(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、上述のノイズ対策部材について、例示的な実施形態を挙げて説明する。なお、以下の説明においては、図中に併記した前後左右上下の各方向を利用して説明を行う。これらの各方向は、
図3Aの平面図に表れる箇所が向けられる方向を上、
図3Bの左側面図に表れる箇所が向けられる方向を左、
図3Cの正面図に表れる箇所が向けられる方向を前、
図3Dの右側面図に表れる箇所が向けられる方向を右、
図3Eの背面図に表れる箇所が向けられる方向を後、
図3Fの底面図に表れる箇所が向けられる方向を下、と規定した相対的な方向である。ただし、これらの各方向は、ノイズ対策部材を構成する各部の相対的な位置関係を簡潔に説明するために規定した方向に過ぎない。したがって、例えばノイズ対策部材の使用時等に、ノイズ対策部材がどのような方向に向けられた状態配置されるのかは不定である。
【0010】
[ノイズ対策部材1の構成]
ノイズ対策部材1は、
図1A及び
図1Bに示すように、電線Wの外周に装着されて、電線Wに流れるノイズ電流を減衰させる部材である。ノイズ対策部材1は、磁性体コア3と、磁性体コア3を収容するケース5とを備える。磁性体コア3は、
図3Eに示すように、二つの分割コア3A,3Bによって構成される。二つの分割コア3A,3Bは、それぞれが磁性体(本実施形態の場合はフェライト。)によって構成される。二つの分割コア3A,3Bを、互いに接触させることによって筒状の磁性体コア3が構成される。
【0011】
ケース5は、二つの収容部7A,7B(
図3A,
図3B,
図3C,
図3D及び
図3F参照。)、二つのヒンジ部9A,9B(
図1B及び
図3C参照。)及び二つのロック部11A,11B(
図1A参照。)を有する。ケース5を構成する各部は、樹脂材料(本実施形態の場合はポリアミド。)によって一体成形されている。収容部7Aは、分割コア3Aを収容可能に構成されている。収容部7Bは、分割コア3Bを収容可能に構成されている。ただし、本実施形態において、分割コア3A,3Bは、同形状とされている。
【0012】
二つのヒンジ部9A,9Bは、二つの収容部7A,7Bを開閉可能に連結する。ロック部11Aは、
図2A及び
図2B等に示すように、一方の収容部7Aに設けられた被係合部13Aと、他方の収容部7Bに設けられた係合部15Aとを有する。ロック部11Bは、一方の収容部7Aに設けられた被係合部13Bと、他方の収容部7Bに設けられた係合部15Bとを有する。
【0013】
二つの収容部7A,7Bが閉じられた際には(
図1A及び
図1B参照。)、ロック部11Aにおいて、係合部15Aが被係合部13Aの孔に引っ掛かる。また、ロック部11Bにおいて、係合部15Bが被係合部13Bの孔に引っ掛かる。これにより、二つのロック部11A,11Bは、二つの収容部7A,7Bが開かれるのを阻止する状態となる。このとき、二つの収容部7A,7Bは、二つのヒンジ部9A,9B及び二つのロック部11A,11Bによって互いに固定された状態となる。これら二つのヒンジ部9A,9B及び二つのロック部11A,11Bが、本開示でいう固定機構の一例に相当する。
【0014】
収容部7Aに分割コア3Aを収容し、収容部7Bに分割コア3Bを収容して、ヒンジ部9A,9B及びロック部11A,11Bによって二つの収容部7A,7Bを互いに固定すると、二つの分割コア3A,3Bは筒状になった状態で保持される。収容部7Aは、磁性体コア3の外周に沿った位置に配置される周壁部17Aと、磁性体コア3の軸方向(
図1A及び
図1B中でいう左右方向。)の端面に沿った位置に配置される端壁部19A,19Bとを有する。収容部7Bは、磁性体コア3の外周に沿った位置に配置される周壁部17Bと、磁性体コア3の軸方向の端面に沿った位置に配置される端壁部19C,19Dとを有する。
【0015】
周壁部17Aの一部は、
図4及び
図5等に示すように、弾性可動壁21A,21B,22A,22Bとされている。弾性可動壁21A,21B,22A,22Bは、板ばねのように弾性変形可能に構成された部分である。より詳しくは、弾性可動壁21A,21B,22A,22Bは、一端が固定端、他端が自由端とされて、両端間が弾性変形するのに伴って自由端が固定端に対して変位可能に構成されている。
【0016】
周壁部17Bの一部は、
