(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スクリュ圧縮機には、定格状態と呼ばれるスクリュ圧縮機本体における設計点が設定されている。定格状態とは、モータを定格駆動した状態に対応し、即ちスクリュ圧縮機本体が仕様圧力にて規定風量を出力する状態である。この定格状態に達していない状態で多くの給油を行うと、過剰量の油を撹拌することになり、動力ロスが発生することがある。
【0006】
特許文献1の給油式スクリュ圧縮機は、上記のように負荷に応じて給油量を制御しているが、定格状態との関連については何ら検討されておらず、定格状態に達していない状態で追加給油用の弁(control valve)を開いて給油量を増やす場合があると考えられる。その場合、上記動力ロスが発生し、給油式スクリュ圧縮機の動力効率が低下する。
【0007】
また、特許文献1では、水分凝縮について特段検討されていない。給油温度が水分凝縮温度よりも低い場合に追加給油用の弁を開いて給油量を増やすと、ロータケーシング内で水分が凝縮し、圧縮過程に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0008】
上記のように、特許文献1の給油式スクリュ圧縮機は、定格状態に達していない状態における追加給油による動力ロスと、圧縮過程に悪影響を与えるおそれのある水分凝縮との2つの観点から改善の余地がある。
【0009】
本発明は、給油式スクリュ圧縮機において、定格状態を考慮した給油によって動力ロスを低減するとともに、水分凝縮を考慮した給油によって水分凝縮を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スクリュロータ、前記スクリュロータを駆動する電動機、前記スクリュロータを収容するロータケーシング、前記ロータケーシングに設けられた本体給油口、および前記ロータケーシングに設けられた追加給油口を有する圧縮機本体と、油を貯留するオイルタンクと、前記オイルタンクから前記追加給油口に油を送る給油ラインと、前記給油ライン内の油の流れを許容または遮断する追加給油弁と、前記オイルタンク内の油温を測定するための油温センサと、前記油温センサで測定した油温が所定の第1の油温より低くなったときに、前記追加給油弁を閉じる油温閉弁制御部を有する制御装置とを備え、前記第1の油温は、前記圧縮機本体が定格状態のときの油温よりも高く、前記ロータケーシング内の水分凝縮温度よりも高い温度である、給油式スクリュ圧縮機を提供する。
【0011】
この構成によれば、油温センサによってオイルタンク内の油温を測定し、油温閉弁制御部によって、当該油温が第1の油温より低いか否かを判定する。仮に、オイルタンク内の油温が第1の油温以上である場合、圧縮機本体は定格状態に達している。定格状態に達している状態で追加給油しても油の過剰供給とはなり難いため、追加給油による動力ロスを低減できる。換言すれば、定格状態に達していない状態で追加給油すると、油の過剰供給となるおそれがあり、追加給油による動力ロスが増大する。また、オイルタンク内の油温が第1の油温よりも高い場合、水分凝縮温度よりも高い温度で給油することになる。そのため、追加給油による水分凝縮を抑制でき、圧縮過程への悪影響を抑制できる。そこで、油温閉弁制御部によって、オイルタンク内の油温が第1の油温より低い場合には追加給油弁を閉じて追加給油口からの追加給油を行わないことで、動力ロスを低減でき、冷やし過ぎを抑制して水分凝縮を抑制できる。
【0012】
前記給油式スクリュ圧縮機は、外気の温度を測定するための気温センサをさらに備え、前記制御装置は、前記気温センサで測定した気温が所定の気温より低くなったときに、前記追加給油弁を閉じる気温閉弁制御部をさらに有してもよい。
【0013】
この構成によれば、気温センサによって外気の温度を測定し、気温閉弁制御部によって、当該気温が所定の気温より低いか否かを判定する。ここで、所定の気温とは、ロータケーシング内の冷却の必要性に基づいて設定される。具体的には、当該所定の気温未満では給油によってロータケーシング内を積極的に冷却しなくてもよい温度としてこの所定の気温を設定できる。気温閉弁制御部によって、当該気温が所定の気温より低く、冷却の必要性が乏しい場合には、追加給油弁を閉じて追加給油口からの追加給油を行わないことで、過剰な給油を抑制でき、動力ロスを低減できる。
【0014】
前記給油式スクリュ圧縮機は、外気の温度を測定するための気温センサをさらに備え、前記制御装置は、前記気温センサで測定した気温が所定の気温より低くなったときに、前記追加給油弁を閉じる気温閉弁制御部をさらに有し、前記油温閉弁制御部と前記気温閉弁制御部の両方が前記追加給油弁を閉じる条件を満たしたときに、前記追加給油弁を閉じるように構成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、追加給油弁におけるハンチング現象を防止できる。具体的には、外気の温度が高いとき、低負荷状態でも油温が高くなり易い。そのため、オイルタンク内の油温が第1の油温より低い場合に追加給油弁を閉じたとしても、その後すぐに追加給油弁を開く条件が成立するおそれがある。これに対し、油温閉弁制御部と気温閉弁制御部の両方が追加給油弁を閉じる条件を満たしたときに追加給油弁を閉じることで、追加給油弁が閉状態である時間を一定以上確保できる。
