特許第6842788号(P6842788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6842788包装食品分別装置及び包装食品分別装置による包装食品分別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6842788
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】包装食品分別装置及び包装食品分別装置による包装食品分別方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   B09B5/00 E
   B09B5/00 P
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-112330(P2020-112330)
(22)【出願日】2020年6月30日
【審査請求日】2020年6月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517045093
【氏名又は名称】タオ・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅波 耕三
【審査官】 齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−114539(JP,A)
【文献】 実開平02−028406(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3077738(JP,U)
【文献】 特開2010−265096(JP,A)
【文献】 特開昭59−085398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B1/00−5/00
B65B69/00
B30B9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状容器に開閉蓋及び包装食品が投入される包装食品投入口が設けられ、筒状容器内の包装食品を生ごみと包装材に分離する分離手段が設けられ、分離手段によって分別された生ごみ及び包装材を筒状容器外に排出する包装食品分別装置において、
前記開閉蓋が、窪みを備え、
前記分離手段は、前記筒状容器に設けた多数の孔と、筒状容器内を前記開閉蓋に向けて摺動する摺動部材と該摺動部材に固着されて筒状容器の長手方向に押圧する押圧軸と押圧軸に押圧力を付与する駆動源とを持つ押圧手段と、で構成され、
前記摺動部材が、前記開閉蓋に対峙する前面に、ボルト頭部から伸びた円柱部と該円柱部の先端部に鋭い角度の尖端とを持つ突起部を有したピンを多数羅列配置して備え、前記押圧手段が、往復工程長さを漸次増大する往復動可能で、往復動し、前記包装食品投入口の投入手前側から前記包装食品投入口の領域を越えて前記開閉蓋に向けて前記筒状容器内を摺動し、押圧動作を繰り返して投入された包装食品を前記開閉蓋に向けて押圧し、前記尖端が包装食品を刺し通して刺し孔を開け、生ごみが押圧に起因して形成された拡大から流出て包装材から分別され分別された包装材が集合して集合包装体が形成され
当該生ごみを筒状容器外に排出する最終往復工程を経ると、当該ピンが当該最終往復工程の前進位置よりもわずかに前進し前記開閉蓋の内部まで侵入して、当該集合包装体を前記開閉蓋に備えた窪み内に位置付け、前記開閉蓋が開放されると前記窪み内に位置付けされた集合包装体が自重により排出可能とされる、前記開閉蓋から形成された集合包装体を排出する集合包装体の排出手段を備えること
を特徴とする包装食品分別装置。
【請求項2】
筒状容器に開閉蓋及び包装食品が投入される包装食品投入口が設けられ、筒状容器内の包装食品を生ごみと包装材に分離する分離手段が設けられ、分離手段によって分別された生ごみ及び包装材を筒状容器外に排出する包装食品分別装置において、
前記開閉蓋が、窪みを備え、
前記分離手段は、前記筒状容器に設けた多数の孔と、筒状容器内を前記開閉蓋に向けて摺動する摺動部材と該摺動部材に固着されて筒状容器の長手方向に押圧する押圧軸と押圧軸に押圧力を付与する駆動源とを持つ押圧手段とで構成され、
