特許第6842875号(P6842875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842875
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】浴槽洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20210308BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20210308BHJP
   F24H 9/16 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   A47K3/00 Q
   F24H1/00 602L
   F24H9/16 Z
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-195782(P2016-195782)
(22)【出願日】2016年10月3日
(65)【公開番号】特開2018-57501(P2018-57501A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】大西 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】川島 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−038919(JP,A)
【文献】 特開平04−156817(JP,A)
【文献】 特開平11−299671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
F24H 1/00
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内に湯や洗浄液を噴射させて浴槽を洗浄する浴槽洗浄システムであって、
湯や洗浄液を浴槽内周面へ向けて噴射する洗浄ノズルと、
熱源機で加熱生成された湯を洗浄ノズルへ導く出湯管路と、
洗浄液タンク内の洗浄液を出湯管路へ導く洗浄液混合管路と、
出湯管路に導入される湯を、洗浄液混合管路に導入される洗浄液と混合して洗浄ノズルから噴射させる洗浄工程の実行手段と、
洗浄工程の実行前に、出湯管路に導入される湯を洗浄ノズルから噴射させる予備洗浄工程の実行手段と、
浴槽の排水栓を開閉させる排水制御手段とを備え、
排水制御手段は、予備洗浄工程、および洗浄工程の各工程が開始される前に排水栓を閉じ、前記各工程が終了する毎に排水栓を開く、浴槽洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽洗浄システムにおいて、
浄工程の実行後に、出湯管路に導入される湯を洗浄ノズルから噴射させるすすぎ工程の実行手段とを備え、
排水制御手段は、予備洗浄工程、洗浄工程、および、すすぎ工程の各工程が開始される前に排水栓を閉じ、前記各工程が終了する毎に排水栓を開く、浴槽洗浄システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浴槽洗浄システムにおいて、
洗浄工程の実行中又は実行後に、熱源機で加熱生成された湯を、洗浄ノズルの噴射流量より大流量にて湯を導出可能な注湯口部から浴槽内へ導出させる底面洗浄工程の実行手段を備え、
排水制御手段は、底面洗浄工程が開始される前に排水栓を閉じ、底面洗浄工程が終了すれば排水栓を開く、浴槽洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に湯や洗浄液を噴射させて浴槽を自動で洗浄する浴槽洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽と、浴槽に湯を供給する熱源機と、熱源機で加熱生成された湯を浴槽の洗浄ノズルへ供給する洗浄ユニットとで構成され、熱源機で加熱生成された湯を洗浄液タンク内の洗浄液と混合し、洗浄ノズルから噴射させることで、浴槽内を自動で洗浄するように構成された浴槽洗浄システムが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−2863号公報
【特許文献2】特開2012−170614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、浴槽は、使い心地の追求と相まって、形状が大型化且つ複雑化してきている。そのため、上記従来の浴槽洗浄システムのように、浴槽内周面へ向けて洗浄液を含んだ湯を噴射させただけでは、浴槽底面の全体へ洗浄液が行き渡り難く、汚れの洗い残しが生じる虞があった。特に、浴槽底面に段差や転倒防止用の凹凸が形成されたものでは、浴槽内周面から流下した洗浄液が浴槽底面の一部の領域に偏って流れるため、浴槽底面の全体へ洗浄液がより行き渡り難い。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、浴槽内に湯や洗浄液を噴射させることによって浴槽を自動で洗浄する浴槽洗浄システムにおいて、洗浄性能、特に、浴槽底面の洗浄性能の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、浴槽内に湯や洗浄液を噴射させて浴槽を洗浄する浴槽洗浄システムであって、湯や洗浄液を浴槽内周面へ向けて噴射する洗浄ノズルと、熱源機で加熱生成された湯を洗浄ノズルへ導く出湯管路と、洗浄液タンク内の洗浄液を出湯管路へ導く洗浄液混合管路と、出湯管路に導入される湯を、洗浄液混合管路に導入される洗浄液と混合して洗浄ノズルから噴射させる洗浄工程の実行手段と、洗浄工程の実行前に、出湯管路に導入される湯を洗浄ノズルから噴射させる予備洗浄工程の実行手段と、浴槽の排水栓を開閉させる排水制御手段とを備え、排水制御手段は、予備洗浄工程、および洗浄工程の各工程が開始される前に排水栓を閉じ、前記各工程が終了する毎に排水栓を開くようにしたものである。
