(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示された装置の環境および装置の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面において、同一の参照番号は同一の要素を示す。
【0011】
本明細書で使用される「ハーフトーンスクリーン」という用語は、化学送達装置などの3次元印刷物を形成するために材料の分布を制御するのに使用する数値閾値の2次元または3次元配置を指す。本明細書では、ハーフトーンスクリーンにおける各エントリを「ドット」と呼ぶ。ドットは、2次元ハーフトーンスクリーン用の2次元空間または3次元ハーフトーンスクリーン用の3次元空間のいずれかに配置される。「ドット中心」という用語は、ドット中心の値に基づいてそれぞれ閾値が割り当てられた複数のドットの群の中心位置としての役割を果たす単一のドットを指す。例えば、いくつかの実施形態では、制御装置は、ドット中心で特定の閾値を生成し、ドット中心の周りの同じ閾値を有するドットの集合を「成長」させる。他の構成では、活性化学材料を受ける候補であるキャビティに対応するドット中心は、キャビティをカプセル化する賦形剤に対応する固定値を有する「ガード」ドットによって囲まれている。ドット中心は、活性化学材料の濃度パラメータとドット中心における閾値の値とに基づいて、ハーフトーンスクリーン内の位置と、任意に活性化学材料を受ける最終画像データとに対応する。周囲のドットはそれぞれ、賦形剤を受け取り、かつ活性材料を受け取らない位置に対応し、活性材料が化学送達装置内にカプセル化されることを確実にする。
【0012】
以下でより詳細に説明するように、プリンタは、「ハーフトーン画像データ」またはより単純に「画像データ」を生成するために、1つまたは複数の活性化学材料に対する濃度パラメータデータと共にハーフトーンスクリーンを使用する。画像データは、化学送達装置内の材料の種類を特定する位置の2次元又は3次元配置を含み、画像データの各位置は、本明細書では「画素」と呼ばれる。画像データの各画素は、ハーフトーンスクリーン内の1つのドットの位置に対応する。しかしながら、ハーフトーンスクリーンのドットにおける閾値の代わりに、画像データの各画素は、プリンタが放出する1種類の賦形剤または活性材料を特定する値を含み、濃度パラメータに対応する活性化学材料の濃度レベルを有する化学送達装置を形成する。本明細書で使用される画素という用語はまた、3次元印刷物のモデルの形状および構造を形成する3次元容積単位を指す用語「ボクセル」(容積画素)の通常の意味を含む。3次元オブジェクトプリンタは、画像データを使用して、構造を形成するためにエゼクタまたは他の材料ディスペンサの動作を制御し、化学送達装置に活性化学材料を分配する。
【0013】
本明細書で使用される「確率的ハーフトーンスクリーン」という用語は、ドット中心が一様なサイズであり、2次元または3次元空間全体にわたって擬似ランダムに分布するハーフトーンスクリーンを指す。伝統的な固定周波数ハーフトーンスクリーンは、通常、結晶格子に基づいて、固定点でドット中心のセットを確立する。一般的なハーフトーンスクリーンは、2次元の正方形または六角形の格子の頂点(または3次元の立方体の頂点、または最密充填球の中心)にドット中心を配置することができる。固定周波数ハーフトーンスクリーンは、既存のドット中心の隣に追加のドットを追加することによって「オン」であるドットの数を増加させる。確率的スクリーンは、一般に前のドット中心に隣接しない追加のドット中心を追加することによって、特定の閾値または閾値の範囲に対応するドットの数を増加させる。
【0014】
本明細書で使用される「ベクトルハーフトーンスクリーン」という用語は、ハーフトーンスクリーンの一種であって、単一のハーフトーンスクリーンが異なる位置に複数種類の活性化学材料を配置して、化学送達装置の製造プロセス中に異なる活性化学材料の混合を防止するタイプを指す。ベクトルハーフトーンスクリーンは、マルチカラープリンタ(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の各色が別個のハーフトーンスクリーンを有し、プリンタが「色分離」と呼ばれることが多い各色の画像データの別個のセットを生成する印刷画像に関連する多くの従来技術のハーフトーンスクリーンと異なる。従来の印刷では、多くの印刷画像は、印刷画像の一部として用紙の同じ物理的位置に2色のインクを印刷する複数の色分離のハーフトーン画像データを含み、これはカラー画像を印刷するときに望ましい場合もある。しかしながら、多くの化学送達装置の実施形態では、活性化学材料は化学送達装置から放出されるときにのみ混合すべきであるため、異なる色のインクに類似する異なる活性化学材料は、単一の物理的位置に印刷されるべきではない。対照的に、ベクトルハーフトーンスクリーンは、複数の活性化学材料が単一の位置に印刷されることを防止する単一のハーフトーンスクリーンを使用して、複数の活性化学材料を使用する化学送達装置を形成することを可能にする。
【0015】
ベクトルハーフトーンスクリーンを使用して、制御装置は、各活性化学材料の濃度パラメータ値に基づいて、異なる閾値範囲を異なる活性化学材料に割り当てる。閾値範囲は重複しないため、ベクトルハーフトーン内の各ドット中心は、最大で1種類の活性化学材料またはいずれの活性化学材料にも対応しないドット用の賦形剤に割り当てることができる。ハーフトーンスクリーン内の各ドット位置で、制御装置は、ハーフトーンスクリーン内の閾値を識別し、1つまたは複数の活性化学材料に対する「積み重ねられた」閾値に基づいて、最大で1つの活性化学材料に対応する画像データの画素を生成する。いずれの活性化学材料の範囲にも対応しない閾値を有するハーフトーンドットについては、制御装置は、画素を満たす賦形剤に対応する画像データ画素を生成する。
【0016】
