(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1〜
図16は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100を示すものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す、正面の斜め上方からみた斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す、背面の斜め上方からみた斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器を、蓋体を開放した状態で示した斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器を、蓋体を開放した状態で示した別の斜視図である。
図5は
図3の加熱調理器の斜視図における縦断面図である。
図6は
図2の加熱調理器の斜視図における縦断面図である。
図7は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器を右方向からみた場合の縦断面図である。
図8は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器を右方向からみた場合の縦断面模式図であり、導通体を省略し、被加熱物が載置された状態を示す図である。
図9は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の縦断面模式図である。
図10は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の要部を拡大した別の例の縦断面概略図である。
図11は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の底プレートの平面図である。
図12は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の機能ブロック図である。
図13は、本発明の実施の形態1に係る角型食パンが載置された底プレートを平面視した模式図である。
図14は、本発明の実施の形態1に係る山型食パンが載置された底プレートを平面視した模式図である。
図15は、本発明の実施の形態1に係る通電範囲切替装置の回路構成を示す図である。
図16は、本発明の実施の形態1に係る角型食パンが載置された底プレートを平面視した別の例の模式図である。
【0013】
図1〜
図8に示すように、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、加熱調理器本体10と、加熱調理器本体10の背面(後方)側のヒンジ部19に回動自在に支持されて加熱調理器本体10の上方空間を開閉自在に覆う蓋体20と、で構成されている。
【0014】
図8において、加熱調理器本体10に対して蓋体20が開放する(上下の)境界線PLは、加熱調理器の高さ方向で、中央よりも少し下である。
図8に矢印で「上」と示している方向が加熱調理器100の高さ方向である。逆に矢印で「下」と示した方向が下方向である。前記境界線PLは、後述する第1の重合面P1と、第2の重合面P2の中間にある。
【0015】
加熱調理器本体10は、ヒンジ部19の他、底プレート11と、底面加熱装置12と、底面温度検知装置13Bと、電源基板14と、操作部15と、操作基板16と、蓋体開閉検知装置97(
図10、
図12参照)と、制御装置50と、を備えている。
【0016】
また、蓋体20は、加熱室天板21と、加熱室側壁22と、上面加熱装置23と、シール部材24と、を備えている。蓋体20の加熱室天板21は底プレート11の上方空間を開閉自在に覆う。上面加熱装置23と底面加熱装置12とで、加熱手段を構成する。20Aは、前記蓋体20の外殻を構成する蓋体ケースであり、プラスチック等で一体に形成されている。19Aは、前記ヒンジ部19の外殻を構成するヒンジケースであり、金属等の剛性に富む材料で形成され、前記蓋体ケース20Aの後部の真下に配置され、蓋体ケース20Aと固定されている。
【0017】
図1に示しているように、加熱調理器本体10の前方側に操作部15があり、後方側に前記ヒンジ部19(
図5、
図7参照)が配置されている。このため、前記蓋体20は、
図3、
図5に示すように後方側が前記ヒンジ部19で回動自在に支持されたまま加熱調理器本体10の真上に垂直状態となるまで開放できる。なお、垂直状態を超えて後方にある程度傾いた状態になっても良く、その状態でも加熱調理器本体10は、その重量によって蓋体20を支えることができ、後方に転倒しない。
【0018】
図1等に矢印で「前」と示している方向が加熱調理器の前方向である。逆に矢印で「後」と示した方向が後方である。同じように「右」という矢印方向が右側方向を示し、「左」は左側方向を示している。以下の説明でも、この前後・左右方向の定義に則り、本発明の加熱調理器本体10を説明する。
【0019】
図3、
図4等に示すように、加熱調理器100は、前記底プレート11を上面に露出するように配置した加熱調理器本体10と、前記加熱室天板21を下面に露出するように配置した蓋体20とを、備えている。
図8に示すように、加熱調理器本体10の上面には、前記底プレート11の前後左右を囲った第1の重合面P1を有し、また前記蓋体20の下面には、上方向から見た場合、前記加熱室天板21の前後左右を囲った第2の重合面P2を有している構成である。
【0020】
図4において、XR、XL、XF及びXBは、前記第1の重合面P1の横幅又は前後方向の幅を示している。つまり、第1の重合面P1は、底プレート11の右側では横幅寸法がXRであり、左側ではXLである。
同様に、第1の重合面P1は、底プレート11の後方では前後方向の幅寸法はXBであり、前方側幅寸法はXFで示したものである。これら寸法XR、XL、XF及びXBは、この実施の形態1では、少なくとも10mm以上である。
【0021】
そして、前記蓋体20の加熱室天板21が前記加熱調理器本体10の上面を覆うように重なった状態では、
図8に示しているように、前記第1の重合面P1と前記第2の重合面P2が「微小間隙」を挟んで向かい合った状態になる。つまり、前記第1の重合面P1と前記第2の重合面P2が近接した位置になり、後述する加熱室40の内部空間が外部と遮断された状態になる。なお、ここでいう「外部と遮断された状態」とは、空気の移動を全く許容しないような気密状態を意味するものではなく、積極的に空気を流通させない程度をいう。加熱室40の内部が高温度になって内部の空気の体積が膨張した場合、それに伴って加熱室40内部の空気が自然に外部へ漏れ出る程度は、ここでいう「外部と遮断された状態」である。なお、上記「微小間隙」は、この実施の形態1では3mm以下である。また「密封状態の空間(加熱室)」と「外部と遮断された状態の空間(加熱室)」という意味は、特に断りがない限り、同じである。
【0022】
なお、
図4において、YR、YL、YF及びYBは、前記第2の重合面P2の横幅又は前後方向の幅を示している。これら各寸法YR、YL、YF及びYBは、この実施の形態1では、少なくとも10mm以上である。
【0023】
