(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
矩形状の底パネル(1)と、左右一対の矩形状の側壁パネル(2)(2)と、矩形状の前壁パネル(3)と、矩形状の後壁パネル(4)と、を備え、上記前壁パネル(3)は、上半部又は全体が、収容物取り出しの際に前方へ開揺動可能に構成されたボックスパレットに於て、
別のボックスパレット(B)が上方から載置されたことを検知する検知部(51)を、上記側壁パネル(2)に設け、さらに、上記側壁パネル(2)に、上記検知部(51)の検知に基づいて上記前壁パネル(3)の開揺動を阻止するロック爪部(52)を設けたことを特徴とするボックスパレット。
上記検知部(51)は、上記側壁パネル(2)の上縁部(2a)から上方突出状に上下スライド自在に設けられ、載置された上記別のボックスパレット(B)に押圧されて下方へスライド移動するように構成され、
上記ロック爪部(52)は、上記検知部(51)の下方へのスライド移動に伴って上下方向に移動して、上記前壁パネル(3)に係止して上記前壁パネル(3)の開揺動を阻止するように構成されている請求項1記載のボックスパレット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数のボックスパレットを上下に積み重ねた状態で、下段のボックスパレットの収容物を取り出そうとして、前壁パネルの上半部又は全体を開揺動させると、下段のボックスパレットの強度が保てなくなったり、側壁パネルが左右方向に振れたり、側壁パネルが変形して、上段のボックスパレットが落下する危険があった。
そこで、上下に積み重ねた状態で、前壁パネルを開揺動しないように、注意書きにより警告していたが、注意書きを無視して前壁パネルを開揺動させることは可能であるため、上段のボックスパレットの落下事故が発生する虞れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、複数のボックスパレットを上下に積み重ねた状態で、下段のボックスパレットの前壁パネルの開揺動を阻止可能なボックスパレットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のボックスパレットは、矩形状の底パネルと、左右一対の矩形状の側壁パネルと、矩形状の前壁パネルと、矩形状の後壁パネルと、を備え、上記前壁パネルは、上半部又は全体が、収容物取り出しの際に前方へ開揺動可能に構成されたボックスパレットに於て、別のボックスパレットが上方から載置されたことを検知する検知部を、上記側壁パネルに設け、さらに、上記側壁パネルに、上記検知部の検知に基づいて上記前壁パネルの開揺動を阻止するロック爪部を設けたものである。
また、上記検知部は、上記側壁パネルの上縁部から上方突出状に上下スライド自在に設けられ、載置された上記別のボックスパレットに押圧されて下方へスライド移動するように構成され、上記ロック爪部は、上記検知部の下方へのスライド移動に伴って上下方向に移動して、上記前壁パネルに係止して上記前壁パネルの開揺動を阻止するように構成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のボックスパレットを上下に積み重ねた状態で、前壁パネルの開揺動を確実に阻止できる。別のボックスパレットを上方から載置することによって(パレット積み重ね作業に伴って)、自動的に、前壁パネルの開揺動を阻止できる。ロック爪部のロック操作やロック解除操作が不要であり、ロック操作忘れ等の人為的ミスの悪影響を受けない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明のボックスパレットは、
図1に示すように、上方開口箱型に組み立てられて使用されるものであって、平面視矩形状の底パネル1と、左右一対の矩形状の側壁パネル2,2と、矩形状の前壁パネル3と、矩形状の後壁パネル4と、を備えている。
【0010】
前壁パネル3は、上半部が収容物取り出しの際に前方(手前)へ開揺動可能に構成され、かつ、全体(上半部及び下半部)が収容物取り出しの際に前方へ開揺動可能に構成されている。
【0011】
