(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、電動作業車の一例である電動草刈機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、
図1に記載した符号Fの矢印が指し示す方向が電動草刈機の前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向が電動草刈機の上側である。
又、
図2に記載した符号Fの矢印が指し示す方向が電動草刈機の前側であり、符号Rの矢印が指し示す方向が電動草刈機の右側である。
【0016】
図1〜3に示すように、本実施形態で例示される電動草刈機は、乗用形の走行車体1、及び、走行車体1の前後中間下部に昇降可能に吊り下げ支持されたモアユニット2、などを備えている。
【0017】
走行車体1は、走行車体1の骨組みを形成する車体フレーム3、キャスタ式の左右の前輪4、独立変速駆動可能な左右の後輪5、左右の後輪5を覆う左右のフェンダ6、走行車体1の前部側に配置された搭乗式の運転部7、走行車体1の後部に配置されたバッテリ収納部8、バッテリ収納部8に着脱可能に取り付けられるバッテリパック9、走行用の左右の第1電動モータ10、左右の第1電動モータ10から左右の後輪5に減速伝動する左右のギア式減速装置11、左右の第1電動モータ10などの作動を制御する電子制御ユニット(以下、ECUと称する)12、及び、モアユニット2を昇降可能に吊り下げ支持する平行リンク式のリンク機構13、などを備えている。
【0018】
図1〜7に示すように、車体フレーム3は、左右のサイドメンバ14、左右のサイドメンバ14の前部側に架設された搭乗ステップ15、左右のサイドメンバ14の後部側に架設されたクロスメンバ16、左右のサイドメンバ14の後部側に連結された左右の第1ブラケット17、左右のサイドメンバ14の後部側から上方に延びる左右の第2ブラケット18、及び、左右の第2ブラケット18に支持されたアーチ状の保護フレーム19、などを備えている。
【0019】
図1〜6に示すように、左右の前輪4は、左右のサイドメンバ14の前端部に向き変更可能に支持されている。左右の後輪5は、左右のギア式減速装置11の出力軸20に一体回転可能に装着されている。左右のギア式減速装置11は、左右の第1ブラケット17に連結されている。左右のギア式減速装置11の入力部には、左右の第1電動モータ10が連結されている。
【0020】
図1〜3に示すように、運転部7は、バッテリパック9からECU12などへの給電を断続するキースイッチ21、車体フレーム3の前後中間部に支持された運転座席22、運転座席22の左右両側方に配置された左右の変速レバー23、及び、運転部7の足元部位に配置されたリフトペダル24、などを備えている。
【0021】
左右の変速レバー23は、揺動操作式で、それらの操作位置が左右のレバーセンサ(図示せず)を介してECU12に入力されている。ECU12は、左右のレバーセンサからの入力に基づいて、左右の第1電動モータ10の出力を制御する走行制御を行う。この走行制御により、作業者は、左右の変速レバー23を揺動操作することで、走行車体1の走行状態を、左右の後輪5を等速で正回転駆動させる前方直進状態、左右の後輪5を異なる速度で正回転駆動させる前進旋回状態、左右の後輪5を等速で逆回転駆動させる後方直進状態、左右の後輪5を異なる速度で逆回転駆動させる後進旋回状態、左右一方の後輪5を駆動停止させた状態で左右他方の後輪5を正回転駆動又は逆回転駆動させるピボット旋回状態、及び、左右の後輪5を異なる方向に回転駆動させるスピン旋回状態、に切り替えることができる。
【0022】
図1に示すように、リフトペダル24は、リンク機構13に連係されている。この連係により、作業者は、リフトペダル24の踏み込み操作を行うことで、モアユニット2を上方の退避位置に上昇させることができる。又、作業者は、リフトペダル24の踏み込み操作を解除することで、モアユニット2を下方の作業位置に下降させることができる。
【0023】
