(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)本開示の概要
移動対象物を移動する作業機においては、例えば、カメラで認識された移動対象物を保持具で保持する。カメラ及び保持具が移動ヘッドに固定されている場合には、移動ヘッドがヨーイング、ピッチング、又はローイング等(以下、ヨーイング等と略記する。)の影響を受けていると、カメラを所定位置に移動させる制御が行われても、その所定位置と実際の移動位置との間にズレが生じる。この点は、保持具についても同様である。但し、カメラの移動制御においては、例えば、マトリックス基板等を使用した位置補正が予め行われることによって、ヨーイング等の影響が排除される。
【0012】
図1で説明する。カメラ200及び保持具202が不図示の移動ヘッドに固定されている場合において、移動制御が行われると、カメラ200の中心位置C1が、その移動制御で移動先に指令された位置と略一致する。なぜなら、上述したように、カメラ200の位置補正が予め行われているためである。これに対して、保持具202の中心位置C2については、移動制御で移動先に指令された位置C3とは一致せず、その位置C3に対して位置ズレEが生じる。
【0013】
そこで、本開示では、
図2に表されたフローチャートによって、保持具202の位置補正が行われる。先ず、ステップS10のカメラ補正処理が行われ、不図示のマトリックス基板等が使用されることによって、カメラ200の位置補正が行われる。ステップS12のマーク処理では、移動制御後の保持具202の中心位置C2がマークで示される。ステップS14の認識処理では、上記マークがカメラ200で撮像され、その撮像データが画像処理される。この画像処理によって、保持具202の中心位置C2が認識される。ステップS16の保持具補正処理では、そのように認識された保持具202の中心位置C2と上記移動制御で保持具202の中心の移動先に指定された位置C3とから位置ズレEが算出され、その算出された位置ズレEによって保持具202の位置補正が行われる。従って、保持具202の位置は、カメラ200の撮像データによって認識されることから、カメラ200の撮像位置(つまり、不図示のマトリックス基板等を使用した位置補正がなされたもの)を基準にして補正される。尚、このような保持具202の位置補正は、上記移動制御で保持具202の中心の移動先に指定された位置C3について行われたものであるが、そのような位置C3以外の所望位置についても保持具202の位置補正が行われる場合(ステップS18:YES)には、上記ステップS12以降の処理が繰り返される。全ての所望位置について保持具202の位置補正が行われると(ステップS18:NO)、保持具202の位置補正が終了する。
【0014】
以下、本開示の好適な具体例である第1実施形態及び第2実施形態を、図面を参照しながら説明する。尚、図面では、構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。
【0015】
(2)第1実施形態
図3は、ワーク移載システム10の斜視図である。第1実施形態では、本開示をワーク移載システム10で実施する。
【0016】
(2−1)ワーク移載システム10の構成
図3に表されたように、ワーク移載システム10は、システム制御部12、ワーク移載装置20、ワーク供給装置40、及びワーク収容部材60を備えている。システム制御部12は、システム全体を制御するものであり、不図示のCPU、ROM、及びRAM等を備え、上記CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されている 。システム制御部12は、ワーク移載装置20とワーク供給装置40とに電気的に接続されており、これらの装置に信号を出力し、これらの装置から信号が入力されるものである。尚、ワーク移載システム10における、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図3に示した通りとして以下説明する。
【0017】
