部により指定された前記測光内容に基づいて、1対または2対以上の前記照射受光対について、その照射端と前記1または2以上の光源との間の接続または遮断と、その受光端と前記1または2以上の光電変換部との接続および遮断とを、該照射受光対ごとに連動して切り換える照射受光対連動切換部とを有する請求項1または請求項2に記載の汎用光測定装置。
前記照射受光対連動切換部は、前記1対または2対以上の各照射受光対に属する照射端および受光端について、該照射端と光学的に接続された第1の接続端および該受光端と光学的に接続された第2の接続端からなる1対または2対以上の接続端対と、
前記測光内容指定部により指定可能な前記測光内容に基づいて組み合わされた、0、1または2以上の光源と光学的に接続された第1の測定端、および1または2以上の光電変換部と光学的に接続された第2の測定端からなる1対または2対以上の測定端対と、
前記1対または2対以上の接続端対が配列された接続端配列面を有する接続端配列体と、
前記1対または2対以上の測定端対が配列された測定端配列面を有する測定端配列体と、
前記接続端配列面と前記測定端配列面とが摺動するように前記接続端配列体と前記測定端配列体を相対的に移動させて、前記接続端対および前記測定端対に属する対応する各要素同士の同時の接続または遮断を可能にして、前記測光内容指定部により指定された前記測光内容に基づいて、1対または2対以上の前記照射受光対ごとに、前記照射端と前記光源との接続または遮断が、前記受光端と前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる切換機構とを有する請求項3に記載の汎用光測定装置。
温度制御部をさらに有し、前記測光用容器は、該温度制御部によって温度制御可能に設けられ、該測光用容器は、その開口部が前記ノズルと直接的または間接的に嵌合可能である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の汎用光測定装置。
前記流管内または前記測光用容器内には、下方外部から測定可能であって、前記化学物質溶液の前記化学物質と結合可能な結合物質が固定された担体が封入または収容された請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の汎用光測定装置。
前記測光用容器、前記流管を前記ノズルに装着可能に収容する流管収容部、および前記測光用容器の開口部に嵌合して測光用容器を密閉し前記測定用光に対する透光性を有する密閉蓋を前記ノズルに装着可能に収容する密閉蓋収容部を少なくとも有する1または2以上のカートリッジ容器が前記ステージに装填可能に設けられた請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の汎用光測定装置。
前記測光内容指定部は、測定対象の前記化学物質溶液として核酸溶液、免疫物質溶液を含むタンパク質溶液、アミノ酸溶液、脂肪溶液または糖鎖溶液の中から選択されたいずれかの溶液について、その吸光度、その濃度、目的物質の有無、目的物質の量の中から選択された少なくとも1の前記測光内容を指定可能であり、
前記1または2以上の光源の少なくとも1は測定用光として白色光を発する白色光光源、および少なくとも1は測定用光として指定した波長の光を発することが可能な光源であり、
前記1または2以上の光電変換部の一部は、1の分光器を介して接続された複数の光電変換部であり、少なくとも1は、前記蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介して接続された光電変換部であり、
前記測光内容指定部によって前記測定対象の前記化学物質溶液について、その吸光度または濃度の前記測光内容が指定された場合には、
前記照射受光対連動切換部は、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記白色光光源との間の接続および遮断と、その受光端の1の分光器を介して接続された複数の光電変換部との接続および遮断とを連動して切り換え、
前記測光内容指定部により、前記測定対象の前記化学物質溶液について、蛍光物質を用いた目的物質の有無または量の前記測光内容が指定された場合には、
前記照射受光対連動切換部は、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記蛍光を励起する励起光を発する前記光源との間の接続および遮断と、その受光端の前記蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介しての光電変換部との接続及び遮断とを連動して切り換え、
前記測光内容指定部により、前記測定対象の前記化学物質溶液について、化学発光物質で標識化された目的物質の有無または量の前記測光内容が指定された場合には、
前記照射受光対連動切換部は、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端を前記1または2以上の光源からの遮断と、その受光端の前記光電変換部との接続及び遮断とを連動して切り換える請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の汎用測光装置。
少なくとも核酸増幅法による増幅量の測定、核酸検出法、免疫測定法若しくは酵素法による検出若しくは定量測定、または濃度若しくは吸光度の測定のいずれかの対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定工程と、
指定された前記測光内容により定まる測定用光を照射可能な1または2以上の照射端および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端からなる1対または2対以上の照射受光対について、該照射受光対の一方の要素が1または2以上のノズルまたは吸引吐出機構に設けられ、該照射受光対の他方の要素はその上側に前記測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する測光用容器が設置されるとともに、指定された前記測光内容に基づいて、化学物質溶液を、前記ノズルに着脱可能に上端で装着され下端に口部を有する流管内に吸引吐出機構を用いて吸引して保持し、または前記測光用容器に収容する保持収容工程と、
前記照射受光対の他方の要素の上方に前記流管の前記口部は前記測光用容器内に挿入され該照射端の端面と受光端面とを共通に通る垂直共通軸線が通るように位置付けて、前記照射端から前記測定用光を前記流管内または前記測光用容器内を通り上下方向に沿って照射することによって生じた光または前記流管内または前記測光用容器内で生じた光を前記受光端で受光して光の強度を得る光測定工程と、
前記受光端で受光した光の強度に基づいて前記化学物質溶液に関する前記物理化学的性質または数値を導く測光解析工程とを有する汎用光測定方法。
前記光測定工程は、前記測光内容指定工程により指定された前記測光内容に基づいて、前記1対または2対以上の前記照射受光対について、その照射端と前記1または2以上の光源との間の接続または遮断と、前記1または2以上の受光端と前記1または2以上の光電変換部との間の接続および遮断とを、該照射受光対ごとに連動して切り換える照射受光対連動切換工程を有する請求項9または請求項10に記載の汎用光測定方法。
前記光測定工程は、前記1対または2対以上の各照射受光対に属する照射端および受光端について、該照射端と光学的に接続された第1の接続端および該受光端と光学的に接続された第2の接続端からなる1対または2対以上の接続端対、および、前記測光内容指定工程で指定された前記測光内容に基づいて組み合わされた、0、1または2以上の光源と光学的に接続された第1の測定端および1または2以上の光電変換部と光学的に接続された第2の測定端からなる1対または2対以上の測定端対に属する対応する各要素同士の同時の接続または遮断によって、1対または2対以上の前記照射受光対ごとに、前記照射端と前記光源との接続または遮断が、前記受光端と前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる切換工程を有する請求項11に記載の汎用光測定方法。
前記光測定工程において、前記測光用容器は温度制御部によって温度制御されるとともに、その開口部が前記ノズルに直接的または間接的に嵌合される請求項9乃至請求項13のいずれかに記載の汎用光測定方法。
前記流管は、外光に対して遮光するように設けられ、前記測光用容器は前記流管の下端部が上方から挿入または緩挿可能であって、前記光測定工程は、前記流管を前記測光用容器上に移動させ、前記流管の下端部を、前記測光用容器に挿入または緩挿させて該底部に前記口部を当接させた状態で、前記照射端から前記測定用光の前記流管内を通り上下方向に沿った照射を行う請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の汎用光測定方法。
前記測光内容指定工程は、測定対象の前記化学物質溶液として核酸溶液、免疫物質溶液を含むタンパク質溶液、アミノ酸溶液、脂肪溶液または糖鎖溶液の中から選択されたいずれかの溶液について、その吸光度、その濃度、目的物質の有無、目的物質の量の中から選択された少なくとも1の前記測光内容を指定し、
前記照射受光対連動切換工程は、前記測光内容指定工程が、前記測定対象の前記化学物質溶液について、その吸光度または濃度の前記測光内容を指定した場合には、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記白色光光源との間の接続および遮断と、その受光端の1の分光器を介して接続された複数の光電変換部との間の接続および遮断を連動して切り換え、
前記照射受光対連動切換工程は、前記測光内容指定工程が、前記測定対象の前記化学物質溶液について、蛍光物質を用いた目的物質の有無または量の前記測光内容が指定された場合には、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記蛍光を励起する励起光を発する前記光源との間の接続および遮断と、その受光端の前記蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介しての光電変換部との接続および遮断を連動して切り換え、
前記照射受光対連動切換工程は、測光内容指定工程が、前記測定対象の前記化学物質溶液について、化学発光物質で標識化された目的物質の有無または量の前記測光内容が指定された場合には、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端を前記1または2以上の光源からの遮断と、その受光端の前記光電変換部との接続および遮断を連動して切り換える請求項11に記載の汎用光測定方法。
少なくとも、核酸増幅法による増幅量の測定、核酸検出法、免疫測定法若しくは酵素法による検出若しくは定量測定、または濃度若しくは吸光度の測定のいずれかの対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定部と、
指定された前記測光内容により定まる測定用光を照射可能な照射端および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端からなる1対または2対以上の照射受光対と、
前記照射端に測定用光を供給し前記受光端で受光した光の強度を得る光測定部とを有するとともに、
前記光測定部は、1または2以上の光源および1または2以上の光電変換部と、該測光内容指定部により指定された前記測光内容に基づいて、1対または2対以上の前記照射受光対について、その照射端と前記1または2以上の光源との間の接続または遮断と、その受光端と前記1または2以上の光電変換部との接続および遮断とを、該照射受光対ごとに連動して切り換える照射受光対連動切換部とを有する光測定器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、1または複数の容器に収容した測定対象となる1または複数種類のサンプルを用いて、従来、遺伝子解析、遺伝子増幅、イムノアッセイ、吸光度解析、濃度測定、酵素検出等の異なる分野において、各々専用の装置を用いて行っていた種々の物理化学量、種々の物理化学的性質を求める測定を、1の装置で可能にすることによって、測定すべき内容に応じた個数や種類の専用装置の使用を不要とし、1の装置を用いて、共通のサンプルまたは共通のサンプルに由来するサンプルを用いて、サンプルに関する各種分野に亘る(ビッグ)データを、小規模の装置で、容易にかつ高い精度で効率良く迅速に引き出すことができる汎用光測定装置およびその方法を提供することである。
【0013】
その第2の目的は、ノズルまたは吸引吐出機構に対して、その基本的形態および基本的機能を変えることなく照射端または受光端を設けることによって、分注処理とは別個に測光処理に専用のノズルまたは専用部品を設けることなく、かつ、それによって吸引吐出機能を妨害することなく通常の分注処理と共通のノズルおよび吸引吐出機構を用いて、サンプルからの核酸等の測定対象の化学物質の抽出、増幅等の前処理からその溶液の物理的化学的性質または量についての光測定、さらには濃度の調整等の後処理までを一貫してかつ複数の測定対象に対する複数の処理を並行して行うことができる汎用光測定装置およびその方法を提供することである。
【0014】
その第3の目的は、測定用光が通過可能な程度の断面をもつ形状に測定対象の溶液を収容または保持することによって、測定に必要な液量を抑制し、かつ測定用光を遮る容器の壁等の部材を排除しまたは最小化して、該部材の測定用光への光学的影響を除去または削減して、種々の波長を利用しかつ種々の液量の測定対象に対し精度の高い種々の測定を行うことのできる汎用光測定装置およびその方法を提供することである。
【0015】
その第4の目的は、各種の分子量や大きさをもつ高分子物質、固形物、泡、気体、または液体等の各種化学物質を含有する各種液量の化学物質溶液(前記化学物質が分散する懸濁液を含む)に対して適切な光路長を定め、適切な波長をもつ測定用光を照射することができて各種化学物質溶液の測定内容について、汎用性の高い測定を可能とする汎用光測定装置およびその方法を提供することである。
【0016】
その第5の目的は、紫外線等の各種の波長をもつ光に透過可能な各種専用光学部品等を用いることなくまたは最小限の部分に用いるだけで、化学物質を含有する各種溶液の物理的化学的性質または量を測定することができるとともに、安価に製造することができ、かつ、装置規模の拡大を防止することができる汎用光測定装置およびその方法を提供することである。
【0017】
その第6の目的は、クロスコンタミネーションを防止し高い信頼性および精度をもって溶液の物理的化学的性質または量を測定することができる汎用光測定装置およびその方法を提供することである。
【0018】
第1の発明は、少なくとも核酸増幅法による増幅量の測定、核酸検出法、免疫測定法若しくは酵素法による検出若しくは定量測定、または濃度若しくは吸光度の測定のいずれかの対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定部と、指定された前記測光内容により定まる測定用光を照射可能な照射端および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端からなる1対または2対以上の照射受光対と、前記化学物質溶液を収容可能で前記測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する1または2以上の測光用容器と、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構と連通する1または2以上のノズルと、下端に前記測光用容器内に挿入可能な口部、上端で前記ノズルに着脱可能に装着される1または2以上の流管と、前記照射端に測定用光を供給し前記受光端で受光した光の強度を得る光測定部と、前記測光内容に基づいて、少なくとも前記吸引吐出機構および前記光測定部を制御して、前記化学物質溶液を前記ノズルに装着された前記流管内に吸引して保持しまたは前記測光用容器内に収容し、前記受光端で受光した光の強度に基づいて該化学物質溶液に関する物理化学的な性質または数値を導く制御部とを有し、前記照射受光対の一方の要素は、前記ノズルまたは前記吸引吐出機構に設けられ、該照射受光対の他方の要素はその上側に前記測光用容器の前記透光領域が設置された汎用光測定装置である。
【0019】
ここで、「化学物質」とは、化学反応に用いられる物質、特に、例えば、核酸等の遺伝物質、免疫物質等のタンパク質、糖類、ペプチド等の生化学物質が該当する。「流管」には、液体の吸引および吐出によって、1の液収容部における液体の撹拌、複数の液収容部間での液体の移動、分注を行う分注用流管、および、内部に吸引した溶液に対してその上下方向に沿った透過光の強度が測定される測光用流管を含有する。測光用流管は、例えば、側壁部を遮光部材としての黒色物質で形成しまたは透光性のある素材を黒色塗料で塗布することで外光を遮光することが好ましい。「外光」とは、主として可視光または紫外線であり、黒色物質で形成する場合としては樹脂に黒色顔料を練り込んで成型することによって形成する。分注用流管と測光用流管は互いに兼用することができる場合もある。ノズルに対して流管が着脱可能に装着されることから、ノズルから流管を脱着する脱着機構が、例えば、後述するノズルヘッドに設けられ、該流管が前記ノズルの下降によって装着可能に収容される流管収容部が前記収容部群に設けられていることが好ましい。
【0020】
なお、前記流管は、外光に対して遮光されるように形成され、前記測光用容器は、前記流管の下端部が上方から挿入または緩挿可能であって、該測光用容器の前記底部の略中央に形成された筒状の凹部を有し、前記透光領域が該凹部の細底部に形成され、該凹部の細側壁部は前記外光に対して遮光されるように形成されるのが好ましい。
【0021】
この場合には、測定対象となる化学物質溶液を通る光路の全体を遮光することができて、該光路への外光の進入を防止し精度の高い測定を行うことができる。なお、前記凹部は、流管の下端部が挿入または緩挿可能な程度の前記測光用容器の開口部よりも十分に小さい断面積をもつ開口部を有する細筒状に形成される。ここで凹部の細底部は、前記受光端の受光端面と空気層を介さずに密着または密接して光学的に接続されることが好ましい。これによって、流管に収容された液体の上端面から受光端まで、空気層を介さずに光路長を設定することができる。「略中央」は好ましくは「中央」である。
【0022】
「測光内容」とは、測定内容から定まる測光のプロセスおよび/または測光の結果得ようとする物理化学的性質または数値を含有する。例えば、サンプルの個数、サンプルの内容、測定の種類、例えば、吸光度の測定、核酸のリアルタイムPCRの測定、同時に行われる測定の種類、濃度の測定等、標識物質の種類等である。「測定」には、例えば、生化学物質としての核酸に関し核酸増幅法による増幅量の測定、核酸検出法、免疫測定法(イムノアッセイ)若しくは酵素法による生化学物質の検出または定量測定、または生化学物質溶液の濃度若しくは吸光度の測定を含有するものである。「核酸増幅法」には、例えば、PCR(polymerase chain reaction)法、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法、LCR(ligase chain reaction)法、SDA(strand displacement amplification)法、MTD(transcription mediated amplification)法等がある。「核酸検出法」には、相補性を利用した標的核酸の検出を行う場合がある。「酵素法」とは、標的物質または反応生成物を特定の酵素で特異的に結合させて測定する検査法であり、「免疫測定法」とは、抗原抗体反応を利用した抗原または抗体タンパク質の検査法である。「測定」には、その他、比色法、比濁法等を含有する場合がある。さらに、「測定」には、例えば、リアルタイムPCR、酵素活性、若しくは反応速度等のように、前記増幅量、生化学物質量、反応量、濃度、若しくは吸光度等の時間的変化の測定を含有することがある。
「物理化学的性質」とは、例えば、測定対象の化学物質溶液の特定、目的物質の有無、化学物質の特定、化学物質の構造の特定、塩基配列、分子構造、ウィルスの有無、細菌の有無、免疫測定等である。