【0007】
このものでは、排水栓を閉じた状態で洗浄工程が行われるから、洗浄工程が開始されると、湯と共に洗浄ノズルから噴射される洗浄液が次第に浴槽底面に溜まっていき、浴槽底面の全体に行き渡る。その結果、浴槽底面に付着した汚れに洗浄液が浸透し、表面から汚れを浮き上がらせる。そして、洗浄工程が終了し、排水栓が開かれると、上記汚れは、湯や洗浄液と共に外部に排出される。従って、浴槽底面に汚れの洗い残しが生じ難い。
【0008】
しかも、このものでは、洗浄工程の実行中に浴槽内周面から洗い落とされた汚れも浴槽底面に溜められた湯や洗浄液中に回収されるため、その後、排水栓が開かれた際に排水口から湯や洗浄液と共に円滑に排出される。従って、浴槽内に汚れがより残留し難い。
また、このものでは、排水栓を閉じた状態で予備洗浄工程が行われるから、洗浄工程実行前の予備洗浄工程が開始されると、洗浄ノズルから噴射される湯が次第に浴槽底面に溜まっていき、浴槽底面の全体に行き渡る。その結果、浴槽底面に付着した汚れが水分を含んで柔らかくなり、洗い落とし易くなる。そして、予備洗浄工程が終了し、排水栓が開かれると、上記汚れは、湯と共に外部に排出される。
しかも、このものでは、予備洗浄工程の実行中に浴槽内周面から洗い落とされた汚れも同様、浴槽底面に溜められた湯中に回収され、その後、排水栓が開かれた際に排水口から湯と共に排出されるから、浴槽内に汚れや洗浄液がより残留し難い。
【0009】
好ましくは、上記浴槽洗浄システムにおいて、洗浄工程の実行後に、出湯管路に導入される湯を洗浄ノズルから噴射させるすすぎ工程の実行手段とを備え、排水制御手段は、予備洗浄工程、洗浄工程、および、すすぎ工程の各工程が開始される前に排水栓を閉じ、前記各工程が終了する毎に排水栓を開く。
【0010】
このものでは、洗浄工程実行後のすすぎ工程が開始された場合も同様、洗浄ノズルから噴射される湯が次第に浴槽底面に溜まっていき、浴槽底面の全体に行き渡る。その結果、浴槽底面に残留した汚れや洗浄液を浴槽底面から浮き上がらせる。そして、すすぎ工程が終了し、排水栓が開かれると、上記汚れや洗浄液は、湯と共に排水口から排出される。従って、浴槽底面に汚れや洗浄液の洗い残しが一層生じ難い。
【0011】
しかも、このものでは、すすぎ工程の実行中に浴槽内周面から洗い落とされた汚れや洗浄液も同様、浴槽底面に溜められた湯中に回収され、その後、排水栓が開かれた際に排水口から湯と共に排出されるから、浴槽内に汚れや洗浄液がより残留し難い。
【0012】
好ましくは、上記浴槽洗浄システムにおいて、洗浄工程の実行中又は実行後に、熱源機で加熱生成された湯を、洗浄ノズルの噴射流量より大流量にて湯を導出可能な注湯口部から浴槽内へ導出させる底面洗浄工程の実行手段を備え、排水制御手段は、底面洗浄工程が開始される前に排水栓を閉じ、底面洗浄工程が終了すれば排水栓を開く。
【0013】
この種の浴槽洗浄システムでは、通常、浴槽洗浄運転時に洗浄ノズルから噴射される湯の流量(噴射流量)は、湯張り運転時に浴槽金具やカラン等の注湯口部から浴槽内へ導出させる湯の流量に比べて少ない。そのため、洗浄工程の実行時に洗浄ノズルから噴射された湯量にて浴槽底面の汚れも洗い流そうとしても、汚れの度合によっては、確実に排出できない虞がある。しかしながら、本発明によれば、上記した洗浄工程の実行中又は実行後、洗浄ノズルの噴射流量より大流量の湯を注湯口部から浴槽内に導出させる底面洗浄工程が行われるから、浴槽底面にて湯や洗浄液が攪拌され、汚れを浴槽底面から浮き上がらせる。そして、底面洗浄工程が終了し、排水栓が開かれると、上記汚れは、湯や洗浄液と共に外部に排出される。従って、浴槽内に汚れが一層残留し難い。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、浴槽内に汚れの洗い残しが生じ難く、洗浄性能、特に、浴槽底面の洗浄性能の高い浴槽洗浄システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄システムの作動フローチャート(1)である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄システムの作動フローチャート(2)である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄システムの作動フローチャート(3)である。
図5図5は、本発明の他の実施形態に係る浴槽洗浄システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄システム1は、浴槽2と、浴槽2内の風呂水や上水道から供給される水を加熱し湯を生成する熱源機としての給湯器3と、給湯器3で加熱生成された湯を洗浄液と混合して浴槽2の洗浄ノズル25に供給する洗浄ユニット4と、給湯器3や洗浄ユニット4の動作を設定指示する操作端末5とで構成されている。
【0018】