ワーク移載システム10は、ワーク収容部材60に収容された作業対象のワーク37を、その後の作業に用いられる作業用載置部36に移動、載置させる装置として構成されている。ワーク移載システム10は、例えば、不定姿勢でワーク収容部材60の採取用載置部63に載置されたワーク37を、後工程で作業者が作業しやすいように、所定の姿勢で整列させた状態で作業用載置部36に載置させるものとしてもよい。ここで、不定姿勢とは、ワーク37の位置、方向等が統一されていない状態をいうものとする。ワーク37は、特に限定されないが、例えば、機械部品、電気部品 、電子部品、又は化学部品等が挙げられ、例えば、ボルト、ナット、ワッシヤ、ねじ、釘、及びリベット等のうち1以上の締結部材としてもよい。ワーク37は、少なくとも一部 (所定箇所38) が磁性体で形成されているものとしてもよい。ワーク37は、磁性体で形成された所定箇所38が、ワーク移載装置20やワーク供給装置40が備える電磁石によって引き付けられ、移動する。作業用載置部36は、ワーク37を配列載置する部材である。作業用載置部36は、磁力を帯びており、磁性体であるワーク37を磁力で固定するパレットとして構成されている。作業用載置部36では、ワーク37は、その種別に応じて定められた位置に配設固定される。作業者は、ワーク移載システム10によってワーク37が配設固定された作業用載置部36を用い、配設固定された位置に基づいてワーク37を特定しながら、ワーク37の組付け等を行う。ワーク移載システム10は、例えば、ワーク37としてのボルトを作業用載置部36に配列させる工程や、ワーク37としてのワッシャを配列されたボルトに組付ける工程等を実行するものとしてもよい。本実施形態において、ワーク37は、その全体を磁性体とするボルトであり、所定箇所38がネジ軸の先端部であり、ボルトの頭部を下方にして所定間隔で作業用載置部36に配列させられる。
【0018】
ワーク移載装置20は、移載部21、搬送部34、及び移載制御部35を備えている。移載部21は、1以上のワーク37が載置されたワーク収容部材60からワーク37を採取し、採取したワーク37を所定の配列で作業用載置部36に移動載置するものである。移載部21は、採取部22、撮像部25、アーム部28、及び基部33を備えている。採取部22は、ワーク37の所定箇所38を引き付けて採取する部材であり、アーム部28の先端に回動可能に装着されている。撮像部25は、画像を撮像するユニットであり、採取部22の先端側に固定されている。アーム部28は、採取部22と撮像部25とが一端側に配置され、基部33が他端側に配置され、基部33によって支持されている。アーム部28は、不図示のかさ歯車機構及び不図示のモータで回転駆動される。
【0019】
搬送部34は、作業用載置部36の搬入・搬送、ワーク37を移載するための作業用載置部36の固定、及び作業用載置部36の搬出を行うユニットである。搬送部34は、1対のコンベアベルト11を備えている。コンベアベルト11は、
図3の前後に間隔を開けて設けられ、左右方向に架け渡されている。作業用載置部36は、コンベアベルト11によって搬送される。
【0020】
移載制御部35は、不図示のCPU、ROM、及びRAM等を備えており、ワーク移載装置20の全体を制御する。移載制御部35は、採取部22、撮像部25、及び搬送部34に信号を出力する。移載制御部35には、撮像部25からの信号が入力される。尚、アーム部28には、不図示の位置センサが装備されている。移載制御部35は、それらの位置センサから入力された位置情報に基づいて、上記モータを制御する。移載制御部35は、採取部22と撮像部25とを制御する。この制御によって、移載制御部35は、不定姿勢でワーク37が載置された採取用載置部63の撮像画像に基づいてワーク37を認識し、その認識したワーク37の所定箇所38に採取部22を移動させた後、採取部22でワーク37を所定の姿勢で整列させながら作業用載置部36に載置する。
【0021】
ワーク供給装置40は、供給部41、移動部54、供給制御部55、及びワーク収容部材60を備えている。供給部41は、ワーク移載装置20で採取可能となるよう、ワーク収容部材60の貯蔵部62に収容された1以上のワーク37を採取し、不定姿勢でワーク収容部材60の採取用載置部63に供給する。供給部41は、採取部42、アーム部48、及び基部53を備えている。採取部42は、多数のワーク37を引き付けて採取する部材であり、アーム部48の先端に回動可能に装着されている。アーム部48は、不図示のかさ歯車機構及び不図示のモータで回転駆動される。
【0022】
移動部54は、収容台56及びレール57を備えている。収容台56は、1以上のワーク収容部材60が載せられるものである。レール57は、収容台56を退避位置 (
図3の点線参照) と移載処理位置との間で移動させるものである。収容台56は、不図示の駆動部で移動させられる。作業者は、収容台56を退避位置に移動させた後、ワーク収容部材60に新たなワーク37を追加する。
【0023】
供給制御部55は、不図示のCPU、ROM、及びRAM等を備えており、ワーク供給装置40の全体を制御する。供給制御部55は、採取部42及び移動部54に信号を出力する。供給制御部55は、供給部41を制御する。この制御によって、供給部41は、採取用載置部63で採取可能なワーク37がなくなるタイミングにおいて貯蔵部62から複数のワーク37を採取し、採取したワーク37を採取用載置部63に載置する。また、供給部41は、所定のタイミングにおいて採取用載置部63に載置された1以上のワーク37を採取し、採取したワーク37を貯蔵部62に送る。