図5に関連して以下でより詳細に説明されるように、ハーフトーンスクリーンの1つの実際的な実施形態は、閾値の8ビット数値範囲(0〜255)を有するドットを含む。制御装置は濃度パラメータを任意にパーセンテージ値として受け取り、濃度パラメータのサイズに基づいて、8ビット数値範囲の重複しない、すなわち「積み重ねられた」部分を各濃度パラメータに割り当てる(例えば、化学材料Aに対する25%→0〜63、化学材料Bに対する16%→64〜104、残りの値に対する賦形剤105→255)。制御装置は、異なる位置のベクトルハーフトーンスクリーンのドット値を使用して、ドットの値および各化学材料の数値範囲に基づいて各ドットを1つの化学材料に割り当てることによって、画像データの各対応する画素に対して印刷される化合物を決定する(例えば、ドット値24→化学材料Aに対する画像データ画素、ドット値134→賦形剤の画像データ画素)。ベクトルハーフトーンスクリーン内の閾値の統計的分布は、複数の化学材料が化学送達装置の各領域内に均等に分配されることを確実にする。したがって、ベクトルハーフトーンスクリーンおよび対応するハーフトーンプロセスは、化学送達装置の製造プロセス中の活性化学材料の混合を防止する1つまたは複数の活性化学材料の分布に対応する画像データの生成を可能にする。
【0017】
本明細書で使用する用語「確率的ハーフトーンスクリーン」および「ベクトルハーフトーンスクリーン」は、ハーフトーンスクリーンの相互に排他的な特性を意味しない。代わりに、単一のハーフトーンスクリーンは、確率的なベクトルハーフトーンスクリーンを形成する上述の確率的特性およびベクトル特性の両方を有することができる。例えば、単一の活性化学材料のみを使用する化学送達装置では、確率的ハーフトーンスクリーンは、各領域における単一の活性化学材料に対する濃度パラメータに基づいて、化学送達装置の異なる領域において単一の活性化学材料が分布する化学送達装置の製造を可能にする。単一の化学構造のハーフトーンスクリーンは、任意にベクトルハーフトーンスクリーンであるが、単一の活性化学材料しかないため、ベクトル特性は要求されない。2つ以上の活性化学材料を含む化学送達装置の製造において、プリンタは、確率的ベクトルハーフトーンスクリーンを用いたハーフトーンプロセスを利用し、化学送達装置内の2つ以上の活性化学材料の分布を制御する。
【0018】
本明細書で使用する「プロセス方向」という用語は、3次元オブジェクト形成プロセスの間に、1つまたは複数のプリントヘッドを通過する支持部材の移動方向を指す。支持部材は、印刷プロセス中に3次元オブジェクトを保持する。いくつかの実施形態では、支持部材は、金属板などの平面部材であり、一方他の実施形態では、支持部材は、回転円筒部材または3次元オブジェクト印刷プロセス中にオブジェクトの形成を支持する別の形状の部材である。いくつかの実施形態では、支持部材およびオブジェクトがプリントヘッドを通過する間プリントヘッドは静止したままである。他の実施形態では、プリントヘッドは、支持部材が静止している間、移動する。さらに他の実施形態では、プリントヘッドおよび支持部材の両方が移動する。
【0019】
本明細書で使用される「クロスプロセス方向」という用語は、プロセス方向に垂直であり、支持部材の平面にある方向を指す。2つ以上のプリントヘッド内のエゼクタは、クロスプロセス方向に位置合わせされて、プリントヘッドのアレイが、2次元平面領域上に賦形剤または活性化学材料の印刷パターンを形成することを可能にする。3次元オブジェクト印刷プロセスの間、プリントヘッドは、賦形剤の液滴を噴射して、化学送達装置内に構造およびキャビティの連続層を形成する。
【0020】
本明細書で使用される「z軸」という用語は、3次元オブジェクトプリンタにおいて、プロセス方向、クロスプロセス方向、および支持部材の平面に垂直な軸を指す。3次元オブジェクト印刷プロセスの開始時で、z軸に沿った分離は、支持部材と、3次元印刷化学送達装置における賦形剤の層を形成するプリントヘッドとの間の分離距離を指す。プリントヘッド内のエゼクタが賦形剤の各層を形成すると、プリンタは、プリントヘッドと最上層との間のz軸方向の間隔を調整して、印刷動作中にプリントヘッドとオブジェクトの最上層との間の実質的に一定の距離を維持する。いくつかの実施形態では、支持部材は、印刷動作中にプリントヘッドから離れて移動してz軸の分離を維持するが、他の実施形態では、プリントヘッドが、部分的に印刷されたオブジェクトおよび支持部材から離れて移動してz軸の分離を維持する。
【0021】
図1は、3次元オブジェクトプリンタ100、または単純にプリンタ100として具体化される積層造形装置を示す。プリンタ100は、プリントヘッドを操作して、少なくとも1種類の賦形剤から形成された構造内にカプセル化された1つまたは複数の活性化学材料を含む3次元印刷化学送達装置300を形成するように構成される。プリンタ100は、支持部材102、プリントヘッドアレイ104A〜104C、108A〜108Cおよび112A〜112Cと、紫外線(UV)硬化装置116と、制御装置128と、メモリ132と、レベラー118とを含む。
図1の例示的な実施形態では、3次元オブジェクトプリンタ100は、複数の賦形剤の層から形成される3次元化学送達装置300の形成中で描かれている。化学送達装置300は、プリントヘッドアレイ104A〜104Cおよび108A〜108C内の1つまたは複数のエゼクタが、化学送達装置300の異なる領域中の濃度パラメータを参照してキャビティの一部に噴射する化学物質担体の液滴の形態の活性化学材料を受ける複数の層のキャビティを含む。
【0022】
図1の実施形態では、支持部材102は、プロセス方向Pに移動する金属板のような平面部材である。プリントヘッドアレイ104A〜104C、108A〜108Cおよび112A〜112Cと、UV硬化装置116と、レベラー118とは、印刷ゾーン110を形成する。部材102は、印刷ゾーン110を通ってプロセス方向Pに活性化学材料で満たされたキャビティと共に賦形剤の以前に形成された層を担持する。印刷動作中、支持部材102は所定のプロセス方向経路にプリントヘッドを複数回通過させて、賦形剤および活性化学材料の連続層を化学送達装置300内に形成する。いくつかの実施形態では、部材102と同様の複数の部材がカルーセルまたは同様の構成で印刷ゾーン110を通過する。1つまたは複数のアクチュエータは、プロセス方向Pに印刷ゾーン110を通って部材102を移動させる。
