(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マイクロ波の照射対象物が配置される空間を内部に有する円筒状形状のキャビティの軸方向の一部の領域に設けられたマイクロ波の通過領域の外周側において、マイクロ波の通過可能な複数の領域の設けられた円筒状部材を回転させるステップと、
前記円筒状部材を円周方向の全体に亘って覆うように設けられたカバー部材によって前記円筒状部材の外周側に形成されたマイクロ波の導波路にマイクロ波を導入することにより、前記キャビティ内のマイクロ波の照射対象物にマイクロ波を照射するステップと、を備えたマイクロ波処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マイクロ波の照射方向などに応じて、加熱したい領域の一部が局所的に加熱される可能性もあり得る。そのため、加熱したい領域をより均一に加熱したいという要望があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、円筒形状のキャビティ内の対象物にマイクロ波を照射する場合に、加熱したい領域に対してより均一なマイクロ波の照射を実現することができるマイクロ波処理装置及びマイクロ波処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によるマイクロ波処理装置は、マイクロ波の照射対象物が配置される空間を内部に有する円筒状形状のキャビティであって、軸方向の一部の領域にマイクロ波の通過領域が設けられているキャビティと、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器と、キャビティの外周側に回転可能に設けられた円筒状形状の回転部材であって、マイクロ波の通過領域の外周側に、マイクロ波の通過可能な複数の領域の設けられた円筒状形状の円筒状部材を有している回転部材と、円筒状部材を円周方向の全体に亘って覆うように設けられ、円筒状部材の外周側に、マイクロ波発生器から導入されたマイクロ波の導波路を形成するカバー部材と、を備えたものである。
【0007】
このような構成により、円筒状部材の周囲に形成された導波路を伝搬するマイクロ波を、回転する円筒状部材に設けられたマイクロ波の通過可能な複数の領域からキャビティ内部の対象物に照射することができる。そのため、マイクロ波が、対象物の加熱したい領域に対して円周方向の様々な方向から照射されることになり、加熱したい領域に対するより均一なマイクロ波の照射を実現することができるようになる。
【0008】
また、本発明の一態様によるマイクロ波処理装置では、円筒状部材におけるマイクロ波の通過可能な領域は、スリット状の領域であってもよい。
【0009】
このような構成により、漏洩導波管のスロットからマイクロ波が漏洩するのと同様にして、マイクロ波がキャビティ内部の対象物により均等に照射されるようになる。
【0010】
また、本発明の一態様によるマイクロ波処理装置では、スリット状の領域は、円筒状部材の円周方向に延びていてもよい。
【0011】
このような構成により、スリットの領域が円筒状部材の軸方向に延びている場合と比較して、より効率のよいマイクロ波の照射を実現することができる。
【0012】
また、本発明の一態様によるマイクロ波処理装置では、マイクロ波の通過領域は、マイクロ波透過性材料の部材によって形成されていてもよい。
【0013】
このような構成により、例えば、対象物の加熱に応じて水蒸気やガスなどが発生する場合であっても、その水蒸気やガスなどがマイクロ波発生器の方に移動することを防止できる。その結果、マイクロ波発生器の故障などを防止することができる。
【0014】
また、本発明の一態様によるマイクロ波処理装置では、マイクロ波の通過領域は、円周方向の全体に亘って設けられていてもよい。
【0015】
このような構成により、対象物に対して、円周方向の全方向からマイクロ波を照射することができるようになり、対象物全体に対するより均一なマイクロ波の照射を実現することができるようになる。
【0016】