浴槽2の内側周面(以下、「浴槽内周面」という)21には、浴槽2内の風呂水を給湯器3との間で循環させるための浴槽金具23が設けられている。浴槽2の底部には、浴槽2内の風呂水や浴槽洗浄運転時に浴槽2内に噴射される湯等を外部に排出させるための排水口20が開設されている。排水口20には、排水口20を自動で閉塞可能な排水栓24が設けられている。浴槽2の内側底面(以下、「浴槽底面」という)22には、洗浄ユニット4から供給される湯を浴槽内周面21へ向けて噴射させる洗浄ノズル25が設けられている。
【0019】
浴槽金具23は、給湯器3の追焚用の熱交換器32Bに戻り配管13および往き配管14を介して接続されている。また、浴槽金具23は、往き配管14を介して給湯用の熱交換器32Aにも接続されており、後述する底面洗浄工程や湯張り運転の際に給湯器3で加熱生成された湯を浴槽2内に供給する注湯口部となる。図示しないが、浴槽金具23は、浴槽2内の風呂水を戻り配管13を通じて給湯器3へ導出する吸込口と、浴槽2内の風呂水や給湯器3で加熱生成された湯を往き配管14を通じて浴槽2内へ導入する吹出口とを備えている。上記吹出口は、浴槽洗浄運転時に洗浄ノズル25から噴射させる湯の流量(噴射流量)より大流量にて湯を導出可能な大きさに形成されている。
【0020】
尚、本実施の形態では、後述する底面洗浄工程や湯張り運転の際、上記噴射流量より大流量の湯を、浴槽金具23を通じて浴槽2内に供給するように構成されているが、浴槽2に浴槽金具23が設けられておらず、浴槽2の近傍に設けられたカラン(注湯口部)を通じて浴槽2内に上記噴射流量より大流量の湯を供給するように構成されたものとしてもよい。
【0021】
排水栓24は、図示しない弁駆動部に接続されており、洗浄ユニット4に組み込まれた洗浄制御回路4Cからの指示に応じて自動で開閉するように構成されている。このように、自動開閉可能な排水栓24を備えた浴槽2を用いて浴槽洗浄システム1を構成することで、浴槽洗浄運転が終了した後、引き続き湯張り運転が自動で実行されるように構成することができる。尚、排水栓24は、給湯器3に組み込まれた給湯制御回路3Cからの指示に応じて自動開閉するように構成されたものとしてもよい。
【0022】
洗浄ノズル25は、洗浄ユニット4の出湯管路41に洗浄配管15を介して接続されている。図示しないが、洗浄ノズル25は、洗浄ユニット4から洗浄配管15を通じて供給される湯を浴槽内周面21の全周に亘って放射状に噴射する噴射口を備えている。
【0023】
給湯器3は、個別に点消火可能な給湯用のバーナ(以下、「給湯バーナ」という)31Aおよび追焚用のバーナ(以下、「追焚バーナ」という)31Bを備えている。さらに、給湯器3は、給湯バーナ31Aから放出されるガスの燃焼熱を回収し、上水道から給水配管11を通じて供給される水を加熱する給湯用の熱交換器(以下、「給湯熱交換器」という)32Aと、追焚バーナ31Bから放出されるガスの燃焼熱を回収し、浴槽2から戻り配管13を通じて供給される風呂水を加熱する追焚用の熱交換器(以下、「追焚熱交換器」という)32Bとを備えている。
【0024】
給湯熱交換器32Aの水入口は、給湯用の入水管路33Aを介して給水配管11に接続されている。一方、給湯熱交換器32Aの湯出口は、給湯用の出水管路34Aを介して給湯配管12に接続されている。尚、給水配管11は、上水道に繋がっており、給湯配管12は、カランやシャワーなどの温水利用先Kに繋がっている。
【0025】
追焚熱交換器32Bの水入口は、追焚用の入水管路33Bを介して戻り配管13に接続されている。一方、追焚熱交換器32Bの湯出口は、追焚用の出水管路34Bを介して往き配管14に接続されている。
【0026】
給湯用の入水管路33Aには、給水配管11から給湯熱交換器32Aへの通水量を検出する給水量センサ35と、給水配管11から入水管路33Aに供給される水を給湯用の出水管路34Aに分流させる分流弁36とが上流側よりこの順序で配設されている。
【0027】
追焚用の入水管路33Bには、浴槽2の水位を検出する圧力センサ37と、浴槽2内の風呂水を追焚熱交換器32Bとの間で循環させる循環ポンプ38とが上流側よりこの順序で配設されている。
【0028】
給湯用の出水管路34Aは、中間部から分岐し、湯張り用バイパス管路30を通じて追焚用の出水管路34Bの中間部に合流接続されている。湯張り用バイパス管路30には、給湯用の出水管路34Aから追焚用の出水管路34Bへの通水を遮断可能なバイパス開閉弁39が設けられている。
【0029】
給湯器3には、温水利用先Kや洗浄ユニット4へ湯を供給する給湯運転、浴槽2へ湯を供給する湯張り運転、浴槽2内の風呂水を循環加熱する追焚運転など、給湯器3の動作を制御する給湯制御回路3Cが組み込まれている。
【0030】
給湯制御回路3Cは、操作端末5の操作状態を監視する操作判定部、給水量センサ35の検知水量が所定水量以上を示したか否かを監視する出湯判定部、分流弁36の開度の調整を行う出湯温制御部、給湯バーナ31Aおよび追焚バーナ31Bの点消火動作を制御するバーナ制御部、バイパス開閉弁39の開閉を行う湯張り制御部、バイパス開閉弁39が開かれたときの給水量センサ35の検知水量の積算値(以下、「注湯積算値」という)Laを監視する湯張り量判定部、圧力センサ37の検知圧力を監視する浴槽水位判定部、循環ポンプ38のオンオフ動作を制御する追焚制御部、追焚運転の実行時間を計測する計時部等の回路構成を有している。
【0031】
