(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面には必要に応じてXYZ直交座標系が示される。例えば、X軸及びY軸が水平方向に対応し、Z軸が鉛直方向に対応する。
【0009】
[電子部品の処理装置]
本実施形態に係る電子部品の処理装置1は、所謂ダイソータであり、電子部品Wを搬送しながら、外観検査、電気特性検査、マーキング等の処理を施した上でテープ、コンテナチューブ、トレイ等の収容部材に梱包する装置である。処理対象の電子部品Wは、例えば、半導体製造工程の前工程で形成された後にダイシング等で個片化された部品である。以下に例示する処理装置1は、部品供給部から受け取った電子部品Wに検査等の各種処理を施し、当該電子部品Wを基板等にボンディングすることなく収容部材に梱包する装置である。
図1及び
図2に示されるように、処理装置1は、例えば、回転搬送部10と、コントローラ100とを備える。
【0010】
(回転搬送部)
回転搬送部10は、電子部品Wを搬送軌道CRに沿って移動させる。搬送対象の電子部品Wは、互いに平行な(互いに逆向きの)二か所の主面Wa,Wbを有する(
図3も参照)。回転搬送部10は、例えば、旋回部20と、複数の可動部30と、複数の部品保持部40と、旋回駆動部60と、変位駆動部70とを有する。なお、
図1では、変位駆動部70の図示が省略されている。
【0011】
旋回部20は、複数の配置領域ARを通る搬送軌道CRの中心軸Axまわりに旋回する。一例では、搬送軌道CRは水平な円軌道であり、中心軸Axは鉛直である。旋回部20は、例えば、ターンテーブル22と、接続部24とを有する。ターンテーブル22は、中心軸Axまわりに旋回可能に設けられ、水平に配置されている。ターンテーブル22の外縁は、搬送軌道CRよりも内側(中心軸Ax寄り)に位置している。複数の接続部24は、ターンテーブル22の外周に沿って等間隔に並び、それぞれターンテーブル22から外周側に突出している。
【0012】
複数の配置領域ARは、搬送軌道CRに沿って互いに等間隔となるように設定されてもよい。複数の配置領域ARは、旋回部20が旋回しても動かない領域である。処理装置1は、複数の配置領域ARの少なくとも一部に配置される複数の処理部12を更に備える。複数の配置領域ARのいずれか一つでは、処理部12から回転搬送部10への電子部品Wの受け渡しが行われ、複数の配置領域ARのいずれか一つでは、回転搬送部10から処理部12への電子部品Wの受け渡しが行われる。
【0013】
処理部12の具体例としては、電子部品Wを回転搬送部10に供給する部品供給部12A、電子部品Wを回転搬送部10から回収し、収容部材に梱包する回収部12B、及び部品供給部12Aと回収部12Bとの間で電子部品Wに対して所定の処理を施す中間処理部12Cが挙げられる。中間処理部12Cとしては、電子部品Wの外観検査を行う検査部、電子部品Wの電気特性を検査する検査部、及び電子部品Wにマーキングを施すマーキング部等が挙げられる。
【0014】
複数の可動部30は、所定の方向に沿って変位可能となるように旋回部20に設けられている。以下では、旋回部20に対して可動部30が変位可能な方向を「変位方向」と称する。例えば、複数の可動部30は、旋回部20の複数の接続部24にそれぞれ対応しており、各可動部30は、変位方向に沿って変位可能となるように対応する接続部24に取り付けられている。一例では、変位方向は、ターンテーブル22(搬送軌道CRを含む面)に対して垂直な方向に設定されている。なお、本開示において「取り付けられる」とは、直接取り付けられている場合だけでなく、他の部材を介して取り付けられる場合も含む。可動部30は、
図3に示されるように、例えば、スライド部32と、受け部34と、第1接続部36と、第2接続部38とを有する。
【0015】
スライド部32は、変位方向に沿って延びるように形成されており、対応する接続部24に変位可能に設けられている。スライド部32の少なくとも一部は、接続部24から上方に突出している。受け部34は、スライド部32の上端に接続されており、スライド部32(可動部30)が変位するための押圧力を受ける部分である。平面視(上方から見ること)において、受け部34はスライド部32を覆っており、受け部34の大きさはスライド部32の大きさよりも小さい。