図1の実施形態では、アクチュエータはまた、各賦形剤層が支持部材102に加えられた後に、印刷ゾーン110内の部品から離れる方向Zに支持部材102を移動させ、化学送達装置300を形成する。アクチュエータは、支持部材102をZ方向に移動させて、化学送達装置300の最上層と印刷ゾーン110内の部品との間の均一な分離を維持する。
【0023】
プリントヘッドアレイ104A〜104C、108A〜108Cおよび112A〜112C内の各プリントヘッドは、少なくとも1つのエゼクタを含む。
図1の例示的なプリントヘッドの実施形態では、各プリントヘッドは、例えば、圧電又は熱変換器を使用して液体の滴を噴射する2次元アレイのエゼクタを含む。多くの実際的な実施形態では、各プリントヘッドは、リニアインチ(DPI)あたり数百または数千滴の材料の印刷を可能にする密度を有するエゼクタアレイを含む。
図1に示すプリンタ100は、第1の活性化学材料の液滴を噴射するように構成されたプリントヘッドアレイ104A〜104Cと、第2の活性化学材料の液滴を噴射するように構成されたプリントヘッドアレイ108A〜108Cと共に、2つの異なる種類の活性化学材料の液滴を噴射する。プリントヘッドアレイ112A〜112Cは、化学送達装置300の構造を形成するポリマー材などの賦形剤の液滴を噴射し、活性化学材料を受ける化学送達装置300内のキャビティを含む。
【0024】
多くの実施形態では、活性化学材料は、プリントヘッド104A〜104Cおよび108A〜108C内のインクジェットを介して液滴として噴出するために、化学物質担体に溶解または懸濁される。いくつかの構成では、化学物質担体は、各キャビティを密封する前に化学送達装置300のキャビティ内で蒸発して、キャビティ内に活性化学材料を残し、他の実施形態では化学物質担体はキャビティ内に液状態で残る。化学物質担体の正確な配合は、異なる種類の化学送達装置用に変更できるが、化学物質担体は、一般に、液体の賦形剤である。すなわち、化学送達装置が溶解して活性化学材料を放出するため、化学物質担体は、活性化学材料と相互作用しないか、または化学反応の性質を実質的に変化させる。もちろん、プリンタ100内のプリントヘッドおよびエゼクタと互換性のある液体では、いくつかの活性化学材料がすでに利用可能である。これらの構成では、化学物質担体および活性化学材料は同じ材料である。
【0025】
各プリントヘッドアレイ104A〜104C、108A〜108C、および112A〜112Cは、3つのプリントヘッドを含むように示されているが、代替の構成は、クロスプロセス方向に異なるサイズの印刷ゾーンを収容するために、より少ないプリントヘッドまたはより多いプリントヘッドを含むことができる。プリンタ100の代替の実施形態は、異なる組み合わせの活性化学材料を処理するために、より多くのまたはより少ない数のプリントヘッドアレイを含む。プリントヘッドアレイ104A〜104C、108A〜108Cおよび112A〜112Cは、プリンタ100の動作中に静止しているが、代替のプリンタの実施形態は、クロスプロセス方向CP、プロセス方向P、またはクロスプロセスとプロセス方向の両方で移動する1つまたは複数のプリントヘッドを含む。移動するプリントヘッドは、3次元化学送達装置の構造を形成し、活性化学材料を化学送達装置内に堆積させる。さらに、
図1は、例示目的で単一の化学送達装置300を示しているが、多くの実際的な実施形態では、プリンタ100は、例えば、
図1に示すプリントヘッドアレイを使用して、平均的な人間が飲み込める複数の錠剤を含む賦形剤のシートなどの複数の化学送達装置を同時に形成する。次いで、より大きな賦形剤シートは、プリンタ100の動作の完了後、機械的に個々の化学送達装置に分離される。
【0026】
図1に示すプリンタ100の実施形態では、プリントヘッド112A〜112Cは、賦形剤用のディスペンサとして機能する。印刷ゾーン110の別の構成では、賦形剤粉末ディスペンサは、化学送達装置300の上面を覆う薄い粉末層として賦形剤を放出するスプレッダ(図示せず)を含む。粉末ディスペンサは、UV硬化装置116と同様の構成で印刷ゾーン110全体にわたって配置される。プリントヘッド112A〜112C内のエゼクタは、各粉末層の選択された位置に液体バインダ材料の液滴を噴射して、粉末を結合し化学送達装置の耐久部分に硬化させる。UV硬化装置116は、いくつかの実施形態では、バインダを任意に硬化させる。バインダを受けない余分な粉末は、化学送達装置300から除去され、プリントヘッドアレイ104A〜104Cおよび108A〜108Cからの活性化学材料を含む化学物質担体を受けるキャビティを露出させる。
【0027】
プリンタ100において、UV硬化装置116は、印刷ゾーン110を横断するクロスプロセス方向CPにUV光を生成する紫外光源である。UV硬化装置116からのUV光は、化学送達装置300の最上層の賦形剤を硬化させて、化学送達装置300の耐久部分を形成する。UV硬化プロセスは、賦形剤を固化させて賦形剤の追加の層を受け取り、アレイ104A〜104Cおよび108A〜108Cのような1つまたは複数のプリントヘッドアレイのエゼクタから放出される活性化学材料を含む液体化学物質担体を含むことができるキャビティのアレイを形成する。
【0028】