また、給湯制御回路3Cは、給湯熱交換器32Aで加熱生成された湯を浴槽金具23から浴槽2内に供給する湯張り運転の実行部、操作端末5の追焚スイッチ52がオン操作されてから所定時間が経過するまで循環ポンプ38を作動させて、浴槽2内の風呂水を追焚熱交換器32Bとの間で循環させる追焚運転の実行部、浴槽洗浄運転中(ここでは、後述する予備洗浄工程、洗浄工程およびすすぎ工程の各工程の実行後)に給湯熱交換器32Aで加熱生成された湯を浴槽金具23から浴槽2内へ導出させる底面洗浄工程の実行部等の回路構成を有している。
【0032】
洗浄ユニット4は、洗浄液を貯留可能な洗浄液タンク40と、給湯器3から給湯配管12に導出された湯を洗浄配管15へ導く出湯管路41と、洗浄液タンク40内の洗浄液を出湯管路41へ導く洗浄液混合管路42とを備えており、出湯管路41の上流端に給湯配管12が接続され、下流端に洗浄配管15が接続されている。
【0033】
洗浄液混合管路42は、上流端が洗浄液タンク40の洗浄液排出口に接続され、下流端が出湯管路41の中間部に合流接続されている。また、洗浄液混合管路42には、洗浄液タンク40から出湯管路41への洗浄液の導出を遮断可能な洗浄液開閉弁43が配設されている。
【0034】
出湯管路41における洗浄液混合管路42の合流部44より上流側には、出湯管路41の上流側への洗浄液や湯の逆流を防止するための逆流防止弁45と、出湯管路41から洗浄配管15への湯の供給を遮断可能な出湯開閉弁46と、給湯配管12から出湯管路41への通水量を検出する湯量センサ47と、出湯管路41から洗浄配管15への通水量(流量)を調整可能な流量調整弁48とが下流側よりこの順序で配設されている。
【0035】
合流部44は、略中央が縮径するベンチュリ管構造となっており、洗浄液混合管路42は、合流部44の縮径部に連結されている。従って、洗浄液開閉弁43が開かれた状態において、洗浄液タンク40内の洗浄液は、出湯管路41に導入された湯が合流部44の縮径部を流通する際の負圧によって出湯管路41に引き込まれ、湯と混合される。
【0036】
洗浄ユニット4には、給湯器3で加熱生成された湯を洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射させる浴槽洗浄運転など、洗浄ユニット4の動作を制御する洗浄制御回路4Cが組み込まれている。
【0037】
洗浄制御回路4Cは、操作端末5の操作状態を監視する操作判定部、出湯開閉弁46の開閉や流量調整弁48の開度の調整を行う噴射量制御部、洗浄液開閉弁43の開閉を行う洗浄液量制御部、排水栓24の開閉を行う排水制御部、洗浄ノズル25からの湯の噴射時間Saや予め設定された待機時間Sdを計測する計時部、浴槽洗浄運転における所定の工程(ここでは、後述する洗浄工程およびすすぎ工程)を実行した回数(以下、「繰り返し回数」という)Naを計測する計数部、上記繰り返し回数Naを記憶する記憶部等の回路構成を備えている。
【0038】
また、洗浄制御回路4Cは、給湯器3から供給される湯を洗浄液タンク40内の洗浄液と混合して洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射させる洗浄工程の実行部、洗浄工程の実行前に給湯器3から供給される湯を洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射させる予備洗浄工程の実行部、洗浄工程の実行後に給湯器3から供給される湯を洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射させるすすぎ工程の実行部等の回路構成を備えている。
【0039】
操作端末5は、浴槽洗浄システム1の運転スイッチ50、湯張り運転の開始を指示する湯張りスイッチ51、追焚運転の開始を指示する追焚スイッチ52、浴槽洗浄運転の開始を指示する浴槽洗浄スイッチ53、給湯温度や湯張り量、洗浄回数などの設定を加減するための加減スイッチ54、給湯温度や湯張り量などの動作条件を表示する表示部55、および、湯張り運転や浴槽洗浄運転が終了したことを音声にて報知する音声出力部56を備えており、給湯器3および洗浄ユニット4のそれぞれの制御回路(給湯制御回路3C、洗浄制御回路4C)に有線又は無線で接続されている。即ち、給湯制御回路3Cおよび洗浄制御回路4Cは、操作端末5を介して有線又は無線で接続されている。
【0040】
尚、本実施の形態では、一つの操作端末5にて給湯器3および洗浄ユニット4の各動作を設定指示できるように構成されているが、給湯器3用の操作端末と洗浄ユニット4用の操作端末とがそれぞれ別個に設けられ、給湯温度や湯張り量の設定、湯張り運転の開始の指示は給湯器3用の操作端末で操作し、洗浄回数や浴槽洗浄運転の開始の指示は洗浄ユニット4用の操作端末で操作するように構成されたものとしてもよい。
【0041】
上記浴槽洗浄システム1による浴槽洗浄運転時の制御動作を、図2から図4のフローチャートに従って説明する。尚、以下の浴槽洗浄運転を行うにあたって、操作端末5にて運転スイッチ50のオン操作がなされると、給湯制御回路3Cおよび洗浄制御回路4Cのそれぞれの主制御プログラムが起動し、給湯運転や湯張り運転、追焚運転、浴槽洗浄運転等が実行可能な状態となる。
【0042】
浴槽洗浄スイッチ53のオン操作がなされると、まず、浴槽2の排水栓24を開き、浴槽2内の風呂水を外部に排出させる(ST1〜ST2)。そして、待機時間Sdが予め設定された第1待機設定時間D1(例えば、300秒)に達すれば、「浴槽洗浄を開始する」旨を操作端末5の表示部55に表示させ且つ音声出力部56から音声出力させる(ST3〜ST4)。尚、第1待機設定時間D1は、予め設定された複数の基準時間(例えば、0秒、300秒、600秒)の中から使用者が任意に選択して設定されるが、湯張り運転によって浴槽2内に供給される湯量、即ち、操作端末5で設定入力された湯張り設定量L1(例えば、100リットル)の風呂水が略全て排水口20から排出されるのに要する時間を想定して算出されるものとしてもよい。
