(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記駆動信号出力工程において、前記配置位置周端の高さ位置変化に前記処理液ノズルが追従する最適な追従タイミングから前記位相差に相当する時間だけずらすことにより、前記排除タイミングを取得するタイミング取得工程を実行する、請求項3に記載の基板処理装置。
前記各周端高さ位置計測ユニットは、前記基板の周端高さ位置のうち周方向の所定の周端高さ位置を検出するための位置センサ、および前記基板の少なくとも外周部を撮像するCCDカメラの少なくとも一つを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
基板の中央部を支持して、当該基板を保持する基板保持ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている基板を、当該基板の中央部を通る回転軸線周りに回転させる基板回転ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている基板の外周部に向けて処理液を吐出するための処理液ノズルと、前記処理液ノズルを、前記基板保持ユニットによって保持されている基板の主面に沿って移動させるノズル駆動ユニットとを含む基板処理装置において実行される基板処理方法であって、
周端の少なくとも一部が円弧状をなす基板を前記基板保持ユニットにより保持させる基板保持工程と、
前記基板保持ユニットに保持されている基板の周方向の各周端位置における高さ位置である各周端高さ位置を計測する各周端高さ位置計測工程と、
前記回転軸線まわりに前記基板を回転させながら前記基板の外周部に向けて前記処理液ノズルから処理液を吐出することにより当該主面の外周部を処理する外周部処理工程と、
前記外周部処理工程に並行して、前記基板の外周部における前記処理液ノズルからの処理液の着液位置が、前記基板の周端のうち当該処理液ノズルが配置されている周方向位置の周端である配置位置周端との間隔を一定に保つべく当該配置位置周端の高さ位置変化に追従して往復移動するように前記処理液ノズルを駆動する着液位置往復移動工程とを含む、基板処理方法。
前記着液位置往復移動工程は、前記配置位置周端の高さ位置変化に追従して、前記処理液ノズルからの処理液の着液位置と前記配置位置周端との間隔を一定に保つように前記処理液ノズルを前記基板の回転半径方向に移動させる工程を含む、請求項12に記載の基板処理方法。
前記駆動信号出力工程は、前記配置位置周端の高さ位置変化に前記着液位置が追従する最適な追従タイミングから、前記位相差に相当する時間だけずらすことにより前記排除タイミングを取得するタイミング取得工程を含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記着液位置往復移動工程に先立って、前記ノズル駆動ユニットに対して前記ノズル駆動信号を出力して前記着液位置を移動させることにより、前記位相差を計測する位相差計測工程をさらに含み、
前記タイミング取得工程は、前記位相差に基づいて前記排除タイミングを取得する工程を含む、請求項17に記載の基板処理方法。
前記各周端高さ位置計測工程は、前記基板保持ユニットによって保持されている基板を前記回転軸線まわりに回動させながら前記所定の周端高さ位置を、位置センサを用いて計測する工程を含む、請求項12〜18のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の外周部に対する処理(以下、「外周部処理」という)では回転軸線回りに基板を回転させるため、スピンチャックに対して基板が傾斜していると、基板の周端のうち処理液ノズルが配置されている回転方向位置の周端(以下、「配置位置周端」という)の高さが各回転方向位置において変化するおそれがある(面ブレ)。配置位置周端の高さが異なると、基板の上面における、処理液ノズルからの処理液の着液位置と、配置位置周端との距離が異なる。したがって、処理液ノズルがスピンチャックに対して静止姿勢にある場合には、基板の回転に伴って、基板の上面における、処理液ノズルからの処理液の着液位置と、配置位置周端との距離が変化する。この場合、外周部処理において、基板の外周部における処理幅の均一性を一定に保つことができない。
【0005】
そのため、基板の回転に伴う配置位置周端の高さ位置変化によらずに、基板の外周部における処理幅の均一性を高く保つことが求められている。
そこで、この発明の目的は、基板の回転に伴う配置位置周端の高さ位置変化によらずに、基板の外周部における処理幅の均一性を高く保つことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、周端の少なくとも一部が円弧状をなす基板を保持する基板保持ユニットであって、当該基板の外周部を支持せずに当該基板の中央部を支持して当該基板を保持する基板保持ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている基板を、当該基板の中央部を通る鉛直軸線周りに回転させる基板回転ユニットと、前記基板保持ユニットに保持されている基板の周方向の各周端位置における高さ位置である各周端高さ位置を計測するための各周端高さ位置計測ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている基板の外周部に向けて処理液を吐出するための処理液ノズルと、前記処理液ノズルに処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記基板における処理液の着液位置が移動するように前記処理液ノズルを駆動するノズル駆動ユニットと、前記基板回転ユニットを制御し、かつ前記ノズル駆動ユニットを制御する制御装置とを含み、前記制御装置は、前記各周端高さ位置計測ユニットによって、前記各周端高さ位置を計測する各周端高さ位置計測工程と、前記回転軸線まわりに前記基板を回転させながら前記基板の外周部に向けて前記処理液ノズルから処理液を吐出することにより当該主面の外周部を処理する外周部処理工程と、前記外周部処理工程に並行して、前記基板の外周部における前記処理液ノズルからの処理液の着液位置が、前記基板の周端のうち当該処理液ノズルが配置されている周方向位置の周端である配置位置周端との間隔を一定に保つべく当該配置位置周端の高さ位置変化に追従して往復移動するように前記処理液ノズルを駆動する着液位置往復移動工程とを実行する、基板処理装置を提供する。
【0007】
この構成によれば、処理液の着液位置が、配置位置周端との間隔を一定に保ちながら配置位置周端の高さ位置変化に追従して往復移動するように処理液ノズルが駆動される。そのため、基板の回転に伴う配置位置周端の高さ位置変化に応じて、処理液の着液位置を、配置位置周端との間隔を一定に保つように追従させることができる。これにより、基板の回転に伴う配置位置周端の高さ位置変化によらずに、基板の外周部における処理幅の均一性を高く保つことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記制御装置は、前記着液位置往復移動工程を、前記各周端高さ位置計測工程の後に実行する、請求項1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、各周端高さ位置計測工程の結果に基づいて、着液位置往復移動工程を実行することが可能になる。
請求項3に記載の発明は、前記ノズル駆動ユニットは、前記処理液ノズルを駆動するためのノズル駆動信号が入力されることにより前記処理液ノズルを駆動するユニットを含み、前記制御装置は、前記着液位置往復移動工程において、前記制御装置は、前記各周端高さ位置計測工程における計測結果および前記外周部処理工程における前記基板の回転速度に基づいて、前記配置位置周端の高さ位置変化と同じ振幅および同じ周期で前記着液位置が移動するように前記処理液ノズルを駆動させるためのノズル駆動信号を作成するノズル駆動信号作成工程と、作成された前記ノズル駆動信号を、当該ノズル駆動信号の出力に対する前記処理液ノズルの駆動遅れに伴う、前記配置位置周端の高さ位置変化に対する前記着液位置の位相差を排除した排除タイミングで前記ノズル駆動ユニットに出力する駆動信号出力工程とを実行する、請求項2に記載の基板処理装置である。
