【文献】
Thomas Deffieux, et al.,On the Effects of Reflected Waves in Transient Shear Wave Elastography,IEEE TRANSACTIONS ON ULTRASONICS, FERROELECTRICS, AND FREQUENCY CONTROL,IEEE,2011年10月,VOL.58, NO.10,2032-2035
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの指向性フィルタは、前記指向性変位場として順方向伝搬変位場を提供するように前記変位場をフィルタリングする順方向伝搬フィルタを含む、請求項1に記載のシステム。
前記少なくとも1つの指向性フィルタは、前記指向性変位場として逆方向伝搬変位場を提供するように前記変位場をフィルタリングする逆方向伝搬フィルタを含む、請求項1に記載のシステム。
前記少なくとも1つの指向性フィルタは、前記指向性変位場として順方向及び逆方向伝搬変位場を提供するように前記変位場をフィルタリングする順方向及び逆方向伝搬フィルタを含む、請求項1に記載のシステム。
前記境界推定器は、前記境界を推定するモデルを含み、前記モデルは、伝搬波場を入力として使用し、前記モデルからの推定反射波と、せん断波イメージングを用いて測定された反射波との間の誤差を最小にするように反射波について繰り返し解を求めて推定する、請求項1に記載のシステム。
前記システムは、境界推定器モードを有する超音波イメージングシステムを含み、前記境界推定器モードは、前記境界推定器モードが起動されたとき、超音波画像内の前記境界を推定する、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本原理によれば、非常に硬い含有物、例えば高周波アブレーション(RFA)によって生成されるようなものの存在下における、超音波せん断波エラストグラフィのための再構成が提供される。組織(例えば、熱傷と肝実質との間)における弾性不一致に起因して、機械的波エネルギーのかなりの割合が、損傷の境界から反射される。反射パターンは、損傷境界に関する重要な情報を提供する。一実施形態では、反射波は経時的に蓄積され、また反射波は、最大の振幅を有する損傷境界のすぐ外側でクラッタを形成する。別の実施形態では、有限要素モデルなどのモデルを使用することができる。モデルは伝搬波場を入力として使用し、モデルからの推定反射波と、せん断波イメージングを用いて測定された反射波との間の誤差を最小にするよう、損傷境界などの反射境界を反復的に解く。結果として得られる病変境界の推定結果は経時的に処理されて拡張するアブレーション領域を示し、治療の進捗をモニタリングするために表示される。
【0011】
本アプローチは、高い検出感度のために、非常に硬い境界(例えば、サーマルアブレーションゾーン)を検出するのに特に有効である。高い検出感度は、損傷の外側に特徴的に存在する高振幅反射せん断波、及び、(硬いアブレーションゾーン内のより低い変位振幅と比較して)より高い変位振幅を有する反射せん断波に起因する。
【0012】
特に有用な実施形態では、RFA治療プロトコルは、デバイスの製造業者の仕様において提供される単純な(しばしば楕円形の)アブレーションボリューム予測を使用する。実際の治療ボリュームは予測から大きく外れ、結果として、場合によっては、隣接する解剖学的構造の損傷、又は不完全な切除後のまたは腫瘍再発に寄与する。臨床医へのリアルタイムのフィードバックは、これらの臨床的課題に対処する可能性がある。広く使用されているガイダンスツールとして、超音波イメージングは、リアルタイムアブレーションモニタリングの選択肢である。RFA処置中、熱壊死により組織の硬さが上昇する。凝固ゾーンの視覚化のために、超音波エラストグラフィを用いて、治療組織と非治療組織との間の高い硬度コントラストを決定することができる。
【0013】
RFAのリアルタイムモニタリングは、腫瘍の適切な治療範囲を保証する。第1に、モニタリングモダリティは、特に硬質のアブレーション針の存在下で、熱傷境界の検出について非常に敏感でなければならない。第2に、具体的アプローチは、アブレーションゾーン全体をカバーするのに適していなければならない。超音波せん断波エラストグラフィイメージング(SWI)は、音響放射力で組織を押し、その結果得られるせん断波伝搬を経時的に撮像することによって、(例えば超音波画像の視野と比較して)比較的小さな領域におけるロバストな弾性推定を提供する。組織の弾性評価は、組織の弾性に比例するせん断波の伝搬速度に基づく。せん断波の伝搬方向に垂直な追跡ライン間の遅延を測定することによってせん断波速度を推定するTOF(time−of−flight)アプローチが使用されてもよい(TTP(time−to−peak)再構成とも知られている)。複数の空間的位置で求められたせん断波到達時間を使用して、TOFアプローチを用いてせん断波速度(SWS)推定を提供することができる。固定された伝搬方向を仮定することにより、線形回帰を用いてSWSを計算することができる。
【0014】