「物理化学的数値」とは、例えば、化学物質溶液量、化学物質量、濃度、吸光度、分子量等である。
【0023】
「測定用光」は、測定対象の化学物質溶液の物理化学的性質または数値を測定するために照射される光であって測光内容及び化学物質容器に応じた波長をもつ光である。例えば、吸光度の測定の場合であって、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド等の核酸の場合には、260nm付近の紫外光が適当である。これは、核酸の塩基がこの付近に吸光ピークをもつからである(A:259nm,T:267nm, G:253nm, C:267nm)。吸光の値は核酸の構造(一本鎖、二本鎖)や長さ、塩基組成によって影響を受けることになる。その他の物質にあっては、例えば白色光を用いる。また、蛍光を測定する場合には、該蛍光に対応する波長を持つ励起光である。「照射端(または受光端)」とは、光を照射(または受光)することができる導光路の端部であって、レンズ等の光学素子を有する場合がある。
【0024】
「流管」は、下端に前記口部を有し、上端に前記ノズルに着脱可能に装着される装着用開口部を有する管状の部材である。流管は、先端に口部を有し測定対象となる化学物質溶液が収容される前記ノズルよりも細く形成された細管、該細管と連通し前記装着用開口部を有する該細管よりも太く形成された太管を有するチップ状容器であることが好ましい。ノズルよりも細く形成される細管を有する前記流管は、前記測定用光が通過可能な断面の形状および大きさを有し、例えば、流管の内部空間は、断面が円形の円筒状で、例えば、その内径は0.05mm〜10mmであり、好ましくは、0.1mm〜5mm、さらに好ましくは、0.5mm〜1mm程度である。この断面の大きさおよび形状は、前記照射端および受光端の形状または大きさに基づいて定められる。これによって、液量の小さい(例えば、0.1μリットル〜10μリットル程度)化学物質溶液に応じた光路長を設定可能な軸方向または上下方向の長さを有する。その他、流管の内部空間は円錐台状若しくは角柱状の場合があり得る。
【0025】
「測光用容器」は、前記流管の口部が挿入可能であるので、その断面は流管の前記細管の断面よりも大きいことになり、液量が小さい化学物質溶液を測定する場合には、測光用容器に化学物質溶液を収容するよりも、液量および測光内容に応じたより小さい断面を持つ流管に前記吸引吐出機構を用いて該化学物質溶液を吸引して保持させることでより適切な光路長を設定することができて測光上好ましい。
【0026】
前記「照射受光対の一方の要素」とは、「照射端」または「受光端」であって、前記ノズルまたは前記吸引吐出機構、例えば、前記ノズルの下端、前記ノズルの上側に設けられた前記吸引吐出機構が有するシリンダ内を摺動するプランジャの下端、またはノズルに設けた凹部や凸部等であって、照射端面または受光端面を下方向に向けて設けられる。同様にして、前記「照射受光対の他方の要素」は、「受光端」または「照射端」であって、その上側に前記測光用容器の前記透光領域が設置されるものである。したがって、例えば、後述するステージに、前記照射端面または受光端面を上方向に向けて設けられる。
【0027】
使用時にあっては、前記照射受光対に属する照射端の端面と受光端の端面とを共通に通る垂直線、すなわち垂直共通軸線が存在する状態で使用することが好ましい。さらに、前記ノズルに装着された前記流管の前記口部を前記垂直共通軸線が通る状態に位置することが好ましい。前記照射受光対のいずれか一方を少なくとも1の前記ノズルまたは前記吸引吐出機構の前記流管の前記垂直共通軸線上に設け、他方をステージ上に設けることによって、後述するノズル移動機構を用いて前記受光端および前記照射端を前記垂直共通軸線上に容易かつ確実に位置付けすることができるので、測定用光の照射を流管の垂直共通軸線方向に沿って容易かつ確実に行うことができることになる。「上下方向」は、流管をノズルに装着した場合の方向であって、前記流管の垂直共通軸線に沿った方向または流管の吸引吐出方向に相当させるのが好ましい。
【0028】
より好ましくは、前記ノズルまたは前記吸引吐出機構に設ける前記「照射受光対の一方の要素」は「照射端」であり、「照射受光対の他方の要素」は「受光端」である。これによって、照射端から照射される測定用光は口部または底部から上方向に照射する場合に比較してより確実に化学物質溶液に照射され、光の全量または主要部を前記流管内を通過させることができる。特に、流管がチップ状容器のように先細りに形成されている場合には、その程度が高い。
【0029】
前記「光測定部」は、例えば、1または2以上の光源と、1または2以上の光電変換部とを有し、前記照射端は光源と光学的に接続可能であり、前記受光端は光の強度を電気信号に変換する光電変換部と光学的に接続可能である。ここで、「光源」としては、例えば、LED、重水素ランプ(例えば、浜松ホトニクス(株)、L10671D)、ハロゲンランプ等の波長可変光源を用いて、紫外線領域から可視領域に至るまでの連続的な波長を試料に照射することができる。「光電変換部」とは、光の強度を対応する電気信号およびデジタル信号に変換するものであって、例えば、増幅を伴うPMT(光電子増倍管)、ADP、CCDイメージセンサ、フォトダイオード等の受光素子である。
【0030】
前記1または2以上の測光用容器には、1または2種類以上の化学物質溶液を収容し得る。この場合、1または2種類以上の化学物質溶液の性質または数値を測定することが可能である。その場合、1または2種類以上の化学物質溶液を単独で同時並行して測定する場合と、2種類以上の化学物質を混合して一度で測定する場合がある。混合して吸引する場合には、一旦、液収容部内で混合液を作成収容してから吸引することが好ましい。各化学物質溶液の吸光度を測定する場合、各種類の化学物質溶液に適した各種類の測定用光を照射する場合がある。
【0031】
該測光用容器は、前記液収容部または反応容器としてステージに、例えば、カートリッジ容器に設けられるのが好ましい。前記底部は、前記流管の口部が当接可能な形状に形成されるのが好ましい。前記「透光領域」は底部の全体または該底部の一部である。したがって、「透光領域」は少なくとも前記口部の先端面が当接可能な大きさまたは形状をもつ。また、透光領域は前記受光端の受光端面に空気層を介さずに密着または密接するように設けることが好ましい。これによって、流管に収容された液体の上端面から受光端まで空気層を介さずに光路長を設定することができる。
【0032】
「制御部」とは、該汎用光測定装置に内蔵したコンピュータ(CPU)および該コンピュータを駆動するプログラム等からなり、例えば、メモリ、表示装置、およびキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置を有し、DA変換器及びAD変換器を通して信号を前記吸引吐出機構や後述するノズル移動機構、ノズルヘッド、または光源、光電変換部等との間で信号をやり取りして制御が行われる。
【0033】
ここで、前記流管内に吸引して保持されまたは前記測光用容器内に収容される化学物質溶液の量は、予め定めた規定量であることが好ましい。「前記受光端で受光した光」とは、「前記測定用光を該流管内または前記測光用容器内を通り上下方向に沿って照射することによって生じた光、または流管内または測光用容器内で生じた光」であり、例えば、前記化学物質溶液の透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光である。
【0034】
該制御部は、例えば、測定対象の化学物質溶液の透過光の強度から吸光度を導くことで、該吸光度に基づいて種々の物理量を得て該化学物質溶液を解析することが可能である。
例えば、各種化学物質(核酸、脂質、タンパク質、糖質等)の濃度の解析を行うには、該吸光度から、ランベルト・ベールの法則に基づいて以下に示すように該溶液の濃度を導く。
【0035】
前記流管の前記化学物質溶液に入射する前の測定用光(波長λ)の強度をI
0とし、透過後の光の強度をIとし、モル吸光係数(前記波長λおよび測定対象となる化学物質に応じて定まる単位モル濃度で規格化した)をε、最終的に求めるべきモル濃度をc、光路長をLとした場合、I=I
0・10
(-εcL) となる。一方、吸光度 A
λ=−log
10(I/I
0) の関係から、
吸光度 A
λ、したがって、透過率 I/I
0を求めることで、次の関係式より溶液に含有する核酸等のモル濃度cを求めることができることになる。
A
λ=εcL (1)
なお、実際には測定用光は散乱や反射によってそのまま平行に進むことにはならないので、精度を高めるためには検量線や検量式を用いてこの式を修正することが好ましい。
【0036】
また、測定対象となる化学物質(サンプル)が、各種酵素(AST、ALT、リパーゼ、LDH、γ-GTP等)によって反応し、その濃度が変化する場合には、該化学物質溶液の透過光から導いた吸光度に基づいて、前記酵素活性を解析することができる。
酵素活性を求めるには、反応速度、すなわち、前記化学物質の濃度の変化速度dc/dt(濃度:mol/リットルの変化速度)で表されるので、前記ランベルト・ベールの法則の式(1)に基づいて、吸光度変化の単位時間当たりの吸光度変化(dA
λ/dt)によって表されることになる。すなわち、
dc/dt=(dA
λ/dt)・(1/εL) (2)となる。
εは、例えば、NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)については、6300リットル/(mol・cm)である。
すると、酵素活性は、次のように表される。すなわち、
酵素活性=(dc/dt)・(V
t/V
s) (3)
V
t=前記化学物質溶液の全容量(リットル)
V
s=サンプル容量(リットル)
したがって、(3)式を(2)式に代入することによって、
酵素活性=(dA
λ/dt)・ V
t/(εLV
s) (4)となる。
ただし、酵素の単位は、最適条件下で、試料1リットル中において1分間に1μmolの基質を変換させることができる酵素量を1U (Unit)と定義しているので、酵素活性の単位は、1U/リットルと表されることになり、上記(4)式を変形した以下の式で表される。
酵素活性(U/リットル)=ΔA
λ・(V
t・10
6)/(εLV
s)
ΔA
λ: 1分間当たりの吸光度変化
V
t: 全反応物容量(mリットル)
V
s: サンプル容量(mリットル)
ε: モル吸光度(リットル/(mol・cm))
L: 光路長(cm)
である。
【0037】
さらに、前記制御部は、未知の化学物質溶液(サンプル)の濃度を、濃度既知の物質(標準液)の吸光度を測定し、濃度と吸光度の関係を表す検量線をグラフまたは表で作成しておく。該検量線または表を用いて、未知の化学物質溶液の吸光度からその濃度を求めることができることになる。
【0038】
また、前記制御部は、免疫抗体定量測定(CPR、FDP、Dダイマー等)を行うことができる。検体中のヘモグロビン等の測定を抗原抗体反応を利用して抗体を樹脂製のラテックス粒子に固定し、サンプル中の抗原と抗原抗体反応を起こさせ該ラテックス粒子を凝集させる。この凝集反応を吸光度変化としてとらえると、吸光度の変化量は、サンプル中の抗原量に依存して増加する。この濃度既知の標準液を用いて検量線を作成しておけば、吸光度の変化量から検体中の抗原量を測定することができる。
【0039】
なお、前記制御部は、前記1または2種類以上の透過光に基づいて前記1または2種類以上の化学物質の吸光度を求め、該吸光度に基づいて前記1または2種類以上の化学物質の濃度等を求めることができる。同様にして、前記1または2種類以上の透過光、散乱光等に基づいて前記1または2種類以上の化学物質溶液の物理化学的性質または数値を求めることができる。
【0040】
第2の発明は、前記照射受光対の他方の要素はステージに設けられ、前記ノズルを前記ステージに対して相対的に移動可能とするノズル移動機構を有し、前記制御部は、少なくとも前記ノズル移動機構、前記吸引吐出機構および前記光測定部を制御することによって前記化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値を導く汎用光測定装置である。
【0041】
前記吸引吐出機構および前記ノズルはノズルヘッドに設けられるのが好ましい。
この場合、前記ノズル移動機構は、例えば、ステージに固定されたノズルヘッドに設けられているノズルのみを移動する場合、ノズルヘッドに固定されたノズルをノズルヘッドとともに移動する場合、ノズルヘッドに対してノズルを移動可能に設け、かつノズルヘッドを移動可能とする場合等がある。
【0042】
前記ステージには、前記流管を、前記ノズル移動機構による前記ノズルの下降により該ノズルに装着可能となるように前記装着用開口部を上側にして収容する流管収容部を設けることが好ましい。また、液収容部の他に温度制御が可能な反応容器を設けることが好ましい。前記制御部は、前記ノズル移動機構を制御して、ノズルの相対的な下降によって該ノズルに前記流管を装着させるように制御することが好ましい。この場合には、前記ノズルヘッドには、前記ノズル移動機構を制御することによって、前記流管をノズルから脱着させる該流管の脱着機構を設けることが好ましい。これによって、人手を介することなく、流管の装着脱着を行うことで、クロスコンタミネーションを防止し、かつ測定対象の液量にあった流管を使用することができる。前記測光用容器はステージに設けられている。
ここで、「相対的」とは、比較すべき他の対象との関係において成り立つことを示すものである。したがって、「相対的に移動」する場合には、対象の一方(例えば、ノズル)が動いて、対象の他方(例えば、ステージ)が静止している場合、対象の一方が静止して、対象の他方が動く場合、またはその両方の場合(速度が異なる場合)が含まれ得る。
【0043】
なお、照射受光対の一方の要素は、ノズルまたは吸引吐出機構、すなわちノズルヘッドに設けられ、照射受光対の他方の要素は、ステージに設けられているものの、光源または光電変換部も、照射端または受光端と同じノズルヘッドまたはステージに設けられる必要はない。
【0044】
また、制御部は、前記流管の口部から一定間隔上方に空けた位置より上側に前記化学物質溶液を吸引するように制御することがある。これによって、流管の下端の口部からの液漏れを防止して、光路長を安定させて精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を得ることができる。また、照射端と受光端を結ぶ垂直共通軸線上に沿った流管内の光路は、流管の壁部を含み化学物質溶液及び空気以外の物質で遮られることがないので、流管及び容器を含め測定用光に透明な物質で形成する必要がなく、安価で精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)の測定を行うことができる。
【0045】
ここで、例えば、全長3cm〜20cm程度の流管にあっては、前記一定間隔は例えば、0.5mm〜10mm、好ましくは1mm〜5mmであり、化学物質溶液または混合液の収容されている部分は例えば、1mm〜15mmである。これによって、流管の口部からの液漏れを防止して、光路長を安定させて信頼性の高い吸光度、濃度を始め種々の数値または性質を得ることができる。
【0046】
第3の発明は、前記光測定部は、1または2以上の光源および1または2以上の光電変換部と、該測光内容指定部により指定された前記測光内容に基づいて、前記1対または2対以上の照射受光対について、その照射端と前記1または2以上の光源との間の接続または遮断と、その受光端と前記1または2以上の光電変換部との接続および遮断とを、該照射受光対ごとに連動して切り換える照射受光対連動切換部とを有する汎用光測定装置である。
【0047】
前記照射受光対連動切換部としては、予め、各照射受光対について、照射端と接続されるべき光源、受光端と接続されるべき光電変換部を用意しておいて、照射受光対ごとにそれらとの間の接続または遮断を連動して切り換えることになる。該照射受光対連動切換部としては、1の照射受光対について、その照射端と複数の光源との間で複数種類の測定用光の切換に連動して受光端と複数の光電変換部との間で切換えを行う場合の他、複数の照射受光対について、各照射端と1の光源との間の接続または遮断に連動して、各受光端と1の光電変換部との間の接続または遮断を行う場合があり得る。なお、前記受光端または前記照射端は、前記光電変換部または光源との間で可撓性のある導光路、例えば、光ファイバを用いて接続されることによって、切換えのために光源または光電変換部自体の移動を不要とすることができて好ましい。
【0048】
また、「切換え」は、前記測光内容指定部によって指定された測光内容に基づいて定まる所定速度で各照射受光対と光源または光電変換部との間で接続および遮断を行い、または所定周期で前記接続および遮断を繰り返して行う。特に、複数の照射受光対を使用する場合(複数種類のサンプルを同時測定する場合)または複数種類の測定を行う場合には、所定周期で繰り返して行われることがある。前記「所定速度」または「所定周期」は、化学発光または蛍光等の光の強度(蛍光強度は一般的に大きいので、例えば、比較的高速、または比較的短い周期で繰り返して測定し、化学発光の強度は一般的に小さいので例えば、比較的低速、または比較的長い周期で繰り返して測定する)、もしくは発光の寿命(例えば、蛍光の場合は、例えば数10秒、化学発光の場合は例えば数分である)や、処理または測定の内容、サンプル数、すなわち照射受光対数、前記光測定部の構造、例えば、後述する接続端、測定端の配列、その位置に応じて定められる。例えば、複数の照射受光対について、同時に測定を行う場合には、所定周期としては、測定にかかる時間よりも十分に短い時間に設定して時分割によって、光源または光電変換部との接続および遮断を繰り返すことでより精密な測定が可能となる。また、前記「所定速度」は一定速度であることが好ましい。
【0049】
第4の発明は、前記照射受光対連動切換部は、前記1対または2対以上の各照射受光対に属する照射端および受光端について、該照射端と光学的に接続された第1の接続端および該受光端と光学的に接続された第2の接続端からなる1対または2対以上の接続端対と、前記測光内容指定部により指定可能な前記測光内容に基づいて組み合わされた、0、1または2以上の光源と光学的に接続された第1の測定端、および1または2以上の光電変換部と光学的に接続された第2の測定端からなる1対または2対以上の測定端対と、前記1対または2対以上の接続端対が配列された接続端配列面を有する接続端配列体と、
前記1対または2対以上の測定端対が配列された測定端配列面を有する測定端配列体と、
前記接続端配列面と前記測定端配列面とが摺動するように前記接続端配列体と前記測定端配列体を相対的に移動させて、前記接続端対および前記測定端対に属する対応する各要素同士の同時の接続または遮断を可能にして、前記測光内容指定部により指定された前記測光内容に基づいて、1対または2対以上の前記照射受光対ごとに、前記照射端と前記光源との接続または遮断が、前記受光端と前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる切換機構とを有する汎用光測定装置である。
【0050】
ここで、「前記接続端対の各要素」とは、「第1の接続端」と「第2の接続端」であり、「前記測定端対の各要素」とは、「第1の測定端」と「第2の測定端」であり、「前記接続端対および前記測定端対に属する対応する各要素」とは、「第1の接続端」に対応するのが「第1の測定端」であり、「第2の接続端」に対応するのが「第2の測定端」である。したがって、「各要素同士」とは、「第1の接続端」と「第1の測定端」が対応する一方の要素同士であり、「第2の接続端」と「第2の測定端」が対応する他方の要素同士である。なお、前記照射端と前記第1の接続端との間の接続、前記受光端と前記第2の接続端との間の接続、前記光源と前記第1の測定端との間の接続、前記光電変換部と前記第2の測定端との接続は、可撓性のある光ファイバ等の導光路や、空洞、透光性のある部材等の導光部を用いて行われる。この場合該導光部の一端が照射端、受光端、光源および光電変換部であり、他端が各々第1の接続端、第2の接続端、第1の測定端および第2の測定端である。
【0051】