図1〜10に示すように、バッテリ収納部8は、バッテリパック9を支持する支持ユニット30、及び、車体フレーム3に上下揺動可能に支持された後開き式のバッテリカバー31、などを備えている。支持ユニット30は、底板32と左右の側板33と前板34とを備えてバッテリパック収納用の凹入空間35を形成している。バッテリカバー31は、バッテリパック9の上部側を覆う第1カバー部材36と、バッテリパック9の後部側を覆う第2カバー部材37とを備えている。第1カバー部材36及び第2カバー部材37は、下方の閉位置と上方の開位置とにわたって一体揺動する。
上記の構成により、バッテリ収納部8は、バッテリパック9の積み下ろしが走行車体1の後方から行われるように構成されている。
【0024】
図1〜14に示すように、バッテリパック9は、充電式のバッテリユニット40、及び、バッテリユニット40が収納されたバッテリケース50、などを備えている。バッテリユニット40は、複数のバッテリセル(図示せず)を有する複数のバッテリモジュール41、各バッテリセルの状態を監視して出力などを制御するバッテリ用の管理ユニット42、ジャンクションボックス43、これらを支持する支持フレーム44、電力線や通信線などを有するワイヤハーネス45、及び、車体側のコネクタ25に着脱可能に接続されるコネクタ46、などを備えている。バッテリケース50は防塵性及び防水性を有している。
ワイヤハーネス45及びコネクタ46は、支持ユニット30の前板34に形成された開口34Aを通って車体側のコネクタ25に接続されている。車体側のコネクタ25は、運転座席22の下方に配置されたECU12の上部に配備されている。
【0025】
図4〜13に示すように、バッテリケース50は、上部が開放された収納ケース51と、収納ケース51の上部に着脱可能に取り付けられた収納カバー52とを備えている。
これにより、バッテリケース50に対するバッテリユニット40の収納が行い易くなっている。
【0026】
図6〜13に示すように、収納ケース51は、底板53と左右の側板54と前板55と後板56とを備えてバッテリユニット用の収納空間57を形成している。収納ケース51は、底板53の四隅から上方に延びる補強部材58を備えている。
【0027】
図1〜14に示すように、バッテリパック9は、複数のバッテリモジュール41を備えることで、長時間の草刈り作業を可能にする電力量を蓄えることができる反面、重量が重くなっている。そこで、重量の重いバッテリパック9の移動を容易にするために、バッテリパック9の下部には移動用の左右の車輪60が配備され、バッテリパック9の後部にはハンドル61が配備されている。
【0028】
図1〜3に示すように、モアユニット2は、左右の前輪4と左右の後輪5との間に配置されている。モアユニット2は、回転駆動される複数のブレード70、各ブレード70を上方から覆うハウジング71、ハウジング71の後部に支持された作業用の第2電動モータ72、第2電動モータ72から各ブレード70に伝動するベルト式伝動装置(図示せず)、及び、第2電動モータ72とベルト式伝動装置とを覆う伝動カバー73、などを備えている。第2電動モータ72には、バッテリパック9からの電力が供給されている。
【0029】
図4〜13に示すように、バッテリ収納部8は、バッテリ収納部8に対するバッテリパック9の積み下ろしが行われる積み下ろし位置(
図4参照)と、バッテリパック9が収納される収納位置(
図6参照)とにわたって、バッテリパック9を案内するガイドユニット80を備えている。バッテリパック9は、ガイドユニット80で案内される被ガイドユニット90を備えている。ガイドユニット80は左右のローラ81を備えている。被ガイドユニット90は、左右のローラ81に係合する左右の係合部91を備えている。各ローラ81は、積み下ろし位置にてバッテリパック9の積み下ろしが行われるときには、各係合部91と係合することで、バッテリ収納部8に対するバッテリパック9の積み下ろし揺動を可能にする揺動支点として機能する。