【0043】
ST2からST4のステップに示した排水工程が終了すれば、排水栓24を閉じると共に、出湯開閉弁46を開く(ST5〜ST6)。また、図示しないが、湯量センサ47の検出流量が予め設定された予備洗浄時の流量(例えば、洗浄ノズル25から浴槽内周面21の上域へ向けて湯を噴射可能な流量、6リットル/分)となるよう、流量調整弁48の開度を調整する。これにより、給水配管11から給湯器3の給湯熱交換器32Aへの通水が開始される。
【0044】
そして給湯熱交換器32Aへの通水が開始された結果、給水量センサ35の検知水量が所定水量以上になれば、給湯バーナ31Aを点火させ、給湯熱交換器32Aに導入される水の加熱を開始する。これにより、給湯熱交換器32Aで加熱生成された湯が給湯配管12を通じて洗浄ユニット4の出湯管路41に導入され、洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射される。このとき、洗浄ノズル25からの噴射流量は、予備洗浄時の流量に調整されているため、洗浄ノズル25から噴射される湯は、浴槽内周面21の所定位置(例えば、浴槽内周面21の上域)へ噴き付けられる。その結果、浴槽内周面21に付着していた毛髪やごみなどの汚れが洗い落とされると共に、特に喫水線となる付近にこびり付いた石鹸や皮脂成分などの汚れが水分を吸収して柔らかくなり、後の洗浄工程において洗い落とし易くなる。また、浴槽内周面21へ湯が噴射されている間、排水栓24は閉じた状態で維持されているから、浴槽内周面21に噴射された湯は、上記汚れと共に浴槽内周面21を伝って流下し、次第に浴槽底面22に溜まっていく。
【0045】
浴槽内周面21への湯の噴射を開始した後、噴射時間Saが予め設定された第1噴射設定時間S1(例えば、60秒)に達した場合は、出湯開閉弁46を閉じ、洗浄ノズル25への通水を遮断する(ST7〜ST8)。これにより、浴槽内周面21への湯の噴射が停止される。
【0046】
ST5からST8のステップに示した予備洗浄工程が終了すれば、排水栓24を閉じた状態のまま、バイパス開閉弁39を開き、給湯器3の給湯熱交換器32Aで加熱生成された湯を浴槽金具23から浴槽2内へ導入させる(ST9)。これにより、浴槽金具23から浴槽2内に導入された湯が浴槽底面22を回流して浴槽底面22に溜まった湯を攪拌させ、表面に付着していた毛髪やごみなどの汚れを浮き上がらせる。
【0047】
浴槽金具23から浴槽2内への湯の導入が開始された後、注湯積算値Laが所定の底面洗浄設定量L2(例えば、10リットル)に達した場合は、バイパス開閉弁39を閉じて浴槽金具23への通水を停止させると共に排水栓24を開き、待機時間Sdが予め設定された第2待機設定時間D2(例えば、60秒)に達するまで排水栓24を開状態で維持する(ST10〜ST13)。これにより、汚れを含んだ浴槽2内の湯が外部へ排出される。尚、底面洗浄設定量L2は、浴槽2内に導入された湯が浴槽底面22の全面を回流可能な量に設定される。また、第2待機設定時間D2は、予備洗浄工程によって洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射される湯量と、底面洗浄工程によって浴槽金具23から浴槽2内に導入される湯量(底面洗浄設定量L2)との合計量の湯が略全て排水口20から排出されるのに要する時間、および、浴槽内周面21に付着した汚れが水分を十分に吸収して柔らかくなり、後の洗浄工程にて洗い落とし易くなるのに要する時間を想定して概算設定される。また、底面洗浄工程の実行時に浴槽金具23から浴槽2内に導出される湯の流量は、予備洗浄工程や洗浄工程、すすぎ工程実行時の洗浄ノズル25からの湯の噴射流量よりも大きい値(例えば、12リットル/分)になる。
【0048】
ST9からST13のステップに示した底面洗浄工程が終了すれば、排水栓24を閉じ、さらに出湯開閉弁46および洗浄液開閉弁43を開く(ST14〜ST16)。また、図示しないが、湯量センサ47の検出流量が予め設定された洗浄時の流量(例えば、洗浄ノズル25から浴槽内周面21の上域へ向けて湯を噴射可能な流量、6リットル/分)となるよう、流量調整弁48の開度を調整する。これにより、給湯熱交換器32Aで加熱生成された湯が給湯配管12を通じて洗浄ユニット4の出湯管路41に導入され、洗浄液タンク40内の洗浄液と共に洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射される。このとき、洗浄ノズル25からの噴射流量は、洗浄時の流量に調整されているため、洗浄ノズル25から噴射される洗浄液を含んだ湯(以下、「洗浄用湯」という)は、浴槽内周面21の上域へ噴き付けられ、特に喫水線となる付近にこびり付いた石鹸や皮脂成分などの汚れを浮かせて洗い落とす。また、浴槽内周面21へ洗浄用湯が噴射されている間、排水栓24は閉じた状態で維持されているから、浴槽内周面21に噴射された洗浄用湯は、上記汚れと共に浴槽内周面21を伝って流下し、次第に浴槽底面22に溜まっていく。
【0049】
浴槽内周面21への洗浄用湯の噴射を開始した後、噴射時間Saが予め設定された第2噴射設定時間S2(例えば、2秒)に達した場合は、出湯開閉弁46および洗浄液開閉弁43を閉じて洗浄ノズル25への通水を遮断し、浴槽内周面21への洗浄用湯の噴射を停止させる(ST17〜ST19)。