図4及び
図5等に示すように、弾性可動壁21C,21D,22C,22Dとされている。弾性可動壁21C,21D,22C,22Dは、板ばねのように弾性変形可能な部分である。より詳しくは、弾性可動壁21C,21D,22C,22Dは、一端が固定端、他端が自由端とされて、両端間が弾性変形するのに伴って自由端が固定端に対して変位可能に構成されている。
【0017】
二つの弾性可動壁21A,21Bは、周壁部17Aの軸方向(
図1A及び
図1B中でいう左右方向。)に間隔を空けて設けられている。二つの弾性可動壁21C,21Dは、周壁部17Bの軸方向(
図1A及び
図1B中でいう左右方向。)に間隔を空けて設けられている。これにより、周壁部17Aの外周側において、二つの弾性可動壁21A,21Bの間、及び二つの弾性可動壁21C,21Dの間には、結束バンド(図示略。)を巻き付け可能な巻き付け領域23が確保されている。弾性可動壁22Aと弾性可動壁22Cは、ヒンジ部9Aを介して連結されている。弾性可動壁22Bと弾性可動壁22Dは、ヒンジ部9Bを介して連結されている。
【0018】
弾性可動壁21Aには、一つの係止突起31A、二つの加圧突起32A,32B及び一つのストッパー33Aが設けられている。弾性可動壁21Bには、一つの係止突起31B、二つの加圧突起32C,32D及び一つのストッパー33Bが設けられている。弾性可動壁21Cには、一つの係止突起31C、二つの加圧突起32E,32F及び一つのストッパー33Cが設けられている。弾性可動壁21Dには、一つの係止突起31D、二つの加圧突起32G,32H及び一つのストッパー33Dが設けられている。弾性可動壁22Aには、一つの係止突起31Eが設けられている。弾性可動壁22Bには、一つの係止突起31Fが設けられている。弾性可動壁22Cには、一つの係止突起31Gが設けられている。弾性可動壁22Dには、一つの係止突起31Hが設けられている。
【0019】
係止突起31Aは、弾性可動壁21Aの内周側かつ弾性可動壁21Aの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Aは、周壁部17Aの径方向内周側へ向かって突出する。係止突起31Bは、弾性可動壁21Bの内周側かつ弾性可動壁21Bの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Bは、周壁部17Aの径方向内周側へ向かって突出する。
【0020】
係止突起31Cは、弾性可動壁21Cの内周側かつ弾性可動壁21Cの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Cは、周壁部17Bの径方向内周側へ向かって突出する。係止突起31Dは、弾性可動壁21Dの内周側かつ弾性可動壁21Dの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Dは、周壁部17Bの径方向内周側へ向かって突出する。
【0021】
加圧突起32A,32Bは、弾性可動壁21Aの内周側かつ弾性可動壁21Aの両端間中央よりも固定端側となる位置にある。加圧突起32A,32Bは、周壁部17Aの径方向内周側へ向かって突出する。加圧突起32C,32Dは、弾性可動壁21Bの内周側かつ弾性可動壁21Bの両端間中央よりも固定端側となる位置にある。加圧突起32C,32Dは、周壁部17Aの径方向内周側へ向かって突出する。
【0022】
加圧突起32E,32Fは、弾性可動壁21Cの内周側かつ弾性可動壁21Cの両端間中央よりも固定端側となる位置にある。加圧突起32E,32Fは、周壁部17Bの径方向内周側へ向かって突出する。加圧突起32G,32Hは、弾性可動壁21Dの内周側かつ弾性可動壁21Dの両端間中央よりも固定端側となる位置にある。加圧突起32G,32Hは、周壁部17Bの径方向内周側へ向かって突出する。
【0023】
係止突起31A及び加圧突起32A,32Bは、周壁部17Aの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられている。より詳しくは、二つの加圧突起32A,32Bは、周壁部17Aの軸方向に間隔を空けた位置に設けられている。係止突起31Aは、周壁部17Aの軸方向については、二つの加圧突起32A,32B間の空隙に対応する位置にある。
【0024】