上記の構成により、作業者は、バッテリパック9を収納位置に積み込むときには、先ず、バッテリカバー31の開き操作を行ってバッテリパック収納用の凹入空間35を開放した後、ハンドル61を掴んでバッテリパック9を積み下ろし位置に移動させる第1移動操作を行う。次に、ハンドル61を掴んだ状態で、積み下ろし位置において各係合部91を各ローラ81に係合させる係合操作を行った後、各ローラ81を揺動支点にしたバッテリパック9の荷積み揺動操作を行う。その後、ガイドユニット80の案内で、各ローラ81と各係合部91との係合を解除しながらバッテリパック9を積み下ろし位置から収納位置に移動させる第2移動操作を行う。これにより、バッテリパック9を収納位置に積み込むことができる。
又、作業者は、バッテリパック9を収納位置から取り出すときには、先ず、バッテリカバー31の開き操作を行ってバッテリパック収納用の凹入空間35を開放した後、ガイドユニット80の案内で、バッテリパック9を収納位置から積み下ろし位置に移動させながら各係合部91を各ローラ81に係合させる第3移動操作を行う。次に、積み下ろし位置において、ハンドル61を掴んで各ローラ81を揺動支点にしたバッテリパック9の荷下ろし揺動操作を行う。その後、ハンドル61を掴んだ状態で、各係合部91と各ローラ81との係合を解除する係合解除操作を行った後、バッテリパック9を積み下ろし位置から移動させる第4移動操作を行う。これにより、バッテリパック9を収納位置から車外に取り出すことができる。
つまり、移動用の左右の車輪60とハンドル61とに加えて、ガイドユニット80と被ガイドユニット90とを備えることで、作業者は、前述した開き操作と第1移動操作と係合操作と荷積み揺動操作と第2移動操作とを行うことで、バッテリパック9を収納位置に積み込むことができる。又、前述した開き操作と第3移動操作と荷下ろし揺動操作と係合解除操作と第4移動操作とを行うことで、バッテリパック9を収納位置から車外に取り出すことができる。
又、作業者が荷積み揺動操作又は荷下ろし揺動操作を行うときには、各ローラ81と各係合部91との係合で、バッテリパック9が自重で車体外側に変位する虞を回避することができる。これにより、作業者は、荷積み揺動操作又は荷下ろし揺動操作を行うときに、バッテリパック9の自重による車体外側への変位を人力で阻止する必要がなくなる。
その結果、構成の簡素化やコストの削減などを図りながら、車体に対するバッテリパック9の積み下ろしを行い易くすることができる。
【0030】
図4及び
図5に示すように、前述した揺動支点となる左右のローラ81は、バッテリパック9の積み下ろし揺動時にバッテリパック9の重心位置の近くに位置している。
これにより、作業者が積み下ろし位置においてバッテリパック9の荷積み揺動操作又は荷下ろし揺動操作を行うときの労力を軽減することができる。
【0031】
図4〜6及び
図10に示すように、積み下ろし位置は、バッテリ収納部8の後端に設定されている。収納位置は、ECU12に隣接するバッテリ収納部8の前側に設定されている。支持ユニット30は、積み下ろし位置で積み下ろし揺動されるバッテリパック9の底部との接触を回避するために、底板32の後方への延出長さが短く設定されている。支持ユニット30は、収納位置に積み込まれるバッテリパック9の左右の車輪60との接触を回避するために、左右の側板33の後下側に凹部33Aを備えている。
【0032】
図4〜13に示すように、被ガイドユニット90は、バッテリパック9の前後両端にわたる左右の被ガイドレール92を備え、かつ、前述した左右の係合部91が、各被ガイドレール92における前部側の下面に配置されている。ガイドユニット80は、前述した左右のローラ81と、左右の被ガイドレール92を案内する左右のガイドレール82とを備えている。各ローラ81は、バッテリ収納部8の積み下ろし位置側に各被ガイドレール92の下面を案内する状態で配置されている。各ガイドレール82は、各被ガイドレール92の下面を案内する下側ガイド部82Aと、各被ガイドレール92の上面を案内する上側ガイド部82Bとを備えて、バッテリ収納部8の収納位置側に、バッテリパック9の積み下ろし位置での積み下ろし揺動を許容する状態で配置されている。
