特許第6843103号(P6843103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843103グルタルイミド誘導体、その使用、それに基づいた医薬組成物及びグルタルイミド誘導体を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843103
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】グルタルイミド誘導体、その使用、それに基づいた医薬組成物及びグルタルイミド誘導体を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/88 20060101AFI20210308BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20210308BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20210308BHJP
   C07D 405/06 20060101ALI20210308BHJP
   C07D 409/06 20060101ALI20210308BHJP
   C07D 413/06 20060101ALI20210308BHJP
   C07D 417/06 20060101ALI20210308BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20210308BHJP
   C07D 473/00 20060101ALI20210308BHJP
   A61K 31/4525 20060101ALI20210308BHJP
   A61K 31/4535 20060101ALI20210308BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20210308BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20210308BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20210308BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210308BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20210308BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20210308BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20210308BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   C07D211/88CSP
   C07D401/06
   C07D401/14
   C07D405/06
   C07D409/06
   C07D413/06
   C07D417/06
   C07D471/04 104Z
   C07D471/04 106A
   C07D471/04 108A
   C07D473/00
   A61K31/4525
   A61K31/4535
   A61K31/454
   A61K31/4545
   A61K31/52
   A61P11/00
   A61P11/06
   A61P11/08
   A61P31/14
   A61P31/16
【請求項の数】30
【外国語出願】
【全頁数】127
(21)【出願番号】特願2018-209575(P2018-209575)
(22)【出願日】2018年11月7日
(62)【分割の表示】特願2016-507512(P2016-507512)の分割
【原出願日】2014年4月10日
(65)【公開番号】特開2019-34966(P2019-34966A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2018年12月6日
(31)【優先権主張番号】2013116826
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】515054815
【氏名又は名称】オブシェストヴォ・ス・オグラニチェンノイ・オトヴェトストヴェンノストジュ・“ファームエンタープライジーズ”
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウラジミール・エフゲニーヴィチ・ネボルシン
(72)【発明者】
【氏名】タチアナ・アレクサンドロヴァナ・クロモヴァ
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特表昭63−502587(JP,A)
【文献】 特表2008−543958(JP,A)
【文献】 米国特許第4261990(US,A)
【文献】 国際公開第02/092575(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/093247(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 211/00−211/98
C07D 401/00−401/14
C07D 405/00−405/14
C07D 409/00−409/14
C07D 413/00−413/14
C07D 417/00−417/14
C07D 471/00−473/40
A61K 31/00−31/80
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、メチル;-NH2、又はヒドロキシルを表し、
R2は、水素、メチル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C2アルキルであり、
R3は、
1)N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、Cl、C1〜C4アルキル、メトキシ、-C(O)OH、-NHC(O)CH3、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、前記5員の飽和又は不飽和の複素環式基は、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、イミダゾール-5-イル、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル、1,2,5-チアジアゾール-3-イル、1,2,5-オキサジアゾール-3-イル、及び1,2,4-オキサジアゾール-5-イルからなる群から選択され、
3)6員の不飽和窒素含有複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、又は
3’)基
【化2】
であり、
但し、R3
【化3】
ではないことを条件とする]
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
一般式I
【化4】
[式中、
mが0から2の整数であり、
Ra1及びRb1が、水素、メチル、アミノ又はヒドロキシルであり、
Rc1及びRd1が、水素、メチル、アミノ又はヒドロキシルであり、
Re1及びRf1が、水素又はメチルであり、
R2が、水素、メチル、カルボキシル、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルであり、
R3が、
【化5】
から選択される基である]
の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
から選択される化合物。
【請求項4】
気道疾患の治療のための医薬であって、一般式I
【化13】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、メチル;-NH2、又はヒドロキシルを表し、
R2は、水素、メチル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C2アルキルであり、
R3は、
1)N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、Cl、C1〜C4アルキル、メトキシ、-C(O)OH、-NHC(O)CH3、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
3)6員の不飽和窒素含有複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、又は
3’)ヒドロキシル、F、又はメチルから選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよい、ベンゾチアゾール-2-イル、インドール-2-イル、及びインドール-3-イルからなる群から選択される基であり、
但し、R3
【化14】
ではないことを条件とする]
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、医薬。
【請求項5】
気道疾患の治療のための医薬であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物から選択される化合物である、医薬。
【請求項6】
前記気道疾患が鼻副鼻腔炎である、請求項4又は5に記載の医薬。
【請求項7】
前記気道疾患がRNA含有ウイルスにより引き起こされたものである、請求項4又は5に記載の医薬。
【請求項8】
前記ウイルスが、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、RSウイルス、及びインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
前記疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、及び嚢胞性線維症の、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、及び/又はRSウイルスにより引き起こされた増悪である、請求項4又は5に記載の医薬。
【請求項10】
気道疾患の治療のための医薬組成物であって、有効量の一般式I
【化15】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、メチル;-NH2、又はヒドロキシルを表し、
R2は、水素、メチル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C2アルキルであり、
R3は、
1)N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、Cl、C1〜C4アルキル、メトキシ、-C(O)OH、-NHC(O)CH3、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
3)6員の不飽和窒素含有複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、又は
3’)ヒドロキシル、F、又はメチルから選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよい、ベンゾチアゾール-2-イル、インドール-2-イル、及びインドール-3-イルからなる群から選択される基であり、
但し、R3
【化16】
ではないことを条件とする]
の化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項11】
気道疾患の治療のための医薬組成物であって、有効量の請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物から選択される化合物を含む、医薬組成物。
【請求項12】
前記気道疾患が鼻副鼻腔炎である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記気道疾患がRNA含有ウイルスにより引き起こされたものである、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ウイルスが、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、RSウイルス、及びインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、及び嚢胞性線維症の、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、及び/又はRSウイルスにより引き起こされた増悪である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
気道疾患の治療のための医薬の製造のための、一般式I
【化17】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、メチル;-NH2、又はヒドロキシルを表し、
R2は、水素、メチル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C2アルキルであり、
R3は、
1)N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、Cl、C1〜C4アルキル、メトキシ、-C(O)OH、-NHC(O)CH3、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
3)6員の不飽和窒素含有複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、又は
3’)ヒドロキシル、F、又はメチルから選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよい、ベンゾチアゾール-2-イル、インドール-2-イル、及びインドール-3-イルからなる群から選択される基であり、
但し、R3
【化18】
ではないことを条件とする]
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項17】
気道疾患の治療のための医薬の製造のための化合物の使用であって、前記化合物が請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物から選択される、使用。
【請求項18】