前壁パネル3は、底パネル1に左右水平状軸心廻りに傾倒・起立可能(前後開閉揺動自在)に金具等により連結された金属製の前下ゲート部(前下網部)31と、前下ゲート部31の上縁部に金属製のコイル状線材等により前後揺動自在に連結された金属製の前上ゲート部(前上網部)32と、前下ゲート部31に左右方向スライド自在に設けられ前下ゲート部31の開揺動を阻止するためのストッパシャフト33aを有する左右一対の前下用のハンドル33,33と、前上ゲート部32に左右方向スライド自在に設けられ前上ゲート部32の開揺動を阻止するためのストッパシャフト34aを有する左右一対の前上用のハンドル34,34と、を備えている。
【0012】
前下用のハンドル33及び前上用ハンドル34を左右外方へ移動させて、ストッパシャフト33a,34aの先端を、側壁パネル2の前縁部2eに設けた下ストッパ用孔部23及び上ストッパ用孔部24に、夫々、差し込むことで、前壁パネル3が側壁パネル2に係止され、前下ゲート部31及び前上ゲート部32夫々の開揺動(開放)が阻止されるように構成している。
【0013】
また、左右一対の前上用のハンドル34,34を、夫々、左右内方へ移動させて、ストッパシャフト34a,34aの先端を、左右一対の上ストッパ用孔部24,24から抜くことで、前上ゲート部32のみが係止解除状態となり、前壁パネル3の上半部が開揺動可能となる。
【0014】
また、前上ゲート部32を上述のように係止解除状態にすると共に、左右一対の前下用のハンドル33,33を、夫々、左右内方へ移動させて、ストッパシャフト33a,33aの先端を、左右一対の下ストッパ用孔部23,23から抜くことで、前下ゲート部31が係止解除状態となり、前壁パネル3の全体(上半部及び下半部)を開揺動可能としている。
【0015】
そして、
図1乃至
図4に示すように、側壁パネル2に、別のボックスパレットB(
図3参照)が上方から載置されたことを検知する検知部51を設けている。
検知部51は、側壁パネル2の前縁部2e近傍の上縁部2aから上方突出状に上下スライド自在に設けている。
検知部51は、側壁パネル2の上縁部2aに別のボックスパレットBの脚部Bdが載置されると、その脚部Bbによって押圧され下方へ移動する。
【0016】
そして、検知部51の検知に基づいて前壁パネル3の開揺動を阻止するロック爪部52を、側壁パネル2の前縁部2eから前方突出状かつ上下移動自在に設けている。
ロック爪部52は、検知部51の下方へのスライド移動に伴って、下方へ移動し、前壁パネル3の網形状を形成する横杆38に係止可能な所定ロック位置に配設される。
【0017】
ここで、
図4に示すように、検知部51は側面視でL字状のスライド部材50の板状の上方突片部(鉛直状部)50aの上端部である。
ロック爪部52は、スライド部材50の板状の前方突片部(水平状部)50bの先端部である。ロック爪部52は、下方へ折れ曲がったL字状のフック型である。
【0018】
ここで、側壁パネル2の前上角部かつ内面側に、板状のベース部材59を固着している。そして、ベース部材59に設けた左右外方突片部59dに、常時上方へ弾発付勢する引っ張りコイルバネ等の弾発付勢部材58の一端(上端部)を取着している。
弾発付勢部材58は、他端部(下端部)が、スライド部材50の前方突片部50bに取着している。
【0019】
検知部51が別のボックスパレットBから押圧されていない待機状態において、スライド部材50は、弾発付勢部材58によって、検知部51が側壁パネル2の上縁部2aから所定突出寸法をもって配設された所定の検知待機位置(姿勢)に配設されると共に、ロック爪部52が(前壁パネル3の開閉揺動が可能となる)所定のロック待機位置に配設される。
【0020】
ここで、側壁パネル2は、前縁部2e近傍の上縁部2aに、上方から載置される別のボックスパレットB(
図3参照)の脚部Bdの前方位置を位置決めするための前位置決め突部29を、上方突出状に有している。検知部51は、その前位置決め突部29の後方側近傍に配設され、脚部Bdに確実に対応する。
【0021】
また、
図4に示すように、スライド部材50の上方突片部50aは、側壁パネル2の網形状を形成するために前後方向に並んだ縦杆27,27(27C,27D)の間に配設され、その一対の縦杆27,27によって上下方向のスライドがガイドされると共に前後方向の位置ズレが阻止されている。
また、上方突片部50aは、側壁パネル2の上縁部2aを形成する左右一対の上縁用の横杆28,28の間を挿通し左右方向の位置ズレが阻止されると共に上下方向のスライド移動がガイドされている。
また、前方突片部50bは、側壁パネル2の網形状を形成するために前後方向に並んだ縦杆27,27(27A,27B)と、ベース部材59と、によって左右方向の位置ズレが阻止されている。このように、側壁パネル2の構成部材(網形状を形成する杆材)及びその網目空間を巧みに利用して、部品点数を削減している。また、検知部51やロック爪部52の厚み寸法(左右方向寸法)を薄くでき、収容物の収納やパレット搬送の邪魔にならない。