前記摺動部材が、前記開閉蓋に対峙する前面に、ボルト頭部から伸び、ボルト頭部に比べて小径の円柱部と該円柱部の先端部に鋭い角度の尖端とを持つ突起部を有したピンを多数羅列配置して備え、多数羅列配置したピンの間に分別された生ごみを流動させて前記多数の孔に導く導流路が形成され、往復工程長さを漸次増大する往復動可能で、往復動して、前記包装食品投入口の投入手前側から前記包装食品投入口の領域を越えて前記開閉蓋に向けて前記筒状容器内を摺動し、押圧動作を繰り返して投入された包装食品を前記開閉蓋に向けて押圧し、前記尖端が包装食品を刺し通して刺し孔を開け、生ごみが押圧に起因して形成された拡大から流出て包装材から分別され分別された包装材が集合して集合包装体が形成され
当該生ごみを筒状容器外に排出する最終往復工程を経ると、当該ピンが当該最終往復工程の前進位置よりもわずかに前進し前記開閉蓋の内部まで侵入して、当該集合包装体を前記開閉蓋に備えた窪み内に位置付け、前記開閉蓋が開放されると前記窪み内に位置付けされた集合包装体が自重により排出可能とされる、前記開閉蓋から形成された集合包装体を排出する集合包装体の排出手段を備えること
を特徴とする包装食品分別装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された包装食品分別装置において、
前記ピンは、前記円筒容器の中心を中心として描かれる複数の円状に所定の間隔をおいて配置されること
を特徴とする包装食品分別装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された包装食品分別装置において、
前記集合されて集合包装体は、前記ピンに引っ掛けられ状態、前記開閉蓋が開放されたときに、前記窪み内に位置付けされた集合包装体が直ちに自重でもって排出可能な状態であること
を特徴とする包装食品分別装置。
【請求項5】
請求項1に記載された包装食品分別装置において、
多数羅列配置したピンの間に分別された生ごみを流動させて前記多数の孔に導く導流路が形成されること
を特徴とする包装食品分別装置。
【請求項6】
筒状容器に開閉蓋及び包装食品が投入される包装食品投入口が設けられ、筒状容器内の包装食品を生ごみと包装材に分離する分離手段が設けられ、
前記開閉蓋に、窪みが備えられ、
前記分離手段は、前記筒状容器に設けた多数の孔と、筒状容器内を前記開閉蓋に向けて摺動する摺動部材と該摺動部材に固着されて筒状容器の長手方向に押圧する押圧軸と押圧軸に押圧力を付与する駆動源とを持つ押圧手段とで構成され、
前記摺動部材が、前記開閉蓋に対峙する前面に、尖った先端を持つ突起部を有したピンを多数羅列配置して備え、多数羅列配置したピンの間に分別された生ごみを流動させて前記多数の孔に導く導流路が形成され、
分別された生ごみ及び包装材を筒状容器外に排出される包装食品分別装置による包装食品分別方法において、
前記摺動部材が、前記開閉蓋に対峙する前面に、ボルト頭部から伸びた円柱部と該円柱部の先端部に鋭い角度の尖端とを持つ突起部を有したピンを多数羅列配置して備え、前記押圧手段が、往復工程長さを漸次増大する往復動可能で、当該往復動して、繰り返して包装食品の投入を可能とし、前記包装食品投入口の投入手前側から前記包装食品投入口の領域を越えて前記開閉蓋に向けて前記筒状容器内を摺動し、押圧動作を繰り返して投入された包装食品を前記開閉蓋に向けて押圧し、前記尖端が包装食品を刺し通して刺し孔を開け、生ごみが押圧に起因して形成された拡大から流出て包装材から分別され分別された包装材を集合して集合包装体に形成し、
当該生ごみを筒状容器外に排出する最終往復工程を経ると、当該ピンが当該最終往復工程の前進位置よりもわずかに前進し前記開閉蓋の内部まで侵入して、当該集合包装体を前記開閉蓋に備えた窪み内に位置付け、前記開閉蓋が開放されると前記窪み内に位置付けされた集合包装体が自重により排出可能とされ、前記開閉蓋から形成された集合包装体を排出する集合包装体の排出手段を備えること