前記気道疾患が鼻副鼻腔炎である、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項19】
前記気道疾患がRNA含有ウイルスにより引き起こされたものである、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項20】
前記ウイルスが、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、RSウイルス、及びインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、及び嚢胞性線維症の、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、及び/又はRSウイルスにより引き起こされた増悪である、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項22】
請求項1に記載の一般式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、有機溶媒中で、脱水剤と共に、一般式II
【化19】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、メチル;-NH2、又はヒドロキシルを表し、
R2は、水素、メチル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C2アルキルであり、
R3は、
1)N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、Cl、C1〜C4アルキル、メトキシ、-C(O)OH、-NHC(O)CH3、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
3)6員の不飽和窒素含有複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、又は
3’)ヒドロキシル、F、又はメチルから選択される1個又は2個の置換基で置換されていてもよい、ベンゾチアゾール-2-イル、インドール-2-イル、及びインドール-3-イルからなる群から選択される基であり、
但し、R3
【化20】
ではないことを条件とする]
のジカルボン酸モノアミドを加熱する工程を含む、方法。
【請求項23】
前記脱水剤がグルタル酸無水物であり、方法が、有機溶媒中で、加熱下で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記脱水剤が無水プロピオン酸であり、方法が、有機溶媒中で、加熱下で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
酢酸ナトリウムを添加して行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記脱水剤が無水酢酸であり、方法が、有機溶媒中、加熱下で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
酢酸ナトリウムを添加して行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記脱水剤が酢酸クロライドであり、方法が、有機溶媒中、加熱下で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記脱水剤及び前記溶媒が無水酢酸であり、方法が90℃〜100℃で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記脱水剤が、カルボニルジイミダゾールである、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な生物活性化合物、特にグルタルイミド誘導体又はその薬学的に許容される塩、上気道疾患の予防及び治療のための薬剤としてのその使用、並びに前記化合物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上気道慢性疾患は、世界中で、小児及び成人における最も一般的な疾患である。上気道慢性疾患には、特に、鼻副鼻腔炎が含まれる。
【0003】
鼻副鼻腔炎は、鼻及び副鼻腔(PNS)の粘膜の炎症であり、耳鼻咽喉科における最も実際的な問題である(Fokkens W.J.、Lund V.J.、Mullol J.ら、European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps. Rhinology 2007; 45; 20:1〜139頁)。鼻副鼻腔炎の原因は、ほぼ常に、粘膜繊毛クリアランスの機構が悪くなったときの、粘膜の密集、PNSの自然口の閉塞、及びそれらの換気における障害であり、前記機構は、吸入した汚染物質、アレルゲン及び病原生物の損傷作用から気道を防御する重要な一次的な生得的機構である。
【0004】
急性鼻副鼻腔炎は、急性呼吸器ウイルス感染症(ARVI)の頻繁な合併症である。
【0005】
今日において、鼻副鼻腔炎療法は、コルチコステロイドが顕著な抗炎症効果を有するので、コルチコステロイドの投与で開始される。コルチコステロイドは、単独療法として、又は抗生物質と組み合わせて使用される。より重度な形態の鼻副鼻腔炎は、抗生物質の使用を必要とする。主なコルチコステロイドは、フルチカゾン、ブデソニド及びモメタゾンである。鼻副鼻腔炎の治療において、コルチコステロイドは長期間の使用のために処方され、これは副作用及び耐性を引き起こし得る。副作用は、原則として、これらの医薬の固有のグルココルチコステロイド作用の現れであるが、生理学的標準を超える程度にある。
【0006】
処方される抗生物質は、一般に、ペニシリン系抗生物質(アモキシシリン、ペニシリンV)又は非ペニシリン系抗生物質(マクロライド、テトラサイクリン)(Fokkens W.J.、Lund V.J.、Mullol J.ら、European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps. Rhinology 2007; 45; 20:1〜139頁)である。
【0007】
したがって、鼻副鼻腔炎の治療を強化し、化膿性炎症及び壊死性欠陥の形態の表面下損傷を低減させながら炎症反応を弱め得る、また疾患が慢性化するのを防ぎ得る、新規な製剤が必要とされている。したがって、本発明の目的は、鼻副鼻腔炎の治療のための新規な医薬を開発し、診療に導入することである。
【0008】
ウイルス感染症は深刻な健康問題である。ほとんどの有害で危険なウイルス感染症に対する抗ウイルス薬は開発されておらず、既存の医薬はしばしばヒトにとって毒性があるか、有効性が不十分である。既存又は開発下の薬物の大部分は、特異的なウイルスタンパク質との特異的相互作用を通して作用する。そのような薬物は、作用のスペクトラムが限られており、耐性ウイルス変異株の急速な出現を促進する。ボルティモアウイルス分類システムの第IV及びV群には、一本鎖(+)又は(-)RNAを含むウイルスが含まれる。第IV群には、代表として、ピコルナウイルス科のエンテロウイルス属及びコロナウイルス科が含まれ、第V群には、パラミクソウイルス科の呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス、RSV)及びオルトミクソウイルス科のインフルエンザウイルスが含まれる。
【0009】
列挙したウイルス群は、細胞の抗ウイルスプログラムを阻害する効果的な戦略を発展させてきた。細胞の抗ウイルス防御システムを阻害するそのような攻撃的戦略は、これらのウイルス群の高伝染性及び高病原性につながり、この事実は、エンテロウイルス属に属するウイルスにより引き起こされる疾患のリスト(灰白髄炎、ウイルス性鼻炎(ライノウイルス性感冒))により確認されている。今日では、エンテロウイルス属のウイルスの中で、ヒトライノウイルスが最大の問題を引き起こしている。ライノウイルスは、鼻咽頭粘膜細胞において複製されるが、ヒトにおける上気道疾患の病原体である。ライノウイルスは、感冒関連疾患の少なくとも80%の病原体である。莫大な経済的損失(米国において毎年2000万人のヒト/時)に加えて、ライノウイルス感染症は、副鼻腔炎や中耳炎などの多数の合併症を引き起こし、肺炎を患う小児のウイルス学的検査において頻繁に検出される。喘息をもつ小児において、ライノウイルス感染はまた、80%の症例において増悪の原因である。成人では、ライノウイルスは、喘息と慢性閉塞性肺疾患の両方、慢性気管支炎、及び嚢胞性線維症の増悪を引き起こすことがある。ライノウイルスは、免疫不全状態を有する肺炎患者において単離された。
【0010】
100を超えるライノウイルスの抗原型が存在するので、このことが有効なワクチンを開発することを不可能にしている(Palmenberg, A. C; Spiro, D; Kuzmickas, R; Wang, S; Djikeng, A; Rathe, JA; Fraser-Liggett, CM; Liggett, SB (2009). 「Sequencing and Analyses of All Known Human rhinovirus Genomes Reveals Structure and Evolution」. Science 324 (5923): 55〜9頁. doi:10.1126/science. 1165557. PM1D 19213880)。更に、ライノウイルス感染症の治療のための有効な化学療法剤は存在しない。
【0011】
コクサッキーウイルス感染症(HCXV)は、顕著な臨床的多様性を特徴とする多数の疾患である。コクサッキーウイルス感染症は、髄膜炎、麻痺、急性呼吸器障害、肺炎、出血性結膜炎、心筋炎、肝炎、糖尿病及びその他の症候群において現れ得る。ウイルスの現代的分類によると、エンテロウイルス属に属するヒトエンテロウイルスは、5種:1)ポリオウイルス;2)ヒトエンテロウイルスA;3)ヒトエンテロウイルスB;4)ヒトエンテロウイルスC;及び5)ヒトエンテロウイルスDに分割される。コクサッキーウイルスの多様な血清型は、以下のエンテロウイルス種:ヒトエンテロウイルスA(コクサッキーウイルスA2〜8、10、12、14、及び16);ヒトエンテロウイルスB(コクサッキーウイルスA9、B1〜6);ヒトエンテロウイルスC(コクサッキーウイルスA1、11、13、15、17〜22、及び24)に属する。
【0012】
コクサッキーウイルスは、他のヒトエンテロウイルスのように、世界中で遍在する。温帯の国では、これらの最大の循環は、夏秋季に観察される。このウイルスは、高い侵襲性を特徴とし、そのためヒト個体群におけるそれらの急速な拡散を促進している。コクサッキーウイルスは、組織された小児の集団及び病院における「突然の」発生の原因であることがしばしばであり;感染症の家族間の拡散もまた起こる。ウイルスゲノムの高い変動性が、コクサッキーウイルス及び他のエンテロウイルス感染症の疫学において重要な役割を果たしている。結果として、多様な血清型が、ある特定の状況において、異なる病状を引き起こすことが可能である。他方では、同じ臨床症候群が、異なる血清型及び異なるエンテロウイルス種により引き起こされ得る。改変ウイルスの遺伝的変異性、選択及び急速な拡散が、その病因がこれらのウイルスとは関係がないか、それらの循環が長い間記録されなかった、疾患の大規模な発生をもたらす。
【0013】
コクサッキーウイルスの一次的複製は、鼻咽頭及び消化管関連のリンパ組織で起こる。それは、ARD、ヘルパンギーナ、咽頭炎等の症状で現れる局所病変を引き起こす。咽喉では、このウイルスは、7日目まで検出され、3〜4週間糞便と排泄される(免疫不全の場合、数年間)。ウイルス血症は、その結果としてウイルスが標的器官に侵入するが、ウイルスの一次的複製に続く。コクサッキーウイルスについては、そのような標的器官は、脳及び脊髄、髄膜、上気道、肺、心臓、肝臓、皮膚等であり得る。コクサッキーウイルスBは、新生児において重度の全身性病理過程を引き起こし、心臓、脳及び脊髄、肝臓及び腎臓における壊死をもたらし得る。このウイルスは、以下の臨床症候群:無菌性髄膜炎(コクサッキーウイルスA2、3、4、6、7、9、10、及びB1〜6);心筋炎及び髄膜脳炎を患う小児における急性全身性疾患(コクサッキーウイルスD1〜5);麻痺(コクサッキーウイルスA1、2、5、7、8、9、21、及びB2〜5);ヘルパンギーナ(コクサッキーウイルスA2、3、4、5、6、8、及び10);急性咽頭炎(コクサッキーウイルスA10、21);伝染性鼻炎(コクサッキーウイルスA21、24);上気道の損傷(コクサッキーウイルスA9、16、及びB2〜5)(16);心膜炎、心筋炎(コクサッキーウイルスB1〜5);肝炎(コクサッキーウイルスA4、9、20、及びB5);新生児及び乳児の下痢(コクサッキーウイルスA18、20、21、24);急性出血性結膜炎(コクサッキーウイルスA24);手足口病(コクサッキーウイルスA5、10、16);発疹(コクサッキーウイルスA4、5、6、9、16);胸膜痛(コクサッキーウイルスB3、5);発疹(コクサッキーウイルスB5);発熱(コクサッキーウイルスB1〜5)を引き起こす;コクサッキーウイルス感染症の治療のための特定の化学療法剤は存在しない。疾患の臨床型に応じて、対病原及び対症療法が適用される。
【0014】
パラミクソウイルス科には、代表として、レスピロウイルス属(ヒトパラインフルエンザウイルス1、2、3、4、及び5型)並びにニューモウイルス属(RSウイルス)が含まれる。
【0015】
パラミクソウイルスは、呼吸器疾患に関連する重要なクラスのウイルスである。RSウイルス(RSV)は、世界中で、下気道の主要な病原体であることが知られている。
【0016】
RSVは、新生児及び乳児における病原体であり、重度のウイルス性気管支炎及び/又は肺炎の少なくとも70%の病原体であり、その大部分は喘鳴及び呼吸困難を特徴とする。これらの細気管支炎は、小児の生後1年間の冬季における入院の最も一般的な原因である。RSVはまた、全年齢のヒトにおける細気管支炎、肺炎及び慢性閉塞性呼吸器疾患を引き起こし、冬季における超過死亡率に大きく寄与する。
【0017】
乳児及び幼児において、RSVは、ラッセル音及び喘息の増悪の主な誘導物質である。RSVに感染した成人は、健康な患者と比較して、入院につながる喘息の増悪のリスクが高いことが報告されている(Falsey AR、Hennessey PA、Formica MA、Cox C、Walsh EE. Respiratory syncytial virus infection in elderly and high-risk adults. N Engl J Med. 2005; 352(17):1749〜1759頁)。