また、本発明の一態様によるマイクロ波処理方法は、マイクロ波の照射対象物が配置される空間を内部に有する円筒状形状のキャビティの軸方向の一部の領域に設けられたマイクロ波の通過領域の外周側において、マイクロ波の通過可能な複数の領域の設けられた円筒状形状の円筒状部材を回転させるステップと、円筒状部材を円周方向の全体に亘って覆うように設けられたカバー部材によって円筒状部材の外周側に形成されたマイクロ波の導波路にマイクロ波を導入することにより、キャビティ内のマイクロ波の照射対象物にマイクロ波を照射するステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によるマイクロ波処理装置によれば、キャビティ内の対象物の加熱したい領域に対して、より均一なマイクロ波の照射を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明によるマイクロ波処理装置及びマイクロ波処理方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるマイクロ波処理装置は、円筒形状のキャビティの軸方向の一部にマイクロ波の通過領域が設けられており、その通過領域の外周側の円周方向の全体に亘ってマイクロ波の導波路が形成され、その導波路を伝搬するマイクロ波が、マイクロ波の通過領域の外周側を円周方向に回転する、マイクロ波の通過可能な複数の領域を有する円筒部材を介してキャビティ内の対象物に照射されるものである。
【0020】
図1は、本実施の形態によるマイクロ波処理装置1の主な構成を示す斜視図である。
図2は、キャビティ11の外周側に回転可能に設けられた回転部材12を示す斜視図である。なお、
図2は、
図1においてカバー部材13を取りのけた状態を示す図である。
図3は、キャビティ11の外観を示す斜視図である。なお、
図3は、
図2において回転部材12を取りのけた状態を示す図である。
図4(a)は、回転部材12が有する円筒部材12aの構成を示す正面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のIVb−IVb線断面図である。
図5は、
図1で示されるマイクロ波処理装置1の軸方向に垂直な平面であって、導波管13aを通る平面における切断面の端面のみを示す縦断面図である。なお、
図5では、マイクロ波発生器14については省略している。
図6は、
図1で示されるマイクロ波処理装置1の軸方向に平行な平面における縦断面図である。なお、
図6では、マイクロ波処理装置1の上部側のみの断面を示している。
図7は、回転部材12の回転機構について説明するための図である。
【0021】
本実施の形態によるマイクロ波処理装置1は、キャビティ11と、回転部材12と、カバー部材13と、マイクロ波発生器14と、回転駆動部15とを備える。マイクロ波が照射され、マイクロ波加熱の対象となる対象物5は、どのようなものであってもよい。対象物5は、例えば、中実の長尺なものであってもよく、中空の長尺なものであってもよく、その他の長尺なものであってもよい。なお、キャビティ11の内部に入れられる長尺な対象物5は、例えば、1個であってもよく、または、2個以上であってもよい。また、対象物5は、長尺以外のもの、例えば、粒状固体や、粉体、流体等であってもよい。粒状固体や粉体、流体等の対象物5は、例えば、キャビティ11の内部に配設されたパイプ等の内部を流通してもよい。そのパイプ等は、マイクロ波透過性材料によって構成されていてもよい。マイクロ波透過性材料の一例については、後述のとおりである。また、対象物5が長尺なものである場合にも、キャビティ11の内部または外部に、対象物5を支持する構成が存在してもよい。対象物5は、キャビティ11の内部の空間11cにおける中心軸付近に配置されることが好適である。
【0022】
マイクロ波が照射されている際に、キャビティ11の内部の空間11cに配置された対象物5は、移動してもよく、または、そうでなくてもよい。すなわち、マイクロ波を照射することによって行われる対象物5への処理は、連続式で行われてもよく、バッチ式で行われてもよい。対象物5への処理が連続式で行われる場合に、対象物5は、例えば、継続的に移動していてもよく、移動と停止とを繰り返してもよい。対象物5への処理が連続式で行われる場合には、例えば、対象物5を搬送するための機構がキャビティ11の内部または外部に存在してもよい。
【0023】
対象物5へのマイクロ波の照射は、例えば、対象物5の乾燥のために行われてもよく、対象物5の融解や昇華、蒸発のために行われてもよく、対象物5の反応のために行われてもよく、対象物5の殺菌のために行われてもよく、その他の用途のために行われてもよい。対象物の反応は、例えば、化学反応であってもよい。
【0024】
