(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る加熱調理器について、図面を用いて説明する。
なお、以下で説明する構成、動作等は、一例にすぎず、本発明に係る加熱調理器は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。また、各図において、同一又は類似するものには、同一の符号を付すか、又は、符号を付すことを省略している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。また、重複又は類似する説明については、適宜簡略化又は省略している。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の構成の一例を概略的に示す概略構成図である。
図1に基づいて、加熱調理器100の構成について説明する。
図1では、加熱調理器100が、誘導加熱による加熱コイル2を左右に二口、及び、魚等の被調理物を焼くためのグリル10が加熱コイル2の下側に設けられているIHクッキングヒータであるものとして説明するものとする。ただし、加熱調理器100は、グリル10を備えてさえいればよく、グリル10以外の加熱手段を備えていなくてもよい。また、加熱コイル2を備えた加熱調理器100を例に説明するが、加熱コイル2ではなく、ガス又はヒータによる加熱手段を採用してもよい。
【0012】
図1に示すように、加熱調理器100は、天面が開口された箱状の本体1と、本体1の上面に取り付けられたトッププレート3と、本体1の前方に引き出し自在に設けられているグリル10と、を有している。
【0013】
本体1には、トッププレート3に載置された被加熱物を誘導加熱する加熱コイル2が設けられている。
トッププレート3は、本体1の天面を覆い、耐熱性のガラス部3aと金属製のフレーム3bとで構成されている。トッププレート3のガラス部3aの表面には、加熱コイル2の設置個数に応じた被加熱物載置部3cが形成されている。
【0014】
加熱コイル2は、トッププレート3に設けられている被加熱物載置部3cの下方に配設されている。加熱コイル2は、図示省略のコイルベース等に載置され、制御装置50によって被加熱物を加熱するものである。つまり、加熱コイル2は、電流によって発生する磁力線によって、トッププレート3を介して加熱コイル2の上側に載置される鍋又はフライパン等の被加熱物に渦電流を生じさせ、被加熱物自体を発熱させて加熱するようになっているのである。
【0015】
被加熱物載置部3cは、本体1に設置されている加熱コイル2に対応する位置、つまり加熱領域を示す位置に、たとえば円形の表示等として設けられている。被加熱物載置部3cは、たとえば、印刷又は塗装によりトッププレート3に設ければよい。
なお、被加熱物載置部3cをトッププレート3に設けなくてもよい。また、被加熱物載置部3cの個数を特に限定するものではない。
【0016】
トッププレート3の外周部を覆うフレーム3bの後方には、本体1の内部を循環させる空気を吸排気するための吸排気口3dが形成されている。たとえば、紙面右側の吸排気口3dを吸気口とし、紙面左側の吸排気口3dを排気口として機能させることができる。なお、吸排気口3dを本体1の後方背面に形成してもよい。
【0017】
また、トッププレート3の前方側には、入力操作及び加熱状態に関する各種情報を表示し、加熱コイル2及びグリル10の加熱制御に関する各種操作を受け付ける操作表示部7が設けられている。操作表示部7は、トッププレート3の手前側に幅方向に延びるように配列されている。たとえば、操作表示部7は、透明性を有する複数の電極により構成されている。そして、操作表示部7に表示される表示内容がトッププレート3の表面より視認可能なように、操作表示部7と略同じ範囲はトッププレート3の印刷若しくは塗装が成されない構成で透明性を有する構造とするとよい。
【0018】
ここでは、操作表示部7に、表示部としての機能と操作部としての機能とを併せ持たせた場合を例に示したが、これに限定するものではなく、表示部と操作部とをそれぞれ分けて設けるようにしてもよい。また、操作表示部7をトッププレート3に設けた場合を例に示したが、これに限定するものではなく、本体1に操作表示部7を設けるようにしてもよい。さらに、加熱コイル2に対する操作と、グリル10に対する操作と、を別々の操作部で受け付けるようにしてもよい。
【0019】
グリル10は、魚等の被調理物を焼くものであり、本体1の手前側に引き出されるようになっている。グリル10の内部には、庫内に載置された被調理物を加熱するための熱源となるグリル加熱手段11(
図3に示すグリル加熱手段11)が備えられている。このグリル加熱手段11は、たとえばシーズヒーター等からなり、グリル10の上部および下部に配置される。グリル加熱手段11として、誘導加熱コイルを採用してもよい。また、グリル加熱手段11として、コンベクションと呼ばれる熱風循環方式を採用してもよい。