【0018】
RSVは、ウイルス感染症の中でも死亡例数において主要な位置にある。米国のみで、小児におけるウイルス性下気道疾患の治療に24億ドルを費やしている。1歳までに、50〜65%の小児がこのウイルスに感染したことがあり、2歳までに、ほとんど100%の小児が感染したことがある。早産新生児及び高齢者に加えて、高リスク群には、心血管、呼吸器及び免疫系の疾患をもつ人が含まれる。公開及び非公開データに基づいて、RSVが、世界中で、3億3800万例の一過性急性下気道感染症(LRTI)、3400万件の入院を必要とする重度のLRTI例、及び66,000〜99,000件の死亡例を5歳未満の小児の間で引き起こすことが計算されている(Nair H、Nokes DJ、Gessner BD、Dherani M、Madhi SA、Singleton RJ、O'Brien KL、Roca A、Wright PF、Bruce N、Chandran A、Theodoratou E、Sutanto A、Sedyaningsih ER、Ngama M、Munywoki PK、Kartasasmita C、Simoes EA、Rudan I、Weber MW、Campbell H. Global burden of acute lower respiratory infections due to respiratory syncytial virus in young children: a systematic review and meta-analysis. Lancet; 375: 1545〜55頁)。米国のみで、90,000人の早産新生児、125,000人の入院した新生児、3500万人を超える2歳未満の小児、及び175,000人の入院した成人が、毎年治療を必要としている(Storey S. Respiratory syncytial virus market. Nat Rev Drug Discov 2010; 9: 15〜6頁.)。生後1年間で、急性細気管支炎で入院した小児の約3分の1が、一過性呼吸困難及び通常のアレルゲンに対する増加した感受性を有する(Schauer U、Hoffjan S、Bittscheidt J、Kochling A、Hemmis S、Bongartz S、Stephan V. RSV bronchiolitis and risk of wheeze and allergic sensitisation in the first year of life. Eur Respir J 2002; 20: 1277〜83頁)。これらの症状は、その後の数年間に再発することがある(Sigurs N、Gustafsson PM、Bjarnason R、Lundberg F、Schmidt S、Sigurbergsson F、Kjellman B. Severe respiratory syncytial virus bronchiolitis in infancy and asthma and allergy at age 13. Am J Respir Crit Care Med 2005; 171: 137〜41頁)。細気管支炎は、ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザ及びパラインフルエンザウイルス、並びにアデノウイルスによっても引き起こされ得る。しかしながら、全ての列挙したウイルスの中で、RSVが、細気管支炎による入院の最も多い原因である。小児(未熟な免疫系を有する)と成人の両方において、過去のRSV感染の結果として形成された適応免疫は、短期間であり、完全な抗ウイルス防御をもたらさない。この事実により、一生を通して再感染が起こることにつながる。生後数カ月に、新生児の血液は母体の抗RSV抗体を含んでいる;しかしながら、抗体は小児を防御しない。
【0019】
(+)及び(-)RNAウイルスにより引き起こされた感染症において、いくらかの有益な効果を及ぼす唯一の化学療法剤は、リバビリンであることに留意するべきである。しかしながら、リバビリンは、しばしば貧血を引き起こす、比較的毒性のある薬物である。その主な特徴は、赤血球における長期の保存である。結果として、微量のリバビリンが療法の終了の6カ月後でも検出される。また、リバビリンの催奇形性に関する報告もある。
【0020】
インフルエンザウイルスは、4つの属:A、B、及びC型インフルエンザウイルス並びにトゴトウイルス(D型インフルエンザウイルスと称されることもある)を含むオルトミクソウイルス科に属する。ヒトは、A、B及びC型インフルエンザウイルスに感染し得るが、A型のみがパンデミックを引き起こし、ヒトにとって深刻な脅威をもたらす。WHOデータによると、インフルエンザは、世界中で毎年、3〜5百万例の重度疾患及び250,000から500,000件の死亡例を引き起こす。
【0021】
インフルエンザウイルスはまた、喘息が増悪した患者によっても吐き出される;しかしながら、症例の数は他のウイルスの1〜9%である。
【0022】
インフルエンザウイルスの2種の主な表面糖タンパク質、ヘマグルチニン及びノイラミニダーゼは、ウイルスの吸着及び宿主細胞からのウイルスの放出を担うと同時に、抗体の主な標的である。A型ウイルスは、16変種のヘマグルチニン及び9変種のノイラミニダーゼの異なる組合せに基づいて亜型に細分される。全ての公知の亜型は、A型インフルエンザウイルスの自然宿主であると考えられている野鳥について確認された。3種の亜型のみ、詳細にはA(H1N1)、A(H2N2)及びA(H3N2)が、ヒト個体群において知られている。これらのウイルスは、B型インフルエンザウイルスと共に、多様な重症度の毎年の流行の原因となる。インフルエンザウイルスの多様性は、遺伝的に決定される特徴である。インフルエンザウイルスの分節型のマイナス鎖RNAゲノム機構が、混合感染の間に、異なる株間でのゲノム分節の交換(いわゆる遺伝子再集合)を促進する。更に、インフルエンザウイルスのポリメラーゼにおける校正活性の欠失が、ウイルス遺伝子における高い突然変異率につながることで、「新たな」抗原特性を有するインフルエンザ株の定期的な出現につながる。変化がヒト個体群における既存の免疫を克服するのに十分である場合、ウイルスは流行を引き起こすことが可能である。ヒト個体群が新たに現れた変異株に対して全くナイーブである場合、このウイルスは容易に感染を起こすことができ、感染者から未感染者に伝播され、パンデミックを起こす。上に示した特性が、抗インフルエンザワクチンの創製における困難を決定する。インフルエンザウイルスのM2タンパク質又はノイラミニダーゼを阻害する2つのクラスの医薬が知られている。アダマンタン誘導体(アマンタジン及びリマンタジン)は、A型インフルエンザウイルスに対して活性がある(しかしB型に対しては活性でない)。ノイラミニダーゼ阻害性医薬は、ザナミビル及びオセルタミビルである。両方の医薬が、好ましくは早期段階で有効である。
【0023】
ジカルボン酸イミドを合成するための最も一般的な方法は、ジカルボン酸又はその誘導体、例えば無水物、ジエステルなどを、第一級アミン又はそのアミドと共に加熱する工程を含む、熱環化の方法である。環式イミドの収率は、通常80%である;しかしながら、この方法は高温下で実施されるので、この方法は熱的に安定なイミドの合成のためのみに用い得る[Weigand-Hilgetag、Experimental Methods in Organic Chemistry[ロシア語翻訳]、(N. N. Suvorov編)、Moscow、Khimiya、1968;446頁]。
【0024】
Yong Sup Leeらの論文、Studies on the site-selective N-acyliminium ion cyclazation: synthesis of (±)-glochidine and (±)-glochidicine. Heterocycles. Vol 37. No 1. 1994は、最初の反応物を200〜230℃に40分間加熱して、ヒスタミン二塩酸塩と無水コハク酸を縮合させることによるスクシンイミドヒスタミンの調製を開示している。
【0025】
国際特許出願公開第WO2007/000246号は、DMF中で、ピペリジン-2,6-ジオン及びピロリジン-2,5-ジオンを対応するハロ誘導体でアルキル化した後、分取クロマトグラフィーによって目的の置換イミドを分離することによって、グルタルイミドを合成するための方法を開示しており、これはマクロ量の合成には適用可能ではない。
【0026】
Shimotoriらの論文、Asymmetric synthesis of 5-lactones with lipase catalyst. Flavour and Fragrance Journal. - 2007. - V. 22. - No. 6. - 531〜539頁は、カルボン酸基活性化反応物として脱水剤、例えば無水酢酸などを使用することによって、対応するジカルボン酸のモノアミドを環化することにより、環式イミドを調製するための方法を記載している。
【0027】
Itoらの論文、Chemoselective Hydrogenation of Imides Catalyzed by CpRu(PN) Complexes and Its Application to the Asymmetric Synthesis of Paroxetine. // Journal of the American Chemical Society. - 2007. - V. 129. - No. 2. - 290〜291頁は、カルボン酸基活性化反応物として脱水剤、例えば塩化アセチルなどを使用することによって、対応するジカルボン酸のモノアミドを環化することにより、環式イミドを調製するための方法を記載している。
【0028】
Polniaszekらの論文、Stereoselective nucleophilic additions to the carbon-nitrogen double bond. 3. Chiral acyliminium ions. // Journal of Organic Chemistry. -1990. - V. 55. - No. 1. - 215〜223頁は、カルボン酸基活性化反応物として脱水剤、例えばカルボニルジイミダゾールなどを使用することによって、対応するジカルボン酸のモノアミドを環化することにより、環式イミドを調製するための方法を教示している。
【0029】
Ainhoa Ardeoらの論文、A practical approach to the fused P-carboline system. Asymmetric synthesis of indolo[2,3-α]indolizidinones via a diastereoselective intramolecularα-amidoalkylation reaction. /Tetrahedron Letters. 2003. 44. 8445〜8448頁は、第一級アミン及び対応する無水物から環式イミドを調製するための方法であって、脱水剤が過剰のグルタル酸無水物又は無水コハク酸である、方法を開示している。特に、前記論文は、酢酸中、沸騰下で、トリプタミン及び対応する酸の無水物から、グルタルイミドトリプタミン及びスクシンイミドトリプタミンを合成するスキームを提供する。前記方法により調製されたグルタルイミドトリプタミン及びスクシンイミドトリプタミンの収率は、それぞれ、67%及び81%である。
【0030】
国際出願公開第WO2007/007054号は、細胞、特に腫瘍細胞においてDNAメチル化に阻害作用を有する、一般式(I)のスクシンイミド及びグルタルイミド誘導体を開示している。前記明細書に開示された化合物は、炭化水素鎖を含むアミノ誘導体と対応する無水物又は酸、又はエーテルとの間の付加反応、その後の任意選択で塩基の存在下での任意選択による環化によって調製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】国際特許出願公開第WO2007/000246号
【特許文献2】国際出願公開第WO2007/007054号
【特許文献3】国際出願公開第WO1999/001103号
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Fokkens W.J.、Lund V.J.、Mullol J.ら、European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps. Rhinology 2007; 45; 20:1〜139頁
【非特許文献2】Palmenberg, A. C; Spiro, D; Kuzmickas, R; Wang, S; Djikeng, A; Rathe, JA; Fraser-Liggett, CM; Liggett, SB (2009). 「Sequencing and Analyses of All Known Human rhinovirus Genomes Reveals Structure and Evolution」. Science 324 (5923): 55〜9頁. doi:10.1126/science. 1165557. PM1D 19213880
【非特許文献3】Falsey AR、Hennessey PA、Formica MA、Cox C、Walsh EE. Respiratory syncytial virus infection in elderly and high-risk adults. N Engl J Med. 2005; 352(17):1749〜1759頁
【非特許文献4】Nair H、Nokes DJ、Gessner BD、Dherani M、Madhi SA、Singleton RJ、O'Brien KL、Roca A、Wright PF、Bruce N、Chandran A、Theodoratou E、Sutanto A、Sedyaningsih ER、Ngama M、Munywoki PK、Kartasasmita C、Simoes EA、Rudan I、Weber MW、Campbell H. Global burden of acute lower respiratory infections due to respiratory syncytial virus in young children: a systematic review and meta-analysis. Lancet; 375: 1545〜55頁
【非特許文献5】Storey S. Respiratory syncytial virus market. Nat Rev Drug Discov 2010; 9: 15〜6頁.