本明細書で使用される「レベラー」という用語は、UV硬化装置116が賦形剤を硬化させる前に、化学送達装置内の賦形剤の各層の最上面に係合するように構成された部材を指す。プリンタ100において、平坦化装置とも呼ばれるレベラー118は、圧力を加えて任意に加熱して、化学送達装置300において賦形剤の最上層を平滑化し、印刷ゾーン110を通る後の通過の間、賦形剤の追加の層を受ける均一な表面を形成する。いくつかの実施形態では、レベラー118は、レベラー118の表面への化学送達装置300内の賦形剤の付着を防止するために、低表面エネルギー材料でコーティングされたローラーである。印刷ゾーン110内の他の部品は、化学送達装置300からZ方向に所定の距離にとどまるが、レベラー118は、印刷ゾーン110を通る少なくともいくつかの通過の間に化学送達装置300と係合して、賦形剤の最上層を平滑化する。
【0029】
制御装置128は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプリンタ100を動作させるように構成された任意の他のデジタルロジックなどのデジタルロジック装置である。プリンタ100において、制御装置128は、支持部材102と、プリントヘッドアレイ104A〜104C、108A〜108Cおよび112A〜112Cを含むプリントヘッドアレイと、UV硬化装置116と、レベラー118の動きを制御する1つまたは複数のアクチュエータに動作可能に接続される。制御装置128はまた、メモリ132に動作可能に接続される。プリンタ100の実施形態では、メモリ132は、ランダムアクセスメモリ(RAM)装置などの揮発性データ記憶装置と、ソリッドステートデータ記憶装置などの不揮発性データ記憶装置、磁気ディスク、光ディスク、またはその他適切なデータ記憶装置を含む。メモリ132は、プリンタ100の部品を動作させるための制御装置128の動作のためのプログラムされた命令136を記憶する。メモリ132はまた、化学送達装置内のキャビティの特定の配置を含む1つまたは複数の種類の化学送達装置の形状および構造の3次元(3D)表現を含む化学送達装置構造データ138を格納する。化学送達装置構造データ138は、例えば、化学送達装置300を製造するためにプリンタ100が形成する賦形剤の各層に対応する複数の2次元画像データパターンを含む。メモリ132はまた、化学送達装置300の1つまたは複数の領域内の少なくとも1つの活性化学材料の濃度レベルを指定する濃度パラメータ140を格納する。メモリ132はまた、1つまたは複数の確率的またはベクトルハーフトーンスクリーン142を格納する。以下でより詳細に説明するように、確率的またはベクトルハーフトーンスクリーンは、プリンタ100が化学送達装置300に形成されたキャビティの異なる部分への活性化学材料の分布を制御することを可能にする。制御装置128は、格納されたプログラム命令136を実行して、プリンタ100内の部品を操作して、化学送達装置300内の賦形剤の3次元構造を形成する。制御装置128はまた、格納されたプログラム命令を実行して、ハーフトーン画像データを生成し、化学送達装置300の異なる領域への濃度パラメータデータ140およびハーフトーンスクリーン142に基づいて、化学送達装置300内に形成されたキャビティの一部への活性化学材料の液滴の放出を制御する。
【0030】
図2は、1つまたは複数の形態の賦形剤で形成された支持体中の1つまたは複数の活性化学材料に対する濃度レベルの範囲で化学送達装置を形成するプロセス200を示す。以下の説明では、動作または機能を実行するプロセス200への参照は、3次元オブジェクトプリンタのような積層造形装置における制御装置の動作を示しており、格納されたプログラム命令を実行して、積層造形装置内の部品と共に機能または動作を行う。プロセス200は、説明のために、
図1の3次元オブジェクトプリンタに関連して記述される。
【0031】
プロセス200の間に、プリンタ100は、プロセス200中にプリンタ100から活性化学材料を受け取ることができる複数の露出したキャビティを有する賦形剤から、化学送達装置内に支持体層を任意に形成する(ブロック204)。一実施形態では、プリンタ100は、プリントヘッド112A〜112Cを補うスプレッダを使用して、粉末賦形剤から支持体を形成する。制御装置128は、プリントヘッド112A〜112Cなどのプリントヘッドの1つの群内のエゼクタを動作させてバインダ材料を所定のパターンで噴射して、賦形剤の硬化層を形成する。制御装置128は、化学送達装置構造データ138に基づいてプリントヘッド112A〜112C内のエゼクタを動作させて、所定の構造および配置のキャビティを有する化学送達装置300の各層を形成する。制御装置128はまた、プリンタ100がキャビティの層を形成した後に、バインダを受けない過剰な粉末が除去されるバインダ材料を受けない位置で、支持体にキャビティを形成する。プリンタ100は、一般に、各キャビティの床および側壁を形成する賦形剤の複数の層から、キャビティの各セットを形成する。
【0032】
別の実施形態では、プリンタ100内の1つまたは複数のプリントヘッドアレイは、例えばUV硬化性ポリマーまたは他の適切な賦形剤を用いて、賦形剤の複数の層から支持体およびキャビティを形成するように硬化する賦形剤の液滴を噴射する。制御装置128は、化学送達装置構造データ138を使用して、プリントヘッド112A〜112Cからの賦形剤の液滴の噴射を制御して、所定の形状および配置のキャビティを有する化学送達装置の層を形成する。さらに別の実施形態では、プリンタ100以外の装置が支持体およびキャビティを形成する。プリンタ100は、支持部材102上に露出したキャビティを有する支持体を受ける。
【0033】
図3A〜
図3Cは、複数の層のキャビティを有する化学送達装置300の一例を示す。
図3Aは、化学送達装置300の1つの層に形成されたキャビティ324などのキャビティのアレイを有する化学送達装置300内の支持体の平面図を示す。
図3の例では、プリンタ100は、
図3Aに示されているキャビティの一部に噴射される活性化学材料のハーフトーン画像データを生成するように構成されている。
図3Aの例示的な実施形態では、プリンタ100は、露出された層内の3つの異なる領域304、308および312について異なる濃度パラメータを受ける。