を特徴とする包装食品分別装置による包装食品分別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装食品分別装置及び包装食品分別装置による包装食品分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装材によって包装された食品等(以下、包装食品という。)を包装材と食品等(以下、生ごみという。)に分離し、別個に排出することがなされてきた。
【0003】
特許文献1には、処理槽内に回転羽根を備え、回転羽根の傾斜板側端部に包装材を引き裂く鋸歯状の引裂材が固定された包装食品の分離装置が記載される。
【0004】
特許文献2には、ケーシング内に回転自在にロータを設け、このロータの先端部にアングル状の金属部材を設けた包装食品の破砕分別装置が記載される。
【0005】
特許文献3には、分離室の内部に駆動モータにより回転して廃棄食品を包装材と食品に分離する分離翼を設けることが記載される。
【0006】
特許文献4には、包装食品を、回転する破砕ロータの破砕刃で破砕して、生ごみを自重と破砕刃による押圧力によって分離版の通孔から生ごみ収納箱へ落とし、包装材を風力によって包装材排出部へ排出するようにした包装食品分別装置が記載される。
【0007】
特許文献5には、生ごみを筒状容器の周壁の孔から押出し、異物を蓋体とプランジャーとの間で圧縮し、次いで蓋体を開放すると共にプランジャーを更に前進させて異物の圧縮物を筒状体の一方の端面から押出すようにした生ごみ分別装置が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−159083号公報
【特許文献2】特開2003−80097号公報
【特許文献3】特開2001−62319号公報
【特許文献4】特開2002−126555号公報
【特許文献5】特開平11−114539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、包装食品を包装材と生ごみに分別する場合、上述した特許文献1〜4に示されるように処理函体の内部に駆動源により回転するロータを設け、このロータに包装食品を包装材と生ごみに分別する引裂材が固定され、包装材を含めて包装食品を粉々に粉砕するものであった。包装材は、包装材と食品に分離されると直ちに包装材排出部へ排出された。
【0010】
この構造であると、包装食品を包装材と生ごみに分別するために必要以上に包装材を引き裂くことがなされ、引き裂きのために回転体を包装食品中で回転させるために相当な動力を要してコストが嵩んでいた。
【0011】
また、包装材は、包装材と食品に分離されると直ちに包装材排出部へ排出されるため、収集するための作業が必要とされた。
【0012】
特許文献5に記載される生ごみ分別装置によれば、引き裂きのために回転体を包装食品中で高速回転させることなく、包装食品を包装材と生ごみに分別し、異物を圧縮物となし、蓋体を開放するとともにプランジャーを更に前進させることで排出することができる。
【0013】
しかしながら、この装置であるとプランジャーを推し進めることで包装材を破断又は粉砕し、筒状容器の周壁に設けた孔から流出するようにしている。押圧力を加えても一部の包装食品が変形することがあっても包装材が破断又は粉砕せず、一部の包装食品は生ごみが取出されることなく未処理の状態で排出される恐れがある。包装食品を投入の際にスクリューフイダーである程度破断又は粉砕させる前処理を行なったとしてもこの未処理の状態で排出されるという問題が解決されない。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑み引き裂きのために回転体を包装食品中で高速回転させることなく、包装食品を包装材と生ごみに分別することができ、包装食品を圧縮したときに包装材の破断又は粉砕を確実に遂行し、生ごみと包装材の分別が未処理の状態で排出される恐れのない包装食品分別装置を提供することを課題とする。
【0015】
