特許第6842872号(P6842872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842872
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】個装吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/551 20060101AFI20210308BHJP
   A44B 18/00 20060101ALI20210308BHJP
   A61F 13/62 20060101ALI20210308BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   A61F13/551
   A44B18/00
   A61F13/62 110
   A61F13/15 200
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-192292(P2016-192292)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-51079(P2018-51079A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷澤 敦子
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−279606(JP,A)
【文献】 特表2007−518481(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0145523(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/149243(WO,A1)
【文献】 特開2008−237231(JP,A)
【文献】 特開2014−195540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/551
A44B 18/00
A61F 13/15
A61F 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液透過性の表面シートと体液不透過性の裏面シートの間に吸収体を配置した吸収性物品と、前記吸収性物品を個装する包装シートからなる個装吸収性物品において、
前記包装シートの長手方向のいずれか一側側部を、前記吸収性物品の長手方向の前側部よりも前側に延在させ、前記包装シートの幅方向の両側部を、前記吸収性物品の幅方向の両側部よりもそれぞれ左右側に延在させて形成し、
前記包装シートの内側に吸収性物品を上載した後に、前記包装シートと吸収性物品を長手方向の内側に向かって折曲げて個装吸収性物品を形成し、
前記個装吸収性物品の開封縁の近傍に位置する包装シートの内面に長手方向に所定の間隔を有し幅方向に延在する複数の係合ピンからなる係合部を形成し、
前記包装シートを係合部と係合可能な部材で形成し
前記開封縁の近傍に位置する包装シートを折曲げて折込み部を形成したことを特徴とする個装吸収性物品。
【請求項2】
前記係合部の幅方向の中心部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数を、幅方向の両側部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数よりも少なく形成した請求項1記載の個装吸収性物品。
【請求項3】
前記係合部の幅方向の中心部に半円形状の非係合部を形成し、前記係合部の幅方向の中心部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数と幅方向の両側部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数を同一本数に形成した請求項1記載の個装吸収性物品。
【請求項4】
前記係合ピンの先端部を鉤形状に形成した請求項2又は3記載の個装吸収性物品。
【請求項5】
前記開封縁の幅方向の両側部に切込み部を形成して、前記開封縁の幅方向の中心部を凸形状に形成した請求項1〜のいずれか1項に記載の個装吸収性物品。
【請求項6】
前記開封縁の近傍に位置する包装シートの外面に長手方向に所定の間隔を有し幅方向に延在する目印部を形成した請求項1〜のいずれか1項に記載の個装吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品を包装シートによって個装した個装吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品の長手方向の長さ、幅方向の幅よりも大きく形成された包装シートの内面に吸収性物品を上載した後に、吸収性物品と包装シートを長手方向の内側に向けて折り曲げて個装吸収性物品を形成し、個装吸収性物品の開封縁を粘着性を有する止着テープで止着する構成が提案されている。(特許文献1)
また、吸収性物品の幅方向の幅よりも大きく形成された包装シートの内面に吸収性物品を上載した後に、吸収性物品と包装シートを長手方向に巻いて包装シートの幅方向の延在部を捻じって個装吸収性物品を形成する構成が提案されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−104167号公報
【特許文献2】特開2013−27464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、包装シートとは別に止着テープを設ける必要があり、部品点数が増加し、また、止着テープの粘着性能の劣化に伴い、使用済の吸収性物品を包装シートで個装できない恐れがある。
【0005】
特許文献2の構成では、使用済の吸収性物品と包装シートを巻いて個装するために、多くの使用者が煩雑さを感じる恐れがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、個装吸収性物品の開封縁の近傍に位置する包装シートの内面に係合部を形成して部品点数を削減し、係合部の係合性能を所定以上に維持して使用済の吸収性物品を包装シートで容易に個装できる個装吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した手段は次記のとおりである。