底プレート11は、加熱調理器本体10の上面に設けられ、食パンなどの被加熱物30が載置されるものである。この底プレート11は、例えばアルミニウムや銅など(一般的な鉄に比較して)熱伝導性の高い金属製の板材で形成されている。また、底プレート11の熱効率を上げることができるように、底プレート11の少なくとも下面側には、黒色の耐熱塗装が施されている。なお、以後、「トースト」という場合、特に断りが無い限り、スライスした食パンを加熱し、表面に軽く焦げ目をつけた食品の意味である。
【0024】
前記底プレート11は、外周部を除いて大きな平面部11C(
図11参照)を備えた浅い皿形状を呈しており、この平面部11Cの上面を「第1の加熱面」と呼ぶ場合がある。この第1の加熱面11Cは、全体に亘り水平である。
【0025】
第1の加熱面11Cに、被加熱物30の下面が直接接触して底面加熱装置12からの熱が伝えられる。なお、「第1の加熱面」は、網やパンチングメタル等のような通気性のある物体で形成されていない。通気性の無い物で形成されており、既に述べたように1例として、金属製薄板から全体が形成されているので、空気や食パンの細かい破片、屑等を全く通過させない構造である。
【0026】
図8に示しているように、底面加熱装置12は、底プレート11の下面側に近接し、又は密着状態に設けられており、底プレート11を加熱するものである。このため、底プレート11の温度が上がると、その底プレート11からの熱伝導により被加熱物30は下方から加熱される。
つまり、この実施例では、底プレート11は、底面加熱装置12からの熱を受けて全体が高温になり、上面の全体から輻射熱を放射する。このため被加熱物30に対しては1つの平面形状の発熱体としての働きをする。
【0027】
前記底面加熱装置12は、例えば面状ヒーターであり、面状ヒーターとしては、電気絶縁性を確保するためのマイカ板に、電熱帯を巻いた面状ヒーター、および、電熱帯をセラミックで挟んで形成したセラミックヒーターなどがある。なお、上記面状ヒーターは、発熱する電熱線を、マイカ板を介在させて格子状に配置した形態や、横にある間隔で多数並べてマイカ板に敷き詰めた形態など色々なものがある。底面加熱装置12を面状ヒーターとすることで、加熱調理器本体10を小型化することができるとともに、被加熱物30の均一加熱が可能となるため、焼きムラを少なくすることができる。
【0028】
図8において、底面温度検知装置13Bは、底プレート11の下面側に設けられ、底プレート11の温度を検知するものである。底面温度検知装置13Bは、例えば、前記底プレート11の下面に接触するサーミスタなどの温度センサーと、この温度センサーからの温度検出信号を後述する制御装置50に送信する温度検出回路(図示せず)とを備えている。温度センサーの感熱部は、底プレート11の下面に直接接触し、または耐熱性の絶縁性材料を介して接触している。
【0029】
図7において、電源基板14は、平面視で加熱調理器本体10の略中央に設けられ、底面加熱装置12および上面加熱装置23に電力を供給するための回路が実装されたものである。
【0030】
図8において、79は、前記加熱調理器本体10の外殻を構成する本体ケースであり、プラスチック材料で形成されている。
【0031】
次に、前記加熱室40とその周辺の構造について説明する。
前記蓋体20を加熱調理器本体10の上面に重なるように閉じた状態にすると、底プレート11の上面と、前記加熱室天板21との間に一定の容積の空間ができる。つまり、
図3に示しているように有効高さ寸法H2の空間が前記加熱室40である。加熱室40には被加熱物が収容される。加熱室天板21は、その平面視で見て周囲全体に垂直な加熱室側壁22が連続しているので、底プレート11の上に、ある範囲の厚さの食パンを置いた場合、その食パンの上面と加熱室40の天井面との間には、ある程度の空隙H1が形成される。
【0032】
前記加熱室天板21は、アルミニウム等のような熱伝導性の高い金属製の薄い板によって全体がプレス成形で形成されている。後述する加熱室側壁22も、プレス成形によって一体に形成されている。
【0033】
前記加熱室天板21は、「第2の加熱面」ともいう。この第2の加熱面は、以上の説明から明らかなように、金属製の板で全体が形成されており、非通気性であり、かつ水平に設置されている。
前記第1の加熱面11Cと、第2の加熱面21は、その全体に亘り対向間隔が同一である。つまり、前記第1の加熱面11Cと第2の加熱面21は、互いに平行になっているので、前述した前記加熱室40の有効高さ寸法H2は、第1の加熱面11Cの、ほぼ全域に亘って確保される。
【0034】
図7、
図8に示すように、前記蓋体20は、その中央部が上方に向かって凹んだ凹部26(
図4参照)を有している。加熱室天板21は、蓋体20の中央部に設けられ、凹部26の上面を形成するものである。また、加熱室側壁22は、蓋体20の内側の側面に設けられ、凹部26の側面を形成するものである。つまり、この凹部26によって前記蓋体20の内部に加熱室40の大部分が形成される。加熱室40の残りの部分は、底プレート11の上に形成される。言い換えると、加熱室40は、前記蓋体20内部と加熱調理器本体10が重なり合った状態で、それら両者の内部に形成される。
【0035】
また、加熱室天板21の熱効率を上げることができるように、少なくとも加熱室天板21の上面側には、黒色の耐熱塗装が施されている。
【0036】
上面加熱装置23は、加熱室天板21の上面側に設けられ、加熱室天板21を加熱することにより加熱室40を加熱するものであり、加熱室天板21からの輻射熱により被加熱物30を上方から加熱する。上面加熱装置23は、例えば底面加熱装置12と同様の面状ヒーターであって、加熱室天板(第2の加熱面)21の上面に近接し、又は密着するように配置されている。つまり、この実施例では、加熱室天板(第2の加熱面)21は、上面加熱装置23からの熱を受けて全体が高温になり、後述する加熱室40の下方に向けて、下面の全体から輻射熱を放射する。このため被加熱物30に対しては面状の発熱体としての働きをする。
【0037】
前記シール部材24は、加熱室側壁22の下端に沿って一定の幅で連続して設けられている。言い換えると、平面視で見た場合、蓋体20の凹部26の前後と左右を囲むように、第1の重合面P1の全体に亘って設けてある。このシール部材24は、その全長にわたり、前記第2の重合面P2から下方へ数mm程度突出しており、蓋体20が閉じられた状態において底プレート11の周縁部11A上面と密着し、密閉度の高い加熱室40を形成する。シール部材24は、例えばシリコンゴムで形成されているため、柔軟性があり、底プレート11の周縁部11A上面と密着する際には、シール部材24の下端部は変形する。
【0038】
なお、本実施の形態1では、シール部材24を用いて密閉度の高い加熱室40を形成する構成としたが、それに限定されず、シール部材24の代わりにラビリンス構造を備え、そのラビリンス構造を用いて密閉度の高い加熱室40を形成する構成としてもよい。例えば、第1の重合面P1と第2の重合面P2の一方に溝部を形成し、他方にその溝部の中に微小間隙を保って嵌り込むような凸状を設けることである。
【0039】
図8等において、42は、平面形状が長方形の第1上ケースであり、金属製の薄板からプレス成形によって形成されている。この第1上ケース42の外周縁部42Aは、加熱室天板21の天井部の上に密着するように重なっている上面加熱装置23の上面に重ねてある。42Sは、加熱室天板21上面とこの第1上ケース42下面との間に形成された密閉空間である。