【0009】
この構成によれば、着液位置往復移動工程において、配置位置周端の高さ位置変化と同じ振幅および同じ周期で処理液の着液位置が移動するように処理液ノズルを駆動させるノズル駆動信号が作成される。そのノズル駆動信号が、処理液ノズルの駆動遅れに伴う位相差を排除した排除タイミングで、ノズル駆動ユニットに対して出力される。すなわち、配置位置周端の高さ位置変化に追従して着液位置を往復移動させることが可能なタイミングでノズル駆動信号が出力される。これにより、ノズル駆動信号の出力に対する処理液ノズルの駆動遅れによらずに、処理液の着液位置を、配置位置周端との間隔を一定に保つように配置位置周端の高さ位置変化に追従させることができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記制御装置は、前記駆動信号出力工程において、前記配置位置周端の高さ位置変化に前記処理液ノズルが追従する最適な追従タイミングから前記位相差に相当する時間だけずらすことにより、前記排除タイミングを取得するタイミング取得工程を実行する、請求項3に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板の外周部における処理液の着液位置が配置位置周端の高さ位置変化に追従する最適な追従タイミングから、位相差に相当する時間だけずらすことにより、排除タイミングを求めることができる。この場合、排除タイミングを簡単かつ正確に取得することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記ノズル駆動ユニットは、前記処理液ノズルを鉛直方向に移動させるノズル移動ユニットを含み、前記制御装置は、前記着液位置往復移動工程として、前記配置位置周端の高さ位置変化に追従して、前記処理液ノズルを鉛直方向に移動させる工程を実行する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、着液位置往復移動工程において、配置位置周端の高さ位置変化に追従して、処理液ノズルが鉛直方向に移動させられる。これにより、基板の外周部において、処理液の着液位置と配置位置周端との間隔を一定に保つことができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記ノズル駆動ユニットは、前記処理液ノズルを、前記基板保持ユニットによって保持されている基板の主面に沿って移動させるノズル移動ユニットを含み、前記制御装置は、前記着液位置往復移動工程として、前記配置位置周端の高さ位置変化に追従して、前記処理液ノズルからの処理液の着液位置と前記配置位置周端との間隔を一定に保つように前記処理液ノズルを前記基板の回転半径方向に移動させる工程を実行する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0013】
この構成によれば、着液位置往復移動工程において、配置位置周端の高さ位置変化に追従して、処理液ノズルからの処理液の着液位置と配置位置周端との間隔を一定に保つように処理液ノズルが回転半径方向に移動させられる。これにより、基板の外周部において、処理液の着液位置と配置位置周端との間隔を一定に保つことができる。
請求項7に記載の発明は、前記基板処理装置は、前記処理液ノズルの移動量を検出するためのノズル移動量検出ユニットをさらに含み、前記制御装置は、前記着液位置往復移動工程に先立って、前記ノズル移動ユニットに対して前記ノズル駆動信号を出力して前記処理液ノズルを移動させ、そのときの前記処理液ノズルの移動量を前記ノズル移動量検出ユニットによって検出することにより、前記位相差を計測する位相差計測工程をさらに実行し、前記制御装置は、前記タイミング取得工程において、前記位相差計測工程によって計測された位相差に基づいて前記排除タイミングを取得する工程を実行する、請求項5または6に記載の基板処理装置である。
【0014】
この構成によれば、処理液ノズルを移動させ、そのときの処理液ノズルの移動量を、ノズル移動量検出ユニットを用いて検出することにより、位相差を実際に計測することができる。実測された位相差に基づいて処理液ノズルを移動するので、処理液の着液位置の往復移動を、配置位置周端の高さ位置変化に、より一層良好に追従させることができる。
請求項8に記載の発明は、前記ノズル移動ユニットは、電動モータを含み、前記移動量検出ユニットは、前記電動モータに設けられたエンコーダを含む、請求項7に記載の基板処理装置である。
【0015】
この構成によれば、エンコーダという簡単な構成で、処理液ノズルの移動量を精度良く検出することができる。処理液の着液位置の往復移動を、配置位置周端の高さ位置変化に、より高精度に追従させることができる。
請求項9に記載の発明は、前記各周端高さ位置計測ユニットは、前記基板の周端高さ位置のうち周方向の所定の周端高さ位置を検出するための位置センサ、および前記基板の少なくとも外周部を撮像するCCDカメラの少なくとも一つを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0016】
この構成によれば、基板保持ユニットに保持されている基板の周方向の各周端高さ位置を、簡単な構成を用いて計測することができる。
請求項10に記載の発明は、前記各周端高さ位置計測ユニットは、前記基板の周端高さ位置のうち周方向の所定の周端高さ位置を検出するための位置センサを含み、前記制御装置は、前記各周端高さ位置計測工程において、前記基板保持ユニットによって保持されている基板を前記回転軸線まわりに回動させながら、前記所定の周端高さ位置を、前記位置センサを用いて計測する工程を実行する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0017】
この構成によれば、基板保持ユニットによって保持されている基板を回動させながら、所定の周端高さ位置を、位置センサを用いて検出することにより、基板の周方向の各周端高さ位置を計測することができる。すなわち、位置センサという簡単な構成を用いて、基板の周方向の各周端高さ位置を良好に計測できる。
請求項11に記載の発明は、前記処理液ノズルは、基板の外側かつ斜め下向きに処理液を吐出する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0018】
この構成によれば、処理液ノズルが処理液を斜め下方向に向けて吐出するので、基板の回転に伴う配置位置周端の高さ位置変化に応じて、処理液の着液位置と配置位置周端との間の距離が変化するおそれがある。
しかしながら、基板の回転に伴う配置位置周端の高さ位置変化に応じて、処理液の着液位置を、配置位置周端との間隔を一定に保つように追従させるので、基板の回転に伴う配置位置周端の高さ位置変化によらずに、処理液の着液位置と配置位置周端との間の距離を一定に保つことができ、これにより、基板の外周部における処理幅の均一性を高く保つことができる。
【0019】
前記の目的を達成するための請求項12に記載の発明は、基板の中央部を支持して、当該基板を保持する基板保持ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている基板を、当該基板の中央部を通る回転軸線周りに回転させる基板回転ユニットと、前記基板保持ユニットによって保持されている基板の外周部に向けて処理液を吐出するための処理液ノズルと、前記処理液ノズルを、前記基板保持ユニットによって保持されている基板の主面に沿って移動させるノズル駆動ユニットとを含む基板処理装置において実行される基板処理方法であって、周端の少なくとも一部が円弧状をなす基板を前記基板保持ユニットにより保持させる基板保持工程と、前記基板保持ユニットに保持されている基板の周方向の各周端位置における高さ位置である各周端高さ位置を計測する各周端高さ位置計測工程と、前記回転軸線まわりに前記基板を回転させながら前記基板の外周部に向けて前記処理液ノズルから処理液を吐出することにより当該主面の外周部を処理する外周部処理工程と、前記外周部処理工程に並行して、前記基板の外周部における前記処理液ノズルからの処理液の着液位置が、前記基板の周端のうち当該処理液ノズルが配置されている周方向位置の周端である配置位置周端との間隔を一定に保つべく当該配置位置周端の高さ位置変化に追従して往復移動するように前記処理液ノズルを駆動する着液位置往復移動工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0020】