【非特許文献6】Schauer U、Hoffjan S、Bittscheidt J、Kochling A、Hemmis S、Bongartz S、Stephan V. RSV bronchiolitis and risk of wheeze and allergic sensitisation in the first year of life. Eur Respir J 2002; 20: 1277〜83頁
【非特許文献7】Sigurs N、Gustafsson PM、Bjarnason R、Lundberg F、Schmidt S、Sigurbergsson F、Kjellman B. Severe respiratory syncytial virus bronchiolitis in infancy and asthma and allergy at age 13. Am J Respir Crit Care Med 2005; 171: 137〜41頁
【非特許文献8】Weigand-Hilgetag、Experimental Methods in Organic Chemistry[ロシア語翻訳]、(N. N. Suvorov編)、Moscow、Khimiya、1968;446頁
【非特許文献9】Yong Sup Leeら、Studies on the site-selective N-acyliminium ion cyclazation: synthesis of (±)-glochidine and (±)-glochidicine. Heterocycles. Vol 37. No 1. 1994
【非特許文献10】Shimotoriら、Asymmetric synthesis of 5-lactones with lipase catalyst. Flavour and Fragrance Journal. - 2007. - V. 22. - No. 6. - 531〜539頁
【非特許文献11】Itoら;Chemoselective Hydrogenation of Imides Catalyzed by CpRu(PN) Complexes and Its Application to the Asymmetric Synthesis of Paroxetine. // Journal of the American Chemical Society. - 2007. - V. 129. - No. 2. - 290〜291頁
【非特許文献12】Polniaszekら;Stereoselective nucleophilic additions to the carbon-nitrogen double bond. 3. Chiral acyliminium ions. // Journal of Organic Chemistry. -1990. - V. 55. - No. 1. - 215〜223頁
【非特許文献13】Ainhoa Ardeoら、A practical approach to the fused P-carboline system. Asymmetric synthesis of indolo[2,3-α]indolizidinones via a diastereoselective intramolecularα-amidoalkylation reaction. /Tetrahedron Letters. 2003. 44. 8445〜8448頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
したがって、本発明の目的は、上気道疾患の治療において有効である、新規な無毒性のグルタルイミド誘導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、一般式I
【0035】
【化1】
【0036】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式又は複素環式基であり、又は
5)式
【0037】
【化2】
【0038】
の基である]
のグルタルイミド誘導体又はその薬学的に許容される塩であって、
但し、化合物が、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が-C(O)OCH3である場合、R3
【0039】
【化3】
【0040】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0041】
【化4】
【0042】
でない、
mが1であり、Ra1がアミノ基であってRb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であるか、Re1がアミノ基であってRa1、Rb1、Rc1、Rd1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0043】
【化5】
【0044】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0045】
【化6】
【0046】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0047】
【化7】
【0048】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0049】
【化8】
【0050】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0051】
【化9】
【0052】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0053】
【化10】
【0054】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0055】
【化11】
【0056】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が-C(O)OHである場合、R3
【0057】
【化12】
【0058】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が-C(O)OHである場合、R3
【0059】
【化13】
【0060】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0061】
【化14】
【0062】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0063】
【化15】
【0064】
でない、
mが2であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0065】
【化16】
【0066】
でない、
mが2であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0067】
【化17】
【0068】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【0069】
【化18】
【0070】
でない、
化合物ではないことを条件とする、グルタルイミド誘導体又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0071】
本発明はまた、上気道疾患の治療のための医薬であって、一般式(I)のグルタルイミド誘導体又はその薬学的に許容される塩である医薬に関する。
【0072】
本発明の別の目的は、有効量の一般式(I)のグルタルイミド誘導体又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む、上気道疾患の治療のための医薬組成物である。
【0073】
本発明は更に、有効量の一般式(I)のグルタルイミド誘導体又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、上気道疾患を治療するための方法に関する。
【0074】
本発明はまた、一般式(I)のグルタルイミド誘導体又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、有機溶媒中で、脱水剤と共に、一般式(II)
【0075】
【化19】
【0076】
式II
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH又は-C(O)C1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式若しくは複素環式基であり、又は
5)式
【0077】
【化20】
【0078】
の基である]
のジカルボン酸モノアミドを加熱する工程による、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明による好ましい化合物は、
mが0から2の整数であり、
Ra1及びRb1が、水素、メチル、アミノ又はヒドロキシルであり、
Rc1及びRd1が、水素、メチル、アミノ又はヒドロキシルであり、
Re1及びRf1が、水素又はメチルであり、
R2が、水素、メチル、カルボキシル、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルであり、
R3が、
【0080】
【化21A】
【化21B】
【化21C】
【化21D】
【0081】
から選択される基である、一般式Iの化合物である。
【0082】
本発明による最も好ましい化合物は、Table 1(表1)に表される化合物である。
【0083】
【表1A】
【0084】
【表1B】
【0085】
【表1C】
【0086】
【表1D】
【0087】
【表1E】
【0088】
【表1F】
【0089】
【表1G】
【0090】
【表1H】
【0091】
【表1I】
【0092】
【表1J】
【0093】
【表1K】
【0094】
【表1L】
【0095】
【表1M】
【0096】
【表1N】
【0097】
【表1O】
【0098】
【表1P】
【0099】
【表1Q】
【0100】
本発明による化合物の薬学的に許容される塩は、有機酸の付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、等)、無機酸の付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、等)、及びアミノ酸との塩(例えば、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、等)、好ましくはクロロハイドレート及び酢酸塩から選択することができる。
【0101】
本発明による治療のための医薬組成物及び方法において使用することができる最も好ましい知られた化合物は、Table 2(表2)に表されるグルタルイミド誘導体である。
【0102】
【表2A】
【0103】
【表2B】
【0104】
【表2C】
【0105】
本発明による化合物は、一般式IIの最初のジカルボン酸モノアミドを、脱水剤と共に、有機溶媒中又は脱水剤中で、任意選択で酢酸ナトリウムと共に、加熱する工程を含む方法により調製することができる。
【0106】
一般式IIの化合物及びそれを調製するための方法は、国際出願公開第WO1999/001103号に開示されている。
【0107】
加熱する工程は、好ましくは、90から120℃の温度で、より好ましくは100℃で、より好ましくは沸騰下で行われる。
【0108】
本方法において使用される脱水剤は、ジカルボン酸無水物、有機酸塩化物、及びカルボニルジイミダゾールから選択することができる。
【0109】
本方法において使用される好ましい脱水剤は、グルタル酸無水物、無水プロピオン酸、無水酢酸、酢酸クロライド、又はカルボニルジイミダゾールである。最も好ましい変形例は、トルエン中の無水プロピオン酸、好ましくはジメチルホルムアミド中のグルタル酸無水物、ジオキサン中の無水酢酸、又は酢酸中の酢酸クロライドである。
【0110】
本方法の最も好ましい変形形態は、脱水剤及び溶媒が酢酸であり、加熱が90〜100℃で行われる、方法である。
【0111】
化合物が更なる官能基(例えば、OH、NH2、COOH)を含む場合、例えばベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、及びアセチル基など、有機合成で通常使用される従来の保護基で、それらを事前に保護しなければならない。合成が完了したら、これらの基を、例えば、水素化によって、任意選択で除去する。
【0112】
窒素原子上で置換された一般式IのN-置換グルタルイミドを調製するための特許請求された方法は、実施が簡単で、きわめて穏便な条件下で実施され、副産物が生じず、容易に再現可能で、目的の生成物を高収率(82%まで)及び高純度で提供する。
【0113】
一般式Iのグルタルイミド誘導体は、上気道疾患に対して治療活性がある。
【0114】