【0016】
第1接続部36は、スライド部32の下端に接続されており、水平方向(例えば図示のX軸方向)に沿って延びるように形成されている。
図3に例示される可動部30では、第1接続部36は、搬送軌道CRの半径方向に沿って延びている。より詳細には、第1接続部36の一方の端部はスライド部32の下端に接続されており、第1接続部36は、スライド部32との接続部分を起点として、搬送軌道CRの内側(中心軸Ax)に向かって延びている。第1接続部36の他方の端部(中心軸Axに近い端部)には、第2接続部38が接続されている。
【0017】
第2接続部38は、ターンテーブル22に垂直な方向に沿って延びるように形成されている。より詳細には、第2接続部38の上端は第1接続部36の端部に接続されており、第2接続部38は、第1接続部36との接続部分を起点として、鉛直下方に向かって延びている。この場合、第2接続部38は、搬送軌道CR又はスライド部32(接続部24の先端部)よりも内側に配置される。つまり、中心軸Axと第2接続部38との間の距離は、中心軸Axと搬送軌道CR又はスライド部32との間の距離よりも短い。以上の可動部30では、受け部34に変位方向の一方側に向けた押圧力が加わると、スライド部32、受け部34、第1接続部36、及び第2接続部38(可動部30の全体)が変位方向に沿って変位する。第1接続部36及び第2接続部38は、可動部30と部品保持部40との接続部分を構成する。
【0018】
図1に戻り、複数の部品保持部40は、複数の可動部30にそれぞれ対応するように設けられる。複数の部品保持部40のそれぞれは、搬送軌道CRに位置するように対応する可動部30に取り付けられている。例えば、複数の部品保持部40は、搬送軌道CRに沿って等間隔に配置されている。複数の部品保持部40の数と複数の配置領域ARの数は同じである。複数の部品保持部40が搬送軌道CRに沿って配置されるピッチ角度(互いに隣り合う部品保持部40同士の間の角度)と、複数の配置領域ARが搬送軌道CRに沿って配置されるピッチ角度とが、互いに同じであってもよい。
【0019】
複数の部品保持部40それぞれは、電子部品Wを保持する。部品保持部40は、いかなる方式で電子部品Wを保持してもよい。電子部品Wを保持する方式の具体例としては、負圧(真空)吸着、静電気式の吸着(クーロン力を利用した保持)、及び把持等が挙げられる。例えば、部品保持部40は、ターンテーブル22に垂直な方向(図示のZ軸方向)の一方側から電子部品Wの主面Wa,Wbのいずれか一方を負圧により吸着する。
【0020】
図3に示されるように、部品保持部40は、変位方向に沿って可動部30の第1接続部36と並ぶ。例えば、部品保持部40は、スライド部32(第1接続部36のスライド部32との接続部分)の鉛直下方に配置されている。部品保持部40は、変位方向に交差する方向(以下、「交差方向」という。)に沿って可動部30の第2接続部38と並ぶ。例えば、搬送軌道CRの半径方向に沿って、中心軸Ax、第2接続部38、及び部品保持部40がこの順で配置されている。
【0021】
部品保持部40は、例えば、ノズルホルダ42と、吸着ノズル44とを有する。ノズルホルダ42は、吸着ノズル44を保持する。ノズルホルダ42は、変位方向において第1接続部36に対向し、上記交差方向において第2接続部38に対向するように配置されている。例えば、第1接続部36の下端面とノズルホルダ42の上端面とが変位方向において対向し、第2接続部38の中心軸Axを向く側面とは反対側の側面(搬送軌道CRの外を向く側面)と、ノズルホルダ42の中心軸Axを向く側面とが、上記交差方向において対向する。
【0022】
吸着ノズル44は、搬送軌道CRに位置している。吸着ノズル44は、例えば、下方に開口しており、電子部品Wの主面Wa,Wbのいずれか一方(例えば主面Wa)を上方から負圧により吸着する。一例では、吸着ノズル44は、ターンテーブル22に対して垂直に延びており、その下端部が下方に開口している。回転搬送部10は、制御信号の入力に応じて吸着ノズル44による負圧吸着のオン及びオフを切り替えるためのバルブ(不図示)を更に有する。バルブの具体例としては、電磁バルブ等が挙げられる。