この方法によれば、請求項1に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項13に記載の発明は、前記着液位置往復移動工程は、前記配置位置周端の高さ位置変化に追従して、前記処理液ノズルを、前記基板保持ユニットによって保持されている基板の主面に直交する方向に移動させる工程を含む、請求項12に記載の基板処理方法である。
【0021】
この方法によれば、請求項5に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項14に記載の発明は、前記着液位置往復移動工程は、前記配置位置周端の高さ位置変化に追従して、前記処理液ノズルからの処理液の着液位置と前記配置位置周端との間隔を一定に保つように前記処理液ノズルを前記基板の回転半径方向に移動させる工程を含む、請求項12に記載の基板処理方法である。
【0022】
この方法によれば、請求項6に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項15に記載の発明は、前記着液位置往復移動工程は、前記各周端高さ位置計測工程の後に実行される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、請求項2に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項16に記載の発明は、前記ノズル駆動ユニットは、前記処理液ノズルを駆動するためのノズル駆動信号が入力されることにより前記処理液ノズルを駆動するユニットを含み、前記着液位置往復移動工程は、前記各周端高さ位置計測工程における計測結果および前記外周部処理工程における前記基板の回転速度に基づいて、前記配置位置周端の高さ位置変化と同じ振幅および同じ周期で前記着液位置が移動するように前記処理液ノズルを駆動させるためのノズル駆動信号を作成するノズル駆動信号作成工程と、作成された前記ノズル駆動信号を、当該ノズル駆動信号の出力に対する前記処理液ノズルの駆動遅れに伴う、前記配置位置周端の高さ位置変化に対する前記着液位置の位相差を排除した排除タイミングで前記ノズル駆動ユニットに出力する駆動信号出力工程とを含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0023】
この方法によれば、請求項3に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項17に記載の発明は、前記駆動信号出力工程は、前記配置位置周端の高さ位置変化に前記着液位置が追従する最適な追従タイミングから、前記位相差に相当する時間だけずらすことにより前記排除タイミングを取得するタイミング取得工程を含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0024】
この方法によれば、請求項4に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項18に記載の発明は、前記着液位置往復移動工程に先立って、前記ノズル駆動ユニットに対して前記ノズル駆動信号を出力して前記着液位置を移動させることにより、前記位相差を計測する位相差計測工程をさらに含み、前記タイミング取得工程は、前記位相差に基づいて前記排除タイミングを取得する工程を含む、請求項17に記載の基板処理方法である。
【0025】
この方法によれば、請求項7に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
請求項19に記載の発明は、前記各周端高さ位置計測工程は、前記基板保持ユニットによって保持されている基板を前記回転軸線まわりに回動させながら前記所定の周端高さ位置を、位置センサを用いて計測する工程を含む、請求項12〜18のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0026】
この方法によれば、請求項10に関連して説明した作用効果と同等の作用効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを、処理液や処理ガスによって一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液を用いて基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤC1が載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。搬送ロボットIRは、キャリヤC1と搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
【0029】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための図解的な断面図である。
処理ユニット2は、基板Wの外周部41(
図3等参照)を、より具体的には基板Wの上面(主面)の外周領域42(
図3等参照)および基板Wの周端面44(
図3等参照)を、処理液を用いて処理する(トップサイド処理)ユニットである。この実施形態では、基板Wの外周部41とは、基板Wの上面の外周領域42、基板Wの下面(主面)の外周領域43(
図3等参照)、および基板Wの周端面44を含む部分をいう。また、外周領域42,43とは、たとえば、基板Wの周端縁からコンマ数ミリ〜数ミリメートル程度の幅を有する環状の領域をいう。
【0030】
処理ユニット2は、内部空間を有する箱形の処理チャンバ4と、処理チャンバ4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持ユニット)5と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面の外周領域42に処理液(薬液およびリンス液)を供給するための処理液供給ユニット6と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面中央部に、不活性ガスを供給するための第1の不活性ガス供給ユニット8と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面の外周領域42に、不活性ガスを供給するための第2の不活性ガス供給ユニット9と、スピンチャック5に保持されている基板Wの下面の外周領域43に、不活性ガスを供給するための第3の不活性ガス供給ユニット10と、スピンチャック5に保持されている基板Wの下面の外周領域43を加熱するためのヒータ11と、スピンチャック5を取り囲む筒状の処理カップ12とを含む。
【0031】
処理チャンバ4は、箱状の隔壁13と、隔壁13の上部から隔壁13内(処理チャンバ4内に相当)に清浄空気を送る送風ユニットとしてのFFU(ファン・フィルタ・ユニット)14と、隔壁13の下部から処理チャンバ4内の気体を排出する排気装置(図示しない)とを含む。
FFU14は隔壁13の上方に配置されており、隔壁13の天井に取り付けられている。FFU14は、隔壁13の天井から処理チャンバ4内に清浄空気を送る。排気装置は、処理カップ12内に接続された排気ダクト15を介して処理カップ12の底部に接続されており、処理カップ12の底部から処理カップ12の内部を吸引する。FFU14および排気装置により、処理チャンバ4内にダウンフロー(下降流)が形成される。
