【実施例】
【0028】
図1〜
図4に示すように、本発明による高気圧酸素カプセル1のカプセル本体2は金属製又はFRP等による剛性材料によって形成され、筒体の両端を外方に曲面状に膨れた形状に形成すると共に、カプセル本体2の片側(内部に横に寝た使用者の頭部側)寄りに、水平方向に長い開口部3がカプセル本体2の側方から上方にかけて形成されている。
【0029】
このような構成において、開口部3の内側には、開口部3よりもやや大きい形状のドア4が取付けられている。このドア4は透明の合成樹脂板等によって形成され、カプセル本体2の周部の形状と同様に湾曲している。また、ドア4は、カプセル本体2に設けた開口部3の上辺と下辺の内側に沿って取り付けられたガイドレール(不図示)に沿ってスライドすることが可能であり、このドア4で開口部3を開閉することが可能である。
【0030】
ドア4の外部にはハンドル5が取り付けられ、ハンドル5を握ってドア4を開閉することが可能である。また、開口部3の周部には伸縮性を有するクッション6が固定され、ドア4を閉じた状態でカプセル1の内部に酸素含有空気を送り込んだとき、カプセル1内に充満する空気の内圧によってドア4が開口部3の側に押されると、ドア4の外面がクッション6に密着し、カプセル1の内部を気密状にすることが可能となる。
【0031】
さらに、カプセル1の開口部3の上方と下方には、開口部3に沿って水平状に長尺の補強部材7a、7bが固定されている。これらの上部の補強部材7aと下部の補強部材7bはカプセル1の全長を有するものではなく、開口部3の横幅よりもやや長い形状を有し、開口部3の左右に沿って上下の補強部材7a、7bに支持された手すり8a、8bを取り付けることが可能とされている。
【0032】
開口部3の左右に設けられた手すり8a、8bは金属製パイプによって形成され、それぞれの上端と下端が固定金具9によってボルトとナットで上下の補強部材7a、7bに固定されている。この手すり8a、8bは、上部の補強部材7aにカプセル1の外周から等間隔をなす湾曲状に形成されているが、
図4(a)(b)に示すように、開口部3の下方に水平状に取り付けた補強部材7bの両端付近から立ち上がった立上り部8cは直線の垂直状に形成されている。
【0033】
このような構成により、カプセル1の側部に手すり8a、8bの湾曲形状が突出することがなく、カプセル1の片側部に相当する径方向の幅を縮小することが可能となる。従って、その分のカプセル1内の径方向の幅を拡大することが可能となり、窮屈になりがちなカプセル1の内部空間にも余裕ができ、使用者は楽に横に寝た状態を保つことが可能となる。さらに、カプセル1の内部に横に寝た使用者は、緊急時においても、
図5(a)に示すカプセル1の内部に設けた操作パネル12や排気弁16の手作業による操作を容易に行うことが可能となる。
【0034】
また、
図4(a)(b)に示すように、下方の補強部材7bから立ち上がった手すり8a、8bの立上り部8cを直線の垂直状に形成した構成により、カプセル1の側部に手すり8a、8bの湾曲形状が突出することがないため、カプセル1の片側に相当する径方向の幅を縮小することができ、その分のカプセル1の内部における径方向の幅を拡大することが可能となる。
【0035】
上記の構成により、カプセル1の外部にいる使用者は、ハンドル5を握ってドア4を横方向に開くことにより開口部3が開放され、開口部3の手すり8a、8bを握って安全且つ容易に開口部3からカプセル1の内部へ入ることができる。このとき、使用者が握る手すり8a、8bは、カプセル1の周部に沿って均等に間隔をあけて湾曲状に形成されているため、使用者はカプセル1の内部に入るまで、湾曲状の手すり8a、8bを握りながら安全にカプセル1内に入ることが可能となる。
【0036】
なお、
図5(a)に示すように、カプセル1の底部には、カプセル本体2の側部に平行に固定された支持材11bに支持されてなる床材11が取り付けられているため、
図1(b)において、カプセル1の内部に入った使用者は開口部3から身体を上方に出したまま床材11の上面に立つことができ、次いでその姿勢から床材11の面上に身体を横たえる動きを安全に行うことができる。
【0037】
また、
図5(a)に示すように、カプセル1の内部において、開口部3の側の端部の床材11の上面には枕11aが設けられ、使用者は枕11aに頭を乗せた姿勢で横に寝た姿勢を保つことができる。
【0038】
一方、本実施例において、
図5(a)に示すように、カプセル1の内部に設けた空気圧センサ(不図示)を備える操作パネル12と、カプセル1の外部に設けた操作パネル13とを接続し、カプセル1内にて空気圧センサで測定した空気圧に基づいて内部と外部の操作パネル12、13の両方からカプセル1内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動等を操作することが可能となる。
【0039】