第1手段は、体液透過性の表面シートと体液不透過性の裏面シートの間に吸収体を配置した吸収性物品と、前記吸収性物品を個装する包装シートからなる個装吸収性物品において、
前記包装シートの長手方向のいずれか一側側部を、前記吸収性物品の長手方向の前側部よりも前側に延在させ、前記包装シートの幅方向の両側部を、前記吸収性物品の幅方向の両側部よりもそれぞれ左右側に延在させて形成し、前記包装シートの内側に吸収性物品を上載した後に、前記包装シートと吸収性物品を長手方向の内側に向かって折曲げて個装吸収性物品を形成し、前記個装吸収性物品の開封縁の近傍に位置する包装シートの内面に長手方向に所定の間隔を有し幅方向に延在する複数の係合ピンからなる係合部を形成し、前記包装シートを係合部と係合可能な部材で形成し、前記開封縁の近傍に位置する包装シートを折曲げて折込み部を形成したことを特徴とする。
【0008】
第2手段は、第1手段の構成において、前記係合部の幅方向の中心部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数を、幅方向の両側部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数よりも少なく形成したことを特徴とする。
【0009】
第3手段は、第1手段の構成において、前記係合部の幅方向の中心部に半円形状の非係合部を形成し、前記係合部の幅方向の中心部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数と幅方向の両側部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数を同一本数に形成したことを特徴とする。
【0010】
第4手段は、第2又は3手段の構成において、前記係合ピンの先端部を鉤形状に形成したことを特徴とする。
【0011】
【0012】
手段は、第1〜のいずれか1項の手段の構成において、前記開封縁の幅方向の両側部に切込み部を形成して、前記開封縁の幅方向の中心部を凸形状に形成したことを特徴とする。
【0013】
手段は、第1〜のいずれか1項の手段の構成において、前記開封縁の近傍に位置する包装シートの外面に長手方向に所定の間隔を有し幅方向に延在する目印部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1手段によれば、包装シートの長手方向のいずれか一側側部を、吸収性物品の長手方向の前側部よりも前側に延在させ、包装シートの幅方向の両側部を、吸収性物品の幅方向の両側部よりもそれぞれ左右側に延在させて形成し、包装シートの内側に吸収性物品を上載した後に、包装シートと吸収性物品を長手方向の内側に向かって折曲げて個装吸収性物品を形成し、個装吸収性物品の開封縁の近傍に位置する包装シートの内面に長手方向に所定の間隔を有し幅方向に延在する複数の係合ピンからなる係合部を形成し、包装シートを係合部と係合可能な部材で形成したので、止着テープ等を使用する必要がなくなり部品点数を削減することができる。また、係合と係合解除を繰返しても係合ピンからなる係合部の係合性能の低下は少ないために使用済の吸収性物品を包装シートで容易に個装できる。
また、開封縁の近傍に位置する包装シートを折曲げて折込み部を形成したので、折込み部に係合ピンからなる係合部を確実に形成することができる。
【0015】
第2手段によれば、第1手段による効果に加えて、係合部の幅方向の中心部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数を、幅方向の両側部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数よりも少なく形成したので、個装吸収性物品の開封縁開封縁を引張って係合部の係合を解除して吸収性物品を容易に取出すことができる。
【0016】
第3手段によれば、第1手段による効果に加えて、係合部の幅方向の中心部に半円形状の非係合部を形成し、係合部の幅方向の中心部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数と幅方向の両側部に形成された係合ピンの単位面積当たりの本数を同一本数に形成したので、開封縁を引張って係合部の係合を解除して吸収性物品を容易に取出すことができ、また、係合部の形成が容易に行うことができる。
【0017】
第4手段によれば、第1又は2手段による効果に加えて、係合ピンの先端部を鉤形状に形成したので、係合部の係合力を所定以上に維持することができる。
【0018】
【0019】
手段によれば、第1〜のいずれかに記載の手段による効果に加えて、開封縁の幅方向の両側部に切込み部を形成して、開封縁の幅方向の中心部を凸形状に形成したので、使用者が開封縁を容易に判別することができる。
【0020】
手段によれば、第1〜のいずれかに記載の手段による効果に加えて、開封縁の近傍に位置する包装シートの外面に長手方向に所定の間隔を有し幅方向に延在する目印部を形成したので、使用者が開封縁をより容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】生理用ナプキンの一部を破断した平面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】生理用ナプキンを包装シートに上載した状態の個装吸収性物品の平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5】生理用ナプキンを包装シートに上載した個装吸収性物品の要部の平面図である。
図6】生理用ナプキンと包装シートの後側部を後側折曲げ線で内側に折曲げた状態の個装吸収性物品の平面図である。
図7】生理用ナプキンと包装シートの前側部を前側折曲げ線で内側に折曲げた状態の個装吸収性物品の平面図である。