【0040】
図8等において、43は、平面形状が長方形の第2上ケースであり、金属製の薄板からプレス成形によって形成されている。この第2上ケース42の外周縁部43Aは、第1上ケース42の外周縁部42Aに重ね合わせてある。
【0041】
図5、
図6等に示すように、加熱室天板21には、平面視で加熱室天板21の中央に、加熱室40の外部に連通する排気口21aが形成される。なお、排気口21aは厳密に平面視で加熱室天板21の中央に配置されることを意味するものでなく、中央から外れた位置に配置される場合を含む。排気口21aの上方は筒形状をなし、上面加熱装置23、断熱材45及び第1上ケース42を貫通して、第1上ケース42の上面と第2上ケース43の下面とで構成される排気口上方空間と連通する。この排気口上方空間は加熱室40の外部に配置される。排気口21aの上方の筒形状は、円筒形状であってもよいし、断面が四角形のような多角形の筒形状であってもよい。
【0042】
排気口上方空間は、第1上ケース42の上面と第2上ケース43の下面との間に配置される導通体21bを介して、蓋体20の外部、すなわち、加熱調理器100の外部と連通する。すなわち、加熱室40と加熱調理器本体10の外部とが導通体21bを介して連通する。導通体21bは断面が矩形の直線状の管体で、排気口上方空間から加熱調理器本体10の側面に形成された本体排気口21cに至る排気経路を形成する。導通体21bの底面は、排気口上方空間から本体排気口21cに向かって下方に傾斜するように構成する方が望ましい。
【0043】
本体排気口21cは、ヒンジ部19の設けられる側の側面(後側の側面)と平行な他側の側面(前側の側面)を除く側面、すなわち、右側側面、左側側面、または後側側面のいずれかに形成される。
図6に示すように、本体排気口21cは導通体21bとは別体で構成され、導通体21bから着脱自在に取り付けられる。本体排気口21cは上下の高さが導通体21b側と蓋体20の外部に面する側とで異なる。つまり、導通体21b側の高さよりも外部に面する側の高さの方が高い。また、
図7に示すように、実施の形態1の加熱調理器では、本体排気口21cの後方側端面と加熱調理器(蓋体20)の後側側面とは面一となるように構成される。
【0044】
図8において、第1上ケース42の外周縁部42Aの上部に取り付けられ、外周縁部42Aを貫通して上面から加熱室40の内部を臨むように上面温度検知装置13Aが設けられる。上面温度検知装置13Aは、例えば、加熱室40の内部の温度を検知するサーミスタなどの温度センサーと、この温度センサーからの温度検出信号を後述する制御装置50に送信する温度検出回路(図示せず)とを備えている。なお、上面温度検知装置13Aは赤外線センサーであってもよい。上面温度検知装置13Aを赤外線センサーで構成した場合、被加熱物の上面の温度を検知する。
【0045】
図8において、44は、前記第1上ケース42と前記第2上ケース43の中央部を貫通するように設けた固定用のネジである。ネジ44は排気口21aを避ける位置に設けられる。45は5、電気絶縁性と断熱性に富む断熱材から形成された断熱材であり、例えばグラスウール製である。前記ネジ44は、
図8に示すように前記断熱材45の側から前記第1上ケース42と前記第2上ケース43の中央部を貫通するように、上向きに固定されている。前記断熱材45は、前記第1上ケース42と前記加熱室天板21との間の空隙49を、それら周縁部を除いて隙間なく埋めるように、上下方向に若干圧縮された状態で設置されている。
【0046】
図8において、46は、前記加熱室側壁22の全周囲を囲むように形成された平面形状がリング(中空円柱)状の支持枠であり、耐熱性のプラスチックで全体が形成されている。46Aは、前記支持枠46の下面であり、この下面は前記第2の重合面P2を形成する。
【0047】
次に蓋体20の内部における各種空隙、空間について説明する。
図8において、G1は、前記底プレート11の上に置かれた普通の大きさの食パンの後方端面と、後方側の加熱室側壁22との間に形成される第1の空隙である。後述するが、食パンのサイズには、「山型食パン」、「角型食パン」などがあり、これらの食パン種類に応じて外形寸法は変化するが、通常の「山型食パン」や「角型食パン」を前記底プレート11の第1の加熱面11Cの上に置いた場合、前記第1の空隙G1が確保されるよう、加熱室40の平面的な大きさを設定している。
【0048】
G2は、普通の大きさの食パンを収容した場合、その食パンの後方端面と、前方側の加熱室側壁22との間に形成される第2の空隙である。つまり、加熱室40の前後方向の有効長さは、普通の大きさの食パンを収容した場合、前方も後方も加熱室側壁22と接触しないような寸法である。同様に、図示はしていないが、加熱室40の左右方向の有効長さは、普通の大きさの食パンを収容した場合、右側方も左側方も加熱室側壁22と接触しないような寸法になっている。また、この第1の空隙G1と第2の空隙G2は、底プレート11において、前記第1の加熱面11Cの周囲(前後・左右)にある傾斜部(傾斜面)11Bの存在も関係しており、その傾斜部11Bの前後・左右方向の寸法を大きく確保すれば、それら第1、第2の空隙G1、G2も大きくなる。
【0049】
図8において、G3は、前記支持枠46の前方にある垂直状態の壁面端面と、蓋体20の前方側の側壁との間に形成される第3の空隙である。G4は、同じく前記支持枠46の後方にある垂直状態の壁面端面と、蓋体20の後方側の側壁との間に形成される第4の空隙である。また図示していないが、支持枠46の右側方と左側方も、それぞれ蓋体20の側壁面との間に空隙を有しているため、結局、支持枠46の全周囲で蓋体20の側壁面との間に空隙がある。
【0050】
図8において、G5は、前記支持枠46に形成された垂直状態の壁面端面と、前記加熱室側壁22の前後・左右の外側壁面との間に形成される第5の空隙である。この第5の空隙G5と前記第3及び第4の空隙G3、G4によって、加熱室側壁22の前後及び左右は、加熱調理器100の外殻となる前記蓋体20に対して、断熱性を高めることができる。
【0051】
図8において、G6は、前記第2上ケース43の上面と前記蓋体20の上壁面(天井壁面)との間に形成される第6の空隙である。この第6の空隙G6によって、前記第2上ケース43は、加熱調理器100の外殻となる前記蓋体20に対して、断熱性を高めることができる。なお、前記第2上ケース43は、前述したように上面加熱装置23の上方に断熱材45を水平方向に展開しているので、この第2上ケース43自体の温度も低く抑えられている。
以上の構成によって前記蓋体20が構成されている。
【0052】
図9は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の縦断面模式図である。
図9に示すように、加熱調理器本体10に対して蓋体20が開放する境界線PLは、加熱調理器の最大高さ寸法Hmaxの中央よりも少し下である。
前記底プレート11は、1枚の金属製薄板をプレス加工によって薄い皿形状にしたものであり、外周部を除いて大きな平面部11C(
図11参照)を備えている。この平面部11Cの上面が「第1の加熱面」である。なお、11Bは、前記第1の加熱面11Cの周囲(前後・左右)にある傾斜部(傾斜面)11Bである。