【0032】
スピンチャック5は、この実施形態では、真空吸着式のチャックである。スピンチャック5は、基板Wの下面中央部を吸着支持している。スピンチャック5は、鉛直な方向に延びたスピン軸16と、このスピン軸16の上端に取り付けられて、基板Wを水平な姿勢でその下面を吸着して保持するスピンベース17と、スピン軸16と同軸に結合された回転軸を有するスピンモータ(基板回転ユニット)18とを備えている。スピンベース17は、基板Wの外径よりも小さな外径を有する水平な円形の上面17aを含む。基板Wの裏面がスピンベース17に吸着保持された状態では、基板Wの外周部41が、スピンベース17の周端縁よりも外側にはみ出ている。スピンモータ18が駆動されることにより、スピン軸16の中心軸線まわりに基板Wが回転される。
【0033】
処理液供給ユニット6は、処理液ノズル19を含む。処理液ノズル19は、たとえば、連続流の状態で液を吐出するストレートノズルである。処理液ノズル19は、基板Wの上面における処理液の供給位置を変更できるスキャンノズルとしての基本形態を有している処理液ノズル19は、スピンチャック5の上方でほぼ水平に延びたノズルアーム20の先端部に取り付けられている。ノズルアーム20は、スピンチャック5の側方でほぼ鉛直に延びたアーム支持軸21に支持されている。
アーム支持軸21には、アーム揺動モータ22が結合されている。アーム揺動モータ22は、たとえばサーボモータである。アーム揺動モータ22により、ノズルアーム20をスピンチャック5の側方に設定された鉛直な揺動軸線A2(すなわち、アーム支持軸21の中心軸線)を中心として水平面内で揺動させることができ、これにより、揺動軸線A2まわりに処理液ノズル19を回動させることができるようになっている。
【0034】
アーム支持軸21には、アーム昇降モータ122が、ボールねじ機構などを介して結合されている。アーム昇降モータ122は、たとえばサーボモータである。アーム昇降モータ122により、アーム支持軸21を昇降させてアーム支持軸21と一体的にノズルアーム20を昇降させることができる。これにより、処理液ノズル19を昇降(すなわち、高さ方向V(鉛直方向)に沿って移動)させることができる。アーム昇降モータ122には、アーム昇降モータ122の出力軸122aの回転角を検出するエンコーダ23が結合されている。アーム揺動モータ122が出力軸122aを回転させると、出力軸22aの回転角に応じた移動量で、処理液ノズル19が上昇または降下する。すなわち、処理液ノズル19が上昇または下降すると、処理液ノズル19の移動量に相当する回転角でアーム揺動モータ22の出力軸22aを回転させる。したがって、エンコーダ23によって出力軸22aの回転角を検出することにより、処理液ノズル19の位置(高さ方向V(鉛直方向)の位置)を検出することができる。
【0035】
処理液ノズル19には、薬液供給源からの薬液が供給される薬液配管24が接続されている。薬液配管24の途中部には、薬液配管24を開閉するための薬液バルブ25が介装されている。また、処理液ノズル19には、リンス液供給源からのリンス液が供給されるリンス液配管26Aが接続されている。リンス液配管26Aの途中部には、リンス液配管26Aを開閉するためのリンス液バルブ26Bが介装されている。リンス液バルブ26Bが閉じられた状態で薬液バルブ25が開かれると、薬液配管24から処理液ノズル19に供給された連続流の薬液が、処理液ノズル19の下端に設定された吐出口19a(
図3参照)から吐出される。また、薬液バルブ25が閉じられた状態でリンス液バルブ26Bが開かれると、リンス液配管26Aから処理液ノズル19に供給された連続流のリンス液が、処理液ノズル19の下端に設定された吐出口19a(
図3参照)から吐出される。
【0036】
薬液は、たとえば、基板Wの表面をエッチングしたり、基板Wの表面を洗浄したりするのに用いられる液である。薬液は、フッ酸、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、バッファードフッ酸(BHF)、希フッ酸(DHF)、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえば、クエン酸、蓚酸等)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、有機溶剤(たとえばIPA(isopropyl alcohol)など)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。リンス液は、たとえば脱イオン水(DIW)であるが、DIWに限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(たとえば、10ppm〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0037】
第1の不活性ガス供給ユニット8は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面の中央部に不活性ガスを供給するための気体吐出ノズル27と、気体吐出ノズル27に不活性ガスを供給する第1の気体配管28と、第1の気体配管28を開閉する第1の気体バルブ29と、気体吐出ノズル27を移動させるための第1のノズル移動機構30とを含む。基板Wの上面中央部の上方に設定された処理位置において第1の気体バルブ29が開かれると、気体吐出ノズル27から吐出される不活性ガスによって、中央部から外周部41に向けて流れる放射状気流が基板Wの上方に形成される。
【0038】
第2の不活性ガス供給ユニット9は、基板Wの上面の外周領域42に対して不活性ガスを吐出するための上外周部気体ノズル31と、上外周部気体ノズル31に不活性ガスを供給する第2の気体配管32と、第2の気体配管32を開閉する第2の気体バルブ33と、上外周部気体ノズル31を移動させるための第2のノズル移動機構34とを含む。基板Wの上面の外周領域42に対向する処理位置において第2の気体バルブ33が開かれると、上外周部気体ノズル31は、基板Wの上面の外周領域42の吹き付け位置に対し、基板Wの回転半径方向(以下、径方向RD)の内側から、外側かつ斜め下向きに不活性ガスを吐出する。これにより、基板Wの上面の外周領域42における処理液の処理幅を制御することができる。
【0039】
第3の不活性ガス供給ユニット10は、基板Wの下面の外周領域43に対して不活性ガスを吐出するための下外周部気体ノズル36と、下外周部気体ノズル36に不活性ガスを供給する第3の気体配管37と、第3の気体配管37を開閉する第3の気体バルブ38とを含む。基板Wの下面の外周領域43に対向する処理位置において第3の気体バルブ38が開かれると、下外周部気体ノズル36は、基板Wの下面の外周領域43の吹き付け位置に対し、径方向RDの内側から外側斜め上向きに(たとえば水平面に対し45°)不活性ガスを吐出する。
【0040】
ヒータ11は、円環状に形成されており、基板Wの外径と同等の外径を有している。ヒータ11は、スピンチャック5に保持された基板Wの下面の外周領域43に対向する上端面を有している。ヒータ11は、セラミックや炭化ケイ素(SiC)を用いて形成されており、その内部に加熱源(図示しない)が埋設されている。加熱源の加熱によりヒータ11が温められて、ヒータ11が基板Wを加熱する。ヒータ11によって基板Wの外周部41を下面側から加熱することにより、基板Wの上面の外周領域42における処理レートを向上させることができる。
【0041】
処理カップ12は、スピンチャック5に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。処理カップ12は、スピンベース17を取り囲んでいる。スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いた処理カップ12の上端部12aは、スピンベース17よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液や水などの処理液は、処理カップ12によって受け止められる。そして、処理カップ12に受け止められた処理液は排液処理される。
