(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  上記従来技術(特許文献1)にかかる水流発生装置は、閉鎖水域等の水塊交換を行うべく構成されており、どの実施形態においても、水中の一定カ所に固定して用いられている。
【0006】
  閉鎖水域等においては、天候や諸々の環境条件によって、水位の変動が生じる。つまり、水流発生装置と閉鎖水域等との相対関係(例えば、水面との相対距離等)には、常に変動が生じることとなる。このような変動が生じると、固定された従来技術にかかる水流発生装置では、閉鎖水域等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムの堆積を効果的に抑制することはできない。
【0007】
  そこで、本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、比較的低コスト且つ簡単な構成により、ダム、湖沼、貯水槽、浄化槽、下水処理場等(閉鎖水域等)の水質を改善すべく、閉鎖水域等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムの堆積を抑制する、スカム堆積抑制装置を提供することを課題とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0008】
  本発明の第一態様は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられていることを特徴としている。
  
より具体的には、本発明は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成されており、前記深さ調整部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられており、前記水流発生部は、外筒部と、前記外筒部内に流体噴出口たるノズル先端部が設けられたノズル部とを用いて構成され、前記ノズル部には、前記流体供給部が接続され、前記ノズル部に流体を供給して前記ノズル先端部から流体を噴出することにより、前記外筒部の下流開口部にて水平方向に水流が発生すべく構成されており、前記作動補助部は、連結支持部、環状支持部、およびパイプ支持部を用いて構成され、前記パイプ支持部は、前記流体供給部をその内部に挿通した状態で、その上端部およびその近傍のいずれかの箇所を暗渠の床面に固定して構成され、前記連結支持部と前記環状支持部とは一体的に構成され、前記環状支持部は、前記パイプ支持部の外側を摺動可能に構成され、前記連結支持部は、前記環状支持部と前記フロート部とを連結させるべく構成されていることを特徴としている。
 
【0009】
  上述したように、本発明の第一態様にかかるスカム堆積抑制装置は、前記水流発生部、前記深さ調整部、前記流体供給部、および前記作動補助部等を用いて構成されている。
  このように構成されたスカム堆積抑制装置によれば、前記水流発生部の深さ方向の位置が前記深さ調整部によって調整されるため、水位に起因したスカムの発生位置や発生量等の発生状況に応じて、適切な箇所に前記水流発生部を移動させることができる。また、このように構成されたスカム堆積抑制装置によれば、前記作動補助部が設けられているため、前記深さ調整部による前記水流発生部の深さ調整をスムーズ且つ効果的に行うことができる。
【0010】
  本発明の第二態様は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成され、前記流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給パイプ部を用いて構成されており、前記深さ調整部を成す前記フロート部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給パイプ部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられていることを特徴としている。
  
より具体的には、本発明は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成されており、前記深さ調整部を成す前記フロート部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられており、前記水流発生部は、外筒部と、前記外筒部内に流体噴出口たるノズル先端部が設けられたノズル部とを用いて構成され、前記ノズル部には、前記流体供給部が接続され、前記ノズル部に流体を供給して前記ノズル先端部から流体を噴出することにより、前記外筒部の下流開口部にて水平方向に水流が発生すべく構成されており、作動補助部は、一対の下方レール支持部、一対の上方レール支持部、および一対の傾斜レール部を用いて構成され、前記下方レール支持部および前記上方レール支持部は、暗渠の床面に形成された開口部近傍にそれぞれの上方端部が固定され、前記下方レール支持部の下方端部と前記上方レール支持部の下方端部とに固定すべく、前記傾斜レール部が設けられており、前記水流発生部は、一対の前記傾斜レール部の間に設けられ、一対の前記傾斜レール部 の間を上下に摺動可能に構成されていることを特徴としている。
 
【0011】
  上述したように、本発明の第二態様にかかるスカム堆積抑制装置は、前記水流発生部、前記深さ調整部、前記流体供給部、および前記作動補助部等を用いて構成され、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成されている。
  このように構成されたスカム堆積抑制装置によれば、前記水流発生部に前記フロート部が固着されているため、水位変動が生じた場合であっても、前記フロート部によって前記水流発生部の位置は所定の深さに維持される。つまり、本発明にかかるスカム堆積抑制装置によれば、前記水流発生部の深さ方向の位置が前記深さ調整部を成す前記フロート部によって調整されるため、水位に起因したスカムの発生位置や発生量等の発生状況に応じて、適切な箇所に前記水流発生部を移動させることができる。また、このように構成されたスカム堆積抑制装置によれば、第一態様と同様に、前記作動補助部が設けられているため、前記深さ調整部による前記水流発生部の深さ調整をスムーズ且つ効果的に行うことができる。
【0012】
  本発明の第三態様は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成され、前記流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給パイプ部を用いて構成されており、前記深さ調整部を成す前記フロート部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給パイプ部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられていることを特徴としている。
  