【0020】
また、グリル10の前面にはグリル扉12が設けられ、グリル扉12にはグリル10の内部を視認できるよう視認窓13が設けられている。また、グリル扉12の最前面には使い勝手の良いようにグリル把持部14が設けられている。また、グリル10の内部において加熱時に排出される煙等の排気風は、本体1の後方に設けた吸排気口3dより排気される。
なお、ここでは本体1の中央にグリル10を設ける場合を説明するが、これに限定するものではなく、グリル10を本体1の左側又は右側に設けるようにしてもよい。
【0021】
本体1には、加熱コイル2、及び、インバータ回路等が搭載されている制御基板50aを冷却する空気を送風するための冷却ファンが搭載されている。また、本体1には、制御基板50aを有し、使用者からの指示及び図示省略の温度センサー等の測定情報に基づいて加熱調理器100の全体を統括制御する制御装置50が搭載されている。制御装置50は、使用者からの指示に基づいて、たとえば加熱コイル2、グリル加熱手段11の加熱制御等を実行し、加熱調理器100の全体を統括制御するようになっている。
【0022】
図2は、加熱調理器100の操作表示部7の一例を説明するための説明図である。
図2に基づいて、操作表示部7の具体的な構成の一例について説明する。
図2では、グリル10に対する指示を受け付ける操作表示部7の一部を例に示している。なお、
図2で示す操作表示部7は、あくまでも一例であって、操作表示部7を図示した構成に限定するものではない。
操作表示部7が、本発明の「操作手段」及び「報知手段」に相当する。
【0023】
操作表示部7には、グリル加熱ボタン7a、時間調整ボタン7b、各種調整ボタン7c、グリルメニューボタン7d、及び、清掃済ボタン7eが配置されている。グリル加熱ボタン7a、時間調整ボタン7b、各種調整ボタン7c、グリルメニューボタン7d、及び、清掃済ボタン7eを介して入力される操作信号は、制御装置50に送信される。操作信号が入力された制御装置50は、操作信号に従ってグリル10での調理を実行し、操作信号に従った内容を操作表示部7に表示させる。
【0024】
グリル加熱ボタン7aは、グリル10での調理開始又は調理停止を実行する際に操作されるものである。
時間調整ボタン7bは、例えばグリル10での調理時間を調整する際に操作されるものである。
各種調整ボタン7cは、例えば被調理物の焼き色、グリル10の火力、グリル10の温度を調整するために操作されるものである。
グリルメニューボタン7dは、グリル10で実行可能なメニューを選択する際に操作されるものである。
清掃済ボタン7eは、グリル10に収納される受け皿20の清掃が済んだ際に操作されるものである。
【0025】
(加熱調理器100のグリル10での調理動作例)
加熱調理器100のグリル10での調理動作例について説明する。なお、清掃済ボタン7eの機能の1つについては、実施の形態3で説明するものとする。
【0026】
加熱調理器100の図示省略の主電源が投入されると、各構成部が動作可能になる。制御装置50は、グリルメニューボタン7dによって選択されたメニューを図示省略の記憶手段から読み出す。次に、時間調整ボタン7b及び各種調整ボタン7cの少なくとも1つの操作に応じて、読み出したメニューの一部を変更する。そして、グリル加熱ボタン7aが操作されると、制御装置50は、グリル加熱手段11による加熱調理を開始する。加熱調理が完了したら、制御装置50は、完了したことを操作表示部7を介して報知し、グリル10での加熱調理を終了する。
【0027】
(加熱調理器100のグリル10の詳細な構成例)
図3及び
図4は、加熱調理器100のグリル10の構成の一例を模式的に示す模式図である。
図3及び
図4に基づいて、加熱調理器100のグリル10の詳細な構成の一例について説明する。なお、
図3及び
図4は、グリル10を加熱調理器100の前後方向に切った状態を図示している。ここでは、紙面左側にグリル扉12が設置されている場合を例に示しているが、紙面右側にグリル扉12を設置する構成としてもよい。
【0028】
グリル10の内部には、受け皿20が着脱自在に設置されている。受け皿20は、例えば魚類又は肉類等の被調理物から滴り落ちる油、あるいは、汁を受けるものである。一般的に、受け皿20の上方には、被調理物が載置される焼き網(図示省略)が着脱可能に設けられている。
また、グリル10の内部天面には、ヒータ等のグリル加熱手段11が設置されている。
また、グリル10の外部上方には、汚れ測定部30が設置されている。
なお、グリル10の内部下方に図示省略のレールを設け、受け皿20及び焼き網をグリル扉12の開閉と連動させて出し入れ可能にしておくとよい。
【0029】