特に、本発明による化合物は、細菌性、ウイルス性、若しくはウイルス性及び細菌性の病因の、又は他の要因により引き起こされた上気道疾患の治療において有用である。特に、そのような疾患は、鼻副鼻腔炎;ライノウイルス、コクサッキーウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルスなどのRNA含有ウイルスにより引き起こされた疾患、例えば、ライノウイルス、インフルエンザウイルス及び/又はRSウイルスにより引き起こされた、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎及び嚢胞性線維症の増悪である。
【0115】
本発明による化合物は、所望の治療効果をもたらす有効量において投与される。
【0116】
一般式(I)の化合物は、無毒性の薬学的に許容される担体を含む単位剤形において、経口的に、局所的に、非経口的に、鼻腔内に、吸入により、及び経直腸的に投与することができる。「非経口的に」という用語は、本発明では、皮下、静脈内、筋肉内又は胸内注射又は注入を意味する。
【0117】
本発明による化合物は、1日1回0.1から100mg/kg(体重)の用量で、好ましくは1日1回又は複数回0.25から25mg/kgの用量で、患者に投与することができる。
【0118】
更に、特定の患者についての特定の用量は、ある特定の化合物の活性、患者の年齢、体重、性別、全身の健康状態及び食事、医薬剤の投与の時間及び経路、並びに体内からのその排泄率、薬物の特定の組合せ、並びに治療される個体における疾患の重症度を含めた、多数の要因に依存することに留意するべきである。
【0119】
本発明による医薬組成物は、所望の技術的結果を達成するのに有効な量の一般式(I)の化合物を含み、筋肉内、静脈内、経口及び舌下投与、吸入による投与、鼻腔内及び直腸内投与に適した担体又は賦形剤との混合物で活性剤として本発明による化合物を含む単位剤形(例えば、固体、半固体、又は液体形態で)で投与することができる。有効成分は、液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、コーティング丸剤、乳剤、懸濁剤、軟膏剤、ゲル剤、及び任意の他の剤形の製造に適した通常の無毒性の薬学的に許容される担体と一緒に組成物にすることができる。
【0120】
賦形剤として、糖、例えば、グルコース、ラクトース、若しくはスクロース;マンニトール若しくはソルビトール;セルロース誘導体;及び/又はリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウムなどの多様な化合物を使用することができる。結合剤として、以下の化合物、例えば、デンプンペースト(例えば、トウモロコシ、コムギ、コメ、若しくはジャガイモデンプン)、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドンなどを使用することができる。任意選択で使用される崩壊剤は、上述のデンプン及びカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどである。
【0121】
任意選択で使用することができる添加剤は、流動性調整剤及び滑沢剤、例えば、二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸及びその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、並びに/又はプロピレングリコールである。
【0122】
コーティング丸剤の核は、通常、胃酸の作用に耐性のある層でコーティングされる。このために、糖の濃縮溶液を使用することができ、ここで前記溶液は、任意選択で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、並びに適切な有機溶媒又はその混合物を含むことができる。
【0123】
安定化剤、増粘剤、着色剤、及び香料も添加剤として使用することができる。
【0124】
軟膏基剤として、炭化水素軟膏基剤、例えば、白色ワセリン及び黄色ワセリン(それぞれ、Vaselinum album及びVaselinum flavum)、ワセリン油(Oleum Vaselini)、並びに白色軟膏及び液体軟膏(それぞれ、Unguentum album及びUnguentum flavum)(ここで固形パラフィン又はワックスをよりしっかりとした質感をもたらす添加剤として使用することができる);吸収性軟膏基剤、例えば、親水性ワセリン(Vaselinum hydrophylicum)、ラノリン(Lanolinum)、コールドクリーム(Unguentum leniens);水で除去可能な軟膏基剤、例えば、親水性軟膏(Unguentum hydrophylum);水溶性軟膏基剤、例えば、ポリエチレングリコール軟膏(Unguentum Glycolis Polyaethyleni);ベントナイト基剤;及びその他が使用可能である。
【0125】
ゲル剤用の基剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、オキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシド、及びカーボポール(carbopol)から選択することができる。
【0126】
単位剤形を調製する際に、担体と組み合わせて使用される活性剤の量は、治療されるレシピエント及び治療剤の特定の投与経路に応じて、変動し得る。
【0127】
例えば、本発明による化合物が注射用液剤の形態で使用される場合、この液剤中の活性剤の量は、5質量%までである。希釈剤は、0.9%塩化ナトリウム溶液、蒸留水、注射用ノボカイン(Novocain)溶液、リンゲル液、グルコース溶液、及び特定の溶解補助剤から選択することができる。本発明による化合物が錠剤又は坐剤形態で投与される場合、それらの量は単位剤形当たり200mgまでである。
【0128】
本発明による剤形は、通常の手順、例えば、混合、造粒、コーティング丸剤の形成、溶解、凍結乾燥などにより調製される。
【0129】
本発明による化合物は、比較の公知の医薬の用量よりも2〜3桁低い用量で生物活性があり、ほぼ同じ有効性を有することに留意するべきである。更に、これらの化合物により引き起こされた有害作用は記録されず、これらの化合物にはまた投与の禁忌がない。更に、本発明による化合物の毒性試験は、3000mg/kgの経口用量で、実験動物の間で死亡例は記録されなかった。
【0130】
本発明による化合物の詳細な説明、それらの調製及びそれらの活性の研究を、単に例示のみを目的とすることを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない、以下の実施例において開示する。
【0131】
一般式Iのグルタルイミド誘導体の合成例
材料及び方法
得られた化合物の同定は、薄層クロマトグラフィー(TLC)法により、「Kieselgel 60 F254」(「Merck社」、ドイツ)プレートで、溶媒系:クロロホルム-メタノール(8:2)(1);及びクロロホルム-メタノール(9:1)(2)で、評価した。
【0132】
クロマトグラム及び電気泳動図は、クロロ-テトラメチルベンゼン試薬及びパウリ試薬で染色した。
【0133】
フーリエ-IRスペクトルは、KBr錠剤を用いて「Magna 750」分光計[「Nicolet社」(US)]で記録した。
【0134】
Shimadzu Analytical HPLC SCL10Avp LC/MSシステムを、質量分析計PE SCIEX API 165 (150)(カナダ)での多成分混合物の分析のために使用した。
【0135】
分析スケール逆相HPLCを、Shimadzu HPLCクロマトグラフで、以下の条件下で行った:カラム:Symmetry C18、250x4.6mm;溶出グラジエント系:0.1%HCOOHを含む水:0.1%HCOOHを含むアセトニトリル(条件A);カラム:Merk.LiChroCART 250×4mm 5μm. LiChrospher 100RP-8E 5μm.C8、シリアル番号1.50837.0001;溶出グラジエント系:酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.5):アセトニトリル(条件B);0.0025Mの1-ヘキシルスルホン酸ナトリウムを含むバッファー(pH3):アセトニトリル(条件C);並びにカラム:Luna C18(2) 100A、250x4.6mm(シリアル番号599779-23)、溶出グラジエント系:リン酸緩衝液(pH3.0):メタノール(条件D)。
【0136】
1H NMRスペクトルは、Bruker AMX-400(ドイツ)分光計で記録した。
【0137】
高分解能質量スペクトルは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法による飛行時間型質量分析計で、2,5-ジヒドロキシ安息香酸をマトリックスとして使用して、Ultraflex質量分析計(「Bruker社」、ドイツ)で得た。
【実施例1】
【0138】
1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物1)の調製
5mlの酢酸に溶解した1,5-ペンタン二酸の2-(イミダゾール-4-イル)-エタンアミド(1g;4.4mmol)を平底フラスコに入れた。1と1/2当量の塩化アセチルを滴下した。反応マスを撹拌下90℃で12時間放置した。反応を1H-NMR分光法により制御した。反応混合物を冷却し、溶媒を真空下で除去した。形成した残留物を最小量の水に溶解し、炭酸ナトリウムを撹拌下バッチ式で加え、8〜9のpH値に達した。沈殿を濾過し、少量の水で洗浄し、乾燥させた。濾過後に、原液を塩化メチレンで3回抽出した。合わせた原液を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を真空下で除去した。形成した残留物を乾燥させて、最初の部分(濾過後)と合わせ、得られた薄色の粉末の形態の1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの量は、0.52g(収率、56%)であった。LC/MS、1.57分の保持時間で単一ピーク、[M+H]+=208、
【0139】
【数1】
【実施例2】
【0140】
1-(2-1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物1)の調製
1,5-ペンタン二酸の2-(イミダゾール-4-イル)-エタンアミド(1g;4.4mmol)及び10mlの無水プロピオン酸を平底フラスコに入れた。3当量の酢酸ナトリウムを加え、混合物を撹拌下120℃で12時間放置した。反応を1H-NMR分光法により制御した。反応混合物を、冷却及び撹拌下で3倍過剰の水で希釈し、炭酸ナトリウムをバッチ式で加え、8〜9のpH値に達した。反応混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機原液を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を除去した。得られた薄黄色の結晶の形態の1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの量は、0.37g(収率、40%)であった。[M]+207.9。
【0141】
【数2】
【実施例3】
【0142】
1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物1)の調製
1,5-ペンタン二酸の2-(イミダゾール-4-イル)-エタンアミド(100g、0.44mol)、無水酢酸(80ml、0.85mol)及びトルエン(200ml)を、還流冷却器を備えた1Lの三角フラスコに加えた。得られた懸濁剤を、固体が溶解するまで加熱し、溶液を6から8時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、300mlのメタノールを生じた油に加え、溶媒を真空下で繰り返し除去した。残留物を300mlの塩化メチレンに溶解し、65mlのトリエチルアミンをそこに加えた。生じた溶液を真空下で濃縮し、+4℃で18時間放置した。残留物をブフナー漏斗(d=10cm)で濾過し、イソプロパノールで3回洗浄し、+70℃で乾燥させた。純度はTLC法により制御した(Rf生成物、0.54;(1))。更なる精製及び清澄化が必要な場合、生成物を再結晶し、生成物の熱溶液を同時にカーボンブラック/炭素で処理した。得られた1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの量は、73.6g(収率、80%)であった。[M+H]+=208、
【0143】
【数3】
【0144】
以下の化合物を上に開示した方法により調製した:
【0145】
【表3】
【実施例4】
【0146】
1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物1)の調製