図9では模式図であるため、平面部11Cと傾斜部11Bの断面のハッチング形態が同じでないが、実際は同じ金属板で一連に形成している。なお、傾斜面11Bの角度は、底プレート11の外周側に向かって高くなるように仰角45度前後であるが、30度でも良いし、逆に75度のような急傾斜でも良い。但し、この実施の形態1のように、平面部(第1の加熱面)11Cの前後・左右における傾斜面11Bの角度は、全て統一しており、45度である。
【0053】
図9において、HAは、前記蓋体20と前記調理器本体10との境界線PLを基準にして、前記第2の加熱面23側までの直線距離であり、この距離HAは、前記第1の加熱面11Cまでの距離HBよりも3倍以上もある。
図9において、DPは、上下に分離する境界線PLを基準にして、前記第1の加熱面11Cまでの直線距離である。つまり底プレート11の上面から第1の加熱面11Cまでの「深さ」を示しており、2mm〜10mmの範囲に設定されている。この「深さ」が大きいと、食パン等の被加熱物30を収容したあと、その横方向への不用意な移動を防止できる利点があるが、逆に加熱調理後のトースト等を取り出す場合、通常6枚切りの食パンの厚さは約20mmであるので、トーストをユーザーが掴みにくくなり、取り出し動作を損なう懸念もある。
【0054】
図9において、21は、前記加熱室天板(第2の加熱面)であり、前述したように1枚の金属製薄板をプレス加工によって薄い皿形状にしたものである。
図4では模式図であるため、第2の加熱面21と加熱室側壁22の断面のハッチング形態が同じでないが、実際は同じ金属板でその加熱室側壁22まで一連に形成している。
【0055】
図9において、ALは、底面加熱装置12を構成する面状ヒーターの前後方向の長さを示している。実際には、前述したマイカ板の前後方向の最大長さに相当しており、このマイカ板の前後方向端部まで電熱帯があるので、電熱線で加熱される「加熱域」に相当する範囲を示している。
【0056】
図9に示すように、第1の加熱面11Cの前後方向の長さよりも少し長い範囲まで、底面加熱装置12を構成する面状ヒーターが向かい合っているため、底面加熱装置12への通電によって、第1の加熱面11Cの前方端部から後方端部まで加熱される。なお、第1の加熱面11Cの左右方向についても、底面加熱装置12の面状ヒーターの横幅寸法が少し大きいので、結局、第1の加熱面11Cの前後方向と左右方向に何れにおいても、底面加熱装置12の面状ヒーターで下方をカバーしている状態である。
【0057】
図9において、BLは、前記上面加熱装置23を構成する面状ヒーターの前後方向の長さを示している。実際には、前述したマイカ板の前後方向の最大長さに相当しており、このマイカ板の前後方向端部まで電熱帯があるので、電熱線で加熱される「加熱域」に相当する範囲を示している。
【0058】
図9に示すように、第2の加熱面23の前後方向の長さよりも少し長い範囲まで、上面加熱装置23を構成する面状ヒーターが向かい合っているため、上面加熱装置23への通電によって、第2の加熱面21の前方端部から後方端部まで加熱される。なお、第2の加熱面21の左右方向についても、上面加熱装置23の面状ヒーターの横幅寸法が少し大きいので、結局、第2の加熱面21の前後方向と左右方向に何れにおいても、上面加熱装置23の面状ヒーターで上方をカバーしている状態である。
【0059】
図1において、操作部15は、加熱調理器本体10の前面に設けられ、ユーザーの操作により調理条件の設定が行われるものである。また、操作部15は、ダイヤル、ボタンなど(以下、これらを総称して「操作ダイヤル」という)で構成される、
図1では操作部15をボタンで構成した例を示す。モード設定操作部15Aと、焼き色設定操作部15Bと、サイズ設定操作部15Cと、調理開始停止操作部15Dとを備えている。それぞれの操作部に対応して、設定モード表示部16Eと、設定焼き色表部16Fと、設定サイズ表示部16Gと、調理中表示部16Hとを備えている。
【0060】
モード設定操作部15Aの操作ボタンを押すことによって、「常温パン」、「フレンチトースト」、「具材のせパン」、「冷凍パン」の何れか1つの調理モードを選択し、選択した設定モードが設定モード表示部16Eに表示されて、調理モードを特定する信号(以下、「モード設定信号」という)が、後述する制御装置50に入力される。
【0061】
ここで、「常温パン」とは、常温で保存された状態の食パンである。
フレンチトーストとは、食パン内部に溶き卵、牛乳などの単一の液体または複数食材を混合した液体をしみこませた後、加熱して仕上げる料理である。なお、必ずしも液体をパンの中心まで染みこませる必要はなく、一部でもよい。また、染みこませる液体の量も問わないが、加熱前の水分量は加熱前のパン単体よりも多くなる。
【0062】
「具材のせパン」とは、食パンの上にチーズなどパン以外の具材がのせられたものである。なお、具材については、マヨネーズなどの調味料、野菜、肉、魚、果物などでもよく、または、それらを複数組み合わせたものでもよい。
【0063】
「冷凍パン」とは、冷凍庫内で保存され、凍った状態の食パンである。なお、冷凍庫内での保管方法、保管期間などは問わない。
【0064】
また、焼き色設定操作部15Bは、ユーザーが調理する被加熱物30の「焼き色」を設定するものである。焼き色設定操作部15Bの操作ボタンを押すことによって、「濃い」、「普通」、「薄い」の3種類の内から何れか1つの焼き色を選択でき、選択した焼き色が設定焼き色表示部16Fに表示される。選択した場合、「焼き色」を特定する信号(以下、「焼き色設定信号」という)が、後述する制御装置50に入力される。
【0065】
ユーザーが、サイズ設定操作部15Cの操作ボタンを押すことによって、食パンのサイズを選択することができる。ここでいう「サイズ」には、「山型食パン」、「角型食パン」などがあり、これらの食パンの外形形状によって、調理する被加熱物30のサイズを選択するものである。サイズ設定操作部15Cの操作ボタンを押すことによって、食パンのサイズを選択でき、選択したサイズが設定サイズ表示部16Gに表示され、設定した結果を特定する信号(以下、「サイズ設定信号」という)が、後述する制御装置50に入力される。なお、通常サイズと呼ぶ場合には、食パンの大きさを意味するが、この実施の形態1では、食パンのタイプ(山型、角型・・)を選択することによって、必然的にその食パンの大きさが定まるという前提のもので、「サイズ」という用語を用いている。サイズは、パンの厚みと置換えて設定出来ても良い。
【0066】
図1に示している調理開始停止操作部15Dは、加熱調理器100による調理を開始させるものである。押し釦式によって構成されており、ユーザーが調理開始を意図して特定の操作をした場合、調理中表示部16Hが点灯し、調理開始を特定する信号(以下、「調理開始設定信号」という)が、後述する制御装置50に入力される。なお、調理中に調理開始停止操作部15Dを操作すると、加熱処理が停止し、調理が強制終了する。
【0067】
操作基板16は、加熱調理器本体10の内部の前面側に設けられ、操作部15から入力された信号を処理するための回路が実装されたものであり、上記の「モード設定信号」、「焼き色設定信号」、「サイズ設定信号」及び「調理開始設定信号」を、それぞれ処理した後、制御装置50に出力するものである。
【0068】
