特許第6843002号(P6843002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843002
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】高気圧酸素カプセル
(51)【国際特許分類】
   A61G 10/02 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   A61G10/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-112056(P2017-112056)
(22)【出願日】2017年5月19日
(65)【公開番号】特開2018-192223(P2018-192223A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】515117981
【氏名又は名称】木暮 亮太
(73)【特許権者】
【識別番号】515117970
【氏名又は名称】木暮 崇士
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(72)【発明者】
【氏名】木暮 勉
【審査官】 野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−158593(JP,A)
【文献】 特開2006−192256(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3167637(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0080833(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G10/00−11/00
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性材料による密閉状円筒体のカプセルの内部に使用者が横に寝た状態で収容されると共に、カプセルの内部に酸素含有空気を送り込んでその内部を高気圧状態にする高気圧酸素カプセルにおいて、カプセルの側部から上部にかけて設けた開口部を開閉するドアを設けると共に、開口部の下方に水平状に取り付けた補強部材から立ち上がった状態で取り付けられた手すりをカプセルの外周に沿って湾曲状に形成すると共に、補強部材から立ち上がった手すりの立上り部を直線の垂直状に形成したことを特徴とする高気圧酸素カプセル。
【請求項2】
カプセルの内部に設けた空気圧センサを備える操作パネルと、カプセルの外部に設けた操作パネルとを接続し、これらの内部と外部の操作パネルの両方からカプセル内で測定した空気圧に基づいてカプセル内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動とを可能にしたことを特徴とする請求項1記載の高気圧酸素カプセル。
【請求項3】
カプセルの内部の高気圧空気をカプセルの外部に放出するための排気弁をカプセルの周面であってカプセルの内部に入った使用者が横に寝た状態で手の届く範囲に設けたことを特徴とする請求項1記載の高気圧酸素カプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者がカプセルの内部に入った状態で、高気圧状態の酸素含有空気を使用者の身体に供給するようにした高気圧酸素カプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、密閉可能に構成されたカプセルの内部に使用者が入り、このカプセルの内部に酸素含有空気を送り込んでカプセル内の気圧を大気圧より高くすることで、カプセル内の使用者の身体に多量の酸素を供給するようにした高気圧酸素カプセルが知られている。
【0003】
このような高気圧酸素カプセルに入った使用者の身体は、気圧が高まることで血液中に酸素が溶けやすくなるため、酸素が末梢の毛細血管内を通過して体内の隅々まで供給されることになる。このため、体内の血行が促進され、代謝活動が活発になり、速やかな疲労回復を促進し、冷え性を防いだり、血行障害による痛みをやわらげたり、ダイエットや美容又は健康を改善する等に有益となる。
【0004】
上記の高気圧酸素カプセルにおいては、種々の安全性を確保する必要がある。そのための構成として、特許文献1を参照しながら説明する。この文献の高気圧酸素カプセルは、使用者がカプセルの内部に入るときの安全性を確保するために、カプセルに設けた開口部の左右にカプセル本体の外周に沿って湾曲状に形成した手すりが設けられ、使用者は手すりを握って内部に入ることができる。
【0005】
また、使用者がカプセルの内部に入ってドアを閉じた後、コンプレッサで加圧した空気をカプセル内に導入することでカプセル内が高気圧状態となる。このような操作は、カプセルの外部にいるオペレータ等の第三者が操作できるように、カプセルの上部に操作パネルが設けられ、第三者がコンプレッサの作動スイッチを操作したり、カプセル内の空気圧を調整したりすることが可能である。