せん断波エラストグラフィおよびTTPによって提供される組織の弾性評価は、プッシュビームから遠ざかる順方向に進む波に依存する。反射や屈折などの複雑な波動現象を引き起こす可能性のあるSWIの関心領域内の含有物は、これらの方法のパフォーマンスを低下させる。TTPなどのせん断波速度に基づく再構成アルゴリズムのパフォーマンスを向上させるために、逆方向に進む反射波を排除する指向性フィルタがせん断波変位マップに適用され得る。しかし、RFAによって生成される熱傷のような硬い含有物の場合、波エネルギーのかなりの部分が弾性ミスマッチのために含有物境界から反射されるため、順方向伝搬波アプローチのせん断波速度推定は準最適に実行される。さらに、組織内のアブレーション針の存在は、周囲の硬い損傷の動きを制限し、損傷の周りのせん断剛性を増加させ、従来のせん断波速度に基づく再構成のパフォーマンスをさらに低下させる。さらに、RFA治療中に形成される気泡は、アブレーションされた損傷内の視野(FOV)を陰らせることにより、損傷内のせん断波変位検出の信号対雑音比(SNR)を低下させ、損傷のエラストグラフィ再構築そのものを困難にする。本原理は、硬い含有物を有する媒体のせん断波イメージングのための代替的なエラストグラフィ再構成のための方法であって、拡張するサーマルアブレーション境界の適切な評価を提供する方法を提供する。
【0015】
本発明は、超音波イメージング装置に関して説明されるが、本発明の教示は、はるかに広範であり、任意の音響イメージング装置に適用可能である。いくつかの実施形態では、本原理は、複雑な生物学的又は機械的システムのトラッキング又は分析に用いられる。特に、本原理は、生物学的システムの内部トラッキング処置、及び、肺、胃腸管、排泄器官、血管などの身体のあらゆる領域における処置に適用可能である。各図に示される要素は、ハードウェアとソフトウェアとの様々な組み合わせで実施することができ、単一の要素又は複数の要素内に組み合わせられ得る機能を提供する。
【0016】
各図に示す様々な要素の機能は、専用ハードウェアや、適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアを使用して提供することができる。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は複数の個別のプロセッサ(その一部が共有されてもよい)によって提供され得る。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアのみを指すものと解釈すべきではなく、暗黙的に、限定はされないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ソフトウェアを保存するためのリードオンリーメモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、不揮発性記憶装置等を含み得る。
【0017】
さらに、本発明の原理、側面、及び実施形態、ならびにそれらの具体例を説明する本明細書におけるすべての記述は、それらの構造的及び機能的均等物の両方を包含するように意図されている。さらに、そのような均等物は、現在知られている均等物、及び将来開発される均等物の両方を含むことが意図される(すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を果たす任意の開発された要素)。したがって、例えば、本明細書に提示されるブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的なシステム構成要素及び/又は回路の概念図を表すことが、当業者には理解されるであろう。同様に、あらゆるフローチャート及びフロー図などは、コンピュータ可読記憶媒体内に実体的に表され、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かに関わらず、コンピュータ又はプロセッサによって実行され得る様々なプロセスを表す。
【0018】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって使用される又はこれらに関連して使用されるプログラムコードを提供するコンピュータ可用又はコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取り得る。説明のために、コンピュータ可用又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用される又はこれらに関連して使用されるプログラムを含む、格納する、通信する、伝搬する、又は転送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、若しくは半導体システム(又は装置若しくはデバイス)又は伝播媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例には、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、及び光ディスクが含まれる。光ディスクの現在の例には、CD−ROM、CD−R/W、Blu−Ray、及びDVDが含まれる。
【0019】
本明細書における本発明の原理の「一実施形態」又は「実施形態」や、その他の類似表現は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、特性などが少なくとも本原理の1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、明細書全体を通して様々な場所に現れる「一実施形態では」又は「実施形態では」、及びその他の類似表現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0020】
