特許第6842902号(P6842902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6842902-発電装置 図000002
  • 特許6842902-発電装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842902
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20210308BHJP
   H01M 8/04 20160101ALN20210308BHJP
   H01M 8/00 20160101ALN20210308BHJP
【FI】
   H02J3/38 180
   H02J3/38 170
   !H01M8/04 Z
   !H01M8/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-239440(P2016-239440)
(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-98858(P2018-98858A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上野山 覚
(72)【発明者】
【氏名】御堂 俊哉
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−223559(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/002801(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0147670(US,A1)
【文献】 特開2014−186903(JP,A)
【文献】 特開2015−186408(JP,A)
【文献】 特開2014−233132(JP,A)
【文献】 特開2017−174716(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0363949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H01M 8/00
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連系出力ライン及び自立出力ラインを有する出力ラインへ発電電力を出力する発電運転を行うことができる発電部と、
電力消費装置が接続される交流線に対して電力系統からの電力供給が正常に行われる正常状態になると、前記交流線に接続される前記連系出力ラインに前記発電部の発電電力を出力する連系運転を行わせ、及び、前記電力系統から前記交流線への電力供給が正常に行われない異常状態になると、前記連系出力ラインには前記発電部の発電電力を出力せず且つ前記交流線には接続されていない前記自立出力ラインに前記発電部の発電電力を出力して当該自立出力ラインに接続されている別の電力消費装置に電力を供給する自立運転を行わせる制御部とを備え、
前記制御部は、前記自立運転を行わせているとき、前記自立出力ラインを経由して前記発電部から前記別の電力消費装置に供給する電力が所定の上限電力以上になると、前記自立出力ラインを経由した前記発電部から前記別の電力消費装置への電力供給を停止させる停止処理を行うように構成されている発電装置であって、
前記自立出力ラインは複数の個別出力ラインに分岐しており、
前記制御部は、前記自立運転を行わせているとき、前記自立出力ラインを経由して前記発電部から前記別の電力消費装置に供給する電力が前記所定の上限電力未満の所定の判定用電力以上になると、前記複数の個別出力ラインの内の、予め定められた一以上の個別出力ラインを経由した前記発電部からの電力供給を停止し、及び、残りの個別出力ラインを経由した前記発電部からの電力供給を継続する電力削減処理を一時的に行う発電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力削減処理を開始した後、前記残りの個別出力ラインを経由した前記発電部からの供給電力がゼロになると、前記電力削減処理を停止する請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力削減処理を開始した後、前記残りの個別出力ラインを経由した前記発電部からの供給電力が所定電力以上減少すると、前記電力削減処理を停止する請求項1に記載の発電装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力削減処理を開始した後、一定期間が経過すると、前記電力削減処理を停止する請求項1に記載の発電装置。
【請求項5】
前記所定の判定用電力は、予め定められた一定値である請求項1〜4の何れか一項に記載の発電装置。
【請求項6】