上記の構成により、バッテリパック9を収納位置に積み込むときには、作業者は、前述した係合操作と荷積み揺動操作とを行った後、前述した第2移動操作を開始する。すると、各被ガイドレール92の上面が各上側ガイド部82Bに案内されるのに伴って、各ローラ81を揺動支点にしたバッテリパック9の下降揺動が阻止される。その後、第2移動操作が完了すると、各被ガイドレール92の後部側が各ローラ81で下方から受け止め支持され、かつ、各被ガイドレール92の前部側が各下側ガイド部82Aで下方から受け止め支持された状態になる。これにより、バッテリパック9は、収納位置からの移動が抑制された状態で収納位置に位置することになる。
又、バッテリパック9を収納位置から取り出すときには、作業者が前述した第3移動操作を行うと、バッテリパック9が積み下ろし位置に達するまでの間は、各被ガイドレール92の上面が各上側ガイド部82Bに案内されることで、各ローラ81を揺動支点にしたバッテリパック9の下降揺動が阻止される。そして、バッテリパック9が積み下ろし位置に達すると、各被ガイドレール92の上面に対する各上側ガイド部82Bの案内が解除されて、バッテリパック9の下降揺動が許容される。これにより、作業者は、前述した荷下ろし揺動操作を行うことができる。
つまり、バッテリパック9が積み下ろし位置と収納位置とにわたって移動する間は、各上側ガイド部82Bの作用でバッテリパック9の下降揺動が阻止されることから、作業者はバッテリパック9の下降揺動を人力で阻止する必要がなくなる。そして、バッテリパック9が収納位置に位置するときには、バッテリパック9の安定性を確保することができる。
その結果、バッテリパック9の収納位置での安定性を確保しながら、作業者がバッテリパック9を積み下ろし位置と収納位置とにわたって移動させるときの労力を軽減することができる。
【0033】
図7及び
図9に示すように、各下側ガイド部82Aには、左右の係合部91との接触を回避するための切り欠き82aが形成されている。
【0034】
図4〜6、
図9及び
図10に示すように、左右のローラ81は、支持ユニット30における左右の側板33の後部側に支持されている。左右のガイドレール82は、左右の側板33の前部側に支持されている。
【0035】
図4〜7及び
図10に示すように、左右のガイドレール82は、上側ガイド部82Bの後端部が後上がりに傾斜している。
これにより、作業者が、積み下ろし位置での荷積み揺動操作の完了間際に第2移動操作を開始したとしても、各上側ガイド部82Bの後端部により、各被ガイドレール92を各ガイドレール82の案内領域に確実に案内することができる。
その結果、車体に対するバッテリパック9の積み込みを更に行い易くすることができる。
【0036】
図4〜13に示すように、左右の被ガイドレール92及び左右の係合部91は、バッテリケース50の左右の外側面に備えられている。
これにより、作業者が左右の被ガイドレール92及び左右の係合部91を左右のローラ81に対して位置合わせするときの視認が容易になり、バッテリパック9の積み込み操作が行い易くなる。
【0037】
図4〜6、
図9〜11及び
図13に示すように、左右の被ガイドレール92は、バッテリケース50の前後両端部にわたる前後長さを有している。
これにより、左右の被ガイドレール92を、バッテリケース50の左右両側部を補強する補強部材に兼用することができる。その結果、構成の簡素化を図りながら、バッテリケース50の強度を高めることができる。
【0038】
図4〜13に示すように、左右の被ガイドレール92は、それらの前後両端部に樹脂製のエンド部材93を備えている。そして、前述した第2移動操作及び第3移動操作においては、各被ガイドレール92が各ローラ81で案内されるとともに、各前側のエンド部材93が各ガイドレール82に案内される。又、バッテリパック9が収納位置に位置するときには、各被ガイドレール92の後部側が各ローラ81で下方から受け止め支持されるとともに、各前側のエンド部材93が各ガイドレール82の下側ガイド部82Aで下方から受け止め支持される。
これにより、第2移動操作及び第3移動操作を円滑に行えるようにしながら、バッテリパック9の収納位置での安定性を確保することができる。
【0039】
図1〜8及び