図8】包装シートの折込み部と係合部の(a)は第2実施形態、(b)は第3実施形態、(c)は第4実施形態である。
図9】包装シートの折込み部と係合部の(a)は第5実施形態、(b)は第6実施形態、(c)は第7実施形態である。
図10】包装シートの折込み部と係合部の(a)は第8実施形態、(b)は第9実施形態、(c)は第10実施形態である。
図11】包装シートの折込み部と係合部の(a)は第11実施形態、(b)は第12実施形態、(c)は第13実施形態である。
図12】生理用ナプキンを包装シートで個装した状態の平面図であり(a)は第14実施形態であり、(b)は第15実施形態である。
図13】包装シートの折込み部の内面に係合部を形成する形成方法の説明図である。
図14】係合ピンの縦断面図であり(a)は鋸形状、(b)はT形状である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
吸収性物品と、吸収性物品を個装する包装シートからなる第1実施形態の個装吸収性物品について説明する。なお、以下では、吸収性物品として生理用ナプキンを例にして説明を行う。
【0023】
<生理用ナプキン>
図1,2に示すように、個装吸収性物品を形成する生理用ナプキン(請求項における「吸収性物品」)1は、前側部と後側部が円弧状に形成された略長方形状の本体部2と、本体部2の長手方向の中間部からそれぞれ幅方向に向かって延在する略台形状のウイング3から形成されている。
【0024】
生理用ナプキン1は、装着者の肌側に対向する内面側に位置する体液透過性の表面シート10と、外面側に位置する体液不透過性の裏面シート11と、表面シート10と裏面シート11の間に配置された体液を吸収する吸収体12から形成されている。
【0025】
裏面シート11における本体部2に対向する部位の外面の中央部には、幅方向に所定の間隔を有し長手方向に延在する略長方形状の第1粘着剤層14が設けられ、裏面シート11におけるそれぞれのウイング3に対向する部位の外面の中央部には、幅方向に所定の間隔を有し長手方向に延在する略長方形状の第2粘着剤層15が設けられている。これにより、生理用ナプキン1を下着等に確実に固定することができ、使用時に生理用ナプキン1のズレを防止することができる。
【0026】
表面シート10は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法及びエアスルー法は嵩高でソフトである点で優れている。
【0027】
裏面シート11は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0028】
吸収体12は、パルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、あるいはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0029】
高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。
【0030】
<包装シート>
図3,4に示すように、個装吸収性物品を形成する包装シート20は、略長方形状に形成され、前側端部は内側に向かって折曲げられ折込み部25を形成している。包装シート20の前側端部は、生理用ナプキン1の前側端部よりも前側に延在し、包装シート20の後側端部は、生理用ナプキン1の後側端部よりも後側に延在し、包装シート20の左側端部は、生理用ナプキン1の左側のウイング3を折曲げた状態における左側端部よりも左側に延在し、包装シート20の右側端部は、生理用ナプキン1の右側のウイング3を折曲げた状態における右側端部よりも右側に延在して形成されている。
【0031】
包装シート20における生理用ナプキン1の第1粘着剤層14に対向する部位の内面には、略長方形状の第1剥離材21が設けられ、包装シート20における後側部の内面には、幅方向に長手方向を有する略長方形状の第2剥離材22が設けられている。なお、第2剥離材22は、包装シート20の後側端部に接着剤23を介して第2剥離材22の後側端部が固定されている。
【0032】
図5,6に示すように、生理用ナプキン1と包装シート20を後側折曲げ線L1で内側に向かって折曲げた場合に、第2剥離材22は、生理用ナプキン1の第2粘着剤層15に対向する位置に設けられる。これにより、生理用ナプキン1を包装シート20から効率良く取出して、装着者が着用している下着に装着することができる。
【0033】
包装シート20の折込み部25の内面には、後述する超音波加工装50によって形成された長手方向に所定の間隔を有し幅方向の両側部に延在する幅方向に長手方向を有する略長方形状の係合部30が形成されている。
【0034】
図5〜7に示すように、係合部30は、生理用ナプキン1と包装シート20を後側折曲げ線L1で内側に向かって折曲げた後に、生理用ナプキン1と包装シート20を前側折曲げ線L2で内側に向かって折曲げた場合に、包装シート20の後側部の外面に係合される。なお、包装シート20の前側端部は、生理用ナプキン1と包装シート20を後側折曲げ線L1と前側折曲げ線L2に折曲げて、包装シート20で生理用ナプキン1を個装した状態で開封縁28として形成される。これにより、粘着テープ等を使用することなく、係合部30によって包装シート20の前側端部である開封縁28を包装シート20の外面に係合することができ、部品点数の削減を図ることができる。また、誤って係合部30の係合を解除した場合にあっても再度の容易に係合することができる。なお、係合部30は、開封縁28の近傍の位置に形成され、本明細書では、近傍とは、開封縁28から長手方向に0〜10mm離間した部位を言う。
【0035】
包装シート20の幅方向の両側部に位置する封止部分20Aは接着剤又はヒートシールによって封止される。なお、封止部分20Aは接着剤とヒートシールを併存して封止することもできる。また、本明細書では便宜的に、包装シート20の長手方向の後端部から後側折曲げ線L1で区画される部位を後側部S1といい、後側折曲げ線L1と前側折曲げ線L2で区画される部位を中間部S2といい、前側折曲げ線L2と長手方向の前端部で区画される部位を前側部S3という。