なお、外部の操作パネル13はカプセル本体2の上面に取り付けた金具枠13bに回動自在に取付け、操作パネル13の表示面を自由な角度に調整可能としている。
【0040】
また、カプセル1の内部と外部の操作パネル12、13には、カプセル1の外部に設けた不図示のコンプレッサに接続され、これらの操作パネル12、13にはコンプレッサの起動ボタンや停止ボタンのほかに、上記の空気圧センサによって測定された空気圧をデジタルで表示するデジタル表示や、圧力設定や作動時間設定を行うボタンが設けられている。さらに、これらの内部と外部の操作パネル12、13とには、互いに通話が可能なインターホン12a、13aが設けられ、緊急時等の必要な際にカプセル1の外部と内部とで通話することも可能である。
【0041】
なお、
図3(b)、
図4(a)(b)に示すように、カプセル本体2は、下部の四方にアングル等で形成した脚部14を固定した安定状態で支持してある。ただし、
図5(b)に示すように、不図示のコンプレッサを別置きのケース15に収容して、このケース15の上部に操作パネル15aを設けるようにしてもよい。また、
図6に示すように、カプセル本体2を箱体の支持台10の上部に載置して固定し、支持台10の内部にコンプレッサを設けるようにしても良い。
【0042】
このような構成によって、使用者以外のオペレータ等の第三者が、カプセル1の外部に設けた操作パネル13を操作することによって、安全にカプセル1内の空気圧の調整と空気供給の停止又は起動等の操作をすることが可能となる。
【0043】
また、カプセル1の内部で横に寝た状態の使用者は、カプセル1の外部にオペレータ等の第三者等が不在であったり、空気圧の異常や体調不良等の緊急の場合に、カプセル1の内部の操作パネル12を操作することによって、カプセル1内の空気圧の調整や空気供給の停止又は起動等の操作をすることが可能となり、カプセル1内の安全性を確保することが可能となる。
【0044】
また、
図5(a)に示すように、本発明の高気圧酸素カプセル1において、排気弁16をカプセル1の周面であってカプセル1の内部に入った使用者が横に寝た状態で手の届く範囲、即ちカプセル1の周面であって横に寝た使用者の頭部付近に設けた構成としている。
【0045】
この排気弁16は、
図7(c)(d)に示すように、カプセル本体2に形成した穿孔部2aに弁本体19を固定し、この弁本体19に排気弁16を取り付けた構成としている。この構成を詳細に述べると、
図7(a)(b)に示すように、排気弁16は外側軸部18と内側軸部17との間にフランジ状の弁体20を介して形成され、外側軸部18は円柱形の両側を軸に沿って削り落としたような幅広部18aと幅狭部18bとを備えた形状としている。
【0046】
また、弁本体19は、
図7(c)(d)に示すように、外側弁本体21と内側弁本体22とから構成されている。外側弁本体21はカプセル本体2の穿孔部2aの周辺に取り付けた0リング23でシールされ、この外側弁本体21には中心孔21aが形成されている。さらに、中心孔21aの内側に環状突出部25に囲まれた内腔部26を有し、中心孔21aと内腔部26との境界には弁座27が形成され、弁座27には0リング28が設けられている。
【0047】
また、内側弁本体22は、環状突出部25を包囲した状態でボルト22bで固定することができる。さらに、内側弁本体22に形成された通気孔24により、カプセル本体2の内部は通気孔24と内腔部26と中心孔21aを経てカプセル本体2の外部とを連通状態にすることが可能である。
【0048】
このような構成を組み立てるには、外側弁本体21の中心孔21aに排気弁16の外側軸部18を挿入すると共に、排気弁16の内側軸部17の外周にスプリング30を挿着した状態で、内側軸部17を内側弁本体22の中心孔22aに摺動自在に挿入し、外側弁本体21の環状突出部25に内側弁本体22をボルト22bで固定する。さらに、排気弁16の外側軸部18と内側軸部17との両端部にノブ32a、32bをネジ31で固定する。
【0049】
上記の構成により、
図7(c)に示すように、スプリング30の付勢力によって排気弁16の弁体20は弁座27の0リング28に密着して外側弁本体21の中心孔21aを気密状に閉塞する。なお、排気弁16の弁体20は環状突出部25の内径よりも小径に形成されているため、弁体20の外周は環状突出部25の内周に対して隙間C(
図7(d)参照)を有することになる。
【0050】
また、排気弁16をカプセル1の内部に入った使用者が横に寝た状態で手を伸ばし、排気弁16のノブ32bを引くことによって、
図7(d)に示すように、弁体20は弁座27から離脱するため、カプセル1内の空気圧は通気孔24と弁体20の外周の隙間Cと中心孔21aを経て外部に放出されることで大気圧と均等になる。なお、カプセル1の外部にいるオペレータ等の第三者が緊急時等に外側のノブ32aを押すことにより、上記と同様の作用によってカプセル1内の空気圧を大気圧と同様にすることが可能となる。