【0024】
ワーク収容部材60は、ワーク37を貯蔵する部材であり、作業用載置部36にワーク37を移動載置するワーク移載装置20に用いられるものである。ワーク収容部材60は、上方が開放された箱体であり、傾斜部61、貯蔵部62、採取用載置部63、及び筐体64を備えている。傾斜部61は、筐体64内でワーク37が滑り落ちることが可能な内面を有しており、ワーク収容部材60に一つ形成されている。傾斜部61の内面は、採取用載置部63から落下したワーク37を貯蔵部62へ導く斜面である。傾斜部61は、採取用載置部63の真下に配設されている。貯蔵部62は、傾斜部61の下部に設けられている。貯蔵部62は、多数のワーク37を貯蔵する部分であり、上方から見て採取用載置部63に隣り合うように、筐体64の下方に形成されている。採取用載置部63は、傾斜部61の上部に配設され、貯蔵部62から移載されたワーク37を載置する部材である。採取用載置部63は、矩形板状体であり、筐体64の側面側から円柱状の支持部材68で支持されている。尚、ワーク収容部材60では、筐体64の前後方向には支持部材68がない。筐体64は、ワーク収容部材60の外壁を構成するものであり、傾斜部61、貯蔵部62、及び採取用載置部63が形成されている。筐体64の上部には、採取用載置部63の周囲において、採取用載置部63と貯蔵部62との間をワーク37が移動可能な移動用空間が形成されている。採取用載置部63の上方には、ワーク移載装置20でワーク37を採取作業可能な採取用空間が形成されている。
【0025】
(2−2)採取部22の位置補正
次に、ワーク移載システム10で行われる採取部22の位置補正を
図4を用いて説明する。
図4では、採取部22、撮像部25、作業用載置部36、及びジグ300が簡略化して描かれている。
図4に表された採取部22の位置補正は、作業用載置部36の平面上でジグ300を使用して行われるものであり、
図2のフローチャートに基づきシステム制御部12(のCPU)によって実行される。尚、作業用載置部36の平面は、X軸及びY軸に平行な平面である。よって、
図4に表された採取部22の位置補正は、X軸及びY軸で定められる直交座標系を用いて行われる。
【0026】
先ず、作業者によって、不図示のマトリックス基板が搬送部34(のコンベアベルト11)上に載置される。その後、システム制御部12は、ワーク37を移載するときの作業用載置部36と同様にして、不図示のマトリックス基板を搬送部34で固定する。システム制御部12は、そのような状態にある不図示のマトリックス基板を使用して、撮像部25の位置補正を行う(
図2のステップS10)。従って、撮像部25は、
図1のカメラ200に相当するものである。撮像部25の位置補正に関するデータは、システム制御部12のRAM等に記憶される。撮像部25の位置補正が終了すると、不図示のマトリックス基板は、作業者によって搬送部34から取り除かれる。
【0027】
その後、システム制御部12は、ワーク37を移載するときと同様にして、搬送部34で作業用載置部36を固定する。更に、システム制御部12は、ジグ300を採取部22に採取させる。尚、ジグ300は、作業用載置部36に載置可能な形状(例えば、円柱状等)を有している。更に、ジグ300の部分のうち、採取部22に採取される部分及び作業用載置部36に載置される部分は、磁性体で形成されている。これによって、採取部22ではジグ300の採取状態が安定し、作業用載置部36ではジグ300の載置状態が安定する。
【0028】
次に、システム制御部12は、採取部22が作業用載置部36の第1所定位置P1上まで移動するように制御する。これによって、採取部22に採取されたジグ300は、
図4(a)に表されたように、システム制御部12の制御によって実際に移動した位置(第1所定位置P1に相当する位置上)に存在する。その後、システム制御部12は、採取部22に採取させたジグ300を、
図4(b)に表されたように、システム制御部12の制御によって実際に移動した位置(第1所定位置P1に相当する位置上)から作業用載置部36に載置させる(
図2のステップS12)。従って、採取部22は、
図1の保持具202に相当するものである。
【0029】
その後、システム制御部12は、撮像部25が作業用載置部36の第1所定位置P1上まで移動するように制御する。この制御によって、システム制御部12は、
図4(c)に表されたように、ジグ300を撮像部25の撮像視野302内に含ませる。更に、システム制御部12は、撮像部25でジグ300を撮像し、その撮像データを使用した画像処理によってジグ300の位置を認識する。但し、ジグ300の位置は、採取部22の位置として認識される(