より具体的には、本発明は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられており、前記水流発生部は、外筒部と、前記外筒部内に流体噴出口たるノズル先端部が設けられたノズル部とを用いて構成され、前記ノズル部には、前記流体供給部が接続され、前記ノズル部に流体を供給して前記ノズル先端部から流体を噴出することにより、前記外筒部の下流開口部にて水平方向に水流が発生すべく構成されており、前記作動補助部は、上下動駆動部を用いて構成され、前記上下動駆動部は下方駆動軸および上方支持軸を用いて構成され、前記下方駆動軸は軸が回転することで上下に摺動するように構成され、前記上方支持軸 は内部に回転機構を備え、前記下方駆動軸が前記上方支持軸の内部に設けられ、前記上方支持軸の回転機構構造部が回転することによって、前記下方駆動軸が前記上方支持軸内を上下動すべく構成されており、前記上下動駆動部を成す前記下方駆動軸の下方端部が、前記水流発生部の上面に固着され、前記上下動駆動部を成す前記上方支持軸の上方端部が、暗渠の床面に固定して取り付けられていることを特徴としている。
【0013】
  本発明の第四態様は、上述した第一態様から第三態様のいずれかにかかるスカム堆積抑制装置において、前記水流発生部の開口部の水面側端部と水面との間隔が30mm〜500mmの範囲となるべく、前記深さ調整部を用いて前記水流発生部の深さが調整される構成であることが好ましい。また、本発明にかかるスカム堆積抑制装置においては、前記水流発生部の開口部の水面側端部と水面との間隔は、50mm〜100mmの範囲であることがより好ましい。
【0014】
  本件の発明者らは、鋭意研究の結果、堆積しているスカムを効果的に破壊するためには、前記水流発生部の水面側端部(水流発生部の水流噴出口上部)と水面との間隔(水面間距離)が非常に重要であることを見出した。具体的には、前記水流発生部の開口部の水面側端部と水面との間隔(水面間距離)が30mm〜500mmの範囲であることが好ましく、また、前記水流発生部の開口部の水面側端部と水面との間隔(水面間距離)が50mm〜100mmの範囲であることがより好ましいことを見出した。
【0015】
  前記水流発生部の開口部の水面側端部と水面との間隔が好ましい範囲(30mm〜500mm)である場合には、厚さ1000mm程の浮遊スカムに対して、この好ましい水面間距離に設定された前記水流発生部を用いることによって、浮遊スカム厚を100mm程度に抑制することができる。また、前記水流発生部の開口部の水面側端部と水面との間隔がより好ましい範囲(50mm〜100mm)である場合には、厚さ1000mm程の浮遊スカムに対して、このより好ましい水面間距離に設定された前記水流発生部を用いることによって、浮遊スカムの略全てを崩壊および押し流し、水面が見える状態にすることができる。
【0016】
  本発明の第五態様は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成され、前記流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給パイプ部を用いて構成されており、前記深さ調整部を成す前記フロート部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給パイプ部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられており、前記作動補助部が、前記流体供給パイプ部を挿通させたパイプ支持部、前記パイプ支持部の外側を摺動可能に設けられた環状支持部、および前記フロート部と前記環状支持部とを連結させた連結支持部を用いて構成されていることを特徴としている。
【0017】
  本発明の第六態様は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成され、前記流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給パイプ部を用いて構成されており、前記深さ調整部を成す前記フロート部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給パイプ部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられており、前記流体供給パイプ部が、伸縮配管(伸縮配管外筒部の内側に伸縮配管内筒部を備えた伸縮配管)を用いて構成されており、前記作動補助部が、前記伸縮配管を成す伸縮配管外筒部の外側を摺動可能に設けられた環状支持部、および前記フロート部と前記環状支持部とを連結させた連結支持部を用いて構成されていることを特徴としている。
【0018】
  本発明の第七態様は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部が、前記水流発生部に固着されたフロート部を用いて構成され、前記流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給パイプ部を用いて構成されており、前記深さ調整部を成す前記フロート部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給パイプ部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられており、前記作動補助部が、前記水流発生部が摺動可能に設けられた傾斜レール部、および前記傾斜レール部を固定するレール支持部(下方レール支持部および上方レール支持部)を用いて構成されていることを特徴としている。
【0019】
  本発明の第八態様は、スカムの堆積を抑制するスカム堆積抑制装置であって、水中に設けられた水流発生部と、前記水流発生部の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、前記水流発生部に流体を供給する流体供給部とを備え、前記深さ調整部にて前記水流発生部の位置を移動させる際、前記水流発生部および前記流体供給部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部が設けられており、前記深さ調整部が、水位センサ部と、作動補助部と、これらの水位センサ部および作動補助部が電気的に接続された制御部とを用いて構成され、前記作動補助部が、前記制御部からの信号に基づいて上下動する上下動駆動部を用いて構成されており、前記作動補助部と前記水流発生部とが接続されていることを特徴としている。
【0020】
  また、上述した本発明にかかるスカム堆積抑制装置を成す水流発生部は、外筒部と、前記外筒部内に流体噴出口たるノズル先端部が設けられたノズル部とを用いて構成されており、前記ノズル部(のパイプ接続部)には、流体供給源に接続された流体供給パイプ部が接続されており、前記ノズル部に流体を供給して前記ノズル先端部から流体を噴出することにより、前記水流発生部の下流開口部(水流噴出口)にて水流(ジェット水流)が発生すべく構成されている。
【0021】
  さらに、上述した本発明にかかるスカム堆積抑制装置(フロート部を有するスカム堆積抑制装置)においては、フロート部の上面が水面から30mm〜80mm程度水上に突出した構成であることが好ましい。
  この好ましい構成によれば、流速が遅くなる箇所である水流発生部(を成す外筒部)の上部へのスカム侵入を防ぎ、水流発生部を成す外筒部の上方位置およびその近傍におけるスカムの堆積を抑制することができる。
 