図3に例示した可動部30及び部品保持部40では、吸着ノズル44、ノズルホルダ42、第1接続部36のスライド部32との接続部分、スライド部32、及び受け部34が、変位方向に平行なラインL1に沿って並ぶ。
【0023】
部品保持部40は、可動部30に対して変位方向に沿って変位可能となるように可動部30に取り付けられている。具体的には、可動部30と部品保持部40との間には、可動部30に対する部品保持部40の変位方向に沿った変位を可能とする互いに平行な複数枚の板ばねが設けられる。複数枚の板ばねは、変位方向に交差して可動部30と部品保持部40とを接続する。複数枚の板ばね(の全て)は、互いに平行に配置されている。一例では、回転搬送部10は、可動部30と部品保持部40との間を接続する2枚の平行な板ばねを有する。以下では、2枚の平行な板ばねの一方を「板ばね50a」とし、他方を「板ばね50b」とする。
【0024】
板ばね50a,50bそれぞれは、変位方向に交差する交差方向(例えば、水平方向)に沿って延びるように形成されている。一例では、板ばね50a,50bそれぞれ(の主面)は、水平に配置されている。板ばね50a,50bは、板ばね50aの主面と板ばね50bの主面とが互いに平行になるように配置されている。板ばね50a,50bは、互いに離れて上下に並び(変位方向に沿って並び)、板ばね50aは、板ばね50bよりも上方に配置されている。板ばね50aと板ばね50bとの間隔は、ターンテーブル22の厚さと同程度であってもよい。板ばね50aと板ばね50bとは、互いに同じばね特性を有するように形成されてもよい。例えば、板ばね50aと板ばね50bとは、互いに同じ材料で構成されている。また、板ばね50aと板ばね50bとは、互いに同一の形状を有している。なお、同一形状とは、板ばね50aが板ばね50bに完全に一致する場合だけでなく、略一致する場合も含まれる。
【0025】
図3に示される例では、板ばね50a,50bは、部品保持部40のノズルホルダ42と可動部30の第2接続部38とを接続する。より詳細には、板ばね50a,50bの一方の端部が、ノズルホルダ42の中心軸Axを向く側面に接続されており、板ばね50a,50bの他方の端部が、第2接続部38の搬送軌道CRの外側を向く側面に接続されている。板ばね50a,50bは、第1接続部36(第1接続部36の略中央部)の鉛直下方に配置されている。
【0026】
以上のように、板ばね50a,50bは、可動部30と部品保持部40とを接続する。そのため、部品保持部40に外力が加わらない限り、可動部30に対する部品保持部40の相対的な位置が略一定に保たれたまま、可動部30の変位に伴って部品保持部40が変位方向に移動する。部品保持部40に外力が加わった場合には、板ばね50a,50bが変形するので、可動部30に対して部品保持部40が変位する。この際、板ばね50a,50bによって、可動部30に対して部品保持部40が変位する方向(部品保持部40の移動動作)が規制される。すなわち、板ばね50a,50bは、可動部30に対する部品保持部40の移動をガイドする機能を有する。
【0027】
ここで、
図4を参照して、部品保持部40の重心CGと、複数枚の板ばね(互いに平行な複数枚の板ばね)との位置関係の一例について説明する。部品保持部40の重心CGは、変位方向において複数枚の板ばねの間に位置してもよい。
図4に示される例では、部品保持部40の重心CG(ノズルホルダ42と吸着ノズル44とで構成される物体の重心)は、鉛直方向において板ばね50aと板ばね50bとの間に位置する。より詳細には、部品保持部40の重心CGは板ばね50aの上端よりも下方に位置し、且つ板ばね50bの下端よりも上方に位置する。
【0028】
部品保持部40の重心CGは、鉛直方向において板ばね50aと板ばね50bとの間の中間位置の近傍に位置していてもよい。例えば、重心CGの高さ位置は、板ばね50aの下端から板ばね50aと板ばね50bとの間の最短距離(以下、「距離Ds」という。)の1/4だけ下方の高さ位置よりも低く、且つ、板ばね50bの上端から距離Dsの1/4だけ上方の高さ位置よりも高くてもよい。又は、重心CGの高さ位置は、板ばね50aの下端から距離Dsの1/3だけ下方の高さ位置よりも低く、且つ、板ばね50bの上端から距離Dsの1/3だけ上方の高さ位置よりも高くてもよい。あるいは、重心CGの高さ位置が、板ばね50aと板ばね50bとの間の鉛直方向における中間位置に略一致していてもよい。