図11〜13に示すように、左右の車輪60は、各車輪60の下部がバッテリパック9の底面(バッテリケース50の底面)よりも下方に位置し、かつ、各車輪60の後部がバッテリパック9の背面(バッテリケース50の背面)よりも後方に位置する状態で、バッテリパック9の後端下部に配置されている。ハンドル61は、バッテリパック9の後部からバッテリパック9よりも上側に延出している。
上記の構成により、バッテリパック9が車体から取り出されて所定の格納位置又は充電位置などに保管された状態では、バッテリパック9の前下端部と左右の車輪60とが接地することになる。これにより、保管状態のバッテリパック9が不測に移動する不都合の発生を抑制することができる。
又、作業者は、前述した第1移動操作又は第4移動操作を行うときには、ハンドル61の上部側を掴んでハンドル61を後下方に変位させることで、バッテリパック9の前部側を、左右の車輪60を支点にして容易に浮かすことができる。これにより、バッテリパック9の前部側を浮かせて行う第1移動操作及び第4移動操作が行い易くなる。
そして、作業者は、第1移動操作及び第4移動操作を行うときにバッテリパック9の前部側を浮かせることで、第1移動操作から前述した係合操作への移行、及び、前述した係合解除操作から第4移動操作への移行が行い易くなる。
その結果、車体に対するバッテリパック9の積み下ろしを更に行い易くしながら、バッテリパック9の保管状態での不測の移動を抑制することができる。
【0040】
図4〜7及び
図11〜13に示すように、ハンドル61は、伸縮式で、バッテリパック9に固定される左右の固定部61Aと、固定部61Aに対して摺動変位可能なアーチ状の可動部61Bとを備えている。各固定部61Aは、それらの上端がバッテリパック9の上端と略同じ高さに位置している。可動部61Bは、各固定部61Aよりも上側に位置する使用位置と各固定部61Aと略同じ高さに位置する格納位置とに変位可能に各固定部61Aに支持されている。
上記の構成により、例えば、前述した荷積み揺動操作又は荷下ろし揺動操作を行うときに、作業者が可動部61Bを格納位置から使用位置に摺動変位させると、バッテリパック9の上端から上方に延び出るハンドル61の延出長さが長くなり、バッテリパック9の揺動支点からハンドル61の上端までの距離が長くなる。これにより、作業者は、ハンドル61の上端側を掴むことで、バッテリパック9の荷積み揺動操作又は荷下ろし揺動操作に要する労力を軽減することができる。
又、例えば、バッテリパック9の前部側を浮かせた状態で第1移動操作又は第4移動操作を行うときに、作業者が可動部61Bを格納位置から使用位置に摺動変位させると、バッテリパック9の上端から上方に延び出るハンドル61の延出長さが長くなり、左右の車輪60からハンドル61の上端までの距離が長くなる。これにより、作業者は、ハンドル61の上端側を掴むことで、これらの移動操作に要する労力を軽減することができる。
そして、例えば、バッテリパック9をバッテリ収納部8に収納するとき、又は、バッテリパック9を車体から取り出して所定の格納位置又は充電位置などに保管するときに、作業者が可動部61Bを使用位置から格納位置に摺動変位させると、バッテリパック9の上端から上方に延び出るハンドル61の延出長さが短くなる。これにより、バッテリ収納部8、又は、バッテリパック9の保管場所などに要するバッテリパック9の配置空間を小さくすることができる。
【0041】
図示は省略するが、バッテリ収納部8は、バッテリパック9を収納位置に固定する固定具をバッテリカバー31に備えている。固定具は、バッテリカバー31の閉じ操作に伴って、収納位置のバッテリパック9に接触することで、バッテリパック9の収納位置からの変位を阻止する。
これにより、作業者は、バッテリパック9を収納位置に積み込んだ後、バッテリカバー31の閉じ操作を行うことで、バッテリパック9を収納位置に固定することができる。その結果、走行時の振動などに起因してバッテリパック9が収納位置から変位する虞を回避することができる。
【0042】
図8、
図9、
図13及び
図14に示すように、バッテリパック9は8個のブロック状の防振ゴム(防振部材の一例)62を備えている。各防振ゴム62は、バッテリケース50とバッテリユニット40との間に位置してバッテリユニット40を防振支持している。