【発明の効果】
【0022】
  本発明によれば、比較的低コスト且つ簡単な構成により、ダム、湖沼、貯水槽、浄化槽、下水処理場等(閉鎖水域等)の水質を改善すべく、閉鎖水域等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムの堆積を抑制する、スカム堆積抑制装置を得ることができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0024】
  以下、図面に基づいて、本発明の実施形態にかかるスカム堆積抑制装置について説明する。また、以下においては、暗渠内に(例えば下水処理場における最初沈殿池等内に)、各実施形態にかかるスカム堆積抑制装置を設置する場合について説明する。それぞれの本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置は、最初沈殿池等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムの堆積を効果的に抑制すべく構成されている。具体的には、各実施形態にかかるスカム堆積抑制装置は、このスカム堆積抑制装置を成す水流発生部から噴出される水流を用いて、スカムを破壊して押し流すべく構成されている。
 
【0025】
<第一実施形態>
  
図1は、本発明の第一実施形態にかかるスカム堆積抑制装置およびその設置状態の概略図を示したものである。また、
図2は、本発明の第一実施形態にかかるスカム堆積抑制装置の概略構成図を示したものであり、
図2(a)は本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置の概略側面図、
図2(b)は
図2(a)の矢視線A−A方向の概略上面図である。また、
図3は、本発明の第一実施形態にかかるスカム堆積抑制装置を成す水流発生部およびフロート部の概略構成図を示したものであり、
図3(a)は本実施形態にかかる水流発生部およびフロート部の概略側面図、
図3(b)は
図3(a)の矢視線B−B方向の概略正面図、
図3(c)は
図3(a)の矢視線C−C方向の概略底面図(一部破断部図)である。さらに、
図4は、本発明の第一実施形態にかかるスカム堆積抑制装置の作動状態の概略図(概略側面図)を示したものであり、
図4(a)は水位が上がった場合のスカム堆積抑制装置の作動状態概略図、
図4(b)は水位が下がった場合のスカム堆積抑制装置の作動状態概略図である。
  以下、これらの
図1〜
図4に基づき、本発明の第一実施形態にかかるスカム堆積抑制装置について説明する。
 
【0026】
  図1等に示すように、本実施形態においては、スカム堆積抑制装置1が、暗渠UD内に(例えば下水処理場における最初沈殿池等内に)設置されている場合について説明する。本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、暗渠UDの床面UD1に形成された開口部UD2から、暗渠UD内に搬入して設置可能な大きさに構成されている。
 
【0027】
  図1等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、水流発生部10、フロート部40(本発明の「深さ調整部」に相当)、流体供給ホース部50(本発明の「流体供給パイプ部」に相当)、および作動補助部60等を用いて構成されている。
 
【0028】
  より具体的には、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、水中に設けられた水流発生部10と、この水流発生部10の位置を所定の深さに調整すべく、水流発生部10の上方位置に固着して設けられたフロート部40と、水流発生部10に駆動水である流体を供給すべく流体供給源に接続された流体供給ホース部50と、フロート部40にて水流発生部10の位置を移動させる際、水流発生部10および流体供給ホース部50の動きを補助すべく機能する作動補助部60等とを用いて構成されている。
 
【0029】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1を構成する水流発生部10は、
図3に示すように、外筒部11およびノズル部12を用いて構成されている。本実施形態においては、一つの外筒部11に対して二つのノズル部12を設ける構成を示すが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、一つの外筒部に一つあるいは三つ以上のノズル部を設けてもよい。
 
【0030】
  本実施形態にかかる水流発生部10を成す外筒部11は、後述すべく、ノズル部12から噴出される駆動水によって、その下流開口部(水流噴出口11A)から水流が噴出され、その上流開口部(流体導入口11B)から流体が導入される。
 
【0031】
  本実施形態にかかる水流発生部10を成すノズル部12は、その先端部(ノズル先端部12A)が外筒部11の内部に位置し、その後端部(パイプ接続部12B)が外筒部11の外部にて流体供給ホース部50と接続されるべく構成されている。
 
【0032】
  図3(c)の一部破断底面図に示すように、本実施形態にかかる水流発生部10を成すノズル部12は、ノズル先端部12Aが外筒部11の内面から所定の角度傾いた状態で、外筒部11の下流開口部(水流噴出口11A)側を向くように設けられている。また、このノズル部12を成すパイプ接続部12Bは、外筒部11の外部にて流体供給ホース部50と接続可能に構成されており、このパイプ接続部12Bの直径は、ノズル先端部12Aの直径の2倍程度に形成されている。つまり、ノズル先端部12Aとパイプ接続部12Bとの面積比は、1:4程度に設定されている。
 