ここでは、「切換え」は、複数の接続端対(すなわち、複数種類のサンプルを同時測定する場合)または複数の測定端対がある場合(すなわち、複数種類の測定を行う場合)には、前記接続端配列体と前記測定端配列体間の相対的な移動は、例えば、前記測光内容指定部で指定された測光内容に基づいて定まる所定速度で、または往復運動、または揺動による所定周期で繰り返して行われるのが好ましい。
【0052】
前記各接続端対および前記各測定端対に属する各要素は、接続端配列面および測定端配列面にあって、例えば、前記接続端配列体と測定端配列体の相互の移動経路に対し、その各配列面内外における垂直方向に沿って同一の所定距離隔てられて配列され、対応する各要素同士が接続可能となっている。例えば、接続端配列面は、1または2以上の前記第1の接続端が一列状に配列された第1の接続端列、および前記1または2以上の前記第2の接続端が一列状に配列された第2の接続端列が、平行に所定距離を空けて形成され、測定端配列面は、前記1または2以上の前記第1の測定端が一列状に配列された第1の測定端列、および前記1または2以上の前記第2の測定端が一列状に配列された第2の測定端列が、平行に前記所定距離を空けて形成されている。この場合、接続端配列面は1平面の場合、2平面の場合、または曲面の場合があり得る。1平面の場合には、前記第1の接続端列と第2の接続端列は同一平面上で所定距離空けて平行に形成される。それに対応して、測定端配列面も1平面形成されることになり、前記第1の測定端列と第2の測定端列は同一平面上で前記所定距離空けて平行に形成される。2平面の場合には、前記第1の接続端列と第2の接続端列は異なる平面上に形成されるが、第1の接続端列と第2の接続端列を含む1の仮想的平面上で第1の接続端列と第2の接続端列は平行に形成されその仮想的平面上での接続端列間の距離が前記所定距離に相当する。その場合2平面は、相互に平行の場合や所定角度(例えば直角)で交差するように形成される(2平面の交線は前記接続端列に平行になる)場合がある。これに対応して、測定端配列面も2平面存在することになり、その1平面には、第1の接続端列と重なることが可能な第1の測定端列が形成され、他の1の平面には、第2の接続端列と重なることが可能な第2の測定端列が形成されることになり、第1の測定端列と第2の測定端列を含む1の仮想的平面上で第1の測定端列と第2の測定端列は平行に形成されその仮想的平面上での測定端列間の距離は前記所定距離に相当することになる。対応する平面同士(第1の接続端を有する平面と第1の測定端を有する平面同士、第2の接続端を有する平面と第2の測定端を有する平面同士)は摺動可能に設けられていることになる。2平面を用いることで、照射受光対との間を結ぶ導光路に対し、移動による導光路の変形を軽減することができる場合がある。
【0053】
前記「一列状」は、例えば、配列面が平面の場合には直線状が好ましい。前記接続端配列体と前記測定端配列体の相対的な移動方向は、前記第1および第2の接続端列、および前記第1および第2の測定端列に沿った方向であって、該第1の接続端列と前記第1の測定端列が重なり、該第2の接続端列と該第2の測定端列が重なりかつ切換えが移動によって連動するように配列されている。この場合には、1または2以上の照射受光対の各切換えを1の切換機構で共用することができるので、装置規模の拡大を防止することができる。
【0054】
第5の発明は、温度制御部をさらに有し、前記測光用容器は、該温度制御部によって温度制御可能に設けられ、該測光用容器は、その開口部が前記ノズルと直接的または間接的に嵌合可能である汎用光測定装置である。
【0055】
「間接的」とは、前記開口部が透光性のある密閉蓋を介して前記ノズルに装着される場合がある。この場合密閉蓋は、前記ノズルによって嵌合してノズルによって移送可能に設けられることが好ましい。
【0056】
第6の発明は、前記流管内または前記測光用容器内には、下方外部から測定可能であって、前記化学物質溶液の前記化学物質と結合可能な結合物質が固定された担体が封入されまたは収容された汎用光測定装置である。
【0057】
ここで、「担体」とは、不溶性の固体であって、1または2以上の粒子状担体、平面状担体、ブロック状担体を含有する。粒子状担体には磁性粒子をも含有する。この場合には、該磁性粒子を流管の壁部に吸着させるための磁力手段を設けるのが好ましい。
【0058】
第7の発明は、前記測光用容器、前記流管を前記ノズルに装着可能に収容する流管収容部、および前記測光用容器の開口部に嵌合して測光用容器を密閉し前記測定用光に対する透光性を有する密閉蓋を前記ノズルに装着可能に収容する密閉蓋収容部を少なくとも有する1または2以上のカートリッジ容器が前記ステージに装填可能に設けられた汎用光測定装置である。
【0059】
該測光用容器がその一部として設けられたカートリッジ容器は、その他、例えば、化学物質溶液、抽出用試薬、増幅用試薬、蛍光物質や化学発光物質等の標識化試薬、または酵素等の試薬を収容可能な複数の液収容部、温度制御可能な1または2以上の反応容器が略長方形状の基板に一列状に配列され、その基板の長手方向に沿った片側の縁部に所定高さの隔壁が形成されているものである。前記キャップで密閉可能な反応容器が、前記測光用反応容器に相当する。該隔壁は、該カートリッジ容器を隣接して複数並べて使用する場合に、他のカートリッジ容器からの試薬等の飛沫の混入を防止するためのものである。この場合には、前記測光用反応容器を用いて、測定対象の核酸溶液に含有する目的の核酸の増幅処理を行うことができる。
【0060】
前記測光用容器は、例えば、前記密閉蓋(上側がノズルに嵌合可能)の下側で嵌合可能な筒状の太筒部と、該太筒部(従って、ノズル)よりも細く形成された円筒状で、内側及び外側が水平方向に平坦な底部が下端に形成された細筒部と、太筒部と細筒部と連通しそれらの間に挟まれるように形成され、前記太筒部および細筒部の中間の内径及び外径をもつように形成された先細り形状の中間部とを有する。中間部には、後述するキャップのシール部1を嵌合して受け止めるための円筒状の受止部がその中央付近に形成されている。細筒部の外径は、例えば3.0mm、内径は2.5mmであり、該細筒部の底部の厚みは、例えば0.5mmである。これによって、該測光用反応容器の細筒部の軸方向に後述する照射端から照射された測定用光が底部を確実に透過し、該底部と下側で密接する後述する受光端により空気層を介さずに前記透過光を確実に受光することができる。また、測定用光が通過可能な程度の断面をもつ細筒状に化学物質溶液を収容させるので、測定に必要な液量を抑制し、小容量の液体についての測光を可能にする。
さらに、細筒部の上下方向の長さの範囲内に収容した液量に応じた適切な光路長を設定することができ、かつ照射端および受光端と該溶液とを接触させることなく測定用光を照射しかつ受光することができてクロスコンタミネーションを防止して信頼性が高い。
本物品の長手方向の基板の長さは、例えば150mm〜200mmである。
【0061】
第8の発明は、前記測光内容指定部は、前記測定対象の前記化学物質溶液として核酸溶液、免疫物質溶液を含むタンパク質溶液、アミノ酸溶液、脂肪溶液または糖鎖溶液の中から選択されたいずれかの溶液について、吸光度、濃度、目的物質の有無、目的物質の量の中から選択された少なくとも1の測光内容を指定可能であり、前記1または2以上の光源の少なくとも1は測定用光として白色光を発する白色光光源、および少なくとも1は測定用光として指定した波長の光を発することが可能な光源であり、前記1または2以上の光電変換部の一部は、1の分光器を介して接続された複数の光電変換部であり、少なくとも1は、前記蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介して接続された光電変換部であり、前記測光内容指定部によって前記測定対象の前記化学物質溶液について、その吸光度または濃度の測光内容が指定された場合には、前記照射受光対連動切換部は、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記白色光光源との間の接続および遮断と、その受光端の1の分光器を介して接続された複数の光電変換部との接続および遮断を連動して切り換え、前記測光内容指定部により、前記測定対象の前記化学物質溶液について、蛍光物質が用いられた目的物質の有無または量の測光内容が指定された場合には、前記照射受光対連動切換部は、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記蛍光を励起する励起光を発する前記光源との間の接続および遮断と、その受光端の前記蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介しての光電変換部との接続及び遮断を連動して切り換え、前記測光内容指定部により、測定対象の前記化学物質溶液について、化学発光物質で標識化された目的物質の有無または量の測光内容が指定された場合には、前記照射受光対連動切換部は、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端を前記1または2以上の光源からの遮断と、その受光端の前記光電変換部との接続及び遮断を連動して切り換える汎用測光装置である。
【0062】
ここで、前記2以上の液収容部には2種類以上の化学物質溶液が各々収容され、前記複数種類の化学物質溶液の内の1種類の化学物質溶液は、内部標準の既知の物理化学的数値(例えば、濃度)の溶液であり、前記複数種類の測定用光の内の1種類の測定用光は、前記内部標準に対応する(例えば、吸光可能な)標準測定用光であり、前記制御部は前記流管内に前記化学物質溶液の各規定量、及び前記内部標準溶液の規定量を混合して吸引し、前記照射端から前記各測定用光および前記標準測定用光を前記流管内に照射し、前記受光端で受光された前記測定用光に対する指定された前記測光内容(例えば、透過光の各強度および前記標準測定用光に対する透過光の強度)に基づいて前記各化学物質溶液の透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光による光に基づいて該化学物質溶液に関する前記物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を導くことがある。
【0063】
この例では、1対の照射受光対に対して、複数の波長をもつ光源の接続および遮断を順次行う必要があることになる。
【0064】
この場合には、測定対象となる化学物質溶液と内部標準とを混合して内部標準との相対的な物理化学的性質または数値を求めることで、光路長の変動に影響されず高い信頼性をもつことになる。
【0065】
化学物質溶液として、核酸溶液を測定の対象とする場合には、「内部標準」としては、核酸の濃度測定領域260nm付近の吸光が低いものが好ましい。例えば、ブロモフェノールブルー(BPB、青色色素)である。内部標準を用いることで、流管内への溶液の導入に伴う溶液の容量の揺らぎによる光路長の変動による透過率への指数関数的な変動による測定精度への影響を除去して信頼性の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)の測定を行うことができることになる。
【0066】
ここで、前記制御部は、前記各測定用光の透過光、散乱光、または発色、呈色、若しくは変色若しくは変光に基づいて、前記各化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、前記各化学物質溶液の各吸光度)を求め、前記標準測定用光の透過光、散乱光、または発色、呈色、若しくは変色若しくは変光に基づいて前記内部標準溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を求め、さらに例えば、前記化学物質溶液の吸光係数および内部標準溶液の吸光係数、混合液の量から求めた前記内部標準溶液の濃度を用いて、該化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を求める汎用光測定装置である。
【0067】
ここで、ある化学物質溶液(A1)について、その測定に適した波長をもつ測定用光に対する該当する吸光度をA
1、吸光係数をε
1、該化学物質の濃度をc
1とする。また、内部標準(A0)について、その測定に適した波長をもつ標準測定用光に対する該当する吸光度をA
0、吸光係数をε
0、該内部標準の規定濃度をc
0とする。また、流管に混合して吸引された場合の光路長をL(混合液として共通)とすると、ランベルト・ベールの法則から各々次の式が得られる。
A
1=ε
1c
1L
A
0=ε
0c
0L
これらの式から光路長を消去すると、c
1=(A
1ε
0c
0)/(A
0ε
1)より濃度c
1が求められることになり、変動しやすい光路長の影響を受けずに内部標準との相対比に基づく信頼性の高い濃度を得ることができることになる。
【0068】
さらに、前記2以上の液収容部には2種類以上の化学物質溶液が各々収容され、前記複数種類の化学物質溶液の内の1種類の化学物質溶液は希釈液であり、前記制御部は前記流管内に前記化学物質溶液の各規定量、及び希釈液の所定量を混合して吸引し、前記照射端から前記各測定用光を前記流管内に照射し、前記受光端で受光された前記測定用光に対する各透過光、測定用光の強度に基づいて前記化学物質溶液の吸光度を導くことがある。
【0069】
この場合には、複数種類の化学物質溶液の内の1種類については、希釈液または溶媒を用いることで、希釈後の化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を測定することができることになる。
【0070】
第9の発明は、少なくとも核酸増幅法による増幅量の測定、核酸検出法、免疫測定法若しくは酵素法による検出若しくは定量測定、または濃度若しくは吸光度の測定のいずれかの対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定工程と、指定された測光内容により定まる測定用光を照射可能な1または2以上の照射端および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端からなる1対または2対以上の照射受光対について、該照射受光対の一方の要素が1または2以上のノズルまたは吸引吐出機構に設けられ、該照射受光対の他方の要素はその上側に前記測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する測光用容器が設置されるとともに、指定された測光内容に基づいて、化学物質溶液を、前記ノズルに着脱可能に上端で装着され下端に口部を有する流管内に吸引吐出機構を用いて吸引して保持し、または前記測光用容器に収容する保持収容工程と、前記照射受光対の他方の要素の上方に前記流管の前記口部または前記ノズルを位置付けて、前記照射端から前記測定用光を前記流管内または前記測光用容器内を通り上下方向に沿って照射することによって生じた光または前記流管内または前記測光用容器内で生じた光を前記受光端で受光して光の強度を得る光測定工程と、前記受光端で受光した光の強度に基づいて前記化学物質溶液に関する前記物理化学的性質または数値を導く測光解析工程とを有する汎用光測定方法である。
【0071】
ここで、前記保持収容工程は、1または2以上の流管が前記ノズルに装着可能に収容する流管収容部に収容されて、前記ノズル移動機構によって前記1または2以上の流管に対して1または2以上の前記ノズルを相対的に下降することで着脱可能に装着する装着工程を有することが好ましい。前記測光用容器液および流管収容部はステージに設けるのが好ましい。前記流管は、前記ノズルに着脱可能に装着可能な装着用開口部を上端にもち下端に前記収容部内に挿入可能な口部を有し、前記流管収容部では、前記装着用開口部を上側に収容する。
【0072】
前記光測定工程は、前記ノズル移動機構によって前記1または2以上の前記流管の前記口部と前記装着用開口部を共通に通る垂直共通軸線上であって前記ノズルまたは前記吸引吐出機構に前記照射端受光対の一方の要素が設けられ、前記照射受光対の他方の要素が前記垂直共通軸線上に位置付けられるのが好ましい。また、前記1または2以上の液収容部に前記1または2種類以上の前記化学物質溶液を収容し、該化学物質溶液について測定を行う場合には、該化学物質溶液の前記化学物質により吸光可能な1または2種類以上の測定用光を照射端から照射することが好ましい場合がある。前記光測定工程では、さらに受光した光を前記光電変換部によって電気信号に変換することになる。前記測光解析工程は、例えば、吸光度を導出し、さらに導出した前記吸光度に基づいて前記化学物質溶液の濃度や酵素活性、免疫抗原量等を求めることが可能である。
【0073】
第10の発明は、前記光測定工程において、前記照射受光対の他方の要素はステージに設けられ、前記ノズルを前記ステージに対して相対的に移動可能とするノズル移動機構によって、前記流管の口部または前記ノズルを前記照射受光対の他方の要素の上方に位置付ける汎用光測定方法である。前記吸引吐出機構および前記ノズルはノズルヘッドに設けられるのが好ましい。
【0074】
第11の発明は、前記光測定工程は、前記測光内容指定工程により指定された前記測光内容に基づいて、前記1対または2対以上の前記照射受光対について、その照射端と前記1または2以上の光源との間の接続または遮断と、前記1または2以上の受光端と前記1または2以上の光電変換部との間の接続および遮断とを、該照射受光対ごとに連動して切り換える照射受光対連動切換工程を有する汎用光測定方法である。
【0075】
第12の発明は、前記光測定工程は、前記1対または2対以上の各照射受光対に属する照射端および受光端について、該照射端と光学的に接続された第1の接続端および該受光端と光学的に接続された第2の接続端からなる1対または2対以上の接続端対、および、前記測光内容指定工程で指定された測光内容に基づいて組み合わされた、0、1または2以上の光源と光学的に接続された第1の測定端および1または2以上の光電変換部と光学的に接続された第2の測定端からなる1対または2対以上の測定端対に属する対応する各要素同士の同時の接続または遮断によって、
1対または2対以上の前記照射受光対ごとに、前記照射端と前記光源との接続または遮断が、前記受光端と前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる切換工程を有する汎用光測定方法である。
【0076】
第13の発明は、前記保持収容工程は、該測光用容器に収容された化学物質溶液の一部を残して前記流管内に吸引吐出機構を用いて吸引し、
前記光測定工程は、前記流管の口部を前記底部の前記透光領域に当接させることで前記照射端または受光端の上方に前記流管の口部を位置付け、前記測定用光を前記照射端から前記流管内を通り上下方向に沿って照射させる汎用光測定方法である。
【0077】
これによって、容器内には化学物質溶液の一部を残しているので、流管内への空気層の導入を防止して、前記測定対象の化学物質溶液のみについての前記口部から始まる光路を形成して、精度の高い測定を行うことができることになる。
【0078】
なお、前記測光用容器の底部に凹部が設けられている場合には、該凹部内の細底部に前記流管の下端部を緩挿または嵌挿させて位置決めすることができる。透光領域は前記受光端の受光端面に空気層を介さずに密着または密接するように設けることが好ましい。
【0079】
第14の発明は、前記光測定工程において、前記測光用容器は、温度制御部によって温度制御されるとともに、その開口部が前記ノズルに直接的または間接的に嵌合される汎用光測定方法である。
【0080】
第15の発明は、前記流管は、外光に対して遮光するように設けられ、前記測光用容器は前記流管の下端部が上方から挿入または緩挿可能であって、前記光測定工程は、前記流管を前記測光用容器上に移動させ、前記流管の下端部を前記測光用容器に挿入または緩挿させて該底部に前記口部を当接させた状態で、前記照射端から前記測定用光の前記流管内を通り上下方向に沿った照射を行う汎用光測定方法である。
【0081】