キャビティ11は、マイクロ波の照射対象物5が配置される空間11cを内部に有する円筒形状のキャビティである。キャビティ11の内部の空間11cにおいて、対象物5にマイクロ波が照射される。空間11cにおけるマイクロ波のモードは、通常、マルチモードである。
図3で示されるように、キャビティ11は、キャビティ本体11aと、キャビティ11の軸方向の一部の領域に設けられたマイクロ波の通過領域11bとを有している。マイクロ波の通過領域11bは、キャビティ11の円周方向の全体に亘って設けられてもよく、円周方向の一部に設けられてもよい。後者の場合には、例えば、円周方向の一部の領域にのみ、マイクロ波の通過領域11bが設けられてもよく、円周方向について、マイクロ波の通過領域11bと、マイクロ波を通過しない領域とが交互に設けられてもよい。マイクロ波を通過しない領域は、マイクロ波反射性の材料によって構成されてもよい。マイクロ波反射性の材料の例示については後述する。本実施の形態では、マイクロ波の通過領域11bが、キャビティ11の円周方向の全体に亘って設けられている場合について主に説明する。キャビティ本体11a、及びマイクロ波の通過領域11bは、通常、中空の円筒形状、すなわちパイプ形状である。なお、軸方向とは、キャビティ11である円筒形状の中心軸の方向のことである。また、その円筒形状の円周の方向を円周方向と呼ぶこともある。また、その円筒形状の軸方向に垂直な面における中心軸を通る直線の方向を半径方向と呼ぶこともある。また、キャビティ11は、通常、中心軸が水平方向になるように配設されるが、それ以外の方向、例えば、垂直方向等になるように配設されてもよい。
【0025】
キャビティ本体11aは、マイクロ波を通過しないものであることが好適である。キャビティ本体11aは、マイクロ波反射性の材料によって構成されてもよい。マイクロ波反射性の材料は、例えば、金属であってもよい。金属は、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金などであってもよい。
図7で示されるように、キャビティ本体11aは、支持部22によって、ベース7に固定されてもよい。なお、
図7は、マイクロ波処理装置1を軸方向に垂直な方向から見た図である。また、
図1〜
図3では、回転駆動部15や、ベース7、支持部22を省略している。キャビティ本体11aの外周のうち、回転部材12やカバー部材13によって覆われていない領域は、断熱材やジャケット等によって覆われていてもよい。
【0026】
対象物5への処理が連続式で行われる場合には、キャビティ11の軸方向の端部には、対象物5が通過する入口や出口が設けられていてもよい。また、キャビティ11の内部のマイクロ波が外に漏洩することを防止するため、その入口や出口にはチョーク構造などのマイクロ波の漏洩防止機構が設けられてもよい。また、マイクロ波の照射がバッチ式で行われる場合には、キャビティ11の軸方向の端部は、閉じられていてもよい。なお、キャビティ11内部への対象物5の出し入れを行うため、例えば、その端部は、開閉可能となっていてもよい。
【0027】
マイクロ波の通過領域11bは、例えば、物体が存在せず、開口した領域であってもよく、マイクロ波透過性材料の部材によって形成されていてもよい。本実施の形態では、後者の場合、すなわちマイクロ波の通過領域11bがマイクロ波透過性材料の円筒形状の部材によって形成されている場合について主に説明する。そのように、マイクロ波の通過領域11bが閉じられていることによって、キャビティ11の内部の空間11cに配置された対象物5が加熱されて発生した水蒸気やガスなどが、マイクロ波の通過領域11bを介してマイクロ波発生器14側に流れることを防止することができ、マイクロ波発生器14の故障などを防止することができる。そのため、マイクロ波透過性材料の円筒形状の部材によって形成されたマイクロ波の通過領域11bと、キャビティ本体11aとの間には隙間がないことが好適である。キャビティ本体11aと、円筒形状の部材であるマイクロ波の通過領域11bとは、例えば、ネジ止めや接着等によって接続されてもよい。
【0028】
マイクロ波透過性材料は、比誘電損失が小さい材料であり、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、石英、ガラス等であってもよい。マイクロ波透過性材料の比誘電損失は、例えば、マイクロ波処理装置1の稼働時のマイクロ波の周波数及び温度において、1より小さいことが好適であり、0.1より小さいことがより好適であり、0.01より小さいことがさらに好適である。