【0033】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1を成す水流発生部10は、以上のように構成されており、必要に応じて、流体供給源から流体供給ホース部50を介して、駆動水(本実施形態においては最初沈殿池内の汚水等)が水流発生部10のノズル部12に供給される。
 
【0034】
  ノズル部12に駆動水が供給されると、駆動水がパイプ接続部12Bを介してノズル先端部12から外筒部11の下流開口部側に噴出され、この噴出された駆動水のエネルギによって、水流発生部10を成す外筒部11の上流開口部近傍の流体が外筒部11内に導入される。つまり、本実施形態にかかる水流発生部10においては、駆動水がノズル先端部12Aから噴出されることによって、流体導入口11Bからその近傍の流体が外筒部11内に導入され、この導入された流体と駆動水とが合流した状態となり、この合流した流体(駆動水および駆動水によって連行された流体)が、外筒部の下流開口部である水流噴出口11Aから噴出されることとなる。すなわち、本実施形態にかかる水流発生部10によれば、駆動水をノズル先端部12Aから噴出させることによって、大量の流体を発生させ、この大量の流体を水流噴出口11Aから噴出させることができる。
 
【0035】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1を構成するフロート部40は、所望の水位が得られるように構成されている。例えば、このフロート部40は、発泡スチロール(発泡ポリスチレン)、FRP(繊維強化プラスチック)、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いて、200mm以上の厚みを有する略直方体として形成されている。より具体的には、例えば、フロート部40は、略直方体に形成されたFRP内に発泡スチロールを充填等して形成されている。ただし、後述するように、このフロート部40が水流発生部10に接合される際には、フロート部40の水流発生部10との接合面は、水流発生部10の外形状に対応して適宜調整して形成される。
 
【0036】
  また、本実施形態においては、水流発生部10の上方位置にフロート部40が固着して設けられている。具体的には、水流発生部10とフロート部40とは、密着した状態となるべく固着して設けられている。つまり、本実施形態においては、フロート部40の水流発生部10との接合面は、水流発生部10の外形状に対応して、湾曲した形状に形成されている(
図3(b)参照)。加えて、スカムが水流発生部10とフロート部40との間を通過しないように、水流発生部10とフロート部40との横幅は略同程度の寸法に形成されている。
 
【0037】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1を構成する流体供給ホース部50は、可撓性を有すべく構成されており、例えば、ゴムホース、塩ビ樹脂ホース等を用いて構成されている。
 
【0038】
  本実施形態にかかる流体供給ホース部50は、一方端部が流体供給源に接続されており、他方端部がノズル部12のパイプ接続部12Bに接続されている。また、後述すべく、この流体供給ホース部50は、パイプ支持部65内を挿通すべく設けられている。
 
【0039】
  図2等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1を構成する作動補助部60は、連結支持部61、環状支持部62、およびパイプ支持部65等を用いて構成されている。
 
【0040】
  作動補助部60を成すパイプ支持部65は、流体供給ホース部50をその内部に挿通した状態で、その上端部およびその近傍のいずれかの箇所を暗渠UDの床面UD1に固定して構成されている。また、作動補助部60を成す連結支持部61と環状支持部62とは、一体的に構成されており(
図2(b)参照)、環状支持部62は、それぞれのパイプ支持部65の外側を摺動可能に構成され、連結支持部61は、環状支持部62とフロート部40とを連結させるべく構成されている。
 
【0041】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、以上のように構成されており、その具体的な構成は、
図1〜
図3等に示す通りである。以下、図面を参照しつつ、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1の構成および作用効果について説明する。
 
【0042】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、スカムFSの堆積を抑制する装置であって、水中に設けられた水流発生部10と、水流発生部10の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、水流発生部10に流体を供給する流体供給部とを備え、深さ調整部が、水流発生部10に固着されたフロート部40を用いて構成され、流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給ホース部50を用いて構成されており、深さ調整部を成すフロート部40にて水流発生部10の位置を移動させる際、水流発生部10および流体供給ホース部50の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部60が設けられており、作動補助部60が、流体供給ホース部50を挿通させたパイプ支持部65、パイプ支持部65の外側を摺動可能に設けられた環状支持部62、およびフロート部40と環状支持部62とを連結させた連結支持部61を用いて構成されている。
 
【0043】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、以上のように構成され、フロート部40の有する浮力は、水流発生部10を成す外筒部11の水面側端部11Sと、水面WSとの距離(水面間距離z)が好ましい範囲(30mm〜500mm)、あるいはより好ましい範囲(50mm〜100mm)となるべく設定されている。つまり、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、スカム堆積抑制装置1の全体重量とフロート部40の浮力とのバランスを考慮して、水面間距離zが好ましい範囲(あるいはより好ましい範囲)となるように構成されている。
 
【0044】
  本件の発明者らは、鋭意研究の結果、堆積しているスカムFSに流体を噴出させて、スカムFSを効果的に破壊したり押し流したりするためには、水流発生部10を成す外筒部11の水面側端部11Sと水面との距離(水面間距離z)が非常に重要であることを見出した。そして、この水面間距離zが、30mm〜500mmの範囲であることが好ましく、また、50mm〜100mmの範囲であることがより好ましいことを見出した。
 