【0050】
浴槽内周面21への洗浄用湯の噴射を停止させてから待機時間Sdが予め設定された第3待機設定時間D3(例えば、40秒)に達するまで、排水栓24を閉状態で維持する(ST20)。このように浴槽内周面21へ洗浄用湯を噴射させた後、排水栓24の閉状態を所定時間維持することで、浴槽内周面21を伝って流下する汚れが浴槽底面22に溜まった洗浄用湯中へ確実に回収されると共に、浴槽内周面21や浴槽底面22に付着した汚れが水分を吸収し、且つ、汚れに洗浄液が浸透し、表面から汚れを浮き上がらせる。尚、第3待機設定時間D3は、浴槽内周面21や浴槽底面22に付着した汚れが水分を十分に吸収して柔らかくなり、且つ、汚れに洗浄液が十分に浸透し、後の洗浄工程にて洗い落とし易くなるのに要する時間を想定して概算設定される。
【0051】
待機時間Sdが第3待機設定時間D3に達すれば(ST20のステップでYes)、ST14からST20のステップに示した洗浄工程における一連の噴射調整動作、即ち、「洗浄用湯を浴槽内周面21へ向けて所定時間S2噴射させた後、所定時間D3洗浄用湯の噴射を停止させる」動作が一回実行されたとして、図示しない記憶部に記憶された繰り返し回数Naに「1」を加算記憶させる(ST21)。
【0052】
そして、上記ST9からST13のステップに示した底面洗浄工程と同様、排水栓24を閉じた状態のまま、バイパス開閉弁39を開き、給湯器3の給湯熱交換器32Aで加熱生成された湯を浴槽金具23から浴槽2内へ導入させ、注湯積算値Laが底面洗浄設定量L2に達すれば、バイパス開閉弁39を閉じて浴槽金具23への通水を停止させると共に排水栓24を開き、待機時間Sdが予め設定された第4待機設定時間D4(例えば、30秒)に達するまで排水栓24を開状態で維持する(ST22〜ST26)。これにより、浴槽金具23から浴槽2内に導入された湯が浴槽底面22を回流し、洗浄工程によって浴槽底面22に溜まった洗浄液を攪拌させ、浴槽底面22にこびり付いた汚れを浮き上がらせて外部へ排出させる。尚、第4待機時間D4は、洗浄工程によって洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射される湯量と、底面洗浄工程によって浴槽金具23から浴槽2内に導出される湯量(底面洗浄設定量L2)との合計量の湯が略全て排水口20から排出されるのに要する時間を想定して概算設定される。
【0053】
ST22からST26のステップに示した底面洗浄工程が終了したときに、図示しない記憶部に記憶された繰り返し回数Naが、操作端末5で設定入力された洗浄工程の基準回数N1(例えば、3)に達していない場合(ST27のステップでNo)は、再びST14からST21のステップに示した洗浄工程、および、ST22からST26のステップに示した底面洗浄工程を実行する。尚、洗浄工程の基準回数N1は、操作端末5を用いて使用者が任意に設定変更することができる。
【0054】
このようにして洗浄工程が複数回繰り返された結果、繰り返し回数Naが基準回数N1に達した場合は(ST27のステップでYes)、図示しない記憶部に記憶された繰り返し回数Naを「0」にリセットし、次のすすぎ工程に移行する(ST28)。
【0055】
すすぎ工程は、ST5からST8のステップに示した予備洗浄工程と同様、排水栓24を閉じると共に、出湯開閉弁46を開く(ST29〜ST30)。また、図示しないが、湯量センサ47の検出流量が予め設定されたすすぎ時の流量(例えば、洗浄ノズル25から浴槽内周面21の上域へ向けて湯を噴射可能な流量、6リットル/分)となるよう、流量調整弁48の開度を調整する。これにより、給湯器3の給湯熱交換器32Aから洗浄ユニット4の出湯管路41を通じて洗浄ノズル25へ湯が供給され、浴槽2内に噴射される。このとき、洗浄ノズル25からの噴射流量は、すすぎ時の流量に調整されているため、洗浄ノズル25から噴射される湯は、浴槽内周面21の所定位置(例えば、浴槽内周面21の上域)へ噴き付けられ、浴槽内周面21に付着残留していた汚れや洗浄液を洗い落とす。また、浴槽内周面21へ湯が噴射されている間、排水栓24は閉じた状態で維持されているから、浴槽内周面21に噴射された湯は、上記汚れや洗浄液と共に浴槽内周面21を伝って流下し、次第に浴槽底面22に溜まっていく。
【0056】
浴槽内周面21への湯の噴射を開始した後、噴射時間Saが予め設定された第3噴射設定時間S3(例えば、30秒)に達した場合は、出湯開閉弁46を閉じ、洗浄ノズル25への通水を遮断する(ST31〜ST32)。これにより、浴槽内周面21への湯の噴射が停止される。
【0057】
ST29からST32のステップに示したすすぎ工程が終了すれば、すすぎ工程における一連の噴射調整動作、即ち、「湯を浴槽内周面21へ向けて所定時間S3噴射させる」動作が一回実行されたとして、図示しない記憶部に記憶された繰り返し回数Naに「1」を加算記憶させる(ST33)。
【0058】
そして、上記ST9からST13のステップに示した底面洗浄工程と同様、排水栓24を閉じた状態のまま、バイパス開閉弁39を開き、給湯器3の給湯熱交換器32Aで加熱生成された湯を浴槽金具23から浴槽2内へ導入させ、注湯積算値Laが底面洗浄設定量L2に達すれば、バイパス開閉弁39を閉じて浴槽金具23への通水を停止させると共に排水栓24を開き、待機時間Sdが予め設定された第5待機設定時間D5(例えば、40秒)に達するまで排水栓24を開状態で維持する(ST34〜ST38)。これにより、浴槽金具23から浴槽2内に導入された湯が浴槽底面22を回流し、すすぎ工程によって浴槽底面22に流れ落ちた汚れや洗浄液を浮き上がらせて攪拌させ、浴槽底面22の汚れと共に外部へ排出させる。尚、第5待機時間D5は、すすぎ工程によって洗浄ノズル25から浴槽2内に噴射される湯量と、底面洗浄工程によって浴槽金具23から浴槽2内に導出される湯量(底面洗浄設定量L2)との合計量の湯が略全て排水口20から排出されるのに要する時間を想定して概算設定される。