図2のステップS14)。
【0030】
その後、システム制御部12は、そのようにして認識した採取部22の位置と第1所定位置P1との位置ずれを算出し、その位置ずれに基づいて採取部22の位置補正を行う(
図2のステップS16)。採取部22の位置補正に関するデータは、システム制御部12のRAM等に記憶される。ここで、採取部22の位置は、撮像部25の撮像データを使用して認識されることから、撮像部25の撮像位置(つまり、第1所定位置P1に相当する位置であって、不図示のマトリックス基板を使用して位置補正がなされたもの)を基準にして補正される。
【0031】
その後、システム制御部12は、採取部22の位置補正を第1所定位置P1以外の所望位置で行う場合には(
図2のステップS18:YES)、第1所定位置P1に相当する位置で作業用載置部36に載置されているジグ300を、作業用載置部36の所望位置の上まで移動させる。そのために、システム制御部12は、
図4(d)に表されたように、採取部22が作業用載置部36の第1所定位置P1上まで移動するように制御する。更に、システム制御部12は、ジグ300を採取部22に採取させる。
【0032】
そして、システム制御部12は、例えば、
図4(e)に表されたように、採取部22の位置補正を第1所定位置P1以外の第2所定位置P2で行う場合には(
図2のステップS18:YES)、採取部22が作業用載置部36の第2所定位置P2上まで移動するように制御する。これによって、採取部22に採取させたジグ300は、システム制御部12の制御によって実際に移動した位置(第2所定位置P2に相当する位置上)に存在する。
【0033】
以後、システム制御部12は、作業用載置部36の第2所定位置P2について、
図4(b)及び
図4(c)に表された各動作を行うことによって、採取部22の位置補正を行う。但し、システム制御部12は、採取部22の位置補正を行う所望位置が無くなった場合には(
図2のステップS18:NO)、
図4に表された採取部22の位置補正を終了する。
【0034】
尚、
図4に表された採取部22の位置補正において、撮像部25が作業用載置部36の第1所定位置P1上まで移動することによって、採取部22が作業用載置部36の第2所定位置P2上まで移動する場合には、以下のようにして、
図4に表された採取部22の位置補正が続行されてもよい。
【0035】
すなわち、システム制御部12は、第1所定位置P1に相当する位置で作業用載置部36に載置されているジグ300を撮像部25で撮像する以前において、そのジグ300と同一の形状・材質で別個のジグを採取部22に採取させる。その採取されたジグは、第1所定位置P1に相当する位置で作業用載置部36に載置されているジグ300が撮像部25で撮像されるときに(
図2のステップS14)、システム制御部12の制御によって実際に移動した位置(第2所定位置P2に相当する位置上)から作業用載置部36に載置される(
図2のステップS12)。
【0036】
このようにして、
図4に表された採取部22の位置補正は、作業用載置部36の第1所定位置P1及び第2所定位置P2等について行われているが、第1所定位置P1及び第2所定位置P2等のうち、いずれかの一箇所のみについて行われてもよい。また、
図4に表された採取部22の位置補正は、作業用載置部36上にジグ300を載置して行われているが、採取用載置部63上にジグ300を載置して行われてもよい。そのような場合には、採取用載置部63に不図示のマトリックス基板を固定して、撮像部25の位置補正を行ってもよい。また、
図4に表された採取部22の位置補正は、システム制御部12で実行されているが、システム制御部12の指令を受けた移載制御部35で実行されてもよい。
【0037】
ちなみに、第1実施形態において、ワーク移載システム10は、作業機の一例である。システム制御部12は、制御部の一例である。移載部21は、移動ヘッドの一例である。採取部22は、保持具の一例である。撮像部25は、カメラの一例である。ワーク37は、移動対象物の一例である。ジグ300(の載置)は、マークの一例である。第1所定位置P1は、所定位置の一例である。第2所定位置P2は、所定位置の一例である。
【0038】
(3)第2実施形態
図5は、ノズル管理装置80の斜視図である。第2実施形態では、本開示をノズル管理装置80で実施する。尚、ノズル管理装置80における、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図5に示した通りとして以下説明する。
【0039】
(3−1)ノズル管理装置80の構成