グルタル酸無水物(3.5g、0.031mol)を、25mlのN,N'-ホルムアミドに加熱下溶解した1,5-ペンタン二酸の2-(イミダゾール-4-イル)-エタンアミド(4.5g;0.020mol)に加え、反応混合物を100℃に4〜6時間加熱した。反応の完了をTLC又は電気泳動法により確認した。溶媒を真空下で除去し、油状の残留物を50mlの水に溶解し、溶液を70mlのAmberlite IRA-96を充填したカラムに通した。目的化合物を含む溶出液を収集し、溶媒を真空下で除去した。生じた固体残留物をクロロホルムから再結晶した。得られた1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの量は、3.1g(75.6%)であった。
Rf 0.43(2)。[M]+ 207.9。
【0147】
【数4】
【0148】
条件AでのHPLC:15.5分の保持時間での単一ピーク。
【0149】
フーリエ-IRスペクトル(KBr錠剤で、ν、cm-1):3136、3070、2833(-NH-val.)、1720、1670(CO、環式イミド)、1339、1257(-CH2-)。実測値、%:S、57.60;H、6.12;N、21.17。C10H13N3O2。計算値、%:S、57.96;H、6.32;N、20.28。
【実施例5】
【0150】
1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物1)の調製
1,5-ペンタン二酸の2-(イミダゾール-4-イル)-エタンアミド(100g、0.44mol)、無水プロピオン酸(102ml、0.80mol)及びトルエン(200ml)を、還流冷却器を備えた1Lの三角フラスコに加えた。得られた懸濁剤を、固体が溶解するまで加熱し、溶液を8から9時間還流させた。溶媒を真空下で除去し、300mlのメタノールを生じた油に加え、溶媒を真空下で繰り返し除去した。残留物を300mlの塩化メチレンに溶解し、65mlのトリエチルアミンをそこに加えた。生じた溶液を真空下で濃縮して、塩化メチレンの約70%を留去した後、0から+4℃で18時間放置した。残留物を濾過し、0から-5℃に冷却したイソプロパノールで3回洗浄した。粗生成物を再結晶し、生成物の熱い溶液を同時にカーボンブラック/炭素で処理した。純度はTLC法により制御した(Rf生成物、0.54;(1))。生成物の溶液を「MILLIPORE」濾過システム(0.45μm)で熱濾過に供し、+70℃の乾燥オーブンで真空下乾燥させた。得られた1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの量は、60.0gであった。
【0151】
【数5】
【実施例6】
【0152】
1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2-ジオン(化合物1)の調製
Nβ-グルタリルヒスタミン(5.0g;0.022mol)を12mlの無水酢酸中で100℃に4〜6時間加熱した。反応の完了をTLC又は電気泳動法により確認した。真空下で反応混合物から溶媒を除去し、生じた固体残留物をイソプロパノールアルコールから再結晶した。得られた1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの量は、3.7g(80%)であった。Rf 0.43(2)。実測値%:C 57.73;H 6.15;N 20.17。C10H13N3O2。計算値%:S、57.96;H、6.32;N、20.28。
【実施例7】
【0153】
1-[2-(1H-benzoチアゾール-2-イル)エチル]ピペリジン-2-ジオン(化合物7)
5-{[2-(1,3-benzoチアゾール-2-イル)エチル]アミノ}-5-オキソペンタン酸(22g;0.075mol)及び無水酢酸(23g;0.225mol)の混合物を150mlのジオキサン中で3時間沸騰させた。ジオキサンを真空下で除去し、200mlの水を加え、混合物を30%水酸化ナトリウムで中性pHに中和した。沈殿した油を結晶にトリチュレートした。残留物を、クロマトグラフィー(SiCO2 60〜100μm、溶離液:酢酸エチル-ヘキサン(1:1))により精製した。得られた1-[2-(1H-イミダゾール-2-イル)エチル]ピペリジン-2,6-ジオンの量は、16.5g(79.9%)であった。LC/MS:2.26分の保持時間での単一ピーク、[M+H]+=275。条件AでのHPLC:9.34分の保持時間での単一ピーク。
【0154】
【数6】
【0155】
以下の化合物を上に開示した方法により調製した:
【0156】
【表4】
【実施例8】
【0157】
1-[2-(1H-ピリジル-3-イル)エチル]ピペリジン-2,6-ジオン(化合物10)
1,5-ペンタン二酸の2-(ピリジル-3-イル)-エタンアミド(29.00g;0.12mol)及び無水酢酸ナトリウム(5.9g;0.07mol)を200mlの無水酢酸に溶解した。反応混合物を加熱してゆるやかに沸騰させ、18時間更に還流させた。反応の完了後、溶媒を真空下で除去し、残留物を500mlのジクロロメタンに溶解し、100ml分の3%ソーダ溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を真空下で除去し、生じた油をジオキサンに溶解した。ジオキサン中の3M HCl溶液を加え、沈殿を濾過して、125gのイソプロパノールから再結晶した。塩酸塩の形態の生成物が、25g(収率、80%)の量で得られた。LC/MS:0.5分の保持時間での単一ピーク、[M+H]+=218。条件D下でのHPLC:16.72分の保持時間での単一ピーク。
【0158】
【数7】
【0159】
以下の化合物を上に開示した方法により調製した:
【0160】
【表5】
【実施例9】
【0161】
1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオン(化合物1)
N,N'-ジメチルホルムアミド(60ml)及び1,5-ペンタン二酸の2-(イミダゾール-4-イル)-エタンアミド(20g)を平底フラスコ(250ml)に入れた。カルボニルジイミダゾール(17.3g;1.2当量)を激しく撹拌しながら加えた。反応混合物を90℃に2時間加熱した。反応を1H-NMR分光法により制御した[試料(0.5ml)を硫酸エーテルで希釈し、沈殿をDMSO-d6に溶解した]。最初の1,5-ペンタン二酸の2-(イミダゾール-4-イル)-エタンアミドが反応マス中になくなったとき、マスを冷却し、3倍容量のメチルtert-ブチルエーテル(180ml)に注いだ。反応混合物を1時間放置し、沈殿を濾過し、60mlのメチルtert-ブチルエーテルで洗浄して、乾燥させた。粗製の1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの収量は、12.4g(67%)であった。
【0162】
粗製の1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオン(12g)及びイソプロパノール(36mg)を100mlの平底フラスコに入れた。混合物を残留物が完全に溶解するまで加熱した後、1.2gの活性炭を加え、混合物を1時間放置した。熱い溶液を予熱したセラミックフィルターで濾過した。フィルター上の残留物を6mlの熱イソプロパノールで洗浄した。熱い原液を室温に冷却して、撹拌下で一晩放置し、結晶化させた。沈殿した結晶を濾過し、6mlの冷イソプロパノールで洗浄し、乾燥させた。再結晶後に、得られた1-(2-(1H-イミダゾール-4-イル)エチル)ピペリジン-2,6-ジオンの量は、10.1g(84%)であった。生成物をLC/MS法で分析した:1.57分の保持時間での単一ピーク;[M+H]+=208。
【0163】
Table 3(表6)に表される化合物9、12〜115を類似の方法により合成した。
【0164】
【表6A】
【0165】
【表6B】
【0166】
【表6C】
【0167】
【表6D】
【0168】
【表6E】
【0169】
【表6F】
【0170】
【表6G】
【0171】
【表6H】
【0172】
【表6I】
【0173】
【表6J】
【0174】
【表6K】
【0175】
【表6L】
【0176】
【表6M】
【0177】
【表6N】
【0178】
【表6O】
【0179】
【表6P】
【0180】
【表6Q】
【0181】
【表6R】
【0182】
【表6S】
【0183】
【表6T】
【0184】
【表6U】
【0185】
【表6V】
【0186】
【表6W】
【0187】
【表6X】
【実施例10】
【0188】
急性鼻副鼻腔炎ラットモデルにおける化合物の有効性の評価
組織プレパラートの形態学的研究は、Leica DMLS光学顕微鏡(Leica Microsystems社、ドイツ)で実施した。微小形態学的評価は、Leica DMLB顕微鏡で接眼マイクロメーターを使用することによって行った。
【0189】
急性鼻副鼻腔炎を、ラットの各鼻孔への20μlの7.5%ホルマリン溶液(40%ホルムアルデヒド、8%メチルアルコール、及び52%水を含む水溶液)の鼻腔内投与により誘発した。
【0190】
ラット鼻孔へのホルマリンの投与は、隣接組織への炎症の伝播につながり、ヒトにおける鼻副鼻腔炎の症状に類似した臨床パターンをもたらす。
【0191】
順化期間の後に、以下の群を形成した:
- 0.2mlの量の生理食塩液を胃内に投与された無傷動物、急性鼻副鼻腔炎の誘発は行わなかった;
- 急性鼻副鼻腔炎の誘発後7日間、0.2mlの量の生理食塩液を胃内に投与された動物からなる対照群;
- 急性鼻副鼻腔炎の誘発後7日間、0.33mg/kgの用量でデキサメタゾンを筋肉内に投与された動物;及び
- 急性鼻副鼻腔炎の誘発後7日間、27mg/kgの用量で試験化合物を投与された動物。
【0192】
各動物の臨床観察を毎日、少なくとも1日2回行った。
【0193】
Wistarラットでの実験において、鼻孔への7.5%ホルマリン溶液の投与による急性鼻副鼻腔炎の誘発は、対照動物群において、鼻粘膜における急性炎症過程の発達を特徴付ける顕著な病的変化を引き起こした。引き起こされた病状は、密集、過形成、鼻道粘膜の巣状壊死、杯状細胞数の増加、単核細胞及び白血球による顕著な浸潤、及び粘膜下腺による粘液過剰生産を特徴とした。
【0194】
実験動物の両鼻孔の粘膜及び粘膜下層(呼吸部及び嗅部)を形態学的分析に供し、化合物の特異的活性を評価した。
【0195】
実験の臨床相が完了した後に、動物由来の材料(鼻、鼻唇溝三角部)を解剖し、10%ホルマリン溶液で24時間固定した後、12%「De Castro」溶液で脱灰し、その後に材料を漸増濃度(70〜95%)のアルコール、キシレン及びパラフィンで標準的な処置に供し、3〜5μmの連続パラフィン切片の厚みの組織プレパラートを作製した。顕微鏡検査のために、切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。その生産が炎症において増加する、酸ムコ多糖の検出を、アルシアンブルー(Alcian Blue)(pH2.5)によるプレパラートの組織化学的染色により行った。変化の比較及び組織学的評価を無傷ラットの群に対して行った。
【0196】
と殺後、鼻孔における炎症の肉眼的形態を、各動物において研究した。ラットの組織学的、組織化学的及び形態学的研究は、以下の鼻孔の特徴を評価することを意図した:粘膜の密集;鼻上皮の過形成及び壊死、鼻中隔の粘膜の1mm以内の杯状細胞数、及び炎症の特徴。
【0197】
この試験では、粘膜繊毛系の有効性を杯状細胞数により評価し、結果として、鼻孔の粘膜における顕微鏡的変化により評価した。
【0198】
Table 4(表7)。
鼻中隔の粘膜の1mm以内の杯状細胞数
【0199】
【表7】
【0200】
【表8】
【0201】
table 4(表7)及びtable 5(表8)から分かるように、一般式Iの化合物(試験した化合物に限定せず)は、粘膜繊毛系の有効性を有効に維持し、鼻副鼻腔炎モデルにおいて治療有効性を示す。試験した化合物の薬理学的作用は、より顕著な上皮の再生、杯状細胞数の減少及び粘液分泌過多に表された。
【実施例11】
【0202】
コクサッキーウイルスに対する式(I)の化合物のin vivo抗ウイルス活性
この試験は、事前に適応し、コクサッキーウイルス感染からマウスの死を引き起こす、トリプシン依存性株HCXV A2を使用した。
【0203】
実験は、6から7gの体重の白色マウスを使用することにより実施した。動物は、0.1ml/マウスの用量で、筋肉内で感染した。実験で用いた感染用量は、マウスにおいて致死を引き起こす10LD50であった。
【0204】
治療効果をもたらす化合物の能力は、非処置マウス群に対して、対照群のHCXV A2ウイルス感染マウスにおける死亡率により評価した。
【0205】
治療スキームに従って試験化合物及びプラセボを経口投与した。マウスに投与したプラセボは、生理食塩液からなった。陰性対照としての役割を果たす無傷動物は、実験動物と同じ条件下で、別個の部屋で維持した。
【0206】
実験に用いた動物を、14〜15匹の動物ごとに群に分けた。化合物を30mg/kg体重の用量で投与した。試験化合物を1日1回7日間経口投与した(最初の投与は感染の24時間後に行った)。動物を15日間監視し、その間動物を毎日体重測定し、死亡率を記録した。