上記の構成により、バッテリユニット40はバッテリケース内において各防振ゴム62で防振支持されている。これにより、各防振ゴム62の作用により、前述した第1移動操作、係合操作、荷積み揺動操作、第2移動操作、第3移動操作、荷下ろし揺動操作、係合解除操作、又は、第4移動操作が行われるときには、それらの操作時の振動がバッテリユニット40に伝わり難くなる。又、バッテリパック9がバッテリ収納部8に収納されたときには、走行時などの振動がバッテリユニット40に伝わり難くなる。
つまり、バッテリユニット40がバッテリケース内で防振支持されることで、バッテリパック9の着脱に関する各操作が行われるときと、バッテリパック9がバッテリ収納部8に収納されたときとにかかわらず、バッテリユニット40の防振を好適に行うことができる。
その結果、着脱時及び走行時などの振動がバッテリユニット40に悪影響を及ぼす虞を回避することができる。
【0043】
各防振ゴム62は、バッテリケース50とバッテリユニット40の支持フレーム44との間に位置してバッテリユニットを防振支持している。
これにより、バッテリユニット40の各バッテリモジュール41、管理ユニット42、及び、ジャンクションボックス43、などを個々に防振支持する場合に比較して、防振支持に要する防振ゴム62の数量を少なくすることができる。そして、各バッテリモジュール41と管理ユニット42とを、それらの間において相対的な変位が生じない状態で接続することができる。
その結果、バッテリユニット40の防振支持に関するコストの削減及び組み付け性の向上などを図りながら、各バッテリモジュール41と管理ユニット42との接続を良好に行うことができる。
【0044】
バッテリパック9は、前述した防振ゴム62として、バッテリケース50の底板53とバッテリユニット40の底面との間に配置される4個の第1防振ゴム(第1防振部材の一例)62Aと、バッテリケース50の後板56とバッテリユニット40の背面との間に配置される4個の第2防振ゴム(第2防振部材の一例)62Bとを備えている。
上記の構成により、例えば、前述した第1移動操作、第4移動操作、荷積み揺動操作、又は、荷下ろし揺動操作、などにおいてバッテリパック9が前上がりになるときには、バッテリユニット40をバッテリケース内の各第1防振ゴム62Aと各第2防振ゴム62Bとで安定的に防振支持することができる。
これにより、これらの操作時に生じる振動などをバッテリユニット40に伝わり難くしながら、バッテリユニット40を安定性良く支持することができる。
【0045】
バッテリユニット40の支持フレーム44は、矩形状の左右の第1部材47、及び、左右の第1部材47に架設された複数の第2部材48、などを備えている。支持フレーム44は、その上部に配置された前後の第2部材48により、管理ユニット42及びジャンクションボックス43を支持している。
【0046】
各第1防振ゴム62Aは、左右の第1部材47における底面の前後両端部に取り付けられている。各第2防振ゴム62Bは、左右の第1部材47における背面の上下両端部に取り付けられている。
【0047】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
【0048】
電動作業車の構成は種々の変更が可能である。
〔1〕例えば、電動作業車は、走行車体1の前部にバッテリ収納部8を備え、走行車体1の後部側に運転部7を備えていてもよい。
〔2〕例えば、電動作業車は、走行用の左右の第1電動モータ10と作業用の第2電動モータ72とを走行車体1に備えていてもよい。
〔3〕例えば、電動作業車は、走行用と作業用とを兼ねる単一の電動モータを走行車体1に備えていてもよい。
〔4〕例えば、電動作業車は、操舵可能な左右の前輪4、及び、前輪操舵用のステアリングホイール、などを備えていてもよい。
〔5〕例えば、電動作業車は、左右の後輪5に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
〔6〕例えば、電動作業車は、左右の前輪4及び左右の後輪5に代えて左右のクローラを備えるフルクローラ仕様に構成されていてもよい。
〔7〕例えば、電動作業車は、モアユニット2が走行車体1の前部に昇降可能に連結された電動フロントモアであってもよい。