受け皿20の表面の一部には、反射部21が形成されている。反射部21は、例えばミラー等を利用して構成することができる。また、受け皿20の表面の一部を光沢部又は明部とし、それらを反射部21として光を反射させてもよい。光沢部は、反射部21として機能させる部分の光沢度を、それ以外の部分の光沢度よりも高くして形成することができる。明部は、反射部21として機能させる部分の明度を、それ以外の部分の明度よりも高くして形成することができる。いずれの場合も、発光部31から発生させられる光を反射できればよい。なお、反射部21の設置位置を特に限定するものではない。さらに、反射部21の設置個数、大きさ、形状を特に限定するものではない。
【0030】
汚れ測定部30は、反射部21を照らす発光部31と、反射部21で反射された反射光を受光する受光部32と、で構成されている。受光部32は、発光部31から発せられ、反射部21で反射した光が、受光可能な位置に設置されている。汚れ測定部30は、例えば本体1の天面に設けた凹部に収納して設置することができる。また、汚れ測定部30を1つのケースに収納してユニット化したものを、本体1の天面に取り付けるようにしてもよい。さらに、発光部31から照射される光、及び、反射部21で反射される光が通過する部分は、開口又はガラスなどの光透過部で構成すればよい。
【0031】
図3に示すように、受け皿20の反射部21が油滴等で覆われていない場合、つまり受け皿20が汚れていない場合には、発光部31から発せられた光(
図3に示す矢印A)が反射部21で反射されることになる。反射部21で反射された光(
図3に示す矢印B)は、受光部32で受光されることになる。受光部32で受光されたという情報は、制御装置50に送られ、制御装置50は、受け皿20が汚れていないと判断する。そして、制御装置50は、操作に応じた加熱調理を実行する。
【0032】
一方、
図4に示すように、受け皿20の反射部21が油滴等500で覆われている場合、つまり受け皿20が汚れている場合には、発光部31から発せられた光(
図3に示す矢印A)が反射部21で反射されないことになる。つまり、反射部21で光が反射されないため、受光部32に光が届かない。受光部32で受光されなかったという情報は、制御装置50に送られ、制御装置50は、受け皿20が汚れていると判断する。この場合、制御装置50は、例えばグリル10による加熱調理を実行しない。
【0033】
油滴等500が集まって堆積物となった状態でのグリル10での加熱調理は好ましくないが、加熱調理器100は、受け皿20に油滴等500が集まったとしても、その状態を制御装置50により判断することができるので、安全性を確保できる。
反射部21での反射光が受光部32で受光されたかどうかで、受け皿20の汚れを判断したが、受光した反射光の強弱に段階を設けて、受け皿20の汚れ度合を判断するようにしてもよい。例えば、汚れ度合に複数のレベルを設け、汚れ度合が中間レベルの場合は警告だけにとどめ、上限レベルを超えた場合は加熱調理を実行しない等、汚れ度合に応じた制御を実行することができる。
【0034】
なお、受光部32は、予め設定された期間(例えば、3秒間)に発光部31から発光された光を受光できなかった場合に、情報を制御装置50に送るようにすればよい。また、発光部31からは所定の周期で光を発光するとよい。
加熱調理を実行しないとともに、受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。また、加熱調理を実行しない代わりとして、受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。この報知は、表示及び音声のうち少なくとも1つを用いて実行される。
【0035】
図5は、加熱調理器100の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5に基づいて、加熱調理器100の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの一例について説明する。
図5では、グリル加熱ボタン7aの操作をトリガーとして、汚れ測定を実行する際の処理の流れを示している。
【0036】
操作表示部7のグリル加熱ボタン7aが操作させると(ステップS10)、制御装置50は、汚れ測定部30の発光部31から光を照射させる(ステップS11)。制御装置50は、汚れ測定部30の受光部32での受光があるかどうかを判断する(ステップS12)。受光部32での受光がある場合(ステップS12;YES)、制御装置50は、受け皿20の汚れがないと判断し(ステップS13)、グリル10による加熱調理を実行する(ステップS14)。
【0037】
一方、受光部32での受光がない場合(ステップS12;NO)、制御装置50は、受け皿20に汚れがあると判断し(ステップS15)、グリル10による加熱調理を実行しない、つまりグリル加熱手段11を起動させない(ステップS16)。なお、ステップS16では、制御装置50は、加熱調理を実行しないとともに、受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。また、制御装置50は、加熱調理を実行しない代わりとして、表示及び音声のうち少なくとも1つを用いて受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。