【0006】
さらに、特許文献2に示すように、カプセルの端部に排気弁(特許文献2では「リリーフ機構」と称する)を設けることによって、カプセル内の使用者が身体に異常を感じたとき等の緊急時に、使用者自身の手で排気弁を操作することで、カプセル内の高圧空気を外部に抜いて、大気圧状態まで減圧することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−121396号公報
【特許文献2】特開2009−101176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の高気圧酸素カプセルにおいては、上記のように種々の安全対策が取られている。しかしながら、例えば、特許文献1において、操作パネルはカプセルの外方上部に設けられているため、使用者がカプセルの内部に入った状態で自ら操作パネルを操作することは不可能である。
【0009】
さらに、特許文献1において、使用者がカプセルの内部に入るときに補助として握る手すりはカプセルの上部に設けられているだけである。このような手すりの下端部は、開口部の下部に沿って横方向に取り付けられた補強部材に固定するのが望ましいが、カプセルの構造によっては、補強部材が取り付けられていない場合もある。
【0010】
いずれにしても、湾曲形状の手すりをカプセルの外周に沿って開口部の下部まで延長すると、カプセルの側部に湾曲形状の手すりが突出した状態になって、カプセル全体の幅寸法が拡大する。こうなると、カプセルを施設や家庭の室内に搬入する際、カプセルの側方に突出した手すりが室内への入口の幅内を通過することができず、室内に搬入することができないという不都合も生じる。
【0011】
なお、上記のように、手すりが室内に搬入する際の支障とならないように、カプセルの幅を縮小することも考えられるが、こうすると、カプセル内で横に寝た状態の使用者が窮屈になるため、カプセルの幅はできるだけ大きくするのが望ましい。
【0012】
さらに、特許文献2においては、カプセルの端部に排気弁であるリリーフ機構が設けられているが、この位置はカプセル内に横に寝た使用者の頭部の上方になるため、排気弁が視線に入らない状態となる。このため、緊急に使用者自身の手で排気弁を操作する際、排気弁の存在に気が付かず、又は操作に戸惑ってしまうという不都合が生じる。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、高気圧酸素カプセルを使用する使用者の安全性や利便性を向上するため、カプセル内の空気圧の操作(操作パネルの操作)をカプセルの外部で行うと共に、使用者がカプセルの内部において横に寝た状態で行うことができ、さらに緊急時においては、使用者がカプセルの内部で排気弁を容易且つ迅速に操作することによってカプセル内の空気を抜いて減圧することが可能な高気圧酸素カプセルを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、楽に横に寝た状態で使用することが可能なようにカプセルの径方向の幅をできるだけ大きくとることで、操作パネルと排気弁の操作を容易に行うことを可能にすると共に、カプセルの外部に設けた手すりが搬入時の邪魔にならない構成とした高気圧酸素カプセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の問題を解決するために、本発明における請求項1の高気圧酸素カプセルは、剛性材料による密閉状円筒体のカプセルの内部に使用者が横に寝た状態で収容されると共に、カプセルの内部に酸素含有空気を送り込んでその内部を高気圧状態にする高気圧酸素カプセルにおいて、カプセルの側部から上部にかけて設けた開口部を開閉するドアを設けると共に、開口部の下方に水平状に取り付けた補強部材から立ち上がった状態で取り付けられた手すりをカプセルの外周に沿って湾曲状に形成すると共に、補強部材から立ち上がった手すりの立上り部を直線の垂直状に形成したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明における請求項2の高気圧酸素カプセルは、カプセルの内部に設けた空気圧センサを備える操作パネルと、カプセルの外部に設けた操作パネルとを接続し、これらの内部と外部の操作パネルの両方からカプセル内で測定した空気圧に基づいてカプセル内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動とを可能にしたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明における請求項3の高気圧酸素カプセルは、カプセルの内部の高気圧空気をカプセルの外部に放出するための排気弁をカプセルの周面であってカプセルの内部に入った使用者が横に寝た状態で手の届く範囲に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の高気圧酸素カプセルにおいて、カプセルの内部に設けた空気圧センサを備える操作パネルと、カプセルの外部に設けた操作パネルとを接続し、これらの内部と外部の操作パネルの両方からカプセル内で測定した空気圧に基づいてカプセル内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動とが可能とされている。