【0022】
また、
図1乃至
図3に示すように、側壁パネル2の外面側(左右外方側)からベース部材59に取着する板状のカバー部材57を備えている。ベース部材59とカバー部材57とで、側壁パネル2の前上角部を挟んで、スライド部材50や弾発付勢部材58や保護すると共に美観を向上させている。
【0023】
そして、側壁パネル2の上縁部2aに、別のボックスパレットBの脚部Bdが載置されると、脚部Bbが検知部51を上方から押圧し、スライド部材50が弾発付勢部材58の弾発付勢力に抗して降下し、ロック爪部52が、前壁パネル3の横杆38を係止可能なロック位置に配設され、前壁パネル3の開揺動を阻止可能なロック状態となる。
【0024】
このように、複数のボックスパレットを上下に積み重ねた状態で、前壁パネル3の上半部又は全体を開揺動させようとしてハンドル33,34を操作し、ストッパシャフト33a,34aの先端を、ストッパ用孔部23,24から抜いても、前壁パネル3(前上ゲート部32)の横杆38がロック爪部52に係止され前壁パネル3の開揺動が阻止される。
【0025】
そして、別の(上段の)ボックスパレットBを、降ろすと(側壁パネル2の上縁部2aから離間させると)、弾発付勢部材58の弾発力によって(自動で)、スライド部材50が上昇し、ロック爪部52が所定のロック待機位置に戻って、前壁パネル3の開揺動が可能となる。また、検知部51が所定の検知待機位置に戻る。
【0026】
次に、
図5及び
図6に示す他の実施形態は、検知部51を、上下方向に沿った細帯型の板状の上下移動部材55の上端部としている。上下移動部材55は、縦杆27,27及び上縁用の横杆28,28によって上下方向のスライド移動がガイドされる。
【0027】
ロック爪部52は、上下移動部材55の下端部55bに、基端部56cが左右水平状の枢着軸心L1をもって枢着された細帯型の板状の揺動部材56の先端部(前端部)である。ロック爪部52は、上方へ折れ曲がったL字状のフック型である。
【0028】
揺動部材56は、前後中間部が左右水平状の枢支軸心L2をもってベース部材59に枢支されている。言い換えると、揺動部材56は、枢支軸心L2を支点としてロック爪部52と基端部56cとがシーソー状に上下揺動自在である。
【0029】
また、揺動部材56において枢支軸心L2よりも先端(前方)側部位の重さ(自重)によって、ロック爪部52が所定のロック待機位置に配設されると共に、検知部51が所定の検知待機位置に配設されるように、揺動部材56と上下移動部材55と(枢着軸心L1に同心状の)枢着部材とを設けている。
言い換えると、揺動部材56において、枢支軸心L2より先端側のモーメントM1が、枢支軸心L2より基端側のモーメントM2と同等乃至超えるように設定して、
図4に示したような待機位置戻り用の弾発付勢部材58を省略している。
【0030】
そして、
図6に示すように、別のボックスパレットBの脚部Bd(
図6に於て二点鎖線で図示する)、側壁パネル2の上縁部2aに、載置されると、脚部Bbによって、検知部51は上方から押圧され上下移動部材55が降下し、揺動部材56の基端部56cが枢支軸心L2廻りに下方へ揺動し、揺動部材56のロック爪部52が枢支軸心L2廻りに上方へ移動(揺動)して、ロック爪部52が、前壁パネル3の横杆38を係止可能なロック位置に配設され、前壁パネル3の開揺動を阻止可能なロック状態となる。このロック状態で、前壁パネル3のハンドル34を操作して前壁パネル3の上半部又は全体を開揺動させようとしても、前壁パネル3の横杆38がロック爪部52に係止され前壁パネル3の開揺動が阻止される。他の構成及び作用効果は、上述の実施形態と同様である。
【0031】
また、上述の実施形態は、ベース部材59とカバー部材57とを、側壁パネル2を挟むように取着しているが、別の実施形態として、ベース部材59とカバー部材57とを所定の内部空間を形成するように取着して薄い板型のケース部材を構成し、そのケース部材に検知部51及びロック爪部52を設けて、既存のボックスパレットの側壁パネル2に後付けする(着脱自在とする)構成とするも良い。他の構成及び作用効果は、上述の実施形態と同様である。
【0032】