なお、前記保持収容工程において、前記流管の口部から一定間隔上方に空けた位置より上側に前記化学物質溶液を吸引するようにして該化学物質溶液を該流管内に保持する場合がある。この場合には、流管の下端の口部からの液漏れを防止して、光路長を安定させて精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を得ることができる。また、照射端と受光端を結ぶ垂直共通軸線上に沿った流管内の光路は、流管の壁部を含み化学物質溶液及び空気以外の物質で遮られることがないので、流管及び容器を含め測定用光に透明な物質で形成する必要がなく、安価で精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)の測定を行うことができる。
【0082】
また、前記保持収容工程における前記化学物質溶液は複数種類の化学物質溶液であり、その化学物質溶液の内の1種類の化学物質溶液は、内部標準の既知の濃度の溶液であり、前記化学物質溶液の各規定量、および内部標準の規定量を混合して前記流管内に吸引することで行い、前記測定用光照射工程における前記測定用光は複数種類あり、その内の1種類の測定用光は、前記内部標準により吸光可能な標準測定用光であり、前記各測定用光および前記標準測定用光を前記流管内に照射することで行い、前記光測定工程は、前記指定された測光内容に基づいて、前記各測定用光に対する透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光および前記標準測定用光に対する透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光を受光端で受光することによって行い、前記測光解析工程は、前記各測定用光の該各透過光等および前記標準測定用光の透過光等の光の強度に基づいて前記各化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を導くことがある。
【0083】
この場合には、測定対象となる化学物質溶液と内部標準とを混合して内部標準との相対的な物理化学的性質または数値を求めることで、光路長の変動に影響されず、高い信頼性をもつことになる。
【0084】
なお、前記測光解析工程は、前記各測定用光の透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光の強度から前記各化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、各吸光度)を求め、前記標準測定用光の透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光の強度から前記内部標準溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を求めることがある。さらに、例えば、前記各化学物質溶液の吸光係数および内部標準溶液の吸光係数、混合液の量から求めた前記内部標準溶液の濃度を用いて、例えば、該各化学物質溶液の濃度を求める。
【0085】
さらに、前記保持収容工程における前記複数種類の化学物質溶液の内の1種類の化学物質溶液は希釈液であり、前記化学物質溶液の各規定量、および該希釈液の所定量を混合して流管内に吸引することで行う汎用光測定方法のことがある。
【0086】
この場合には、複数種類の化学物質溶液の内の1種類については、希釈液または溶媒を用いることで、希釈後の化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を測定することができることになる。
【0087】
第16の発明は、前記測光内容指定工程は、前記測定対象の前記化学物質溶液として核酸溶液、免疫物質溶液を含むタンパク質溶液、アミノ酸溶液、脂肪溶液または糖鎖溶液の中から選択されたいずれかの溶液について、その吸光度、その濃度、目的物質の有無、目的物質の量の中から選択された少なくとも1の測光内容を指定し、前記照射受光対連動切換工程は、前記測光内容指定工程が、測定対象の前記化学物質溶液について、その吸光度または濃度の測光内容を指定した場合には、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記白色光光源との間の接続および遮断と、その受光端の1の分光器を介して接続された複数の光電変換部との間の接続および遮断を連動して切り換え、前記照射受光対変換工程は、前記測光内容指定工程が、測定対象の前記化学物質溶液について、蛍光物質が用いられた目的物質の有無または量の測光内容が指定された場合には、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端と前記蛍光を励起する励起光を発する前記光源との間の接続および遮断と、その受光端の前記蛍光を通過可能なバンドパスフィルタを介しての光電変換部との接続および遮断を連動して切り換え、前記照射受光対連動切換工程は、測光内容指定工程が、測定対象の前記化学物質溶液について、化学発光物質で標識化された目的物質の有無または量の測光内容が指定された場合には、1対または2対以上の前記照射受光対の前記照射端を前記1または2以上の光源からの遮断と、その受光端の前記光電変換部との接続および遮断を連動して切り換える汎用光測定方法である。
【0088】
第17の発明は、測定用光を照射可能な照射端および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端からなる1対または2対以上の照射受光対と、前記照射端に測定用光を供給し前記受光端で受光した光の強度を得る光測定部とを有するとともに、前記光測定部は、1または2以上の光源および1または2以上の光電変換部と、該測光内容指定部により指定された前記測光内容に基づいて、1対または2対以上の前記照射受光対について、その照射端と前記1または2以上の光源との間の接続または遮断と、その受光端と前記1または2以上の光電変換部との接続および遮断とを、該照射受光対ごとに連動して切り換える照射受光対連動切換部とを有する光測定器である。
なお、本発明に対しては、第4の発明乃至第8の発明を組み合わせまたは従属させることができる。また、第3の発明の説明を該発明に適用することができる。
【発明の効果】
【0089】
第1の発明、または第9の発明によれば、従来、遺伝子解析、遺伝子増幅、イムノアッセイ、吸光度解析、濃度測定、酵素検出等の異なる分野において、各々専用の装置を用いて行っていた種々の物理化学量、種々の物理化学的性質を求める測定を、1または複数種類のサンプルに対して可能にすることによって、測定すべき内容に応じた個数や種類の専用装置の使用を不要とし、1の装置を用いて、共通のサンプルまたは共通のサンプルに由来するサンプルを用いて、サンプルに関する各種分野に亘る(ビッグ)データを、小規模の装置で、容易にかつ高い精度で効率良く迅速に引き出すことができる。
【0090】
また、ノズルまたは吸引吐出機構に対しその基本的形態および基本的機能を変えることなく照射端または受光端を設けることによって、分注処理とは別個に測光処理に専用のノズルや吸引吐出機構または専用部品を設けることなく、また、吸引吐出機能を妨害することなく通常の分注処理と共通のノズルおよび吸引吐出機構を用いて、前記ノズルに流管を装着させまたは測光用流管に嵌合させることで通常の分注処理および測光処理を行うことができるので処理が容易で作業効率が高い。
【0091】
さらに、測定用光が通過可能な程度の断面をもつ細柱状に化学物質溶液を流管内または測光容器内に保持または収容させて、測定に必要な液量を抑制し小容量の液体についての物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)の測定を可能にする。また、化学物質溶液を収容する流管または透光領域を有する測光用流管によって測定用光が遮られることがないので、測定用光に対する光学的影響を除去または削減して精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を得ることができる。また、流管または測光用容器の透光領域によって測定用光が遮られることがないので、測定用光の種類に応じた専用素材のみで製造した流管や測光用容器を用いることなく安価に製造することができるとともに、測定用光に不透明な部材(例えば、黒色物質)を流管や測光用容器に使用して外部からの光の進入を防止し精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、濃度)の測定を行うことができることになる。ここで「細柱状」とは、例えば、ノズルの断面に比較して細く形成されていることをいい、前記流管または測光用容器に液を収容かつ保持することで形成される。
【0092】
前記流管の上下方向の長さの範囲内で前記吸引した液量に応じた適切な光路長(例えば透過光や散乱光の場合)を設定することができ、照射端および受光端を溶液と接触させることなく測定用光を照射しかつ受光することができる。したがって、受光端、照射端と溶液との接触によるクロスコンタミネーションを防止して信頼性が高く、かつ容器のサイズによって光路長が固定されることなく、液量に応じた適切な光路長を設定することができて種々の液量に応じた物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を測定することができるので汎用性が高い。
【0093】
さらに、定量性の高い吸引吐出機構および制御部を用いることで、光路長を精度良く確定しかつ安定させて、信頼性の高い測定を行うことができることになる。
また、複数のノズルを用いることで、複数の化学物質溶液の性質または数値を並行して測定することが可能であるとともに、1の化学物質溶液に対して種々の性質または数値を順次測定することが可能であり、効率性が高い。
【0094】
第2の発明または第10の発明によると、測光用容器および照射受光対の他方の要素が設けられたステージに対して相対的に移動可能とすることで、流管が測定対象となる化学物質溶液を収容されている容器にまで移動して吸引しかつ測光用容器にまで移動して、照射受光対が上下方向に例えば、垂直共通軸線に沿って並ぶような正確な位置に容易かつ確実に位置付けすることができる。また、人手に触れることなく上下方向に沿って測定用光を照射して、該化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)を測定することができることになり、クロスコンタミネーションを防止して信頼性の高い測定を行うことができる。さらに、流管を収容する流管収容部をステージに設けることで、流管のノズルへの装着をも人手に触れることなく実行することができる。また、サンプルから核酸等を抽出して化学物質溶液としての核酸溶液の作成やPCR処理までを一貫して行うことも可能である。
【0095】
第3の発明、第11の発明または第17の発明によれば、1または2以上の照射端と1または2以上の光源との間での光学的な接続または遮断を切り換えることによって、前記照射端から種々の測定用光を照射しまたは光源から遮断することができるとともに、それに連動して1または2以上の受光端と1または2以上の光電変換部との間で光学的な接続および遮断を切り換えることができるので、1の化学物質溶液について、種々の光源若しくは光源からの遮断および種々の光電変換部を組み合わせて種々の測定を行うことができて汎用性が高い。また、複数の化学物質溶液に対して複数種類の測定を同時並行して行うことができるので効率性が高く、複数の化学物質溶液ごとに光源や光電変換部を設ける必要がないので、装置規模の拡大や製造費用の拡大を防止することができる。
【0096】
第4の発明または第12の発明によると、照射端の光源との接続および遮断と受光端の光電変換部との接続および遮断とを、共通の切換機構による接続端配列体と測定端配列体との相対的な移動によって実現することができるので、複数連のサンプルに対して、複数種類の測定を1の装置で同時並行して行うことができるので、装置規模の拡大や部品点数の増大を防止しかつ汎用性及び効率性が高いことになる。
【0097】
第5の発明または第14の発明によると、測光用容器の開口部をノズルによって直接的または間接的に嵌合させた上で、測光用容器に収容された化学物質溶液の温度制御による反応の変化を測定することができるので、核酸のリアルタイムPCRにも使用することができる。
【0098】
第13の発明によると、化学物質溶液を収容している測光用容器の液収容測定対象となる化学物質溶液を一部残して流管内に吸引した状態で流管の口部で測光用容器の底部の透光領域に当接させることによって、該口部からの液垂れや、前記口部を通しての液の移動や口部付近の空気層の混入による液の光路長の下端の変動を防止することができる。したがって、流管の光路長を安定化させて精度の高い物理化学的性質または数値(例えば、吸光度)の測定を実現することができる。また、測定の対象となる液体の規定量が小さい場合であっても、規定量の液体を該流管内に吸引することによって適切な光路長を設定して測定を行うことができる。特に、透光領域が受光端面に密接または密着している場合には、液体の上端面から受光端面に至るまで空気層の混入がないので光路長が安定していることになる。
【0099】
第15の発明によると流管が外光から遮光するように設けることによって、光路長の全体について、外光から遮光状態におくことができる。したがって、受光端は測定用光のみによる透過光を受光して精度の高い吸光度の測定を行うことができる。
【0100】
第6の発明によると、担体に捕獲された目的物質に関して測光を行うことができることになり、より一層測光内容の守備範囲を広げることができて汎用性が高い。
【0101】
第7の発明によると、ステージ上に種々のカートリッジ容器を装填することができるので、測光内容に応じた試薬等を予めカートリッジ容器にプレパックすることによってユーザに負担をかけることなく、迅速かつ効率的に各種処理を行うことができることになる。
【0102】
第8の発明または第16の発明によると、照射端と、白色光光源等の光源との間の接続および遮断、受光端と光電変換部、バンドパスフィルタを介しての光電変換部、1の分光器を介しての複数の光電変換部との接続および遮断とを各照射受光対ごとに連動して行うことによって、1の化学物質溶液についての吸光度、濃度、蛍光物質若しくは化学発光物質で標識化された目的物質の有無または量を順次測定することができることになる。
【発明を実施するための形態】
【0104】
図1に基づいて、本発明の実施の形態に係る汎用光測定装置10を示す。
該汎用光測定装置10は、1または2種類以上の化学物質溶液、各種試薬、流管2
1〜2
n、密閉蓋を収容する1または2以上の収容部、および温度制御可能な1または2以上の反応容器がY軸方向(列方向)に沿って延びるように各々配列された複数の収容部群3
1〜3
nがX軸方向(行方向)に沿って配列されたステージ3と、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構41、該吸引吐出機構41と連通し前記収容部群の配列に応じた間隔でX軸方向に沿って配列された複数のノズル4
1〜4
nが支持されたノズル支持体4を有するノズルヘッド5と、前記ノズル4
1〜4
nを前記ステージ3に対して相対的に移動可能とするノズル移動機構(51,42)と、を有する。
【0105】
測定対象となる前記化学物質溶液としては、例えば、核酸溶液、免疫物質溶液を含むタンパク質溶液、アミノ酸溶液、脂肪溶液または糖鎖溶液塩基配列である。各種試薬としては、例えば、核酸抽出用試薬、核酸増幅用試薬、リアルタイムPCR用試薬、標識化物質、磁性粒子を含む各種担体懸濁液である。前記流管2
1〜2
n(例えば、
図8に示すように)下端に液体の吸引吐出が可能で前記収容部群の各収容部内または反応容器(測光用容器を含む)内に一斉に挿入可能な口部2a、上端に前記ノズル4
1〜4
nに着脱可能に装着される装着用開口部2bを有し、該流管として、分注に用いる分注用流管(分注チップ)と測光に用いる測光用流管とを有する場合と、両者を一種類の流管で兼用する場合がある。
【0106】
前記ステージ3の前記各収容部群3
1〜3
nには、前記1または2種類以上の前記化学物質溶液、各種試薬等が収容されている1または2以上の液収容部36
1〜36
n、分注チップとして用いる分注用流管2
n+1〜2
2nが前記ノズル4
1〜4
nに装着可能となるように前記装着用開口部を上側にして収容されている分注用流管収容部32
1〜32
n、測光を行う測光用流管2
1〜2
nが前記ノズル4
1〜4
nに装着可能となるように装着用開口部を上側にして収容される測光用流管収容部31
1〜31
n、温度制御が可能な反応容器34
1〜34
nおよび温度制御が可能で前記測定対象に対して測光が行われる測光用容器35
1〜35
nを有している。該ステージ3には、前記反応容器34
1〜34
nおよび測光用容器35
1〜35
nの温度制御を行うペルチェ素子やヒートブロック等を有する温度制御器39が設けられている。
【0107】
該汎用光測定装置10は、少なくとも1の測光用流管2
1〜2
nまたは前記測光用容器35
1〜35
nに対して該測光用流管2
1〜2
n内および/または測光用容器35
1〜35
n内を通るように前記1または2種類以上の測定用光を照射可能な1または2以上の照射端6
1〜6
nおよび前記照射端6
1〜6
nからの光を受光可能な1または2以上の受光端7
1〜7
nからなる1または2以上の照射受光対(6
1,7
1)〜(6
n,7
n)を有し、前記測光用容器35
1〜35
nは、前記化学物質溶液を収容可能で前記測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する。なお、該照射端6
1〜6
nおよび受光端7
1〜7
nの対は、前記ノズル4
1〜4
nに装着された前記流管2
1〜2
nの前記口部2aと前記装着用開口部2bを共通に通る垂直共通軸線上にあることが好ましい。
【0108】
該汎用光測定装置10は、前記照射端6
1〜6
nに測定用光を供給し前記受光端7
1〜7
nで受光した光の強度を得る光測定部8を有する。該光測定部8は、前記照射端6
1〜6
nと光学的に接続可能な1または2以上の光源62と、該受光端7
1〜7
nと光学的に接続可能で受光した光の強度を電気信号に変換する1または2以上の光電変換部72と、前記光源62と前記複数の照射端6
1〜6
nとの間の接続または遮断の切り換えと、前記光電変換部72と前記複数の受光端7
1〜7
nとの間の接続および遮断の切り換えとを連動して行う照射受光対連動切換部81とを有する。ここで、前記照射端6
1〜6
n、前記受光端7
1〜7
n、および前記光測定部8は光測定器に相当する。
【0109】
複数の光源としては、例えば、複数種類の特定波長光源を有する場合があり、または各特定波長に設定された複数の波長可変光源を用いる。複数の光電変換部としては、複数種類の特定波長の光に対応するバンドパスフィルタを介した複数の光電変換部を設ける場合や、分光計を介して、各波長に対応して光電変換部を設ける場合がある。
【0110】
該汎用光測定装置10は、前記ノズル移動機構(51,42)、前記吸引吐出機構41、前記光測定部8を制御して前記化学物質溶液に関する物理化学的な性質または数値を導く制御部としての情報処理を行うCPU+プログラム+メモリ9と、該CPU+プログラム+メモリ9に対するユーザの指示等の操作を行う操作パネル94とを有している。該操作パネル94には、測定対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定部95が設けられている。
【0111】
前記CPU+プログラム+メモリ9は、前記1または2種類以上の化学物質溶液の規定量を単独でまたは混合して前記ノズル4
1〜4
nに装着された前記流管2
1〜2
n内に吸引して保持し、または前記測光用容器35
1〜35
n内に収容し、前記垂直共通軸線上であって前記口部2aまたは前記ノズル4
1〜4
nを前記照射端6
1〜6
nまたは前記受光端7
1〜7
nの前記他方の上方に位置付けて、前記照射端から前記測定用光を該流管2
1〜2
n内または前記測光用容器35
1〜35
n内を通り、上下方向に沿って照射して前記受光端7
1〜7
nで受光した前記化学物質溶液の透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光に基づいて前記化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値を導く。
【0112】
前述したように、前記測定用光を流管内または測光容器内を通して照射可能な前記照射端6