【0019】
このような構成によって、使用者以外の第三者である、例えば操作に習熟したオペレータが、カプセルの外部に設けた操作パネルを操作することによって、安全にカプセル内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動をすることが可能となる。
【0020】
また、カプセルの内部に入った使用者は、カプセルの外部にオペレータ等の第三者が不在であったり、空気圧の異常時や体調の不良等の緊急の際に、カプセルの内部の操作パネルを操作することによって、カプセル内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動等をすることが可能となり、カプセル内の空気圧に関する安全性を確保することが可能となる。
【0021】
また、本発明の高気圧酸素カプセルにおいて、カプセルの内部に送り込んだ空気圧で押圧することによって閉塞される排気弁をカプセルの周面であってカプセルの内部に入った使用者が横に寝た状態で容易に手の届く範囲に設けた構成としている。
【0022】
なお、従来の高気圧酸素カプセルにおいては、カプセル本体の端面の中央に排気弁を設けていたのであるが、このような構成の場合、カプセルの内部に入って横に寝た使用者は頭部の上方に排気弁が位置することになって、視覚に入らないうえ、手も届きにくい状態になる。この状態では、使用者がカプセル内の空気圧に異常を感じた時や体調が不良となったとき等には、精神的にも落ち着きを失っているため、排気弁の存在すら気が付かないおそれもある。
【0023】
しかしながら、本発明のように、排気弁をカプセルの周面であってカプセルの内部に入った使用者が横に寝た状態で手の届く範囲に設けた構成とすることにより、横に寝た状態の使用者は容易且つ迅速に排気弁を目視することができ、容易に手を伸ばすことによって排気弁を操作することで、カプセル内の空気圧を外部に抜いて大気圧と同様の状態にすることが可能となる。
【0024】
さらに、本発明の高気圧酸素カプセルにおいては、カプセルの側部から上部にかけて設けた開口部を開閉するドアを設けると共に、開口部の下方に水平状に取り付けた補強部材から立ち上がった状態で取り付けられた手すりをカプセルの外周に沿って湾曲状に形成すると共に、補強部材から立ち上がった手すりの立上り部を直線の垂直状に形成した構成としている。
【0025】
このような構成により、カプセルの側部に手すりの湾曲形状が突出することがないため、カプセルの片側部に相当する径方向の幅を縮小することができ、その分のカプセルの内部の径方向の幅を拡大することが可能となる。こうすることによって、窮屈になりがちなカプセルの内部空間に余裕ができ、高気圧酸素の供給中も安楽に横になることができ、緊急時においても、内部に設けた操作パネルや排出弁の手作業による操作を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例における高気圧酸素カプセルの斜視図であり、(a)はドアを閉めた状態を示し、(b)はドアを開けた状態を示す。
図2】(a)は本発明の実施例における高気圧酸素カプセルのドアを開けた状態の正面図であり、(b)は背面図である。
図3】(a)は本発明の実施例における高気圧酸素カプセルのドアを閉めた状態の正面図であり、(b)は底面図である。
図4】本発明の実施例における高気圧酸素カプセルの周面図であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
図5】(a)は本発明の実施例における高気圧酸素カプセルの内部を示す図であり、(b)はコンプレッサを内蔵した操作パネルを示す正面図である。
図6】本発明の実施例における高気圧酸素カプセルを支持台で支持した状態の正面図である。
図7】本発明の実施例における高気圧酸素カプセルの排気弁を示す図であり、(a)(b)はそれぞれ排気弁の右側面図、正面図、左側面図であり、(c)は弁本体に取り付けた排気弁を閉じた状態を示す断面図であり、(d)は弁本体に取り付けた排気弁を開いた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0028】
図1図4に示すように、本発明による高気圧酸素カプセル1のカプセル本体2は金属製又はFRP等による剛性材料によって形成され、筒体の両端を外方に曲面状に膨れた形状に形成すると共に、カプセル本体2の片側(内部に横に寝た使用者の頭部側)寄りに、水平方向に長い開口部3がカプセル本体2の側方から上方にかけて形成されている。
【0029】
このような構成において、開口部3の内側には、開口部3よりもやや大きい形状のドア4が取付けられている。このドア4は透明の合成樹脂板等によって形成され、カプセル本体2の周部の形状と同様に湾曲している。また、ドア4は、カプセル本体2に設けた開口部3の上辺と下辺の内側に沿って取り付けられたガイドレール(不図示)に沿ってスライドすることが可能であり、このドア4で開口部3を開閉することが可能である。