【0059】
ST34からST38のステップに示した底面洗浄工程が終了したときに、図示しない記憶部に記憶された繰り返し回数Naが、操作端末5で設定入力された洗浄工程の基準回数N2(例えば、3)に達していない場合(ST39のステップでNo)は、再びST29からST32のステップに示したすすぎ工程、および、ST34からST38のステップに示した底面洗浄工程を実行する。尚、すすぎ工程の基準回数N2は、操作端末5を用いて使用者が任意に設定変更することができる。
【0060】
このようにしてすすぎ工程が複数回繰り返された結果、繰り返し回数Naが基準回数N2に達した場合は(ST39のステップでYes)、図示しない記憶部に記憶された繰り返し回数Naを「0」にリセットすると共に、「浴槽洗浄が終了した」旨を操作端末5の表示部55に表示させ且つ音声出力部56から音声出力させ、浴槽洗浄運転を終了する(ST40〜ST41)。
【0061】
尚、図示しないが、浴槽洗浄運転が終了した後、引き続き湯張り運転が自動で実行されるように設定されている場合は、浴槽洗浄運転が終了した後、排水栓24を閉じて湯張り運転を実行し、動作を終了する。
【0062】
上記浴槽洗浄システム1によれば、排水栓24を閉じた状態で洗浄工程が行われるから、洗浄工程が開始されると、湯と共に洗浄ノズル25から噴射される洗浄液が次第に浴槽底面22に溜まっていき、浴槽底面22の全体に行き渡る。その結果、浴槽底面22に付着した汚れに洗浄液が浸透し、表面から汚れを浮き上がらせる。そして、洗浄工程が終了し、排水栓24が開かれると、上記汚れは、湯や洗浄液と共に排水口20から外部に排出される。これにより、たとえ浴槽底面22に段差や転倒防止用の凹凸が形成されていても、浴槽底面22に汚れの洗い残しが生じ難い。よって、洗浄性能、特に浴槽底面22の洗浄性能の高い浴槽洗浄システム1を提供できる。
【0063】
さらに、このものでは、洗浄工程に加え、予備洗浄工程およびすすぎ工程の各工程においても排水栓24を閉じた状態で行われるから、予備洗浄工程が開始されると、洗浄ノズル25から噴射される湯が次第に浴槽底面22に溜まっていき、浴槽底面22の全体に行き渡る。その結果、浴槽底面22に付着した汚れが水分を含んで柔らかくなり、洗い落とし易くなる。そして、予備洗浄工程が終了し、排水栓24が開かれると、上記汚れは、湯と共に排水口20から排出される。また、すすぎ工程が開始された場合も同様、洗浄ノズル25から噴射される湯が次第に浴槽底面22に溜まっていき、浴槽底面22の全体に行き渡る。その結果、浴槽底面に残留した汚れや洗浄液を浴槽底面から浮き上がらせる。そして、すすぎ工程が終了し、排水栓24が開かれると、上記汚れや洗浄液は、湯と共に排水口20から排出される。これにより、浴槽底面22に汚れや洗浄液の洗い残しが一層生じ難く、洗浄性能のより優れた浴槽洗浄システム1を提供できる。
【0064】
しかも、このものでは、予備洗浄工程や洗浄工程、すすぎ工程の実行中に浴槽内周面21から洗い落とされた汚れも浴槽底面22に溜められた湯や洗浄液中に回収され、その後、排水栓24が開かれた際に排水口20から湯や洗浄液と共に排出されるから、浴槽2内に汚れがより残留し難い。よって、洗浄性能のより優れた浴槽洗浄システム1を提供できる。
【0065】
さらに、このものでは、予備洗浄工程、洗浄工程、および、すすぎ工程の各工程が終了した後、洗浄ノズル25の噴射流量より大流量の湯を浴槽金具23から浴槽2内に導出させる底面洗浄工程の動作を、排水栓24を閉じた状態のまま引き続き行うことで、上記各工程中に浴槽底面22に溜められた湯や洗浄液が浴槽金具23から浴槽2内に導入される湯によって攪拌され、浴槽底面22にこびり付いた汚れを浮き上がらせるから、底面洗浄工程が終了して排水栓が開かれた際に、上記汚れは、湯や洗浄液と共に外部へ排出される。よって、浴槽2内に汚れがより一層残留し難く、洗浄性能のより優れた浴槽洗浄システム1を提供できる。
【0066】
尚、上記実施の形態では、浴槽金具23から浴槽2内へ湯を導出させる底面洗浄工程は、予備洗浄工程、洗浄工程、および、すすぎ工程の各工程の実行後に行われるものを説明したが、予備洗浄工程、洗浄工程、および、すすぎ工程の各工程の実行中に行われるものとしてもよい。また、上記底面洗浄工程が、洗浄工程の実行中又は実行後にのみ行われるように構成されたものとしてもよいし、予備洗浄工程および洗浄工程の各工程の実行中又は実行後に行われるように構成されたものとしてもよいし、洗浄工程およびすすぎ工程の各工程の実行中又は実行後に行われるように構成されたものとしてもよい。
【0067】
また、予備洗浄工程を行わず、洗浄工程から開始されるように構成されたものとしてもよいし、底面洗浄工程を行わない構成としてもよい。このように底面洗浄工程が行われない場合であっても、排水栓24を閉じた状態のまま上記各工程が行われるから、浴槽底面22を適切に洗浄することができる。また、底面洗浄工程が行われない分、浴槽洗浄に要する時間の短縮化を図ることもできる。
【0068】
