【実施例】
【0026】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、光触媒に紫外線を照射して光触媒反応を生じさせる光触媒反応装置Xであり、光触媒反応により、例えば、流体中のカビ,ウイルス若しくは細菌などの病原体(病原微生物)を殺菌する。尚、本実施例では、
図1に図示したように処理したい箇所として食品を収納するガラスケース50内に設置した場合で説明しているが、これに限られるものではなく、処理する流体として空気は勿論、液体(水)でも良く、ひいては処理対象となる病原体としては病原微生物に限らず寄生虫も対象となる。
【0028】
具体的には、光触媒反応装置Xは、流体としての空気を通過させる流体通過空間Sを有する容体1に、上流側から下流側に向けて紫外線を照射する紫外線照射源2と、この紫外線照射源2の下流側に設けられ該紫外線照射源2から照射される紫外線を受光する受光部3とが設けられたものである。
【0029】
容体1は、
図2〜4に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成された角筒状体であり、後述する紫外線照射源2及び受光部3が設けられる第一部材1’と、後述する流体引込部7が設けられる第二部材1”とで構成され、この第一部材1’の端部と第二部材1”の端部とは分離自在に継合連結される。尚、容体1は金属製でも良い。
【0030】
具体的には、第一部材1’の一端部には第二部材1”の一端部が被嵌する角筒状の径小部1aを有し、この第一部材1’の径小部1aに第二部材1”の一端部を被嵌した際、第二部材1”の一端部内面に設けられた凹状の被係止部1bに係止する凸状の係止部1cが径小部1aの外面に設けられている。
【0031】
また、第一部材1’の他端部は他の第一部材1’の径小部1aに被嵌可能に設けられており、この第一部材1’の他端部には、他の第一部材1’の径小部1aの外面に設けられた凸状の係止部1cが係止する凹状の被係止部1dが設けられている。
【0032】
従って、第一部材1’と第二部材1”とを分離自在に継合連結できるだけでなく、紫外線照射源2及び受光部3が設けられる第一部材1’同士を分離自在に継合連結することができ、紫外線照射源2及び受光部3の数を適宜増減することで、光触媒反応装置X全体の殺菌能力を調整することができ、更に、光触媒反応だけでなく紫外線によっても殺菌することができ、例えば菌によって処理するに有効となる紫外線の波長は異なるが、波長の異なる紫外線照射源2を備えた第一部材1’同士を継合連結することで、種々の菌に対応した殺菌作用が得られることになる。
【0033】
また、第一部材1’内には後述する連結部材8が連結される第一連結部1eが設けられ、第二部材1”内には流体引込部7が連結される第二連結部1fが設けられている。
【0034】
紫外線照射源2は、
図2に図示したように周知構造の深紫外線発光ダイオード(Ultra Violet Light Emitting Diode)であり、本実施例ではピーク波長275nm〜285nm(標準280nm,立体角120度)の深紫外線光を発する紫外線照射源2を採用している。
【0035】
この紫外線照射源2には、
図2に図示したように適宜な金属製の部材で形成された板状体から成る冷却用(放熱用)のヒートシンク部
5が設けられ、このヒートシンク部
5は、連結部材8を介して第一部材1’内に取り付けられる。
【0036】
連結部材8は、
図2に図示したように適宜な金属製の部材で形成したものであり、ヒートシンク部
5及び第一連結部1eに貫挿される一対のネジ部材8aと、この各ネジ部材8aの前後位置に螺着される一対のナット部材8bとを有し、このナット部材8bでヒートシンク部
5及び第一連結部1eを前後から挟持することでネジ部材8aは固定される。
【0037】
従って、前後のナット部材8bを螺動させることでネジ部材8aはヒートシンク部
5及び第一連結部1eに対して前後方向へ移動する。
【0038】
また、ネジ部材8aの端部には受光部3を支持する方形枠状の支持部材8cが設けられている。
【0039】
従って、前後のナット部材8bを螺動させることで支持部材8cはネジ部材8aとともに前後方向へ移動することになり、ヒートシンク部
5に設けられる紫外線照射源2と支持部材8cに設けられる受光部3とは接離自在となる(
図3参照)。尚、本実施例では、紫外線照射源2から受光面3aまでの距離を約18mm(17.88mm)としている。
【0040】
受光部3は、
図2〜4に図示したように適宜な金属製の部材で形成された円形板状体であり、支持部材8cに支持された状態で紫外線照射源2の対向位置に第一部材1’に設けられている。