【0029】
図2に示されるように、旋回駆動部60は、中心軸Axまわりに旋回部20を回転させる。旋回駆動部60は、例えば電動モータ等の動力源を含み、ギヤを介さないダイレクトドライブによって中心軸Axまわりにターンテーブル22を回転させる。複数の部品保持部40は、板ばね50a,50b、可動部30及び接続部24を介してターンテーブル22に接続されているので、ターンテーブル22の回転に伴って複数の部品保持部40が搬送軌道CRに沿って移動する(中心軸Axまわりに旋回する)。旋回駆動部60は、複数の部品保持部40それぞれを一の配置領域ARに順に配置するように旋回部20を旋回させる。例えば、旋回駆動部60は、複数の配置領域ARに複数の部品保持部40がそれぞれ一時停止するように、旋回部20を間欠的に旋回させる。これにより、一の配置領域ARには、複数の部品保持部40のうちのいずれか1つ(いずれか1つが保持する電子部品W)が順次一時停止する。
【0030】
変位駆動部70は、配置領域ARにおいて部品保持部40が変位方向の一方側に移動するように、変位方向の一方側に可動部30を変位させる。例えば、変位駆動部70は、配置領域ARにおいて部品保持部40が鉛直下方に移動するように、可動部30を鉛直下方に変位させる。回転搬送部10は、複数の変位駆動部70を備えてもよい。複数の変位駆動部70は、例えば、複数の配置領域ARにそれぞれ設けられている。なお、部品保持部40を移動(変位)させる必要がない配置領域ARには、変位駆動部70が設けられなくてもよい。複数の変位駆動部70は、複数の配置領域ARにそれぞれ固定されており、旋回部20が旋回しても移動しない。一の変位駆動部70は、当該変位駆動部70が位置する配置領域ARに順次配置される部品保持部40に対応する可動部30を、変位方向の一方側に移動させる。
【0031】
回転搬送部10は、複数の変位駆動部70を所定の位置に固定する(保持する)固定部78を更に備えてもよい。固定部78は、例えば、旋回部20のターンテーブル22の上方に配置される板状の部材である。固定部78は、ターンテーブル22と共に旋回しないように構成されている。複数の変位駆動部70は、複数の配置領域ARにそれぞれ位置するように固定部78に固定されている。そのため、複数の変位駆動部70は、旋回部20が旋回しても動かない。
【0032】
変位駆動部70は、例えば、本体部72と、プッシャー74と、駆動部76とを有する。本体部72は、ターンテーブル22(旋回部20)と共に旋回しないように配置領域ARに固定される。例えば、本体部72は、固定部78の外縁部のうちの配置領域ARに対応する部分に固定されている。プッシャー74は、本体部72に対して変位方向に沿って変位可能となるように当該本体部72に設けられる。例えば、プッシャー74は、鉛直方向に沿って移動可能となるように本体部72に保持されている。プッシャー74は、部品保持部40が配置領域ARに位置する状態において、当該部品保持部40に対応する可動部30の一部(受け部34)の鉛直上方に配置される。
図3に示される例では、配置領域ARにおいて、プッシャー74は、部品保持部40の鉛直上方に位置する。
【0033】
駆動部76は、電動モータ又はエアシリンダ等の動力源によって、プッシャー74を下方に移動させる。これにより、プッシャー74によって可動部30が下方に押され、その結果、可動部30が下方に変位する。つまり、プッシャー74は、変位方向の一方側に向かって可動部30を押すように構成されている。プッシャー74が可動部30を下方に押している状態では、プッシャー74の下端が可動部30の受け部34の上端面に接触する。すなわち、変位駆動部70(プッシャー74)から可動部30への力の作用点は、受け部34の上端面に位置している。
【0034】
図3に示されるように、回転搬送部10は、反発ばね80を更に有してもよい。反発ばね80は、変位方向の他方側に向かって可動部30を押すように構成されている。より詳細には、反発ばね80は、変位駆動部70(プッシャー74)が可動部30を押す方向と反対の方向に可動部30を押すように構成されている。反発ばね80は、可動部30の受け部34と接続部24との間に設けられている。反発ばね80は、例えばコイルばね(圧縮コイルばね)である。反発ばね80は、その中心軸が変位方向に沿った状態で受け部34と接続部24との間に配置されている。