前記所定の判定用電力は、前記自立運転が行われている間の過去の所定期間内に前記自立出力ラインを経由して前記発電部から前記別の電力消費装置に供給した電力に基づいて導出される値である請求項1〜4の何れか一項に記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電部と、電力消費装置が接続される交流線に対して電力系統からの電力供給が正常に行われる正常状態になると、交流線に接続される連系出力ラインに発電部の発電電力を出力する連系運転を行わせ、及び、電力系統から交流線への電力供給が正常に行われない異常状態になると、連系出力ラインには発電部の発電電力を出力せず且つ交流線には接続されていない自立出力ラインに発電部の発電電力を出力して当該自立出力ラインに接続されている別の電力消費装置に電力を供給する自立運転を行わせる制御部とを備える発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池と、電力消費装置が接続される交流線に対して電力系統からの電力供給が正常に行われる正常状態になると、交流線に接続される連系出力ラインに燃料電池の発電電力を出力する連系運転を行わせ、及び、電力系統から交流線への電力供給が正常に行われない異常状態になると、連系出力ラインには燃料電池の発電電力を出力せず且つ交流線には接続されていない自立出力ラインに燃料電池の発電電力を出力して当該自立出力ラインに接続されている別の電力消費装置に電力を供給する自立運転を行わせる制御部とを備える発電装置が記載されている。このような構成の発電装置を設けることで、電力系統の停電中であっても、重要な電力消費装置を動作させ続けることができる。
【0003】
更に、特許文献1に記載の発電装置では、制御部は、自立運転を行わせているとき、自立出力ラインを経由して燃料電池から別の電力消費装置に供給する電力が所定の上限電力以上になる過負荷状態になると、自立出力ラインを経由した燃料電池から別の電力消費装置への電力供給を停止させる停止処理を行うように構成されている。このような停止処理により、自動で燃料電池の過負荷状態を解消することができるという効果を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−186903号公報(請求項1,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発電装置では、自立運転時に重要な電力消費装置を動作させているとき、他の電力消費装置も併せて動作させるなどして過負荷状態になると、重要な電力消費装置も含めて全ての電力消費装置に対する電力供給が停止してしまい、使用者に迷惑をかけるといった不都合があった。
【0006】
尚、全ての電力消費装置に対する電力供給を停止するのではなく、過負荷状態になったときに、優先度が低い電力消費装置に対する電力供給を停止することも考えられるが、特許文献1に記載の発電装置では、過負荷状態になった瞬間に全ての電力消費装置に対する電力供給が停止されるため、そもそも優先度をつけて特定の電力消費装置のみに電力供給を継続するといった運転を行うことはできない。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、特定の電力消費装置には確実に電力を供給しながら自立運転を継続できる発電装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る発電装置の特徴構成は、連系出力ライン及び自立出力ラインを有する出力ラインへ発電電力を出力する発電運転を行うことができる発電部と、
電力消費装置が接続される交流線に対して電力系統からの電力供給が正常に行われる正常状態になると、前記交流線に接続される前記連系出力ラインに前記発電部の発電電力を出力する連系運転を行わせ、及び、前記電力系統から前記交流線への電力供給が正常に行われない異常状態になると、前記連系出力ラインには前記発電部の発電電力を出力せず且つ前記交流線には接続されていない前記自立出力ラインに前記発電部の発電電力を出力して当該自立出力ラインに接続されている別の電力消費装置に電力を供給する自立運転を行わせる制御部とを備え、
前記制御部は、前記自立運転を行わせているとき、前記自立出力ラインを経由して前記発電部から前記別の電力消費装置に供給する電力が所定の上限電力以上になると、前記自立出力ラインを経由した前記発電部から前記別の電力消費装置への電力供給を停止させる停止処理を行うように構成されている発電装置であって、
前記自立出力ラインは複数の個別出力ラインに分岐しており、
前記制御部は、前記自立運転を行わせているとき、前記自立出力ラインを経由して前記発電部から前記別の電力消費装置に供給する電力が前記所定の上限電力未満の所定の判定用電力以上になると、前記複数の個別出力ラインの内の、予め定められた一以上の個別出力ラインを経由した前記発電部からの電力供給を停止し、及び、残りの個別出力ラインを経由した前記発電部からの電力供給を継続する電力削減処理を一時的に行う点にある。