【0016】
前記給油式スクリュ圧縮機は、前記電動機の回転数を変更するためのインバータと、前記電動機の回転数を測定する回転数センサと、前記ロータケーシングに設けられ、油を含む圧縮ガスを吐出するための吐出口と、前記吐出口から前記オイルタンクに油を送る排油ラインとをさらに備え、前記制御装置は、前記回転数センサで測定した回転数が所定の回転数未満であるとき、前記追加給油弁を開いた状態に維持する回転数開弁制御部をさらに有してもよい。
【0017】
この構成によれば、インバータによって電動機の回転数を広範囲に調整でき、回転数センサによって当該回転数を測定できる。給油ラインはオイルタンクと追加給油口とを流体的に接続し、排油ラインは吐出口とオイルタンクとを流体的に接続している。即ち、上記構成では、圧縮機本体とオイルタンクとの間で油が循環する構成となっている。特に給油ラインでは、オイルタンク内の圧力と、追加給油口との圧力との差圧を利用して、油を流動させることで給油できる。電動機の回転数を下げて吐出口からの吐出圧が低下すると、オイルタンク内の圧力が低下するため、回転数が下がりすぎると上記差圧を十分に確保できず十分に給油できないおそれがある。十分に給油されていないおそれのある状態でさらに追加給油弁を閉じ、追加給油口からの追加給油を行わないこととすると、油が不足し、圧縮に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、回転数閉弁制御部によって、電動機の回転数が吐出圧を十分に確保できない所定の回転数未満では、追加給油弁を開いた状態に維持し、追加給油口からの追加給油を継続することでロータケーシング内の油不足を防止することができる。
【0018】
前記給油式スクリュ圧縮機は、前記オイルタンク内の圧力を測定するための圧力センサをさらに備え、前記制御装置は、前記圧力センサで測定した圧力が所定の圧力以下であるとき、前記追加給油弁を開いた状態に維持する圧力開弁制御部をさらに有してもよい。
【0019】
この構成によれば、圧力センサによってオイルタンク内の圧力を測定し、圧力閉弁制御部によって、当該圧力が所定の圧力以下であるか否かを判定する。ここで、所定の圧力は、前述の差圧を利用した給油を安定して行うことができる最低の圧力である。オイルタンク内の圧力がこの圧力未満であるとき、前述のように十分な給油量を確保できないおそれがある。十分な給油量を確保できないおそれのある状態でさらに追加給油弁を閉じ、追加給油を行わないこととすると、油が不足し、圧縮に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、圧力閉弁制御部によって、追加給油弁を開いた状態に維持し、追加給油口からの追加給油を継続することでロータケーシング内の油不足を防止している。
【0020】
前記制御装置は、前記油温センサで測定した油温が第2の油温よりも高くなったときに、前記追加給油弁を開く油温開弁制御部をさらに有し、前記第2の油温は、前記第1の油温よりも高く、前記油が劣化する温度であってもよい。
【0021】
この構成によれば、油温センサによってオイルタンク内の油温を測定し、油温開弁制御部によって、当該油温が第2の油温より低いか否かを判定する。仮に、当該油温が第2の油温以上である場合、油が劣化するおそれがある。そこで、油温開弁制御部によって、オイルタンク内の油温が第2の油温より高い場合には追加給油弁を開いて追加給油口からの追加給油を行い、油を流動させ、油の温度を低下させる。これにより、油の劣化を抑制できる。
【0022】
前記スクリュロータが、雄ロータと雄ロータよりも歯数の多い雌ロータとからなり、前記ロータケーシングが、前記雄ロータを収容する雄ロータ室と、前記雌ロータを収容する雌ロータ室とを備え、前記本体給油口が前記雌ロータ室の圧縮空間に開口しており、前記追加給油口が前記本体給油口の開口する位置よりも下流側の前記雄ロータ室または記雌ロータ室の圧縮空間に開口していてもよい。
【0023】