本発明は、加えて分別された包装材の収集に当たってそのための作業を必要とせず、簡便に廃棄することができる包装食品分別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、一端に開閉蓋を有する筐体に包装食品が投入される包装食品投入口が設けられ、筐体内の包装食品を生ごみと包装材に分離する分離手段が設けられ、分離手段によって分別された生ごみ及び包装材を筐体外に排出される包装食品分別装置に関する。
【0017】
本発明による対象処理物としての包装食品としては、
・野菜類・穀類・肉類・麺類・その他の有機物
・缶詰やマヨネーズ等の容器に入っているもの
がある。
【0018】
分離手段は、筐体内を開閉蓋に向けて摺動する摺動部材と該摺動部材に固着されて槽長手方向に押圧する押圧軸と押圧軸に押圧力を付与する駆動源とで構成される。
【0019】
摺動部材は、開閉蓋に対峙する前面に、尖った先端を持つピンが多数羅列して配置される。
【0020】
摺動材が前記包装食品投入口の投入手前側から包装食品投入口の領域を越えて開閉蓋に向けて摺動して、投入された包装食品を開閉蓋に向けて押圧し、ピンが包装食品を刺し通して刺し孔を開け、押圧に起因した拡大穴を形成して包装材を生ごみから分別し、当該生ごみを筒状容器外に排出する。当該包装材を筒状容器内に残留する。
【0021】
分別された包装材は、開閉蓋の手前で押圧集合されて集合包装体とされる。
【0022】
当該集合包装体は、開閉蓋が開放されると開閉口から筐体外に排出可能とされる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上述した構成であるので、ピンが包装食品を刺し通して孔を開けて包装材を生ごみから分別し、筐体外に排出することができる。
【0024】
また、本発明によれば、分別された包装材を、開閉蓋の手前で押圧集合して集合包装体とし、集合包装体を、開閉蓋が開放されると開閉口から筐体外に排出可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例の包装食品分別装置の一部断面を含む正面図。
図2】本発明の実施例の包装食品分別装置の一部断面を含む平面図。
図3】本発明の実施例の包装食品分別装置の開閉蓋側からの側面図。
図4】投入された包装食品を開閉蓋に向けて押圧する動作を繰り返して投入された包装食品を前記筒状容器内で圧縮する状態を示す図。
図5】摺動部材の前面の状態を示す図。
図6】摺動部材の中央上半分断面を含む側面図。
図7】尖った先端を持つピンの構造を示す図。
図8】ピンの固着状態を示す図。
図9】ピンの間に分別された生ごみを流動させる導流路を示す図。
図10】包装材を生ごみから分別する状態を説明する図。
図11】集合包装体が形成された状態を示す図。
図12】本発明の実施例のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施例の包装食品分別装置の一部断面を含む正面図である。
【0028】
図2は、本発明の実施例の包装食品分別装置の一部断面を含む平面図である。
【0029】
図3は、本発明の実施例の包装食品分別装置の開閉蓋側からの側面図である。
【0030】
図4は、投入された包装食品を開閉蓋に向けて押圧する動作を繰り返して投入された包装食品を前記筒状容器内で圧縮する状態を示す図である。
【0031】
これらの図において、本発明の実施例の包装食品分別装置100は、枠体1に、筒状容器2、筒状容器2の左方端部に設けた開閉蓋3及び筒状容器2に設けた包装食品が投入される包装食品投入口4を備え、筒状容器内の包装食品を生ごみと包装材に分離する分離手段5が設けられ、分離手段5によって分別された生ごみ及び包装材を筒状容器外に排出する構成を持つ。枠体1は、下方に延在する下枠体部1A及び架台1Bを持つ。課題Bは、建物の床に固定されてもよいし、移動車の荷台に固定されてもよい。
【0032】
筒状容器2は、周壁に内外を連通する多数の孔6を備えており、多孔面を備えた多孔円
筒部、すなわち多孔シリンダーを構成する。孔6の径は任意に設定でき、孔6は、分別された生ごみに異物、例えば金属片が混入するリスクを少なくする。
【0033】