係止突起31B及び加圧突起32C,32Dは、周壁部17Aの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられている。より詳しくは、二つの加圧突起32C,32Dは、周壁部17Aの軸方向に間隔を空けた位置に設けられている。係止突起31Bは、周壁部17Aの軸方向については、二つの加圧突起32C,32D間の空隙に対応する位置にある。
【0025】
係止突起31C及び加圧突起32E,32Fは、周壁部17Bの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられている。より詳しくは、二つの加圧突起32E,32Fは、周壁部17Bの軸方向に間隔を空けた位置に設けられている。係止突起31Cは、周壁部17Bの軸方向については、二つの加圧突起32E,32F間の空隙に対応する位置にある。
【0026】
係止突起31D及び加圧突起32G,32Hは、周壁部17Bの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられている。より詳しくは、二つの加圧突起32G,32Hは、周壁部17Bの軸方向に間隔を空けた位置に設けられている。係止突起31Dは、周壁部17Bの軸方向については、二つの加圧突起32G,32H間の空隙に対応する位置にある。
【0027】
ストッパー33Aは、弾性可動壁21Aの外周側にある。ストッパー33Aは、周壁部17Aの径方向外周側へ向かって突出する。ストッパー33Bは、弾性可動壁21Bの外周側にある。ストッパー33Bは、周壁部17Aの径方向外周側へ向かって突出する。ストッパー33Cは、弾性可動壁21Cの外周側にある。ストッパー33Cは、周壁部17Bの径方向外周側へ向かって突出する。ストッパー33Dは、弾性可動壁21Dの外周側にある。ストッパー33Dは、周壁部17Bの径方向外周側へ向かって突出する。上述の巻き付け領域23において、ケース5の外周に結束バンドが巻き付けられた際、四つのストッパー33A,33B,33C,33Dは、結束バンドがケース5の外周に沿って軸方向へずれるのを抑制する。
【0028】
係止突起31Eは、弾性可動壁22Aの内周側かつ弾性可動壁22Aの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Eは、周壁部17Aの径方向内周側へ向かって突出する。係止突起31Fは、弾性可動壁22Bの内周側かつ弾性可動壁22Bの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Fは、周壁部17Aの径方向内周側へ向かって突出する。
【0029】
係止突起31Gは、弾性可動壁22Cの内周側かつ弾性可動壁22Cの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Gは、周壁部17Bの径方向内周側へ向かって突出する。係止突起31Hは、弾性可動壁22Dの内周側かつ弾性可動壁22Dの両端間中央よりも自由端側となる位置にある。係止突起31Gは、周壁部17Bの径方向内周側へ向かって突出する。
【0030】
収容部7Aには、二つの付勢部35A,35Bが設けられている。収容部7Bには、二つの付勢部35C,35Dが設けられている。付勢部35A,35Bは、二つの収容部7A,7Bが閉じられた際に、分割コア3Aから力を受けて弾性変形し、分割コア3Aを分割コア3B側に向かって付勢する。付勢部35C,35Dは、二つの収容部7A,7Bが閉じられた際に、分割コア3Bから力を受けて弾性変形し、分割コア3Bを分割コア3A側に向かって付勢する。
【0031】
[効果]
以上のように構成されたノイズ対策部材1において、分割コア3Aは収容部7Aに収容される。その際、収容部7Aに設けられた係止突起31A,31B,31E,31Fが、分割コア3Aに引っ掛かる。これにより、係止突起31A,31B,31E,31Fは、分割コア3Aが収容部7Aから離脱するのを抑制する。分割コア3Bは収容部7Bに収容される。その際、収容部7Bに設けられた係止突起31C,31D,31G,31Hが、分割コア3Bに引っ掛かる。これにより、係止突起31C,31D,31G,31Hは、分割コア3Bが収容部7Bから離脱するのを抑制する。
【0032】