この構成によれば、本体給油口は雌ロータ室の吐出側空間に開口するように設けられているため、主に雌ロータに対して給油することになる。雌ロータは、雄ロータに比べて歯数が多いため回転数が少ない。そのため、主に雄ロータに対して給油する場合と比べて油を撹拌する動力を削減できる。また、追加給油口を本体給油口よりも下流側(吐出口側)に設けているため、本体給油口よりも吸込側に給油する場合と比べて冷却効果に対する撹拌動力を低減できるとともに、特に高圧側(即ち、より吐出口側)で求められるガスの漏出防止(即ち低圧側への圧縮漏れの防止)を実現できる。また、本体給油口と追加給油口の2種類の給油口を設け、制御装置によって追加給油弁を上記のように制御し、追加給油の必要がないときに追加給油を停止することにより、さらに動力ロスを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、給油式スクリュ圧縮機において、圧縮機本体における定格状態を考慮した給油によって動力ロスを低減できるとともに、水分凝縮を考慮した給油によって水分凝縮を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る給油式スクリュ圧縮機1を含む系統図である。給油式スクリュ圧縮機1は、パッケージ2内に配置され、圧縮機本体100を備え、圧縮機本体100にて外部から空気を吸い込み、内部で圧縮し、吐出する。
【0028】
本実施形態の圧縮機本体100は、吸気調整弁110と、圧縮部120と、圧縮部120を駆動するモータ(電動機)130とを備える。特に、本実施形態の圧縮機本体100は、インバータ等の回転数を変更する機器を搭載していない固定出力機である。
【0029】
吸気調整弁110は、圧縮部120の吸込口121aに取り付けられている。吸気調整弁110は、吸込口121aから吸い込む空気量を調整するものである。吸気調整弁110の入口側にはフィルタ110aが設けられている。このフィルタ110aは、塵芥などの不要物を除去する役割を果たす。吸気調整弁110は、一般的なピストンバルブ型であり、公知のものであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
圧縮部120は、圧縮機能を有する部分である。圧縮部120の外装は、ロータケーシング121によって構成されている。ロータケーシング121には、吸込口121aと吐出口121bが設けられている。ロータケーシング121内には、スクリュロータ122が収容されている。詳細を図示しないが、スクリュロータ122は、雄ロータ122aと、雄ロータ122aと噛合し、雄ロータ122aよりも歯数が多い雌ロータ(図示せず)とから構成されている。ロータケーシング121内の空間のうち、雄ロータ122aを収容する部分を雄ロータ室と称し、雌ロータを収容する部分を雌ロータ室と称する。
【0031】
雄ロータ122aの一端からは雄ロータ122aの回転軸となる軸部材123が延びている。軸部材123は、ロータケーシング121を貫通してモータ130まで延びており、モータ130と機械的に接続されている。同様に、雄ロータ122aの他端からも雄ロータ122aの回転軸となる軸部材124が延びている。軸部材124は、ロータケーシング121内で終端している。
【0032】
本実施形態の圧縮機本体100は、スクリュロータ122が水平配置された横置型である。ただし、スクリュロータ122の配置はこれに限定されず、任意の配置を採用し得る。例えば、当該配置は、スクリュロータ122が鉛直配置された縦置型であってもよいし、スクリュロータ122の回転軸が水平面から傾斜して配置された傾斜型であってもよい。
【0033】
また、ロータケーシング121内には、軸受125,126が収容されている。軸受125,126は、軸部材123,124をそれぞれ軸支している。
【0034】
モータ130は、モータケーシング131と、モータケーシング131内に固定された固定子132と、固定子132の内側に配置された回転子133と、回転子133の回転軸となる軸部材134とを備える。軸部材134の延びる方向において回転子133の両側には、軸受135,136が配置されている。軸受135,136は軸部材134を軸支している。軸部材134はモータケーシング131を貫通して圧縮部120に向かって延びている。
【0035】
ロータケーシング121とモータケーシング131との間には、ギアケーシング140が配置されている。ギアケーシング140内には、連結ギア141が収容されている。連結ギア141は、軸部材123と軸部材134とを連結している。これにより、モータ130からの回転動力がスクリュロータ122に伝達される。また、ギアケーシング140内と、モータケーシング131内とは、シール装置142によって流体的に遮断されている。そのため、ギアケーシング140内とモータケーシング131内との間での油の流動が防止されている。
【0036】
以上の構成によって、モータ130が作動すると、軸部材134を介してスクリュロータ122に回転動力が伝達され、スクリュロータ122の回転によって、吸気調整弁110を介して空気を吸気し、吸気した空気を圧縮し、圧縮した空気を吐出口121bから吐出する。吐出された空気は、配管5aを通じて油分離回収器10に送られる。
【0037】
給油式スクリュ圧縮機1は、圧縮機本体100と油分離回収器10とを含む圧縮空気供給系統を備える。圧縮空気供給系統には、油分離回収器10に加えて、保圧逆止弁21と、ガスクーラ22と、ドライヤ23とが設けられている。