図3Aは、化学送達装置300の1つの層における領域304〜312を示すが、多くの実施形態では、領域は、化学送達装置300の複数の層に形成されるキャビティを通って延び3次元領域を形成する。さらに、
図3Aは、説明の目的で3つの領域304〜312を示しているが、代替の構成は、異なる数の領域を含むことができ、さらに、化学送達装置300全体にわたって変化する濃度パラメータの勾配を含むことができる。
【0034】
図3Bおよび
図3Cは、線340に沿った化学送達装置300の一部の断面図を示す。
図3Bは、キャビティ324を含む露出したキャビティの1つの層を示し、露出したキャビティは、液体化学物質担体および活性化学材料の液滴を受けるようにほぼ半球形状である。化学送達装置は、キャビティ332を含む3次元配置の複数の層のキャビティを含む。
図3Cは、各露出したキャビティの上部に、化学物質担体および活性化学材料が入り、実質的にキャビティを充填することを可能にする十分な大きさの開口部を備えてほぼ完全に形成することによって、賦形剤がキャビティ324を含む上部層を形成する別の構成を示す。化学送達装置300内の賦形剤は、キャビティの下部層を密封する。いくつかの実施形態では、プリンタ100は、印刷ゾーン110を通って支持部材102および化学送達装置300を複数回動かし、複数の層のキャビティを有する構造を提供する賦形剤から化学送達装置300の構造を形成する。プリンタ100は、活性化学材料の液滴を噴出して、化学送達装置300の各層の露出したキャビティの選択された部分を満たす。確率的ハーフトーンスクリーンまたはベクトルハーフトーンスクリーンを使用して、化学送達装置300の異なる領域用のハーフトーン画像データを生成し、1つまたは複数の活性化学材料を含む化学物質担体を異なるキャビティセットに噴射するプリンタ100の動作は、以下にさらに詳細に提示される。
【0035】
化学送達装置300の構造を形成する賦形剤は、キャビティ間の流体連通を防止するためキャビティの各々を互いに隔離する。特に、賦形剤は、賦形剤が溶解して流体結合したキャビティを露出するとき、活性化学材料の予想よりも大きな放出を可能にする場合がある、キャビティ間の流体チャネルの形成を防止する。さらに、2つ以上の活性化学材料を含む化学送達装置において、分離されたキャビティは、化学送達装置300内の賦形剤の溶解前に、活性化学材料が結合するのを防止する。
図3Bおよび
図3Cは球形キャビティを示しているが、化学送達装置300は、異なるタイプの化学送達装置用の扁球および円筒形キャビティを含む、異なるサイズおよび形状のキャビティを含むことができる。
【0036】
図3Aに示すように、化学送達装置300は、複数の領域304〜312を含み、プリンタ100は、支持体の複数の領域における濃度パラメータデータを処理して、各領域内のキャビティへの異なる密度の活性化学材料の送達を可能にするハーフトーン画像データを生成する。例えば、1つの化学送達装置の構成では、濃度パラメータは、最外領域304から中間領域308を通って最内領域312まで増加する。各領域の容積が外部領域304から中央領域312に減少するため、濃度レベルの適切な選択は、化学送達装置300が溶解するにつれて化学送達装置300が活性化学材料を実質的に一定の速度で放出することを可能にする。もちろん、別の構成では、濃度パラメータは、化学送達装置300が溶解するにつれて経時的に変化する速度で、化学送達装置300が1つまたは複数の活性化学材料を放出することを可能にする勾配を含む様々な方法で、活性化学材料の放出速度に影響を与え得る。
【0037】
化学送達装置300は、投薬錠剤および他の化学錠剤と関連することが多い形状の円筒の各端部に2つの半球を有する円筒状の中心を有するように形成されるが、プリンタ100は、化学送達装置および個々のキャビティの様々な形状およびサイズで支持体を形成するように構成される。化学送達装置300は、様々な濃度の活性化学材料を受けるためのキャビティを有する複数の層を有する三次元装置の単なる例示的な実施形態である。
【0038】
再び
図2を参照すると、プロセス200は、プリンタ100が化学送達装置の1つまたは複数の領域内の1つまたは複数の活性化学材料の濃度レベルを指定する濃度パラメータデータを受けるように継続する(ブロック208)。濃度パラメータは、対応する活性化学材料を受ける化学送達装置の所与の領域におけるキャビティの割合を指定する数値を含む。プリンタ100において、制御装置128は、格納された濃度パラメータデータ140をメモリ132から受ける。濃度パラメータは、化学送達装置300の少なくとも1つの領域内の1つまたは複数の活性化学材料に対応する。一実施形態では、各活性化学材料の濃度パラメータは、0%〜100%の範囲のパーセンテージとして指定され、0%は、活性化学材料が化学送達装置の特定の領域に存在しないことを示し、100%は、領域内のすべての利用可能なキャビティは活性化学材料を受けなければならず、そして領域内の化学材料を受ける領域内の特定の数のキャビティに対応する中間パーセンテージである。いくつかの化学送達装置は、2つ以上の活性化学材料の濃度パラメータを有する領域を含む。濃度パラメータの合計は、100%または他の所定の最大パラメータ値を超えず、支持体が化学送達装置の領域内のすべての活性化学材料に対して十分なキャビティ位置を有することを確実にする。
【0039】
図4は、化学送達装置の異なる領域内の2つの異なる活性化学材料(化学材料Aおよび化学材料B)に対する濃度パラメータのグラフ400を示す。
図4では、3次元円筒形容積の合計40の領域が、
図3の装置300のような化学送達装置の形状に近似している。各領域は、円筒の中心(x−指標1)を囲み、円筒(x−指標40)の外側まで延びる領域から始まる3次元同心円殻に対応する。
図4の例は、2つの異なる活性化学材料の濃度勾配を示している。本明細書で使用される「濃度勾配」という用語は、化学送達装置内の複数の領域に対する複数の濃度パラメータに基づいて、プリンタ100が生成する化学送達装置の異なる領域を介して分配される活性化学材料の濃度レベルの変化を指す。異なる濃度勾配は、異なる構成の化学送達装置が、化学送達装置が溶解するにつれて、実質的に一定の速度、増加するまたは減少する速度、または変動する速度でも活性化学材料を放出することを可能にする。