【0035】
反発ばね80の上端は受け部34の下端面に接し、反発ばね80の下端は接続部24の上端面に接している。反発ばね80は、可動部30が鉛直下方に変位した際に、鉛直上方に向かう方向に受け部34に反力を付与する。すなわち、反発ばね80から可動部30への力の作用点は、受け部34の下端面に位置している。受け部34の上端面に下向きの力を付与した状態を変位駆動部70(プッシャー74)が解除すると、反発ばね80の反力によって可動部30が変位前の位置に戻り、これに伴って部品保持部40も移動前の位置に戻る。
【0036】
図3に示される例では、部品保持部40が配置領域ARに配置された際に、当該配置領域ARにおいて、プッシャー74、反発ばね80、及び部品保持部40が、変位方向に延びるラインL1に沿って並ぶ。この場合、プッシャー74から可動部30への力の作用点、反発ばね80から可動部30への反力の作用点、及び部品保持部40による電子部品Wの保持位置(例えば吸着ノズル44による電子部品Wの吸着位置)が、ラインL1に沿って並ぶ。
【0037】
回転搬送部10は、補助ばね88を更に有してもよい。補助ばね88は、変位方向に沿って伸縮可能であり、伸縮に応じた反力を発生する。補助ばね88は、例えばコイルばねである。補助ばね88は、可動部30の第1接続部36と部品保持部40(ノズルホルダ42)とを接続する。補助ばね88は、その中心軸が変位方向に沿った状態で設けられる。補助ばね88の上端は、第1接続部36の下端面に接続(固定)されており、補助ばね88の下端はノズルホルダ42の上端面に接続(固定)されている。
【0038】
補助ばね88は、可動部30に対して部品保持部40が変位していない状態において、部品保持部40を支持するように構成されてもよい。例えば補助ばね88は、部品保持部40が変位していない状態において、その自然長よりも若干伸びており、部品保持部40を支持する力(反力)を発生するように構成されている。これにより、板ばね50a,50bが部品保持部40を支持する力を、補助ばね88を設けない場合に比べて低下させることでき、板ばね50a,50bのばね定数を小さくできる。一例では、補助ばね88は、部品保持部40が変位していない状態において、当該補助ばね88が部品保持部40を支持する力と部品保持部40の自重とが略等しくなるように構成されている。これにより、板ばね50a,50bが部品保持部40を支持する力をゼロに近づけることができ、板ばね50a,50bのばね定数を更に小さくできる。
【0039】
補助ばね88は、可動部30に対して部品保持部40が変位した状態において、部品保持部40が変位した方向とは反対の方向に押す力(反力)を部品保持部40に対して付与するように構成されてもよい。より詳細には、補助ばね88は、当該補助ばね88が自然長よりも短くなる(圧縮される)程度まで部品保持部40が変位した際に、部品保持部40を上記反対の方向(例えば図示のZ軸負方向)に押す力を発生するように構成されてもよい。
【0040】
回転搬送部10から電子部品Wを回収する処理部12(回収部12B)は、配置領域ARに配置される部品保持部40(吸着ノズル44)から電子部品Wを回収するように、部品保持部40から受け取った電子部品Wを収容部材90に収容する。収容部材90は、例えば、収容トレイ又はキャリアテープであり、電子部品Wを収容するための複数のポケット92を有する。ポケット92は、電子部品Wに対応した形状を有する。回収部12Bは、当該回収部12Bが位置する配置領域ARに部品保持部40が配置されてくる度に、空のポケット92を部品保持部40の鉛直下方に配置するように収容部材90を移動させる。部品保持部40は、例えば、変位駆動部70によって可動部30と共に鉛直下方に移動した状態で、吸着ノズル44が吸着している電子部品Wの吸着を解除することで、空のポケット92に電子部品Wを引き渡す。
【0041】
(コントローラ)