【0045】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、上述したようなフロート部40が設けられているため、暗渠UD内の流体(下水等)の水位が変動した場合であっても、水面間距離zは所定の範囲に維持される。つまり、本実施形態によれば、水位が上がった場合(
図4(a)参照)であっても、水位が下がった場合(
図4(b)参照)であっても、水面間距離zが維持されるため、水流発生部10から噴出される流体によって、スカムFSを効果的に破壊し押し流すことができる。
 
【0046】
  さらに、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1においては、フロート部40の上面が水面から30mm〜80mm程度水上に突出した構成であることが好ましい。
  この好ましい構成によれば、流速が遅くなる箇所である水流発生部10(を成す外筒部11)の上部へのスカム侵入を防ぎ、外筒部11の上方位置およびその近傍におけるスカムの堆積を抑制することができる。
 
【0047】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置1は、以上のように構成され機能するため、本実施形態によれば、比較的低コスト且つ簡単な構成により、ダム、湖沼、貯水槽、浄化槽、下水処理場等(閉鎖水域等)の水質を改善すべく、閉鎖水域等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムFSの堆積を抑制する、スカム堆積抑制装置を得ることができる。
 
【0048】
<第二実施形態>
  次に、本発明の第二実施形態にかかるスカム堆積抑制装置について説明する。
  
図5は、本発明の第二実施形態にかかるスカム堆積抑制装置およびその設置状態の概略図を示したものである。また、
図6は、本発明の第二実施形態にかかるスカム堆積抑制装置の概略構成図(作動状態概略図を含む)を示したものであり、
図6(a)は水位が上がった場合のスカム堆積抑制装置の概略側面図、
図6(b)は水位が下がった場合のスカム堆積抑制装置の概略側面図、
図6(c)は
図6(a)の矢視線A−A方向の概略上面図である。
 
【0049】
  図5等に示すように、本実施形態においては、スカム堆積抑制装置201が、暗渠UD内に(例えば下水処理場における最初沈殿池等内に)設置されている場合について説明する。本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、第一実施形態と同様に、暗渠UDの床面UD1に形成された開口部UD2から、暗渠UD内に搬入して設置可能な大きさに構成されている。
 
【0050】
  図5等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、水流発生部210、フロート部240(本発明の「深さ調整部」に相当)、流体供給パイプ部250、および作動補助部260等を用いて構成されている。
 
【0051】
  より具体的には、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、水中に設けられた水流発生部210と、この水流発生部210の位置を所定の深さに調整すべく、水流発生部210の上方位置に固着して設けられたフロート部240と、水流発生部210に駆動水である流体を供給すべく流体供給源に接続された流体供給パイプ部250と、フロート部240にて水流発生部210の位置を移動させる際、水流発生部210および流体供給パイプ部250の動きを補助すべく機能する作動補助部260等とを用いて構成されている。
 
【0052】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201を構成する水流発生部210の構成は、先に説明した第一実施形態にかかる水流発生部10と同様の構成である。したがって、ここでは、水流発生部210の具体的構成の説明については割愛する。
 
【0053】
  また、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201を構成するフロート部240の構成も、先に説明した第一実施形態にかかるフロート部40と同様の構成である。したがって、ここでは、フロート部240の具体的構成の説明については割愛する。
 
【0054】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201を構成する流体供給パイプ部250は、その上端部およびその近傍のいずれかの箇所が、暗渠UDの床面UD1に固定して構成されている。また、この流体供給パイプ部250は、伸縮配管内筒部252および伸縮配管外筒部254を用いて構成されている。本実施形態において、伸縮配管外筒部254の上端部およびその近傍のいずれかが、暗渠UDの床面UD1に固定され、伸縮配管内筒部252は、伸縮配管外筒部254内にて上下動すべく構成されている。
 
【0055】
  図5等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201を構成する作動補助部260は、連結支持部261、および環状支持部262等を用いて構成されている。
 
【0056】
  作動補助部260を成す連結支持部261と環状支持部262とは、一体的に構成されている(
図6(c)参照)。また、環状支持部262は、それぞれの伸縮配管外筒部254の外側の外側を摺動可能に構成され、連結支持部261は、環状支持部262とフロート部240とを連結させるべく構成されている。
 
【0057】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、以上のように構成されており、その具体的な構成は、
図5および
図6に示す通りである。以下、図面を参照しつつ、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201の構成および作用効果について説明する。
 
【0058】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、スカムFSの堆積を抑制する装置であって、水中に設けられた水流発生部210と、水流発生部210の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、水流発生部210に流体を供給する流体供給部とを備え、深さ調整部が、水流発生部210に固着されたフロート部240を用いて構成され、流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給パイプ部250を用いて構成されており、深さ調整部を成すフロート部240にて水流発生部210の位置を移動させる際、水流発生部210および流体供給パイプ部250の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部260が設けられており、流体供給パイプ部が、伸縮配管(伸縮配管外筒部254の内側に伸縮配管内筒部252を備えた伸縮配管)を用いて構成されており、作動補助部260が、伸縮配管を成す伸縮配管外筒部254の外側を摺動可能に設けられた環状支持部262、およびフロート部240と環状支持部262とを連結させた連結支持部261を用いて構成されている。
 