図5に表されたように、ノズル管理装置80は、電子部品装着装置で使用された吸着ノズル160に対して、洗浄、乾燥、及び検査等を行うものである。ノズル管理装置80は、管理装置本体90、パレット収容装置92、ノズル移載装置94、ノズル洗浄装置96、ノズル検査装置98、及びコントローラ170を備えている。コントローラ170は、不図示のCPU、ROM、及びRAM等を備えており、ノズル管理装置80の全体を制御する。尚、
図5は、ノズル管理装置80の外殻部材を取り外した状態を示す斜視図であり、ノズル管理装置80の内部構造を示している。
【0040】
管理装置本体90は、フレーム部100と、そのフレーム部100に上架されたビーム部102とによって構成されている。フレーム部100は、中空構造とされており、フレーム部100内にパレット収容装置92が配設されている。パレット収容装置92の上端部が、フレーム部100の上面に露出している。
【0041】
パレット収容装置92は、複数のパレット載置棚106、及び支持アーム108を備えている。パレット載置棚106は、ノズルパレット110を載置するための棚である。複数のパレット載置棚106が、フレーム部100の内部において、上下方向に並んで配設されている。尚、ノズルパレット110には、複数の載置穴112が形成されている。各載置穴112には、吸着ノズル160が収容される。
【0042】
支持アーム108は、不図示のアーム移動装置の作動によって、複数のパレット載置棚106の前方において、上下方向に移動するとともに、パレット載置棚106に接近・離間する。これによって、パレット載置棚106へのノズルパレット110の収納、パレット載置棚106からのノズルパレット110の取出しが、支持アーム108によって行われる。尚、パレット載置棚106から取り出されたノズルパレット110は、支持アーム108が上方に移動することで、フレーム部100の上面側に移動する。
【0043】
ノズル移載装置94は、吸着ノズル160を移載するための装置であり、ビーム部102に配設されている。ノズル移載装置94は、移載ヘッド120及びヘッド移動装置122を備えている。移載ヘッド120の下端面には、カメラ126及び保持チャック128が取り付けられている。カメラ126は、下方を向いた状態にある。保持チャック128は、吸着ノズル160を保持するためのものである。
【0044】
ヘッド移動装置122は、ビーム部102に吊り下げられており、移載ヘッド120をフレーム部100の上において左右方向、前後方向、上下方向に移動させるXYZ型の移動装置である。尚、フレーム部100の前方側の上面には、ノズルトレイ76をセットするための固定ステージ130が設けられている。固定ステージ130にセットされた不図示のノズルトレイと、パレット収容装置92の支持アーム108に支持されたノズルパレット110との間で、吸着ノズル160が移載される。
【0045】
ノズル洗浄装置96は、吸着ノズル160の洗浄と乾燥とを行う装置であり、パレット収容装置92の隣に配設されている。ノズル洗浄装置96は、洗浄・乾燥機構132及び洗浄パレット移動機構134を備えている。洗浄・乾燥機構132は、その内部において、吸着ノズル160の洗浄と乾燥とを行う機構である。洗浄パレット移動機構134は、洗浄パレット136が露出する露出位置(
図5で洗浄パレット136が図示されている位置)と、洗浄・乾燥機構132の内部との間で、洗浄パレット136を移動させる機構である。
【0046】
ノズル洗浄装置96によって、吸着ノズル160の洗浄が行われる際には、洗浄対象の吸着ノズル160が、ノズル移載装置94によって、不図示のノズルトレイ(固定ステージ130にセットされたもの)又はノズルパレット110から、洗浄パレット136に移載される。洗浄パレット136が、洗浄パレット移動機構134の作動によって、洗浄・乾燥機構132の内部に移動し、洗浄・乾燥機構132の内部において、吸着ノズル160の洗浄と乾燥とが行われる。吸着ノズル160の洗浄と乾燥とが完了すると、洗浄パレット136が、洗浄パレット移動機構134の作動によって、露出位置に移動され、洗浄パレット136から、不図示のノズルトレイ(固定ステージ130にセットされたもの)又はノズルパレット110に戻される。
【0047】
ノズル検査装置98は、ノズル洗浄装置96によって洗浄された吸着ノズル160を検査する装置であり、ロードセル142、エア供給装置144、及びカメラ146を備えている。
【0048】
ロードセル142は、洗浄パレット移動機構134の隣に配設されており、ロードセル142を用いて、吸着ノズル160の先端部の伸縮状態が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル160が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル160の先端部がロードセル142に当接される。吸着ノズル160の先端部は、伸縮可能とされている。ロードセル142で測定された荷重に基づいて、吸着ノズル160の先端部の伸縮状態が検査される。