【0038】
油分離回収器10は配管5bを通じて保圧逆止弁21と接続されており、詳細を後述するが、油分離回収器10にて油を分離された圧縮空気は配管5bを通じて保圧逆止弁21に送られる。
【0039】
保圧逆止弁21は、後述するオイルタンク12内の圧力を一定の値に保つ機能を有している。保圧逆止弁21は配管5cを通じてガスクーラ22と接続されており、保圧逆止弁21に圧力調整された圧縮空気は配管5cを通じてガスクーラ22に送られる。配管5bには、安全弁としての圧力解放バルブ24とサイレンサ25が取り付けられており、保圧逆止弁21の上流にて、圧力解放バルブ24とサイレンサ25によって圧力解放と静音化が可能である。
【0040】
ガスクーラ22は、空冷熱交換器である。ここでは、周囲空気から冷熱を得ることによって配管5cから流入した空気が冷却される。ただし、ガスクーラ22の態様はこのような空冷熱交換器に限らず、任意の態様であり得る。ガスクーラ22は配管5dを通じてドライヤ23と接続されており、ドライヤ23で冷却された圧縮空気は配管5eを通じて供給先に送られる。
【0041】
また、給油式スクリュ圧縮機1では、圧縮部120での圧縮に際し、スクリュロータ122の潤滑、圧縮空気の冷却、圧縮に伴うシール性等の観点からロータケーシング121内に油が供給される。給油のために、ロータケーシング121には、本体給油口121cと追加給油口121dが設けられている。詳細には、本体給油口121cは、雌ロータ室の吐出側空間に開口するように設けられている。追加給油口121dは、本体給油口121cの開口する位置よりも下流側の雌ロータ室の圧縮空間に開口するように設けられている。ただし、追加給油口121dは、本体給油口121cの開口する位置よりも下流側の雄ロータ室の圧縮空間に開口するように設けられていてもよい。本体給油口121cと追加給油口121dを通じて給油された油は、圧縮空気とともに吐出口121bから吐出され、配管(排油ライン)5aを通じて油分離回収器10に送られる。
【0042】
給油式スクリュ圧縮機1は、圧縮機本体100と油分離回収器10とを含む油循環系統を備える。油循環系統には、油分離回収器10に加えて、オイルクーラ31と、オイルフィルタ32と、三方弁33と、追加給油弁34とが設けられている。
【0043】
油分離回収器10は、セパレータ11と、オイルタンク12と、遠心分離部13とを備える。セパレータ11は、遠心分離部13で油分を一次分離した圧縮空気から油分を二次分離するものである。遠心分離部13で分離された油は、オイルタンク12に溜められる。オイルタンク12には油温センサ41が取り付けられており、油温センサ41によってオイルタンク12の内の油温を測定できる。また、給油式スクリュ圧縮機1は、パッケージ2内に吸気された外気の温度(以下、気温と言う。)を測定する気温センサ42も備える。オイルタンク12は、配管6aを通じてオイルクーラ31と接続されており、オイルタンク12に溜められた油は配管6aを通じてオイルクーラ31に送られる。
【0044】
オイルクーラ31は、空冷熱交換器である。ここでは、空気から冷熱を得ることによって油が冷却される。ただし、オイルクーラ31の態様はこのような空冷熱交換器に限らず、任意の態様であり得る。オイルクーラ31は配管6bを通じてオイルフィルタ32と接続されており、オイルクーラ31で冷却された油は配管6bを通じてオイルフィルタ32に送られる。
【0045】
また、配管6a,6bには三方弁33が取り付けられており、配管6aと配管6bは三方弁33を介して接続されている。そのため、オイルタンク12に溜められた油は三方弁33によってオイルクーラ31をバイパスしてオイルフィルタ32に送られ得る。
【0046】
オイルフィルタ32は、油から塵芥などの不要物をろ過するフィルタである。オイルフィルタ32は、本体給油口121cと、追加給油口121dとに配管6c,6dを通じてそれぞれ接続されており、オイルフィルタ32で不要物を除去した油は配管6c,6dを通じてロータケーシング121内に送られる。特に、オイルフィルタ32と追加給油口121dとを接続する配管6dには電磁弁である追加給油弁34が介設されている。配管6a〜6d(給油ライン)内では、オイルタンク12の内圧と、給油口121c,121dの圧力との差圧によって、オイルタンク12から給油口121c,121dに向かって油が流動する。そのため、追加給油弁34を開閉することによって追加給油口121dからロータケーシング121内への給油を許容または遮断できる。なお、圧縮機本体100が定格状態のとき、本体給油口121cからの給油は常時行われている。
【0047】
また、給油式スクリュ圧縮機1は、制御装置50を備える。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)のような記憶装置を含むハードウェアと、それに実装されたソフトウェアにより構築されている。