【0038】
図6は、加熱調理器100の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。
図6に基づいて、加熱調理器100の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの別の一例について説明する。
図6では、グリル10での加熱調理開始後に、つまりグリル加熱手段11の運転中に汚れ測定を実行する際の処理の流れを示している。
【0039】
操作表示部7のグリル加熱ボタン7aが操作させると(ステップS20)、制御装置50は、グリル加熱手段11を制御して加熱調理を開始する(ステップS21)。制御装置50は、グリル10での加熱調理実行中に、汚れ測定部30の発光部31から光を照射させる(ステップS22)。制御装置50は、汚れ測定部30の受光部32での受光があるかどうかを判断する(ステップS23)。受光部32での受光がある場合(ステップS23;YES)、制御装置50は、受け皿20の汚れがないと判断し(ステップS24)、グリル10による加熱調理を継続する(ステップS25)。
【0040】
一方、受光部32での受光がない場合(ステップS23;NO)、制御装置50は、受け皿20に汚れがあると判断し(ステップS26)、受け皿20の掃除を促す報知を実行する(ステップS27)。なお、報知は、表示及び音声のうち少なくとも1つを用いて実行される。なお、ステップS27において、現時点での加熱調理の段階によっては、制御装置50は、加熱調理を強制的に停止してもよい。
【0041】
以上のように、加熱調理器100によれば、受け皿20に油滴等500が集まったとしても、グリル10による加熱調理の停止、及び、清掃を促す報知の少なくとも1つを実行するので、安全性を確保できる。
【0042】
なお、グリル10における加熱調理を再開する場合には、受け皿20の汚れ測定を再度行ってもよいし、清掃済ボタン7eの操作があったことを契機としてもよい。
【0043】
(加熱調理器100の変形例)
図7は、加熱調理器100の変形例の1つを説明するための模式図である。
図7に基づいて、加熱調理器100の変形例の1つについて説明する。なお、
図7は、グリル10を加熱調理器100の前後方向に切った状態を図示している。ここでは、紙面左側にグリル扉12が設置されている場合を例に示しているが、紙面右側にグリル扉12を設置する構成としてもよい。
【0044】
図3及び
図4では、底面が水平方向に平坦となっている受け皿20を図示したが、
図7では、底面が傾斜面23となっている受け皿20Aを図示している。受け皿20Aには、上述したように油滴等500が滴り落ちる。そこで、受け皿20Aでは、底面を傾斜面23とすることで、油滴等500が一定箇所に集まり易くしている。加えて、受け皿20Aでは、反射部21を傾斜面23の下方に設置するようにしている。したがって、受け皿20Aによれば、油滴等500を傾斜面23によって反射部21に導き、より早く、より確実に汚れ測定が可能になっている。
【0045】
なお、受け皿20Aの傾斜面23の傾斜角度、傾斜長さ、傾斜方向を特に限定するものではない。例えば、
図7とは反対向きとなるような傾斜面23としてもよい。また、加熱調理器100の左右方向に傾斜する傾斜面23としてもよい。さらに、受け皿20Aの底面全部を傾斜させて傾斜面23としてもよいし、一部を傾斜させて傾斜面23としてもよい。
【0046】
図8は、加熱調理器100の変形例の更に別の1つを説明するための模式図である。
図8に基づいて、加熱調理器100の変形例の更に別の1つについて説明する。なお、
図8は、グリル10を加熱調理器100の前後方向に切った状態を図示している。ここでは、紙面左側にグリル扉12が設置されている場合を例に示しているが、紙面右側にグリル扉12を設置する構成としてもよい。
【0047】
図3及び
図4では、底面が水平方向に平坦となっている受け皿20を図示したが、
図8では、底面の一部に凹部24を設けた受け皿20Bを図示している。受け皿20Bには、上述したように油滴等500が滴り落ちる。そこで、受け皿20Bでは、底面の一部に凹部24を設け、油滴等500が凹部24に集まり易くしている。加えて、受け皿20Bでは、反射部21を凹部24に設置するようにしている。したがって、受け皿20Bによれば、油滴等500を凹部24に集めることによって反射部21に導き、より早く、より確実に汚れ測定が可能になっている。
【0048】
なお、凹部24の設置個数、大きさ(面積及び深さを含む)、形状を特に限定するものではない。例えば、複数の凹部24を設置してもよい。また、複数の凹部24を設置する場合、全部が同じ大きさ、同じ形状でなくてもよい。さらに、この場合、凹部24の個数に応じて汚れ測定部30を設けてもよいし、1つの可動できる汚れ測定部30を設けてもよい。
【0049】
実施の形態2.