【0059】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、以上のように構成され、第一実施形態と同様に、フロート部240の有する浮力は、水流発生部210を成す外筒部の水面側端部と、水面WSとの距離(水面間距離z)が好ましい範囲(30mm〜500mm)、あるいはより好ましい範囲(50mm〜100mm)となるべく設定されている。つまり、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、第一実施形態と同様に、スカム堆積抑制装置201の全体重量とフロート部240の浮力とのバランスを考慮して、水面間距離zが好ましい範囲(あるいはより好ましい範囲)となるように構成されている。
 
【0060】
  本件の発明者らは、鋭意研究の結果、堆積しているスカムFSに流体を噴出させて、スカムFSを効果的に破壊したり押し流したりするためには、水流発生部210を成す外筒部の水面側端部と水面との距離(水面間距離z)が非常に重要であることを見出した。そして、この水面間距離zが、30mm〜500mmの範囲であることが好ましく、また、50mm〜100mmの範囲であることがより好ましいことを見出した。
 
【0061】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、上述したようなフロート部240が設けられているため、暗渠UD内の流体(下水等)の水位が変動した場合であっても、水面間距離zは所定の範囲に維持される。つまり、本実施形態によれば、水位が上がった場合(
図6(a)参照)であっても、水位が下がった場合(
図6(b)参照)であっても、水面間距離zが維持されるため、水流発生部210から噴出される流体によって、スカムFSを効果的に破壊し押し流すことができる。
 
【0062】
  さらに、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201においては、フロート部240の上面が水面から30mm〜80mm程度水上に突出した構成であることが好ましい。
  この好ましい構成によれば、流速が遅くなる箇所である水流発生部210(を成す外筒部)の上部へのスカム侵入を防ぎ、外筒部の上方位置およびその近傍におけるスカムの堆積を抑制することができる。
 
【0063】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置201は、以上のように構成され機能するため、本実施形態によれば、比較的低コスト且つ簡単な構成により、ダム、湖沼、貯水槽、浄化槽、下水処理場等(閉鎖水域等)の水質を改善すべく、閉鎖水域等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムFSの堆積を抑制する、スカム堆積抑制装置を得ることができる。
 
【0064】
<第三実施形態>
  次に、本発明の第三実施形態にかかるスカム堆積抑制装置について説明する。
  
図7は、本発明の第三実施形態にかかるスカム堆積抑制装置およびその設置状態の概略図を示したものである。また、
図8は、本発明の第三実施形態にかかるスカム堆積抑制装置の概略構成図(作動状態概略図を含む)を示したものであり、
図8(a)は水位が上がった場合のスカム堆積抑制装置の概略側面図、
図8(b)は水位が下がった場合のスカム堆積抑制装置の概略側面図、
図8(c)は
図8(a)の矢視線A−A方向の概略上面図である。
 
【0065】
  図7等に示すように、本実施形態においては、スカム堆積抑制装置301が、暗渠UD内に(例えば下水処理場における最初沈殿池等内に)設置されている場合について説明する。本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、第一実施形態等と同様に、暗渠UDの床面UD1に形成された開口部UD2から、暗渠UD内に搬入して設置可能な大きさに構成されている。
 
【0066】
  図7等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、水流発生部310、フロート部340(本発明の「深さ調整部」に相当)、流体供給ホース部350、および作動補助部360等を用いて構成されている。
 
【0067】
  より具体的には、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、水中に設けられた水流発生部310と、この水流発生部310の位置を所定の深さに調整すべく、水流発生部310の上方位置に固着して設けられたフロート部340と、水流発生部310に駆動水である流体を供給すべく流体供給源に接続された流体供給ホース部350と、フロート部340にて水流発生部310の位置を移動させる際、水流発生部310の動きを補助すべく機能する作動補助部360等とを用いて構成されている。
 
【0068】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301を構成する水流発生部310の構成は、先に説明した第一実施形態にかかる水流発生部10と同様の構成である。したがって、ここでは、水流発生部310の具体的構成の説明については割愛する。
 
【0069】
  また、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301を構成するフロート部340の構成も、先に説明した第一実施形態にかかるフロート部40と同様の構成である。したがって、ここでは、フロート部340の具体的構成の説明については割愛する。
 
【0070】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301を構成する流体供給ホース部350は、可撓性を有すべく構成されており、例えば、ゴムホース、塩ビ樹脂ホース等を用いて構成されている。
  また、本実施形態にかかる流体供給ホース部350は、一方端部が流体供給源に接続されており、他方端部がノズル部のパイプ接続部に接続されている。
 
【0071】
  図7等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301を構成する作動補助部360は、一対の下方レール支持部366、一対の上方レール支持部367、および一対の傾斜レール部369等を用いて構成されている。
 
【0072】
  より具体的には、作動補助部360を成すレール支持部(下方レール支持部366,上方レール支持部367)は、暗渠UDの床面UD1に形成された開口部UD2近傍に、それぞれの上方端部が固定されている。そして、下方レール支持部366の下方端部と上方レール支持部367の下方端部とに固定すべく、傾斜レール部369が設けられている。
 