包装食品分別装置100は、筒状容器内を開閉蓋3に向けて摺動する摺動部材(押し板ともいう。)7と摺動部材7に固着されて筒状容器の長手方向に押圧する押圧軸8と押圧軸8に押圧力を付与する駆動源9とを備える押圧手段10を持つ。駆動源9は、本例の場合、押圧シリンダーとピストンとからなる油圧装置からなり、押圧手段10は、この駆動源9を有して構成される。本例では、押圧手段10は、摺動部材7を回転動作させずに、水平方向に直動させるが、摺動部材7を回転動作させながら水平方向に直動させることができる。
【0034】
摺動部材7が水平方向に直動するように案内する案内機構(図示せず。)が押圧軸8に設けられる。
【0035】
分離手段5は、筒状容器に設けた多数の孔と、筒状容器内を開閉蓋3に向けて摺動する摺動部材7と摺動部材7に固着されて筒状容器2の長手方向に押圧する押圧軸8と押圧軸8に押圧力を付与する駆動源9とを持つ押圧手段10とで構成される。
【0036】
開閉蓋3は、開閉蓋開閉油圧装置11を備える。開閉蓋開閉油圧装置11は、一端を枠体1に固着され、他端を開閉蓋上に形成された取り付け部12に固着される。開閉蓋開閉油圧装置11は、枠体上に設定された支点13を回動点として回動し、回動に伴って開閉蓋3を開閉する。筒状容器2は左端部にフランジ部15を有する。開閉蓋3は、X状に配置された4つの油圧装置14を持つ。油圧装置14は、シリンダーピストンからなる。
【0037】
油圧装置14は、筒状容器2のフランジ部15に係合する係合片16を持ち、係合片16を操作することができる。
【0038】
油圧装置14に操作油を投入することで、係合片16をフランジ部15に締結し、開閉蓋3を筒状容器2に強固に固着することができる。4つの油圧装置14に連携して、これらの中央に位置して開閉蓋ロック解除ハンドル17が設けられる。開閉蓋ロック解除ハンドル17を開閉蓋3に対して遠近操作することで、開閉蓋のロック及びロック解除する。開閉蓋ロック解除ハンドル17で開閉蓋3を操作員が手で操作して係合片16を解除し、開閉蓋開閉油圧装置11を操作して、開閉蓋3を開放状態とすることができる。
【0039】
生ごみ回収手段21が設けられる。生ごみ回収手段21は、多孔面を備えた多孔円筒部に面して周囲に設けられた生ごみ回収部22、収集部23、排出ブレード(図示せず)を備えた配管24及び排出ブレードを駆動するモータ25からなる。
【0040】
枠体内に操作盤31が配置される。
【0041】
操作盤31は、押圧手段10及び開閉蓋開閉油圧装置11を予め定められた運転プログラムによってコンピュータ制御して操作する。包装食品投入口4に包装食品が投入されると、操作盤31は、包装食品分別装置100を自動スタートさせ、摺動部材7の往復動、開閉蓋開閉油圧装置11の動作を含めて自動制御する。
【0042】
図4(1)に示さるように、摺動部材7の前面には、ピン43が固着され、開閉蓋3の内面に対峙する。
【0043】
開閉蓋3の内面部は、窪み33が形成され、ピン43は、この窪み33の内部まで侵入可能とされる。
【0044】
図5は、摺動部材の前面の状態を示す図である。
【0045】
図6は、摺動部材の中央上半分断面を含む側面図である。
【0046】
図5図6に示すように、摺動部材7には、多数のピン挿入孔42及び摺動部材7を、筒状容器2に固定したフランジを介して筒状容器2にネジ止めで固着するための連結孔44が設けられる。
【0047】
摺動部材7に設けた多数のピン挿入孔42には、図7に示されるピン43が挿入され、固定される。
【0048】
ピン43は、円筒容器の中心を中心として描かれる複数の円状に所定の間隔をおいて配置されたピン挿入孔42に固着される。
【0049】
図5に示されているように、隣接するピン挿入孔の間には間隔が設けられており、ピン挿入孔に固着されるピン43の間には間隔が設けられ、後述するように生ごみの流出路49の形成が容易になされ得る。
【0050】
図7は、尖った先端を持つピンの構造を示す図である。
【0051】
図7において、ピン43は、突起部45とボルト頭部46と固着部47とからなる。
【0052】
図7(1)において、突起部45は、ボルト頭部46から伸びた円錐状で先端部に鋭い角度の尖端48を備える。突起部45は、開閉蓋4に向けて直線状に突起する。尖端48は、突起部45が直進すると、包装材を容易に刺し通すことができる。