ここで、前記所定の判定用電力は、予め定められた一定値であってもよい。或いは、前記所定の判定用電力は、前記自立運転が行われている間の過去の所定期間内に前記自立出力ラインを経由して前記発電部から前記別の電力消費装置に供給した電力に基づいて導出される値であってもよい。
【0009】
上記特徴構成によれば、自立運転が行われているときに発電部から供給される電力が増加して、発電部からの供給電力が所定の上限電力以上になるという過負荷状態が発生した場合には、自立出力ラインを経由した発電部からの電力供給を停止させる停止処理が行われることで、発電部の過負荷状態が解消される。加えて、発電部からの供給電力が所定の上限電力未満である時点であっても、即ち、自立出力ラインを経由した発電部から別の電力消費装置への電力供給を停止させる停止処理が行われていなくても、自立出力ラインを経由して発電部から別の電力消費装置に供給する電力が所定の判定用電力以上になると、予め定められた一以上の個別出力ラインを経由した発電部からの電力供給が停止され、残りの個別出力ラインを経由した発電部からの電力供給が継続される。つまり、電力削減処理では、停止処理のように全ての電力消費装置への電力供給が一斉に停止されるのではなく、一部の電力消費装置への電力供給のみが停止されて、発電部の負荷が軽減される。その結果、例えば重要な電力消費装置には電力供給を継続しながら、発電部が過負荷状態に至ることを回避できる。
従って、特定の電力消費装置には確実に電力を供給しながら自立運転を継続できる発電装置を提供できる。
【0010】
本発明に係る発電装置の別の特徴構成は、前記制御部は、前記電力削減処理を開始した後、前記残りの個別出力ラインを経由した前記発電部からの供給電力がゼロになると、前記電力削減処理を停止する点にある。
【0011】
電力削減処理を開始した後、残りの個別出力ラインを経由した発電部からの供給電力がゼロになるということは、電力削減処理を停止しても、全ての個別出力ライン(一以上の個別出力ライン及び残りの個別出力ライン)を経由した発電部からの供給電力、即ち、自立出力ラインを経由して発電部から別の電力消費装置に供給する電力が所定の判定用電力未満になっている可能性が高くなっていることを意味する。
そこで本特徴構成では、制御部は、電力削減処理を開始した後、残りの個別出力ラインを経由した発電部からの供給電力がゼロになると、電力削減処理を停止して、再び、全ての個別出力ライン(一以上の個別出力ライン及び残りの個別出力ライン)を経由した発電部からの供給電力を行う。それにより、全ての個別出力ラインを経由して発電部から別の電力消費装置に電力を供給できる。
【0012】
本発明に係る発電装置の更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記電力削減処理を開始した後、前記残りの個別出力ラインを経由した前記発電部からの供給電力が所定電力以上減少すると、前記電力削減処理を停止する点にある。
【0013】
電力削減処理を開始した後、残りの個別出力ラインを経由した発電部からの供給電力が所定電力以上減少するということは、電力削減処理を停止しても、全ての個別出力ライン(一以上の個別出力ライン及び残りの個別出力ライン)を経由した発電部からの供給電力、即ち、自立出力ラインを経由して発電部から別の電力消費装置に供給する電力が所定の判定用電力未満になっている可能性が高くなっていることを意味する。
そこで本特徴構成では、制御部は、電力削減処理を開始した後、残りの個別出力ラインを経由した発電部からの供給電力が所定電力以上減少すると、電力削減処理を停止して、再び、全ての個別出力ライン(一以上の個別出力ライン及び残りの個別出力ライン)を経由した発電部からの供給電力を行う。それにより、全ての個別出力ラインを経由して発電部から別の電力消費装置に電力を供給できる。
【0014】
本発明に係る発電装置の更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記電力削減処理を開始した後、一定期間が経過すると、前記電力削減処理を停止する点にある。
【0015】
電力削減処理を開始した後、一定期間が経過すれば、電力削減処理を停止しても、自立出力ラインを経由して発電部から電力が供給される別の電力消費装置での消費電力が減少している可能性、即ち、自立出力ラインを経由して発電部から別の電力消費装置に供給する電力が所定の判定用電力未満になっている可能性がある。
そこで本特徴構成では、制御部は、電力削減処理を開始した後、一定期間が経過すると、電力削減処理を停止して、再び、全ての個別出力ライン(一以上の個別出力ライン及び残りの個別出力ライン)を経由した発電部からの供給電力を行う。それにより、全ての個別出力ラインを経由して発電部から別の電力消費装置に電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】発電装置が設けられたシステムの構成を示す図である。