制御装置50は、加熱調理器本体10の内部に設けられ、操作部15からの入力、つまり、ユーザーにより設定された「加熱モード」、「焼き色」、および、「サイズ」に基づく「モード設定信号」、「焼き色設定信号」、「サイズ設定信号」を受信して、電源基板14に対して制御信号を出力するものである。なお、制御装置50は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンなどの演算装置とその動作を規定するソフトウェアで構成することもできる。
【0069】
図8において、矢印UTは、固定用ネジ等の締結具によって前記仕切り板72と第1下ケース75の外周縁部を、リング状のプラスチック製支持枠74に下方から固定する方向を示している。言い換えると、前記仕切り板72と第1下ケース75の外周縁部は、支持枠74に固定されている。75Aは、第1下ケース75の外周縁部に一連に形成した傾斜面である。
【0070】
図10は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器100の要部を拡大した別の例の縦断面拡大図である。なお、この要部は、蓋体20が閉じられた状態における加熱調理器本体10と蓋体20との接触部分を示している。
【0071】
蓋体20と加熱調理器本体10との重合面(第1の重合面P1、第2の重合面P2)における気密性を確保するための1つの手段である「ラビリンス構造」としては、この
図10に示す構成でも良い。
【0072】
図10において、28は、
図3に示した平面形状がリング(中空円柱)状の支持枠46と同様な支持枠であり、耐熱性のプラスチックや金属で全体が形成されている。
支持枠28の上面には磁石97aが固定される。蓋体20が閉じられ、加熱室40が閉成されると、磁石97aが、リードスイッチで構成された蓋体開閉検知装置97に接近し、蓋体開閉検知装置97における切片が閉じられる。蓋体20が開けられ、加熱室40が開成されると、磁石97aが蓋体開閉検知装置97から遠ざかり、蓋体開閉検知装置97における切片が開く。この、切片の開閉により、制御装置50は、加熱室40の開閉を検知する。
28aは、前記支持枠28の下面、すなわち第2の重合面P2に下方へ突出するように一体に形成した突起部である。この突起部は、リング(中空円柱)状の支持枠28の全長に亘って形成されているので、平面視ではリング状に形成されている。
【0073】
17は、
図8に示したリング状の支持枠74と同様な、耐熱性プラスチック又は金属製で全体が形成された支持枠である。
17aは、前記支持枠74の上面、すなわち、第1の重合面P1に形成した溝であり、この溝17aは、リング(中空円柱)状の支持枠17の全長に亘って形成されているので、平面視では環状に形成されている。
【0074】
蓋体20が閉じられた状態において、蓋体20側の支持枠の突起部28aが加熱調理器本体10側の支持枠17の溝17aと、緊密に嵌合するようになっている。そして、突起部28aと溝17aとが嵌合することで、密閉度の高い加熱室40を形成することができる。
【0075】
なお、溝17aが形成されている位置と突起部28aが設けられている位置とを逆にしてもよい。つまり、加熱調理器本体10の支持枠17の上面に突起部(図示せず)を設け、蓋体20側の支持枠28の下面に溝(図示せず)を形成してもよい。こうすることでも、突起部と溝とが嵌合することで、密閉度の高い加熱室40を形成することができる。また溝17aと突起部28aは、加熱室40の周囲を囲むように複数列設けても良い。つまり、同心円状に溝17aと突起部28aを2重、3重、又は4重等に形成しても良い。
【0076】
図10において、81は、飾り枠であり、平面形状がリング(中空円柱)状を呈している。この飾り枠81と、プラスチック製のリング状の支持枠17とは、その上面の位置が面一となるように固定されている。
【0077】
図10において、84は、前記本体ケース79と飾り枠81との間に形成された空間である。72は、前記第1下ケース75の下方全体を覆うように水平に設置された仕切り板であり、金属製の薄板によって全体が形成されている。この仕切り板72の前方端部72Hは、前記空間84の中に入って上方に垂直に曲げられている。
【0078】
11Eは、底プレート11の前方端部であり、この水平な水平端部11Eは、前記仕切り板72と重なりあった状態にで、前記支持枠17と飾り枠81によって上方から押されている。このため、飾り枠81、支持枠17、底プレート11端部、第1下ケース75端部、及び仕切り板72の端部が密着した状態になっているので、底面加熱装置12の熱が、前記本体ケース79の外部に逃げることは抑制された構成である。75Hは、前記第1下ケース75の周縁部に形成した垂直部であり、この垂直部よりも更に外周端部が、前記支持枠17によって上方から押さえられている。77は、操作部15の周辺壁材である。この周辺壁材の上面と前記支持枠17の下面との間に、前記第1下ケース75の外周端部が挟まれて固定されている。
【0079】
本実施の形態1に係る加熱調理器100で調理される被加熱物30は、主に食パンである。食パンには、焼き上げる際に蓋をして四角く仕上げられた「角型」と、焼き上げる際に蓋をせずに仕上げられた「山型」とがあり、それらの一般的なサイズは、角型は約横12cm×縦12cm、山型は約横12cm×縦16cmとなっている。また、食パンは、一斤を切る枚数によって厚さが異なっており、例えば4枚切りの厚さは約30mm/枚、6枚切りの厚さは約20mm/枚となっている。
【0080】
加熱室40の縦横のサイズは、少なくとも山型の食パンのサイズよりも大きく、山型の食パンのサイズよりも20〜40mm程度大きい寸法が望ましい。加熱室40の縦横のサイズは、例えば横14cm×縦18cmである。これは、加熱室40内で底プレート11に載置された山型の食パンと加熱室側壁22とが接触しない寸法である。
前記底プレート11の第1の加熱面11Cの平面寸法は、「山型」の食パンの平面的な寸法(左右方向の横方向幅12cm、縦方向長さ16cm)よりも大きく設定されている。
【0081】
また、加熱室40の高さは、少なくとも4枚切りの食パンよりも大きく、4枚切りの食パンに具材をのせても加熱室天板21に具材が接触しない程度の寸法が望ましい。加熱室40の高さは、例えば45mmである。これは、底プレート11に載置された、市販で最も厚い4枚切り30mmの食パンの上に、チーズなどの具材を厚さ10mm程度までのせた状態で蓋体20を閉めても、食パンの上の具材と加熱室天板21とが接触しないで、数mm〜15mm程度離れた状態となる。
【0082】
次に
図11について説明する。被加熱物が載置される底プレート11は、平面形状が長方形である。これはこの加熱調理器が対象としている被加熱物30は、山型食パンも含むため、その山型食パンの一般的な形状である長方形に合わせてある。
【0083】
図11において、W1は、山型食パンの縦方向(前後方向)寸法を示し、例えば約16cmである。L1は、その山型食パンの横幅(左右方向)寸法を示し、例えば約12cmである。
W4は、底プレート11の前後方向(縦方向)の寸法を示し、L4は、その底プレート11の最大横幅寸法を示すものである。
【0084】
W2は、底プレート11の中で、前記食パン等が載せられる平面部11Cの縦方向寸法を示し、L2は、その最大横幅寸法を示すものである。
