(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のキャップに係る一実施形態の構成について説明する。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0012】
図1は、本実施形態に係るノズルキャップ(キャップ)10が容器本体100Aの口部101に装着された正立状態の容器100の構成を示す側面図である。
図2は、ノズルキャップ10の構成を示す側面図である。
図3は、ノズルキャップ10の構成を示す断面斜視図である。
図4は、ノズルキャップ10を底面部側から見た様子を示す斜視図である。
図5は、ノズルキャップ10をノズル部13側から見た様子を示す斜視図である。
図6は、ノズルキャップ10のノズル部13の構成を示す部分断面図である。
図7は、ノズルキャップ10を軸線方向から見た上面図である。
【0013】
本実施形態のノズルキャップ10は、
図1に示すように、内容物を収容する容器本体100Aの上端に形成された口部101に嵌合する中栓であり、その外側に内容物を計量する計量キャップ102が装着されるものである。
【0014】
容器本体100Aは、例えばポリエチレン等のオレフィン系合成樹脂を用いたブロー成形により一体形成されている。容器本体100Aは、内容物として、例えば、液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等の液状物や、粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等の粉粒物を収納するための収容空間100aを有している。容器本体100Aの口部101は、上下方向に延びる軸線Cを中心とする円筒状に形成されており、収容空間100aを上方に開放している。口部101の外周には、軸線C周りに雄ねじ部(不図示)が形成されており、本実施形態におけるノズルキャップ10が螺合する。本実施形態では、螺合タイプのノズルキャップ10の構成について述べるが、これに限らない。例えば、圧入やアンダーカット部等の係合により嵌合する構成であってもよい。
【0015】
以下の説明では、軸線Cに沿った方向を軸線方向、軸線Cに直交する方向を径方向、軸線Cを中心とする軸周り方向を周方向と適宜称する。また、ノズルキャップ10において、軸線方向における計量キャップ102側を上方(上側)、容器本体100A側を下方(下側)と適宜称する。また、軸線方向をZ方向とし、
図1中、径方向をX方向とし、Z方向およびX方向と直交する方向(
図1中、紙面と直交する方向)をY方向として適宜説明する。
【0016】
図2に示すように、ノズルキャップ10は、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成形により形成されている。ノズルキャップ10は、嵌合部11、ノズル基部12及びノズル部13を主に有し、互いに軸線Cを中心として構成されている。
【0017】
嵌合部11は、筒状をなし、
図1に示した容器本体100Aの口部101の外側に嵌合する。嵌合部11は、ノズルキャップ10の下端側にキャップ最大径となる環状凸部14と、軸線Cに沿う環状凸部14の上端に連続し環状凸部14よりも径方向内側に位置する中間部15と、中間部15の環状凸部14とは反対側の端部に連続するとともに中間部15よりも径方向内側に位置する上端部16とを有している。上端部16の軸線C周りには、雄ねじ部17が形成されている。本実施形態のノズルキャップ10は、軸線Cに沿って上端部16から中間部15、環状凸部14へ向かうに従って、径方向外側に段階的に拡径した形状とされている。
【0018】
ノズルキャップ10には、上述の計量キャップ102が装着される。計量キャップ102は、上端部16の外側に装着され、中間部15と上端部16との間の段差19に収まるように位置する。ノズルキャップ10に計量キャップ102が装着された状態で、装着された計量キャップ102の外周面102aと、ノズルキャップ10の中間部15との径方向における高さ位置が略一致する。すなわち、中間部15と上端部16との段差19は、計量キャップ102の厚さ寸法に相当し、計量キャップ102がノズルキャップ10に装着された状態で、計量キャップ102からノズルキャップ10にかけて連続した外形をなすように構成されている。
【0019】
また、嵌合部11には、内周面11bに沿って軸線C周りに雌ねじ部20が形成されており、
図1に示した容器本体100Aの口部101の外側に形成された雄ねじ部(不図示)に螺合する構成とされている。
【0020】
ノズル基部12は、
図2及び
図3に示すように、嵌合部11の内側に同軸をなして設けられ、キャップ装着時に容器本体100Aの口部101から収容空間100a内に挿入される。ノズル基部12は、内側筒部21と、内側筒部21の一端側に設けられた底面部22とを有する有底円筒状をなし、底面部22には
図4に示すような注出用開口孔23が形成されている。
【0021】