図2】上限電力及び判定用電力を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る発電装置10について説明する。
図1は、発電装置10が設けられたシステムの構成を示す図である。図示するように、発電装置10は、発電部11と制御部12とを備える。発電部11は、燃料電池や、エンジンによって回転駆動されるタイプの発電機などを備えて構成される。
【0018】
発電部11には、連系出力ラインLaと自立出力ラインLbとを有する出力ラインLが接続されている。発電部11は、その出力ラインLへ発電電力を出力する発電運転を行うことができる。出力ラインLは、その途中の分岐部17で連系出力ラインLaと自立出力ラインLbとに分岐する。尚、図示は省略するが、発電部11から出力ラインLへ供給する電力を所望の電圧及び周波数及び位相に調節するための電力変換器も設けられている。
【0019】
発電部11から出力される発電電力は、負荷電力に見合った電力である。つまり、発電部11は電力負荷追従運転を行う。
なお、発電部11を運転するための補機にも電力は消費されるため、電力消費装置1(1A、1B、1C)の何れで電力消費が行われていなくても、即ち、発電装置10から出力される出力電力がゼロであっても、発電部11で発電された電力を補機で消費しながら発電部11の運転を継続することができる。
【0020】
電力消費装置1A(1)が接続される交流線3には、例えば電気事業者などが管理している電力系統2が接続されて、その電力系統2から交流線3への電力供給が行われる。但し、電力系統2で事故などが発生した場合には、電力系統2から交流線3への電力供給が行われないこともある。本実施形態の発電装置10は、電力監視部19を備えている。電力監視部19は、例えば電力系統2から供給される電力の電圧などを測定し、その測定結果を制御部12に伝達する。そして、制御部12は、電力監視部19の測定結果に基づいて、電力系統2から交流線3への電力供給が正常に行われる正常状態であるか、或いは、電力供給が正常に行われない異常状態であるかを判定する。例えば、制御部12は、電力監視部19で測定された交流線3での電力の電圧が所定の下限電圧以上であると正常状態であると判定し、下限電圧未満であると異常状態であると判定する。
【0021】
連系出力ラインLaは、交流線3に接続される。また、連系出力ラインLaの途中には遮断器14が設けられる。
自立出力ラインLbは、途中の分岐部18で複数の個別出力ラインLb1,Lb2に分岐している。本実施形態では、自立出力ラインLbは、分岐部18で第1個別出力ラインLb1と第2個別出力ラインLb2とに分岐している。第1個別出力ラインLb1の端部には電気コンセント4が接続され、第1個別出力ラインLb1の途中には遮断器15が接続される。第2個別出力ラインLb2の端部には電気コンセント5が接続され、第2個別出力ラインLb2の途中には遮断器16が接続される。電気コンセント4に対して電気プラグ6が接続されると、その電気プラグ6に接続されている電力消費装置1B(1)に対して電力を供給できる状態になる。同様に、電気コンセント5に対して電気プラグ7が接続されると、その電気プラグ6に接続される電力消費装置1C(1)に対して電力を供給できる状態になる。
【0022】
制御部12は、電力消費装置1Aが接続される交流線3に対して電力系統2からの電力供給が正常に行われる正常状態になると、交流線3に接続される連系出力ラインLaに発電部11の発電電力を出力する連系運転を行わせ、及び、電力系統2から交流線3への電力供給が正常に行われない異常状態になると、連系出力ラインLaには発電部11の発電電力を出力せず且つ交流線3には接続されていない自立出力ラインLbに発電部11の発電電力を出力して当該自立出力ラインLbに接続されている別の電力消費装置1(1B、1C)に電力を供給する自立運転を行わせる。
【0023】
制御部12は、正常状態のとき、発電部11を運転すると共に、連系出力ラインLaに設けられている遮断器14を閉作動させて(即ち、線路を導通させて)、発電部11の発電電力が交流線3に供給されるようにする。また、制御部12は、遮断器15及び遮断器16を開作動させて(即ち、線路を遮断させて)、発電部11の発電電力が電気コンセント4及び電気コンセント5に供給されないようにする。つまり、発電装置10で連系運転が行われているとき、発電部11で発電された電力は連系出力ラインLaを介して交流線3にのみ供給される。
【0024】
制御部12は、異常状態のとき、遮断器14を開作動させて、発電部11の発電電力が交流線3に供給されないようにする。また、制御部12は、発電部11を運転すると共に、自立出力ラインLbに設けられている遮断器15,16の少なくとも何れか一つを閉作動させて、発電部11の発電電力が自立出力ラインLbに接続されている電力消費装置1に供給されるようにする。例えば、制御部12は、正常状態から異常状態になったときに発電装置10を連系運転から自立運転に切り替えるとき、自立出力ラインLbに設けられている全ての遮断器15,16を閉作動させる。
