(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外ケース、前記インナーケースおよび前記シール部材の上端部には、それぞれ、前記外ケースに前記シール部材を介して前記インナーケースを組み込む際、前記流路と前記シール部材の前記開口部とを位置決めする位置決めマークを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の流量計。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたリップシールを用いた水道メータは、流入口が小口径であれば、圧入して変形する部分が小さいので、人力でリップシールのシール部を圧接して外ケースにインナーケースを組み付けることが可能であるが、流入口が大口径の場合、圧入して変形する部分が大きくなり、リップシールのシール部を圧接して外ケースにインナーケースを組み付けることが困難になるという問題がある。
【0006】
また、リップシールをインナーケースの流入開口部に保持する構造をインナーケースに作造する必要があり、インナーケースの構造が複雑になりやすいという問題もある。
【0007】
本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、インナーケースの構造を複雑にすることを抑制しつつ、流入口が大口径であっても外ケースにインナーケースを容易に組み付けることができるシール構造を有する流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る流量計は、外ケースと、外ケースに遊嵌するインナーケースと、外ケースとインナーケースとの間に挿入されるシール部材とを備え、シール部材は、外ケースとインナーケースとを貫く流路に位置する開口部と、開口部の外周縁に開口部を囲んでシール部材の側壁面から凸状に形成された凸状輪部、あるいは凹状に形成された凹状輪部とを有し、外ケースにシール部材を介してインナーケースを組み付けた状態で、シール部材の凸状輪部あるいは凹状輪部が外ケースとインナーケースとに挟まれて押圧されることにより、流路のうち外ケースとインナーケースとの連通部分をシール
し、外ケースは、一端にインナーケースの挿入口である開放端を有し、側壁に流路をインナーケースに連通する開口が設けられ、外ケースの内側面は、開放端からインナーケースの挿入方向に向かって内側に傾斜し、インナーケースは、外ケースの開口に連通して側部を貫通して流路を構成する貫通パイプを有し、インナーケースの外側面は、外ケースへの挿入後端から挿入先端に向かって内側に、外ケースの内側面に設けられた傾斜と略同一角度で傾斜することを特徴とする。
【0011】
請求項
2に係る流量計は、請求項
1に記載の流量計において、
シール部材は、開口部ごとに分割された一対のシート部材から構成され、一対のシート部材の各々は、一方の側端部には外側に突出する爪部が設けられると共に、他方の側端部に爪部を差し込む切口が設けられており、一対のシート部材の一方に設けられた爪部および切口を、それぞれ、他方に設けられた切口および爪部に差し込んでシール部材とすることを特徴とする。
【0013】
請求項
3に係る流量計は、請求項1
または2に記載の流量計であって、外ケース、インナーケースおよびシール部材の上端部には、それぞれ、外ケースにシール部材を介してインナーケースを組み付ける際、流路とシール部材の開口部とを位置決めする位置決めマークを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項
4に係る流量計は、
外ケースと、外ケースに遊嵌するインナーケースと、外ケースとインナーケースとの間に挿入されるシール部材とを備え、シール部材は、外ケースとインナーケースとを貫く流路に位置する開口部と、開口部の外周縁に開口部を囲んでシール部材の側壁面から凸状に形成された凸状輪部、あるいは凹状に形成された凹状輪部とを有し、外ケースにシール部材を介してインナーケースを組み込んだ状態で、シール部材の凸状輪部あるいは凹状輪部が外ケースとインナーケースとに挟まれて押圧されることにより、流路のうち外ケースとインナーケースとの連通部分をシールし、シール部材は、開口部ごとに分割された一対のシート部材から構成され、一対のシート部材の各々は、一方の側端部には外側に突出する爪部が設けられると共に、他方の側端部に爪部を差し込む切口が設けられており、一対のシート部材の一方に設けられた爪部および切口を、それぞれ、他方に設けられた切口および爪部に差し込んでシール部材とすることを特徴とする。