上記実施の形態では、予備洗浄工程にて「湯を浴槽内周面21へ向けて所定時間S1噴射させる」動作を一回のみ実行するものを説明したが、予備洗浄工程においてもすすぎ工程と同様、上記動作を一回以上実行するように構成されたものとしてもよい。
【0069】
上記実施の形態では、予備洗浄工程、洗浄工程、および、すすぎ工程の各工程において洗浄ノズル25から湯を噴射させる際に、湯量センサ47の検出流量が一定流量となるよう流量調整弁48の開度を調整するものを説明したが、上記各工程において洗浄ノズル25から湯を噴射させる間、湯量センサ47の検出流量が所定範囲で増減変化するよう流量調整弁48の開度を調整し、洗浄ノズル25からの噴射流量を適宜変更することで、浴槽内周面21に対する湯の噴射高さを変化させるようにしてもよい。このものでは、浴槽内周面21の略全域へ均等に湯を噴き付けることができるから、浴槽2内に汚れが一層残留し難い。
【0070】
また、上記実施の形態では、給湯器3に湯張り機能が設けられており、給湯器3の給湯制御回路3Cによって底面洗浄工程が実行されるように構成されたものを説明したが、図5に示す浴槽洗浄システム1Eのように、洗浄ユニット4Eに湯張り機能が設けられており、洗浄ユニット4Eの洗浄湯張り制御回路7Cによって底面洗浄工程や湯張り運転が実行されるように構成されたものとしてもよい。
【0071】
詳述すると、図5に示すように、給湯器3Eは、浴槽2内の風呂水を加熱循環する追焚機能を有しておらず、上水道から供給される水を加熱して湯を生成し、温水利用先Kや洗浄ユニット4Eに供給する給湯機能のみ有する熱源機であり、給湯バーナ31と、給湯熱交換器32と、給湯制御回路6Cとを備えている。
【0072】
給湯制御回路6Cは、上記実施の形態の給湯制御回路3Cと同様、操作判定部、出湯判定部、出湯温制御部、給湯バーナ31の点消火動作を制御するバーナ制御部等の回路構成を有している。
【0073】
洗浄ユニット4Eは、上記実施の形態の洗浄ユニット4と同様、洗浄液タンク40と、出湯管路41と、洗浄液混合管路42とを備えており、出湯管路41の上流端に給湯配管12が接続され、下流端に洗浄配管15が接続されている。また、洗浄ユニット4Eには、給湯器3Eから出湯管路41に供給される湯を湯張り配管17へ導く湯張り分岐管路71が設けられている。
【0074】
湯張り分岐管路71は、出湯管路41の中間部から分岐して延設されており、下流端に湯張り配管17が接続されている。湯張り配管17の下流端は、浴槽金具27に接続されており、浴槽金具27が、底面洗浄工程や湯張り運転の際に給湯器3で加熱生成された湯を浴槽2内に供給する注湯口部となる。図示しないが、浴槽金具27は、洗浄ユニット4Eから導出される湯を湯張り配管17を通じて浴槽2内へ導入する吹出口のみ備えている。上記吹出口は、洗浄ノズル25の噴射流量より大流量にて湯を導出可能な大きさに形成されている。
【0075】
尚、湯張り配管17は、浴槽2の近傍に設けられた図示しないカラン(注湯口部)に接続され、底面洗浄工程や湯張り運転の際に、上記カランを通じて浴槽2内に上記噴射流量より大流量の湯を供給するように構成されたものとしてもよい。
【0076】
出湯管路41における湯張り分岐管路71への分岐部77には、給湯配管12から出湯管路41に供給される湯を洗浄配管15側と湯張り配管17側とで切り替えて導出可能な洗浄湯張り切替弁72が配設されている。
【0077】
洗浄湯張り制御回路7Cは、上記実施の形態の洗浄制御回路4Cと同様、操作判定部、噴射量調整部、洗浄液量調整部、排水制御部、計時部、計数部、記憶部、洗浄工程の実行部、予備洗浄工程の実行部、すすぎ工程の実行部等の回路構成を有している。また、洗浄湯張り制御回路7Cは、浴槽洗浄運転中(ここでは、予備洗浄工程、洗浄工程およびすすぎ工程の各工程の実行後)に給湯熱交換器32で加熱生成された湯を浴槽金具27から浴槽2内へ導出させる底面洗浄工程の実行部を備えている。
【0078】
さらに、洗浄湯張り制御回路7Cは、洗浄湯張り切替弁72の流路の切り替えを行う運転切替制御部、湯量センサ47の検知流量の積算値に基づいて湯張り配管17への湯の導出量(湯張り量)を判定する湯張り量判定部、給湯器3Eで加熱された湯を浴槽2に所定量供給して風呂水を貯める湯張り動作の実行部等の回路構成を有している。
【0079】
その他、先に説明した浴槽洗浄システム1と同一の機能および構造を有する箇所については、同一の符号を用いるものとして(図1および図5参照)説明を省略する。
【0080】
上記浴槽洗浄システム1Eにおける予備洗浄工程、洗浄工程、および、すすぎ工程では、洗浄湯張り切替弁72を「洗浄側」に切り替えた上で出湯開閉弁46を開く(洗浄工程の際はさらに洗浄液開閉弁43を開く)。その結果、給湯器3Eから洗浄ノズル25への通水が開始され、上記実施の形態と同様、洗浄ノズル25から噴射される湯(洗浄工程の際にはさらに洗浄液)によって浴槽内周面21や浴槽底面22が洗浄される。一方、底面洗浄工程では、洗浄湯張り切替弁72を「湯張り側」に切り替えた上で出湯開閉弁46を開く。その結果、給湯器3Eから浴槽金具27への通水が開始され、上記実施の形態と同様、浴槽金具27から導出される湯によって浴槽底面22が洗浄される。これにより、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0081】
1 浴槽洗浄システム
2 浴槽
20 排水口
21 浴槽内周面
22 浴槽底面
23 浴槽金具(注湯口部)
24 排水栓
25 洗浄ノズル
3 給湯器(熱源機)
4 洗浄ユニット
40 洗浄液タンク
図1
図2
図3
図4
図5