【0030】
ドア4の外部にはハンドル5が取り付けられ、ハンドル5を握ってドア4を開閉することが可能である。また、開口部3の周部には伸縮性を有するクッション6が固定され、ドア4を閉じた状態でカプセル1の内部に酸素含有空気を送り込んだとき、カプセル1内に充満する空気の内圧によってドア4が開口部3の側に押されると、ドア4の外面がクッション6に密着し、カプセル1の内部を気密状にすることが可能となる。
【0031】
さらに、カプセル1の開口部3の上方と下方には、開口部3に沿って水平状に長尺の補強部材7a、7bが固定されている。これらの上部の補強部材7aと下部の補強部材7bはカプセル1の全長を有するものではなく、開口部3の横幅よりもやや長い形状を有し、開口部3の左右に沿って上下の補強部材7a、7bに支持された手すり8a、8bを取り付けることが可能とされている。
【0032】
開口部3の左右に設けられた手すり8a、8bは金属製パイプによって形成され、それぞれの上端と下端が固定金具9によってボルトとナットで上下の補強部材7a、7bに固定されている。この手すり8a、8bは、上部の補強部材7aにカプセル1の外周から等間隔をなす湾曲状に形成されているが、図4(a)(b)に示すように、開口部3の下方に水平状に取り付けた補強部材7bの両端付近から立ち上がった立上り部8cは直線の垂直状に形成されている。
【0033】
このような構成により、カプセル1の側部に手すり8a、8bの湾曲形状が突出することがなく、カプセル1の片側部に相当する径方向の幅を縮小することが可能となる。従って、その分のカプセル1内の径方向の幅を拡大することが可能となり、窮屈になりがちなカプセル1の内部空間にも余裕ができ、使用者は楽に横に寝た状態を保つことが可能となる。さらに、カプセル1の内部に横に寝た使用者は、緊急時においても、図5(a)に示すカプセル1の内部に設けた操作パネル12や排気弁16の手作業による操作を容易に行うことが可能となる。
【0034】
また、図4(a)(b)に示すように、下方の補強部材7bから立ち上がった手すり8a、8bの立上り部8cを直線の垂直状に形成した構成により、カプセル1の側部に手すり8a、8bの湾曲形状が突出することがないため、カプセル1の片側に相当する径方向の幅を縮小することができ、その分のカプセル1の内部における径方向の幅を拡大することが可能となる。
【0035】
上記の構成により、カプセル1の外部にいる使用者は、ハンドル5を握ってドア4を横方向に開くことにより開口部3が開放され、開口部3の手すり8a、8bを握って安全且つ容易に開口部3からカプセル1の内部へ入ることができる。このとき、使用者が握る手すり8a、8bは、カプセル1の周部に沿って均等に間隔をあけて湾曲状に形成されているため、使用者はカプセル1の内部に入るまで、湾曲状の手すり8a、8bを握りながら安全にカプセル1内に入ることが可能となる。
【0036】
なお、図5(a)に示すように、カプセル1の底部には、カプセル本体2の側部に平行に固定された支持材11bに支持されてなる床材11が取り付けられているため、図1(b)において、カプセル1の内部に入った使用者は開口部3から身体を上方に出したまま床材11の上面に立つことができ、次いでその姿勢から床材11の面上に身体を横たえる動きを安全に行うことができる。
【0037】
また、図5(a)に示すように、カプセル1の内部において、開口部3の側の端部の床材11の上面には枕11aが設けられ、使用者は枕11aに頭を乗せた姿勢で横に寝た姿勢を保つことができる。
【0038】
一方、本実施例において、図5(a)に示すように、カプセル1の内部に設けた空気圧センサ(不図示)を備える操作パネル12と、カプセル1の外部に設けた操作パネル13とを接続し、カプセル1内にて空気圧センサで測定した空気圧に基づいて内部と外部の操作パネル12、13の両方からカプセル1内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動等を操作することが可能となる。
【0039】
なお、外部の操作パネル13はカプセル本体2の上面に取り付けた金具枠13bに回動自在に取付け、操作パネル13の表示面を自由な角度に調整可能としている。
【0040】
また、カプセル1の内部と外部の操作パネル12、13には、カプセル1の外部に設けた不図示のコンプレッサに接続され、これらの操作パネル12、13にはコンプレッサの起動ボタンや停止ボタンのほかに、上記の空気圧センサによって測定された空気圧をデジタルで表示するデジタル表示や、圧力設定や作動時間設定を行うボタンが設けられている。さらに、これらの内部と外部の操作パネル12、13とには、互いに通話が可能なインターホン12a、13aが設けられ、緊急時等の必要な際にカプセル1の外部と内部とで通話することも可能である。
【0041】