【0025】
本実施形態では、発電装置10は、出力ラインLから出力される発電部11の発電電力を計測する電力計測部13を備える。電力計測部13は、出力ラインLの途中の、発電部11と分岐部17との間に設けられている。よって、電力計測部13が計測する電力は、連系運転が行われているときは連系出力ラインLaに供給される電力であり、自立運転が行われているときは自立出力ラインLbに供給される電力である。
【0026】
次に、自立運転が行われているときに行われる停止処理及び電力削減処理について説明する。図2は、発電部11の発電電力にとっての指標となる上限電力及び判定用電力を模式的に示す図である。
【0027】
制御部12は、自立運転を行わせているとき、自立出力ラインLbを経由して発電部11から別の電力消費装置1(1B、1C)に供給する電力が所定の上限電力以上になると、自立出力ラインLbを経由した発電部11から別の電力消費装置1(1B、1C)への電力供給を停止させる停止処理を行う。上述のように、自立運転が行われているとき、電気コンセント4及び電気コンセント5の少なくとも何れか一つに電力消費装置1B及び電力消費装置1Cが接続されていれば、発電部11の発電電力は自立出力ラインLbを経由してそれらに供給されるが、連系出力ラインLaには供給されない。そのため、自立運転が行われているときに電力計測部13で計測される電力は、自立出力ラインLbを経由して発電部11から電力消費装置1(1B、1C)に供給する電力となる。例えば、上記上限電力は、発電部11の定格電力などである。
【0028】
そして、制御部12は、電力計測部13の計測結果に基づいて、発電部11から供給する電力が上限電力以上になると、発電部11にとっての過負荷状態が生じていると判定して、その過負荷状態を解消するために、例えば遮断器15,16を開作動させるという停止処理を行う。制御部12は、この停止処理を行っている間、発電部11の発電電力を補機などで消費させる。そして、制御部12は、停止処理を開始してから設定時間が経過した後で、再び停止処理を行う前の状態、即ち、例えば遮断器15,16が閉作動された状態に戻す。このように、自立運転が行われているときに発電部11から供給される電力が増加して、発電部11からの供給電力が所定の上限電力以上になるという過負荷状態が発生した場合には、自立出力ラインLbを経由した発電部11からの電力供給を停止させる停止処理が行われることで、発電部11の過負荷状態が解消される。
【0029】
加えて、制御部12は、自立運転を行わせているとき、自立出力ラインLbを経由して発電部11から別の電力消費装置1(1B、1C)に供給する電力が所定の上限電力未満の所定の判定用電力以上になると、複数の個別出力ラインLb1,Lb2の内の、予め定められた一以上の個別出力ラインLb1,Lb2を経由した発電部11からの電力供給を停止し、及び、残りの個別出力ラインLb1,Lb2を経由した発電部11からの電力供給を継続する電力削減処理を一時的に行う。具体的には、制御部12は、この電力削減処理を行うときに電力供給を遮断する個別出力ライン(即ち、開作動させる遮断器)を予めメモリ(図示せず)に記憶している。
【0030】
一例として、制御部12が、電力削減処理を行うときに遮断器16を開作動させる場合について説明すると、制御部12は、電力計測部13で計測される電力が判定用電力以上になると、予め定められた個別出力ラインLb2に設けられた遮断器16を開作動させる。その結果、閉作動されている遮断器15が設けられている個別出力ラインLb1を経由した電力供給のみが継続される。このように、発電部11からの供給電力が所定の上限電力未満である時点であっても、即ち、自立出力ラインLbを経由した発電部11から電力消費装置1B,1Cへの電力供給を停止させる停止処理が行われていなくても、自立出力ラインLbを経由して発電部11から電力消費装置1B,1Cに供給する電力が所定の判定用電力以上になると、予め定められた個別出力ラインLb2を経由した発電部11からの電力供給が停止され、残りの個別出力ラインLb1を経由した発電部11からの電力供給が継続される。つまり、電力削減処理では、停止処理のように全ての電力消費装置1B,1Cへの電力供給が一斉に停止されるのではなく、一部の電力消費装置1Cへの電力供給のみが停止されて、発電部11の負荷が軽減される。その結果、例えば重要な電力消費装置1Bには電力供給を継続しながら、発電部11が過負荷状態に至ることを回避できる。
【0031】
制御部12は、上記判定用電力として、予め定められた一定値をメモリに記憶しておき、その値を利用できる。例えば、上記上限電力が発電部11の定格電力(例えば700Wなど)に設定されている場合、この判定用電力は400Wなどの上限電力未満の値に設定しておくことができる。
【0032】
或いは、上記判定用電力は可変値であってもよい。