【0048】
制御装置50は、給油式スクリュ圧縮機1の各構成要素を制御するが、特に油温センサ41からの油温と、気温センサ42からの気温とに関する信号を受信し、これらの信号に基づいて追加給油弁34の開閉を制御する。
【0049】
図2に示すように、制御装置50は上記油温に基づいて追加給油弁34を閉じる油温閉弁制御部51と、上記油温に基づいて追加給油弁34を開く油温開弁制御部52と、上記気温に基づいて追加給油弁34を閉じる気温閉弁制御部53と、上記気温に基づいて追加給油弁34を開く気温開弁制御部54とを備える。
【0050】
図3は、追加給油弁34の開閉状態と油温センサ41で測定した油温Toとの関係を示すグラフである。
【0051】
追加給油弁34が開かれている状況では、油温閉弁制御部51は、油温センサ41で測定した油温Toが第1の油温To1より低いか否かを判定し、油温Toが第1の油温To1より低いとき、追加給油弁34を閉じようとする。ここで、第1の油温To1は、圧縮機本体100が定格状態のときの油温(定格油温ToR)よりも高く、ロータケーシング121内の水分が凝縮する温度(水分凝縮温度ToW)よりも高い温度である。例えば、定格油温ToRが95℃であり、水分凝縮温度ToWが90℃のとき、第1の油温To1を100℃に設定してもよい。好ましくは、第1の油温To1は、定格油温ToRと水分凝縮温度ToWのいずれか高い方の温度からプラス5℃以内である。
【0052】
追加給油弁34が閉じられている状況では、油温開弁制御部52は、油温センサ41で測定した油温Toが第2の油温To2以上であるか否かを判定し、油温Toが第2の油温To2より高くなったとき、追加給油弁34を開こうとする。ここで、第2の油温To2は、第1の油温To1よりも高く、油が劣化しない温度である。この温度は、油の種類応じて変わり得るが、例えば、第2の油温To2を油の耐熱温度以下に設定すればよく、好ましくは油の耐熱温度からマイナス10℃以上低く設定してもよい。
【0053】
図4は、追加給油弁34の開閉状態と気温センサ42で測定した気温Taとの関係を示すグラフである。
【0054】
追加給油弁34が開かれている状況では、気温閉弁制御部53は、気温センサ42で測定した気温Taが第1の気温(所定の気温)Ta1より低いか否かを判定し、気温Taが第1の気温Ta1以下(Ta≦Ta1)であるとき、追加給油弁34を閉じようとする。ここで、第1の気温Ta1は、ロータケーシング121内の冷却の必要性に基づいて設定される。具体的には、気温Taが第1の気温Ta1以下では追加給油によってロータケーシング121内を積極的に冷却しなくてもよい場合、その気温Taに相当する温度として第1の気温Ta1を設定できる。例えば、第1の気温Ta1を35℃に設定してもよい。
【0055】
追加給油弁34が閉じられている状況では、気温開弁制御部54は、気温センサ42で測定した気温Taが第2の気温Ta2以上であるか否かを判定し、気温Taが第2の気温Ta2以上であるとき、追加給油弁34を開こうとする。ここで、第2の気温Taもまた、ロータケーシング121内の冷却の必要性に基づいて設定される。具体的には、気温Taが第2の気温Ta2以上では追加給油によってロータケーシング121内を積極的に冷却する必要がある場合、その気温Taに相当する温度として第2の気温Ta2を設定できる。例えば、第2の気温Ta2を40℃に設定してもよい。
【0056】
本実施形態では、油温閉弁制御部51と気温閉弁制御部53がともに追加給油弁34を閉じようとしたときに、追加給油弁34は閉じられる。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第1の油温To1未満であり、かつ、気温センサ42で測定した気温Taが第1の気温Ta1以下であるとき、追加給油弁34は閉じられる。
【0057】
また、油温開弁制御部52または気温開弁制御部54が追加給油弁34を開こうとしたときに、追加給油弁34は開かれる。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第1の油温To2以上であるか、または、気温センサ42で測定した気温Taが第2の気温Ta2以上であるとき、追加給油弁34は開かれる。
【0058】
図5は、給油式スクリュ圧縮機1の制御方法を示すフローチャートである。
【0059】