コントローラ100は、予め定められた制御手順で回転搬送部10及び複数の処理部12を制御するコンピュータである。この制御手順において、コントローラ100は、少なくとも、部品保持部40に電子部品Wを保持させた状態で、当該部品保持部40をいずれかの配置領域ARに移動させるように旋回駆動部60を制御することと、配置領域ARに移動した部品保持部40を鉛直下方に移動させるように変位駆動部70を制御することとを実行するように構成されている。以下では、一の電子部品Wが回収部12Bに回収されるまでにコントローラ100によって実行される制御手順の一例を説明する。
【0042】
回収予定の電子部品Wを保持する部品保持部40が、回収部12Bが位置する配置領域ARよりも中心軸Axまわりの角度ピッチの1ピッチ分だけ離間した配置領域ARに配置されている状態で、コントローラ100は以下の処理を実行する。すなわち、コントローラ100は、回収予定の電子部品Wを保持する部品保持部40が、回収部12Bが位置する配置領域ARに配置されるように、旋回駆動部60により旋回部20を角度ピッチの1ピッチ分だけ旋回させる。部品保持部40が当該配置領域ARに配置されると、変位駆動部70のプッシャー74、反発ばね80、及び部品保持部40(この部品保持部40に保持されている電子部品W)が、上述のラインL1上に並ぶ。また、コントローラ100は、空のポケット92が部品保持部40の鉛直下方に配置されるように回収部12Bを制御する。
【0043】
次に、コントローラ100は、配置領域ARの部品保持部40が鉛直下方に向かって移動するように、変位駆動部70(プッシャー74)により可動部30を鉛直下方に変位させる。プッシャー74によって可動部30を変位させる際には、配置領域ARに位置する変位駆動部70がプッシャー74を下降させる。プッシャー74が初期位置から所定量下降すると、プッシャー74が可動部30の受け部34に接触する。そして、変位駆動部70がプッシャー74により受け部34を更に鉛直下方に押すと、旋回部20に対して可動部30が鉛直下方に変位する。これに伴って、部品保持部40が鉛直下方に移動する。
【0044】
コントローラ100は、部品保持部40に保持されている(吸着ノズル44によって吸着されている)電子部品Wが、空のポケット92に収容される位置まで達すると、プッシャー74が可動部30を鉛直下方に押す動作を変位駆動部70に停止させる(
図5(a)参照)。そして、コントローラ100は、吸着ノズル44による電子部品Wの吸着を解除するように部品保持部40を制御する。これにより、電子部品Wが空のポケット92に引き渡される。
【0045】
次に、コントローラ100は、プッシャー74を初期位置まで上昇させるように変位駆動部70を制御する。プッシャー74が受け部34を押している状態が解除されると、反発ばね80の反力によって、可動部30が鉛直上方に変位する。これに伴って、電子部品Wを保持していない部品保持部40が下降前の位置まで戻る。コントローラ100は、他の電子部品W(後続の電子部品W)についても、以上の処理を繰り返し実行する。
【0046】
図5(a)には、以上の電子部品Wの引き渡し(回収)が正常に行われる場合の動作の一例が示されており、
図5(b)には、電子部品Wの引き渡しが正常に行われない場合の動作の一例が示されている。
図5(a)に示されるように、部品保持部40を下方に移動させているときに、当該部品保持部40に外力が加わらない限り、板ばね50a,50bは変形しない。そのため、部品保持部40が可動部30に対して変位しない。
【0047】
図5(b)に示されるように、電子部品Wを収容する予定の空のポケット92が、部品保持部40の鉛直下方の位置からずれて配置される場合もある。この場合、部品保持部40を下方に移動させていくと、吸着ノズル44に吸着されている電子部品Wが、ポケット92の周縁部(収容部材90の上面)に接触し、部品保持部40に外力が加わる。この場合、板ばね50a,50bが変形して、可動部30に対して部品保持部40が上方に変位する。このように、電子部品W(部品保持部40)に外力が加わっても、部品保持部40を上方に退避せることができ、電子部品Wに過度な力が加わることが回避される。また、可動部30に対して部品保持部40が上方に変位した際に、板ばね50a,50bの変形による反力と補助ばね88の圧縮による反力とが部品保持部40に加わり得る。
【0048】
(変形例)