1〜6
nの列または該照射端からの光を受光可能な前記受光端7
1〜7
nの列の一方は、前記ノズルヘッド5の前記吸引吐出機構41若しくはノズル4
1〜4
nの前記垂直共通軸線上の部分44
1〜44
n(例えば、ノズル4
1〜4
nの先端やシリンダのプランジャの先端等)に設けられ、その他方はステージ3に設けられ、前記ノズルの間隔と同じ間隔でX軸方向に沿うように配列されている。測光時にあっては、前記ノズル4
1〜4
nに装着された前記流管2
1〜2
nを前記測光用容器内に挿入させ、またはノズル4
1〜4
nが直接的または間接的に測光用容器に嵌合させることで測光用容器35
1〜35
nを通して、前記受光端7
1〜7
nと前記照射端6
1〜6
nからなる照射受光対(同一下付き添え数字をもつ組)が前記垂直共通軸線上に位置するように制御する。前記ノズル4
1〜4
nまたは前記吸引吐出機構41の前記垂直共通軸線上の前記部分44
1〜44
nに設けられた受光端7
1〜7
nまたは照射端6
1〜6
nは、各々可撓性のある導光路71(61)によって光電変換部72または光源62と光学的に接続可能である。
【0113】
前記ノズルヘッド5には、さらに前記ノズル4
1〜4
nを一斉にZ軸方向に沿って移動させるノズル移動部42と、前記ノズル4
1〜4
nに装着された前記流管2
1〜2
n内に磁力を及ぼすことが可能な磁力機構43と、前記ノズル4
1〜4
nから前記流管2
1〜2
nを一斉に脱着可能とする脱着機構45とが設けられている。ここで、前記ノズル4
1〜4
nをZ軸方向に移動可能な前記ノズル移動部42と、前記ノズルヘッド5をY軸方向に沿って移動可能な前記ノズルヘッド移動機構51とを合わせたものが前記ノズル移動機構(51,42)に相当する。
【0114】
前記CPU+プログラム+メモリ9には、前記ノズル移動機構(51,42)、前記吸引吐出機構41、前記磁力機構43、温度制御器に対して抽出または反応の指示を行う抽出・反応制御部91と、前記測光内容指定部95によって指定された測光内容に基づいて、前記ノズル移動機構(51,42)、前記吸引吐出機構41、光測定部に対して前記測光内容に関する制御を行う測光制御部92と、前記光測定部8から得られた前記化学物質溶液の透過光、散乱光、または発光、呈色、変色若しくは変光に係る光の強度に基づいて、前記測定対象の化学物質溶液に関する物理化学的性質または数値を導く測光解析部93とを有する。
【0115】
続いて、
図2乃至
図11に基づいて、
図1で説明した本発明の第1の実施の形態に係る汎用光測定装置10をより具体的にした汎用光測定装置11を説明する。
図2に示すように、該汎用光測定装置11は、外部からの光の侵入を遮断可能な暗箱の機能をもつ筐体12内に組み込まれ、測定対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定部を有する前記操作パネル94を有するタッチ式タブレット(図示せず)を筐体外に設ける。
【0116】
図2乃至
図4に示すように、本実施の形態に係る汎用光測定装置11は、1または2種類以上の化学物質溶液、各種試薬、流管20
1〜20
8、穿孔用チップ、密閉蓋を収容する1または2以上の収容部および温度制御可能で前記測光内容により定まる測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する測光用容器を含む1または2以上の反応容器がY軸方向(列方向)に沿って一列状に延びるように配列された複数(この例では8)列の収容部群30
1〜30
8が、X軸方向(行方向)に沿って配列されるように装填可能な装填用孔301〜305が設けられたステージ30と、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構410、該吸引吐出機構410と連通し、X軸方向に沿って前記収容部群30
1〜30
8の間隔で配列された複数(この例では8)個のノズル40
1〜40
8を有するノズルヘッド50と、該ノズルヘッド50と前記ステージ30との間を相対的にY軸方向に沿って移動可能とするノズルヘッド移動機構として、該ステージ30を前記ノズルヘッド50に対して移動可能とするステージ移動機構(図示せず)と、光測定部80とを有する。
【0117】
該汎用光測定装置11は、さらに、指定された前記測光内容により定まる測定用光を照射可能な照射端60
1〜60
8および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端70
1〜70
8からなる複数(この例では8)対の照射受光対を有し、該照射受光対の一方の要素の照射端は前記ノズル40
1〜40
8の先端に設けられ、該照射受光対の他方の要素の受光対は前記測光用容器の下側に設けられている。さらに該汎用光測定装置11はその一端が照射端とその他端が前記光測定部80と接続された複数(この例では8)束の導光路としての光ファイバ610、および、一端が前記受光端とその他端が前記光測定部80と接続された複数(この例では8)束の導光路としての光ファイバ710が設けられている。これによって前記光測定部80は、前記照射端に測定用光を供給し前記受光端で受光した光の強度を得る。
【0118】
前記ノズルヘッド50には、さらに、前記下端に液体の吸引吐出が可能で前記収容部内に挿入可能な口部20a、上端に前記ノズル40
1〜40
8に着脱可能に装着される装着用開口部20bを有する8本の流管20
1〜20
8と、該ノズル40
1〜40
8を前記ステージ30に対して一斉にZ軸方向に沿って移動可能とするノズル移動部420と、前記ノズル40
1〜40
8に装着された流管20
1〜20
8の内部に一斉に磁力を及ぼしかつ除去することが可能な前記流管20
1〜20
8に対して磁石を進退動作可能に設けた磁力機構(図示せず)と、前記ノズル40
1〜40
8に装着された流管20
1〜20
8をノズルから脱着することが可能な脱着機構450とが設けられている。ここで、前記ステージ移動機構と前記ノズル移動部420とを合わせたものが前記ノズル移動機構に相当する。
【0119】
前記ノズルヘッド50は、該汎用光測定装置11の基板13に固定して設けられたノズルヘッド支持枠425に支持され、前記ステージ移動機構は、前記基板13に設けられたY軸方向に敷設されたレール、Y軸方向に沿ってロータに架け渡されたタイミングベルト、および該タイミングベルトによってY軸方向に移動可能なステージ30が連結されたY軸移動機構を有するものである。
【0120】
図2乃至
図4に示すように、該ノズルヘッド50の前記ノズル移動部420は、前記支持枠425のX軸方向に延びる梁425aに設けられたモータ421と、該モータ421によって回転駆動される下方向に延びるように設けられたボール螺子422と、該ボール螺子422の回転によって、該ボール螺子422に螺合するナット部423に取り付けられたZ軸移動板426と、前記基板13に立設され前記支持枠425の前記梁425aを両端で支える2本の角柱425bに沿ってZ軸方向に沿って敷設された案内用レール427と、前記Z軸移動板426の両縁部に設けられ該案内用レール427と滑合して上下動可能な可動案内部材424とを有する。
【0121】
図2乃至
図4に示すように、前記ノズルヘッド50の前記吸引吐出機構410は、前記Z軸移動板426に支持された気体の吸引吐出用モータ412、該モータ412により回転駆動されるボール螺子411と、該ボール螺子411と螺合するナット部と連結して上下動可能なプランジャ駆動板413と、該プランジャ駆動板413と係合して複数(この例では8)本のシリンダ416内を摺動する複数(この例では8)本のプランジャ414とを有する。なお、前記プランジャはコイル状のばねが巻装されて前記シリンダに対して常に下方向に付勢されている。
【0122】
図2乃至
図4に示すように、前記複数本のシリンダ416は、前記Z軸移動板426に取り付けられたシリンダ支持基板40aにその上端で支持されて下方向に延びるように支持され、その下端で、前記Z軸移動板426に取り付けられたノズル支持基板40b上に配列して設けられた複数(この例では8)個の連結具46に各々嵌合するように連結されている。該シリンダ支持基板40aおよび該ノズル支持基板40bは、前記ノズル支持体4に相当する。
【0123】
図2乃至
図4に示すように、前記ノズルヘッド50には、前記ノズル40
1〜40
8に装着された流管20
1〜20
8を脱着するための脱着機構450を有し、該脱着機構450は、前記ノズル40
1〜40
8の外径よりも大きいが、該ノズル40
1〜40
8に装着される流管の外径よりも小さい内径をもち内部を前記各ノズルが貫通する脱着用の孔または隙間が各櫛歯の先端に形成され、前記ノズル支持基板40bの下側に接した状態で設けられた櫛歯状脱着部材451と、前記ノズル支持基板40bの両端の外側を通り、前記櫛歯状脱着部材451の両端に取り付けられた2個の箱型のばね受け454と、該ばね受け454に下端が固定され上端が前記シリンダ支持基板40aを貫通してその上側に達するが前記プランジャ駆動板413の下側に所定距離を空けて位置する2本のポール453と、該ポール453の周囲を螺旋状に巻き付きその上端が前記シリンダ支持基板40aに取り付けられ、その下端が前記ばね受け454に取り付けられたコイルばね452とを有する。前記プランジャ駆動板413が吸引吐出のための高さ位置よりも低い位置に移動させることで前記脱着部材451を前記ノズル支持基板40bから下方向に離間させて前記流管の脱着を行う。前記プランジャ駆動板413を吸引吐出の高さ位置に戻せば、前記ばね452の圧縮力で前記脱着部材451が前記ノズル支持基板40bにまで後退する。
【0124】
図4および
図5に基づいて、本実施の形態に係る汎用光測定装置11のステージ30を説明する。
該ステージ30は、プレート状に形成され、複数(この例では8)列の前記収容部群30
1〜30
8が装填可能に設けられた8列の装填用孔301〜305が、列方向(Y軸方向)に沿って穿設されている。各収容部群30
1〜30
8は、測定に使用される測光用容器350
1〜350
8、密閉蓋25を収容する収容部330
1〜330
8、増幅用試薬を収容する液収容部群362
1〜362
8が設けられ、その片側の縁部に沿って隔壁37a,37bが設けられているカートリッジ容器38a,38bが装填可能な測定エリア30A,抽出用試薬等が収容される液収容部360
1〜360
8または反応容器340
1〜340
8を有し、隔壁37c,37f,37hが設けられたカートリッジ容器38c,38f,38hを装填可能な抽出エリア30B、穿孔用チップ23が収容される穿孔用チップ収容部322、種々の流管20,21が収容される流管収容部310,320,321、隔壁37d,37e,37gを有するカートリッジ容器38d,38e,38gを装填可能な流管エリア30Cからなり、さらに、行方向(X軸方向)に沿って延びる1行のカートッジ容器であってサンプルが収容されるべきカートリッジ容器38iが設けられたサンプルエリア30Dを有している。
【0125】
図4および
図5は、ステージ30の3列の収容部群30
8〜30
6を用いて、リアルタイムPCR測定(収容部群30
8)、免疫化学発光測定(収容部群30
7)、生体物質吸光スペクトルの測定(OD値)(収容部群30
6)を行うための、ステージ30の配置例を示すものである。
収容部群30
8は、リアルタイムPCR測定に使用される試薬等が予め収容されているものであって、該収容部群30
8の測定エリア30Aには、密閉蓋25を収容する密閉蓋収容部330
8と該密閉蓋25で可能な測光用容器350
8と、その片側の縁部に設けられた隔壁37aからなる測光用カートリッジ容器38aと、リアルタイムPCR測定用PCR試薬が収容された3個の液収容部362
8と隔壁37bからなるPCR試薬用カートリッジ容器38bとが、測定エリア30Aの装填用の孔301,302に装填されている。該収容部群30
8の抽出エリア30Bには、サンプルから目的とする核酸を抽出するための抽出用試薬、磁性粒子等が収容されている8個の液収容部360
8および温度制御可能な反応容器340
8、生成物を収容する液収容部340
8と隔壁37cを有する抽出用カートリッジ容器38cが装填用の孔303に装填されている。また、該収容部群30
8の流管エリア30Cには、穿孔用チップ23が収容されている穿孔用チップ収容部322
8と隔壁37dからなる穿孔用カートリッジ容器38dと、分注用流管収容部320
8、微小量分注用流管収容部321
8と隔壁37eを有する流管用カートリッジ容器38eとが装填用孔304,305に装填されている。該収容部群30
8のサンプルエリア30Dには、該収容部群30
1〜30
8を横断するようにサンプル液収容部361
1〜361
8が設けられたサンプル用カートリッジ容器38iのサンプル液収容部361
8が設けられている。
【0126】
さらに、収容部群30
7は、免疫化学発光測定に使用される試薬等が予め収容されているものであって、該収容部群30
7の測定エリア30Aには、密閉蓋が収容されていない密閉蓋収容部330
7と測光用容器350
7を有する前記カートリッジ溶液38aが装填用孔301に装填されている。該収容部群30
7の抽出エリア30Bには、サンプルから目的とする免疫物質を抽出する化学発光物質で標識化された抗体試薬、抗体固定磁性粒子懸濁液、基質液等が収容されている5個の液収容部360
7と隔壁37fを有する抽出用カートリッジ容器38fが装填用孔303に装填されている。該収容部群30
7の流管エリア30Cには、前記穿孔用カートリッジ容器38dと、黒色材料で形成された遮光性のある測光用流管20
7を収容する測光用流管収容部310
7、分注用流管21
7および隔壁37gを有する流管用カートリッジ容器38gが装填用孔304,305に装填されている。該流管用カートリッジ容器38gは、隣接する収容部群30
8の流管用カートリッジ容器38eとX方向で重複しないように、Y方向にずらして装填されている。これは、前記ノズルヘッド50のノズルに1本の流管のみが装着されるようにするためである。該収容部群30
7のサンプルエリア30Dには、前記サンプル用カートリッジ容器38iのサンプル液収容部361
7が設けられている。
【0127】
また、収容部群30
6は、吸光度(OD値)測定に使用される試薬等が収容されているものであって、該収容部群30
6の測定エリア30Aには、密閉蓋25が収容されていない密閉蓋収容部330
6と測光用容器350
6とからなる測光用カートリッジ容器38aが装填用の孔301に装填されている。該収容部群30
6の抽出エリア30Bには、サンプルから目的化学物質を抽出するための抽出試薬等が収容されている。例えば、3個の液収容部360
6を有する抽出用カートリッジ容器38hが前記装填用孔303に装填され(核酸を抽出するような場合には、必要ならば、抽出用カートリッジ容器38cを用いる)、該収容部群30
6の流管エリア30Cには、穿孔用チップ収容部322
6を有する前記穿孔用カートリッジ容器38dと、測光用流管収容部310
6と分注用流管収容部320
6を有する流管用カートリッジ容器38gとが前記装填用孔304,305に装填されている。該カートリッジ容器38gは、前記収容部群30
8のカートリッジ容器38e、隣接する収容部群30
7のカートリッジ容器38gの双方と、X方向で重複しないように、Y方向にさらにずらして装填されている。これは、前記ノズルヘッド50のノズルに1本の流管のみが装着されるようにするためである。該収容部群30
6のサンプルエリア30Dには、前記サンプル用カートリッジ容器38iのサンプル液収容部361
6が設けられている。
【0128】
なお、該ステージ30の配列例としては、その他、8個の異なるサンプルについて、ステージ30の8列の収容部群30
1〜30
8を、前記3種類の測定の内の1種類の測定に基づくカートリッジ容器群を装填して、該設定した1種類の測定を行う場合、また、サンプルは変更せずに他のカートリッジ容器群に順次装填を入れ替えて、他の種類の測定を行う場合がある。または、8個の同一のサンプルを用いるが、各サンプルで測定の条件を変更して前記測定を行う場合があり得る。
【0129】
続いて、
図6乃至
図11に基づいて、本実施の形態に係る汎用光測定装置11の光学系についてより詳細に説明する。
【0130】
図6および
図7に示すように、該汎用光測定装置11は、複数(この例では8)対の前記照射受光対の一方の要素、すなわち、前記測光内容指定部95により指定された測光内容により定まる測定用光を照射可能な複数(この例では8)個の照射端60
1〜60
8が、各ノズル40
1〜40
8の先端440
1〜440
8に設けられている。前記光ファイバ610が前記各連結具46を介して該照射端60
1〜60
8と光学的に接続されている。該連結具46は、該光ファイバ610を前記ノズル40
1〜40
8および前記照射端60
1〜60
8と光学的に接続させて、各照射端60
1〜60
8は前記8本(または束、以下同じ)の前記光ファイバ610の一方の端部として設けられるだけでなく、該連結具内に設けられた流路46aを介して、ノズルの分注用空気孔401とシリンダ416とを連通させている。8本の該光ファイバ610は、前記Z軸移動板426に穿設された孔426aを貫通して光測定部80に達し、該光ファイバ610の他方の端部は、第1の接続端88
1〜88
8として該光測定部80の照射受光対連動切換部81に設けられた接続端配列体83の接続端配列面831に第1の接続端列として水平方向に沿って一列状に配列されている(
図11参照)。
【0131】
図8乃至
図11に示すように、前記複数(この例では8)対の前記照射受光対の他方の要素、すなわち、前記照射端60
1〜60
8から照射された光を受光可能な複数(この例では8)個の受光端70
1〜70
8が
図8に示す受光用ボックス73に設けられて、
図9または
図10に示すように前記複数(この例では8)個の測光用容器350
1〜350
8の各底部350aの透光領域の下側であって、前記底部350aに密着して設けられ、前記8本の光ファイバ710の一方の端部として設けられている。8本の該光ファイバ710は前記受光用ボックス73の下側板を貫通して光測定部80に達し、該光ファイバ710の他方の端部は、第2の接続端89
1〜89
8として該光測定部80の照射受光対連動切換部81に設けられた接続端配列体83の接続端配列面831に第2の接続端列として、前記第1の接続端列から所定距離隔てて水平方向に一列状に平行に配列されている。その際、該接続端配列面831上において、垂直方向に沿って配列された第1の接続端と第2の接続端の組(同一の下付きの添え数字をもつ組)は、8対の接続端対(1)〜(8)を構成する。
【0132】
図9に示すように、測光用容器350
1は、全体が透光性をもつ材料で形成され、したがって透光性のある底部350aを有する細筒部350cと、該細筒部350cよりも太く形成され、上端に開口部350bを有する太筒部350dと、該細筒部350cおよび前記太筒部350dと連通する中間部350eとを有する。前記底部350aの下側は、前記受光端70
1と密接している。なお、符号390
1は、温度制御ブロックである。
【0133】
また、測光用の流管20
1は、全体が黒色材料で形成されて遮光性をもつ一方、分注用の流管は、測光用の流管とは同様の形状をもつが、透光性をもつ点で相違する。流管20
1は、先端に口部20aを有する細管20cと、該細管20cよりも太く形成され上端に装着用開口部20bを有する太管20dと、細管20cと太管20dと連通する移行部20eとを有する。前記流管20
1の前記細管20cは前記細筒部350c内に挿入して前記口部20aが前記底部350aに当接可能に設けられている。
【0134】
図9は、ノズル40
1に装着した測光用の流管20
1の細管20cを測光用容器350
1の細筒部35c内に挿入してその口部20aを底部350aに当接した状態を示す。前記照射端60
1から照射された測定用光に基づき、受光端70
1で透過光を受光する場合を示すものである。
【0135】
図10に示すように、密閉蓋25は、前記ノズル40
1と嵌合可能な窪み25bを有し、前記測光用容器350
1の太筒部350dを閉塞する上側閉塞部25cと、前記上側閉塞部25cよりも細く形成され、前記中間部350eを閉塞可能な下側閉塞部25aとを有し、全体的に透光性を有するように形成されている。