請求項5に係る流量計は、外ケースと、外ケースに遊嵌するインナーケースと、外ケースとインナーケースとの間に挿入されるシール部材とを備え、シール部材は、外ケースとインナーケースとを貫く流路に位置する開口部と、開口部の外周縁に開口部を囲んでシール部材の側壁面から凸状に形成された凸状輪部、あるいは凹状に形成された凹状輪部とを有し、外ケースにシール部材を介してインナーケースを組み込んだ状態で、シール部材の凸状輪部あるいは凹状輪部が外ケースとインナーケースとに挟まれて押圧されることにより、流路のうち外ケースとインナーケースとの連通部分をシールし、外ケース、インナーケースおよびシール部材の上端部には、それぞれ、外ケースにシール部材を介してインナーケースを組み込む際、流路とシール部材の開口部とを位置決めする位置決めマークを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1
,4,5に係る流量計は、外ケースとインナーケースとを貫く流路に位置して、外ケースとインナーケースとに挟まれるシール部材に開口部が設けられる。シール部材の開口部の外周縁には、開口部を囲んで側壁面から凸状に形成された凸状輪部、あるいは凹状に形成された凹状輪部が設けられている。これにより、外ケースにシール部材を介してインナーケースを組み付けた状態では、シール部材の凸状輪部あるいは凹状輪部が外ケースとインナーケースとに挟まれて押圧されて、流路のうち外ケースとインナーケースとの連通部分をシールすることができる。すなわち、特許文献1に開示されたインナーケースのようなシール部材を位置決めするための造作をインナーケースに施す必要がないことから、簡易な構造でインナーケースを形成できるため、製造コストを低減することができる。また、シール部材の凸状輪部あるいは凹状輪部が外ケースとインナーケースとに挟まれて押圧されてシールすることから、シールする際に特許文献1のようにリップシールのリップ状シール部をつぶして変形させる必要なない。そのため、気体または液体などの流体が流れる開口部が大開口になっても、容易に、流量計を組み付けることができる。
【0016】
請求項
1に係る流量計は、外ケースの内側面が開放端からインナーケースの挿入方向に向かって内側に傾斜しているとともに、外ケースの開放端から挿入されるインナーケースの外側面も、挿入後端から挿入先端に向かって外ケースの内側面に設けられた傾斜と略同一角度で傾斜している。これにより、インナーケースを外ケースの開放端から容易に外ケース内に挿入することができる。また、シール部材の交換などで、外ケースからインナーケースを取り出す際も容易に取り出すことができるため、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【0017】
請求項
2,4に係る流量計は、開口部ごとに分割された一対のシート部材からシール部材を構成する。これにより、シート部材を成形する金型を小型化することができるため、シール部材の製造コストを低減することができる。
【0018】
請求項
2,4に係る流量計は、一対のシート部材の各々は、一方の側端部に外側に突出する爪部を設け、他方の側端部に爪部を差し込む切口を設けている。一対のシート部材の一方に設けた爪部および切口を、それぞれ、他方に設けた切口および爪部に差し込むことにより、一対のシート部材を一体化することができる。これにより、容易にシール部材を組み付けることができる。また、シール部材の交換などで、流量計からシール部材を取り出す際も容易に取り出すことができるため、メンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【0020】
請求項
3,5に係る流量計は、外ケース、インナーケースおよびシール部材の上端部に施された位置決めマークを一致させて組み付けることにより、外ケースと前記インナーケースとを貫く流路とシール部材の開口部とを、簡易かつ正確に位置決めして組み付けることができることから、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流量計の分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る流量計の外ケースの(a)正面図および(b)平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る流量計のインナーケースの(a)正面図および(b)平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る流量計のシール部材の(a)正面図、(b)平面図および(c)開口部の方向から見た右側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る流量計を組み付けた状態で流体の流れるパイプの軸を含んで(a)垂直方向に切断した場合の正面から見た断面図および(b)水平方向に切断した場合の平面から見た断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る流量計のシート部材の詳細図であり、(a)が左側面図、(b)が正面図、(c)が右側面図、(d)が一部拡大図である。