【0207】
HCXV A2ウイルス感染における試験化合物の有効性の試験中、非特異的な死亡例は無傷動物の対照群において記録されなかった。
【0208】
一般式(I)の化合物は、動物の中で死亡率を減少させ、その平均余命を増加させることにより、実験的コクサッキーウイルス感染に対する防御効果を有した。いくつかの特定の式(I)の化合物(列挙した化合物に限定されず)のデータを表[Table 6(表9)]に表す。
【0209】
試験化合物の記載した抗ウイルス活性は、これらの化合物を、HCXVエンテロウイルス感染症において有効な医薬として使用することができることを実証している。
【0210】
【表9】
【実施例12】
【0211】
マウス適応RSウイルスに対する一般式(I)の化合物の抗ウイルス作用
実験マウスモデルにおけるRSVに対する化合物のin vivo抗ウイルス有効性を、マウス肺における増殖に事前に適応したヒトウイルスhRSVについて決定した。簡単なエーテル麻酔下で、動物の鼻腔内に、0.05ml/マウスの容量で0.5logTCID50の用量のウイルスを感染させた。治療スキームに従って試験化合物を30mg/kgの用量で1日1回5日間経口投与した。最初の投与は感染の24時間後に行った。マウスに投与したプラセボは、生理食塩液からなった。陰性対照としての役割を果たす無傷動物を、実験動物と同じ条件下で、別個の部屋で維持した。実験群は12匹の動物からなった。40mg/kgの用量のリバビリンを参照製剤として使用した。
【0212】
試験化合物の抗ウイルス活性を、感染後5日目及び7日目に、対照群に対して実験群におけるウイルス力価を測定することにより、体重損失の防止及びマウス肺におけるhRSVの複製の抑制についての有効性により決定した。
【0213】
いくつかの特定の式(I)の化合物(列挙した化合物に限定されず)について動物の体重を測定した結果を、table 7(表10)に表す。ウイルス対照群は、無傷動物と比較して、統計的に有意なマウスの体重損失を生じた。一般式(I)の化合物の抗ウイルス活性は、対照動物と比較して、マウスの体重増加で明らかだった。
【0214】
【表10】
【0215】
更に、一般式(I)の化合物の治療作用を、感染後5日目及び7日目でマウス肺におけるhRSVウイルスの複製を抑制するそれらの能力により評価した。ウイルス力価は、Hep-2細胞培養液中の肺の10%懸濁液の滴定により決定した。結果は、37℃でのインキュベーションの2日後にTCIDにより記録した。試験化合物及び参照製剤の投与後の、Hep-2細胞培養液中のマウス肺懸濁液におけるhRSVの感染活性の決定の結果を、Table 8(表11)に示す。一般式Iの化合物の動物への投与は、hRSV感染活性の減少をもたらした。
【0216】
マウスhRSV感染モデルにおける一般式(I)の化合物の抗ウイルス活性の試験は、特許請求された化合物が、体重損失を防止し、動物の肺におけるウイルス複製を減少させたことを示した。
【0217】
【表11】
【実施例13】
【0218】
免疫抑制系をもつマウスモデルにおける、RSウイルスに対する一般式(I)の化合物の抗ウイルス作用。
ヒトRSウイルス(5x106TCID50/mlの感染力価を有する、A2株、ATCC VR-1540)に対する化合物の抗ウイルス活性を、Balb/cマウスにおいてウイルス性肺炎モデルで評価した。簡単なエーテル麻酔下で、動物の鼻腔内に50μlの容量でウイルスを接種した。RSウイルスに対する免疫応答を抑制するために、感染の5日前に100mg/kgの用量でシクロホスファンを動物に腹腔内投与した。治療スキームに従って、感染の24時間後で開始して、試験化合物を1日1回30mg/kgの用量で5日間投与した。化合物の活性を、感染後5日目で、対照と比較して、RSウイルスに感染した肺の水腫の減少により評価した。
【0219】
いくつかの特定の一般式(I)の化合物(列挙した化合物に限定されず)についての、Table 9(表12)に表す結果は、動物のこのウイルスへの感染が、重度の肺水腫(上限の4に対し、3.15〜2.05のスコア)の形成につながったことを示す。使用した一般式(I)の化合物は、肺組織の構造に正常化作用を及ぼした。
【0220】
【表12】
【実施例14】
【0221】
ライノウイルスに対する式(I)の化合物の抗ウイルス活性
the State Collection of viruses(GKV)(reg. No. 2730)に寄託した著者のhRV株を使用することにより試験を行った。簡単なエーテル麻酔下で、動物の鼻腔内に0.05ml/マウスの容量でウイルスを感染させた。
【0222】
ウイルスをマウスで事前に滴定して、in vivo実験モデルにおけるhRVに対する化合物の有効性を決定した後、マウスを感染させ、製剤を経口投与した。感染後2日目、3日目及び4日目で、Hela細胞培養液中の肺懸濁液の滴定により感染力価を評価した。
【0223】
試験化合物及びプラセボ(生理食塩液)を、誘発の12時間後で開始して、1日1回5日間マウスに経口投与した。化合物を30mg/kg体重の用量で投与した。別個の部屋で実験動物と同じ条件下で保持した10匹の無傷動物が、陰性対照の役割を果たした。
【0224】
試験化合物の抗ウイルス活性を、感染の2日目、3日目及び4日目で、マウスにおける体と肺の重量変化の動力学及びHela細胞培養液中で決定されたウイルス感染活性の減少により評価した。対照群における力価と比較した、実験群の肺におけるRVウイルスの感染力価を、TCIDにより決定した。製剤の抗ウイルス有効性の基準は、対数単位で表した対照群(製剤なし)及び実験群における力価間の差異 - ΔlgTCID50であった。差異は、式:(log A)-(log B)による計算値であった。
【0225】
いくつかの特定の式(I)の化合物(列挙した化合物に限定されず)について、動物の体重を測定した結果を、Table 10(表13)に表す。
【0226】
【表13】
【0227】
感染過程の発達は、ウイルス対照群における動物の体重減少と関連し、ここで一般式(I)の試験化合物で処置されたマウスの体重が、3日目及び4日目で対照動物の体重と統計的に有意に異なった。
【0228】
ライノウイルス感染におけるマウスの肺重量の試験及び製剤の投与の治療スキームは、実験中に、感染マウスの肺重量が無傷マウスの肺重量を超えたことを示し、活発な感染過程を示した。4日目に、試験製剤の影響下にあるマウスの肺重量が、ウイルス対照群とは有意に異なり、無傷動物の肺重量とほとんど同じであった。いくつかの特定の化合物(列挙した化合物に限定されず)のデータを、Table 11(表14)に表す。
【0229】
【表14】
【0230】
いくつかの特定の一般式(I)の化合物(列挙した化合物に限定されず)の投与後の、Hela細胞培養液中のマウス肺の懸濁液におけるhRV感染活性の決定の結果を、Table 12(表15)に表す。
【0231】
【表15】
【0232】
一般式(I)の化合物による治療は、感染後3日目及び4日目でのhRV感染活性における減少をもたらした。
【0233】
マウスhRV感染モデルにおける一般式(I)の化合物の抗ウイルス活性の試験は、特許請求された化合物が、無傷動物群において観察された値に対する体重損失及び肺重量の増加を防止し、動物の肺におけるウイルス複製を減少させることを示した。
【実施例15】
【0234】
インフルエンザウイルスに対する式(I)の化合物の抗ウイルス活性。
インフルエンザウイルスA/California/07/09(H1N1)pdm09株を使用することにより試験を実施した。実験で用いた体重が14〜16gの白色非近交系雌マウスを20匹ごとに群に分けた。
【0235】
実験中に、各動物を毎日観察した。観察には、動物の一般行動及び身体状況の評価が含まれた。製剤の投与期間において、製剤の投与前のある特定の時間と、投与の約2時間後に、観察を行った。動物は国際規格に従って取り扱った。
【0236】
マウスの鼻腔内に、5LD50を含む0.05mlの容量で、インフルエンザウイルスA/California/07/09(H1N1)pdm09を感染させた。
【0237】
一般式(I)の化合物の治療効果を、ウイルスへの感染の24、48、72、96、及び120時間後に感染マウスへの化合物の1日1回30mg/kg/マウスの用量で経口投与により調査した。対照群のマウスに同じ条件下でプラセボ(0.2mlの生理食塩液)を投与した。動物を感染後14日間監視し、処置群及び対照群におけるインフルエンザ肺炎により引き起こされた死亡例を記録した。インフルエンザ肺炎に由来する動物の死の特異性が、死亡した動物の肺における解剖病理学的変化の登録により支持された。
【0238】
化合物の活性を、製剤及びプラセボを投与された動物の群間の死亡率の比較により評価した。
【0239】
プラセボを投与された感染動物の平均余命は、95%の死亡率で、7.2±2.2日であった。
【0240】
一般式(I)の化合物を投与された動物の群の死亡率は、30〜60%低減され、平均余命は対照マウスよりも長かった。いくつかの特定の一般式(I)の化合物(列挙した化合物に限定されず)についてのデータを、Table 13(表16)に表す。
【0241】
【表16】
【実施例16】
【0242】
本発明による化合物の剤形
本発明による化合物は、無毒性の薬学的に許容される担体を含む単位剤形において、経口的、筋肉内又は静脈内に投与することができる。
【0243】
化合物は、0.1から10mg/kg体重の1日用量で、好ましくは1日1回又は複数回0.5から5mg/kgの用量で、患者に投与することができる。
【0244】
更に、特定の患者についての特定の用量は、ある特定の化合物の活性、患者の年齢、体重、性別、全身の健康状態及び食事、医薬剤の投与の時間及び経路、並びに体内からのその排泄率、薬物の特定の組合せ、並びに治療される個体における疾患の重症度を含めた、多数の要因に依存することに留意するべきである。
【0245】
本発明による医薬組成物は、所望の技術的結果を達成するのに有効な量の一般式(I)の化合物を含み、筋肉内、静脈内、経口及び舌下投与、吸入による投与、鼻腔内及び直腸内投与に適した担体又は賦形剤との混合物で活性剤として本発明による化合物を含む単位剤形(例えば、固体、半固体、又は液体形態で)で投与することができる。有効成分は、液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、コーティング丸剤、乳剤、懸濁剤、軟膏剤、ゲル剤、及び任意の他の剤形の製造に適した通常の無毒性の薬学的に許容される担体と一緒に組成物にすることができる。
【0246】
賦形剤として、糖、例えば、グルコース、ラクトース、若しくはスクロース;マンニトール若しくはソルビトール;セルロース誘導体;及び/又はリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウムなどの多様な化合物を使用することができる。結合剤として、以下の化合物、例えば、デンプンペースト(例えば、トウモロコシ、コムギ、コメ、若しくはジャガイモデンプン)、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドンなどを使用することができる。任意選択で使用される崩壊剤は、上述のデンプン及びカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどである。
【0247】
任意選択で使用することができる添加剤は、流動性調整剤及び滑沢剤、例えば、二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸及びその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、並びに/又はプロピレングリコールである。
【0248】
単位剤形を調製する際に、担体と組み合わせて使用される活性剤の量は、治療されるレシピエント及び治療剤の特定の投与経路に応じて、変動し得る。
【0249】
例えば、本発明による化合物が注射用液剤の形態で使用される場合、この液剤中の活性剤の量は、5質量%までである。希釈剤は、0.9%塩化ナトリウム溶液、蒸留水、注射用ノボカイン(Novocain)溶液、リンゲル液、グルコース溶液、及び特定の溶解補助剤から選択することができる。本発明による化合物が錠剤形態で投与される場合、それらの量は単位剤形当たり5.0から500mgである。
【0250】
本発明による剤形は、通常の手順、例えば、混合、造粒、コーティング丸剤の形成、溶解、凍結乾燥などにより調製される。
【0251】
錠剤形態
錠剤形態は、以下の成分を使用して調製される:
【0252】
【表17】
【0253】
成分を混合し、圧縮して錠剤を成型する。
【0254】
坐剤
坐剤組成物の例
【0255】
【表18】
【0256】
必要に応じて、直腸、膣、及び尿道坐剤を、対応する賦形剤を使用して調製する。
【0257】
注射用液剤
注射用液剤の組成物の例:
【0258】
【表19】
【0259】