【0042】
また、処理ユニット2は、スピンチャック5によって保持されている基板Wの周端の高さ(鉛直方向Vの)位置(以下、単に「高さ位置」という)を検出するための高さ位置センサ(位置センサ)147を含む。高さ位置センサ147は、基板Wの周端面44のうち所定の計測対象位置について、その高さ位置を検出している。この実施形態では、高さ位置センサ147と制御装置3によって、周端高さ位置計測ユニットが構成されている。
【0043】
図3は、処理位置に配置されている処理液ノズル19から処理液を吐出している状態を示す断面図である。
処理液ノズル19は、基板Wの上面の外周領域42に対向する処理位置に配置される。この状態で、薬液バルブ25(
図2参照)およびリンス液バルブ26B(
図2参照)が選択的に開かれると、処理液ノズル19は、基板Wの上面の外周領域42の着液位置(以下、単に「着液位置45」という)に対し、径方向RDの内側から外側斜め下向きに処理液(薬液またはリンス液)を吐出する。径方向RDの内側から着液位置45に向けて処理液が吐出されるので、デバイス形成領域である、基板Wの上面中央部への処理液の液跳ねを抑制または防止できる。このとき、吐出口19aからの処理液の吐出方向は、径方向RDに沿う方向であり、かつ基板の上面に対して所定角度で入射するような方向である。入射角θは、たとえば約30°〜約80°であり、好ましくは約45°であるである。着液位置45に着液した処理液は、着液位置45に対し、径方向RDの外側に向けて流れる。基板Wの上面の外周領域42のうち、着液位置45よりも外側の領域のみが処理液によって処理される。すなわち、着液位置45と基板Wの周端面44と間の距離に応じて、基板Wの上面の外周領域42における処理幅が変わる。
【0044】
図4は、基板Wが傾斜状態でスピンチャック5に保持されている状態を示す模式的な図である。
図5は、基板Wが傾斜状態でスピンチャック5に保持されている状態を示す模式的な図である。
図6は、参考基板処理例における基板Wの上面の外周領域42の処理幅を示す平面図である。
スピンチャック5は、基板Wの中央部を支持するタイプのものである。このようなタイプのスピンチャックは基板Wの外周部41を支持しない。そのため、基板Wの保持状態において、
図4および
図5に示すように、スピンチャック5に対して基板Wが傾斜しているおそれがある。
【0045】
基板Wの外周部41に対する処理では、回転軸線A1回りに基板Wを回転させるため、スピンチャック5に対して基板Wが傾斜していると、基板Wの回転角度位置に応じて、基板Wの周端のうち処理液ノズル19の処理位置に対応する周方向位置の周端(処理液ノズル19が配置されている周方向位置の周端。以下、「配置位置周端46」という)の高さ位置が変化するおそれがある(面ブレ)。処理液ノズル19が処理液を斜め下方向に向けて吐出するので、処理液ノズル19がスピンチャック5に対して静止姿勢にある場合には、基板Wの回転角度位置に伴って、処理液の着液位置45と配置位置周端46との間の距離が変化する。
【0046】
その結果、
図6に示すように、基板Wの上面の外周領域42の洗浄幅が、周方向の各位置でばらつきが生じることになる。洗浄幅に大きなばらつきがあると、それを見込んで中央のデバイス領域を狭く設定しなければならなくなる。そのため、洗浄幅には高い精度が要求される。
図7は、基板処理装置1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【0047】
制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータを用いて構成されている。制御装置3はCPU等の演算ユニット51、固定メモリデバイス(図示しない)、ハードディスクドライブ等の記憶ユニット52、出力ユニット53および入力ユニット(図示しない)を有している。記憶ユニット52には、演算ユニット51が実行するプログラムが記憶されている。
【0048】
記憶ユニット52は、電気的にデータを書き換え可能な不揮発性メモリからなる。記憶ユニット52は、基板Wに対する各処理の内容を規定するレシピを記憶するレシピ記憶部54と、スピンチャック5に保持されている基板Wの周方向の各周端位置における高さ方向(鉛直方向V)の位置(以下、「各周端高さ位置」という。)に関する位置情報を記憶する各周端高さ位置記憶部59と、位相差ΔP(
図8参照)を記憶する位相差記憶部55とを含む。
【0049】
制御装置3には、スピンモータ18、アーム揺動モータ22、アーム昇降モータ122、第1および第2のノズル移動機構30,34、ヒータ11の加熱源、薬液バルブ25、リンス液バルブ26B、第1の気体バルブ29、第2の気体バルブ33、第3の気体バルブ38等が制御対象として接続されている。制御装置3は、スピンモータ18、アーム揺動モータ22、アーム昇降モータ122、第1および第2のノズル移動機構30,34、ヒータ11の動作を制御する。また、制御装置3は、バルブ25,26B,29,33,38等を開閉する。
【0050】
これらの制御対象の制御にあたっては、出力ユニット53が各制御対象に対し、駆動信号を送出し、この駆動信号が制御対象に入力されることにより、制御対象は、駆動信号に応じた駆動動作を実行する。たとえば、アーム昇降モータ122を制御してノズルアーム20を駆動させたい場合には、出力ユニット53は、アーム昇降モータ122に対し、ノズル駆動信号57を送出する。そして、アーム昇降モータ122にノズル駆動信号57が入力されることにより、アーム昇降モータ122は、ノズル駆動信号57に応じた駆動動作でノズルアーム20を駆動する(すなわち、昇降動作させる)。
【0051】
また、制御装置3には、エンコーダ23の検出出力および高さ位置センサ147の検出出力が入力されるようになっている。
この実施形態に係る外周部処理工程(S6,S7)において、制御装置3は、基板Wの上面の外周領域42(
図3参照)における着液位置45が、配置位置周端46との間隔を一定に保つべく当該配置位置周端46の高さ位置変化(以下、「高さ位置変化」という)に追従して高さ方向Vに往復移動するように、処理液ノズル19を駆動させる。より具体的には、配置位置周端46の高さ位置変化に追従して、処理液ノズル19が、高さ方向Vに移動させられる。これにより、基板Wの外周部41において、着液位置45と配置位置周端46との間隔を一定に保つことができる。なお、この明細書において、「着液位置45を往復移動」とは、基板Wを基準とした往復移動ではなく、静止状態にある物体(たとえば処理チャンバ4の隔壁13)を基準した往復移動のことをいう。
【0052】
しかしながら、制御装置3とアーム昇降モータ122との間のノズル駆動信号57の送受信やそれに伴うデータの読み込みやデータ解釈のため、処理液ノズル19の駆動制御において、制御装置3からのノズル駆動信号57の出力に対し、処理液ノズル19の駆動動作が遅れることがある。
図8は、配置位置周端46の高さ位置変化を示す正弦波SW2、および配置位置周端46の位置変化に着液位置45が追従する(すなわち、着液位置45と配置位置周端46との間隔が一定に保たれる)最適な追従タイミングでノズル駆動信号57を出力した場合の着液位置45の高さ位置変化を示す正弦波SW1である。
【0053】
配置位置周端46の高さ位置変化に着液位置45が追従する最適な追従タイミングでノズル駆動信号57を出力した場合、
図8に示すように、実際の処理液ノズル19の高さ位置変化(着液位置45の高さ位置変化)の正弦波SW1(
図8に実線にて示す)は、配置位置周端46の高さ位置変化の正弦波SW2(
図8に破線にて示す)から、所定の位相差ΔPだけ遅れる。このような処理液ノズル19の駆動遅れに伴う、配置位置周端46の高さ位置変化に対する着液位置45の位相差を、以下、単に「位相差ΔP」と呼ぶ。