【
図8】
図6に示したシール部材を2つ組み付けた状態を示す正面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る流量計のシート部材の詳細図であり、(a)が左側面図、(b)が正面図、(c)が右側面図、(d)が一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る流量計1を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る一実施形態である流量計1の分解斜視図を示す。
図1に示すように、流量計1は、外ケース10と、外ケース10の内周面との間にシール部材20を挟んで遊嵌して緩やかに対向するインナーケース30と、外ケース10とインナーケース30との間に配置するシール部材20とから構成されている。ここで、遊嵌して緩やかに対向するとは、外ケース10とインナーケース30との間に配置されたシール部材20がシール効果を奏する程度に、外ケース10とインナーケース30とがシール部材20を押圧する状態である。外ケース10とインナーケース30とはシール部材20を挟んで必ずしも密着していない状態をいう。本実施形態では、流量計1のシール部材20として、流量計で一般的に用いられるシール部材の構造に関して説明する。本実施形態に係るシール部材20は、電磁流量計や超音波流量計、熱線流量計など、様々な原理を用いた流量計に適用可能であり、適用される流量計の種類は限定されない。そのため、以下の説明では流量計測に必要なセンサーや電極などについては図示しない。例えば、流量計1が電磁流量計である場合、外ケース10やインナーケース30などの内部または外部に電極やセンサーなどが配置されるが、ここでは、上記理由により図示しない。
【0025】
図2(a)は、外ケース10の正面図であり、
図2(b)は外ケース10を上から見た平面図である。外ケース10は、気体や液体などの流体が流入する流入開口部11aの周縁に設けられた流入口用フランジ11と、流体の出口である流出開口部12aの周縁に設けられた流出口用フランジ12と、インナーケース30が遊嵌して収納される外ケース本体部15とを備える。また、外ケース本体部15には、流入開口部11aおよび流出開口部12aに対向する位置に流入開口部13aおよび流出開口部14aが設けられており、流入口用フランジ11に開口された流入開口部11aと外ケース本体部15の流入開口部13aとの間を接続して流入開口部11aから流入された流体が流れる接続パイプ13と、外ケース本体部15の流出開口部14aと流出口用フランジ12に開口された流出開口部12aとの間を接続して流出開口部12aまで流体が流れる接続パイプ14とから構成されている。
【0026】
流入口用フランジ11や流出口用フランジ12は、流量計1を他の配管または装置などに接続する円板状のフランジであり、それぞれの中央部には、流入口である流入開口部11a、および流出口である流出開口部12aが開口されている。また、流入口用フランジ11および流出口用フランジ12の外周端部には、それぞれ4つの接続用の貫通穴11bおよび12bが設けられている。流量計1内の流量・流速が一定になるように、流入開口部11aおよび流出開口部12aの開口径と、接続パイプ13および接続パイプ14のパイプ内径とは、いずれも略同一径に構成されている。
【0027】
外ケース本体部15内へのインナーケース30の出し入れを容易にするため、外ケース本体部15の内周面15bは底部15cの径が上端部の開放端の径よりやや小さい逆円錐台形状となっており、これにより、外ケース本体部15の内周面15bは、下方、すなわちインナーケース30の挿入方向に向けて内側に傾斜した面となっている。
【0028】
図3(a)は、インナーケース30の正面図であり、