(請求項1)
一般式I
【化22】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式又は複素環式基であり、又は
5)式
【化23】
の基である]
の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
但し、化合物が、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が-C(O)OCH3である場合、R3
【化24】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化25】
でない、
mが1であり、Ra1がアミノ基であってRb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であるか、Re1がアミノ基であってRa1、Rb1、Rc1、Rd1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化26】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化27】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化28】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化29】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化30】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化31】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化32】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が-C(O)OHである場合、R3
【化33】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が-C(O)OHである場合、R3
【化34】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化35】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化36】
でない、
mが2であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化37】
でない、
mが2であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化38】
でない、
mが1であり、Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1が水素であり、R2が水素である場合、R3
【化39】
でない
化合物ではないことを条件とし、且つ化合物が、以下の化合物
【化40A】
【化40B】
ではないことを条件とする、化合物又はその薬学的に許容される塩。
(請求項2)
mが0から2の整数であり、
Ra1及びRb1が、水素、メチル、アミノ又はヒドロキシルであり、
Rc1及びRd1が、水素、メチル、アミノ又はヒドロキシルであり、
Re1及びRf1が、水素又はメチルであり、
R2が、水素、メチル、カルボキシル、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルであり、
R3が、
【化41A】
【化41B】
【化41C】
【化41D】
から選択される基である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
(請求項3)
【化42A】
【化42B】
【化42C】
【化42D】
【化42E】
【化42F】
【化42G】
【化42H】
【化42I】
【化42J】
である、請求項1に記載の化合物。
(請求項4)
気道疾患の治療のための医薬であって、一般式I
【化43】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル、又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式又は複素環式基であり、又は
5)式
【化44】
の基である]
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、医薬。
(請求項5)
式(I)の化合物が請求項1から3のいずれか一項に規定の化合物である、請求項4に記載の医薬。
(請求項6)
気道疾患が鼻副鼻腔炎である、請求項4又は5に記載の医薬。
(請求項7)
気道疾患がRNA含有ウイルスにより引き起こされたものである、請求項4又は5に記載の医薬。
(請求項8)
ウイルスが、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)及びインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項7に記載の医薬。
(請求項9)
疾患が、ライノウイルス、インフルエンザウイルス及び/又はRSウイルスにより引き起こされた、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎及び嚢胞性線維症の増悪である、請求項4又は5に記載の医薬。
(請求項10)
気道疾患の治療のための医薬組成物であって、一般式I
【化45】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式又は複素環式基であり、又は
5)式
【化46】
の基である]
の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
(請求項11)
式(I)の化合物が請求項1から3のいずれか一項に規定の化合物である、請求項10に記載の医薬組成物。
(請求項12)
気道疾患が鼻副鼻腔炎である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
(請求項13)
気道疾患がRNA含有ウイルスにより引き起こされたものである、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
(請求項14)
ウイルスが、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、RSウイルス及びインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
(請求項15)
疾患が、ライノウイルス、インフルエンザウイルス及び/又はRSウイルスにより引き起こされた、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎及び嚢胞性線維症の増悪である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
(請求項16)
気道疾患を治療する方法であって、一般式I
【化47】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式又は複素環式基であり、又は
5)式
【化48】
の基である]
の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を患者に投与することを含む、方法。
(請求項17)
式Iの化合物が請求項1から3のいずれか一項に規定の化合物である、請求項16に記載の方法。
(請求項18)
気道疾患が鼻副鼻腔炎である、請求項16又は17に記載の方法。
(請求項19)
気道疾患がRNA含有ウイルスにより引き起こされたものである、請求項16又は17に記載の方法。
(請求項20)
ウイルスが、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、RSウイルス及びインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
(請求項21)
疾患が、ライノウイルス、インフルエンザウイルス及び/又はRSウイルスにより引き起こされた、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎及び嚢胞性線維症の増悪である、請求項16又は17に記載の方法。
(請求項22)
気道疾患の治療のための医薬の製造のための、一般式I
【化49】
[式中、
mは0から2の整数であり、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式又は複素環式基であり、又は
5)式
【化50】
の基である]
の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
(請求項23)
式Iの化合物が請求項1から3のいずれか一項に規定の化合物である、請求項22に記載の使用。
(請求項24)
気道疾患が鼻副鼻腔炎である、請求項22又は23に記載の使用。
(請求項25)
気道疾患がRNA含有ウイルスにより引き起こされたものである、請求項22又は23に記載の使用。
(請求項26)
ウイルスが、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、RSウイルス及びインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
(請求項27)
疾患が、ライノウイルス、インフルエンザウイルス及び/又はRSウイルスにより引き起こされた、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎及び嚢胞性線維症の増悪である、請求項22又は23に記載の使用。
(請求項28)
請求項1に規定の一般式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を調製するための方法であって、有機溶媒中で、脱水剤と共に、一般式II
【化51】
[式中、
mは0から2の整数を表し、
Ra1、Rb1、Rc1、Rd1、Re1及びRf1は、それぞれ独立して、水素、C1〜C6アルキル;-NH2、-NHC1〜C6アルキル、ヒドロキシル又はC1〜C6アルコキシを表し、
R2は、水素、C1〜C6アルキル、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキルであり、
R3は、
1) N、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-NHC(O)C1〜C6アルキル、フェニル若しくはピリジニルから選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、
2)N及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を含む6員の飽和又は不飽和の複素環式基であり、ハロゲン及びC1〜C6アルキルから選択される基で置換されていてもよく、
3)ヒドロキシル、ハロゲン若しくはC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよい6員の不飽和窒素含有環式又は複素環式基と縮合している、N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5員の不飽和複素環式基であり、前記5員の不飽和複素環式基はC1〜C6アルキルから選択される1若しくは2個の置換基で置換されていてもよく、
4)N及びSから選択される1から3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の不飽和複素環式基と縮合している、1から2個の窒素原子を含む6員の不飽和環式若しくは複素環式基であり、又は
5)式
【化52】
の基である]
のジカルボン酸モノアミドを加熱する工程を含む、方法。
(請求項29)
脱水剤がグルタル酸無水物であり、方法が、有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド中で、加熱下で行われる、請求項28に記載の方法。
(請求項30)
脱水剤が無水プロピオン酸であり、方法が、有機溶媒中、好ましくはトルエン中で、加熱下で行われる、請求項28に記載の方法。
(請求項31)
酢酸ナトリウムを添加して行われる、請求項30に記載の方法。
(請求項32)
脱水剤が無水酢酸であり、方法が、有機溶媒中、好ましくはジオキサン中、加熱下で行われる、請求項28に記載の方法。
(請求項33)
酢酸ナトリウムを添加して行われる、請求項32に記載の方法。
(請求項34)
脱水剤が酢酸クロライドであり、方法が、有機溶媒中、好ましくは酢酸中で、加熱下で行われる、請求項28に記載の方法。
(請求項35)
脱水剤及び溶媒が無水酢酸であり、方法が90〜100℃で行われる、請求項28に記載の方法。
(請求項36)
脱水剤が、好ましくはカルボニルジイミダゾールである、請求項28に記載の方法。