給油式スクリュ圧縮機1が運転を開始すると(ステップS5−1)、まず追加給油弁34を開く(ステップS5−2)。その状態で30秒間の起動時の追加給油時間を確保する(ステップS5−3)。なお、運転開始直後は給油のための差圧が低いため給油不足になりやすいが、運転開始から所定時間の給油量を増やすことで給油不足を解消することができる。次いで、追加給油弁34を閉じるか否かを判定する(ステップS5−4)。追加給油弁34を閉じる条件が満たされない場合、追加給油弁34を閉じるか否かを判定し続ける(ステップS5−4)。追加給油弁34を閉じる条件が満たされた場合、開状態の追加給油弁34を閉じる(ステップS5−5)。追加給油弁34が閉じられた状態では、追加給油弁34を開くか否かを判定する(ステップS5−6)。追加給油弁34を開く条件が満たされない場合、追加給油弁34を開くか否かを判定し続ける(ステップS5−6)。追加給油弁34を開く条件が満たされた場合、閉状態の追加給油弁34を開く(ステップS5−7)。そして、ハンチング現象を防止するために180秒間待機し(ステップS5−8)、再びステップS5−4に戻り、追加給油弁34を閉じるか否かを判定する。
【0060】
追加給油弁34の閉条件(ステップS5−4)は、前述の通りである。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第1の油温To1未満であり、かつ、気温センサ42で測定した気温Taが第1の気温Ta1以下であるとき、開状態の追加給油弁34は閉じられる。
【0061】
追加給油弁34の開条件(ステップS5−6)も、前述の通りである。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第1の油温To2以上であり、または、気温センサ42で測定した気温Taが第2の気温Ta2以上であるとき、追加給油弁34は開かれる。
【0062】
本実施形態の給油式スクリュ圧縮機1によれば、次のような利点がある。
【0063】
(1)油温センサ41によってオイルタンク12内の油温Toを測定し、油温閉弁制御部51によって、油温Toが第1の油温To1より低いか否かを判定する。仮に、オイルタンク12内の油温Toが第1の油温To1以上である場合、圧縮機本体100は定格状態に達している。定格状態に達している状態で追加給油しても油の過剰供給とはなり難いため、追加給油による動力ロスを低減できる。換言すれば、定格状態に達していない状態で追加給油すると、油の過剰供給となるおそれがあり、追加給油による動力ロスが増大する。また、オイルタンク12内の油温Toが第1の油温To1よりも高い場合、水分凝縮温度ToWよりも高い温度で給油することになり、油温Toは水分凝縮温度ToWよりも高い温度を維持することができる。そのため、追加給油による水分凝縮を抑制でき、圧縮過程への悪影響を抑制できる。そこで、油温閉弁制御部51によって、オイルタンク12内の油温Toが第1の油温To1より低い場合には追加給油弁34を閉じて追加給油口121dからの追加給油を行わないことで、動力ロスを低減でき、冷やし過ぎを抑制して水分凝縮を抑制できる。
【0064】
(2)気温センサ42によって気温Taを測定し、気温閉弁制御部53によって、気温Taが第1の気温Ta1より低いか否かを判定する。気温閉弁制御部53によって、気温Taが第1の気温Ta1以下(Ta≦Ta1)であり、冷却の必要性が乏しい場合には、追加給油弁34を閉じて追加給油口121dからの追加給油を行わないことで、過剰な給油を抑制でき、動力ロスを低減できる。さらに、本実施形態の構成によって追加給油弁34におけるハンチング現象を防止できる。具体的には、気温Taが高いとき、低負荷状態でも油温Toが高くなり易い。そのため、オイルタンク12内の油温Toが第1の油温To1より低い場合に追加給油弁34を閉じたとしても、その後すぐに追加給油弁34を開く条件が成立するおそれがある。これに対し、油温閉弁制御部51と気温閉弁制御部53の両方が追加給油弁34を閉じる条件を満たしたときに、追加給油弁34を閉じることで、追加給油弁34が閉状態である時間を一定以上確保できる。また、気温開弁制御部54によって、気温Taが第2の気温Ta2以上であるか否かを判定する。気温閉弁制御部53によって、気温Taが第2の気温Ta2以上であり、冷却の必要がある場合には、追加給油弁34を開いて追加給油口121dからの追加給油を行うことで、適時に冷却できる。
【0065】
(3)油温センサ41によってオイルタンク12内の油温Toを測定し、油温開弁制御部52によって、油温Toが第2の油温To2より低いか否かを判定する。仮に、油温To2が第2の油温To2以上である場合、油が劣化するおそれがある。そこで、油温開弁制御部52によって、オイルタンク12内の油温Toが第2の油温To2より高い場合には追加給油弁34を開いて追加給油口121dからの追加給油を行い、油を流動させ、油の温度を低下させる。これにより、油の劣化を抑制できる。
【0066】
(4)本体給油口121cは雌ロータ室の吐出側空間に開口するように設けられているため、主に雌ロータに対して給油することになる。雌ロータは、雄ロータ122aに比べて歯数が多いため回転数が少ない。そのため、主に雄ロータ122aに対して給油する場合と比べて油を撹拌する動力を削減できる。また、追加給油口121dを本体給油口121cよりも下流側(吐出口側)に設けているため、本体給油口121cよりも吸込側に給油する場合と比べて冷却効果に対する撹拌動力を低減できるとともに、特に高圧側(即ち、より吐出口側)で求められる空気の漏出防止(即ち低圧側への圧縮漏れの防止)を実現できる。また、本体給油口121cと追加給油口121dの2種類の給油口を設け、制御装置50によって追加給油弁34を上記のように制御し、追加給油の必要がないときに追加給油を停止することにより、さらに動力ロスを抑制できる。