〔8〕例えば、電動作業車は、刈草を貯留する集草容器を備えた電動草刈機であってもよい。
【0049】
バッテリ収納部8の構成は種々の変更が可能である。
〔1〕例えば、バッテリ収納部8は、バッテリパック9の積み下ろしが走行車体1の前方から行われる構成であってもよい。又、バッテリ収納部8は、バッテリパック9の積み下ろしが走行車体1の横側方から行われる構成であってもよい。
〔2〕例えば、バッテリ収納部8は、バッテリパック9の積み下ろし方向に応じて、前開き式のバッテリカバー31又は横開き式のバッテリカバー31を備えていてもよい。
〔3〕例えば、バッテリ収納部8は、車体フレーム3に着脱可能に支持されるバッテリカバー31を備えていてもよい。
〔4〕例えば、バッテリ収納部8は、バッテリパック9を収納位置に固定する固定具として、バッテリパック9を収納位置に受け止め保持する状態でバッテリ収納部8に着脱可能に取り付けられる固定バンド、収納位置のバッテリパック9を支持ユニット30などに連結する着脱式の連結具、又は、バッテリパック9の収納位置への積み込みに伴って左右のローラ81などに係合してバッテリパック9の収納位置からの変位を阻止するストッパ、などを備えていてもよい。
〔5〕例えば、バッテリ収納部8は、横幅の狭い2つのバッテリパック9を左右に並べて収納するために、2組のガイドユニット80を左右に並べて備えていてもよい。
〔6〕例えば、バッテリ収納部8は、ガイドユニット80を備えずに、バッテリパック9が収納位置に移動不能に取り付けられる構成であってもよい。
【0050】
バッテリパック9の構成は種々の変更が可能である。
〔1〕例えば、バッテリパック9は、ユニット化された複数のバッテリモジュール41と、バッテリ用の管理ユニット42と、ジャンクションボックス43とが、バッテリケース50の内部において個々に防振支持されていてもよい。
〔2〕例えば、バッテリパック9は、バッテリケース50の底面に複数の防振部材62が配備され、収納位置において、複数の防振部材62を介してバッテリ収納部8に防振支持される構成であってもよい。
〔3〕例えば、バッテリパック9は、バッテリケース50の底板53とバッテリユニット40の底面との間に配置される複数の第1防振部材62Aと、バッテリケース50の後板56とバッテリユニット40の背面との間に配置される複数の第2防振部材62Bと、バッテリケース50の前板55とバッテリユニット40の前面との間に配置される複数の第3防振部材とを備えていてもよい。
〔4〕例えば、バッテリパック9は、バッテリケース50に取り付けた複数の防振部材62を介して、バッテリユニット40がバッテリケース50に防振支持される構成であってもよい。
〔5〕例えば、バッテリパック9は、移動用の複数の車輪60として、単一の前輪60と左右の後輪60とを備えていてもよい。又、バッテリパック9は、移動用の複数の車輪60として、左右の前輪60と左右の後輪60とを備えていてもよい。
〔6〕例えば、バッテリパック9は、ハンドル61が、バッテリパック9に固定される固定部61Aと、固定部61Aに対して揺動変位可能な可動部61Bとを備える折り畳み式であってもよい。
〔7〕例えば、バッテリパック9は、ハンドル61の固定部61Aが、その上端がバッテリパック9の上端と同じ高さになる位置に配備されていてもよい。
〔8〕例えば、バッテリパック9は、ハンドル61の全体がバッテリパック9に対して変位するようにハンドル61がバッテリパック9に支持されていてもよい。
〔9〕例えば、バッテリパック9は、
図15及び
図16に示すように構成されていてもよい。
図15及び
図16に示す構成では、バッテリパック9は、その前側下端部に、車体から取り出されて所定の格納位置又は充電位置などに保管されたときに接地するゴム製の左右の接地部材94を備えている。
この構成により、バッテリパック9が車体から取り出されて所定の格納位置又は充電位置などに保管された状態では、バッテリパック9の左右の接地部材94と左右の車輪60とが接地することになる。これにより、保管状態のバッテリパック9が不測に移動する不都合の発生をより確実に抑制することができる。