【0040】
図4の例では、第1の活性化学材料Aに対する濃度勾配は、化学送達装置の中心から装置の外部に向かって、濃度が外向きに減少することを指定し、一方、第2の活性化学材料Bに対する濃度勾配は、化学送達装置の中心から装置の外部に向かって、濃度勾配が外向きに増加することを指定する。別の濃度勾配は、化学送達装置の異なる領域を介する濃度の非直線かつ非単調な変化を形成する複数の濃度パラメータを含む。
図4は、ほぼ円筒形状を有する化学送達装置における3次元領域にわたる濃度勾配を示しているが、同様の濃度勾配は様々な形状を有する化学送達装置にも適用可能である。
図3Aの化学送達装置300の他の近似は、2つの球体を有する円筒として化学送達の容積をモデル化し、V=(4πr
2+2πrh)δrである。様々な化学送達装置の3次元形状に関する同様の近似は、当業者に周知である。
【0041】
再び
図2を参照すると、プロセス200は、プリンタ100内の制御装置128が、支持体に対応する画像データの各領域における1つまたは複数の濃度パラメータを参照して、確率的ハーフトーンスクリーンを使用して(複数の化合物を印刷する場合はベクトルハーフトーンスクリーンでもよい)ハーフトーン画像データを生成して続く。(ブロック212)。制御装置128は、1つまたは複数の活性化学材料の濃度パラメータに基づいて、ハーフトーンスクリーン内の対応するドットの閾値と、活性化学材料および賦形剤の閾値範囲とを使用して、画像データの画素を生成する。本明細書で使用される用語「活性化画素」は、活性化学材料を受けるハーフトーン画像データ内の画素位置を指し、一方化学送達装置の構造を形成する残りの画素は不活性または賦形剤材料を受ける。2つ以上の活性化学材料を有する化学送達装置を形成するプロセス200の実施形態では、制御装置128はベクトルハーフトーンスクリーンを使用して、画像データのすべての所与の画素位置に1つの活性化学材料のみを有する画像データを生成する。プリンタ100はまた、以下でより詳細に説明するように、活性化されていない画素である残りの画素のために賦形剤の液滴を噴射する。ハーフトーン画像データは、活性化学材料を受ける支持体に形成された複数のキャビティの一部の位置にのみ対応する複数の活性化画素を含む。いくつかの構成では、1つの領域は1つの活性化学材料を受け、他の構成では、単一の領域が2つ以上の活性化学材料を受ける。上述のように、確率的ベクトルハーフトーンスクリーンは、化学送達装置内のキャビティの物理的配置に対応する画素の分布を有するハーフトーン画像データを生成する閾値を有するドットの配置を含む。
【0042】
ハーフトーンプロセスは、化学送達装置の支持体内に露出されたキャビティの位置に対応する画素の所定の配置を有するハーフトーン画像データを生成する。分配される化学材料が標的溶媒中の賦形剤と同じ溶解速度を有さない場合、または接触してはならない複数の化学材料が含まれる場合、ハーフトーンスクリーンはさらに、化学送達装置内の異なるキャビティに対応するドットを囲む所定の閾値または値の範囲を有する「ガード」ドットを含む。ガードドットは、活性化学材料に決して対応しない固定値を有する。プリンタ100は、キャビティの位置を囲み、活性化学材料の液滴を受けない支持体の壁および他の構造の位置に対応する対応「ガード」画素を含むガードドットに基づいて、ハーフトーン画像データを生成する。
図5において、ハーフトーンスクリーンは、化学送達装置300の1つの層におけるキャビティの配置に対応するガードドットの配置を含む。ガードドットには、いずれの活性化学材料も印刷せず、賦形剤の印刷にのみ使用されることを確実にする所定の値または値の範囲(例えば、
図5の例では255)が割り当てられる。
【0043】
ハーフトーンスクリーンを生成するために、制御装置128は、メモリ132のハーフトーンスクリーンデータ142に格納された所定のハーフトーンスクリーンデータを使用するか、または制御装置128は、キャビティに対応し、活性化学材料を受ける候補である各ドットについて擬似ランダム数値閾値を生成する。 化学送達装置の領域が100%の濃度まで飽和している状況を除いて、各領域のキャビティの一部分のみが活性化学材料を受ける。残りのキャビティは空のままであるか、またはプリンタ100は、空のキャビティに、化学送達装置300を形成する賦形剤あるいは水、グリセリン、トリグリセリドまたは他の液体などの不活性材料を充填する。充填材料は、化学送達装置が溶解する環境の化学的特性による。いくつかの実施形態では、溶液中に活性化学材料を保持する化学物質担体は、プリンタ内のエゼクタが、溶解した活性化学材料を使用せずに化学物質担体を放出する場合、不活性液体としても働く。制御装置128は、ハーフトーンスクリーンドット値および閾値範囲に基づいて、異なる活性化学材料を受ける画素の部分を識別するために、以下に説明する閾値処理プロセスを使用する。
【0044】
図5は、プロセス200中にプリンタ100が使用する化学送達装置の1つの領域の単一の層に対応する2次元ハーフトーンスクリーン500を示す。ハーフトーンスクリーン500は、1つまたは複数の活性化学材料を組み込む化学送達装置の製造に使用するのに適した確率的ベクトルハーフトーンスクリーンの具体例である。プリンタ100において、メモリ132は、ハーフトーンスクリーン500を格納し、任意にハーフトーンスクリーンデータ142で追加の2次元または3次元ハーフトーンスクリーンを格納する。
図5はまた、ハーフトーン画像データに分布された2つの異なる活性化学材料の濃度パラメータを示す表550を示す。ハーフトーンスクリーンデータ500は、8ビットの数値範囲で符号化され、各ドットは0から255の値をとるが、他の実施形態において、代替の構成では、異なる範囲を使用し、ガードドットには0などの異なる値を割り当てることができる。