以上に例示した処理装置1では、2枚の板ばね(板ばね50a,50b)が設けられるが、可動部30と部品保持部40との間が、3枚以上の平行な板ばねによって接続されていてもよい。この場合、部品保持部40の重心CGは、変位方向(3枚以上の板ばねが並ぶ方向)において、最上段の板ばねと最下段の板ばねとの間に位置していてもよい。例えば、部品保持部40の重心CGの高さ位置が、最上段の板ばねと最下段の板ばねとの間の中間位置に略一致していてもよい。
【0049】
以上に例示した処理装置1では、配置領域ARにおいて、変位方向(ラインL1)に沿ってプッシャー74、反発ばね80、及び部品保持部40が並ぶが、プッシャー74及び反発ばね80は、部品保持部40とは異なる位置に配置されてもよい。例えば、平面視において、プッシャー74及び反発ばね80の位置が、配置領域ARの部品保持部40(吸着ノズル44)の位置と異なっていてもよい。この場合、プッシャー74から可動部30への力の作用点と、反発ばね80から可動部30への反力の作用点とが、部品保持部40の鉛直上方に位置していなくてもよい。処理装置1は、第1接続部36と部品保持部40との間に設けられる補助ばね88を備えていなくてもよい。
【0050】
以上に例示した処理装置1では、可動部30の第1接続部36が、スライド部32との接続部分を起点として中心軸Axに向かって延びるように形成されているが、第1接続部36が延びる方向は、いずれの方向(いずれの水平方向)であってもよい。例えば、第1接続部36は、搬送軌道CRの接線方向に沿って延びるように形成されていてもよい。この場合、板ばね50a,50bも搬送軌道CRの接線方向に沿って延びるように配置される。あるいは、第1接続部36は、スライド部32との接続部分を起点として中心軸Axから離れる方向に延びるように形成されていてもよい。この場合、搬送軌道CRの半径方向に沿って、中心軸Ax、部品保持部40(ノズルホルダ42)、板ばね50a,50b、及び第2接続部38が、この順で配置されてもよい。
【0051】
第1接続部36のスライド部32との接続部分は、当該第1接続部36の端部以外の部分であってもよく、第2接続部38は、第1接続部36の端部以外の部分に接続されてもよい。第1接続部36が延びる水平方向と、板ばね50a,50bが延びる水平方向とが、互いに異なっていてもよい。この場合、変位方向において、ノズルホルダ42と第1接続部36とが対向していなくてもよい。可動部30は、第1接続部36及び第2接続部38を有さずに、スライド部32に接続され、鉛直下方に延びる接続部を有してもよい。この接続部とノズルホルダ42とを接続するように、板ばね50a,50bが設けられてもよい。
【0052】
以上に例示した処理装置1では、部品保持部40の重心CGは、変位方向において板ばね50aと板ばね50bとの間に位置するが、重心CGが、板ばね50aよりも上方に位置していてもよく、板ばね50bよりも下方に位置していてもよい。例えば、
図6(a)及び
図6(b)には、変形例に係る部品保持部40Aが例示されている。この部品保持部40Aは、ノズルホルダ42Aと、吸着ノズル44Aとを有する。ノズルホルダ42A及び吸着ノズル44Aは、部品保持部40のノズルホルダ42及び吸着ノズル44とそれぞれ同様の機能を有する。部品保持部40Aの重心CGは、板ばね50bの下方に位置している。
【0053】
[実施形態の効果]
以上説明したように、上記実施形態に係る処理装置1は、所定の配置領域ARを通る搬送軌道CRの中心軸Axまわりに旋回する旋回部20と、所定の変位方向に沿って変位可能となるように旋回部20に設けられた可動部30と、電子部品Wを保持し、搬送軌道CRに位置するように可動部30に取り付けられた部品保持部40,40Aと、部品保持部40,40Aを配置領域ARに配置するように中心軸Axまわりに旋回部20を旋回させる旋回駆動部60と、配置領域ARにおいて部品保持部40,40Aが変位方向の一方側に移動するように、変位方向の一方側に可動部30を変位させる変位駆動部70と、可動部30に対する部品保持部40,40Aの変位方向に沿った変位が可能となるように、変位方向に交差して部品保持部40,40Aと可動部30とを接続する互いに平行な複数枚の板ばねとを備える。
【0054】