【0054】
そこで、この実施形態では、制御装置3からアーム昇降モータ122へのノズル駆動信号57の出力タイミングを、前記の最適な追従タイミングから、位相差ΔPに相当する時間だけ早める(ずらす)ことにより、位相差ΔPを排除した排除タイミングで、ノズル駆動信号57をアーム昇降モータ122に対して出力することを実現している。以下、具体的に説明する。
【0055】
図9Aは、
図7に示す各周端高さ位置記憶部59を説明するための図である。周端高さ位置記憶部59には、各周端高さ位置に関する位置情報が記憶されている。具体的には、着液位置45の往復移動の振幅A、着液位置45の往復移動の周期PD、および着液位置45の往復移動の位相P(検出されたノッチの位置を基準とする周方向位相)を記憶している。これらの位置情報は、各周端高さ位置計測工程(
図10のS4)によって計測された実測値に基づく値である。
【0056】
図9Bは、
図7に示す位相差記憶部55を説明するための図である。周端高さ位置記憶部59には位相差ΔPが記憶されている。位相差ΔPは、互いに異なる複数の回転速度(基板Wの回転速度)に対応して記憶されている。
図10は、処理ユニット2による基板処理例を説明するための流れ図である。
図11は、
図10に示す各周端高さ位置計測工程(S4)の内容を説明するための流れ図である。
図12は、
図10に示す位相差計測工程(S5)の内容を説明するための流れ図である。
図13は、
図10に示す外周部処理工程(S6,S7)の内容を説明するための流れ図である。
図14および
図15は、外周部処理工程(S6,S7)の内容を説明するための模式的な図である。
図16は、配置位置周端46の高さ位置変化を示す正弦波SW2、および排除タイミングでノズル駆動信号57を出力した場合の着液位置45の高さ位置変化を示す正弦波SW1である。
図17は、
図10の基板処理例における基板Wの上面の外周領域42の処理幅を示す平面図である。
【0057】
この基板処理例について、
図1、
図2、
図3、
図7、
図9A、
図9Bおよび
図10を参照しながら説明する。
図11〜
図17は適宜参照する。
まず、未処理の基板Wが、処理チャンバ4の内部に搬入される(
図10のS1)。具体的には、基板Wを保持している搬送ロボットCRのハンドHを処理チャンバ4の内部に進入させることにより、基板Wがデバイス形成面を上方に向けた状態でスピンチャック5に受け渡される。
【0058】
その後、基板Wの下面中央部が吸着支持されると、スピンチャック5によって基板Wが保持される(
図10のS2)。この実施形態では、センタリング機構を用いた、スピンチャック5に対する基板Wの芯合わせは行わない。
スピンチャック5に基板Wが保持された後、制御装置3はスピンモータ18を制御して、基板Wを回転開始させる(
図10のS3)。
【0059】
次いで、制御装置3は、スピンチャック5に保持されている基板Wの各周端高さ位置を計測する各周端高さ位置計測工程(
図10のS4)を実行する。
図11を併せて参照しながら、各周端高さ位置計測工程(S4)について説明する。
各周端高さ位置計測工程(S4)では、制御装置3は、基板Wの回転速度を、所定の計測回転速度(次に述べる液処理速度よりも遅い速度。たとえば約50rpm)まで上昇させ、その計測回転速度に保つ(
図11のS11)。
【0060】
基板Wの回転が計測回転速度に達すると(S11でYES)、制御装置3は、高さ位置センサ147を用いて各周端高さ位置を計測開始する(
図11のS12)。具体的には、制御装置3は、スピンモータ18を制御して基板Wを回転軸線A1まわりに回動させながら、高さ位置センサ147によって、基板Wの周端面44のうち所定の計測対象位置の高さ位置を検出させる。高さ位置センサ147による検出開始後、基板Wが少なくとも一周(360°)回動し終えると(
図11のS13でYES)、全ての各周端高さ位置を検出したとして(YES)、計測が終了する(
図11のS14)。これにより、スピンチャック5に対する基板Wの傾斜状態を検出することができる。
【0061】
制御装置3は、計測された各周端高さ位置に基づいて、着液位置45の往復移動の振幅A、着液位置45の往復移動の周期PD、および着液位置45の往復移動の位相P(ノッチの検出に基づく周方向位相)を算出する(
図11のS15)。算出された振幅A、周期PDおよび位相Pは、各周端高さ位置記憶部59に記憶される(
図11のS16)。その後、各周端高さ位置計測工程(S4)は、終了する。各周端高さ位置計測工程(S4)の実行時間は、たとえば約5秒間である。
【0062】
次いで、制御装置3は、位相差ΔP(
図8参照)を計測するための位相差計測工程(
図10のS5)を実行する。
図12を併せて参照しながら、位相差計測工程(S5)について説明する。
位相差計測工程(S5)では、制御装置3は、次に述べる外周部処理工程(外周部薬液処理工程(S6)および外周部リンス液処理工程(S7))における基板Wの回転速度(処理回転速度)に応じた位相差ΔPを計測する。外周部処理工程において処理回転速度が複数設定されている場合には、個々の処理回転速度に対応する位相差ΔP(すなわち、複数の位相差ΔP)が計測される。
【0063】
具体的には、制御装置3は、アーム昇降モータ122を制御して、処理液ノズル19を、上面の外周領域42に対向する処理位置に配置する(
図12のS21)。また、制御装置3は、スピンモータ18を制御して基板Wの回転速度を、所定の計測回転速度(すなわち、外周部処理工程における基板Wの回転速度)まで上昇させ、その計測回転速度に保つ(
図12のS22)。
【0064】
制御装置3は、各周端高さ位置記憶部59に記憶されている振幅A、周期PDおよび位相P(各周端高さ位置計測工程(S4)の計測結果)に基づいて、配置位置周端46の位置変化と同じ振幅Aおよび同じ周期PDで着液位置45が移動するように処理液ノズル19を駆動させるノズル駆動信号57を作成する(ノズル駆動信号作成工程。
図12のS23)。
【0065】
そして、基板Wの回転が計測回転速度に達すると(S22でYES)、制御装置3は、スピンモータ18の出力軸の回転量を検出するエンコーダ(図示しない)により検出される基板Wの回転角度位置に基づき、配置位置周端46の位置変化に着液位置45が追従する(すなわち、着液位置45と配置位置周端46との間隔が一定に保たれる)最適な追従タイミングでノズル駆動信号57を出力する(
図12のS24)。
図8を参照して前述したように、実際の着液位置45の高さ位置変化の正弦波SW1(
図8に実線にて示す)は、配置位置周端46の高さ位置変化の正弦波SW2(
図8に破線にて示す)から所定の位相差ΔPだけ遅れる。制御装置3は、エンコーダ23の検出出力を参照して、処理液ノズル19の実際の高さ位置変化(着液位置45の高さ位置変化)を求め、これに基づいて、位相差ΔPを算出する(
図12のS25)。算出された位相差ΔPは、各位相差記憶部55に記憶される(
図12のS26)。これにより、この回転速度に対応する位相差ΔPの計測が終了する。他の回転速度に対する位相差ΔPの計測が残っている場合には(S27でYES)、
図12のS21に戻る。全ての回転速度に対する位相差ΔPの計測が終了した場合には(S27でNO)、位相差計測工程(S5)は終了する。
【0066】
位相差計測工程(S5)の終了後、次いで、制御装置3は、基板Wの外周部41を、薬液を用いて処理する外周部薬液処理工程(外周部処理工程。
図10のS6)を実行する。外周部薬液処理工程(S6)は、基板Wの回転が所定の回転速度(約300rpm〜約1000rpmの所定の速度)にある状態で実行される。また、外周部薬液処理工程(S6)に並行して、制御装置3は、基板Wの上面の外周領域42における薬液の着液位置45を、配置位置周端46との間隔が一定に保たれるように、配置位置周端46の高さ位置変化に追従して高さ方向Vに往復移動させる着液位置往復移動工程を実行する。
図13を併せて参照しながら、外周部薬液処理工程(S6)について説明する。
【0067】