【0067】
(第2実施形態)
図6に示す本実施形態の給油式スクリュ圧縮機1は、可変出力機である。これに関する構成以外は、
図1の第1実施形態の給油式スクリュ圧縮機1の構成と実質的に同じである。従って、
図1に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、モータ130にインバータ137が取り付けられている。インバータ137によってモータ130の回転速度を変更可能であるため、圧縮空気の吐出量を変更できる。これに伴い、モータ130の回転数を測定するための回転数センサ43がモータに取り付けられている。また、圧縮空気の吐出量または消費量の変化に伴い、オイルタンク12の内圧も変化し得るため、オイルタンク12の内圧を測定するための圧力センサ44がオイルタンク12に取り付けられている。
【0069】
図7に示すように、制御装置50は、第1実施形態と同じ各制御部51〜54に加えて、回転数閉弁制御部55と、圧力閉弁制御部56とを備える。
【0070】
追加給油弁34が開かれている状況では、回転数閉弁制御部55は、回転数センサ43で測定した回転数Nが所定の回転数N1未満であるか否かを判定し、回転数Nが所定の回転数N1未満であるとき、追加給油弁34を開いた状態に維持する。換言すれば、回転数閉弁制御部55は、回転数Nが所定の回転数N1以上であるとき、開状態の追加給油弁34を閉じようとする。ここで、所定の回転数N1は、追加給油弁34を開いた状態に維持しなければ油不足となるおそれのある最高の回転数である。具体的には、本実施形態では前述のようにオイルタンク12と追加給油口121dとの差圧を利用して追加給油を行うが、所定の回転数N1は、この差圧を十分に確保できる程度の回転数であることがあることが必要である。例えば、所定の回転数N1をモータ130の定格状態の回転数の60%に設定してもよい。
【0071】
また、追加給油弁34が開かれている状況では、圧力閉弁制御部56は、圧力センサ44で測定した圧力Pが所定の値を超えるもの(P1<P)であるか否かを判定し、圧力Pが所定の値以下(P≦P1)であるとき、追加給油弁34を開いた状態に維持する。換言すれば、圧力閉弁制御部56は、圧力Pが所定の値を超えるもの(P1<P)であるとき、追加給油弁34を閉じようとする。ここで、所定の値P1は、前述の差圧を利用した給油を安定して行うことができる最低の圧力である。
【0072】
本実施形態では、油温閉弁制御部51と、気温閉弁制御部53と、回転数閉弁制御部55と、圧力閉弁制御部56との全てが追加給油弁34を閉じようとしたときに、開状態の追加給油弁34は閉じられる。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第1の油温To1未満であり、気温センサ42で測定した気温Taが第1の気温Ta1以下であり、回転数センサ43で測定した回転数Nが所定の回転数N1以上であり、かつ、圧力センサ44で測定した圧力Pが所定の圧力以上P1であるとき、追加給油弁34は閉じられる。
【0073】
また、油温開弁制御部52または気温開弁制御部54が追加給油弁34を開こうとしたときに、追加給油弁34は開かれる。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第2の油温To2以上であり、または、気温センサ42で測定した気温Taが第2の気温Ta2以上であるとき、追加給油弁34は開かれる。
【0074】
なお、第1実施形態で例示した各値To1,To2,Ta1,Ta2の定性的な意味合いは同じであるが、固定出力機と可変出力機の構造上の違いから、各数値To1,To2,Ta1,Ta2は第1実施形態と同じでなくてもよい。本実施形態では、例えば、第1の油温To1を95℃に設定し、第2の油温を110℃に設定し、第1の気温Ta1を35℃に設定し、第2の気温Ta2を40℃に設定してもよい。
【0075】
図8は、給油式スクリュ圧縮機1の制御方法を示すフローチャートである。
【0076】