【0036】
係合部30の幅方向の中心部に形成された係合ピン55の単位面積当たりの個数は、幅方向の両側部に形成された係合ピン55の単位面積当たりの個数よりも少なく形成されている。これにより、開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。
【0037】
包装シート20は、係合部30と係合可能な部材で有ればよく、例えば、不織布、樹脂製フィルムに被係合部材を積層した積層シートで構成される。包装シート20を構成する不織布は、熱可塑性繊維の単独で使用するのが好ましく、熱可塑性繊維と綿繊維を混合して使用することもできる。
【0038】
包装シート20の厚みは0.01〜0.3mm、好適には0.02〜0.15mm、繊維目付けは10〜25g/m2、好適には15〜18g/m2とする。
【0039】
包装シート20を構成する熱可塑性繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等、もしくはその複合繊維、共重合体、ブレンド体を使用することができる。使用される繊維の繊維長は、長繊維、短繊維、あるいはこれらを混合したもののうち、いずれを使用してもよい。繊度は、1.5〜20dtexが好ましい。
【0040】
第1剥離材21は、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。同様に、第2剥離材22は、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。
【0041】
次に他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態の個装吸収性物品の包装シート20と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
<第2実施形態>
図8(a)に示すように、第2実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第2実施形態の係合部30は、幅方向の中央部に形成された係合部30と、係合部30の両側部の長手方向の間隔が狭い係合部31から形成され、係合部31がそれぞれ折込み部25の両側部まで延在している。これにより、折込み部25の内側端部26の幅方向の全域を包装シート20の外面に係合することができる。
【0043】
<第3実施形態>
図8(b)に示すように、第3実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25の幅方向の両側に矩形状の切込み部32を形成している。切込み部32の長手方向の内側端部は、折込み部25の長手方向の内側端部よりも内側に延在して、折曲げられて2重になった部位は除去されている。一方、第3実施形態の係合部30は、第2実施形態の係合部30と同一形態である。これにより、使用者が開封縁28における引張り部位を容易に判別することができる。
【0044】
<第4実施形態>
図8(c)に示すように、第4実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第4実施形態の係合部30は、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態であるが、係合部30の幅方向の中心部の前側部に略円弧状の非係合部33を形成している。これにより、係合部30の幅方向の中心部と両側部の係合ピン55の単位面積当たりの個数を同一個数にしても開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。
【0045】
<第5実施形態>
図9(a)に示すように、第5実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第5実施形態の係合部30は、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態であるが、係合部30が幅方向に所定の間隔を隔てて形成された複数の矩形状の係合部34で形成している。これにより、係合部30の係合力を抑制して開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。
【0046】
<第6実施形態>
図9(b)に示すように、第6実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第6実施形態の係合部30は、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態であるが、係合部30が幅方向に所定の間隔を隔てて形成された複数の矩形状の係合部35で形成され、この係合部35は、幅方向に所定の間隔を隔てて長手方向に延在するストライプ状に係合ピン55が配置されている。これにより、係合部30の係合力を抑制して開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。
【0047】
<第7実施形態>
図9(c)に示すように、第7実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第7実施形態の係合部30は、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態であるが、係合部30が幅方向の中心部の前側部に略円弧状の非係合部36Aが形成され、また、係合部36は、幅方向に所定の間隔を隔てて長手方向に延在するストライプ状に係合ピン55が配置されている。これにより、係合部36と係合部36Aの係合ピン55の単位面積当たりの個数を同一個数にしても開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。
【0048】
<第8実施形態>
図10(a)に示すように、第8実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第8実施形態の係合部37は、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態であるが、第2実施形態の係合部30よりも係合ピン55の単位面積当たりの個数を少なくしている。これにより、超音波加工装50による係合部30の形成時間を短くすることができる。