【0041】
また、受光部3は、紫外線照射源2から照射される紫外線を受光する正面視円形の受光面3aを有し、この受光面3aは凹湾曲面(この長さが約37mm)に形成されている。尚、受光部3は陶製や合成樹脂製でも良い。
【0042】
また、受光面3aには光触媒4(酸化チタン)が設けられており、この受光面3a(光触媒4)に紫外線照射源2から紫外線が照射されることで光触媒反応が発生する。
【0043】
本明細書で言う光触媒反応とは、ある物質(光触媒4)が光を吸収することにより起こる反応のうち、反応前後でその物質が変化しないもので、光触媒4に紫外線が照射されることで、有害化合物や細菌などを分解するという強い酸化還元作用が発生することである。
【0044】
従って、例えば、カビ,ウイルス若しくは細菌などの病原体を殺菌する殺菌作用が発揮される。尚、殺菌作用の他にも大気浄化作用(空気中のホルムアルデヒドなどの有害物質を除去),脱臭作用(アセトアルデヒド、アンモニア、硫化水素などの悪臭の分解),浄水作用(水中に溶解した汚染物質であるテトラクロロエチレンやトリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物を分解、除去)及び防汚作用(ガラス面などの汚れを防ぐ)などの作用も期待される。
【0045】
また、受光部3は、受光面3aが流体通過空間Sの径方向中央部位に配されるように設けられ、受光面3aの外周部位には、受光部3の上流側と下流側とを連通する流体通過部6が設けられている。
【0046】
具体的には、受光部3は前述した連結部材8の支持部材8cに設けられており、この受光部3の周囲と容体1の内面との隙間が流体通過部6に設定されている。
【0047】
流体引込部7は、
図3,4に図示したように周知構造の電動ファンであり、止着部材9を介して第二部材1”の第二連結部1fに連結されている。
【0048】
本実施例は上述のように構成したから、紫外線照射源2から照射される紫外線を受光部3の受光面3aで受光する。この受光部3の受光面3aには光触媒4が設けられており、照射される紫外線が当該光触媒4に照射されることで光触媒反応が起こり、例えば、容体1の流体通過空間Sを流体が通過した際、流体中のカビ,ウイルス若しくは細菌などの病原体が殺菌される。
【0049】
また、本実施例は、例えば中央に比し、外周ほど紫外線照射強度が弱い紫外線照射源2(例えば紫外線LED)を採用した場合でも、受光面3aが凹湾曲面であるから、受光面3aの外周部において紫外線照射源2との距離が近くなり、よって、受光面3a全面で均等に受光でき、受光面3aが平坦な面とした場合に比し、それだけ効率良く紫外線を受光することができる。
【0050】
また、受光面3aは凹湾曲面であり、この受光面3aに向けて流体が衝突することで対流が生じ、一時的にもこの流体が受光面3aの近傍に留まり、そこに紫外線照射源2から紫外線が照射されるから、例えば、それだけ殺菌時間が長くなり、良好な殺菌作用が発揮されることになる。
【0051】
よって、本実施例によれば、低出力の紫外線照射源でも良好な光触媒反応が生じ、しかも、安価に製造できて、ランニングコストも安く済むことになる。
【0052】
また、本実施例は、紫外線照射源2として紫外線LEDを採用したから、この点においても安価に製造できて、ランニングコストも安く済むことになる。
【0053】
また、本実施例は、受光部3の受光面3aは、流体通過空間Sの径方向中央部位に設けられ、受光面3aの外周と容体1との間隙は、流体通過部6として構成されているから、受光部3で殺菌処理された空気を良好に下流側へ通気させることができる。
【0054】
また、本実施例は、紫外線照射源2と受光部3とは接離自在に設けられているから、最適な距離に調整することができる。
【0055】
また、本実施例は、紫外線照射源2にはヒートシンク部
5が設けられているから、紫外線照射源2から発生する熱を放熱して光触媒反応装置Xの高温化を防止することができる。
【0056】
また、本実施例は、容体1には外部の流体(空気)を流体通過空間S内に引き込む流体引込部7が設けられているから、強制的に容体1外の流体(空気)を容体S内に引き込んで種々の作用(殺菌作用や脱臭作用など)を発揮させることができる。
【0057】
また、本実施例は、容体1は合成樹脂製の筒状体であるから、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【0058】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。