W3は、底プレート11の中で、前記平面部11Cの前後左右の周囲に形成された傾斜部11Bの縦方向寸法を示し、L3は、その最大横幅寸法を示すものである。傾斜部11Bは、例えば外周側に向けて仰角45度に形成してある。この傾斜部11Bは、前記平面部(第1の加熱面)11Cの前方、後方及び左右側方に、それぞれ同じ平面的な大きさで形成されている。言い換えると、平面部11Cの中心部Oを通る左右中心線HLと、前後中心線VLを基準に、前後・左右に対称的に形成してある。
【0085】
W4は、底プレート11の中で、最大外形寸法となる前後方向の長さを示し、L4は、その最大横幅寸法を示すものである。
【0086】
前記平面部(第1の加熱面)11Cは、前述した説明から明らかなように、金属製の板で全体が形成されており、非通気性であり、かつ水平に設置されている。
【0087】
前記平面部(第1の加熱面)11Cの平面的な大きさは、
図6に示しているように最大縦方向寸法がW2、最大横幅寸法がL2であり、通常の各種トーストの平面的な大きさよりも大きい。つまり、この第1の加熱面11Cの平面的な大きさは、主な被加熱物である食パンの外形寸法よりも大きく形成されている。
【0088】
因みに、平面部(第1の加熱面)11Cの縦方向寸法W2は、177mmし、L2は127mmである。また、前記底面加熱装置12の定格消費電力は300Wであり、被加熱物30を加熱することに寄与する実質的な面積で除した結果求められる「1平方センチメートル当たりの消費電力(1平方センチメートル当たりの「ワット密度」)は、1.3Wである。
【0089】
図8と
図10において、75は、金属薄板製の第1下ケースである。この
図4には示していないが、断熱材45と同様な材料から形成された断熱材(図示せず)45が、金属薄板製の第1下ケース75と前記仕切り板72との間に配置されている。
【0090】
次に
図12について説明する。
図12は、実施の形態1に係る加熱調理器の機能ブロック図である。
図7に示すように、制御装置50と、上面加熱装置23と底面加熱装置12に対して通電する範囲を決め、食パンのサイズに応じた加熱状態を選択できる通電範囲切替装置60が、前記電源基板14に実装されている。
【0091】
操作部15にあるサイズ設定操作部15Cを、ユーザーが操作して「サイズ設定信号」が前記制御装置50に入力されると、制御装置50は、その「サイズ設定信号」に対応した「通電範囲指定信号」を電源基板14の通電範囲切替装置に対して出力する。
【0092】
本実施の形態1に係る制御装置50は、メイン制御部51と、演算部52と、タイマ部53と、記憶部54と、電圧検知部55とを備えている。メイン制御部51は、上面温度検知装置13A、底面温度検知装置13B、蓋体開閉検知装置97、操作基板16を介して操作部15から入力される情報(「モード設定信号」、「焼き色設定信号」、「サイズ設定信号」)に基づいて、底面加熱装置12および上面加熱装置23を制御するものである。
【0093】
演算部52は、後述する加熱終了時間や延長調理時間、延長調理温度、各種制御パラメータを演算するものである。記憶部54は、例えばROMで構成され、複数の「焼き色」に対応した重量減少率が複数記憶されているものである。「サイズ設定信号」のために、食パンの形状や大きさ(縦横寸法)に対応した通電範囲の切替パターンが、対応表(テーブル)等の形式で記憶されているものである。また、記憶部54は、後述する延長調理時間、または、延長調理温度を算出するための第1の基準時間ts1及び第2の基準時間ts2、または、基準温度T0、第1の制御温度Tc1、第2の制御温度Tc2記憶されている。また、電圧検知部55は、電圧検知部55が検知する電圧の変化により蓋体開閉検知装置97の検知信号を検知する。
【0094】
電源基板14は、制御装置50から出力された制御信号に基づいて、底面加熱装置12および上面加熱装置23への通電をONまたはOFFする。底面加熱装置12により加熱された底プレート11の温度は、底面温度検知装置13Bにより検知され、その検知した温度情報は制御装置50に入力される。また、蓋体20の開閉は蓋体開閉検知装置97により検知され、その検知した開閉情報は制御装置50に入力される。
【0095】
図13は、本発明の実施の形態1に係る角型食パン30aが載置された底プレート11を平面視した模式図である。
図14は、本発明の実施の形態1に係る山型食パン30bが載置された底プレート11を平面視した模式図である。
図15は、本発明の実施の形態1に係る通電範囲切替装置60の回路構成を示す模式図である。
【0096】
図13〜
図15に示すように、底面加熱装置12には、電気絶縁材としてのマイカ板の全体に電熱帯41Aを重ねた面状ヒーターが使用されており、電熱帯41Aは、底プレート11の面上に、一方向に沿って帯状に配置されている。電熱帯41Aは、底プレート11の特に第1の加熱面11Cの全体を、均等に加熱するように配線パターンが工夫されている。
【0097】
同様に、上面加熱装置23には、マイカ板に電熱帯41Bを重ねた面状ヒーターが使用されており、電熱帯41は、加熱室天板21の面上に、一方向に沿って帯状に配置されている。なお、
図13および
図14では、底面加熱装置12の電熱帯41Aを図示しているが、上面加熱装置23の電熱帯41Bも同様の構成である。上面加熱装置23の電熱帯41Bは、底面加熱装置12の電熱帯41Aと対向する位置にそれぞれ設けられている。つまり、食パンを下方向から加熱する電熱帯41Aと、上方向から加熱する電熱帯41Bは、上下方向で見た投影面積は同じである。例えば、上面加熱装置23の電熱帯41Bが設けてある範囲が、縦方向(前後方向)で16cm、横(幅)方向で12cmであった場合、底面加熱装置12の電熱帯41Aも同様に16cm×12cmの大きさであり、かつ2つの電熱帯41A、41Bは、垂直方向に見た場合、重なっている状態である。
【0098】
底プレート11の面上に配置された電熱帯41Aが、均一の間隔で配置されている場合、底プレート11の中央部に熱が集中するため、底プレート11の中央部と外側部(外周縁部)とで温度差が生じやすい。そして、底プレート11の中央部と外側部とで温度差が生じると、被加熱物30を加熱する際、中央部のみ焼き色が濃くなり、焼きムラができてしまう。そのため、電熱帯41Aの配置間隔を、底プレート11の中央部で広くし、外側部で狭くすることにより、中央部と側部との温度差が生じにくくなり、被加熱物30を加熱する際の焼きムラを少なくすることができる。
【0099】
前記通電範囲切替装置60は、第1切替部61と第2切替部62を有している。前記第1切替部61と第2切替部62は、底面加熱装置12と上面加熱装置23に、それぞれ1組ずつ設けてある。
【0100】
底面加熱装置12は、第1加熱部12aと第2加熱部12bとで構成されており、第1切替部61をONにすると第1加熱部12aのみに通電され、第2切替部62をONにすると第1加熱部12aおよび第2加熱部12bに通電されるようになっている。
【0101】
また、上面加熱装置23は、図示省略の第1加熱部と図示省略の第2加熱部とで構成されており、第1切替部61をONにすると第1加熱部のみに通電され、第2切替部62をONにすると第1加熱部12aおよび第2加熱部に通電されるようになっている。
【0102】
制御装置50は、サイズ設定操作部15cにより設定された被加熱物30の「サイズ」に応じて、2つの切替装置60の第1切替部61および第2切替部62をONまたはOFFに切り替える。そうすることで、底面加熱装置12および上面加熱装置23への通電範囲が切り替えられ、加熱室40内の加熱範囲が変更される。
【0103】