【0029】
キャビティ11の内部において、軸方向に送風を行ってもよい。例えば、マイクロ波の照射によって対象物5を乾燥させる場合には、その送風を行うことによって、湿度の高い空気が排気されるようにしてもよい。また、マイクロ波を照射する前に、対象物5をマイクロ波以外の加熱手段によって予備加熱してもよい。マイクロ波以外の加熱手段は、例えば、電気ヒータ、ガスヒータ等であってもよい。
【0030】
回転部材12は、キャビティ11の外周側において回転可能に設けられた円筒形状の部材であり、
図2で示されるように、円筒部材12aと、円筒部材12aを軸方向の両側から支持する回転支持部材12bとを備える。なお、円筒部材12aと、回転支持部材12bとは、例えば、別々の部材であってもよく、または、一体的に構成されたものであってもよい。本実施の形態では、両者が別々の部材である場合について主に説明する。円筒部材12aと回転支持部材12bとが別々の部材である場合に、両者は、例えば、ネジ止めや接着、溶接等によって接続されてもよい。
【0031】
円筒部材12aは、円筒形状の部材であり、マイクロ波の通過領域11bの外周側に配置される。なお、円筒部材12aの軸方向の長さと、マイクロ波の通過領域11bの軸方向の長さとは、同じであることが好適である。また、円筒部材12aとマイクロ波の通過領域11bとの軸方向の位置は同じであることが好適である。
図4で示されるように、円筒部材12aの表面、すなわち、円筒形状の側面には、マイクロ波の通過可能な複数の領域12cが設けられている。複数の領域12cは、例えば、物体が存在せず、開口した領域であってもよく、マイクロ波透過性材料の部材によって形成されていてもよい。後者の場合には、例えば、マイクロ波反射性材料によって形成された円筒部材12aの側面に設けられた開口がマイクロ波透過性材料の物体によって塞がれていてもよい。マイクロ波透過性材料及びマイクロ波反射性材料の例示は、上記のとおりである。複数の領域12cは、通常、円筒部材12aの表面に均等に設けられているが、そうでなくてもよい。領域12cの形状は、例えば、
図4(a)で示されるように、スリット状であってもよく、丸形状や、正方形状などであってもよい。領域12cがスリット状である場合に、スリット状の領域12cは、例えば、
図4(a)で示されるように、円筒形状の円周方向に延びていてもよく、円筒形状の軸方向や、その他の方向に延びていてもよい。
図4(a)では、スリット状の領域12cが軸方向の2つの位置に設けられている場合、すなわちスリット状の領域12cが2列に設けられている場合について示しているが、スリット状の領域12cは、1列だけ設けられてもよく、3列以上設けられてもよい。また、
図4(a)、
図4(b)では、スリット状の領域12cが、各列の円周方向において90度ごとに4箇所設けられている場合について示しているが、スリット状の領域12cは、各列の円周方向において、(360/N)度ごとにN箇所設けられていてもよい。ここで、Nは、2以上の任意の整数である。また、複数の領域12cは、列ごとに整列しないように設けられてもよい。
【0032】
なお、カバー部材13によって形成された導波路13bから円筒部材12aの内側に、領域12cを介してマイクロ波が効率よく通過するためには、スリット状の領域12cは、円筒形状の円周方向に延びていることが好適である。また、円周方向に延びているスリット状の領域12cの円周方向の間隔、及び軸方向の間隔は、マイクロ波が円筒部材12aの内部に進入しやすいように設定されることが好適である。その間隔としては、例えば、方形導波管の一面に、長手方向に延びるスリット状の複数のスロットが設けられた公知の漏洩導波管と同様の間隔を採用してもよい。
【0033】
回転支持部材12bは、円筒部材12aを支持するものであり、回転支持部材12bがキャビティ11の外周側を回転することによって、円筒部材12aも一緒に回転することになる。したがって、回転支持部材12bは、マイクロ波の通過領域11bの外周側において円筒部材12aが回転可能となるように、円筒部材12aを支持していることになる。
【0034】
複数の領域12cを除く円筒部材12a、及び回転支持部材12bは、マイクロ波を通過しない材料によって構成されることが好適である。複数の領域12cを除く円筒部材12a、及び回転支持部材12bは、マイクロ波反射性の材料によって構成されてもよい。マイクロ波反射性の材料は、例えば、金属であってもよい。金属の例示は、上記のとおりである。