以下の「/」、「及び/又は」、及び「少なくとも1つ」のいずれかの使用は、例えば「A/B」、「A」及び/又は「B」、「A及びBのうちの少なくとも1つ」の場合には、リストの最初の選択肢(A)のみの選択、又はリストの2番目の選択肢(B)のみの選択、又は両方の選択肢(A及びB)の選択を包含することを意図している。さらなる例として、「A、B、及び/又はC」及び「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」の場合、そのような表現は、リストの最初の選択肢(A)のみの選択、リストの2番目の選択肢(B)のみの選択、リストの3番目の選択肢(C)のみの選択、リストの1番目及び2番目の選択肢(A及びB)のみの選択、リストの1番目及び3番目の選択肢(A及びC)のみの選択、リストの2番目及び3番目の選択肢(B及びC)のみの選択、又は3つの選択肢すべて(A及びB及びC)の選択を包含することが意図される。当該技術分野及び関連する技術分野の当業者によって容易に理解されるように、列挙されるアイテムの多さに応じて延長され得る。
【0021】
また、層、領域、又は材料などの要素が他の要素の「上」又は「上方」にあると言及されるとき、該要素は他の要素の上に直接存在してもよく、又は介在要素が存在してもよい。一方、ある要素が他の要素の「真上」又は「直接上」にあると言及されるとき、介在要素は存在しない。ある要素が他の要素に「接続されている」又は「結合されている」と言及されているとき、該要素は他の要素に直接接続又は結合されてもよく、又は介在要素が存在してもよい。一方、ある要素が別の要素に「直接接続されている」又は「直接結合されている」と言及されるとき、介在要素は存在しない。
【0022】
次に、同様な番号は同じ又は類似の要素を表す
図1をまず参照すると、本原理に従って構成された超音波イメージングシステム10がブロック図形式で示されている。超音波イメージングシステム10は、超音波を送信し、エコー情報を受信するトランスデューサアレイ14を有するトランスデューサデバイス又は超音波プローブ12を含む。トランスデューサアレイは、例えば、線形アレイ又はフェーズドアレイとして構成されてもよく、また、圧電素子又はCMUT素子を含み得る。トランスデューサアレイ14は、例えば、2D及び/又は3Dイメージングのために仰角次元及び方位角度次元の両方で走査可能な複数のトランスデューサ素子からなる2次元アレイを含むことができる(図示のように)。トランスデューサデバイス12は、様々な形態をとり得る。
【0023】
トランスデューサアレイ14は、アレイ内のトランスデューサ素子による信号の送受信を制御するプローブ12内のマイクロビームフォーマ16に結合される。この例では、マイクロビームフォーマ16は、トランスデューサデバイス12と一体化され、また、送受信の切り替えを行い、メインビームフォーマ22を高エネルギー送信信号から保護する送信/受信(T/R)スイッチ18に結合される。一部の実施形態では、システム10内のT/Rスイッチ18及び他の要素は、別個の超音波システムベース内ではなく、トランスデューサプローブ12内に含まれ得る。マイクロビームフォーマ16によって制御されるトランスデューサアレイ14からの超音波ビームの送信は、T/Rスイッチ18及びビームフォーマ22に結合される送信コントローラ20によって管理され、送信コントローラ20は、ユーザのユーザインターフェイス又はコントロールパネル24の操作から入力を受け取り得る。
【0024】
送信コントローラ20によって制御される機能の1つは、ビームがステアリングされる方向である。ビームは、トランスデューサアレイ14から直進する(アレイに対して直交する)よう方向づけられてもよいし、又は、より大きな視野のために異なる角度に方向づけられてもよい。マイクロビームフォーマ16によって生成された部分的にビーム成形された信号は、メインビームフォーマ22に送られ、各トランスデューサ素子パッチからの部分的にビーム成形された信号が結合され、完全にビーム成形された信号が生成される。トランスデューサデバイス又はプローブ12は、比較的広いカバレッジ領域(例えば、2〜3cmの幅)を有するせん断波を生成することができる。トランスデューサデバイス12は、予期される損傷領域の外側に配置されるプッシュパルスを生成することができる。プッシュパルスは、送信焦点における又はその周辺の局所的組織変位を生じさせ、パルスのトラッキング、RFデータ収集、及び信号処理によって取得可能なせん断変位及びせん断波伝播をもたらす。
【0025】
ビーム成形された信号は、信号処理デバイス26に結合される。信号処理デバイス又はプロセッサ26は、受信されたエコー信号を、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、及び高調波信号分離などの様々な方法で処理することができる。信号プロセッサ26はまた、スペックル低減、信号合成、及びノイズ除去などの追加の信号エンハンスメントを実行してもよい。
【0026】
本原理によれば、信号プロセッサ26は、大きなカバレッジ領域(例えば、2〜3cmの幅)で、せん断波変位を生成してせん断波を高解像度でイメージングするように構成されたせん断波イメージングモジュール25を含む。信号プロセッサ26は、指向性フィルタを生成された変位場に適用して、場を順方向伝搬波と逆方向伝搬波とに分離するデータ処理モジュール27を含む。さらに、順方向伝搬場から反射場がどのように生成されるかに基づいて硬い損傷の境界を推定するための処理アルゴリズム(例えば、蓄積法)が含まれる。例えば、伝搬波変位のピーク、大きさ、又は他の特性を保存して、変位場又はマップを作成することができる。蓄積された(保存された)データは、伝播媒体内の対応する位置のためにマッピングされ得る。