【0073】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301を成す水流発生部310は、一対の傾斜レール部369の間に設けられ(
図8(c)参照)、この一対の傾斜レール部369の間を上下に摺動可能に構成されている。
 
【0074】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、以上のように構成されており、その具体的な構成は、
図7および
図8に示す通りである。以下、図面を参照しつつ、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301の構成および作用効果について説明する。
 
【0075】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、スカムFSの堆積を抑制する装置であって、水中に設けられた水流発生部310と、水流発生部310の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、水流発生部310に流体を供給する流体供給部とを備え、深さ調整部が、水流発生部310に固着されたフロート部340を用いて構成され、流体供給部が、流体供給源に接続された流体供給ホース部350を用いて構成されており、深さ調整部を成すフロート部340にて水流発生部310の位置を移動させる際、水流発生部310および流体供給ホース部350の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部360が設けられており、作動補助部360が、水流発生部310が摺動可能に設けられた一対の傾斜レール部369、および傾斜レール部369を固定するレール支持部(下方レール支持部366および上方レール支持部367)を用いて構成されている。
 
【0076】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、以上のように構成され、第一実施形態と同様に、フロート部340の有する浮力は、水流発生部310を成す外筒部の水面側端部と、水面WSとの距離(水面間距離z)が好ましい範囲(30mm〜500mm)、あるいはより好ましい範囲(50mm〜100mm)となるべく設定されている。つまり、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、第一実施形態と同様に、スカム堆積抑制装置301の全体重量とフロート部340の浮力とのバランスを考慮して、水面間距離zが好ましい範囲(あるいはより好ましい範囲)となるように構成されている。
 
【0077】
  本件の発明者らは、鋭意研究の結果、堆積しているスカムFSに流体を噴出させて、スカムFSを効果的に破壊したり押し流したりするためには、水流発生部310を成す外筒部の水面側端部と水面との距離(水面間距離z)が非常に重要であることを見出した。そして、この水面間距離zが、30mm〜500mmの範囲であることが好ましく、また、50mm〜100mmの範囲であることがより好ましいことを見出した。
 
【0078】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、上述したようなフロート部340が設けられているため、暗渠UD内の流体(下水等)の水位が変動した場合であっても、水流発生部310が一対の傾斜レール部369間を上下に摺動するため、水面間距離zは所定の範囲に維持される。つまり、本実施形態によれば、水位が上がった場合(
図8(a)参照)であっても、水位が下がった場合(
図8(b)参照)であっても、水面間距離zが維持されるため、水流発生部310から噴出される流体によって、スカムFSを効果的に破壊し押し流すことができる。
 
【0079】
  さらに、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301においては、フロート部340の上面が水面から30mm〜80mm程度水上に突出した構成であることが好ましい。
  この好ましい構成によれば、流速が遅くなる箇所である水流発生部310(を成す外筒部)の上部へのスカム侵入を防ぎ、外筒部の上方位置およびその近傍におけるスカムの堆積を抑制することができる。
 
【0080】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置301は、以上のように構成され機能するため、本実施形態によれば、比較的低コスト且つ簡単な構成により、ダム、湖沼、貯水槽、浄化槽、下水処理場等(閉鎖水域等)の水質を改善すべく、閉鎖水域等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムFSの堆積を抑制する、スカム堆積抑制装置を得ることができる。
 
【0081】
<第四実施形態>
  次に、本発明の第四実施形態にかかるスカム堆積抑制装置について説明する。
  
図9は、本発明の第四実施形態にかかるスカム堆積抑制装置およびその設置状態の概略図を示したものである。また、
図10は、本発明の第四実施形態にかかるスカム堆積抑制装置の概略構成図(作動状態概略図を含む)を示したものであり、
図10(a)は水位が上がった場合のスカム堆積抑制装置の概略側面図、
図10(b)は水位が下がった場合のスカム堆積抑制装置の概略側面図である。
 
【0082】
  図9等に示すように、本実施形態においては、スカム堆積抑制装置401が、暗渠UD内に(例えば下水処理場における最初沈殿池等内に)設置されている場合について説明する。本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、第一実施形態等と同様に、暗渠UDの床面UD1に形成された開口部UD2から、暗渠UD内に搬入して設置可能な大きさに構成されている。
 
【0083】
  図9等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、水流発生部410、流体供給ホース部450、作動補助部460、および制御部470等を用いて構成されている。本実施形態において、作動補助部460は、二つの上下動駆動部465を用いて構成されている。
 
【0084】
  より具体的には、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、水中に設けられた水流発生部410と、この水流発生部410の位置を所定の深さに調整すべく、水流発生部410の上方位置に固着して設けられた上下動駆動部465と、水流発生部410に駆動水である流体を供給すべく流体供給源に接続された流体供給ホース部450と、水位変動を検知する水位センサ部471と、この水位センサ部471からの信号に基づき上下動駆動部465を駆動させる制御部470等とを用いて構成されている。
 
【0085】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401を成す深さ調整部は、水位センサ部471、水位センサ部471からの信号に基づき回転ハンドル部463および上下動駆動部465(下方駆動軸461,上方支持軸462)を制御する制御部470、および上下動駆動部465等を用いて構成されている。
 
