【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためのハイブリッドヒートポンプシステムは、
冷媒が循環する冷媒循環路と、
前記冷媒循環路を循環する冷媒を膨張させる膨張弁と、
冷媒と室内空気とを熱交換させる室内熱交換器を前記冷媒循環路としての室内側冷媒循環路部位に設ける室内機ユニットと、
エンジンを駆動源として冷媒を圧縮するエンジン駆動式圧縮機と、冷媒と外気とを熱交換させるGHP室外熱交換器とを、前記冷媒循環路としてのGHP冷媒循環路部位に設けるGHP室外機ユニットと、
電動機を駆動源として冷媒を圧縮する電気駆動式圧縮機と、冷媒と外気とを熱交換させるEHP室外熱交換器とを、前記冷媒循環路としてのEHP冷媒循環路部位に設けるEHP室外機ユニットとを備え、
前記GHP冷媒循環路部位に、前記エンジン駆動式圧縮機と前記室内熱交換器と前記膨張弁と前記GHP室外熱交換器とに記載の順に冷媒を循環させ暖房運転を行う暖房循環切換状態と、前記エンジン駆動式圧縮機と前記GHP室外熱交換器と前記膨張弁と前記室内熱交換器とに記載の順に冷媒を循環させ冷房運転を行う冷房循環切換状態とで、冷媒の循環状態を切り替えるGHP冷媒循環状態切換手段を備え、
前記EHP冷媒循環路部位に、前記電気駆動式圧縮機と前記室内熱交換器と前記膨張弁と前記EHP室外熱交換器とに記載の順に冷媒を循環させる
前記暖房循環切換状態と、前記電気駆動式圧縮機と前記EHP室外熱交換器と前記膨張弁と前記室内熱交換器とに記載の順に冷媒を循環させる
前記冷房循環切換状態とで、冷媒の循環状態を切り替えるEHP冷媒循環状態切換手段を備えるハイブリッドヒートポンプシステムであって、その特徴構成は、
前記GHP冷媒循環状態切換手段及び前記EHP冷媒循環状態切換手段が前記暖房循環切換状態にあるときに、前記電気駆動式圧縮機の出口の冷媒の少なくとも一部を、前記暖房循環切換状態の冷媒の通流方向での前記EHP室外熱交換器の出口へ導く第1冷媒通流路と、
前記GHP冷媒循環路部位における前記エンジン駆動式圧縮機の入口の冷媒を、前記EHP冷媒循環路部位における前記電気駆動式圧縮機の入口へ導く第2冷媒通流路と、
前記GHP冷媒循環状態切換手段及び前記EHP冷媒循環状態切換手段が前記暖房循環切換状態にあるときに、前記電気駆動式圧縮機の出口の冷媒の少なくとも一部を、前記第1冷媒通流路と前記EHP室外熱交換器と前記第2冷媒通流路とに記載の順に導く流路形成機構と、
前記GHP冷媒循環状態切換手段及び前記EHP冷媒循環状態切換手段が前記暖房循環切換状態にあるときに、前記流路形成機構を働かせる形態で、前記EHP室外熱交換器の霜取りを行う除霜運転を実行する運転制御部を備える点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、特に、運転制御部が除霜運転を実行しているときには、第1冷媒通流路を介して、電気駆動式圧縮機の出口の冷媒であって電気駆動式圧縮機で圧縮され昇温した冷媒の一部を、EHP室外熱交換器へ導くことができるから、EHP室外熱交換器での着霜を良好に防止することができると共に、着霜している場合にはその霜を積極的に取り除くことができる。
上述の如く構成する場合、GHP冷媒循環状態切換手段及びEHP冷媒循環状態切換手段が暖房循環切換状態にあるときに、電気駆動式圧縮機の出口の冷媒がEHP室外熱交換器の出口側へ導かれることになるから、暖房循環切換状態にあるときの冷媒通流方向でのEHP室外熱交換器の出口から入口へ向けて冷媒が通流することになり、当該冷媒は、EHP室外熱交換器を介してGHP冷媒循環路部位へ向けて導かれ、GHP冷媒循環路部位からEHP冷媒循環路部位へ、冷媒が還流できなくなる。
そこで、上記特徴構成にあっては、第2冷媒通流路を備えると共に、運転制御部が、流路形成機構を働かせて、除霜運転を実行する場合に当該第2冷媒通流路に冷媒を通流させて、GHP冷媒循環路部位におけるエンジン駆動式圧縮機の入口の冷媒を、EHP冷媒循環路部位における電気駆動式圧縮機の入口へ導くのである。
【0010】
更に、当該構成によれば、第2冷媒通流路にて冷媒を導くことで、GHP冷媒循環路部位でのエンジン駆動式圧縮機の入口と、EHP冷媒循環路部位での電気駆動式圧縮機の入口とを接続するため、冷媒の圧力バランスを大きく崩すことなく、GHP室外機ユニットとEHP室外機ユニットとで良好に、暖房運転を実行することができることになる。