なお、図3(b)、図4(a)(b)に示すように、カプセル本体2は、下部の四方にアングル等で形成した脚部14を固定した安定状態で支持してある。ただし、図5(b)に示すように、不図示のコンプレッサを別置きのケース15に収容して、このケース15の上部に操作パネル15aを設けるようにしてもよい。また、図6に示すように、カプセル本体2を箱体の支持台10の上部に載置して固定し、支持台10の内部にコンプレッサを設けるようにしても良い。
【0042】
このような構成によって、使用者以外のオペレータ等の第三者が、カプセル1の外部に設けた操作パネル13を操作することによって、安全にカプセル1内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動等の操作をすることが可能となる。
【0043】
また、カプセル1の内部で横に寝た状態の使用者は、カプセル1の外部にオペレータ等の第三者等が不在であったり、空気圧の異常や体調不良等の緊急の場合に、カプセル1の内部の操作パネル12を操作することによって、カプセル1内の空気圧の調整や空気供給の停止又は起動等の操作をすることが可能となり、カプセル1内の安全性を確保することが可能となる。
【0044】
また、図5(a)に示すように、本発明の高気圧酸素カプセル1において、排気弁16をカプセル1の周面であってカプセル1の内部に入った使用者が横に寝た状態で手の届く範囲、即ちカプセル1の周面であって横に寝た使用者の頭部付近に設けた構成としている。
【0045】
この排気弁16は、図7(c)(d)に示すように、カプセル本体2に形成した穿孔部2aに弁本体19を固定し、この弁本体19に排気弁16を取り付けた構成としている。この構成を詳細に述べると、図7(a)(b)に示すように、排気弁16は外側軸部18と内側軸部17との間にフランジ状の弁体20を介して形成され、外側軸部18は円柱形の両側を軸に沿って削り落としたような幅広部18aと幅狭部18bとを備えた形状としている。
【0046】
また、弁本体19は、図7(c)(d)に示すように、外側弁本体21と内側弁本体22とから構成されている。外側弁本体21はカプセル本体2の穿孔部2aの周辺に取り付けた0リング23でシールされ、この外側弁本体21には中心孔21aが形成されている。さらに、中心孔21aの内側に環状突出部25に囲まれた内腔部26を有し、中心孔21aと内腔部26との境界には弁座27が形成され、弁座27には0リング28が設けられている。
【0047】
また、内側弁本体22は、環状突出部25を包囲した状態でボルト22bで固定することができる。さらに、内側弁本体22に形成された通気孔24により、カプセル本体2の内部は通気孔24と内腔部26と中心孔21aを経てカプセル本体2の外部とを連通状態にすることが可能である。
【0048】
このような構成を組み立てるには、外側弁本体21の中心孔21aに排気弁16の外側軸部18を挿入すると共に、排気弁16の内側軸部17の外周にスプリング30を挿着した状態で、内側軸部17を内側弁本体22の中心孔22aに摺動自在に挿入し、外側弁本体21の環状突出部25に内側弁本体22をボルト22bで固定する。さらに、排気弁16の外側軸部18と内側軸部17との両端部にノブ32a、32bをネジ31で固定する。
【0049】
上記の構成により、図7(c)に示すように、スプリング30の付勢力によって排気弁16の弁体20は弁座27の0リング28に密着して外側弁本体21の中心孔21aを気密状に閉塞する。なお、排気弁16の弁体20は環状突出部25の内径よりも小径に形成されているため、弁体20の外周は環状突出部25の内周に対して隙間C(図7(d)参照)を有することになる。
【0050】
また、排気弁16をカプセル1の内部に入った使用者が横に寝た状態で手を伸ばし、排気弁16のノブ32bを引くことによって、図7(d)に示すように、弁体20は弁座27から離脱するため、カプセル1内の空気圧は通気孔24と弁体20の外周の隙間Cと中心孔21aを経て外部に放出されることで大気圧と均等になる。なお、カプセル1の外部にいるオペレータ等の第三者が緊急時等に外側のノブ32aを押すことにより、上記と同様の作用によってカプセル1内の空気圧を大気圧と同様にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 高気圧酸素カプセル
2 カプセル本体
2a 穿孔部
3 開口部
4 ドア
5 ハンドル
6 クッション
7a 上部の補強部材
7b 下部の補強部材
8a、8b 手すり
8c 立上り部
9 固定金具
10 支持台
11 床材
11a 枕
11b 支持材
12 内部の操作パネル
12a インターホン
13 外部の操作パネル
13a インターホン
13b 金具枠
14 脚部
15 ケース
15a 操作パネル
16 排気弁
17 内側軸部
18 外側軸部
18a 幅広部
18b 幅狭部
19 弁本体
20 弁体
21 外側弁本体
21a 外側弁本体の軸孔
22 内側弁本体
22a 内側弁本体の軸孔
22b ボルト
23 0リング
24 通気孔
25 環状突出部
26 内腔部
27 弁座
28 0リング
29 補強材
30 スプリング
31 ボルト
32a、32b ノブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7