図3(b)はインナーケース30を上から見た平面図である。インナーケース30は、インナーケース本体部31と、インナーケース本体部31の中央部に位置し、水平方向に貫通する貫通パイプ32とから構成されている。また、貫通パイプ32を流れる流体の流量を計測する不図示のセンサーや電極などを有する計測部を備えている。インナーケース本体部31は、外ケース本体部15の内周面15bと遊嵌させるため、外ケース本体部15の内周面15bと同様、底部31dの径が上端部31cの径よりやや小さい逆円錐台形状となっている。ここで、逆円錐台形状のインナーケース本体部31の外周面は、外ケース本体部15の内周面15bに設けられた傾斜と略同一角度の傾斜である。これにより、外ケース本体部15の開放端からインナーケース本体部31を挿入する場合、略同一角度の傾斜面を備える逆円錐台形状に形成されている外ケース本体部15の内周面15bに沿ってインナーケース本体部31の外周面がスムーズに挿入される。また、貫通パイプ32の内周面32aの径は、流量計1内の流量が一定になるように、流入開口部11a、接続パイプ13、14のパイプ内径、および流出開口部12aの開口径と略同一径に構成されている。そして、インナーケース30が外ケース本体部15内に組み込まれた状態で、貫通パイプ32の流入開口部32bおよび流出開口部32cが、外ケース10の流入開口部11a、接続パイプ13、14のパイプ内径、および流出開口部12aと略同一径で同一位置に一直線状に並ぶように、貫通パイプ32がインナーケース本体部31に設けられている。すなわち、外ケース10の流入開口部11aから流入した流体は、接続パイプ13からインナーケース30の貫通パイプ32へ流れ、接続パイプ14を経て外ケース10の流出開口部12aから流出する。外ケース10の流入開口部11aから外ケース10の流出開口部12aまでの流路の口径は略同一であり、開口が同一位置に一直線上にあることから、流量計1内を流れる流体の流量・流速が一定になり、正確な流量を計測することができるのである。
【0029】
図4(a)は、シール部材20の正面図であり、
図4(b)はシール部材20を上から見た平面図であり、
図4(c)は、シール部材20の開口部21aの方から見た右側面図である。シール部材20は、一対のシート部材21で構成されている。シート部材21は、本実施形態では、ポリプロピレン(PP)の肉薄の(本実施形態では、一例として厚みは約0.3mmとする)シートを採用している。ポリプロピレンは、摩擦係数が小さいので、外ケース本体部15の内周面15bおよびインナーケース本体部31の外周面との間ですべりがよく、また、コシがある。このため、下述のように、エンボス加工で簡単に成形でき、外ケース10とインナーケース30との隙間に挿入するシール部材として用いる場合、組み付けが容易で、かつ、シール性に優れている。シート部材として好適である。しかしながら、材質はこれに限定するものではなく、成形加工が可能で、かつ、本発明に係るシール部材20のような流体の漏れ防止用のシール部材として機能する摩擦係数が小さくコシのある材質であれば、採用可能である。
【0030】
シール部材20は、
図4(a)に示すように、一対のシート部材21で構成され、互いに対向した位置に配置されて、外ケース本体部15の内周面15bとインナーケース30の外周面との隙間に挿入される。シート部材21のシート本体部21dの外形は、外ケース本体部15の内周面15bおよびインナーケース30の外周面に沿った逆円錐台形状になるように形成されている。尚、本実施形態では、熱膨張などにより一対のシート部材21が向かい合う側端部が互いに重なり合うことを防止するため、一対のシート部材21を外ケース本体部15の内周面15bとインナーケース30の外周面の間に沿って配置した場合、
図4(a)に示すように、一対のシート部材21の側端部間に所定の隙間ができるようにシート本体部21dの周方向の長さが設定されている。
【0031】
図4(c)に示すように、各々のシート部材21のシート本体部21dの中央部には円状の開口部21aが設けられている。また、開口部21aの外周縁に沿って外側に突出する凸状にエンボス加工して成形した凸状輪21cが設けられている。さらに、開口部21aの外周縁と凸状輪21cとの間には、シート本体部21dの一部を構成する接続輪21bが構成されている。開口部21aの開口径は、インナーケース30の貫通パイプ32の流入開口部32bや流出開口部32cの開口径と略同一かまたはやや大きくなっており、シート部材21が外ケース10とインナーケース30との隙間に挿入されて組み付けられた状態で、流量計1を流れる流体の流れを妨げないようになっている。
【0032】