以上の構成を採用することにより、低外気温条件下での暖房運転において、室外熱交換器への着霜を好適に防止しながらも、室内へ比較的低温の空調用空気が流入して快適性が損なわれることを好適に防止できるハイブリッドヒートポンプシステムを実現できる。
【0011】
尚、本発明において、EHP室外熱交換器の出口という文言は、冷媒循環路において、EHP室外熱交換器を通過した冷媒が、ヒートポンプの主要構成(圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、室内熱交換器)の何れも通過しない流路部位を意味するものとする。
また、エンジン駆動式圧縮機の出口、電気駆動式圧縮機の出口という文言についても、エンジン駆動式圧縮機又は電気駆動式圧縮機から吐出された冷媒が、ヒートポンプの主要構成の何れも通過しない流路部位を意味するものとする。
また、エンジン駆動式圧縮機の入口、電気駆動式圧縮機の入口という文言は、冷媒循環路での冷媒通流方向での直近のヒートポンプの主要構成を通過してから圧縮機までの間において、他のヒートポンプの主要構成の何れも通過しない流路部位を意味するものとする。
【0012】
ハイブリッドヒートポンプシステムの更なる特徴構成は、
前記運転制御部は、前記GHP冷媒循環状態切換手段及び前記EHP冷媒循環状態切換手段を前記暖房循環切換状態として前記暖房運転を実行させると同時に、前記除霜運転を実行させる霜取暖房同時運転を実行する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、運転制御部は、GHP冷媒循環状態切換手段及びEHP冷媒循環状態切換手段を暖房循環切換状態として暖房運転を実行させると同時に、除霜運転を実行させる霜取暖房同時運転を実行するから、暖房運転をしながらも、除霜運転を実行することができ、暖房と霜取りの同時実行による快適性の向上を図ることができる。
結果、従来技術の如く、暖房運転を実行すべきときに、室内に比較的低温の空調用空気が導かれ、使用者の快適性が悪化することを好適に防止できる。
【0014】
ハイブリッドヒートポンプシステムの更なる特徴構成は、
前記第1冷媒通流路は、当該第1冷媒通流路を通流する冷媒の流量を制御する流量制御弁を備え、
前記運転制御部は、前記霜取暖房同時運転時に、少なくとも前記流量制御弁の開度を制御する形態で、前記除霜運転と前記暖房運転との負荷比率を調整する負荷比率調整制御を実行する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、第1冷媒通流路は、当該第1冷媒通流路を通流する冷媒の流量を制御する流量制御弁を備え、運転制御部が、霜取暖房同時運転時に、少なくとも流量制御弁の開度を制御する形態で、除霜運転と暖房運転との負荷比率を調整する負荷比率調整制御を実行するから、単一の流量制御弁の開度制御という比較的簡易な制御により、除霜運転と暖房運転との負荷比率を適切に調整することができる。
【0016】
ハイブリッドヒートポンプシステムの更なる特徴構成は、
前記GHP冷媒循環路部位における前記エンジン駆動式圧縮機の出口にて冷媒とオイルとを分離する第1オイルセパレーターと、
前記EHP冷媒循環路部位における前記電気駆動式圧縮機の出口にて冷媒とオイルとを分離する第2オイルセパレーターと、
前記第1オイルセパレーターにて分離されたオイルを貯留する第1オイル貯留部位と、前記第2オイルセパレーターにて分離されたオイルを貯留する第2オイル貯留部位とを連通接続するオイル共有路と、
前記オイル共有路と前記GHP冷媒循環路部位における前記エンジン駆動式圧縮機の入口とを接続する第1オイル通流路と、当該第1オイル通流路を開閉する第1オイル開閉弁と、
前記オイル共有路と前記EHP冷媒循環路部位における前記電気駆動式圧縮機の入口とを接続する第2オイル通流路と、当該第2オイル通流路を開閉する第2オイル開閉弁とを備え、
前記第2冷媒通流路は、前記オイル共有路の少なくとも一部と、前記第1オイル通流路と、前記第2オイル通流路とから構成され、