内側筒部21は、嵌合部11の上端部16よりも径方向内側(軸線C側)に位置し、軸線Cに沿う下端側が環状凸部14よりも外側(容器本体100A)に突出している。
【0022】
底面部22は、容器本体100A側に凸のV字形状をなし、互いに傾斜角度の異なる第1傾斜面22Aと第2傾斜面22Bと、これら第1傾斜面22A及び第2傾斜面22Bの接続頂部22C,22Cの延長線上で互いに対向する第3傾斜面22D及び第4傾斜面22Eとを有し、最下端の接続頂部22C,22Cに向かって細くなっている。注出用開口孔23は、底面部22の第1傾斜面22Aから第2傾斜面22Bにかけて形成されている。
【0023】
ノズル部13は、
図5、
図6及び
図7に示すように、ノズル基部12の底面部22に立設され、軸線Cに沿って容器本体100Aとは反対側に向かって延出している。具体的に、ノズル部13は、底面部22の第1傾斜面22Aに立設された、樋状部24と、一対の受け部26,26とを有している。
【0024】
樋状部24は、注出用開口孔23の周縁から上方へ立ち上がるようにして延在し、ノズル流路18の流路径が延在方向(Z方向)で略一定とされている。
樋状部24は、
図7に示すように、注出用開口孔23の一部を囲むようにして設けられている。樋状部24は、
図7に示すように+X側に開口する断面U字形状をなし、+X側の開口端24a,24aは注出用開口孔23の周縁には沿っておらず、X方向に沿って延在している。
【0025】
本実施形態の注出用開口孔23は、一例として雫形状をなしている。樋状部24は、注出用開口孔23のうち第1傾斜面22Aに形成された第1の開口23Aの一部を囲んでおり、円弧状の周縁に沿って設けられている。また、注出用開口孔23のうち第2傾斜面22Bに形成された第2の開口23Bは、樋状部24の+X側の開口端24aよりも径方向外側へ突出しており、樋状部24によって囲まれずに開放されている。
【0026】
上述したように、注出用開口孔23は、底面部22の第1傾斜面22Aから第2傾斜面22Bにかけて形成されている。傾倒時に上位側となる第2傾斜面22Bは、ノズル部13が立設されている第1傾斜面22Aに対して折り返すように傾斜しているため、注出時に内容物が第2傾斜面22B側に乗り上げにくい。そのため、注出用開口孔23のうち、第2傾斜面22Bに形成された部分の開口状態を維持しやすく、一部を空気置換孔25として機能させることができる。
【0027】
このような樋状部24の両外側には、樋状部24に沿って軸線方向へ延びるとともに樋状部24の外形に倣って湾曲する一対の受け部26,26が設けられている。
【0028】
一対の受け部26,26は、
図6に示すように側方から見たときに、軸線方向で嵌合部11の内側に隠れる第1部分26Aに対して、嵌合部11よりも外側に露出する第2部分26Bが樋状部24の先端に向かって極端に細くなった先細り形状とされている。これら一対の受け部26,26は、
図7に示すように、ノズル部13の−X側の頂部qから径方向両外側へ広がるように湾曲し、ノズル部13との間に空間を形成すべくノズル部13から離れて対向している。
図7に示すように、受け部26の第1部分26Aにおける+X側の開口端26aは、樋状部24の開口端24aよりも−X側に位置する。
【0029】
上記構成のノズルキャップ10は、容器本体100Aの口部101から、ノズル基部12の底部側を収容空間100a内へ挿入させつつ、嵌合部11の雌ねじ部20を容器本体100A側の雄ねじ部(不図示)に螺合させながら締結することにより、容器本体100Aに装着される。容器本体100Aに装着されたノズルキャップ10には、嵌合部11の雄ねじ部17に計量キャップ102の雌ねじ部(不図示)が螺合されて締結されることにより、計量キャップ102が装着される。
【0030】
容器本体100A内から内容物を注出する際には、計量キャップ102を締結時とは逆方向に回転して、計量キャップ102の雌ねじ部(不図示)と、ノズルキャップ10の雄ねじ部17との螺合を解除して計量キャップ102をノズルキャップ10から取り外す。計量キャップ102を取り外した状態で、容器本体100Aを把持してノズルキャップ10のノズル部13の開口側を上方に向け、その後、
図9に示すように、ノズル部13が下方に位置するように斜めに傾けることにより、容器本体100Aに収納された内容物をノズル部13から計量キャップ102に注出して計量することができる。
【0031】
多く出し過ぎてしまった場合は再び容器本体100A内へ戻そうとするが、その際に、注出用開口孔23内に入らずに樋状部24の外側に漏れ出した内容液は、その両側に存在する一対の受け部26,26によって受け止められる。各受け部26によって受容された内容液は、傾倒時に第2部分26bに沿って先端側へと案内されて、その後の計量の際に注出される。
【0032】
容器本体100Aへ内容物を詰め替える際には、計量キャップ102を締結時とは逆方向に回転して、計量キャップ102の雌ねじ部(不図示)と、ノズルキャップ10の雄ねじ部17との螺合を解除して計量キャップ102をノズルキャップ10から取り外す。計量キャップ102を取り外した状態で、詰め替え容器からノズルキャップ10のノズル部13を通して容器本体100Aへ内容物を詰め替える。