【0053】
図7(2)において、突起部45は、ボルト頭部46から伸びた円柱状で先端が丸みに形成され、この丸み部の先端部に鋭い角度の尖端48を備える。
【0054】
図7(3)において、突起部45は、ボルト頭部46に比べて小径の円柱状で先端部に鋭い角度の尖端48を備える。
【0055】
図7(1)〜図7(3)において、ピンが尖端48を備えれば、これ以外の形状になるピンが採用されてもよい。
【0056】
いずれの形状にあっても、摺動部材7の摺動に伴って、この尖端48が包装食品の包装材に刺し孔を開け、突起部45の作用によって、刺し孔が開けられた包装食品を尖端から外し、当該包装食品の尖端47との刺し込み関係が外され、尖端48が次々に新たな包装食品に対峙、接触し、包装食品の包装材に刺し孔を開ける。
【0057】
図7(4)において、突起部45は、先端が円滑状であり、図7(1)〜図7(3)に示される尖端8が形成されない。
【0058】
図5図7に示されるように、ピン挿入孔42は、円筒容器2の中心を中心にして描かれる複数の円上に所定の間隔をおいて配置される。本例では、6つの円が形成され、最外側の円上に24個、2番目に円上に24個、4番目の円上に12個及び最内側の円上に8個のピン挿入孔42が形成され、各ピン挿入孔に同一形状のピンが摺動部材7を貫通して配置され、第3番目の円上に12個及び第5番目の円上に12個の前者とは異なった形状のピンが配置された。このようにしてピン43を密に設けることで、筒状容器内の全ての包装食品をピン43の先端に対抗した配置とすることができる。最外側の円上に、等間隔に12個の連結孔44が設けられ、摺動部材7が筒状容器2に着脱自在に固着される。
【0059】
図7(1)に示すピン43は、野菜類・穀類・肉類・麺類の処理に適する。
【0060】
図7(2)に示すピン43は、缶詰やマヨネーズ等の容器に入っているものの処理に適する。
【0061】
図7(3)に示すピン43は、より一層柔らか物の処理に用いるに適する。
【0062】
図7(4)に示すピン43は、既に包装材と生ごみに分離され混合した状態にある包装食品の処理に用いるに適する。
【0063】
処理する包装食品に対応して形状の異なるピンを採用することができる。
【0064】
図8は、ピンをピン挿入孔に固定する固着形状を示す図である。
【0065】
摺動部材7のピン挿入孔42の内面には螺旋ねじ溝が設けられ、螺旋ねじ溝が固着部47に設けた螺旋ねじに係合してピンは摺動部材7に固着される。
【0066】
図8(1)は、図7(1)に示すピン43をピン挿入孔42にボルト・ナット形態で固着した例、図8(2)は、図7(2)に示すピン43をピン挿入孔42にボルト・ナット形態で固着した例、図8(3)は、図7(3)に示すピン43をピン挿入孔42にボルト・ナット形態で固着した例を示す。図8(4)は、図7(4)に示すピン43をピン挿入孔42にボルト・ナット形態で固着した例を示す。
【0067】
図7に示されるように、ピン43には螺旋ねじが設けられており、ナットによるナット締めによってピン43は、摺動部材7に固着される。
【0068】
異なった形状のピン43を固着することで、形態の異なる摺動部材7を複数個準備することが可能になる。
【0069】
図9は、ピンの間に分別された生ごみを流動させる導流路を示す図である。
【0070】
図7図8において、摺動部材が、開閉蓋に対峙する前面に、突起部を有したピンを多数羅列配置して備えることを示した。
【0071】
図9において、多数羅列配置したピンの間に分別された生ごみを流動させて多数の孔に導く導流路49が形成される。
【0072】
摺動材が包装食品投入口の投入手前側から前記包装食品投入口の領域を越えて開閉蓋に向けて摺動して、投入された包装食品を前記開閉蓋に向けて押圧し、包装材を破断あるいは破裂させて孔を開け、生ごみを当該孔から流出して包装材から生ごみを分別し、当該生ごみを筒状容器外に排出する。
【0073】
尖った先端を持つ突起部を有したピンを多数羅列配置することに、多数羅列配置したピンの間に分別された生ごみを流動させて多数の孔に導く導流路49を組み合わせることができる。