なお、本発明は設計変更可能であって、検知部51及びロック爪部52は、図例においては、左右一対の側壁パネル2,2の両方に設けているが、一方のみに設けるも良い。スライド部材50や上下移動部材55をガイドする縦杆27,27や上縁用の横杆28,28に換えて、ベース部材59にガイド部材を設けるも良い。また、スライド部材50や上下移動部材55や揺動部材56が、所定待機位置や所定ロック位置に配設されるように、ベース部材59に位置決め用当り部を設けても良い。或いは、その位置決め用当り部を、側壁パネル2を形成する部材(横杆28や縦杆27等)の一部をもって構成するも良い。上下移動部材55又は揺動部材56を所定の待機位置に戻すための引っ張りコイルバネや板バネ等の弾発付勢部材58を設けるも良い。底パネル1や各壁パネル2,3,4は、図示の網(柵)型に限らず、鋼板等の板型であっても良い。また、前壁パネル3を板型とした場合は、ロック爪部52が差し込み可能な開口部を設け、その開口部の開口縁部にロック爪部52を係止可能に設けても良い。
【0033】
また、図示省略するが、上方開口箱型に組み立てられる前は、前壁・後壁パネル3,4及び左右一対の側壁パネル2,2は、相互に上下方向に重なるように底パネル1の上面に倒れた倒伏(傾倒)姿勢となり、全体が、折畳積層状態である。
【0034】
底パネル1は、平面視矩形枠型の金属製のベース部と、ベース部に固着する水平面状の金属製の底網部と、ベース部の4つの各角部に下方突出状に設けられる金属製の脚部とを一体状に有している
【0035】
左右一対の側壁パネル2は、後壁パネル4の左右側縁部夫々に、鉛直状軸心廻りに揺動自在に連結され、後壁パネル4と共に(一体状に)底パネル1の上面側へ倒された倒伏(横倒れ)姿勢となるもの、又は、側壁パネル2は、下縁部が、底パネル1の左右側縁部夫々に、前後水平状軸心廻りに揺動自在に連結され、左右夫々の側壁パネル2,2が、底パネル1の上面側へ倒された倒伏(横倒れ)姿勢となるもの、いずれであっても良い。また、ストッパ用孔部23,24を形成するU字状杆は、上方開口箱型状態で前壁パネル3の網目(網孔)に挿通され、その網目を形成する縦杆に当接して、横(左右方向)の荷重を受けるように構成されると共に、上記網目を形成する横杆に上下方向に当接して前壁パネル3(ゲート部31,32)の上下方向の位置ズレを抑制している。
【0036】
前壁パネル3は、上述のような上下分割ゲート構造を有するものに限らず、一枚型に構成され、全体としてのみ開揺動が可能(上半部のみの開揺動が不可能)に構成したものであっても良い。また、前壁パネル3は、上半部(前上ゲート部32)のみが開揺動可能(下半部の開揺動が不可能に)構成したものであっても良い。また、ハンドル33,34及びストッパ用孔部23,24の位置や数は自由である。
【0037】
後壁パネル4は、一枚型に限らず、(前壁パネル3と同様に、)上半部又は全体が、収容物取り出しの際に後方へ開揺動可能に構成されたものであっても良い。
そして、上方開口箱型状態で後壁パネル4が開揺動可能に構成した場合は、別のボックスパレットBが上方から載置されたことを検知する検知部51を、側壁パネル2の上縁部2aかつ後縁部側に設け、さらに、上記側壁パネル2の後縁部から後方突出状に、後壁パネル4の開揺動を阻止するロック爪部52を設ける。
【0038】
以上のように、本発明のボックスパレットは、矩形状の底パネル1と、左右一対の矩形状の側壁パネル2,2と、矩形状の前壁パネル3と、矩形状の後壁パネル4と、を備え、上記前壁パネル3は、上半部又は全体が、収容物取り出しの際に前方へ開揺動可能に構成されたボックスパレットに於て、別のボックスパレットBが上方から載置されたことを検知する検知部51を、上記側壁パネル2に設け、さらに、上記側壁パネル2に、上記検知部51の検知に基づいて上記前壁パネル3の開揺動を阻止するロック爪部52を設けたので、複数のボックスパレットを上下に積み重ねた状態で、前壁パネル3の開揺動を確実に阻止できる。パレット積み重ね作業に伴って自動的に、前壁パネル3の開揺動を阻止できる。ロック爪部52を操作するためのロック操作やロック解除操作が不要であり、ロック操作忘れ等の人為的ミスの悪影響を受けない。
【0039】
また、上記検知部51は、上記側壁パネル2の上縁部2aから上方突出状に上下スライド自在に設けられ、載置された上記別のボックスパレットBに押圧されて下方へスライド移動するように構成され、上記ロック爪部52は、上記検知部51の下方へのスライド移動に伴って上下方向に移動して、上記前壁パネル3に係止して上記前壁パネル3の開揺動を阻止するように構成されているので、機械的な検知及び連動により簡素な構造にでき、製作や組立を容易にできて、故障も少ない。