例えば、制御部12は、上記判定用電力として、自立運転が行われている間の過去の所定期間内に自立出力ラインLbを経由して発電部11から別の電力消費装置1(1B、1C)に供給した電力に基づいて導出した値を利用できる。但し、判定用電力は上記上限電力未満の値である。
具体的には、制御部12は、自立運転が行われている間の過去の所定期間に電力計測部13で計測される電力の平均電力に基づいて上記判定用電力を導出できる。例えば、制御部12は、その平均電力よりも所定電力(例えば100Wなど)だけ多い電力を上記判定用電力として導出できる。
他にも、制御部12は、自立運転が行われている間の過去の所定期間に電力計測部13で計測される電力の最大電力に基づいて上記判定用電力を導出できる。例えば、制御部12は、その最大電力よりも所定電力(例えば100Wなど)だけ多い電力を上記判定用電力として導出できる。
【0033】
次に、電力削減処理を開始した後、電力削減処理を停止するタイミングについて説明する。
一例を挙げると、制御部12は、電力削減処理を開始した後、電力供給を継続している残りの個別出力ライン(本実施形態ではLb1又はLb2)を経由した発電部11からの供給電力がゼロになると、電力削減処理を停止する。例えば、電力削減処理が開始されると(遮断器16が開作動されると)、特定の個別出力ラインLb2を経由した発電部11からの電力供給が停止されるが、残りの個別出力ラインLb1を経由した発電部11からの電力供給は継続され、その電力は電力計測部13で計測される。そして、制御部12は、電力削減処理を開始した後、電力計測部13で計測される電力がゼロになると、この電力削減処理を停止するために、遮断器16を再び閉作動させる。
【0034】
或いは、制御部12は、電力削減処理を開始した後、残りの個別出力ライン(本実施形態ではLb1又はLb2)を経由した発電部11からの供給電力が所定電力以上減少すると、電力削減処理を停止してもよい。例えば、電力削減処理が開始されると(遮断器16が開作動されると)、特定の個別出力ラインLb2を経由した発電部11からの電力供給が停止されるが、残りの個別出力ラインLb1を経由した発電部11からの電力供給は継続され、その電力は電力計測部13で計測される。制御部12は、電力削減処理を開始した直後に電力計測部13で計測した電力を基準電力としてメモリに記憶し、その後、電力計測部13で計測される現在電力と上記基準電力とを比較して、現在電力が基準電力よりも所定電力以上減少していれば、この電力削減処理を停止させるために、遮断器16を再び閉作動させる。
【0035】
また或いは、制御部12は、電力削減処理を開始した後、一定期間が経過すると、電力削減処理を停止してもよい。例えば、電力削減処理が開始されると(遮断器16が開作動されると)、特定の個別出力ラインLb2を経由した発電部11からの電力供給が停止されるが、残りの個別出力ラインLb1を経由した発電部11からの電力供給は継続される。制御部12は、電力削減処理を開始した後の経過時間を計測し、その経過時間が予めメモリに記憶してある一定期間に到達すると、電力削減処理を停止させるために、遮断器16を再び閉作動させる。
【0036】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の発電装置10の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、自立出力ラインLbが2つの個別出力ラインLb1,Lb2に分岐する例を記載したが、出力ラインLが3つ以上の個別出力ラインに分岐する構成になっていてもよい。その場合、上記判定用電力を、大きさを異ならせて複数設定してもよい。例えば、判定用電力を一定値にする場合、上限電力を700W、第1の判定用電力を600W、第2の判定用電力を400Wといった値に設定することができる。そして、制御部12は、電力計測部13で計測される電力が上記第2の判定用電力(400W)以上になると一つの個別出力ラインを経由した電力供給を停止させ、更に電力計測部13で計測される電力が上記第1の判定用電力(600W)以上になると別の一つの個別出力ラインを経由した電力供給を停止させるといった電力削減処理を行ってもよい。
【0037】
<2>
上記実施形態では、幾つかの具体的な数値を例示しながら停止処理及び電力削減処理について説明したが、それらの数値は例示目的で記載したものであり実際の数値と異なる場合もある。
【0038】
<3>
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、特定の電力消費装置には確実に電力を供給しながら自立運転を継続できる発電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0040】
1(1A〜1C) 電力消費装置
2 電力系統
3 交流線
10 発電装置
11 発電部
12 制御部
L 出力ライン
La 連系出力ライン
Lb 自立出力ライン
Lb1 第1個別出力ライン(個別出力ライン)
Lb2 第2個別出力ライン(個別出力ライン)
図1
図2