図9及び
図10は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器のグリル10の構成の一例を模式的に示す模式図である。
図11及び
図12は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器のグリル10に設置される受け皿20の表示部25を模式的に示す模式図である。
図9〜
図12に基づいて、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器のグリル10について説明する。なお、本実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。なお、
図9及び
図10は、グリル10を本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の前後方向に切った状態を図示している。ここでは、紙面左側にグリル扉12が設置されている場合を例に示しているが、紙面右側にグリル扉12を設置する構成としてもよい。
【0050】
本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の基本的な構成は、実施の形態1に係る加熱調理器100と同様である。実施の形態1では、受け皿20に設置した反射部21での光の反射の有無で受け皿20の汚れ測定を行うようにした場合を例に説明したが、本実施の形態2では、受け皿20に設置した表示部25を受像できるかどうかにより受け皿20の汚れ測定を行うようにしている。つまり、本実施の形態2では、汚れ測定部30として受像部35を備え、受像部35で受け皿20を撮影することによって表示部25が受像できるかどうかで、受け皿20の汚れ測定を行っている。なお、
図9及び
図10では、受像部35がグリル10の外部上方に設置されている状態を例に示しているが、受像部35をグリル10の内部に設置してもよい。
【0051】
受け皿20の表面の一部には、表示部25が形成されている。表示部25は、例えば
図11に示すような簡易な形状のマーク、又は例えば
図12に示すような文字で構成することができる。なお、表示部25は、図柄、文字、図形、色、模様等のそれぞれ、又は、それらの組み合わせで構成してもよい。さらに、受け皿20は黒色で構成されていることが多いため、受け皿20に対し明度差の大きい色(例えば、白色)のみで表示部25を構成してもよい。なお、表示部25の設置位置を特に限定するものではない。
【0052】
また、受像部35は、表示部25を撮影可能な位置に設置されている。受像部35による表示部25の受像は、例えば2値化処理等の画像処理を利用して行うことができる。撮影した内容を2値化処理等を利用して処理することにより、表示部25の受像が可能になる。または、受像部35にカメラを用い、撮影した画像から表示部25を受像してもよい。
【0053】
図9に示すように、受け皿20の表示部25が油滴等で覆われていない場合、つまり受け皿20が汚れていない場合には、受像部35で撮影された受け皿20のうち表示部25が受像されることになる。受像部35で受像されたという情報は、制御装置50に送られ、制御装置50は、受け皿20が汚れていないと判断する。そして、制御装置50は、操作に応じた加熱調理を実行する。
【0054】
一方、
図10に示すように、受け皿20の表示部25が油滴等500で覆われている場合、つまり受け皿20が汚れている場合には、受像部35で撮影された受け皿20のうち表示部25が受像されないことになる。受像部35で受像されなかったという情報は、制御装置50に送られ、制御装置50は、受け皿20が汚れていると判断する。この場合、制御装置50は、例えばグリル10による加熱調理を実行しない。
【0055】
油滴等500が集まって堆積物となった状態でのグリル10での加熱調理は好ましくないが、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器は、受け皿20に油滴等500が集まったとしても、その状態を制御装置50により判断することができるので、安全性を確保できる。
表示部25が受像部35で受像されたかどうかで、受け皿20の汚れを判断したが、表示部25の全体が受像されなくても、受像された表示部25の割合に段階を設けて、受け皿20の汚れ度合を判断するようにしてもよい。例えば、受像された表示部25の部分が表示部25の全体に対するどの程度の割合かにより、制御を実行することができる。
【0056】
なお、受像部35は、予め設定された期間(例えば、3秒間)に受像できなかった場合に、情報を制御装置50に送るようにすればよい。また、受像部35は、所定の周期で受け皿20を撮影するとよい。