本実施の形態1に係る加熱調理器100では、1つの底面加熱装置12を備え、その底面加熱装置12が、1つの面状ヒーター(電熱帯41)で構成されているものとしたが、それに限定されない。例えば、
図15は、本発明の実施の形態1に係る角型食パン30aが載置された底プレート11を平面視した別の例の模式図である。
【0104】
この
図15に示すように、加熱調理器100が、複数の底面加熱装置12を備え、切替装置60によって、各底面加熱装置12の電熱帯41A、41Bへの通電の有無を切り替える構成としてもよい。また、上面加熱装置23についても同様に、加熱調理器100が複数の面状ヒーターから構成された上面加熱装置23を備え、切替装置60によって、各上面加熱装置23の面状ヒーターへの通電の有無を切り替える構成としてもよい。
【0105】
本実施の形態1に係る加熱調理器100では、1つの底面加熱装置12を備え、その底面加熱装置12が複数の面状ヒーター(電熱帯41)で構成されていても良いが、これに限定されなくとも良い。
図14に示すように、加熱調理器100が、複数の面状ヒーター41A、41Bからなる底面加熱装置12を備え、通電範囲切替装置60によって、底面加熱装置12の各面状ヒーター41A、41Bへの通電の有無を切り替える構成としてもよい。また、上面加熱装置23についても同様に、複数の面状ヒーターから構成し、通電範囲切替装置60によって、各面状ヒーターへの通電の有無を切り替える構成としてもよい。
【0106】
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器100による被加熱物30の調理について説明する。
ユーザーは、被加熱物30を底プレート11に載置した後、蓋体20を閉める。次に、ユーザーは、モード設定操作部15Aにより、調理する被加熱物30の種類に応じて「加熱モード」を設定し、焼き色設定操作部15Bにより、ユーザーの好みに応じて被加熱物30の「焼き色」を設定する。さらに、ユーザーは、サイズ設定操作部15Cにより、調理する被加熱物30のサイズに応じて「サイズ」を設定する。その後、ユーザーは、操作部15に設けられた調理開始停止操作部15Dを押下する。
【0107】
調理開始操作部15Dが押下されて、操作基板16から「調理開始の指令信号」を制御装置50が受けると、制御装置50は、底面加熱装置12および上面加熱装置23への通電を開始し、ユーザーにより設定された「加熱モード」、「焼き色」、および、「サイズ」に基づいて、それらを制御する。
【0108】
制御装置50は、サイズ設定操作部15Cで選択した「サイズ」が、「角型食パン」を指定したものである場合、2つの第1切替部61を共にONとし、2つの第2切替部62を共にOFFとし、底面加熱装置12および上面加熱装置23への通電を開始する。そうすることで、加熱範囲が角型食パン30aに対応したサイズとなる。
【0109】
また、制御装置50は、サイズ設定操作部15Cで選択した「サイズ」が「山型食パン」である場合、2つの第1切替部61を共にOFFとし、2つの第2切替部62を共にONとし、底面加熱装置12および上面加熱装置23への通電を、それぞれ開始する。そうすることで、加熱範囲が山型食パン30bに対応したサイズとなる。
【0110】
このように、サイズ設定操作部15Cで、「角型食パン」や「山型食パン」を選択することで、それらの大きさに合致した加熱範囲が定まる。つまり、「角型食パン」や「山型食パン」等の被加熱物30のサイズに応じて底面加熱装置12および上面加熱装置23への通電範囲を切り替えることで、調理中の不要な電力消費を抑えられるため、省エネ化を図ることができる。
【0111】
底面加熱装置12および上面加熱装置23への通電が開始された後、制御装置50は、ユーザーにより設定された「加熱モード」および「焼き色」に基づいて、それらを制御する。そして、底面加熱装置12により加熱された底プレート11からの熱伝導により被加熱物30を下方から加熱する動作と、加熱室天板21により加熱された加熱室天板21からの輻射熱によって被加熱物30を上方から加熱する動作、とをそれぞれ集中制御する。
【0112】
被加熱物30の底面の加熱が進むと、被加熱物30の水分が蒸発して水分含量が低下し、水分含量が一定の数値以下になると被加熱物30の底面に硬化した部分であるクラスト層が形成される。このとき、被加熱物30の底面は底プレート11の第1の加熱面11Cに密着しているため、蒸発した水分は被加熱物30の底面から外部には排出されにくく、被加熱物30の内部に移動する。つまり、底プレート11を水分が透過して加熱室40の外部へ拡散することはない。
【0113】
一方、被加熱物30の上面の加熱が進むと、被加熱物30の水分が蒸発して水分含量が低下し、水分含量が一定の数値以下になると被加熱物30の上面に硬化した部分であるクラスト層が形成される。このとき、蒸発した水分は被加熱物30の上面から外部には排出されるとともに、被加熱物30の内部に移動する。
【0114】
このように、加熱が進んでも被加熱物30から外部に水分が排出されにくくなり、被加熱物30から外部に排出される水分を抑えることができる。そのため、この加熱調理器100では、被加熱物30が食パンである場合、食パンの内部に水分が保たれた状態に焼き上げることができる。
【0115】
また、加熱調理器100は、底プレート11に載置された被加熱物30を、底プレート11からの熱伝導により下方から加熱するとともに、加熱室天板21により加熱された加熱室天板21からの輻射熱により上方から加熱する。そのため、被加熱物30が食パンである場合、焼きムラの少ない状態に焼き上げることができる。
【0116】
このように、加熱調理器100の制御装置50は、調理開始後、底面加熱装置12、及び上面加熱装置23に対する通電を所定時間通電するように制御する。
【0117】
被加熱物30から外部に蒸発した水分はシール部材24により、加熱調理器本体10の上面である第1の重合面P1と、蓋体20の下面である第2の重合面P2との隙間から加熱調理器100の外部へ積極的に漏れることが抑制される。蒸発した水分とともに、被加熱物30から煙が発生しても、第1の重合面P1と、第2の重合面P2との隙間から加熱調理器100の外部へ煙が漏れることが抑制される。
【0118】
一方、蒸発した水分は、加熱室天板21に形成された排気口21aから、排気口21aに連なる上方の筒の内部を通り、上面加熱装置23、断熱材45及び第1上ケース42を貫通して、第1上ケース42の上面と第2上ケース43の下面とで構成される排気口上方空間に導かれ、加熱室40の外部に排出される。ここで、加熱室40内の水蒸気の量が多いほど、排気口21aから加熱室40の外部に排出される水蒸気の量が多くなる。したがって、余分な水蒸気は加熱室40の外部に排出されるので、加熱室40内の水蒸気の量を適度に保つことができる。
【0119】
上面加熱装置23により加熱された被加熱物30は、主に被加熱物30の上面及び側面から水分が蒸発し、平面視で被加熱物30の全面から水蒸気が発生する。煙の発生についても同様と考えられる。排気口21aは、平面視で加熱室天板21の中央に配置されているので、排気口21aと被加熱物30の各位置までの距離は、排気口21aを中心として対象的にバランスがとれる。つまり、排気口21aが平面視で加熱室天板21の中央から外れた位置に形成されると、排気口21aと被加熱物30の各位置までの距離に偏りが生じる。したがって、排気口21aを、平面視で加熱室天板21の中央に配置することにより、被加熱物30から水蒸気や煙を偏りなく加熱室40の外部に排出できる。また、水蒸気や煙とともに加熱室40内の熱も偏りなく排出され、被加熱物30の焼き色を均一化しやすい。