外周部薬液処理工程(S6)では、制御装置3は、スピンモータ18を制御して基板Wの回転速度を、所定の処理回転速度(すなわち、外周部薬液処理工程(S6)における基板Wの回転速度)に設定する(
図13のS30)。また、処理液ノズル19が退避位置にある場合には、制御装置3は、アーム昇降モータ122を制御して、処理液ノズル19を、上面の外周領域42に対向する処理位置に配置する(
図13のS31)。
【0068】
基板Wの回転が処理回転速度に達すると、制御装置3は、リンス液バルブ26Bを閉じながら薬液バルブ25を開くことにより、処理液ノズル19の吐出口19aから薬液を吐出開始させる(
図13のS32)。また、制御装置3は、
図14および
図15に示すように、前述の着液位置往復移動工程(
図13のS33)を実行開始する。
着液位置往復移動工程(S33)は、次のように行われる。
【0069】
すなわち、制御装置3は、各周端高さ位置記憶部59に記憶されている振幅A、周期PDおよび位相P(各周端高さ位置計測工程(S4)の計測結果)に基づいて、配置位置周端46の位置変化と同じ振幅Aおよび同じ周期PDで着液位置45が移動するように処理液ノズル19を駆動させるノズル駆動信号57を作成する(ノズル駆動信号作成工程。
図13のS34)。
【0070】
そして、基板Wの回転が処理回転速度に達すると、制御装置3は、スピンモータ18の出力軸の回転量を検出するためのエンコーダ(図示しない)により検出される基板Wの回転角度位置に基づき、前記の最適な追従タイミング(すなわち、着液位置45と配置位置周端46との間隔が一定に保たれるようなタイミング)から位相差ΔPに相当する時間だけ早めた(ずらした)排除タイミングでノズル駆動信号57を出力する(
図13のS35)。このとき、制御装置3は、位相差記憶部55を参照して、記憶されている位相差ΔPのうち、当該処理回転速度に対応する位相差ΔPで排除タイミングを得る。
【0071】
図16に示すように、排除タイミングでノズル駆動信号を出力した場合には、実際の着液位置45の高さ位置変化の正弦波SW1(
図16に実線にて示す)は、配置位置周端46の高さ位置変化の正弦波SW2(
図16に破線にて示す)とほとんどあるいは全く位相差がない。
これにより、位相差ΔPを排除した排除タイミングで、ノズル駆動信号57をアーム昇降モータ122に対して出力することを実現している。これにより、配置位置周端46の高さ位置変化に追従して着液位置45を往復移動させることが可能なタイミングでノズル駆動信号57を出力することができる。これにより、ノズル駆動信号57の出力に対する処理液ノズル19の駆動遅れによらずに、着液位置45を、配置位置周端46の高さ位置変化に良好に追従させることができる。ゆえに、
図17に示すように、外周部処理工程(S6,S7)に示すよう、基板Wの上面の外周領域42における処理幅の均一性を向上させることができる。
【0072】
薬液の吐出開始から予め定める期間が経過すると(
図13のS36でYES)、制御装置3は、薬液バルブ25を閉じる。これにより、処理液ノズル19からの薬液の吐出が停止(終了)する(
図13のS37)。
また、外周部薬液処理工程(S6)では、ヒータ11の熱源がオンされて、ヒータ11によって、基板Wの下面の外周領域43が加熱される。これにより、外周部薬液処理の処理速度を高めている。また、外周部薬液処理工程(S6)では、処理位置に位置する気体吐出ノズル27から吐出される不活性ガスによって、中央部から外周部41に向けて流れる放射状気流が基板Wの上方に形成される。この放射状気流によって、デバイス形成領域である基板Wの上面中央部が保護される。また、外周部薬液処理工程(S6)では、処理位置に位置する上外周部気体ノズル31から基板Wの上面の外周領域42の吹き付け位置に対し不活性ガスが吹き付けられる。この不活性ガスの吹き付けにより、基板Wの上面の外周領域42における薬液の処理幅を制御することができる。また、外周部薬液処理工程(S6)では、処理位置に位置する下外周部気体ノズル36から基板Wの下面の外周領域43の吹き付け位置に対し不活性ガスが吹き付けられる。この不活性ガスの吹き付けにより、基板Wの下面への薬液の回り込みを防止することができる。
【0073】
第3の不活性ガス供給ユニット10は、基板Wの下面の外周領域43に対して不活性ガスを吐出するための下外周部気体ノズル36と、下外周部気体ノズル36に不活性ガスを供給する第3の気体配管37と、第3の気体配管37を開閉する第3の気体バルブ38とを含む。基板Wの下面の外周領域43に対向する処理位置において第3の気体バルブ38が開かれると、下外周部気体ノズル36は、基板Wの下面の外周領域43の吹き付け位置に対し、鉛直上向きに不活性ガスを吐出する。
【0074】
外周部薬液処理工程(S6)の終了後、次いで、制御装置3は、基板Wの外周部41を、リンス液を用いて処理する外周部リンス液処理工程(外周部処理工程。
図10のS7)を実行する。外周部リンス液処理工程(S7)は、基板Wの回転が所定の回転速度(約300rpm〜約1000rpmの所定の速度)にある状態で実行される。また、外周部リンス液処理工程(S7)に並行して、制御装置3は、基板Wの上面の外周領域42におけるリンス液の着液位置45を、配置位置周端46との間隔が一定に保たれるように配置位置周端46の高さ位置変化に追従して高さ方向Vに往復移動させる着液位置往復移動工程を実行する。
図13を併せて参照しながら、外周部リンス液処理工程(S7)について説明する。
【0075】
外周部リンス液処理工程(S7)では、制御装置3は、スピンモータ18を制御して基板Wの回転速度を、所定の処理回転速度(すなわち、外周部リンス液処理工程(S7)における基板Wの回転速度)に設定する(S30)。また、処理液ノズル19が退避位置にある場合には、制御装置3は、アーム昇降モータ122を制御して、処理液ノズル19を、上面の外周領域42に対向する処理位置に配置する(S31)。
【0076】
基板Wの回転が処理回転速度に達すると、制御装置3は、薬液バルブ25を閉じながらリンス液バルブ26Bを開くことにより、処理液ノズル19の吐出口19aからリンス液を吐出開始させる(S32)。また、制御装置3は、着液位置往復移動工程(S33)を実行開始する。着液位置往復移動工程は、外周部薬液処理工程(S6)において説明済みであるので、その説明を省略する(S33)。リンス液の吐出開始から予め定める期間が経過すると(S36でYES)、制御装置3はリンス液バルブ26Bを閉じる。これにより、処理液ノズル19からのリンス液の吐出が停止(終了)する(S37)。
【0077】
また、外周部リンス液処理工程(S7)では、処理位置に位置する気体吐出ノズル27から吐出される不活性ガスによって、中央部から外周部41に向けて流れる放射状気流が基板Wの上方に形成される。また、外周部リンス液処理工程(S7)では、処理位置に位置する上外周部気体ノズル31から基板Wの上面の外周領域42の吹き付け位置に対し不活性ガスが吹き付けられる。また、外周部リンス液処理工程(S7)では、処理位置に位置する下外周部気体ノズル36から基板Wの下面の外周領域43の吹き付け位置に対し不活性ガスが吹き付けられる。外周部リンス液処理工程(S7)では、ヒータ11の熱源がオンされて、基板Wの下面の外周領域43が、ヒータ11によって加熱されてもよいし、加熱されなくてもよい。
【0078】
その後、制御装置3は、アーム昇降モータ122を制御して、処理液ノズル19をスピンチャック5の側方の退避位置へと戻す。
次いで、基板Wを乾燥させるスピンドライ(
図10のS8)が行われる。具体的には、制御装置3はスピンモータ18を制御して、各処理工程S2〜S8における回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、その乾燥回転速度で基板Wを回転させる。また、これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wの外周部41に付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wの外周部41から液体が除去され、基板Wの外周部41が乾燥する。