〔10〕例えば、バッテリパック9は、被ガイドユニット90を備えずに、バッテリ収納部8の収納位置に移動不能に取り付けられる構成であってもよい。
【0051】
バッテリ収納部8及びバッテリパック9におけるガイドユニット80及び被ガイドユニット90の構成は種々の変更が可能である。
〔1〕例えば、ガイドユニット80及び被ガイドユニット90は、一対のローラ81及び一対のガイドレール82が支持ユニット30の底板32に配備され、かつ、左右の係合部91及び左右の被ガイドレール92がバッテリケース50の底面に配備されていてもよい。
〔2〕例えば、ガイドユニット80及び被ガイドユニット90は、被ガイドユニット90に、バッテリパック9の積み下ろし揺動を可能にする揺動支点として機能する左右のローラ81、及び、左右の被ガイドレール92が配備され、かつ、ガイドユニット80に、各ローラ81に係合する一対の係合部91、及び、左右のローラ81と左右の被ガイドレール92とを案内する一対のガイドレール82が配備されていてもよい。
〔3〕例えば、ガイドユニット80及び被ガイドユニット90は、
図15及び
図16に示すように構成されていてもよい。
図15及び
図16に示す構成では、被ガイドユニット90は、左右の係合部91と、バッテリパック9の前後両端にわたる左右の被ガイドレール92とを備えている。左右の係合部91は、左右の被ガイドレール92における前部側の下面に形成された段差部である。ガイドユニット80は、左右の被ガイドレール92の下面を案内する左右の第1ローラ81と、左右の被ガイドレール92の上面を案内する左右の第2ローラ83とを備えている。左右の第1ローラ81は、バッテリパック9の積み下ろし揺動を可能にする揺動支点として機能する状態でバッテリ収納部8の積み下ろし位置側に配置されている。左右の第2ローラ83は、バッテリ収納部8における左右の第1ローラ81よりも収納位置側の位置に、バッテリパック9の積み下ろし位置での積み下ろし揺動を許容する状態で配置されている。
上記の構成により、バッテリパック9を収納位置に積み込むときには、作業者は、前述した係合操作において左右の係合部91を左右の第1ローラ81に係合する。そして、前述した荷積み揺動操作を行った後、前述した第2移動操作を開始する。すると、各被ガイドレール92の上面が各第2ローラ83に案内されるのに伴って、各第1ローラ81を揺動支点にしたバッテリパック9の下降揺動が阻止される。その後、第2移動操作が完了すると、バッテリパック9が収納位置に位置することになる。
又、バッテリパック9を収納位置から取り出すときに、作業者が前述した第3移動操作を行うと、バッテリパック9が積み下ろし位置に達するまでの間は、各被ガイドレール92の上面が各第2ローラ83に案内されることで、各第1ローラ81を揺動支点にしたバッテリパック9の下降揺動が阻止される。そして、バッテリパック9が積み下ろし位置に達すると、各被ガイドレール92の上面に対する各第2ローラ83の案内が解除されて、バッテリパック9の下降揺動が許容される。これにより、作業者は、前述した荷下ろし揺動操作を行うことができる。
つまり、バッテリパック9が積み下ろし位置と収納位置とにわたって移動する間は、各第2ローラ83の作用でバッテリパック9の下降揺動が阻止されることから、作業者はバッテリパック9の下降揺動を人力で阻止する必要がなくなる。
その結果、作業者がバッテリパック9を積み下ろし位置と収納位置とにわたって移動させるときの労力を軽減することができる。
〔4〕例えば、ガイドユニット80及び被ガイドユニット90は、前述した揺動支点となる左右のローラ81が、バッテリパック9の積み下ろし揺動時にバッテリパック9の重心位置に位置する構成であってもよい。
【0052】
防振部材62には種々の形態のものを採用することができる。
〔1〕例えば、防振部材62はマット状の防振ゴムであってもよい。
〔2〕例えば、防振部材62は、ゴムとバネとが組み合わされた形態であってもよい。
〔3〕例えば、防振部材62は、ゴムとエアクッションとが組み合わされた形態であってもよい。
〔4〕例えば、防振部材62は、バッテリユニット40の外面、又は、バッテリケース50の内面に組み付けられたクッション材であってもよい。