加熱調理を実行しないとともに、受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。また、加熱調理を実行しない代わりとして、受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。この報知は、表示及び音声のうち少なくとも1つを用いて実行される。
【0057】
図13は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13に基づいて、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの一例について説明する。
図13では、グリル加熱ボタン7aの操作をトリガーとして、汚れ測定を実行する際の処理の流れを示している。
【0058】
操作表示部7のグリル加熱ボタン7aが操作させると(ステップS30)、制御装置50は、汚れ測定部の受像部35により受け皿20を撮影させる(ステップS31)。受像部35は、撮影した受け皿20の画像処理を行う(ステップS32)。画像処理した内容を受け取った制御装置50は、受像部35での表示部25が受像されたかどうかを判断する(ステップS33)。受像部35で表示部25が受像された場合(ステップS33;YES)、制御装置50は、受け皿20の汚れがないと判断し(ステップS34)、グリル10による加熱調理を実行する(ステップS35)。
【0059】
一方、受像部35で表示部25が受像されない場合(ステップS33;NO)、制御装置50は、受け皿20に汚れがあると判断し(ステップS36)、グリル10による加熱調理を実行しない、つまりグリル加熱手段11を起動させない(ステップS37)。なお、ステップS37では、制御装置50は、加熱調理を実行しないとともに、受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。また、制御装置50は、加熱調理を実行しない代わりとして、表示及び音声のうち少なくとも1つを用いて受け皿20の掃除を促す報知を実行してもよい。
【0060】
図14は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。
図14に基づいて、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の受け皿20の汚れ測定に関する処理の流れの別の一例について説明する。
図14では、グリル10での加熱調理開始後に、汚れ測定を実行する際の処理の流れを示している。
【0061】
操作表示部7のグリル加熱ボタン7aが操作させると(ステップS40)、制御装置50は、グリル加熱手段11を制御して加熱調理を開始する(ステップS41)。制御装置50は、グリル10での加熱調理実行中に、汚れ測定部の受像部35により受け皿20を撮影させる(ステップS42)。受像部35は、撮影した受け皿20の画像処理を行う(ステップS43)。画像処理した内容を受け取った制御装置50は、受像部35での表示部25が受像されたかどうかを判断する(ステップS44)。受像部35で表示部25が受像された場合(ステップS44;YES)、制御装置50は、受け皿20の汚れがないと判断し(ステップS45)、グリル10による加熱調理を継続する(ステップS46)。
【0062】
一方、受像部35で表示部25が受像されない場合(ステップS44;NO)、制御装置50は、受け皿20に汚れがあると判断し(ステップS47)、受け皿20の掃除を促す報知を実行する(ステップS48)。なお、報知は、表示及び音声のうち少なくとも1つを用いて実行される。なお、ステップS48において、現時点での加熱調理の段階によっては、制御装置50は、強制的に加熱調理を停止してもよい。
【0063】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器によれば、受け皿20に油滴等500が集まったとしても、グリル10による加熱調理の停止、及び、清掃を促す報知の少なくとも1つを実行するので、安全性を確保できる。
【0064】
なお、実施の形態1で説明した変形例を、本実施の形態2に適用することもできる。つまり、受け皿20の底面を傾斜面23としたり、受け皿に凹部24を形成したりして、そこに表示部25を設置してもよい。
また、表示部25の設置個数、大きさ、形状を特に限定するものではい。また、受け皿20の表面の塗装により表示部25を構成してもよいし、受け皿20に貼り付けて表示部25を構成してもよい。
【0065】
なお、グリル10における加熱調理を再開する場合には、受け皿20の汚れ測定を再度行ってもよいし、清掃済ボタン7eの操作があったことを契機としてもよい。
【0066】
実施の形態3.