【0136】
図11に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る汎用光測定装置11の前記光測定部80は、複数の光源620b,620c、すなわち、6種類の励起光(例えば、496nm, 527nm, 555nm, 587nm, 593nm, 647nm)を各々照射可能となるように設定された6台の波長可変光源620b、および白色光を照射可能な白色光光源620cを有し、これらは、各導光部によって各々第1の測定端85
2〜85
8と光学的に接続される。また、複数の光電変換部720a,720b,720c、すなわち、1の光電変換部720a、複数のバンドパスフィルタ(例えば、517nm, 549nm, 580nm, 599nm, 613nm, 653nm、これらの波長は、蛍光物質 FAM、HEX、TAMURA、ROX、Texas Red、Cy5 に対応するものである)を介して接続された複数の光電変換部720b、分光器を介して接続された複数の光電変換部(例えば、ラインセンサ型分光光度計)720cは、各導光部によって各々第2の測定端86
1〜86
8と光学的に接続される。
【0137】
すなわち、例えば、前記測定端対〈1〉にあっては、光源はなく光が遮蔽されており、光電変換部はフォトンカウンタである。前記測定端対〈2〉にあっては、光源は励起光源496nmの光を発するLEDであり、光電変換部は、波長517nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードであり、測定端対〈3〉にあっては、光源は励起光源527nmの光を発するLEDであり、光電変換部は、波長549nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードであり、測定端対〈4〉にあっては、光源は励起光源555nmの光を発するLEDであり、光電変換部は、波長580nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードであり、測定端対〈5〉にあっては、光源は励起光源587nmの光を発するLEDであり、光電変換部は、波長599nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードであり、測定端対〈6〉にあっては、光源は励起光源593nmの光を発するLEDであり、光電変換部は、波長613nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードであり、測定端対〈7〉にあっては、光源は励起光源647nmの光を発するLEDであり、光電変換部は、波長653nmのバンドパスフィルタを介して接続された高感度フォトダイオードである。これらの測定端対〈2〉〜〈7〉は、各々、蛍光物質FAM、HEX、TAMURA、ROX、Texas Red、Cy5 に対応するものである。また、前記測定端対〈8〉にあっては、光源は、重水素ランプであり、光電変換部は、ラインセンサ型分光光度計である。
【0138】
該光測定部80は、さらに照射受光対連動切換部810を有し、該照射受光対連動切換部810は、前記複数対の照射受光対について、その照射端60
1〜60
8と前記複数の光源620b,620cとの間の接続または遮断と、その受光端70
1〜70
8と前記複数の光電変換部720a,720b,720cとの間の接続および遮断とを、前記照射受光対ごとに所定速度の一方向運動によって、または所定周期での往復運動または揺動(所定角度の回転往復運動)によって連動して切り換えるものである。
【0139】
図11に示すように、前記照射受光対連動切換部810は、前記複数の照射端60
1〜60
8と複数本の光ファイバ610で光学的に接続された前記複数の第1の接続端88
1〜88
8および前記複数の受光端70
1〜70
8と複数本の光ファイバ710で光学的に接続された複数の第2の接続端89
1〜89
8からなる複数(この例では8)対の接続端対(1)〜(8)が配列された接続端配列面831を有する接続端配列体83と、前記複数の光源620a,620bと導光部を介して接続された第1の測定端85
1〜85
8(測定端85
1は、光源と接続されておらず前記測定端配列面821により光学的に遮断されていることになる)および前記複数の光電変換部720a,720b,720cと導光部を介して接続された第2の測定端86
1〜86
8からなる複数(この例では8)対の測定端対〈1〉〜〈8〉(第1の測定端と第2の測定端の組(同一の下付き添え数字を持つ組))が配列された測定端配列面821を有する測定端配列体82と、前記接続端配列面831と前記測定端配列面821とが摺動するように前記接続端配列体83を前記測定端配列体82に対して移動させて、前記接続端対(1)〜(8)および前記測定端対〈1〉〜〈8〉に属する対応する各要素同士の同時の接続または遮断を可能にして、1または2以上の前記照射受光対ごとに、前記照射端と前記光源との接続または遮断が前記受光端と前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる切換機構87,84とを有する。
【0140】
この例では、接続端配列面831にあっては複数の前記第1の接続端88
1〜88
8が一列状に配列された第1の接続端列、および複数の前記第2の接続端89
1〜89
8が一列状に配列された第2の接続端列が平行に各接続端対ごとに所定距離隔てて形成され、測定端配列面821にあっては、複数の前記第1の測定端85
1〜85
8が配列された第1の測定端列、および複数の前記第2の測定端86
1〜86
8が配列された第2の測定端列が、各測定端対ごとに前記所定距離隔てて形成されている。また、前記第1の接続端列、第2の接続端列、第1の測定端列、第2の測定端列の各配列経路または方向は、前記接続端配列体の移動経路または方向と一致または平行であるとともに、前記第1の接続端列と前記第1の測定端列とが互いに通過し合い、前記第2の接続端列と前記第2の測定端列とが互いに通過し合うことになる。また、切換機構87,84は、モータ84と、該モータ84によって回転駆動されるX軸方向に沿って延びるボール螺子87aと、該ボール螺子87aに螺合するナット部87bと、前記モータ84軸と前記ボール螺子87aと機構的に接続するアダプタ87cとを有し、前記ナット部87bは前記接続端配列体83と連結されている。前記接続端配列体83は、前記ナット部87bの動きに合わせて、前記測定端配列面821のX軸方向に沿って敷設されたレール823と係合してX軸方向に沿って移動することになる。なお符号822は前記測定端配列面821のX軸方向に沿って刻まれた案内用溝822であって、前記接続端配列体83の凸部と係合して該接続端配列体83をX軸方向に沿って案内するものである。
【0141】
ここで、前記測定端対〈1〉は化学発光物質で標識化された目的化学物質の有無または量を測定するものであって、第1の測定端85
1は光源とは接続されていない。測定端対〈2〉〜〈7〉は、6種類の蛍光物質で標識化された目的化学物質の有無または量を測定するものであって、例えば、リアルタイムPCRに適用され、測定端対〈8〉は吸光度や濃度の測定に適用されるものである。なお、前記照射端60
1〜60
n、前記受光端70
1〜70
n、および前記光測定部80は光測定器に相当する。
【0142】
続いて、本発明の実施の形態に係る汎用光測定装置11の動作について説明する。
前記汎用光測定装置11のステージ30上に設けられた前記サンプルエリア30Dの液収容部361
1〜361
8には、ヒトまたは動物から採取された全血、血清、体液、便等、土壌、汚水等を各々含有する溶液、希釈液等のいずれかのサンプルが収容されている。これらのサンプルに基づいて、指定された種々の検査を行うことになる。ここでは、犬から採取された全血をサンプルとして、指定された測光内容に基づく種々の測定を行う場合について説明する。
【0143】
サンプルとして、例えば、8匹の異なる犬から採取された全血から該イヌゲノムを抽出し、抽出したDNAの濃度の測定を行う場合の例を示す。この測定は、DNAが予め定めた品質の抽出が行われたか否かの品質評価(QC)にあたり、該DNAを用いた増幅等の信頼性を高めるために行うためのものである。
【0144】
そのためには、前記汎用光測定装置11の前記ステージ30には、
図5に示したリアルタイムPCR測定用の収容部群30
8の各種カートリッジ容器38a,38b,38c,38d,38eを8列分装填して、収容部群30
1〜30
8とし、前記サンプル液の犬の全血溶液からイヌゲノム等の核酸を抽出してその濃度の測定を行う場合について説明する。前記サンプルエリア30Dの前記カートリッジ容器38iの各サンプル液収容部361
1〜361
8には、犬の全血を生理食塩水で希釈化した血清溶液を収容しておく。また、前記DNA抽出用のカートリッジ容器38cの各液収容部360
1〜360
8には、抽出用試薬、洗浄液を予めプレパックされている。
【0145】
ステップS1で、前記操作パネル94の測光内容指定部95の操作により前記サンプルからのイヌゲノムの抽出および吸光度の測定を指示する。
【0146】
ステップS2で、前記汎用光測定装置11のCPU+プログラム+メモリ9の前記抽出・反応制御部91は、前記ノズルヘッド移動機構51としてのステージ移動機構に指示して前記ステージ30をY軸方向に移動して、前記穿孔用カートリッジ容器38dの上方にノズル40
1〜40
8を移動して、前記ノズル移動部420を用いて下降させることによって穿孔用チップ23をノズルに装着し、前記ステージ移動機構を用いて、前記抽出用カートリッジ容器38cの最初の液収容部360
1〜360
8の上方に前記穿孔用チップを位置させ前記ノズル移動部420によってノズルを下降させることで、前記液収容部の開口部を被覆するフィルムを穿孔し、同様にして、前記ステージ移動機構によってステージ30をY軸方向に移動させて前記抽出用カートリッジ容器38cの他の液収容部360
1〜360
8および反応容器についても順次穿孔する。なお、前記抽出用カートリッジ容器38cには、分離抽出用溶液を次のように収容する。第1の液収容部には、Lysis 1を40μL、第2の液収容部には、Lysis 2を200μL、第3の液収容部には、結合バッファ液を500μL、第4の液収容部には、磁性粒子懸濁液、第5の液収容部には、洗浄液1を700μL、第6の液収容部には、洗浄液2を700μL、第7の液収容部には解離液として蒸留水を50μL収容し、第8の液収容部には、前記タンパク質分離抽出用溶液の一部として、タンパク質の除去等に用いるイソプロピルアルコール(isopropanol)が収容されているものとする。
【0147】
ステップS4で、前記ステージ移動機構によって再度Y軸方向に移動させて、穿孔用カートリッジ容器38dにまで移動させて前記脱着機構によって脱着させ、再度ステージ30をY軸方向に移動させ、ノズル40
1〜40
8を前記ノズル移動部420により下降させて、前記流管21
1〜21
8を装着させる。
【0148】
ステップS5では、前記サンプルが収容されているサンプル液収容部361
1〜361
8にまで移動した後、ノズル移動部420を用いて、流管21
i(i=1〜8)の細管を下降挿入させて、前記吸引吐出機構410の駆動板413を上昇および下降させることで該サンプル液収容部361
1〜361
8に収容されている全血の懸濁液について、吸引吐出を繰り返すことで該サンプルを液中に懸濁させた後、該サンプル懸濁液を流管21
i内に吸引する。該サンプル検体懸濁液は前記ノズルヘッド移動機構51としてのステージ移動機構によってX軸に沿って分離抽出用溶液としてのLysis 1(酵素)が収容されている液収容部群27
iの第1の液収容部にまで移動させて、穿孔されたフィルムの孔を通して前記流管21
iの口部21ia(
図9に示した流管20
1と同一形状)を挿入して前記サンプル懸濁液と前記 Lysis 1とを攪拌するため吸引吐出を繰り返す。
【0149】
ステップS6で、攪拌した該液の全量を前記流管21
iによって吸引し、前記温度制御部390によって55℃に設定された各反応容器340
iに収容してインキュベーションを行なう。これによって、前記サンプルに含まれるタンパク質を破壊して低分子化する。所定時間経過後、該反応液を前記反応容器340
iに残したまま、前記流管21
iを前記ステージ移動機構によって該抽出用カートリッジ容器38cの第2の液収容部にまで移動し、ノズル移動部420および前記吸引吐出機構410を用いて該第2の液収容部内に収容されている液の全量を吸引し、前記ステージ移動機構により前記流管21
iを用いて移送し、前記第3の液収容部内に前記フィルムの孔を貫通して前記細管を挿入して前記反応溶液を吐出する。
【0150】
ステップS7で、該第3の液収容部内に収容されている分離抽出溶液としての結合バッファ液と前記反応溶液とを攪拌して、可溶化したタンパク質をさらに脱水させ、核酸またはその断片を溶液中に分散させる。
【0151】
ステップS8で、前記流管21
iを用いて該第3の液収容部中にその細管を前記フィルムの孔を貫通して挿入し、全量を吸引してノズル移動部420により該流管21
iを上昇させ、該反応溶液を第4の液収容部にまで移送し、該第4の液収容部内に収容されている磁性粒子懸濁液と前記反応溶液とを攪拌する。該磁性粒子懸濁液内に含まれる磁性粒子の表面に形成された水酸基にNa+イオンが結合するカチオン構造が形成されている。そのために負に帯電したDNAが磁性粒子に捕獲される。
【0152】
ステップS9で、前記流管21
iの細管に前記磁力機構43の8個の磁石430(
図2、
図4参照)を各流管21
iに対応するようにY軸方向に延びる磁石支持部材に配列して設け、磁石進退機構(図示せず)を用いて一斉にY軸方向に沿って接近させることによって該流管21
iの細管の内壁に前記磁性粒子を吸着させる。該磁性粒子を該流管21
iの細管の内壁に吸着させた状態で、前記ノズル移動部420により上昇させ、前記ステージ移動機構を用いて該流管21
iを該第4の液収容部から第5の液収容部にまで移動させ、前記フィルムの孔を貫通して前記細管を挿入する。
【0153】
前記磁力機構43の前記磁石430を該流管21
iの細管から一斉に離間させることによって前記細管内への磁力を除去した状態で、該第5の液収容部に収容されている洗浄液1(NaCl, SDS, isopropanol)について吸引吐出を繰り返すことにより、前記磁性粒子を前記内壁から離脱させて洗浄液1中で攪拌することでタンパク質を洗浄する。その後、前記磁力機構43の磁石を再び前記流管21
iの細管に接近させることで前記磁性粒子を細管の内壁に吸着させた状態で、前記流管21
iを前記ノズル移動部420により該第5の液収容部から第6の液収容部にまで前記ステージ移動機構により移動させる。
【0154】
ステップS10で、前記流管21
iの細管をノズル移動部420を用いて前記フィルムの孔を貫通して挿入する。前記磁力機構43の磁石430を前記流管21
iの細管から離間させることで前記細管内への磁力を除去した状態で、該第6の液収容部に収容されている洗浄液2(isopropanol)について吸引吐出を繰り返すことで、前記磁性粒子を液中で攪拌させNaClおよびSDSを除去し、タンパク質を洗浄する。その後、前記磁力機構43の磁石を再び前記流管21
iの細管に接近させることで前記磁性粒子を細管の内壁に吸着させた状態で、前記流管21
iを前記ノズル移動部420により上昇させた後、該第6の液収容部から蒸留水が収容されている前記第7の液収容部に前記ステージ移動機構によって移動させる。
【0155】
ステップS11で、前記ノズル移動部420によって、前記流管21
iの細管を前記孔を通って下降させ、前記磁力を前記流管21
iの細管内に及ぼした状態で、ゆっくりとした流速での前記蒸留水の吸引吐出を繰り返すことで、洗浄液2(isopropanol)を水と置き換えて除去する。その後、前記磁力機構43の磁石を前記流管21
iの細管から離間させて磁力を除去した状態で前記磁性粒子を前記解離液としての蒸留水中で吸引吐出を繰り返すことで攪拌して、前記磁性粒子が保持していた核酸またはその断片を磁性粒子から液中に解離(溶出)する。その後、前記流管21
iの細管に前記磁石を接近させることで細管内に磁場を及ぼし磁性粒子を内壁に吸着させ、前記第8の液収容部内に前記抽出した核酸等を含有する溶液を残留させる。ノズルヘッド移動機構51としてのステージ移動機構により前記流管21
iを前記流管用カートリッジ容器38eの該流管収容部320
1〜320
8にまで移動させ、前記脱着機構450を用いて該ノズル40
1〜40
8から磁性粒子を吸着した該流管21
iを前記磁性粒子と共に該収容部内に脱着させる。
【0156】
ステップS12で、前記ノズルヘッド50をノズルヘッド移動機構51としての前記ステージ移動機構を用いて前記流管収容部群321
1〜321
8の上方にまで移動させ、前記ノズル移動部420を用いて前記ノズル40
1〜40
8を下降させることによって、微小量分注用流管22
1〜22
8をノズル40
1〜40
8に装着させる。該装着した流管22
1〜22
8を用いて前記第8の液収容部内に収容された抽出した核酸溶液を吸引し、前記ノズル移動部420により上昇させた後、前記ノズルヘッド移動機構51としてのステージ移動機構を用いて前記ステージ30の前記測光用容器350
1〜350
8上方であって、前記ノズル40
1〜40
8の下端に設けた照射端60
6と前記測光用容器350
1〜350
8の底部350aの下側の前記受光端70
6が、該流管20
6の口部20aと装着用開口部20bを結ぶ垂直共通軸線上にくるように位置付ける。前記ノズル移動部420により下降させて、該ノズルヘッド50の前記測光用流管20
6を前記ステージ30の前記受光端70
6に設置された前記測光用容器350
6の内に挿入して前記口部を測光用容器350
6の底部に当接させる。
【0157】
ステップS13で、前記光測定部80の前記接続端配列体83を前記測定端配列体82に対してX軸方向に、前記測光内容指定部によって指定された測光内容に基づいて定められた所定速度および態様、すなわち、例えば、10cmを1秒程度で動く速度で、連続的に移動させて、前記接続端配列体83の接続端配列面831に設けられた前記第1の接続端88
6〜88
8と、第2の接続端89
1〜89
8からなる各接続端対(1)〜(8)が、前記測定端配列面821に設けられた第1の測定端85
8および第2の測定端86
8からなる測定端対〈8〉の対応する各要素、すなわち、第1の接続端88
1〜88
8と第1の測定端85
8同士、および第2の接続端89
1〜89
8と第2の測定端86
8同士を光学的に順次接続させる。これによって、例えば、重水素ランプ(またはキセノンランプ)による前記白色光光源620cによって、例えば波長220−350nmの範囲の白色光(紫外線を含む)の測定用光を照射し、受光端70
6に設けられたレンズを介して受光された前記溶液Cの透過光の強度を前記測定端86
8から分光器を介して波長260nmに対する前記光電変換部720による電気信号としての強度データを得る。
【0158】
ステップS14で、前記制御部としてのCPU+プログラム+メモリ9の前記測光解析部93によって、前記強度データI
0および前記強度データIに基づいて、前記化学物質溶液Aとしての犬の全血から抽出されたイヌゲノムの核酸溶液の吸光度を得る。
【0159】
すなわち、前記測光解析部93は、前述したように、予め求めた入射光強度I
0から、化学物質溶液Aの波長λの吸光度が A
λ=−log
10(I/I
o)より得られる。すると、化学物質溶液Aの濃度をcとすると、化学物質溶液A(dNTP)の既知の吸光係数ε(モル吸光係数、=0.002mg/mリットル)を用い、例えば、光路長Lより、前記関係式 A
λ=εcLから濃度cを求めることができる。
【0160】
その際、前記吸光度曲線のピークの波長λ=260nmにおける吸光度A
260から、その光路長Lまたは液量を用いて、予め得られた関係式から濃度cを得るのが好ましい。
図12は、このようにして得られた前記犬の全血から抽出されたイヌゲノムの核酸溶液を収容した測光用容器350
1〜350
8に対応した各核酸溶液の吸光度A