【0035】
カバー部材13は、円筒部材12aを円周方向の全体に亘って覆うように設けられる。カバー部材13は、キャビティ11に対して回転しないものである。したがって、回転部材12は、キャビティ11とカバー部材13との間で、円周方向に回転することになる。
図7で示されるように、カバー部材13は、ベース7に固定されていてもよい。カバー部材13によって、円筒部材12aの外周側に、マイクロ波発生器14から導入されたマイクロ波の導波路13bが形成される。導波路13bは、中空円柱形状である。導波路13bは、方形導波管を円形状に曲げることによって形成された中空円柱形状と同様の形状であると考えることもできる。導波路13bは、カバー部材13以外をも用いて、形成されることになる。本実施の形態では、導波路13bは、
図5,
図6で示されるように、円筒部材12aと、回転支持部材12bと、カバー部材13とによって形成されている。より具体的には、導波路13bの外周面は、カバー部材13によって形成されており、導波路13bの内周面は、円筒部材12aの外周面によって形成されており、導波路13bの側面(すなわち、外周面と内周面とを繋ぐ面)は、カバー部材13と回転支持部材12bとによって形成されている。なお、回転支持部材12bの半径方向の厚さが円筒部材12aと同程度である場合には、導波路13bは、円筒部材12aと、カバー部材13とによって形成されてもよい。
【0036】
導波路13bには、マイクロ波発生器14によって発生されたマイクロ波が導入されるための開口13cを有している。カバー部材13は、開口13cに接続された導波管13aを有していてもよい。導波管13aによって、マイクロ波発生器14からのマイクロ波が導波路13bにまで導かれることになる。導波管13aは、
図5で示されるように、中空円柱形状である導波路13bの接線方向に延びるように設けられていることが好適である。なお、カバー部材13が導波管13aを有していない場合には、マイクロ波発生器14が、開口13cの部分に直接、接続されていてもよい。
【0037】
導波路13bの円周方向に垂直な平面における断面は、導波路13bを伝搬するマイクロ波の周波数に適した方形導波管の断面と同様のサイズとなることが好適である。例えば、2.45GHzのマイクロ波が導波路13bを伝搬する場合には、導波路13bの軸方向の長さは、109.2(mm)であり、半径方向の長さは、54.6(mm)であってもよい。
【0038】
カバー部材13は、マイクロ波を通過しないものであることが好適である。カバー部材13は、マイクロ波反射性の材料によって構成されてもよい。マイクロ波反射性の材料は、例えば、金属であってもよい。金属の例示は、上記のとおりである。
【0039】
なお、本実施の形態では、カバー部材13の外形が円柱形状である場合について示しているが、そうでなくてもよい。カバー部材13の外形は立方体形状等であってもよい。その場合であっても、カバー部材の内周面は、導波路13bを形成したり、回転部材12を回転可能としたりするため、円筒形状となっている。
【0040】
図6で示されるように、回転部材12は、ボールベアリング41によってキャビティ11の外周側において回転可能に設けられてもよい。なお、キャビティ11の外周面と、回転支持部材12bの内周面との間に形成された隙間の半径方向の長さは、一定であることが好適である。また、回転部材12は、ボールベアリング42によってカバー部材13の内周側において回転可能に設けられてもよい。なお、回転支持部材12bの外周面と、カバー部材13の内周面との間に形成された隙間の半径方向の長さは、一定であることが好適である。ボールベアリング41,42は、
図6とは別の位置に設けられてもよく、また、より多くのボールベアリングが設けられてもよい。なお、ボールベアリング41,42は、マイクロ波が照射されないようにするため、後述する漏洩防止機構によってマイクロ波の進入が遮断される箇所に設けられてもよい。
図1〜
図3においては、説明の便宜上、ボールベアリング41,42を省略している。
【0041】
また、キャビティ11と回転支持部材12bとの隙間、及びカバー部材13と回転支持部材12bとの隙間から、導波路13bを伝搬するマイクロ波が外側に漏洩しないようにするための漏洩防止機構として、