【0049】
エア供給装置144は、ノズル移載装置94の移載ヘッド120に装着されている。エア供給装置144を用いて、吸着ノズル160のエア流量検査が行われる。詳しくは、エア供給装置144が、ヘッド移動装置122の作動によって、不図示のノズルトレイ(固定ステージ130にセットされたもの)、ノズルパレット110、又は洗浄パレット136の何れかに載置された吸着ノズル160の上方に移動する。その後、エア供給装置144が、検査対象の吸着ノズル160に接続され、エア供給装置144からエアが供給される。この際に、エア流量が測定されることによって、吸着ノズル160のエア流量検査が行われる。
【0050】
カメラ146は、上方を向いた状態でロードセル142の隣に配設されている。カメラ146を用いて、吸着ノズル160の先端部が検査される。詳しくは、検査対象の吸着ノズル160が保持チャック128によって保持され、その保持チャック128に保持された吸着ノズル160が、カメラ146の上方に移動される。吸着ノズル160は、その下方から、カメラ146で撮像される。これによって、吸着ノズル160の先端の撮像データが得られる。
【0051】
尚、ノズル管理装置80のフレーム部100の上面には、複数の廃棄ボックス148が配設されている。検査で不良ノズルと判定された吸着ノズル160は、廃棄ボックス148に廃棄される。また、検査で正常なノズルと判定された吸着ノズル160は、不図示のノズルトレイ(固定ステージ130にセットされたもの)又はノズルパレット110に戻される。
【0052】
(3−2)保持チャック128の位置補正
次に、ノズル管理装置80で行われる保持チャック128の位置補正を
図6を用いて説明する。
図6では、カメラ126、保持チャック128、洗浄・乾燥機構132、スタンパー304、及び印影306が簡略化して描かれている。
図6に表された保持チャック128の位置補正は、洗浄・乾燥機構132の平面上でスタンパー304を使用して行われるものであり、
図2のフローチャートに基づきコントローラ170(のCPU)によって実行される。尚、洗浄・乾燥機構132の平面は、X軸及びY軸に平行な平面である。よって、
図6に表された保持チャック128の位置補正は、X軸及びY軸で定められる直交座標系を用いて行われる。
【0053】
先ず、作業者によって、不図示のマトリックス基板が洗浄・乾燥機構132の平面上に固定される。コントローラ170は、そのような状態にある不図示のマトリックス基板を使用して、カメラ126の位置補正を行う(
図2のステップS10)。カメラ126の位置補正に関するデータは、コントローラ170のRAM等に記憶される。カメラ126の位置補正が終了すると、不図示のマトリックス基板は、作業者によって洗浄・乾燥機構132から取り除かれる。尚、カメラ126の位置補正は、
図6に表された保持チャック128の位置補正とは関連することなく、予め行われていてもよい。
【0054】
その後、コントローラ170は、保持チャック128にスタンパー304を保持させる。尚、スタンパー304は、所謂インキ浸透印であって、印面がスポンジ状の多孔質ゴム等でできており、内部にインキを染込ませることによって朱肉やスタンプ台なしで押印を可能にしたものである。
【0055】
次に、コントローラ170は、保持チャック128が洗浄・乾燥機構132の第1所定位置P1上まで移動するように制御する。これによって、保持チャック128に保持されたスタンパー304は、
図6(a)に表されたように、コントローラ170の制御によって実際に移動した位置(第1所定位置P1に相当する位置上)に存在する。その後、コントローラ170は、保持チャック128に保持させたスタンパー304を、
図6(b)に表されたように、コントローラ170の制御によって実際に移動した位置(第1所定位置P1に相当する位置上)から洗浄・乾燥機構132に当接させる。更に、コントローラ170は、保持チャック128に保持させたスタンパー304を、
図6(c)に表されたように、洗浄・乾燥機構132から離間させる。これによって、スタンパー304の印影306が、コントローラ170の制御によってスタンパー304が実際に移動した位置(第1所定位置P1に相当する位置上)において、洗浄・乾燥機構132に形成される(
図2のステップS12)。従って、保持チャック128は、
図1の保持具202に相当するものである。
【0056】
その後、コントローラ170は、