【0027】
処理された信号は、Bモード(又は他のモードの)プロセッサ28に結合され、体内の構造のイメージングのために振幅検出が使用され得る。Bモードプロセッサによって生成された信号は、スキャンコンバータ30及び多断面(multiplanar)リフォーマッタ32に結合される。スキャンコンバータ30は、所望の画像フォーマットで、エコー信号が受信された空間的関係にエコー信号を配置する。例えば、スキャンコンバータ30は、エコー信号を2次元(2D)扇形フォーマット又はピラミッド3次元(3D)画像に配置し得る。多断面リフォーマッタ32は、身体の立体領域内の共通平面内の複数の点から受信されたエコーを、その平面の超音波画像に変換し得る。
【0028】
ボリュームレンダラー34は、3Dデータセットのエコー信号を、所与の基準点から見た投影3D画像に変換する。2D又は3D画像は、スキャンコンバータ30、多断面リフォーマッタ32、及びボリュームレンダラー34から画像プロセッサ38に結合され、画像ディスプレイ38上に表示するために、さらなるエンハンスメント、バッファリング、及び一時的保存が行われる。グラフィックスプロセッサ40は、超音波画像と共に表示されるグラフィックオーバーレイを生成し得る。これらのグラフィックオーバーレイ又はパラメータブロックは、例えば、患者の名前、画像の日時、イメージングパラメータ、フレームインデックスなどの標準的な識別情報を含み得る。これらの目的のために、グラフィックプロセッサ40は、タイピングされた患者の名前などの入力をユーザインターフェイス24から受け取る。ユーザインターフェース24はまた、複数のMPR(multiplanar reformatted)画像の表示の選択及び制御のために多断面リフォーマッタ32に結合され得る。
【0029】
本原理によれば、超音波データが取得され、メモリ42に保存される。メモリ42は、中央に配置されているものとして描かれているが、メモリ42は、信号経路内の任意の位置でデータを保存し、インタラクトすることができる。メモリ42は、プログラム及びアプリケーションを保存するように構成される(例えば、マップ又はルックアップテーブルにおける変位データの蓄積)。グラフィックスプロセッサ40及び/又は画像プロセッサ36は、画像信号に従って画像調整を行う。ディスプレイ38はアブレーションモニタリングを提供し、アブレーションモニタリングは、拡大する損傷境界を有する取得フレームごとに更新される。ディスプレイ38はまた、ユーザがシステム10や、そのコンポーネント及び機能、又はシステム10内の任意の他の要素とインタラクトすることを可能にすることができる。これは、キーボード、マウス、ジョイスティック、触覚デバイス、又はシステム10からのユーザフィードバック及びシステム10とのインタラクトを可能にする任意の他の周辺機器又は制御装置を含み得るインターフェース24によってさらに容易にされる。
【0030】
本原理によれば、システム10を用いたせん断波生成及び検出が提供される。高振幅及び長い持続時間(例えば、約1ms)のプッシュパルスがプローブ12によって送信され、組織を十分に(例えば、ミクロンオーダー)変位させるために十分な音響放射力を(撮像対象の)組織内に生成する。力が取り除かれると、変位はプッシュ方向に垂直なせん断波の形態で伝搬する。せん断波伝搬は、プッシングラインから約2〜3cm離れたところにかけて、高いパルス繰り返し周波数(例えば、1.5kHz)を有するトラッキングパルスによって検出するために相当に高い信号対雑音比(SNR)を有する。「n」個のトラッキングパルスを用いて、関心領域(ROI)の横方向範囲がカバーされ、トラッキングを「m」個の時点で繰り返すことにより、各トラック位置の変位履歴全体が取得され、メモリ42に保存され得る。1つの有用な実施形態では、境界が検出範囲のほぼ中間に配置されるように、プッシュパルスは予期される損傷境界の外側に配置される。
【0031】
イメージング動作の間、ユーザは、1つ又は複数の画像において境界を決定する必要があり得る。一実施形態によれば、境界検出モードは、このモードに入るための手動又はソフトウェアスイッチ44を使用して起動され得る。境界検出モードでは、上記したように、信号処理装置26において、せん断波変位及び指向性変位フィルタを使用することにより、境界検出のためのより大きな感度が提供される。信号処理デバイス26は、組織間の境界を解読又は描写するために境界推定器を提供する。
【0032】
信号処理デバイス26は、プロセッサに本原理の側面を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置が使用するための命令を保持及び保存可能な有形のデバイスであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又はこれらの任意の適切な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体は、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、SRAM、CD−ROM、DVD、メモリスティック、フロッピーディスク、機械的符号化装置(例えば、パンチカード又は命令が記録された溝の中の隆起構造)、及びこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。本明細書中で使用されるコンピュータ可読記憶媒体との用語は、電波又は他の自由に伝搬可能な電磁波又は音波などの一時的信号それ自体として解釈されるべきではない。