図6で示されるチョーク構造31,32が設けられている。なお、チョーク構造については、すでに公知であるため、その詳細な説明を省略する。本実施の形態では、回転支持部材12bにチョーク構造31,32が設けられる場合について示しているが、チョーク構造は、例えば、キャビティ11側に設けられてもよく、カバー部材13側に設けられてもよい。
【0042】
また、キャビティ11、円筒部材12a、回転支持部材12b、カバー部材13の導波路13b部分の内周面、及び回転部材12の外周面と対向するカバー部材13の内周面は、同軸に形成されていることが好適である。また、回転部材12の回転軸も、キャビティ11等の中心軸と一致していることが好適である。
【0043】
マイクロ波発生器14は、マイクロ波を発生させる。マイクロ波発生器14は、例えば、マグネトロンや、クライストロン、ジャイロトロン等を用いてマイクロ波を発生させてもよく、半導体素子を用いてマイクロ波を発生させてもよい。マイクロ波の周波数は、例えば、915MHzや2.45GHz、5.8GHz、24GHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であってもよい。また、マイクロ波の強度は、図示しない制御部によって適宜、制御されてもよい。その制御は、例えば、キャビティ11の内部の温度や、対象物5の温度、対象物5の水分量などのセンシング結果を用いたフィードバック制御であってもよい。
【0044】
回転駆動部15は、回転部材12をキャビティ11に対して回転させる。回転駆動部15は、例えば、モータ等であってもよい。回転駆動部15は、例えば、
図7で示されるようにカバー部材13に固定されてもよく、ベース7に固定されてもよい。
図7で示されるように、回転駆動部15によって回転されるチェーンホイール15aと、回転部材12に設けられたチェーンホイール12dとにチェーン21が掛け渡されており、回転駆動部15によってチェーンホイール15aが回転されることによって、回転部材12が回転される。その回転は、導波路13bを伝搬するマイクロ波と同じ方向であってもよく、または、逆方向であってもよい。前者の場合には、
図5において、時計回りに円筒部材12aが回転することになり、後者の場合には、
図5において、反時計回りに円筒部材12aが回転することになる。また、回転駆動部15は、回転部材12を揺動させてもよい。なお、その揺動は、対象物5にマイクロ波が均一に照射される角度の範囲内で行われることが好適である。なお、回転部材12を回転させる回転機構として、
図7の以外のものを使用してもよいことは言うまでもない。
【0045】
回転駆動部15は、回転部材12を一定の回転速度で回転させてもよく、または、そうでなくてもよい。また、回転部材12が一方向に回転され、連続式の処理が行われる場合には、回転駆動部15は、例えば、対象物5が導波路13bの軸方向の長さを進む期間に、回転部材12が360度以上回転する回転速度で回転部材12を回転させてもよい。また、回転部材12が一方向に回転され、連続式の処理が行われる場合であって、円筒部材12aの領域12cについて、M回対称となっている場合(すなわち、円筒部材12aを(360/M)度だけ回転させると領域12cの位置が一致する場合)には、回転駆動部15は、例えば、対象物5が導波路13bの軸方向の長さを進む期間に、回転部材12が(360/M)度以上回転する回転速度で回転部材12を回転させてもよい。ここで、Mは、2以上の任意の整数である。
【0046】
次に、本実施の形態によるマイクロ波処理装置1による対象物5へのマイクロ波の照射方法について、簡単に説明する。バッチ式の場合には、キャビティ11内に対象物5を静止状態で配置し、連続式の場合には、キャビティ11内において対象物5を軸方向に移動させる。そして、マイクロ波発生器14によってマイクロ波を発生させると共に、回転部材12を回転駆動部15によって回転させる。その結果、マイクロ波発生器14から導波路13bに導かれたマイクロ波が、回転している円筒部材12aの領域12c及びマイクロ波の通過領域11bを介して対象物5に照射されることになる。ここで、円筒部材12aがキャビティ11の外周側を回転しているため、マイクロ波は、円周方向の種々の位置から対象物5に照射されることになる。その結果、対象物5へのマイクロ波の均等な照射を実現することができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態によるマイクロ波処理装置1によれば、キャビティ11の外周側に設けられた導波路13bを伝搬するマイクロ波を、導波路13bの内周側において回転する円筒部材12aの複数の領域12cを介してキャビティ11内の対象物5に照射することによって、対象物5のより均一な加熱を実現することができる。