【0120】
第1上ケース42の上面と第2上ケース43の下面とで構成される排気口上方空間に導かれた水蒸気は、排気口上方空間から加熱調理器本体10の側面に形成された本体排気口21cに至る排気経路を形成する導通体21bに導かれ、加熱調理器100の外部へ排出される。このように、余分な水蒸気は加熱室40から加熱調理器100の外部へ排出されるので、加熱調理器本体10の内部に水分が侵入することが防止でき、加熱調理器100の電気部品の短絡故障の発生を抑制することができる。また、水蒸気が導通体21bを通過して本体排気口21cから外部へ排気されるので、排気口上方空間における水蒸気の温度が導通体21bを通過している間に低下し、高温の水蒸気が本体排気口21cから外部へ排気されるのが抑制され、使い勝手がよい。
【0121】
ヒンジ部19の設けられる側の側面(後側の側面)と平行な他側の側面(前側の側面)は、加熱調理器100を使用する際に使用者が立つ頻度の高い位置と考えられる。したがって、本体排気口21cを、ヒンジ部19の設けられる側の側面(後側の側面)と平行な他側の側面(前側の側面)を除く側面、すなわち、右側側面、左側側面、または後側側面のいずれかに形成したので、使用者の方向に向って水蒸気や煙が排出されることが抑制され、使い勝手がよい。
【0122】
このように、実施の形態1の加熱調理器は、被加熱物の下面に接触又は近接して当該被加熱物に熱を伝える底プレートと、底プレートを加熱する底面加熱装置と、プレートの上方空間を開閉自在に覆う加熱室天板と、加熱室天板を加熱する上面加熱装置と、底面加熱装置および上面加熱装置を制御する制御装置と、を備え、底プレートの上方空間を加熱室天板が覆った状態では、それらの間に加熱室が形成されるものであり、底プレートは、熱伝導で加熱室に収容された被加熱物を下方から加熱し、加熱室天板は被加熱物に輻射熱を放射し、加熱室の外部に連通する排気口を加熱室天板に設けたので、被加熱物から発生する水蒸気や煙を加熱室内の外部に排出でき、加熱室内の温度、湿度を適度に保つことができる。したがって、非加熱物としてパンを焼く場合には、パン内部の水分が保たれ、表面は香ばしく焼き上げることができる。
【0123】
また、排気口を平面視で加熱室天板の中央に配置したので、被加熱物から水蒸気や煙を効率よく加熱室の外部に排出できる。
【0124】
また、加熱室と加熱調理器の外部とが排気口と導通体とを介して連通するように構成したので、加熱調理器の電気部品が収容される内部に水分が侵入することが防止でき、加熱調理器の電気部品の短絡故障の発生を抑制することができる。また、高温の水蒸気が本体排気口から外部へ排気されるのが抑制され、使い勝手がよい。
【0125】
また、加熱室天板は、ヒンジ部の回動軸の周りに回動されて底プレートの上方空間を開閉自在に覆い、ヒンジ部の設けられる側の加熱調理器の側面と平行な他側の側面を除く側面に本体排気口を形成し、加熱室と加熱調理器の外部とが排気口と導通体と本体排気口を介して連通するように構成したので、使用者の方向に向って水蒸気や煙が排出されることが抑制され、使い勝手がよい。
【0126】
実施の形態2.
実施の形態2の加熱調理器は、実施の形態1の加熱調理器における導通体を含む排気経路の後端の本体排気口につゆ受部を配置した点が異なり、その他の構成は実施の形態1と同様である。また、つゆ受部にラビリンス部を設けたものである。
【0127】
図17は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の加熱調理器の外観を示す、正面の斜め上方からみた斜視図である。
図18は実施の形態2に係る加熱調理器の外観を示す、背面の斜め上方からみた斜視図である。
図19は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の斜視図における縦断面図である。
図20は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の斜視図における縦断面図である。
図21は、
図20のA部の拡大図である。
図22(a)は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の蓋体を開放した状態の斜視図における縦断面図であり、
図22(b)は
図22(a)のB部の拡大図である。
【0128】
図17〜
図20に示すように、つゆ受け部21dは、蓋体20のヒンジ部19の設けられる後側側面に形成される。
【0129】
図20に示すように、つゆ受け部21dは、本体排気口21cの下端側に形成される。
図21に示すように、つゆ受け部21dは断面がU字形状であり、U字形の底部に位置するつゆ溜め部21d1と、つゆ溜め部21d1に連なり、つゆ溜め部21d1から導通体21bの内部に延びるリブで形成されるラビリンス部(つゆ堰き止め部)21d2を有する。
【0130】
第1上ケース42の上面と第2上ケース43の下面とで構成される排気口上方空間に導かれた加熱室40内の水蒸気は、導通体21bを通過している間に温度が低下する。この温度が露点を下回ると結露する。導通体21b内で結露した水分は本体排気口21c方向に流れ、つゆ受け部21dに至る。つゆ受け部21dに溜まった水分はつゆ溜め部21d1によって堰き止められ、加熱調理器100の外部にこぼれることが抑制される。
【0131】
また、
図22に示すように、加熱室天板21を有する蓋体20をヒンジ部19の周りに回転して開き、垂直に立てたときに、導通体21b内で結露した水はつゆ溜め部21d1に溜まる。つゆ堰き止め部21d2は、つゆ溜め部21d1に溜められた水が溢れて本体排気口21cから蓋体20の外部にこぼれないようにつゆを堰き止める。また、蓋体20をヒンジ部19の周りに回転して閉じたとき、つゆ溜め部21d1に溜まった水は導通体21bの内部に戻り、本体排気口21cから蓋体20の外部にこぼれることがない。
【0132】
また、つゆ受け部21dは加熱調理器100側と着脱自在に取り付けられる。つゆ受け部21dのみが加熱調理器100に対して着脱自在に取り付けられるように構成してもよいし、つゆ受け部21dと本体排気口21cとを一体に構成し、つゆ受け部21dと本体排気口21cとを一体で、加熱調理器100に対して着脱自在に取り付けられるように構成してもよい。このように構成することにより、つゆ受け部21dを取り外して清掃することができ、メンテナンスが容易となる。
【0133】
このように、実施の形態2の加熱調理器は、本体排気口につゆ受け部を設けたので、加熱室内の水蒸気が結露した水が加熱調理器の外部にこぼれることが抑制できる。
【0134】
また、本体排気口に配置したつゆ受け部にラビリンス部を設けたので、加熱室天板を含む蓋体をヒンジ部の周りに回転して開き、垂直に立てたときに、導通体の内部に結露した水が加熱調理器の外部にこぼれることを抑制できる。
【0135】
また、つゆ受け部は加熱調理器側と着脱自在に取り付けられるように構成したので、つゆ受け部のメンテナンスが容易となる。
【0136】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。