【0033】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令とは、コンピュータ可読記憶媒体から各演算/処理デバイスに、又は、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶装置にダウンロードされ得る。ネットワークは、銅製の伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含むことができる。各演算/処理デバイス内のネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれの演算/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。いくつかの実施形態では、本原理の側面を実行するために、例えばプログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路が、該電子回路をパーソナライズするためのコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、コンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0034】
図2を参照すると、トラッキングパルス104を有するプッシュパルス102の概略図が、本原理に従って例示的に示されている。イメージングアレイ14(
図1)が、損傷境界110における又はその近傍の組織112と接触して保持されている。1つの有用な実施形態では、プッシュパルス102は、境界110がせん断波106のトラッキング範囲108のほぼ中間にあるように、損傷境界110の外側に配置される。プッシュパルス102は、組織112を例えば少なくとも1ミクロン変位させるのに十分な音響放射力を組織112内に生成するために、高振幅かつ長い持続時間(例えば、約1ms)で送信される。変位は、プッシュパルス102のプッシュ方向に垂直に移動するせん断波106の形で伝搬される。せん断波106伝搬は、プッシングラインから約2〜3cm離れたところまで、高いパルス繰り返し周波数(例えば、1.5kHz)を有するトラッキングパルス又はライン104によって検出可能なSNRを有する。
【0035】
このようなプッシュパルス振幅又はトラッキングパルス振幅、及びパルスシーケンス等の超音波スキャナの音響出力設定は、せん断波イメージングモダリティのデフォルト値であって、反射波法に特異的なものでなくてもよい。これらの設定は、米国のFDA(Food and Drug Administration)の承認範囲内にあることが好ましい(すなわち、メカニカルインデックス≦1.9)。
【0036】
「n」個のトラッキングパルスを用いて、関心領域(ROI)の横方向範囲(トラッキング範囲108)が十分にカバーされ、トラッキングを「m」個の時点で繰り返すことにより、各トラック位置(各トラッキングライン104に対応)の変位履歴全体が取得される。2D又は3D領域のための変位履歴が実行され得る。
【0037】
せん断波変位は、トラッキングデータから信号プロセッサ26(
図1)によって実行されるスペックルトラッキングアルゴリズムを使用して検出され得る。データ処理27データ処理27(
図1)は、結果として生じる変位に適用される少なくとも1つの指向性フィルタ(好ましくは2つ、より多くが採用されてもよい)を含み得る。周波数領域における空間フィルタと時間フィルタの任意の組み合わせが適用され得る。しかしながら、説明される例示的な実施形態は、横方向のx方向(せん断波伝搬方向に平行)における時空間フィルタ及び時間を使用する。x軸に沿って順方向及び逆方向に伝搬する波を得るために、各深度点におけるせん断変位にフィルタが適用される(z方向において、合計「d」個の点)。
【0038】
図3を参照すると、RFA損傷評価のために順方向及び逆方向伝搬波を使用して信号処理デバイス26によって実行されるデータ取得及び処理を示すブロック/フロー図が例示的に示されている。信号処理デバイス26は、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。特に有用な一実施形態では、信号処理装置26は、1つ又は複数のプロセッサ及びメモリを含む。メモリは、集積メモリ、外部メモリ(
図1の42)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0039】
プッシュビーム102は、超音波プローブ12(
図1)によって開始され(カウンタi=1)、n個のトラッキングビーム104を提供する。プッシュビーム102は、例えば、約1msの持続時間にわたって約0.5〜約10ミクロンの振幅を含み得る。他のパルス振幅及び持続時間を使用することもできる。
【0040】