図5は、実施形態に係る流量計1を組み付けた状態で流体の流れる接続パイプ13、14の軸を含んで(a)垂直方向に切断した場合の正面から見た断面図、および(b)水平方向に切断した場合の平面から見た断面図を示したものである。組み付けは、インナーケース30の外周面に沿ってシール部材20を取り付けた状態で、インナーケース30を外ケース本体部15へ挿入して行われる。インナーケース30の外周面が外ケース本体部15の内周面15bと同形状の逆円錐台形状であり同一角度の傾斜面を有するため、インナーケース30を外ケース本体部15にスムーズに挿入することができる。加えて、インナーケース30は摩擦係数が小さくすべりの良いポリプロピレンを採用したシール部材20を外周面に取付けた状態で外ケース本体部15へ挿入するので、スムーズに挿入することができる。尚、
図5(a)や(b)に示すように、外ケース10の流入開口部11a、流出開口部12aや、インナーケース30の貫通パイプ32の流入開口部32bや流出開口部32c、シール部材20の一対のシート部材21の開口部21aが流体の流れに沿って同一線上に配置されるように流量計1は組み付けられる。
【0033】
図5(a)や(b)に示すように、流量計1が組み付けられた状態では、外ケース10の外ケース本体部15の内周面15bとインナーケース30の外周面との隙間に挿入されたシール部材20の一対のシート部材21のシート本体部21dがインナーケース30の外周面に押圧されると共に、シート部材21の凸状輪21cの凸部先端が外ケース本体部15の内周面15bに押圧される。すなわち、外ケース本体部15の流入開口部13aとインナーケース30の貫通パイプ32の流入開口部32bとの間隙がシール部材20によりシールされると共に、外ケース本体部15の流出開口部14aとインナーケース30の貫通パイプ32の流出開口部32cとの間隙がシールされる。
【0034】
このように、本実施形態に係る流量計1では、特許文献1に開示されるようなシール部材20を保持する構造をインナーケース30に作造する必要がないため、インナーケース30の構造の複雑化が抑止され、コストを低減することができる。また、本実施形態に係る流量計1では、シール部材20は板厚が肉薄のポリプロピレンをエンボス加工成形して凸状輪21cを形成し、凸状輪21cの凸部先端を変形させてシールするため、特許文献1に開示されたようなリップシールのシール部を押しつぶして変形させるものではなく、流体が流れる開口部が大口径であっても、容易に流量計1を組み付けることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る流量計1では、
図5(a)に示すように、シール部材20およびインナーケース30を外ケース10の外ケース本体部15に組み付けた状態で、シール部材20の上端部の位置が外ケース10の外ケース本体部15の上端部およびインナーケース30のインナーケース本体部31の上端部の位置と略同一の位置であるようにシール部材20の上下方向(高さ)の長さが設定されている。これにより、シール部材20が適切な位置に配置されているかの判断を目視にて確認することができる。
【0036】
さらに、外ケース10の外ケース本体部15の上端部、シール部材20の上端部およびインナーケース30の上端部には、それぞれ位置決めマーク7が設けられている(
図1、
図5(a)を参照)。各位置決めマーク7の位置を合わせて、外ケース10に、シール部材20及びインナーケース30を組み付けることにより、各部品に設けられた気体または液体が流れる流路の位置が流体の流れに沿って同一線上に位置するようになっている。これにより、容易に、外ケース本体部15、シール部材20及びインナーケース30を互いに正しい位置に組み付けることができる。
【0037】
図6は、実施形態に係るシール部材20のシート部材21の詳細図であり、
図7は、
図6に示したシート部材21を斜め上から見た斜視図である。そして、
図8は、一対のシート部材21を組み合わせた状態の側面図である。
図6(d)はシート部材21の凸状輪21cの部分の拡大図である。このように、シート部材21のシート本体部21dに対して外側に突出するように凸状輪21cがエンボス加工により成形されている。また、シート部材21の右側端部には、
図6(c)に示すように、上部位置と下部位置に爪部21eが設けられ、シート部材21の左側端部には、
図6(a)に示すように、爪部21eを差し込む差し込み口21fが設けられている。そして、一対のシート部材21を組み合わせる際には、
図8に示すように、一方のシート部材21の爪部21eを他方のシート部材21の差し込み口21fに差し込んで一体構造にすることができる。このような構造にすることにより、外ケース10、シール部材20およびインナーケース30を簡易に組み付けることができる。
【0038】
図9は、上記実施形態とは別例のシート部材41の詳細図を示したものである。