図6Aには、係止突起31Aを例示する。二つの収容部7A,7Bが互いに固定されていない状態にある場合、分割コア3Aは、付勢部35A,35Bに付勢されて、係止突起31Aに接触する位置にある。この状態においては、係止突起31Aが分割コア3Aに設けられた係合溝37Aに引っ掛かる。図示は省略するが、係止突起31B,31C,31Dについても、同様な仕組みによって分割コア3Aに引っ掛かる。これにより、分割コア3Aが収容部7Aから離脱するのを抑制することができる。分割コア3Bについても、同様な仕組みにより、収容部7Bから離脱するのを抑制することができる。
【0033】
収容部7A,7Bに対して分割コア3A,3Bを出し入れする際には、弾性可動壁21A,21B,21C,21D,22A,22B,22C,22Dを弾性変形させれば、係止突起31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31Hが分割コア3A,3Bに引っ掛からない位置へと退避する。よって、分割コア3A,3Bを収容部7A,7Bから取り外すことができる。したがって、分割コア3A,3Bを収容部7A,7Bから取り外すために収容部7A,7Bを全体的に変形させなくても済む。よって、収容部7A,7Bが破損するのを抑制することができる。
【0034】
一方、二つの収容部7A,7Bが互いに固定された状態にある場合には、二つの分割コア3A,3Bが互いに接触するのに伴い、各分割コア3A,3Bがそれぞれを収容する収容部7A,7Bの奥へと押し込まれる。このとき、加圧突起32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32Hと分割コア3A,3Bとが接触するのに伴い、弾性可動壁21A,21B,21C,21Dは、周壁部17A,17Bの外周側へと弾性変形する。
【0035】
図6Bには、弾性可動壁21Aを例示する。分割コア3Aが収容部7Aの奥へと押し込まれて(すなわち、
図6B中に仮想線で示す位置から実線で示す位置へと押し込まれて)、弾性可動壁21Aが周壁部17Aの外周側へと弾性変形した場合、加圧突起32A,32Bは、分割コア3Aに加圧接触する状態になる。このとき、加圧突起32A,32Bから分割コア3Aに作用する力の一部は、分割コア3Aを分割コア3B側へと付勢する力となる。したがって、このような構成を採用すれば、二つの収容部7A,7Bが互いに固定された際には、弾性可動壁21A,21B,21C,21Dが発生させる弾性力を有効に利用し、二つの分割コア3A,3Bの密着性を高めることができる。よって、二つの分割コア3A,3Bによって構成される磁性体コア3の磁気的特性を向上させることができる。
【0036】
特に、本実施形態の場合は、付勢部35A,35B,35C,35D及び弾性可動壁21A,21B,21C,21Dの双方が分割コア3A,3Bを押圧するように構成されている。そのため、付勢部35A,35B,35C,35D相当の構成のみが設けられている場合に比べ、分割コア3A,3Bを密着させる力を増強することができる。あるいは、分割コア3A,3Bを密着させる力を過度に増強しなくてもよい場合は、弾性可動壁21A,21B,21C,21Dによる付勢力の増分を考慮して、付勢部35A,35B,35C,35Dの付勢力を弱めることもできる。
【0037】
付勢部35A,35B,35C,35Dの付勢力を弱めることができる場合は、その分だけ、付勢部35A,35B,35C,35Dをばね性の低い構造にすることができる。この場合、付勢部35A,35B,35C,35Dにかかる負荷を軽減できる。よって、付勢部35A,35B,35C,35Dの経年劣化による付勢力の低下を抑制することができる。
また、付勢部35A,35B,35C,35Dと弾性可動壁21A,21B,21C,21Dの双方で分割コア3A,3Bを付勢すれば、付勢部35A,35B,35C,35D単独で分割コア3A,3Bを付勢する場合よりも、負荷のかかる箇所が多箇所に分散する。したがって、付勢部35A,35B,35C,35Dのみに負荷が集中する場合よりも、付勢部35A,35B,35C,35Dの経年劣化による付勢力の低下を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の場合、係止突起31A及び加圧突起32A,32Bは、周壁部17Aの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられる。係止突起31B及び加圧突起32C,32Dは、周壁部17Aの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられる。係止突起31C及び加圧突起32E,32Fは、周壁部17Bの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられる。係止突起31D及び加圧突起32G,32Hは、周壁部17Bの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられる。
【0039】
したがって、これらの各突起が、周壁部17A,17Bの軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重なる位置に設けられる場合に比べ、係止突起31A,31B,31C,31D及び加圧突起32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32Hを形成するために必要な金型の構造が複雑化するのを抑制することができる。
また、本実施形態の場合、ケース5の外周に結束バンドを巻き付ける場合に、その結束バンドがケース5の外周に沿って軸方向へずれるのをストッパー33A,33B,33C,33Dによって抑制することができる。
【0040】
特に、二つの収容部7A,7Bが互いに固定された状態にある場合、加圧突起32A,32B,32C,32D,32E,32F,32G,32Hと分割コア3A,3Bとが接触するのに伴って弾性可動壁21A,21B,21C,21Dは弾性変形して、外周側へと変位する。このとき、ストッパー33A,33B,33C,33Dは、外周側への突出量が増大する。例えば、ストッパー33Aは、
図6B中に仮想線で示す位置から実線で示す位置へと移動し、その突出量が増大する。
【0041】
よって、二つの収容部7A,7Bが互いに固定されていない状態にある場合には、ストッパー33A,33B,33C,33Dの突出量を減少させて、何らかの物体がストッパー33A,33B,33C,33Dに引っ掛かるのを抑制できる。また、二つの収容部7A,7Bが互いに固定された状態にある場合には、ストッパー33A,33B,33C,33Dの突出量を増大させて、結束バンドがずれるのを抑制する効果を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態の場合、巻き付け領域23において結束バンドを巻き付ければ、結束バンドの両側にストッパー33A,33B,33C,33Dが存在する状態となる。したがって、結束バンドを巻き付けた領域を挟む両側のうち、一方側にしかストッパー33A,33B,33C,33Dが存在しない場合に比べ、結束バンドがずれるのを抑制する効果を高めることができる。
【0043】
[他の実施形態]
以上、本開示のノイズ対策部材について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本開示の一態様として例示されるものに過ぎない。すなわち、本開示は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
【0044】
例えば、上記実施形態では、本開示でいう固定機構の一例として、二つのヒンジ部9A,9B及び二つのロック部11A,11Bを例示したが、ヒンジ部9A,9Bを設けるか否かは任意である。例えば、上述の二つのヒンジ部9A,9Bに代えて、更に二つのロック部を設けることにより(すなわち、四つのロック部を設けることにより)、固定機構による固定を解除した際に、二つの収容部7A,7Bが完全に分離する(すなわち、ヒンジ部による連結がなされていない状態となる。)ように構成されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、二つのヒンジ部9A,9B及び二つのロック部11A,11Bを備える例を示したが、ヒンジ部及びロック部それぞれの数も任意である。すなわち、ヒンジ部は一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。ロック部は一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