せん断波変位の空間的側面を捕捉するために、プッシュパルス102は、複数(n個)のトラッキングライン104に沿ってモニタリングされる。せん断波変位の時間的側面を捕捉するために、トラッキングライン位置ごとの結果がm回繰り返される。組織変位計算は、ブロック202において、(プッシュパルス進行方向沿いの)「d個の」深度変位点についてトラッキングデータから実行される。これは、例えば、ブロック204においてd×n×mによって定義される刑事的な変位場を特定又は規定する。蓄積された履歴を提供するために、経時的な変位場が記憶される。経時的な変位場は、バッファ又は他のメモリ要素(例えば、
図1のメモリ42)に保存され得る。
【0041】
超音波せん断波エラストグラフィ(SWE)では、反射及び屈折に起因する複雑な波の場が低いSNR及びアーチファクトの原因であると指し示されているため、これらの反射を分離して除去し、再構成アルゴリズムのパフォーマンスを向上させるために指向性フィルタが使用される。
【0042】
順方向又は逆方向の伝搬波をフィルタリングするために、データに2次元時空間指向性フィルタ(例えば、
図4を参照)が適用される。説明される実施形態では、せん断波運動の主要な空間伝播方向は経時的(t次元)に横方向(x次元)であるので、指向性フィルタは、x次元及びt次元の両方を含む2D空間に適用される。さらに、深さ方向(y方向)における各点でx−tデータに対してフィルタリングを行う。指向性フィルタリングに関して、時間方向及び空間方向の任意の組み合わせが可能である。指向性フィルタ206、208は、デジタル的に実現されてもよく、画像又は他のデータに適用されてもよい。一実施形態では、指向性フィルタ206は、隣接する画素値の間に大きな変化(急勾配)が生じるとき、画像内のエッジを探索する。この値の変化は、画像データの一次導関数(又は勾配)によって測定される。
【0043】
せん断波が有する、分散及び減衰しやすい性質のため、最も高い変位及び最も明確な波面は、ソースの近くで観測される。同様に、反射せん断波でも、最も高い変位振幅は反射境界の近くで観測される。
【0044】
上記のようにせん断波データが取得及び処理された後、指向性フィルタ順方向206がデータに適用され、順方向変位場210が決定される。順方向変位場210は、2Dフーリエ変換、又は、(空間及び時間進行を通して)順方向伝搬波を区別/フィルタリングするためにデータに適用される他の変換もしくはデータ処理を含むことができる。各深度点(d)について、2D FFTがx−t空間内のデータに適用され、ωk周波数領域データが取得される。波伝播の方向性に特有の予め計算された周波数領域フィルタが、データのFFTに乗算される。予め計算された指向性フィルタは、
図4に示すような市松模様の形態、又は他の形態を取ることができる。
【0045】
図4では、時空間フィルタマスク250が例示的に示されており、y軸には時間周波数(ω)が、x軸には空間周波数(波数(k))が示されている。順方向伝搬波のためには、白色領域260が、保持されるべきωk周波数領域の部分を表す1の値を示し、黒色領域262が、信号がフィルタリング除去されるゼロのフィルタ値を示す。黒色の領域と白色の領域との間の遷移は、Gibbs現象などのフィルタリングアーチファクトを避けるために適切に平滑化される。逆方向伝搬波のためには、
図4の画像から、白色領域260が黒色であり、黒色領域262が白色である、このフィルタの鏡像が用いられる。フィルタリングされたx−t空間データを得るために、逆FFTが実行され得る。このデータは、単一の方向(この場合、順方向)に伝搬する波を含む。
【0046】
同様に、
図3において、逆方向変位場212を決定するために、指向性フィルタ逆方向208がデータに適用される。RFAによって生成される熱傷のような硬い含有物の場合、波エネルギーのかなりの部分が弾性ミスマッチのために含有物境界から反射されるため、順方向伝搬波アプローチのせん断波速度推定は十分でないおそれがある。順方向及び逆方向は便宜上、使用されており、任意の2つの伝搬方向が使用され得ることを理解されたい。また、両方向は互いに空間的に反対であることが好ましい。逆方向変位場212は、2Dフーリエ変換、又は、(空間及び時間進行を通して)逆方向伝搬波を区別/フィルタリングするためにデータに適用される他の変換もしくはデータ処理を含むことができる。各深度点(d)について、2D FFTがx−t空間内のデータに適用され、ωk周波数領域データが取得される。波伝播の方向性に特有の予め計算された周波数領域フィルタが、データのFFTに乗算される。予め計算された指向性フィルタは、
図4に示すようなものとは反対の市松模様の形態を取り、例えば、逆方向伝搬波のために、黒色領域262が、保持されるべきωk周波数領域の部分を表す1の値を示し、白色領域260が、信号がフィルタリング除去されるゼロのフィルタ値を示す。黒色の領域と白色の領域との間の遷移は、Gibbs現象などのフィルタリングアーチファクトを避けるために適切に平滑化される。フィルタリングされたx−t空間データを得るために、逆FFTが実行され得る。このデータは、単一の方向(この場合、逆方向)に伝搬する波を含む。
【0047】