【0033】
本実施形態において、注出用開口孔23の大きさは、使用の際に樋状部24内を流動する内容物と、樋状部24の内壁面24bとの粘性摩擦を抑制可能な大きさに設定されている。本実施形態では、注出用開口孔23の全体の開口のうち、中央部分を中央開口27とし、その面積Sを
図7中の破線で示す。中央開口27の面積Sは、ノズル部13における樋状部24の内壁面24bから軸線Cに向かって3mm離れた位置に設定されている。中央開口27の面積Sは、注出用開口孔23における全体の開口面積のうち30%以上を占めることが好ましく、より好ましくは35%以上である。
【0034】
具体的な例としては、高粘度液体(200mPa・s以上、20℃)の内容物を注出する場合、注出用開口孔23の投影面積が180mm
2以上であり、樋状部24の内壁面24bから3mm以上離れた位置における中央開口27の面積Sが54mm
2以上であることが好ましい。
【0035】
容器本体100A内に収容される内容物は粘性の高い液体であることが多く、注出用開口孔23の大きさを具体的に規定していない従来の構成では、容器本体100Aから注出する際に、ノズル部13の樋状部24の内壁面24bに対する内容物の粘性摩擦によって流動損失が生じて、内容物の流下速度が低下してしまうことがあった。つまり、流路径に対して内容物の粘度が大きいほど層流になり易い。そのため、ノズル部13を介して内容物がなかなか注出されないという不具合が生じる可能性があった。
【0036】
一般的に、注出用開口孔23を通過する内容物の流量が、ノズル部13(樋状部24)内を流下する流量よりも多いと、樋状部24から内容物が溢れてしまう。また、注出用開口孔23を通過する内容物の流量が、樋状部24(ノズル流路18)を流下する流量よりもかなり少ないと、容器本体100Aを大きく傾けなければならない。
【0037】
一方、注出用開口孔23を通過する内容物の流量が、ノズル流路18を流下する流量と略同じな場合は、樋状部24から内容物が溢れ出てしまうことなく正常に注出することができる。また、注出用開口孔23を通過する内容物の流量が、ノズル流路18を流下する流量よりも少ない場合も、樋状部24から内容物が溢れ出てしまうことなく正常に注出することができる。
【0038】
図8は、ノズル部から注出される内容液の注出量と中央開口27の面積Sとの関係を示すグラフである。ここでは、
図9に示すように、容器本体100Aの上下方向(軸線C)を傾けた状態で、計量キャップ102に注出される内容物の注出量を示したものである。ここでは、水平方向に対して−10度ほど傾けた。
【0039】
図8に示すように、ノズル部13から注出される内容物の注出量と、中央開口27の面積Sとは略比例関係にあり、注出用開口孔23における中央開口27が示す割合が大きいほど、注出される内容物の注出量が多くなっている。つまり、ノズル部13(樋状部24)の内壁面24bから内側へ離れた流路を拡大することによって、樋状部24内を流出する内容液のうち、内壁面24bに触れないノズル流路18の中央部分の流量が増えて、全体の流下速度が高まり、結果として、内容物の注出量を増やすことができる。内容物の注出量としては、150g以上が使用性の上で好ましい量であり、より好ましくは200g以上である。
【0040】
このように、本実施形態では、注出用開口孔23の大きさを、中央開口27の面積Sを用いて規定し、樋状部24の内壁面24bから離れた位置におけるノズル流路18の中央部分を拡大することによって、注出用開口孔23における内容物の通過量と、樋状部24における通過量とを最適化することができた。つまり、注出用開口孔23における内容物の通過量と、樋状部24における通過量とを同等にすることによって、注出時に樋状部24から内容物が溢れ出すことなく、極端な傾倒角度による操作性の不具合を改善することができる。
【0041】
また、本実施形態では、各受け部26において、第1部分26Aにおける残液回収機能を確保しつつ、嵌合部11よりも外側に露出する第2部分26Bを細くすることによって、注出操作時に樋状部24の先端側が見やすくなる構成としている。これにより、計量キャップ102を狙い易くなり、計量キャップ102内へ内容物を注ぎやすい。また、第2部分26Bに受容された残液は、第2部分26Bに沿って先端側へ案内され、樋状部24から注出される内容物とともに計量キャップ102へ注出される。さらに、第1部分26Aに対して第2部分26Bを細くしたことにより、使用する樹脂量を減らすことができ、軽量化及びコスト削減が図れる。また、ノズルキャップ10の全体としての小型化も図ることができる。
【0042】
なお、本実施形態のノズルキャップ10は螺合タイプであるが、例えば、圧入やアンダーカット部等の係合等により上方に抜けないように容器本体100Aの口部101に挿入されて嵌合する構成としてもよい。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
例えば、注出用開口孔23の形状は上述した形状に限られず、適宜変更が可能である。