260の例を示すものであり、前記測光解析部93は、予め得られた関係式から濃度(30ng/μL, 45 ng/μL, 60ng/μL, 75ng/μL, 60ng/μL, 45ng/μL, 30ng/μL, 0ng/μL)を得ることができる。
図12の縦軸は波長260nmにおける吸光度を示すものであり、横軸は前記測光用容器350
1〜350
8およびノズル40
1〜40
8の照射受光対に対応する各接続端対(1)〜(8)の接続端配列面831上の配列方向であるX軸方向に沿ったX座標を表す。測定は所定速度、例えば、X軸方向に沿って、例えば、0.1mmを1msecの速さで一方向に進みながら1の所定周期(1秒)内で順次測定を行ったものである。
【0161】
続いて、
図13は、免疫抗体定量測定(CRP)の測定例を示すものである。
該測定は、前記サンプル液収容部361
1〜361
8に収容された全血溶液から得られた、検体として前記犬血清中のC反応性タンパク(CRP)濃度の測定を抗原抗体反応を利用して行うものであって、抗イヌCRP(ウサギ並びにヤギ)ポリクロナール抗体を固定した樹脂製ラテックスの抗原としてのCRPの濃度に応じた凝集反応の凝集の程度を光学的に測定することで血清中のCRP濃度を測定するものである。この例では、前記サンプル液収容部361
6に収容されたサンプルとして前記犬全血溶液から得られた前記犬血清を生理食塩水にて希釈した液について測定を行うものとする。前記液収容部360
6には、前記抗イヌCRP(ウサギ並びにヤギ)ポリクロナール抗体を固定したラテックス懸濁液、緩衝液、洗浄液が収容されている吸光度測定用のカートリッジ容器38a,38h,38d,38gが装填されている。
【0162】
ステップS21で、前記汎用光測定装置11のステージ30上に設けられた前記サンプルエリア30Dのサンプル液収容部361
6には、予め測定対象となる化学物質溶液として犬血清溶液が収容されている。また、前記(分注用)流管収容部320
6に分注用流管21
6が収容されているものとする。さらに、液収容部360
6には、イヌCRPポリクロナール抗体が固定された樹脂製のラテックス懸濁液、緩衝液、洗浄液が収容されているものとする。
【0163】
ステップS22で、前記ノズルヘッド50を、前記ステージ移動機構を用いて前記流管収容部320
6の上方にまで移動させ、前記ノズル移動部420を用いて前記ノズル40
6を下降させることによって、流管21
6のみをノズル40
6に装着させる。該装着した流管20
6を前記ノズル移動部420により上昇させた後、前記ステージ移動機構を用いてサンプル液収容部361
6の上方にまで位置付けて、前記ノズル移動部420により下降させて、前記吸引吐出機構410によって規定量の前記犬血清溶液を流管21
6に吸引し、再度上昇させて、前記ステージ移動機構により該流管21
6を前記ステージ30の前記測光用容器350
6上方に位置付ける。
【0164】
ステップS23で、前記ノズル移動部420により該流管21
6の口部を前記測光用容器350
6内に挿入し、前記犬血清溶液を該容器内に3μリットル吐出して収容させる。該流管21
6を再び上昇させて、前記ステージ移動機構により前記流管収容部の上方にまで移動させて、前記脱着機構450によって脱着させ、代わりに、測光用流管20
6を該ノズル40
6に装着させる。該流管20
6は前記ステージ移動機構によって、該液収容部360
6の液収容部に収容された緩衝液、前記ラテックス懸濁液を該流管内に吸引して、該ステージ移動機構およびノズル移動部420によって前記測光用容器内にまで移送して収容し、前記流管により吸引吐出を繰り返すことで前記サンプル液と前記ラテックス懸濁液とを混合撹拌する。
【0165】
ステップS24で、前記ノズル移動部420によって、該流管20
6の口部20aを該測光用容器350
6の底部に当接させた状態で、前記測定端配列体82に対して、前記接続端配列体83をX軸方向に移動させて、前記照射受光対と光学的に接続された接続端対(6)と、測定端対〈8〉との対応する各要素が光学的に接続される。この状態に静止させて、例えば、重水素ランプによる白色光光源620cによって、主な波長として658nmを含有する測定用光が前記照射端60
6から照射され、受光端70
6で受光された透過光の強度を前記光電変換部720によって電気信号として強度データに変換して吸光度を、測定周期(前記接続端配列体の往復運動はされていないが、接続端対と測定端対間の接続または遮断の周期である所定周期に相当する)として前記10秒ごとに測定する。本反応は例えば全て37℃で行われる。
【0166】
ステップS25で、前記制御部としての前記測光解析部は、前記強度データに基づいて、吸光度を計算してグラフ化したものが
図13に示されている。この例では、分光光度計を用いて658nmの波長の吸光度変化を測定した。最終吸光度(または、規定時間の吸光度)を測定することによって、測定対象物の濃度の推定が可能となる。その吸光度と濃度との相関関係は、予め既知の濃度のサンプルを測定して検量式を求めておく。
図13は縦軸が吸光度を表し、横軸は反応時間(秒)を表すものである。測定は、例えば、10cmを1秒の所定速度で移動しながら、所定周期(1秒)で繰り返して測定したものである。
【0167】
続いて、
図14は、リアルタイムPCRの測定例について示すものである。
この例では、前記汎用光測定装置11の
図12で用いた全血溶液から、遠心分離機等により得られた血清中から抽出された8匹の犬のインフルエンザA型ウィルスについてその濃度を推測するためにFAM蛍光物質を用いたリアルタイムPCR試薬を用いて測定された蛍光強度より得られた増幅曲線を示す。
【0168】
この例では、前記汎用光測定装置11の前記ステージ30には、
図5におけるリアルタイムPCR測定用の収容部群30
8の各種カートリッジ容器38a,38b,38c,38d,38eを8列分装填して、収容部群30
1〜30
8とし、前記サンプル液の7匹の犬の血清溶液から核酸を抽出して、例えば、インフルエンザA型ウィルスの感染量を知るためにリアルタイムPCRを行う場合について説明する。
【0169】
前記サンプルエリア30Dの前記カートリッジ容器38iの各サンプル液収容部361
1〜361
7には7匹の犬の血清を生理食塩水で希釈化した血清溶液が収容されている。361
8にはネガティブコントロールとしての溶液が収容されている。また、前記DNA抽出用のカートリッジ容器38cの各液収容部360
1〜360
8には、抽出用試薬、洗浄液等が予めプレパックされている。また、前記カートリッジ容器38bには、FAM蛍光物質を用いたリアルタイムPCR用試薬、前記インフルエンザA型ウィルスとハイブリダイズ可能なプローブを含有する溶液が収容されている。なお、複数種類のインフルエンザウィルスを測定する場合には、各ウィルスの種類ごとに異なる蛍光物質、例えば、蛍光物質HEX、蛍光物質TAMURA、蛍光物質ROX、蛍光物質Texas Red、蛍光物質Cy5等により対応するリアルタイムPCR試薬を用いることになる。
【0170】
分注用流管を用いた核酸の抽出処理については省略する。
ステップS31で、抽出された各核酸は、前記抽出用カートリッジ容器38cの反応容器340
1〜340
8の隣の液収容部360
1〜360
8に収容される。
【0171】
ステップS32で、前記微少量の分注用の流管22
1〜22
8を前記ノズル40
1〜40
8に装着し、前記ステージ移動機構を用いてY軸方向に移動し、かつノズル移動部420を用いてZ軸方向に移動して前記液収容部360
1〜360
8に収容されている前記抽出した核酸溶液、前記カートリッジ容器38bの液収容部362
1〜362
8に収容されている蛍光物質FAMを用いたリアルタイムPCR用試薬を前記吸引吐出機構410を用いて順次吸引して、再び前記ノズル移動部420を用いて上昇し、前記ステージ移動機構およびノズル移動部によって前記測光用容器350
1〜350
8にまで移送して吐出し混合して収容する。
【0172】
ステップS33で、前記ステージ移動機構によって、該流管22
1〜22
8を流管収容部321
1〜321
8の上方に位置付け、前記脱着機構450によって該流管22
1〜22
8を該流管収容部内に脱着する。該ステージ移動機構によって該ノズル40
1〜40
8を前記カートリッジ容器38aの密閉蓋収容部330
1〜330
8の上方に位置付け下降することによって該ノズルに密閉蓋25を装着させ、再び、前記測光用容器350
1〜350
8の上方に位置させた後、前記ノズル移動部420によってノズルを下降させて、該測光用容器350
1〜350
8の開口部に密閉蓋25を嵌合させる。
【0173】
ステップS34で、PCR法に従い前記温度制御部390によって、前記測光用容器350
1〜350
8に対して一斉に温度制御を行いかつ増幅するとともに、前記光測定部80の前記接続端配列体83を前記測定端配列体82に対してX軸方向に、前記測光内容指定部により指定された測光内容に基づいて所定速度で移動させ、または定められた所定周期で繰り返し往復移動させる。それによって前記接続端配列体83の各接続端対(1)〜(8)を順次該当する測定端配列体82の使用された蛍光物質に対応する測定端対〈2〉に対して接続および遮断を繰り返す。その往復運動は、PCR法の1温度サイクル(例えば30秒で、例えば40サイクル繰り返される)に対し、例えば2〜3秒の所定周期で行うことで光学的な接続および遮断を繰り返させる。前記測光解析部93は、得られた蛍光強度を縦軸とし、前記各温度サイクルを横軸としてグラフ化すれば
図14に示す増幅曲線を得ることになる。なお、Tube1〜Tube8は、前記測光用容器350
1〜350
8に対応する接続端対(1)〜(8)の前記配列面831上のX座標を表す。これによって、8個のサンプルについて同時に並行して増幅曲線を得ることができる。
【0174】
続いて、化学発光物質で標識化された目的化学物質の測定、化学発光酵素免疫測定(CLEIA)について説明する。
前記汎用光測定装置11のステージ30の上に設けられた前記サンプルエリア30Dのサンプル液の各液収容部361
1〜361
8において、前記8匹の犬から採取された全血溶液があり、前記ステージ30の各収容部群30
1〜30
8には、化学発光免疫測定用のカートリッジ容器38a,38f,38d,38gが装填されている。
【0175】
ステップ41において、前記測光内容指定部95によって、犬の膠原病について検査するための測光内容を指定する。前記カートリッジ容器38fの液収容部には、例えば、抗ENA抗体、抗Sm抗体、抗SS-A抗体等で固相された磁気ビーズ懸濁液を収容した液収容部と、HRPで標識化された抗体の溶液が収容された液収容部と、基質溶液としてのルミノール/過酸化水素が収容された液収容部と、洗浄液とを少なくとも有する。
【0176】
ステップ42において、前記流管を前記ノズルに装着し、前記サンプル液を吸引して空の前記液収容部内に収容し、該流管を洗浄液で吸引吐出を行うことによって洗浄した後、前記固相された磁気ビーズ懸濁液および前記標識化抗体溶液を前記全血溶液中に撹拌混合する。
【0177】
ステップS43で、前記磁力機構43を用いて前記磁性粒子を内壁に吸着した状態で、洗浄液で吸引吐出を繰り返すことで洗浄する。洗浄した磁性粒子を移送し、前記測光用容器内に再懸濁し、前記基質液を前記測光用容器内に吐出させる際に、前記光測定部80の前記接続端配列体83の各接続端対(1)〜(8)を、化学発光測定用の測定端対〈1〉との間を例えば、0.1mmを20msecの速度で前記接続端配列体83をX軸方向に順次移動しながら、カウント数を計測して、前記接続端配列体83の配列面831のX方向の距離、例えば10cmを1秒で進む所定速度、所定周期(1秒)を、繰り返して20msecごとに加算した結果を求めてグラフ化したものが
図15である。ここで、
図15の縦軸は20msecごとのフォトンのカウント数を表し、横軸は前記接続端配列面831上のX座標である。
【0178】
以上説明した各実施の形態は、本発明をより良く理解させる為に具体的に説明したものであって、別形態を制限するものではない。したがって、発明の主旨を変更しない範囲で変更可能である。
【0179】
例えば、以上の例では、犬の全血または血清溶液を共通に用いて種々の測定を行ったが、種々のサンプルを使用することができることはいうまでもない。また測定についても、リアルタイムPCR、吸光度、化学発光免疫測定に限定されることはなく、他の種類の測定、例えば、酵素活性、反応速度等の測定も可能である。また、複数の測定用容器、または多連のノズルに対する同時測定についてのみ説明したが、説明した測定例を組み合わせて、複数種類の測定についても同時に実行することができる。
【0180】
また、内部標準の代わりに希釈液にすれば、希釈後の前記化学物質溶液の吸光度を測定することができることになる。
【0181】
続いて、
図16乃至
図22に基づいて、第2の実施の形態に係る汎用光測定装置111を説明する。第1の実施の形態で用いた符号と同一の符号は、同一の物を表すので、その説明を省略することがある。
図16に示すように、該汎用光測定装置111は、外部からの光の侵入を遮断可能な暗箱の機能をもつ筐体112内に載置されるのが好ましい。測定対象となる化学物質溶液に対する測光内容を指定する測光内容指定部を有する前記操作パネルを有するタッチ式タブレット(図示せず)を筐体外に設ける。
【0182】
図16乃至
図22に示すように、本実施の形態に係る汎用光測定装置111は、1または2種類以上の化学物質溶液、各種試薬を収容する液収容部1360
1〜1360
n、流管20
1〜20
n(この例ではn=4)を収容する1または2以上の収容部、および温度制御可能で前記測光内容により定まる測定用光に対して透光性のある透光領域が形成された底部を有する測光用容器350
1〜350
nを含む1または2以上の反応容器1340
1〜1340
nが、Y軸方向(列方向)に沿って一列状に延びるように配列された複数(この例では4)列の収容部群130
1〜130
n(この例ではn=4)が、X軸方向(行方向)に沿って配列されるように装填可能な装填用孔1301〜1308が設けられたステージ130(
図21(a)参照)と、気体の吸引吐出を行う吸引吐出機構1410、該吸引吐出機構1410と連通し、X軸方向に沿って前記収容部群130
1〜130
nの間隔でノズル支持体140としてのノズル支持ブロック140aに配列された複数(この例では4)個のノズル140
1〜140
n(
図18参照)を有するノズルヘッド150と、該ノズルヘッド150と前記ステージ130との間を相対的にY軸方向に沿って移動可能とするノズルヘッド移動機構151と、光測定部180とを有する。
【0183】
該汎用光測定装置111は、指定された前記測光内容により定まる測定用光を照射可能な照射端160
1〜160
4および少なくとも該照射端から照射された光を受光可能な受光端170
1〜170
4からなる複数(この例では4)対の照射受光対(
図17参照)を有し、該照射受光対の一方の要素の照射端は前記ノズル140
1〜140
4の先端1440
1〜1440
4に設けられ、該照射受光対の他方の要素の受光対は前記測光用容器350
1〜350
nの下側に設けられている。さらに該汎用光測定装置111はその一端が照射端160
1〜160
4と、その他端が前記光測定部180と接続された複数(この例では4)本の導光路としての光ファイバ1610、および、一端が前記受光端170
1〜170
4と、その他端が前記光測定部180と接続された複数(この例では4)本の導光路としての光ファイバ1710が設けられている。これによって前記光測定部180は、前記照射端に測定用光を供給し前記受光端で受光した光の強度のデジタル値を得る。
【0184】
前記ノズルヘッド150には、さらに、前記下端に液体の吸引吐出が可能で前記収容部内に挿入可能な口部20a、上端に前記ノズル140
1〜140
4に着脱可能に装着される装着用開口部20bを有する4本の流管20
1〜20
4と、該ノズル140
1〜140
4を前記ステージ130に対して一斉にZ軸方向に沿って移動可能とするノズル移動部1420と、前記ノズル140
1〜140
4に装着された流管20
1〜20
4を一定温度に保つために、該流管20
1〜20
4に対して片側から密接または近接するように配列されたn個(この例では4個)の加熱壁147
1〜147
nを接近させて流管内を恒温状態に保つことができる恒温手段147と、前記ノズル支持ブロック140aの下側に接した状態で設けられ、前記ノズル140
1〜140
4に装着された流管20
1〜20
4をノズルから脱着可能な脱着機構としての脱着板1450と、該脱着板1450の縁部から下方向に突出するように設けられて該脱着板1450と連動する穿孔用突出部123
1〜123
nが設けられている。該脱着板1450には、前記ノズル140
1〜140
nの外径よりも大きいが、該ノズルに装着される前記流管20
1〜20
nの最も大きい外径よりも小さい内径をもち、内部を前記各ノズルが貫通する脱着用の隙間または孔1451(
図18参照)が複数(この例では4)個形成されている。該ノズル支持ブロック140aの両端を貫通して、前記脱着板1450の両端に取り付けられ、後述するプランジャ駆動板1413が吸引吐出区間を越えて降下することによって下方向に移動可能に設けられ、プランジャ駆動板1413の吸引吐出区間の高さへの上昇によりばねの圧縮力で元の位置に戻る2本のポール1452が設けられている。該プランジャ駆動板1413が吸引吐出のための高さ位置よりも低い位置に移動することによって該脱着板をノズル支持ブロック140aから下方向に離間させて前記流管の脱着を行い、該プランジャ駆動板1413を前記高さ位置に戻せば、該脱着板1450は前記ノズル支持ブロック140aにまで後退する。その他、前記ノズル140
1〜140
4に装着された流管20
1〜20
4の内部に一斉に磁力を及ぼしかつ除去することが可能で、前記流管20
1〜20
4に対して磁石を進退動作可能に設けた磁力機構143を有している(
図20参照)。なお、
図19において、符号147aは前記加熱壁147
1〜147
4に一端が取り付けられ、ナット部と螺合し、ナット部の回転によりY軸方向に沿って進退可能なボール螺子であり、符号174bは前記ノズルヘッド支持枠150aに設けられ前記ナット部を直接回転駆動するモータ、符号174cは一端が前記加熱壁に取り付けられY軸方向に沿う前記加熱壁147
1〜147
4の移動を案内するガイド棒であり、符号147eは前記ガイド部材174cと前記ボール螺子147aの各他端と連結する連結板である。
【0185】
前記ノズルヘッド150は、該汎用光測定装置111の基板113に対して移動可能に設けられたノズルヘッド支持枠150aに支持され、前記ノズルヘッド移動機構151は、前記基板113に設けられたY軸方向に敷設された案内用レール151a、Y軸方向に沿って2つのプーリ151b,151b、および該2つのプーリ151b間に架け渡されたタイミングベルト151cとを有し、前記案内用レール151aには、前記ノズルヘッド支持枠150aの下側の脚部150bに前記レール151aと滑合する凹部が設けられた案内部151dが設けられている。なお、符号150eは、前記プーリ151bを回転駆動するモータである。
【0186】
図16乃至
図22に示すように、該ノズルヘッド150の前記ノズル移動部1420は、前記支持枠150aの天板150cに吊設されたモータ1421と、タイミングベルト1424c、プーリ1424a,1424bを介して該モータ1421によって回転駆動される下方向に延びるように設けられたボール螺子1422と、該ボール螺子1422に螺合するナット部1423に取り付けられたZ軸移動板1426と、前記基板113に立設され前記支持枠150aの前記天板150cを両端で支える2本の角柱に沿ってZ軸方向に沿って敷設された案内用レール1427と、前記Z軸移動板1426の両縁部に設けられ該案内用レール1427に滑合して上下動可能な可動案内部材1428とを有する。
【0187】
図16乃至
図22に示すように、前記ノズルヘッド150の前記吸引吐出機構1410は、前記Z軸移動板1426に支持された気体の吸引吐出用モータ1412、該モータ1412により回転駆動されるボール螺子1411と、該ボール螺子1411と螺合するナット部と連結して上下動可能なプランジャ駆動板1413と、該プランジャ駆動板1413と係合して複数(この例では4)本のシリンダ1416内を摺動する複数(この例では4)本のプランジャ1414とを有する。なお、前記プランジャはコイル状のばねが巻装されて前記シリンダに対して常に下方向に付勢されている。