図2に基づいて、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器のグリル10について説明する。なお、本実施の形態3では実施の形態1、2との相違点を中心に説明し、実施の形態1、2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。なお、
図2は、実施の形態1で既に図示したものである。
【0067】
本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の基本的な構成は、実施の形態1に係る加熱調理器100と同様である。実施の形態1、2では、受け皿20が汚れていると判断した場合、グリル10における加熱調理を停止する等の処理を実行する場合を例に説明したが、本実施の形態3では、清掃済ボタン7eが操作された場合には、グリル10における加熱調理を停止しない等の処理を実行するようになっている。
なお、清掃済ボタン7eは、実施の形態1で説明したように操作表示部7の一部を構成する。
【0068】
清掃済ボタン7eは、収納される受け皿20の清掃が済んだ際に使用者により操作されるものである。制御装置50は、清掃済ボタン7eの操作があった場合、受け皿20の汚れ判定にかかわらず、グリル10における加熱調理を実行する。
【0069】
図15は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器のグリル10における加熱調理を実行する際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15に基づいて、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器のグリル10における加熱調理を実行する際の処理の流れの一例について説明する。
【0070】
操作表示部7のグリル加熱ボタン7aが操作させると(ステップS50)、制御装置50は、清掃済ボタン7eの操作があったかどうか、つまり清掃済ボタン7eが無操作かどうかを判断する(ステップS51)。制御装置50は、清掃済ボタン7eの操作があったと判断した場合(ステップS51;YES)、グリル10による加熱調理を実行する(ステップS52)。
【0071】
一方、清掃済ボタン7eの操作がないと判断したい場合(ステップS51;NO)、制御装置50は、グリル10による加熱調理を実行しない、つまりグリル加熱手段11を起動させない(ステップS53)。なお、ステップS53では、制御装置50は、加熱調理を実行しないとともに、清掃済ボタン7eの操作を促す報知を実行してもよい。また、制御装置50は、加熱調理を実行しない代わりとして、表示及び音声のうち少なくとも1つを用いて清掃済ボタン7eの操作を促す報知を実行してもよい。
【0072】
(本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の変形例)
グリル10での加熱調理を複数回(例えば、2回)行った後に、清掃済ボタン7eを機能させるとよい。グリル10での加熱調理の回数が少ない場合、受け皿20が汚れている可能性が低いため、予め設定された回数の加熱調理が行われていない段階では、清掃済ボタン7eを機能させなくても、安全性の確保に影響はない。この場合、グリル10での調理回数は、グリル加熱ボタン7aの操作回数を制御装置50に設けられている記憶手段に記憶しておけばよい。また、清掃済ボタン7eを機能させる基準となる加熱調理の回数についても、制御装置50に設けられている記憶手段に書き換え可能に記憶しておけばよい。
【0073】
あるいは、グリル10での加熱調理の延べ時間が基準値(例えば、30分)を超えた場合に、清掃済ボタン7eを機能させるとよい。グリル10での加熱調理の延べ時間が少ない場合、受け皿20が汚れている可能性が低いため、加熱調理の延べ時間が予め設定された基準値を超えない段階では、清掃済ボタン7eを機能させなくても、安全性の確保に影響はない。この場合、グリル10での調理時間は、グリル加熱ボタン7aの操作回数に応じて積算しておき、制御装置50に設けられている記憶手段に記憶しておけばよい。また、清掃済ボタン7eを機能させる基準値についても、制御装置50に設けられている記憶手段に書き換え可能に記憶しておけばよい。
【0074】
なお、実施の形態1、2で説明した受け皿20の汚れ測定に関する処理を実行した後に、清掃済ボタン7eを機能させるようにしてもよい。この場合、受け皿20が清掃された状態での加熱調理の実現性が向上し、より安全性を確保することが可能になる。
あるいは、清掃済ボタン7eが操作されたことをトリガーとして、実施の形態1、2で説明した受け皿20の汚れ測定に関する処理を実行してもよい。この場合、清掃済ボタン7eの操作だけで加熱調理が実行されず、受け皿20が清掃された状態での加熱調理の実現性が向上し、より安全性を確保することが可能になる。