図9(d)の拡大図に示すように、シート部材41では、シート本体部41dに対して内側にへこんだ凹状輪41cがエンボス加工により成形される。この場合、上記実施形態とは逆に、外ケース本体部15にインナーケース30を組み込んだ状態では、シート本体部41dが外ケース本体部15の内周面に押圧されると共に、凹状輪41cがインナーケース30の外周面に押圧されて、シート部材41により外ケース本体部15とインナーケース30との間隙はシールされる。このように、上記実施形態の凸状輪21cに代えて凹状輪41cにしても上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0039】
ここで、流量計1は流量計の一例であり、外ケース10は外ケースの一例であり、シール部材20はシール部材の一例であり、インナーケース30はインナーケースの一例であり、シート部材21および41はシート部材の一例であり、凸状輪21cは凸状輪部の一例であり、凹状輪41cは凹状輪部の一例であり、爪部21eは爪部の一例であり、差し込み口21fは切口の一例である。また、貫通パイプ32はインナーケースの貫通パイプの一例である。また、シール部材20の開口部21aはシール部材の開口部の一例であり、シート本体部21dはシール部材の側壁面の一例であり、外ケース本体部15の内周面15bは外ケースの内側面の一例である。
【0040】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることが、理解されるべきである。
【0041】
上記実施形態では、成形用の金型を小型化して製造コストを低減するため、シール部材20は一対のシート部材21から構成したが、シール部材20はこれに限定するものではなく、一対のシート部材21を繋ぎ合わせた一枚のシート状であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、流量計1をメンテナンスする際に、シール部材20やインナーケース30を外ケース本体部15から取り外したり、組み付けたりしやすいように、外ケース10の外ケース本体部15の内周面15bやインナーケース30の外周面を下方に向けて内側に傾斜するものとしたが、傾斜は必ずしも必要ではない。傾斜を設けなくてもシール部材20にポリプロピレンのような摩擦係数が小さくすべりのよい材質を採用することにより、シール部材を挟んでインナーケースを外ケースよりスムーズに組み付けたり取り外したりすることができる。
【0043】
上記実施形態では、シール部材20およびインナーケース30を外ケース10の外ケース本体部15に組み付けた状態で、シール部材20の上端部の位置、外ケース10の外ケース本体部15の上端部の位置、およびインナーケース30のインナーケース本体部31の上端部の位置が、いずれも略同一になるようにシール部材20の上下方向(高さ)の長さが設定したが、シール部材20の上下方向の長さは、これに限定するものではない。シール部材20およびインナーケース30を外ケース10の外ケース本体部15に組み付けた状態で、シート部材21の凸状輪21cおよびシート本体部21dが外ケース本体部15の内周面15bおよびインナーケース30の外周面に押圧され、あるいはシート部材41のシート本体部41dおよび凹状輪41cが外ケース本体部15の内周面15bおよびインナーケース30の外周面に押圧さればよいのであって、必ずしもシール部材20の上端部の位置が外ケース10の外ケース本体部15の上端部およびインナーケース30のインナーケース本体部31の上端部の位置と略同一の位置に配置される必要はない。
【0044】
また、外ケース10の外ケース本体部15は底部15cを有する有底カップ状であるとして説明したが、本願はこれに限定されない。外ケース本体部として底部がなく両端部が開放された形状を有していてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、インナーケース30の貫通パイプ32の内周面32aの径が、外ケース10の流入開口部11a、接続パイプ13、14のパイプ内径、および流出開口部12aの開口径と略同一径であって同一位置に一直線上にあるものとして説明したが、本願はこれに限定されるものではない。流量の計測原理によっては、貫通パイプ32の内周面32aの径を流入開口部11a接続パイプ13、14のパイプ内径、および流出開口部12aの開口径より広径にしたり、または、狭径にする方が適切な場合がある。また、流路の方向も貫通パイプ32において方向を変えることが好ましい場合もある。このため、貫通パイプ32の内周面32aの径および貫通方向は、実施形態に限定されず適宜設定される。