図6(d)に表されたように、カメラ126が洗浄・乾燥機構132の第1所定位置P1上まで移動するように制御する。更に、コントローラ170は、
図6(e)に表されたように、印影306をカメラ126のカメラ視野308内に含ませる。更に、コントローラ170は、カメラ126で印影306を撮像し、その撮像データを使用した画像処理によって印影306の位置を認識する。但し、印影306の位置は、保持チャック128の位置として認識される(
図2のステップS14)。
【0057】
その後、コントローラ170は、そのようにして認識した保持チャック128の位置と第1所定位置P1との位置ずれを算出し、その位置ずれに基づいて保持チャック128の位置補正を行う(
図2のステップS16)。保持チャック128の位置補正に関するデータは、コントローラ170のRAM等に記憶される。ここで、保持チャック128の位置は、カメラ126の撮像データを使用して認識されることから、カメラ126の撮像位置(つまり、第1所定位置P1に相当する位置であって、不図示のマトリックス基板を使用して位置補正がなされたもの)を基準にして補正される。
【0058】
その後、コントローラ170は、保持チャック128の位置補正を第1所定位置P1以外の所望位置で行う場合には(
図2のステップS18:YES)、保持チャック128を洗浄・乾燥機構132の所望位置の上まで移動させる。但し、
図6(d)に表されたように、カメラ126が洗浄・乾燥機構132の第1所定位置P1上まで移動するように制御されることによって、保持チャック128が洗浄・乾燥機構132の所望位置である第2所定位置P2上まで移動する場合には、以下のようにして、
図6に表された保持チャック128の位置補正が続行される。
【0059】
すなわち、コントローラ170は、
図6(e)に表されたように、スタンパー304が実際に移動した位置(第1所定位置P1に相当する位置上)に形成された洗浄・乾燥機構132の印影306をカメラ126で撮像する際において(
図2のステップS14)、保持チャック128に保持させたスタンパー304を、コントローラ170の制御によってスタンパー304が実際に移動した位置(第2所定位置P2に相当する位置上)から洗浄・乾燥機構132に当接させる(
図2のステップS12)。
【0060】
以後、コントローラ170は、洗浄・乾燥機構132の第2所定位置P2について、
図6(c)乃至
図6(e)に表された各動作を行うことによって、保持チャック128の位置補正を行う。但し、コントローラ170は、保持チャック128の位置補正を行う所望位置が無くなった場合には(
図2のステップS18:NO)、
図6に表された保持チャック128の位置補正を終了する。
【0061】
このようにして、
図6に表された保持チャック128の位置補正は、洗浄・乾燥機構132の第1所定位置P1及び第2所定位置P2等について行われているが、第1所定位置P1及び第2所定位置P2等のうち、いずれかの一箇所のみについて行われてもよい。また、
図6に表された保持チャック128の位置補正は、洗浄・乾燥機構132の平面上にスタンパー304の印影306を形成して行われているが、固定ステージ130の平面上にスタンパー304の印影306を形成して行われてもよい。そのような場合には、固定ステージ130の平面上に不図示のマトリックス基板を固定して、カメラ126の位置補正を行ってもよい。また、
図6に表された保持チャック128の位置補正においては、スタンパー304を保持チャック128に保持させているが、スタンパー304を保持チャック128に予め装備させてもよい。
【0062】
ちなみに、第2実施形態において、ノズル管理装置80は、作業機の一例である。移載ヘッド120は、移動ヘッドの一例である。保持チャック128は、保持具の一例である。吸着ノズル160は、移動対象物の一例である。コントローラ170は、制御部の一例である。印影306は、マークの一例である。第1所定位置P1は、所定位置の一例である。第2所定位置P2は、所定位置の一例である。
【0063】
(4)まとめ
以上詳細に説明した通り、第1実施形態のワーク移載システム10では、採取部22の位置を撮像部25で認識して補正することを任意の所定位置で行うことが可能である。また、第2実施形態のノズル管理装置80では、保持チャック128の位置をカメラ126で認識して補正することを任意の所定位置で行うことが可能である。
【0064】
(5)変更例
尚、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第1実施形態のワーク移載システム10においては、
図6に表された位置補正が採取部22に対して行われてもよい。これに対して、第2実施形態のノズル管理装置80においては、
図4に表された位置補正が保持チャック128に対して行われてもよい。