この処理装置1では、部品保持部40,40Aと可動部30との間が、互いに平行な複数枚の板ばねによって接続されているので、可動部30が変位方向に変位すると部品保持部40,40Aも共に移動する。複数枚の板ばねは、可動部30に対する部品保持部40,40Aの変位を可能とするので、可動部30が変位している際に部品保持部40,40Aが保持している電子部品Wに外力が加わると、可動部30に対して部品保持部40,40Aが変位する。その結果、変位方向と反対方向への過度な力が、部品保持部40,40Aに保持されている電子部品Wに加わることを防止できる。従って、電子部品Wの破損を抑制するのに有用である。
【0055】
上記実施形態に係る処理装置1において、可動部30は、変位方向に沿って部品保持部40,40Aと並ぶ第1接続部36と、第1接続部36に接続され、変位方向に交差する方向に沿って部品保持部40,40Aと並ぶ第2接続部38とを有してもよい。複数枚の板ばねは、部品保持部40,40Aと第2接続部38とを接続してもよい。この場合、変位方向から見て、可動部30と部品保持部40とを少なくとも部分的に重ねることができるので、処理装置1の省スペース化に有用である。
【0056】
上記実施形態に係る処理装置1は、第1接続部36と部品保持部40とを接続し、変位方向に沿って伸縮すると共に伸縮に応じて反力を発生する補助ばね88を更に備えてもよい。複数枚の板ばねは、ばね定数を調節し難い傾向を有するが、上記構成では、複数枚の板ばねに加えて補助ばね88を設けることで、複数枚の板ばねによって部品保持部40の変位動作を規制しつつ、部品保持部40にばね部材から加わる力を柔軟に調節することできる。
【0057】
上記実施形態に係る処理装置1において、複数枚の板ばねは、変位方向に沿って並んでいてもよい。部品保持部40の重心CGは、変位方向において複数枚の板ばねの間に位置してもよい。旋回部20の旋回(回転)開始時又は停止時において部品保持部40には慣性力が加わる。上記構成では、重心CGが板ばねの間に位置することで、部品保持部40に加わる慣性力に起因して、部品保持部40の振動が発生するのを抑制できる。
【0058】
例えば、
図6(b)に示される変形例に係る部品保持部40Aでは、部品保持部40Aの重心CGが板ばね50a,50bの下方に位置しているので、旋回部20の回転方向R1への回転停止に伴って、当該回転方向R1と同じ向きの力Fが吸着ノズル44Aに加わり、部品保持部40Aにモーメントが加わる。その結果、電子部品Wの位置ずれ、及び電子部品Wの落下等が発生してしまう可能性がある。これに対して、部品保持部40の重心CGを板ばね50a,50bの間に配置することで、旋回部20の回転開始時及び回転停止時に部品保持部40に加わるモーメントを抑制でき、電子部品Wの位置ずれ、及び電子部品Wの落下の可能性を低下させることができる。また、板ばね50a,50bの他部材との接合部分に無理な力が加わることを防止することができる。
【0059】
上記実施形態に係る処理装置1は、変位方向の他方側に向かって可動部30を押す反発ばね80を更に備えてもよい。変位駆動部70は、変位方向の一方側に向かって可動部30を押すプッシャー74を有してもよい。配置領域ARにおいて、プッシャー74、反発ばね80、及び部品保持部40,40Aが、変位方向に沿って並んでもよい。この場合、電子部品Wが他部材に当接した際に、部品保持部40によって保持されている電子部品Wの主面に対して垂直な方向に沿って変位駆動部70から電子部品Wに力が加わる。そのため、処理部において電子部品Wが他部材に当接した際に、電子部品Wの主面に対して斜め方向に荷重が加わることを抑制できる。なお、第2接続部38を搬送軌道CRの内側に配置することで、処理装置1の省スペース化に更に有用である。
【解決手段】電子部品の処理装置は、所定の配置領域を通る搬送軌道の中心軸まわりに旋回する旋回部と、所定の変位方向に沿って変位可能となるように旋回部に設けられた可動部と、電子部品を保持し、搬送軌道に位置するように可動部に取り付けられた部品保持部と、部品保持部を配置領域に配置するように中心軸まわりに旋回部を旋回させる旋回駆動部と、配置領域において部品保持部が変位方向の一方側に移動するように、変位方向の一方側に可動部を変位させる変位駆動部と、可動部に対する部品保持部の変位方向に沿った変位が可能となるように、変位方向に交差して部品保持部と可動部とを接続する互いに平行な複数枚の板ばねとを備える。