前記運転制御部は、前記除霜運転の実行時に、前記第1オイル開閉弁及び前記第2オイル開閉弁を開放状態に制御する点にある。
【0017】
上記特徴構成よれば、通常のハイブリッドヒートポンプシステムにおいて設けられるオイル共有路の少なくとも一部と、第1オイル通流路と、第2オイル通流路とを、第2冷媒通流路として兼用する構成とし、更に、運転制御部は、従来オイルの流路に設けられている第1オイル開閉弁及び第2オイル開閉弁を開放状態に制御するのみで、除霜運転を実行できるから、構成を複雑化することなく、所望の除霜運転を実行できる。
【0018】
ハイブリッドヒートポンプシステムの更なる特徴構成は、
前記GHP冷媒循環路部位における前記エンジン駆動式圧縮機の入口と前記EHP冷媒循環路部位における前記電気駆動式圧縮機の入口とを接続する冷媒専用の流路である第3冷媒通流路を前記第2冷媒通流路として備え、
当該第3冷媒通流路を開閉する第4開閉弁を備え、
前記運転制御部は、前記除霜運転を実行時に、前記第4開閉弁を開放状態に制御する点にある。
【0019】
上述したように、従来から設けられているオイルの流路を第2冷媒通流路として兼用する場合、構成が複雑化することを避けられると共に、それに伴う省コスト化を図ることができるというメリットがある。しかしながら当該構成を採用する場合、除霜運転実行時には、オイルの流路にオイルを通流させ、エンジン駆動式圧縮機と電気駆動式圧縮機との間でオイルのバランスをとるオイルバランス制御
運転が実行できないという問題がある。
上記特徴構成によれば、オイルの流路とは別に、GHP冷媒循環路部位の冷媒をEHP冷媒循環路部位へ導く冷媒専用の流路である第3冷媒通流路を備えることで、除霜運転とオイルバランス制御
運転が競合することを適切に避けることができる。
【0020】
冷媒専用の流路である第3冷媒通流路を前記第2冷媒通流路として備えるハイブリッドヒートポンプシステムでは、
前記GHP冷媒循環路部位における前記エンジン駆動式圧縮機の出口にて冷媒とオイルとを分離する第1オイルセパレーターと、
前記EHP冷媒循環路部位における前記電気駆動式圧縮機の出口にて冷媒とオイルとを分離する第2オイルセパレーターと、
前記第1オイルセパレーターにて分離されたオイルを貯留する第1オイル貯留部位と、前記第2オイルセパレーターにて分離されたオイルを貯留する第2オイル貯留部位とを連通接続するオイル共有路と、
前記オイル共有路と前記GHP冷媒循環路部位における前記エンジン駆動式圧縮機の入口とを接続する第1オイル通流路と、当該第1オイル通流路を開閉する第1オイル開閉弁と、
前記オイル共有路と前記EHP冷媒循環路部位における前記電気駆動式圧縮機の入口とを接続する第2オイル通流路と、当該第2オイル通流路を開閉する第2オイル開閉弁とを備え、
前記運転制御部は、前記第1オイル開閉弁と前記第2オイル開閉弁の開閉タイミングを制御して、前記エンジン駆動式圧縮機と前記電気駆動式圧縮機とのオイルバランスを制御するオイルバランス制御運転を実行可能であり、
前記運転制御部は、前記オイルバランス制御
運転と前記除霜運転とを同時に実行することが好ましい。
【0021】
ハイブリッドヒートポンプシステムの更なる特徴構成は、
前記GHP冷媒循環状態切換手段及び前記EHP冷媒循環状態切換手段が前記暖房循環切換状態にあるときに、少なくとも前記室内機ユニットを通過した後で前記GHP冷媒循環路部位の前記エンジン駆動式圧縮機を通過する前の冷媒と前記エンジンのエンジン冷却水とを熱交換する形態で加熱するサブエバポレーターを備え、
前記運転制御部は、少なくとも前記除霜運転を実行時の前記サブエバポレーターに冷媒を通流する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、GHP室外機ユニット及びEHP室外機ユニット側において、エンジンにて発生する排熱を良好に利用する形態で、GHP室外熱交換器及びEHP室外熱交換器での着霜を良好に防止できる。
また、例えば、暖房循環切換状態にあるときに、冷媒を、サブエバポレーターとGHP室外熱交換器へ並列して通流させる場合、例えば、GHP室外熱交換器に対応する膨張弁の開度を閉める方向に調整し、サブエバポレーターで回収する熱量を増やし、GHP室外機熱交換器で冷媒が回収する熱量が低下することにより、着霜を良好に抑制できる。