図5において、値255を有するドットは、化学送達装置の支持体内のキャビティ以外の壁または特徴部の位置に対応するガードドットであり、プリンタ100は、ガードドットに対応する位置に活性化学材料の液滴を噴射しない。
図5は、活性化学材料についての各潜在的な位置の周りのガードドットの単一のセットを示すが、代替の実施形態は、支持体内のキャビティのサイズおよび配置に基づいて異なる数のガードドットを使用する。いくつかの実施形態では、活性化学材料位置の分離が特定の化学送達装置に必要でない場合、ガードドットを省略する。さらに、ハーフトーンスクリーン500は、各キャビティに対して単一のドットを描写するが、異なるハーフトーンスクリーンの実施形態は、異なるサイズおよび形状のキャビティのドット配置を含む。
【0045】
図5は、より大きな3次元化学送達装置の単一層の領域に対応する2次元ハーフトーンスクリーン500を示すが、プリンタ100では、ハーフトーンスクリーンデータ142は、一般的には、複数の層にわたって化学送達装置の3次元領域を画定するために複数の層を含む3次元ハーフトーンスクリーンを含む。ハーフトーンスクリーンのいくつかの層は、賦形剤に対応するガードドットのみを含み、プリンタ100が、化学送達装置内の予め充填されたキャビティの上に賦形剤の保護層を形成することを可能にする。3次元ハーフトーンスクリーンの実施形態では、ハーフトーンスクリーン500は、多層ハーフトーンスクリーン内の1つの層を表す。動作中、プリンタ100は、各層用のより大きな3次元ハーフトーンスクリーンの1つの選択された2次元ハーフトーンスクリーン部分を使用して、化学送達装置の各層を形成する。
【0046】
一実施形態では、ハーフトーンスクリーンは、印刷プロセスの前にメモリ132に格納される。以下に説明するように、プリンタは、化学送達装置の様々な形状およびサイズに対して化学送達装置が占める三次元領域をカバーするために、反復プロセスで単一のハーフトーンスクリーンをタイル状に並べ、より大きな化学送達装置の1つ以上の領域に画像データを形成するために比較的小さいハーフトーンスクリーンを使用できるようにする。制御装置128は、濃度パラメータデータに基づいて活性化学材料を受ける閾値範囲を調整して、プリンタ100が、単一のハーフトーンスクリーンを使用して、化学送達装置の異なる領域内の1つまたは複数の活性化学材料に対する異なる化学濃度勾配を有する画像データおよび印刷された化学送達装置を生成する。別の実施形態では、制御装置128は、印刷プロセス中にハーフトーンスクリーン閾値を生成する。制御装置128は、完全にランダムな数を使用して達成するより均一な分布を生成するために、擬似ランダム方法でスクリーンのドット中心における数値を生成する。例えば、擬似ランダムプロセスを使用すると、制御装置128は、隣接するキャビティが同じ活性化学材料を受ける可能性を増加させる同様のハーフトーンレベルを有する隣接するキャビティの確率が、純粋なランダムプロセスから予想されるよりも小さい、ドットに対する閾値を生成する。ガードドットを使用する実施形態では、制御装置128は、擬似ランダムプロセスのみを使用して、化学送達装置内のキャビティと整列するドット中心の閾値を生成し、ガードドット(例えば、
図5の255のドット値)は固定値のままである。
【0047】
プロセス200の間、制御装置128は、領域内の各活性化学材料に対する濃度パラメータに基づいて、また領域内の各キャビティのドット位置に割り当てられたハーフトーンスクリーン内の閾値に基づいて、ハーフトーン画像データの部分に、1つまたは複数の活性化学材料のために活性化画素を生成する。表550に示すように、第1の活性化学材料(化学材料A)に対する濃度パラメータは32%であり、制御装置128は、
図5の0〜255の所定のスケールを使用して0〜81の閾値範囲(例えば256個の利用可能な値の約32%)を生成する。したがって、制御装置は、0〜81の数値を有するハーフトーンスクリーン500内のドットの位置に対応する第1の活性化学材料に割り当てられたハーフトーン画像データ中の活性化画素を生成する。表550は、第2の活性化学材料(化学材料B)に対する別の23%の濃度パラメータを含み、制御装置128は、第2の活性化学材料に対する82〜140の第2の数値範囲(例えば、第1の化学材料の閾値範囲との重複を避けるために、+82のオフセットを有する256値の約23%)を生成する。第1の活性化学材料および第2の活性化学材料の数値範囲は、積み重ねられており、制御装置128が、画像データ500中のハーフトーンスクリーンの候補ドットのいずれか(例えば、ガード値255を有さないドット)に対して最大で1つの活性化学材料を確実に選択するように、数値範囲が重複しないことを意味する。数値ドット閾値が141〜255である支持体内のキャビティに対応する残りのドットは、第1または第2の活性化学材料のいずれも受け取らず、制御装置128は、これらの画素を
図5の「不活性」として分類し、賦形剤または別の不活性材料が、活性化学材料を受けないキャビティを充填すべきであることを示す。
【0048】
例えば、ハーフトーンスクリーンデータ500は、数値閾値22を有するドット504を含む。制御装置128は、濃度パラメータに基づいて、第1の活性化学材料の閾値および閾値範囲に基づいて、ハーフトーン画像データ内の第1の活性化学材料に対する活性化画素を生成する。同様に、制御装置128は、数値閾値101を有するドット508に対応する第2の活性化学材料に対する活性化画素を生成する。ドット512がいずれの活性化学材料の閾値にもないため、制御装置128は、数値175を有するドット512に対応する活性化画素を生成しない。代わりに、制御装置128は、活性化学材料を受けないキャビティを満たすために、賦形剤または別の不活性材料に割り当てられた画素を生成する。同様に、制御装置は、値255を有するすべてのガードドットについて賦形剤に対応する画像データ画素を生成する。