【0049】
<第9実施形態>
図10(b)に示すように、第9実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第9実施形態の係合部38は、幅方向の両側部にそれぞれ形成し、左側に形成された係合部38と右側に形成された係合部38の間に折込み部25の内側端部26に沿って延在する係合部38Aを形成している。これにより、係合部38と係合部38Aの係合ピン55の単位面積当たりの個数を同一個数にしても開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。
【0050】
<第10実施形態>
図10(c)に示すように、第10実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25と同一形態である。一方、第10実施形態の係合部39は、長手方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在するストライプ状に係合ピン55が配置されている。これにより、超音波加工装50による係合部39の形成時間を短くすることができる。
【0051】
<第11実施形態>
図11(a)に示すように、第11実施形態の折込み部25は、第1実施形態の折込み部25における幅方向の両側部に切込み部40を形成している。一方、第11実施形態の係合部40Aは、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態である。これにより、使用者が開封縁28における引張り部位を容易に判別することができる。
【0052】
<第12実施形態>
図11(b)に示すように、第12実施形態の折込み部25は、幅方向の中央部に略半形状の切込み部41を形成している。一方、第12実施形態の係合部41Aは、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態であるが、係合部30の幅方向の中央部に、切込み部41によって略円弧状の非係合部41Bが形成されている。これにより、使用者が開封縁28における引張り部位を容易に判別することができる。また、係合部41Aの幅方向の中心部と両側部の係合ピン55の単位面積当たりの個数を同一個数にしても開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。
【0053】
<第13実施形態>
図11(c)に示すように、第13実施形態の折込み部25は、幅方向の中央部に略半形状の切込み部42を形成している。一方、第13実施形態の係合部42Aは、第2実施形態の係合部30と係合部31と同一形態であるが、幅方向の中央部に、切込み部42によって略円弧状の非係合部42Bが形成され、幅方向に所定の間隔を隔てて、長手方向に延在するストライプ状に係合ピン55が配置されている。これにより、使用者が開封縁28における引張り部位を容易に判別することができる。また、係合部42Aの幅方向の中心部と両側部の係合ピン55の単位面積当たりの個数を同一個数にしても開封縁28等を引張ることによって係合を容易に解除することができる。さらに、超音波加工装50による係合部30の形成時間を短くすることができる。
【0054】
<第14実施形態>
図12(a)に示すように、包装シート20の外面における開口縁28の近傍の部位に長手方向に所定の間隔を有する幅方向に延在する目印部45を形成することができる。これにより、使用者が開封縁28における引張り部位を容易に判別することができる。
【0055】
<第15実施形態>
図12(b)に示すように、包装シート20の外面における開口縁28に隣接する部位に略三角形状の目印部46Aと、包装シート20の外面における開口縁28に対向する部位に目印部46Aを形成することができる。これにより、使用者が開封縁28における引張り部位を容易に判別することができる。
【0056】
次に、個装吸収性物品を形成する包装シート20の折込み部25の内面に、係合部30を形成する方法について説明する。
【0057】
図13に示すように、超音波加工装置50は、上側に配置された包装シート20に超音波振動を伝動する超音波振動部51と、超音波振動部51の下側に配置された上面に形成する係合ピン55の溝が刻印された刻印支持部52から構成されている。包装シート20の折込み部25の内面を刻印支持部52の上面に当接させながら一定の速度でMD方向に移送する。これにより、包装シート20の折込み部25の内面に、図14(a)に図示する鋸形状や、図14(b)に図示するT形状の係合ピン55を形成することができる。
【0058】
図13に示すように、超音波加工装置50は、包装シート20の折込み部25の下側に配置され折込み部25に超音波振動を伝動する超音波振動装置51と、超音波振動装置51の上側に配置された外周面に係合ピン55の溝が刻印されたアンビルローラ52から構成されている。折込み部25の内面をアンビルローラ52の外周面に当接させながら一定の速度でMD方向に移送する。これにより、折込み部25の内側端部を固定して使用時におけるめくれを防止し、また、折込み部25の内側端部の内面に、図14(a)に図示する鋸形状や、図14(b)に図示するT形状の係合ピン55を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁用パッド等の吸収性物品と、吸収性物品を個装する包装シートとから形成される個装吸収性物品に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
10 表面シート
11 裏面シート
12 吸収体
20 包装シート
25 折込み部
28 開封縁
30 係合部
32 切込み部
33 非係合部
45 目印部
55 係合ピン
図1
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