【0074】
このように、本実施例は、
・摺動部材が、開閉蓋に対峙する前面に、尖った先端を持つ突起部を有したピンを多数羅列配置して備えること
・摺動部材が、開閉蓋に対峙する前面に、突起部を有したピンを多数羅列配置して備え、多数羅列配置したピンの間に分別された生ごみを流動させて多数の孔に導く導流路が形成されること、
・両者を組み合わせてた、摺動部材が、開閉蓋に対峙する前面に、尖った先端を持つ突起部を有したピンを多数羅列配置して備え、多数羅列配置したピンの間に分別された生ごみを流動させて前記多数の孔に導く導流路が形成されること
を特徴とする。
【0075】
処理する包装食品の大きさと形状及び包装材の材質に対応して選定されたピン43を持つ摺動部材7が筒状容器2に装着される。処理方法によっては、処理する包装食品の大きさと形状及び包装材の材質に対応して予め定められたピンを持つ摺動部材7が筒状容器2に装着された包装食品分別装置100が用いられる。処理方法によっては、処理する包装食品の大きさと形状及び包装材の材質に対応して予め定められたピンを持つ摺動部材7が筒状容器2に装着された包装食品分別装置100を複数台並置し、適宜包装食品分別装置100を選択して使用する方法が採用される。
【0076】
図10は、包装材を生ごみから分別する状態を説明する図である。
【0077】
図7(1)〜図7(3)に示されるピン53が用いられる。
【0078】
図10において、今、筒状容器内の包装食品51にピン43の尖端48が対峙する位置にある。(イ)
摺動部材7が摺動して移動することで、尖端4が対峙する包装食品51に刺し込まれる。(ロ)
包装材53には、刺し孔54が形成される。(ハ)刺し孔54は、尖端48の形状に対応して小さな口径である。(ハ)〜(へ)にピン43が図示されない。
【0079】
摺動部材7が摺動して移動することで、押圧力が包装食品51に働き、刺し孔54は内圧に起因して当該刺し孔54を中心として切れ目55が生じる。(ニ)
切れ目55は、拡大孔56となる。(ホ)
拡大孔56から生ごみ56が流出して流出生ごみ57となる。(へ)
このように、ピン43が包装食品51を刺し通して刺し孔54を開け、押圧力に起因した拡大孔56を形成して包装材53を生ごみ52から分別し、包装材53を筒状容器内に残留させ、生ごみ52を筒状容器外に排出する。図7(1)、図7(2)及び図7(4)に示されるピン形状は、包装材が集合された集合包装体を、開閉蓋が開放されたときに落下させて排出するに好ましい。
【0080】
上述したように、摺動部材7は回転動作せずに直動するが、従来例とは違ってゆっくりと回転動作させて直動させることもできる。このようにすることで、包装食品は押圧力に加えて絞り作用が加えられて上述した(イ)〜(ヘ)の作用が効果的になされる。また、集合包装体を好ましく形成することができる。
【0081】
図4に戻って、押圧手段10は、摺動部材7を往復動させる。
【0082】
図4(2)は、摺動部材7の往復動を示す。
今、700リットルの包装食品51が処理される場合、70リットルごとに10分間隔で、押圧手段10は、摺動部材7を10回往復動させ、投入された包装食品51を次第に圧縮する。図4は、摺動部材7が後退して包装食品投入口4の手前側に位置した場合と前進して、ピン43が窪み33の内部まで侵入した場合を示す。摺動部材7は、1〜10の回数ごとにa〜jのように往復動をして包装食品51の漸次圧縮下処理をおこなう。
【0083】
押圧手段10が摺動材7を包装食品投入口4の投入手前側から包装食品投入口4の領域を越えて開閉蓋3に向けて摺動して、投入された包装食品51を開閉蓋3に向けて押圧する動作を繰り返して投入された包装食品51を筒状容器内で圧縮する。
【0084】
ピンが圧縮された包装食品を刺し通して孔を開けると共に引っ掛けて包装材を生ごみから分別し、分別された生ごみを多数の孔から筒状容器外に排出し、分別された包装材を、前記ピンに引っ掛けられた集合包装体を形成する。形成された集合包装体が矢印で示される方向に取出され、落下する。
【0085】