【0049】
多層化学送達装置では、プリンタ100は、任意で、化学送達装置の複数の層におけるキャビティの3次元配置に対応する所定の3次元ハーフトーンスクリーンを生成または使用する。3次元ハーフトーンスクリーンは、
図5に示すドットの2次元配置と同様の構成で、活性化学材料を受ける候補であるドット位置とガードドットとを含む。3次元ハーフトーンスクリーンは、化学送達装置内の異なる層のキャビティに対応する、
図5の平面スクリーン500と同様の複数の平面のドットを含む。3次元ハーフトーンスクリーンが印刷されるオブジェクトよりも小さい場合、化学送達装置の3次元体積を完全に包含する大きなスクリーンを生成する空間充填タイリングプロセスを使用して、制御装置128は、ハーフトーンスクリーンの複数のコピーをタイル状に並べる。動作中、プリンタ100は、プリンタ100内のプリントヘッド104A〜104Cおよび108A〜108Cのようなプリントヘッドに露出された開口部を有する2次元配置のキャビティを有する個々の層に対する活性化学材料の液滴を噴射する。したがって、プリンタ100は、いくつかの実施形態において3次元ハーフトーン画像データを生成するが、プリンタ100は、それぞれが2次元層に配置された化学送達装置内のキャビティの個々の層に活性材料を噴射する。
【0050】
別の実施形態では、制御装置128は、さらに、3次元化学送達装置内の領域を、化学送達装置内に形成されたキャビティの各層に対応する一連の2次元領域に分割する。制御装置128は、2次元の層を介する濃度パラメータおよび勾配に基づいて、化学送達装置内のキャビティの各層に対するドットの2次元配置としてハーフトーンスクリーンをメモリ132から生成またはロードする。プロセス200のいずれかの実施形態により、プリンタ100が1つまたは複数の活性化学材料の様々な分布を有する化学送達装置を形成することができる。
【0051】
再び
図2を参照すると、プロセス200は、プリンタが少なくとも1つのエゼクタを動作して、ハーフトーン画像データを参照して、活性化画素の1つに対応する支持体のキャビティの部分の各キャビティ内に所定量の活性化学材料を噴射する(ブロック216)。プリンタ100を例として用い、制御装置128は、プリントヘッドアレイ104A〜104C内のエゼクタを動作させて、ハーフトーン画像データにおける第1の活性化学材料に対する活性化画素の位置に対応するキャビティの第1の部分の各キャビティを充填する。プリントヘッド104A〜104C内のエゼクタは、所定量の化学物質担体および第1の活性化学材料を画像データ中の活性化画素に対応する各キャビティに噴射して、化学送達装置の各領域が、濃度パラメータに対応する活性化学材料の濃度を有することを確実にする。プリンタ100において、制御装置128は、プリントヘッド108A〜108C内のエゼクタを動作させて、プリントヘッド104A〜104Cの動作と同様の方法で、第2の活性化学材料を含む所定量の化学物質担体を、第2の活性化学材料に対する活性化画素に対応するキャビティの第2の部分に噴射する。
図3Aおよび
図5を例として用いて、制御装置128がハーフトーンスクリーン500を使用して生成する画像データ内の各活性化画素は、化学送達装置300の領域304などの1つの領域内のキャビティの露出層の1つのキャビティと整列する。プリントヘッド104A〜104Cおよび108A〜108C内のエゼクタは、所定量の化学物質担体および活性化学材料を、第1および第2の活性化学材料にそれぞれ対応するキャビティに噴射して、適切な濃度の活性化学材料で化学送達装置300内の層の各領域を形成する。
【0052】
プロセス200は、化学送達装置内の任意の追加の層に対して上述のように継続する(ブロック220)。プリンタ100は、化学送達装置内の露出したキャビティを密封し、活性化学材料を受けた任意のキャビティに活性化学材料を封入するために賦形剤の追加の層を塗布し、化学送達装置構造データ138に基づき賦形剤からキャビティの別の層を形成して、化学送達装置内にキャビティの別の層を形成する(ブロック224)。
図2の例示的な実施形態では、制御装置128は、化学送達装置の各層に対するハーフトーン化画像データ内に活性化画素をそれぞれ生成するプロセス200の実施形態について、ブロック208〜216に関連して説明した処理を繰り返す。別の構成では、プロセス200は、3次元ハーフトーンデータのより大きなセットにおけるハーフトーン化データの別の2次元配置のような、前に生成されたハーフトーンデータを使用して、ブロック216を繰り返し、化学送達装置の次の層のキャビティへの活性化学材料の噴射を制御する。プロセス200は、化学送達装置内のキャビティの追加の層が残っておらず(ブロック220)、プリンタ100がキャビティの最終層を賦形剤で密封する場合(ブロック228)に終了する。
【0053】
プリンタ100およびプロセス200は、1つまたは複数の活性化学材料を様々な速度で放出し、化学送達装置が溶解するまで活性化学材料間の化学的分離を伴う複数種類の活性化学材料を組み込む、化学送達装置の積層造形製造を可能にする。本明細書に記載のシステムおよび方法は、3次元オブジェクトプリンタ100の再構成を最小限に抑えながら、異なる形状およびサイズを有する化学送達装置の製造を可能にする。加えて、プリンタ100は、化学送達装置の構造全体にわたる活性化学材料の分布を調整するために、単に濃度パラメータの異なるセットを使用することによって、または代替のハーフトーンスクリーンを使用することによって、異なる動作特性を有する化学送達装置を生成することができる。
【0054】
上記の開示の変形および他の特徴および機能、またはそれらの代替物は、望ましくは多くの他の異なるシステム、応用または方法に組み合わされることが理解されよう。当業者であれば、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されているが、今は予期せぬ、または予想せぬ様々な代替、改変、変形または改良を後で実行し得る。