【0079】
基板Wの高速回転の開始から所定期間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ18を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる。
その後、処理チャンバ4内から基板Wが搬出される(
図10のS9)。具体的には、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドを処理チャンバ4の内部に進入させる。そして、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、搬送ロボットCRのハンドを処理チャンバ4内から退避させる。これにより、処理後の基板Wが処理チャンバ4から搬出される。
【0080】
以上により、この実施形態によれば、着液位置45が、配置位置周端46との間隔を一定に保ちながら配置位置周端46の高さ位置変化に追従して往復移動するように処理液ノズル19が駆動される。そのため、基板Wの回転に伴う配置位置周端46の高さ位置変化に応じて、着液位置45を、配置位置周端46との間隔を一定に保つように追従させることができる。これにより、基板Wの回転に伴う配置位置周端46の高さ位置変化によらずに、基板Wの外周部41における処理幅の均一性を高く保つことができる。
【0081】
また、スピンチャック5に保持されている基板Wを回転軸線A1まわりに回動させながら、基板Wの周端面44の計測対象位置の高さ位置を、高さ位置センサ147を用いて検出することにより、によって、検出させることにより、基板Wの周方向の各周端位置を良好に計測することができる。すなわち、位置センサ(高さ位置センサ147)という簡単な構成を用いて、基板Wの周方向の各周端位置を良好に計測できる。
【0082】
また、処理液ノズル19を移動させ、そのときの処理液ノズル19の移動量を、エンコーダ23を用いて検出することにより、位相差ΔPを実際に計測することができる。実測された位相差ΔPに基づいて処理液ノズル19を移動するので、着液位置45の往復移動を、配置位置周端46の位置変化に、より一層良好に追従させることができる。
また、位相差記憶部55には位相差ΔPが複数設けられており、各位相差ΔPは、基板Wの処理回転速度に対応して複数設けられている。そして、処理回転速度に対応する位相差ΔPを排除した排除タイミングでノズル駆動信号57が出力される。そのため、基板処理装置1において、外周部薬液処理工程(S6)における基板Wの処理回転速度が、レシピの内容によって異なる場合であっても、各処理回転速度に対応する最適なタイミングでノズル駆動信号を出力することができる。
【0083】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、
図7に破線で示すように、記憶ユニット52に、外周部処理工程(S6,S7)において着液位置往復移動工程(
図13のS33)を実行するか否かを決定するための移動工程実行フラグ56が設けられていてもよい。移動工程実行フラグ56には、着液位置往復移動工程の実行に対応する所定の値(たとえば「5A[H]」)と、着液位置往復移動工程の非実行に対応する所定の値(「たとえば00[H]」)とが選択的に格納されている。そして、移動工程実行フラグ56に「5A[H]」が格納されている場合には、制御装置3は、外周部処理工程(S6,S7)に並行して着液位置往復移動工程を実行し、かつ移動工程実行フラグ56に「00[H]」が格納されている場合には、制御装置3は、外周部処理工程(S6,S7)に並行して着液位置往復移動工程を実行しないようにしてもよい。
【0084】
また、位相差記憶部55に記憶される複数の位相差ΔPのすべてを、位相差計測工程(S5)において求めるとして説明したが、少なくとも一つの処理回転速度に対応する位相差ΔPだけを位相差計測工程(S5)において求め、その位相差ΔPに基づく演算により、他の処理回転速度に対応する位相差ΔPを求めるようにしてもよい。
また、位相差ΔPの実測値を用いて排除タイミングを求めるとして説明したが、位相差記憶部55に記憶されている位相差ΔPが実測値でなく、予め定められた規定値であってもよい。この場合、
図10に示す基板処理例から、位相差計測工程(S5)を省略することもできる。
【0085】
また、着液位置往復移動工程(S33)において、アーム昇降モータ122に対しノズル駆動信号57を、排除タイミングではなく前記の最適タイミングで出力するようにしてもよい。この場合、各周端高さ位置計測工程(S4)を着液位置往復移動工程(S33)と並行して実行してもよい。この場合には、各周端高さ位置計測工程(S4)の計測結果に基づいて着液位置45の往復動作をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0086】
また、着液位置往復移動工程(S33)において、着液位置45を高さ方向Vに往復移動させるための手法として、処理液ノズル19を高さ方向Vに往復移動させる手法を用いたが、これに代えて、処理液ノズル19を径方向RDに往復移動さえる手法を採用することができる。この場合、電動モータとして、アーム揺動モータ22を用いることができる。この場合、アーム揺動モータ22には、アーム揺動モータ22の出力軸22aの回転角を検出するエンコーダが結合されており、アーム揺動モータ22が出力軸22aを回転させると、出力軸22aの回転角に応じた移動量で、処理液ノズル19がアーム支持軸21の中心軸線まわりに回動する。すなわち、処理液ノズル19がアーム支持軸21の中心軸線まわりに回動すると、処理液ノズル19の移動量に相当する回転角でアーム揺動モータ22の出力軸22aを回転させる。したがって、エンコーダによって出力軸22aの回転角を検出することにより、処理液ノズル19の位置を検出することができる。
【0087】
そして、外周部処理工程(S6,S7)において、制御装置3は、当該配置位置周端46の高さ位置変化(以下、「高さ位置変化」という)に追従して、処理液ノズル19を径方向RDに往復移動させる。これにより、外周部処理工程(S6,S7)において、基板Wの上面の外周領域42(
図3参照)における着液位置45と、配置位置周端46との間隔を一定に保つことができる。
【0088】
また、着液位置45を往復移動させるための手法として、それ以外に、高さ方向Vの往復移動と径方向RDの往復移動とを組み合わせたり、あるいは処理液ノズル19の吐出方向を変えたりすることによって、着液位置45を径方向RDに往復移動させるようにしてもよい。
また、各周端高さ方向位置計測工程(S4)で基板Wの外周部41の高さ位置を、基板Wの周端面44の位置を、高さ位置センサを用いて計測するとして説明したが、基板Wの上面の外周領域42を、高さ位置センサを用いて計測してもよいし、基板Wの下面の外周領域43を、高さ位置センサを用いて計測してもよい。
【0089】
また、各周端位置計測ユニットとして位置センサ(高さ位置センサ147)を採用したが、周端位置計測ユニットとしてCCDカメラを採用してもよい。
また、ノズル移動ユニットとして、処理液ノズル19を、円弧軌跡を描きながら移動させるスキャンタイプのものを例に挙げたが、処理液ノズル19を直線状に移動させる直動タイプのものが採用されていてもよい。
【0090】
また、処理液ノズル19は、薬液およびリンス液の双方を吐出するものを例に挙げて説明したが、薬液を吐出するための処理液ノズル(薬液ノズル)と、リンス液を吐出するための処理液ノズル(リンス液ノズル)とが個別に設けられていてもよい。
また、前述の各実施形態では、基板処理装置が円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板Wは周端の少なくとも一部が円弧状をなしていれば足り、必ずしも真円である必要はない。
【0091】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。