【0086】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401を構成する水流発生部410の構成は、先に説明した第一実施形態にかかる水流発生部10と同様の構成である。したがって、ここでは、水流発生部410の具体的構成の説明については割愛する。
 
【0087】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401を構成する流体供給ホース部450は、可撓性を有すべく構成されており、例えば、例えば、ゴムホース、塩ビ樹脂ホース等を用いて構成されている。
  また、本実施形態にかかる流体供給ホース部450は、一方端部が流体供給源に接続されており、他方端部がノズル部のパイプ接続部に接続されている。
 
【0088】
  図9等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401を構成する作動補助部460は、二つの上下動駆動部465を用いて構成されている。それぞれの上下動駆動部465は、水位センサ部471からの水位変動信号に基づく制御部470からの信号にて駆動すべく構成されている。また、それぞれの上下動駆動部465は、下方駆動軸461、および上方支持軸462等を用いて構成されている。さらに、それぞれの上下動駆動部465は、必要に応じて、回転ハンドル部463を用いて上下動可能に構成されている。
 
【0089】
  上下動駆動部465は、下方駆動軸461および上方支持軸462を用いて構成されている。下方駆動軸461は、軸が回転することで上下に摺動するように構成されている。また、上方支持軸462は、内部に回転機構を備え、回転軸材を鋼管で保護するように構成されている。すなわち、本実施形態においては、下方駆動軸461が上方支持軸462の内部に設けられており、上方支持軸462の回転機構(雌ねじ構造部)が回転することによって、下方駆動軸461(雄ねじ構造部)が上方支持軸462内を上下動すべく構成されている。
 
【0090】
  図9等に示すように、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、上下動駆動部465を成す下方駆動軸461の下方端部が、水流発生部410の上面に固着されており、上下動駆動部465を成す上方支持軸462の上方端部が、暗渠UDの床面UD1等に固定して取り付けられている。
 
【0091】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、以上のように構成されており、その具体的な構成は、
図9および
図10に示す通りである。以下、図面を参照しつつ、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401の構成および作用効果について説明する。
 
【0092】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、スカムFSの堆積を抑制する装置であって、水中に設けられた水流発生部410と、水流発生部410の位置を所定の深さに調整する深さ調整部と、水流発生部410に流体を供給する流体供給部とを備え、深さ調整部にて水流発生部410の位置を移動させる際、水流発生部410および流体供給部の少なくとも一方の動きを補助すべく機能する作動補助部460が設けられており、深さ調整部が、水位センサ部471と、作動補助部460と、これらの水位センサ部471および作動補助部460が電気的に接続された制御部471とを用いて構成され、作動補助部460が、制御部470からの信号に基づいて上下動する上下動駆動部465を用いて構成されており、作動補助部460と水流発生部410とが固着されている。
 
【0093】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、以上のように、水位センサ部471、制御部470、および作動補助部460(を成す上下動駆動部465)等を用いて、水流発生部410を成す外筒部の水面側端部と、水面WSとの距離(水面間距離z)が好ましい範囲(30mm〜500mm)、あるいはより好ましい範囲(50mm〜100mm)となるべく構成されている。つまり、本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、水位センサ部471からの信号に基づいて上下駆動部465を駆動させることによって、水面間距離zが好ましい範囲(あるいはより好ましい範囲)となるように構成されている。
 
【0094】
  本件の発明者らは、鋭意研究の結果、堆積しているスカムFSに流体を噴出させて、スカムFSを効果的に破壊したり押し流したりするためには、水流発生部410を成す外筒部の水面側端部と水面との距離(水面間距離z)が非常に重要であることを見出した。そして、この水面間距離zが、30mm〜500mmの範囲であることが好ましく、また、50mm〜100mmの範囲であることがより好ましいことを見出した。
 
【0095】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、上述したように構成されているため、暗渠UD内の流体(下水等)の水位が変動した場合であっても、水位センサ部471および上下動駆動部465等を用いることによって、水面間距離zは所定の範囲に維持される。つまり、本実施形態によれば、水位が上がった場合(
図10(a)参照)であっても、水位が下がった場合(
図10(b)参照)であっても、水面間距離zが維持されるため、水流発生部410から噴出される流体によって、スカムFSを効果的に破壊し押し流すことができる。
 
【0096】
  本実施形態にかかるスカム堆積抑制装置401は、以上のように構成され機能するため、本実施形態によれば、比較的低コスト且つ簡単な構成により、ダム、湖沼、貯水槽、浄化槽、下水処理場等(閉鎖水域等)の水質を改善すべく、閉鎖水域等の水面およびその近傍に浮遊しているスカムFSの堆積を抑制する、スカム堆積抑制装置を得ることができる。
 
【0097】
<その他の実施形態>
  なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
 
【0098】
  上記各実施形態においては、スカム堆積抑制装置を成す水流発生部10が、一つの外筒部11に対して二つのノズル部12を有する構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、水流発生部10を構成する際、必要に応じて、一つの外筒部に一つあるいは三つ以上のノズル部を設けてもよく、また、必要に応じて、複数の外筒部に一つ以上のノズル部を設ける構成としてもよい。