信号処理装置26は、境界推定器214を実行するためにメモリに結合されており、経時的に蓄積された指向性変位場の履歴に基づいて、表示画像内の組織境界を推定する。境界推定器214は、画像内の組織境界を特定するために、画像内の最大振幅の位置を指し示して、指向性伝搬変位場の振幅履歴を蓄積する。境界推定器214は、画像処理プログラム、データ処理プログラム、有限要素モデル、ソルバーなどのモデル等、異なる形式を含み得る。有用な実施形態では、境界推定器214は、順方向変位場210及び/又は逆方向変位場212に基づいて組織境界を推定するために処理アルゴリズム又はモデルを含む。境界推定器214は、経時的に測定された強度、エネルギー等を計カウント又は蓄積する蓄積方法を含む。波が通過したとき、順方向及び逆方向の両方の振幅トレースを記録して(バッファリングして)、最も多くのエネルギーが通過した領域を評価することができる。損傷境界はより高い硬度を有するので、順方向及び逆方向変位場は、振幅が最も高い(経時的に蓄積された強度が最も高い)損傷境界の前方で反射波のクラッタが得られる、損傷境界に関する冗長情報を提供するはずである。一実施形態では、境界推定器214は、境界からの反射に起因する逆方向伝搬波振幅の蓄積に依拠する。一実施形態では、波振幅の履歴は、指向性フィルタリングの後に足し合わせられる。これは、反射波が最大の振幅を有する含有物のちょうど外側で顕著なコントラストを与え、反射境界を示すクラッタを形成する。
【0048】
境界推定結果(BE)はブロック216でメモリに保存され、処理は判定ブロック218に進む。判定ブロック218において、i(カウンタ)が1より大きいかどうかの判定が行われる。iが1より大きくない場合、パスはプッシュビームの生成に戻りる。iが1より大きい場合、パスはブロック220に進む。他の反復スキームを使用することもできる。
【0049】
ブロック220において、処理は、損傷境界と、組織の不均一性に起因する潜在的な反射体として、他の含有物を提供する。RFAの場合、実際の損傷境界は時間の経過とともに拡大するので、超音波プローブが静止した状態で、短時間(例えば、2〜3秒)後に取得及び処理が繰り返される。反復測定は、固有の反射体に対しては同じ解を与えるが、熱傷境界はいくつかの反復測定にかけて拡大するので、処理への追加オプションは、減算(BE
i−BE
i−1)又は相互相関(lag(BE
i,BE
i−1))を使用して、いくつかの反復サイクルにわたる損傷境界のシフトを検出することであり得る。この追加処理は、組織から固有反射体をキャンセルし、成長する損傷境界を提供する。少量の動きに起因する測定間のシフトが、画像レジストレーションによって補償されてもよい。この時点で、ブロック224において治療のためのフィードバックを提供するために、組織境界はRFAモニタリングディスプレイユニットに送信される。ブロック222では、反復カウンタがインクリメントされ、パスは新しいプッシュビーム102の生成に戻る。
【0050】
境界推定の一実施形態では、境界推定器214において、モデルベースの波動方程式が、順方向及び逆方向伝搬波をそれぞれモデルへの入力及び出力して解かれ得る。モデルは、せん断波伝搬の過渡的ダイナミクスをシミュレートするために使用可能な有限要素モデルを含むことができる。ブロック214において、再構成アルゴリズム、例えばtime−to−peak(TTP)再構成を用いて順方向伝搬波から健常組織硬度が推定され、損傷硬度は、健常組織硬度よりもはるかに大きいと見なされる(例えば、健常組織硬度の3倍)。これらの材料特性を使用して、(モデル解からの)シミュレートされた反射波と、(せん断波イメージングからの)測定された反射波との間の誤差を最小限に抑えるために、モデルの幾何学的パラメータ(損傷境界の位置)が最適化される。損傷境界の最適解はメモリバッファに記憶され、表示のために同様に処理される。本原理は、複数の方法で実行することができ、異なる出力構成及び目的を含み得る。
【0051】
図5を参照して、一実施形態では、損傷境界は、従来の方法で取得されたBモード画像とともにオーバーレイとして、又はその上に重ね合わせて表示され得る。ブロック302ではせん断波を生成するためにプッシュビームが送られる。ブロック304では、3D(2つの空間次元及び時間)せん断波変位場D(d=1..numDepths,n=1..numX,m=1..numTime)が取得され、ここで、numDepthは深度点の数であり、numXは横方向のサンプリング点の数であり、numTimeはせん断波変位をサンプリングする時点の数である。ブロック306において、深さd、D(d,x=1..numX,t=t.numTime)における各平面に対して指向性フィルタ(逆方向、順方向、又は両方)が適用される。これにより、逆方向伝搬変位場D
back(d=1..numDepths,n=1..numX,m=1..numTime)が生成される。ブロック308では、全ての時点にかけての最大変位振幅が計算される(例えば、D
back,max(d=1..numDepths,n=1..numX)。ブロック310において、D
back,maxが、N個の要素を有するサーキュラーリングバッファに蓄積され、リングバッファが既にいっぱいの場合には、最も古い要素を上書きする。Nの例示的な値は[2..10]である。ブロック312において、バッファ内にN個未満の要素がある場合、ブロック302に進み、新しい変位場を生成する。ブロック314において、バッファが満たされている(N個の要素を有する)場合、ブロック316に進む。
【0052】
ブロック316において、D
back,max,avg(d=1..numDepths,n=1..numX)を求めるために、バッファされたD
back,max(1..N)を平均化する。ブロック318において、D
back,max,avgを(取得されたBモード画像と一緒に/重ね合わせて)表示する。
【0053】
図6を参照すると、別の実施形態では、平均最大逆方向伝播振幅を表示する代わりに、損傷境界が推定され表示される。ここで、
図5のブロック302〜306は同じままであり、パスはブロック320に進む。ブロック320において、データ内で最も大きいD