摺動材7が包装食品投入口4の投入手前側から包装食品投入口4の領域を越えて開閉蓋3に向けて摺動して、投入された包装食品を開閉蓋3に向けて押圧し、ピン43が包装食品を刺し通して刺し孔を開け、押圧に起因した拡大孔を形成して包装材を生ごみから分別し、包装材を筒状容器内に残留させ、生ごみを筒状容器外に排出する。
【0086】
図11は、集合包装体が形成された状態を示す図である。
【0087】
分別された包装材が、生ごみを袋内から排出した状態下、押圧力で集合して集合包装体を形成した状態となる。
【0088】
摺動部材7を往復動させて生ごみ52を包装材53から分別する最終工程を経ると、摺動部材7は、セットバックのため短距離後退する。ついで、圧縮のための最終工程よりもわずかに前進させる。この状態では、図10に示されるように、形成された集合包装体60は、ピン43に引っ掛けられた状態にある。この状態では、自重でもって集合包装体60はピン43から外れて落下する。落下しないような場合、操作棒で前に引くと集合包装体60はピン43から外れて落下する。落下した集合包装体60は、回収される。
【0089】
図12は、本発明の実施例のフローチャートを示す図である。
【0090】
尖った先端を持つ突起部有したピンを多数羅列配置し、ピン間に導出路が形成された包装食品分別装置100を準備する。(S1)
押圧手段で摺動材を開閉蓋に向けて摺動させる。(S2)
押圧動作を反復して包装食品を圧縮する。(S3)
ピンで包装材を刺し通して刺し孔を開ける。(S4)
刺し孔を拡大した拡大孔を形成する。(S5)
この拡大孔から生ごみを流出させて、生ごみを包装材から分別する。(S6)
分別された生ごみを導出路から筒状容器に設けた多数の孔に導く。(S7)
分別された包装材を集合して集合包装体を形成する。この集合包装体内には生ごみはほとんど包含されない。(S8)
集合包装体を開閉蓋の直前、すなわち開閉蓋に窪みとして形成した窪み33内に位置付ける。(S9)この位置付けで、集合包装体は、開閉蓋が開放されたときに、開閉口から筐体外に直ちに排出可能とされる。
【0091】
開閉蓋を開放し、集合包装体を排出する。(S10)
押圧手段が摺動材を包装食品投入口の投入手前側から包装食品投入口の領域を越えて開閉蓋に向けて摺動して、投入された包装食品を開閉蓋に向けて押圧する動作を反復して投入された包装食品を筒状容器内で圧縮し、ピンが圧縮された包装食品を刺し通して孔を開けて拡大孔を形成し生ごみを包装材から分別し、導流路から多数の孔に導き、分別された包装材を、集合して集合包装体をする包装食品分別装置による包装食品分別方法が構成される。
【符号の説明】
【0092】
100…包装食品分別装置、1…枠体、2…筒状容器、3…開閉蓋、4…包装食品投入口、5…分離手段、6…孔、7…摺動部材、8…押圧軸、9…駆動源、10…押圧手段、11…開閉蓋開閉油圧装置、12…取り付け部、13…支点、14…油圧装置、15…フランジ部、16…係合片、21…生ごみ回収手段、22…生ごみ回収部、31…操作盤、41…摺動部材7の前面部、42…ピン挿入孔、43…ピン、45…突起部、46…ボルト頭部、47…固着部、48…尖端、49…導流路、51…包装食品、52…生ごみ、53…包装材、54…刺し孔、55…切れ目、56…拡大孔、57…流出生ごみ、60…集合包装体。
【要約】
【課題】引き裂きのために回転体を包装食品中で回転させることなく、包装食品を包装材と生ごみに分別することができ、包装食品を圧縮したときに包装材の破断又は粉砕を確実に遂行し、一部の包装食品は生ごみが取出されることなく未処理の状態で排出される恐れのない包装食品分別装置を提供する。
【解決手段】摺動部材は、開閉蓋に対峙する前面に、尖った先端を持ち、多数羅列して配置されたピンを備え、摺動材が包装食品投入口の投入手前側から包装食品投入口の領域を越えて開閉蓋に向けて摺動して、投入された包装食品を開閉蓋に向けて押圧し、ピンが包装食品を刺し通して刺し孔を開け、包装材を生ごみから分別し、ピン間に形成された導流路から孔に導き、分別された包装材を、集合して集合包装体をする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12