その結果、例えば、対象物5のより均一な乾燥や、より均一な反応などを実現することができるようになる。なお、マイクロ波の通過領域11bは、上記したように、キャビティ11の円周方向の一部に設けられてもよい。具体的には、マイクロ波の通過領域11bは、キャビティ11の下方にのみ設けられていてもよい。その場合には、対象物5に対して、下方からのマイクロ波の照射のみが行われることになるが、その照射においても、回転する円筒部材12aにおけるマイクロ波を通過可能な複数の領域12cを介した照射が行われるため、対象物5のマイクロ波を照射したい領域(例えば、この場合には下方領域)について、より均一な加熱を実現することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、キャビティ11の軸方向の1箇所においてマイクロ波の照射を行う場合について説明したが、キャビティ11の軸方向の2箇所以上においてマイクロ波の照射を行ってもよい。その場合には、キャビティ11の軸方向の2箇所以上に、マイクロ波の通過領域11bや円筒部材12aが設けられ、マイクロ波の導波路13bが形成されてもよい。なお、回転部材12やカバー部材13、回転駆動部15は、例えば、マイクロ波の導波路13bごとに設けられてもよく、複数のマイクロ波の導波路13bに対して一つの回転部材12やカバー部材13、回転駆動部15が用いられてもよい。後者の場合には、回転部材12は、複数の円筒部材12aを有しており、カバー部材13は、複数の導波路13bを形成することになる。また、キャビティ11の軸方向の2箇所以上でマイクロ波の照射が行われる場合に、マイクロ波処理装置1は、1個のマイクロ波発生器14を備えていてもよく、または、複数のマイクロ波発生器14を備えていてもよい。前者の場合には、1個のマイクロ波発生器14によって発生されたマイクロ波が分岐されて照射されてもよい。また、複数のマイクロ波発生器14が用いられる場合には、各マイクロ波発生器14が発生させるマイクロ波の周波数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、マイクロ波発生器14によって発生されたマイクロ波が、導波管13aによって導波路13bに導入される場合について説明したが、マイクロ波発生器14によって発生されたマイクロ波は、同軸ケーブル等の他の伝送手段によって導波路13bに導入されてもよい。同軸ケーブルによってマイクロ波が伝送される場合には、同軸ケーブルに接続された、マイクロ波を放射するためのアンテナが導波路13bに設けられてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、軸方向において、カバー部材13よりも回転部材12の方が長い場合について示しているが、そうでなくてもよい。回転部材12を回転させる機構を設けることができるのであれば、軸方向において、カバー部材13の方が回転部材12よりも長くてもよい。
【0051】
また、本実施の形態において、キャビティ11が円筒形状であること、すなわち、キャビティ11の軸方向に垂直な断面が正円であることを前提に説明をしたが、断面が正円から少しずれた形状、例えば、楕円形状又は正多角形状であってもよく、円筒状形状(cylinder−like shape)と呼ぶことがある。後者の場合には、回転部材12も、軸方向に垂直な断面が正円から少しずれた円筒状部材となっており、また、キャビティ11の外周側で回転できるようになっていてもよい。
【0052】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【解決手段】マイクロ波処理装置1は、対象物5が配置される空間11cを内部に有する円筒形状のキャビティ11であって、軸方向の一部の領域にマイクロ波の通過領域が設けられているキャビティ11と、マイクロ波発生器14と、キャビティ11の外周側に回転可能に設けられた円筒形状の回転部材12であって、マイクロ波の通過領域の外周側に、マイクロ波の通過可能な複数の領域の設けられた円筒形状の円筒部材を有している回転部材12と、円筒部材を円周方向の全体に亘って覆うように設けられ、円筒部材の外周側に、マイクロ波発生器14から導入されたマイクロ波の導波路を形成するカバー部材13と、を備える。