給油式スクリュ圧縮機1が運転を開始すると(ステップS8−1)、まず追加給油弁34を開く(ステップS8−2)。その状態で30秒間の追加給油時間を確保する(ステップS8−3)。なお、運転開始直後は給油のための差圧が低いため給油不足になりやすいが、運転開始から所定時間の給油量を増やすことで給油不足を解消することができる。次いで、追加給油弁34を閉じるか否かを判定する(ステップS8−4)。追加給油弁34を閉じる条件が満たされない場合、追加給油弁34を閉じるか否かを判定し続ける(ステップS8−4)。追加給油弁34を閉じる条件が満たされた場合、開状態の追加給油弁34を閉じる(ステップS8−5)。追加給油弁34が閉じられた状態では、追加給油弁34を開くか否かを判定する(ステップS8−6)。追加給油弁34を開く条件が満たされない場合、追加給油弁34を開くか否かを判定し続ける(ステップS8−6)。追加給油弁34を開く条件が満たされた場合、閉状態の追加給油弁34を開く(ステップS8−7)。そして、ハンチング現象を防止するために180秒間待機し(ステップS8−8)、再びステップS8−4に戻り、追加給油弁34を閉じるか否かを判定する。
【0077】
上記追加給油弁34の閉条件(ステップS8−4)は、前述の通りである。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第1の油温To1未満であり、気温センサ42で測定した気温Taが第1の気温Ta1未満であり、回転数センサ43で測定した回転数Nが所定の回転数N1以上であり、かつ、圧力センサ44で測定した圧力Pが所定の圧力P1以上であるとき、開状態の追加給油弁34は閉じられる。
【0078】
上記追加給油弁34の開条件(ステップS5−6)は、前述の通りである。即ち、油温センサ41で測定した油温Toが第2の油温To2以上であり、または、気温センサ42で測定した気温Taが第2の気温Ta2以上であるとき、追加給油弁34は開かれる。
【0079】
本実施形態の給油式スクリュ圧縮機1によれば、第1実施形態に利点に加えて次のような利点がある。
【0080】
(1)インバータ137によってモータ130の回転数Nを広範囲に調整でき、回転数センサ43によって回転数Nを測定できる。配管6a〜6dはオイルタンク12と本体給油口121cおよび追加給油口121dとを流体的に接続し、配管5aは吐出口121bとオイルタンク12とを流体的に接続している。即ち、上記構成では、圧縮機本体100とオイルタンク12との間で油が循環する構成となっている。特に配管6a〜6dでは、オイルタンク12内の圧力と、追加給油口121dとの圧力との差圧を利用して、油を流動させることで給油できる。通常、圧縮機本体100は吐出圧(オイルタンク12内の圧力)を一定に保つようにモータ130の回転数Nが制御されている。しかし、モータ130の回転数が低下し過ぎると、圧縮部120での圧縮漏れが増加することにより吸込み側の圧力が上昇する。これに伴い吐出圧が一定の場合であっても追加給油口121dの圧力が上昇することがある。そのため、追加給油口121dの圧力とオイルタンク12内の圧力との差圧を十分に確保できず十分に給油できないおそれがある。十分に給油されていないおそれのある状態でさらに追加給油弁34を閉じ、追加給油口121dからの追加給油を行わないこととすると、油が不足し、圧縮に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、回転数閉弁制御部55によって、モータ130の回転数Nがオイルタンク12内の圧力を十分に確保できない所定の回転数N1未満では、追加給油弁34を開いた状態に維持し、追加給油口121dからの追加給油を継続することでロータケーシング内の油不足を防止している。
【0081】
(2)圧力センサ44によってオイルタンク12内の圧力Pを測定し、圧力閉弁制御部56によって、圧力Pが所定値P1を超えるもの(P1<P)であるか否かを判定する。オイルタンク12内の圧力Pがこの所定値P1以下であるとき、前述のように十分な給油量を確保できないおそれがある。十分な給油量を確保できないおそれのある状態でさらに追加給油弁34を閉じ、追加給油を行わないこととすると、油が不足し、圧縮に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、圧力閉弁制御部56によって、追加給油弁34を開いた状態に維持し、追加給油口121dからの追加給油を継続することでロータケーシング121内の油不足を防止している。
【0082】
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、各制御部51〜56が単独で追加給油弁34を開閉させるようにしてもよい。また、圧力閉弁制御部56は、圧力センサ44で測定した圧力Pが上限値として所定のオイルタンク12内の圧力値P2以上であるとき、上限値P2の圧力に達する前に追加給油弁34を開いた状態に維持するものであってもよい。追加給油弁34によっては、一次側の圧力が高すぎると追加給油弁34を安定して開くことができず、適時に給油できなくなり、油不足が発生するおそれがある。従って、圧力閉弁制御部56によって、上限値である圧力P2に達する前に追加給油弁34を開いた状態に維持し、最低限給油を継続し、油不足を抑制する。ここで、上限値であるP2は追加給油弁34が機械的な仕様等を考慮して安定して開くことができる最高の圧力とすればよい。