【0188】
図16乃至
図22に示すように、前記複数本の分注シリンダ1416は、内部に空洞を有し、前記プランジャ1414は該空洞内を摺動可能に設けられている。該分注シリンダ1416は、前記Z軸移動板1426に取り付けられたノズル支持ブロック140aにその下端部1416aで取り付けられて上方向に延びるように支持され、前記ノズル140
1〜140
nはその上端部で取り付けられ、下方向に延びるように支持されている。前記分注シリンダ1416の前記下端部1416aには、その気体の吸引吐出が行われる吸引吐出口としてのシリンダ横孔1417が側壁を貫いて設けられている。また、ノズル140
nには、該ノズル140
nの先端開口部1401と連通し、その側壁を貫いて設けられたノズル横孔を有する。すなわち、4本の前記分注シリンダ1416と前記ノズル140
1〜140
nは、前記ノズル支持ブロック140aにおいて並列に支持されている。
【0189】
前記ノズル支持ブロック140aには、前記複数(この例では4)対の前記ノズル140
nの上端部が下側から密接して取り付けられるノズル取付用縦孔146bと、前記分注シリンダの前記下端部1416aが上側から密接して取り付けられるシリンダ取付用縦孔146aと、前記ノズル取付用縦孔146bおよび前記シリンダ取付用縦孔146aと連通する連結流路146cと、が設けられている。該連結流路146cは、取り付けられた前記分注シリンダ1416の前記シリンダ横孔1417と、取り付けられた前記ノズル140
nのノズル横孔とを連通させることになる。該ノズル支持ブロック140a、前記ノズル取付用縦孔146b、前記シリンダ取付用縦孔146aは、前記ノズル支持体140に相当する。
【0190】
図21に基づいて、本実施の形態に係る汎用光測定装置111のステージ130を説明する。
図21(a)(b)において、該ステージ130は、プレート状に形成され、複数(この例では4)列の前記収容部群130
1〜130
4,1300
1〜1300
4が装填可能に設けられた4列の装填用孔1301〜1304が、列方向(Y軸方向)に沿って穿設されている。各収容部群130
1〜130
4,1300
1〜1300
4は、測定に使用される測光用容器350
1〜350
8、各種試薬を収容する液収容部群1360
1〜1360
4、反応容器1340
1〜1340
4が設けられたカートリッジ容器138a,138c、および測光用流管21
1〜21
4が収容される測光用流管収容部1310
1〜1310
4、分注用流管が収容される分注用流管収容部1320
1〜1320
4が設けられたカートリッジ容器138bを装填可能な装填用孔1305〜1308を有する。
【0191】
図21(a)は、ステージ130の4列の収容部群130
1〜130
4を用いて例えば、免疫化学発光の測定を行う配置例を示し、
図21(b)は、ステージ130の4列の収容部群1300
1から1300
4を用いて例えば、凝集吸光測定または生体物質吸光スペクトルの測定(OD値)を行う配置例を示すものである。これらは測定の内容により、試薬数等に基づいて決定される。
【0192】
さらに、各収容部群130
1〜130
4には免疫化学発光測定に使用される試薬等が予め収容されているものであって、該収容部群130
1〜130
4には、サンプルから目的とする免疫物質を抽出する化学発光物質で標識化された抗体試薬、抗体固定磁性粒子懸濁液、基質液等が収容されている5個の液収容部1360
1〜1360
4を有している。また、該収容部群130
1〜130
4の測光用流管収容部1310
1〜1310
4には、例えば黒色材料で形成された遮光性のある測光用流管20
1〜20
4が収容され、分注用流管収容部1320
1〜1320
4には、分注用流管21
1〜21
4が収容されている。該収容部群130
1〜130
4の液収容部の1つは、サンプルが収容されるサンプル液収容部1361
1〜1361
4が設けられている。
【0193】
図21(b)に示すように、収容部群1300
1〜1300
4は、吸光度(OD値)測定に使用される試薬等が収容されているものであって、測光用容器350
1〜350
4と、該収容部群1300
1〜1300
4にはサンプルから目的化学物質を抽出するための抽出試薬等が収容されている。例えば、2個の液収容部1360
1〜1360
4、および反応容器1340
1〜1340
4が設けられている。該収容部群1300
1〜1300
4の各流管用カートリッジ容器138bには、分注用流管収容部1320
1〜1320
4および測光用流管収容部1310
1〜1310
4とを有する。
【0194】
続いて、
図17、
図18、
図20および
図22に基づいて、本実施の形態に係る汎用光測定装置111の光学系についてより詳細に説明する。
【0195】
図17、
図18、
図20および
図22に示すように、該汎用光測定装置111は、複数(この例では4)対の前記照射受光対の一方の要素、すなわち、前記測光内容指定部95により指定された測光内容により定まる測定用光を照射可能な複数(この例では4)個の照射端160
1〜160
4が、各ノズル140
1〜140
4の先端1440
1〜1440
4に設けられている。前記光ファイバ1610が前記各ノズル取付用縦孔146bを介して該照射端160
1〜160
4と光学的に接続されている。該ノズル取付用縦孔146bをZ軸方向に貫通するように設けられた該光ファイバ1610を前記ノズル140
1〜140
4および前記照射端160
1〜160
4と光学的に接続させて各照射端160
1〜160
4は前記4本(または束)の前記光ファイバ1610の一方の端部として設けられるだけでなく、該ノズル取付用縦孔146bと連通し、該ノズル支持ブロック140a内に設けられた前記連結流路146c、およびシリンダ1416
1〜1416
4を取り付けるシリンダ取付用縦孔146aを介して、ノズルの側壁を貫通して設けられたノズル横孔と、シリンダ1416
1〜1416
4の前記下端部1416aの側壁を貫通して設けられたシリンダ横孔1417とを連通させている。4本の該光ファイバ1610は、前記Z軸移動板1426に穿設された孔1426aを通って光測定部180に達し、該光ファイバ1610の他方の端部は、第1の接続端188
1〜188
4として該光測定部180の照射受光対連動切換部181に設けられた接続端配列体183の第1の接続端配列面1831に第1の接続端列として水平方向(X軸方向)に沿って一列状に配列されている(
図22参照)。
【0196】
図17、
図18、
図20および
図22に示すように、前記複数(この例では4)対の前記照射受光対の他方の要素、すなわち、前記照射端160
1〜160
8から照射された光を受光可能な複数(この例では4)個の受光端170
1〜170
8が
図17に示すように前記複数(この例では4)個の測光用容器350
1〜350
4の各底部350aの透光領域の下側であって、前記底部350aに密着して設けられ、前記4本(または束)の光ファイバ1710の一方の端部として設けられている。4本の該光ファイバ1710は前記基板113を貫通して光測定部180に達し、該光ファイバ1710の他方の端部は、第2の接続端189
1〜189
4として該光測定部180の照射受光対連動切換部181に設けられた前記接続端配列体183の第2の接続端配列面1832に第2の接続端列として、前記第1の接続端列から所定距離上下方向に隔てて水平方向に一列状に平行に配列されている。その際、該第1の接続端配列面1831および第2の接続端配列面1832に各々上下方向に沿って配列された第1の接続端と第2の接続端の組(同一の下付きの添え数字をもつ組)は、4対の接続端対(1)〜(4)を構成する。ここで、前記第1の接続端配列面1831と第2の接続端配列面1832とは、2平面として対向するように平行に形成されている。
【0197】
前記測光用容器350
1は、第1の実施の形態と同様であり、詳細な説明を省略する。また、測光用の流管20
1についても、第1の実施の形態で同様であるので、詳細な説明を省略する。
図9に示すように、ノズル140
1に装着した測光用の流管20
1の細管20cを測光用容器350
1の細筒部35c内に挿入した状態は、第1の実施の形態で説明した通りである。
【0198】
図22に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る汎用光測定装置111の前記光測定部180は、1の光源162、すなわち、吸光用の測定後を照射可能となるように設定された波長可変光源であって、第1の測定端185と光学的に接続される。また、光電変換部172は、第1の光電変換部172aと、第2の光電変換部172bを有し、第1の光電変換部172aは、分光器を介して接続された複数の光電変換部(例えばラインセンサ型分光光度計)であり、導光部によって第2の測定端と光学的に接続される。これらの第1の測定端185と第2の測定端は測定端対に相当し、吸光度の測定を行うものである。
【0199】
測定端対〈2〉にあっては、光源はなく、光が遮蔽されており、光電変換部172bは例えばPMTである。
【0200】
該光測定部180は、さらに照射受光対連動切換部181を有し、該照射受光対連動切換部181は、前記複数対の照射受光対について、その照射端160
1〜160
4と前記光源162との間の接続または遮断と、その受光端170
1〜170
4と前記複数の光電変換部172a,172bとの間の接続および遮断とを、前記照射受光対ごとに所定速度の一方向運動によって、または所定周期での往復運動または揺動(所定角度の回転往復運動)によって連動して切り換えるものである。
【0201】
図22に示すように、前記照射受光対連動切換部181は、前記複数の照射端160
1〜160
4と複数本の光ファイバ1610で光学的に接続された前記複数の第1の接続端188
1〜188
4および前記複数の受光端170
1〜170
4と複数本の光ファイバ1710で光学的に接続された複数の第2の接続端189
1〜189
4からなる複数(この例では4)対の接続端対(1)〜(4)が各々配列された第1の接続端配列面1831および第2の接続端配列面1832を有する接続端配列体183と、前記光源162と導光部を介して接続された第1の測定端185
1〜185
2(測定端185
1以外は、光源と接続されておらず前記第1の測定端配列面1821により光学的に遮断されていることになる)および前記複数の光電変換部172a,172bと導光部を介して接続された第2の測定端からなる複数(この例では2)対の測定端対〈1〉〜〈2〉(第1の測定端と第2の測定端の組(同一の下付き添え数字を持つ組))が各々配列された第1の測定端配列面1821および第2の測定端配列面1822を有する測定端配列体182と、前記第1の接続端配列面1831および前記第2の接続端配列面1832と前記第1の測定端配列面1821および前記第2の測定端配列面1822とが各々摺動するように前記接続端配列体183を前記測定端配列体182に対して移動させて、前記接続端対(1)〜(4)および前記測定端対〈1〉〜〈2〉に属する対応する各要素同士の同時の接続または遮断を可能にして、1または2以上の前記照射受光対ごとに、前記照射端と前記光源との接続または遮断が前記受光端と前記光電変換部との接続および遮断と連動して順次行われる切換機構187,184とを有する。ここで、前記第1の測定端配列面1821と前記第2の測定端配列面1822とは、2平面として対向するように平行に形成されている。
【0202】
この例では、第1の接続端配列面1831にあっては、複数の前記第1の接続端188
1〜188
4が一列状に配列された第1の接続端列、および第2の接続端配列面1832にあっては、複数の前記第2の接続端189
1〜189
4が一列状に配列された第2の接続端列が各接続端対ごとに所定距離隔てて形成され、第1の測定端配列面1821にあっては、2個の前記第1の測定端185
1〜185
2が配列された第1の測定端列、および第2の測定端配列面1822にあっては、2個の前記第2の測定端186
1〜186
2が配列された第2の測定端列が、各測定端対ごとに前記所定距離隔てて形成されている。また、前記第1の接続端列、第2の接続端列、第1の測定端列、第2の測定端列の各配列経路または方向は、前記接続端配列体の移動経路または方向と一致または平行であるとともに、前記第1の接続端列と前記第1の測定端列とが互いに通過し合い、前記第2の接続端列と前記第2の測定端列とが互いに通過し合うことになる。
図19に示すように、切換機構187,184は、モータ184と、該モータ184によって回転駆動されるプ―リ187aに掛け渡されたタイミングベルトに連結してX軸方向に沿って走行するアーム187bと連結することで、X軸方向に沿って前記接続端配列体183が走行する。
図22に示すように、該照射受光対連動切換部181の測定端配列体182には、直動案内装置が設けられて、前記接続端配列体183を、X軸方向に沿って円滑に移動が案内される。該直動案内装置は、前記第1の測定端配列面1821のX軸方向に沿って敷設されたレール182b上を滑動する案内部182aとを有する。
【0203】
ここで、前記測定端対〈1〉は、吸光度や濃度の測定に適用され、前記測定端対〈2〉は化学発光物質で標識化された目的化学物質の有無または量を測定するものであって、第1の測定端185
2は光源とは接続されていない。なお、前記照射端160
1〜160
n、前記受光端170
1〜170
n、および前記光測定部180は光測定器に相当する。
【0204】
続いて、
図16乃至
図22に基づいて、本実施の形態に係る汎用光測定装置111の動作として、例えば、
図21(a)に示す収容部群130
1〜130
4を用いて免疫抗体定量測定(CRP)の測定を行う場合について説明する。
図21(a)に示すように、前記汎用光測定装置111のステージ130の前記サンプル液収容部1361
1〜1361
4に収容された4匹の異なる犬から採取された全血溶液から得られた検体として、前記犬血清中のC反応性タンパク(CRP)濃度の測定を抗原抗体反応を利用して行うものであって、抗イヌCRP(ウサギ並びにヤギ)ポリクロナール抗体を固定した樹脂製ラテックスの抗原としてのCRPの濃度に応じた凝集反応の凝集の程度を光学的に測定することで血清中のCRP濃度を測定するものである。この例では、前記サンプル液収容部1361
1〜1361
4に各々収容されたサンプルとしての前記犬全血溶液から得られた前記犬血清を生理食塩水にて希釈した液について測定を行うものとする。前記液収容部1360
1〜1360
4には、
図21(a)に示すように、前記抗イヌCRP(ウサギ並びにヤギ)ポリクロナール抗体を固定したラテックス懸濁液、緩衝液、洗浄液が収容されている吸光度測定用のカートリッジ容器138a,138bが装填されている。
【0205】
ステップS51で、前記汎用光測定装置111のステージ130上に設けられた、収容部群130
1〜130
4に対して、前記サンプル液収容部1361
1〜1361
4には、予め測定対象となる化学物質溶液として犬血清溶液が収容されている。また、前記分注用流管収容部1320
1〜1320
4に、分注用流管21
1〜21
4が収容され、測定用流管収容部1310
1〜1310
4に測定用流管20
1〜20
4が収容されているものとする。さらに、液収容部1360
1〜1360
4には、イヌCRPポリクロナール抗体が固定された樹脂製のラテックス懸濁液、緩衝液、洗浄液が収容されているものとする。
【0206】
ステップS52で、前記ノズルヘッド150を前記ノズルヘッド移動機構151を用いて、前記収容部群130
1〜130
4の各液収容部1360
1〜1360
4、および各反応容器1340
1〜1340
4のプレパック用のフィルムを前記穿孔用突出部1231〜1234を前記ノズル移動部1420および前記吸引吐出機構1410を吸引吐出用区間よりもさらに下降させることで脱着板1450とともに一斉に下降させて順次穿孔しておく。
次に、前記ノズルヘッド150を、前記ノズルヘッド移動機構151を用いて前記分注用流管収容部1320
1〜1320
4の上方にまで移動させ、前記ノズル移動部1420を用いて前記ノズル140
1〜140
4を一斉に下降させることによって、流管21
1〜21
4を一斉にノズル140
1〜140
4に装着させる。該装着した流管21
1〜21
4を前記ノズル移動部1420により一斉に上昇させた後、前記ノズルヘッド移動機構151を用いてサンプル液収容部1361
1〜1361
4の上方にまで位置付けて、前記ノズル移動部1420により下降させて、前記吸引吐出機構1410によって規定量の前記犬血清溶液を流管21
1〜21
4に吸引し、再度上昇させて、前記ノズルヘッド移動機構151により該流管21
1〜21
4を前記ステージ130の前記反応容器1340
1〜1340
4の上方に位置づける。
【0207】
ステップS53で、前記ノズル移動部1420によって、該流管21
1〜21
4の口部を前記反応容器1340
1〜1340
4内に挿入し、前記犬血清溶液を該容器内に3μL吐出して収容させる。該流管21
1〜21
4を再び上昇させて、前記ノズルヘッド移動機構151により前記流管収容部1320
1〜1320
4の上方にまで移動させて、前記脱着板1450によって脱着させ、代わりに、測光用流管20
1〜20
4を該ノズル140
1〜140
4に装着させる。該測光用流管20
1〜20
4は前記ノズルヘッド移動機構151によって、該液収容部1360
1〜1360
4の液収容部に収容された緩衝液、前記ラテックス懸濁液を該流管内に吸引し、前記ノズルヘッド移動機構151およびノズル移動部1420によって前記反応容器内にまで移送して収容し、前記流管により吸引吐出を繰り返すことで前記サンプル液と前記ラテックス懸濁液とを所定温度で混合撹拌する。該混合液を前記測光用流管20
1〜20
4によって吸引し、吸引した状態で前記測光用流管20
1〜20
4を前記測光用容器350
1〜350
4の上方にまで前記ノズルヘッド移動機構151およびノズル移動部1420によって移動する。
【0208】
ステップS54で、前記ノズル移動部1420によって、該流管20
1〜20
4の口部20aを該測光用容器350
1〜350
4の底部に当接させ、かつ前記恒温手段147の前記加熱壁147
1〜147
4を前記測光用流管20
1〜20
4に接近させて、所定温度、例えば、37℃に保持した状態で、前記測定端配列体182に対して、前記接続端配列体183をX軸方向に移動させて、前記照射受光対と光学的に接続された接続端対(1)〜(4)と、測定端対〈2〉との対応する各要素が光学的に接続される。この状態に静止させて、例えば、重水素ランプによる白色光光源162によって、主な波長として658nmを含有する測定用光が前記照射端160
1〜160
4から照射され、受光端170
1〜170
4で受光された透過光の強度を前記光電変換部172によって電気信号として強度データに変換して吸光度を、測定周期(前記接続端配列体の往復運動はされていないが、接続端対と測定端対間の接続または遮断の周期である所定周期に相当する)として前記10秒毎に測定する。
【0209】
ステップS55で、前記制御部としての前記測光解析部は、前記強度データに基づいて吸光度を計算する。分光光度計を用いて最終吸光度(または、規定時間の吸光度)を測定することによって、測定対象物の濃度の推定が可能となる。測定は、例えば、10cmの1秒の所定速度で移動しながら、所定周期(1秒)で繰り返し測定する。
【0210】
以上の説明では、照射端をノズルに設け、受光端をステージに設けた場合を具体的に説明したが、この場合に限られることなく、照射端をステージに設け、受光端をノズルに設けることも可能である。また、8または4本のノズルが設けられ、8または4本の収容部群が設けられている場合のみについて説明したが、8または4に限定されることはない。
【0211】
さらに、以上説明した各構成要素の形状、構造、機能は、実施の形態で説明した例のみに限られることはない。例えば、以上の説明では、ノズルヘッド移動機構はタイミングベルトを用い、ノズル移動部はボール螺子を用いた場合について説明したが、タイミングベルトとボール螺子は任意に入れ替えることが可能であり、その他の機構を用いても同様に構成することができる。