さらに、上記実施形態では、被係合部13A,13B及び係合部15A,15Bを有するロック部11A,11Bを例示したが、ロック部の具体的構造については、二つの収容部7A,7Bを互いに固定できるような構造となっていれば任意に採用可能である。
【0046】
なお、上記各実施形態における一つの構成要素によって実現していた機能を、複数の構成要素によって実現するように構成してもよい。また、複数の構成要素によって実現していた機能を一つの構成要素によって実現するように構成してもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0047】
[補足]
なお、以上説明した例示的な実施形態から明らかなように、本開示のノイズ対策部材は、更に以下に挙げるような構成を備えていてもよい。
まず、本開示のノイズ対策部材において、係止突起及び加圧突起は、周壁部の軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられていてもよい。
【0048】
このように構成されたノイズ対策部材によれば、係止突起及び加圧突起は、双方とも弾性可動壁の内周側に設けられるものの、周壁部の軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重ならない位置に設けられる。したがって、係止突起及び加圧突起が、周壁部の軸方向に直交する方向から見た場合に、互いに重なる位置に設けられる場合に比べ、係止突起及び加圧突起を形成するために必要な金型の構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0049】
また、本開示のノイズ対策部材において、弾性可動壁の外周側には、周壁部の径方向外周側へ向かって突出するストッパーが設けられ、ケースの外周に結束バンドが巻き付けられた際に、結束バンドがケースの外周に沿って軸方向へずれるのをストッパーによって抑制可能に構成されていてもよい。
このように構成されたノイズ対策部材によれば、ケースの外周に結束バンドを巻き付ける場合に、その結束バンドがケースの外周に沿って軸方向へずれるのをストッパーによって抑制することができる。二つの収容部が互いに固定された状態にある場合、加圧突起と分割コアとが接触するのに伴って弾性可動壁は弾性変形して、外周側へと変位する。
【0050】
このとき、ストッパーは、外周側への突出量が増大する。よって、二つの収容部が互いに固定されていない状態にある場合には、ストッパーの突出量を減少させて、何らかの物体がストッパーに引っ掛かるのを抑制できる。また、二つの収容部が互いに固定された状態にある場合には、ストッパーの突出量を増大させて、結束バンドがずれるのを抑制する効果を向上させることができる。
【0051】
また、本開示のノイズ対策部材において、収容部には、周壁部の軸方向に間隔を空けて二つの弾性可動壁が設けられて、一方の弾性可動壁と他方の弾性可動壁との間には、結束バンドを巻き付け可能な巻き付け領域が確保されていてもよい。
このように構成されたノイズ対策部材によれば、巻き付け領域において結束バンドを巻き付ければ、結束バンドの両側にストッパーが存在する状態となる。したがって、結束バンドを巻き付けた領域を挟む両側のうち、一方側にしかストッパーが存在しない場合に比べ、結束バンドがずれるのを抑制する効果を高めることができる。
【0052】
また、本開示のノイズ対策部材において、収容部には、弾性可動壁とは別に、二つの分割コアを互いに接近させる方向へと付勢する付勢部が設けられていてもよい。
このように構成されたノイズ対策部材によれば、付勢部及び弾性可動壁の双方が分割コアを押圧するので、分割コアを密着させる力を増強することができる。あるいは、分割コアを密着させる力を過度に増強しなくてもよい場合は、弾性可動壁による付勢力の増分を考慮して、付勢部の付勢力を弱めることもできる。したがって、付勢力を弱めることができる分だけ、付勢部をばね性の低い構造にすることができ、付勢部の経年劣化による付勢力の低下を抑制することができる。また、付勢部と弾性可動壁の双方で分割コアを付勢すれば、付勢部単独で分割コアを付勢する場合よりも、負荷のかかる箇所が多箇所に分散する。したがって、付勢部のみに負荷が集中する場合よりも、付勢部の経年劣化による付勢力の低下を抑制することができる。