back,max,avgの位置d
max,x
maxが求められる。ブロック322において、D
back,max,avgにおける位置の領域がマスキングされ、振幅が閾値(例えば、最大振幅の1/2)よりも大きい画素のみが保持される。ブロック324において、全てのピクセルが例えば最大振幅の1/2よりも大きいd
maxを中心とする深度範囲d
1...d
2を特定する。ブロック326において、d
1...d
2の各深さd
iについて、振幅が最大振幅の1/2より小さい低下するx値、x
i>1/2x
maxを特定する。ブロック326において、各点(d
i,x
i)を通るスプラインを当てはめ、このスプラインを損傷境界の推定結果として表示する。
【0054】
図7を参照すると、別の実施形態では、異なる手法を用いて、平均最大逆方向伝播振幅を表示する代わりに、損傷境界が推定され表示される。ここで、
図5のブロック302〜306は同じままであり、パスはブロック330に進む。ブロック330において、全てのnumTime点についての逆方向(又は順方向)せん断変位が足し合わせられ(すなわち、Σ
tD
back(d=1..numDepths,n=1..numX,t))、単一のせん断変位場画像D
sumが取得される。ブロック332において、各深度点についてD
sumの最大値を検出し(d
i,x
max@di)、また、最大値を中心とする半値全幅(FWHM)点を検出する(d
i,x
FWHM_1@di&d
i,x
FWHM_2@di)。ブロック334において、プッシュパルスの反対側の各FWHM点(d
i,x
FWHM_2@di)にスプラインを当てはめ、損傷境界を推定する。
【0055】
これらの方法は、損傷境界を定義して表示する方法の例示である。これらの方法は、限定するものとして解釈されるべきではなく、本原理に従ってデータ処理及びイメージングの他の方法が使用されてもよい。
【0056】
図8を参照すると、境界検出のための反射/逆方向伝搬波の後処理の結果400が1つの例示的な実施形態に従って示されている。RFAによって生成される典型的な熱傷と比較して、この含有物の比較的低い硬度にもかかわらず、振幅が最も高い損傷境界の前方で反射波404のクラッタが得られる。損傷402は破線の円で示され、反射波クラッタ404はその境界を描く。弾性係数の結果はパスカル(Pa)で示されている。
【0057】
図9を参照して、
図8の結果400と同じデータセットについて、損傷422を示す時間遅延ベースのエラストグラフィ再構成420が示されている。弾性係数の結果はPaで示されている。再構成420は、順方向伝搬波のみを使用した時間遅延ベース再構成を示す。損傷とバックグラウンドとの間の剛性差が合理的な範囲内にあるので(例えば、15kPa対7.5kPa)、このデータセットでは通常の弾性再構成でも良好に機能する。反射波アプローチにより推定された境界は(
図8)は、エラストグラフィ再構成(
図9)において見られる損傷の形状に一致する。
図7を参照して提供されるように幅広いクラッタ404はセグメント化されてもよく、(プッシュパルス位置からより遠い)遠端が損傷境界としてマークされる。
【0058】
本原理は、損傷成長推定及びアブレーションモニタリング処置のための弾性マップを提供及び表示することができる。特に、本原理は、視野(FOV)全体にわたって剛性推定値を提供する代わりに、せん断波反射が生じる(硬い)境界をハイライトする画像を形成する。これは、非常に硬い含有物介在物を有するファントムを用いた試験において検査され、例えば、境界視覚化が、含有物の剛性(硬さ)の増加とともに改善される場合、反射波処理が有利に採用される。アブレーション治療モニタリング方法は、RFアブレーションモニタリングのために使用される任意の装置に適用され得る。さらに、マイクロ波、HIFUなどの熱によるサーマルアブレーション治療の他の形態にも同じ手法を用いることができる。実施形態は、熱的治療のモニタリングに加えて、針又は他のデバイスの存在に起因して、生検ターゲットの有効剛性が増加する画像誘導生検用途に適用することができる。
【0059】
添付の特許請求の範囲の解釈にあたり、以下が理解されるべきである。
a)「含む」という用語は、所与の請求項に列挙された要素又は動作以外の要素又は動作の存在を排除するものではない。
b)要素に先行する用語「a」又は「an」は、複数のかかる要素の存在を排除するものではない。
c)特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、その範囲を限定しない。
d)複数の「手段」が、同一のアイテム、ハードウェア、又はソフトウェア実装構造もしくは機能によって代理され得る。
e)特に明記されない限り、動作の特定のシーケンスはいとされないものとする。
【0060】
サーマルアブレーションにおける損傷成長をモニタリングするための反射せん断波に関する好ましい実施形態を説明してきたが(例示であって限定することを意図するものではない)、上述の教示に鑑み、当業者によって変更及び変形が可能であることに留意されたい。したがって、添付の特許請求の範囲によって定められる本明細書に開示される実施形態の範囲内にある、本開示の具体的実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。特許法によって要求される詳細及び具体性を上記してきた。クレームされ、特許状による保護が望まれるものは添付の特許請求の範囲に記載されている。