(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について詳述する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の一実施形態を示したものにすぎない。除湿システム10の構成を
図1を参照しつつ説明する。また、特に断りがない場合は、低露点室Rで作業員が作業している状態で除湿システム10が稼働しているものとする。
【0018】
本発明における第1実施形態である除湿システム10外の外気OA1は、冷却コイル35、及び冷却コイル35の下流側に位置する温度計T2、を備えたダクト42から、供給ファン17入口へ導入され、供給ファン17出口からダクト46を通過し、チャンバ32の冷却空気入口区域32cに流入される。ダクト42は外気OA1を除湿システム10内に取り入れるものである。冷却コイル35の冷却水の流量は、温度計T2で測定した温度に基づき調節計26で調節される。冷却空気入口区域32cに流入された空気(外気OA1)は、吸着ロータ31の減湿域31c、チャンバ33の冷却空気出口区域33cを順に通過し、冷却空気出口区域33cに接続されたダクト45に導入される。ダクト45には上流側から下流側にかけて圧力計P2、露点計D2、ダンパユニットV1が順に備わる。ここで、圧力計P2に基づき供給ファン17を制御する調節計12が設けられている。ダクト45の下流端は低露点室Rに接続されており、ダクト45に導入された空気はダクト45の下流端から低露点室Rに給気SAとして供給される。
【0019】
低露点室Rには、このダクト45とダクト41が接続され、同低露点室R内には圧力計P3、排気EA2を同低露点室R外に排出する排出口が備わる。
【0020】
ダクト41は上流端を低露点室R、下流端をダクト42に接続され、室内の空気の一部である還気RAがダクト41からダクト42に導入される。ダクト41はダクト42に設置される温度計T2よりも下流側であって、供給ファン17よりも上流側の位置に接続される。ダクト41には上流側から下流側にかけてPCD24(プレッシャコントロールダンパ)、露点計D1が備わる。また、圧力計P3で測定された圧力に基づきPCD23を制御する調節計24が備わる。
【0021】
除湿システム10外の外気OA2は、ダンパユニットV3を備えたダクト49から、同ダクト49の下流端に接続されるダクト44に導入され、ダクト44の下流端に接続されるチャンバ33の加熱空気入口区域33aに流入される。ダクト44は外気OA2を除湿システム10内に取り入れるものである。ダクト44には上流側から下流側にかけてヒータ34、温度計T1が順に備わる。また、温度計T1で測定された温度に基づきヒータ34を制御する調節計15が備わる。加熱空気入口区域33aに流入された空気(外気OA2と、後述のダクト48を流れてきたパージ出口空気との混合空気)は、吸着ロータ31の再生域31a、チャンバン32の加熱空気出口区域32aを順に通過し、加熱空気出口区域32aに接続されたダクト50に導入される。加熱空気出口区域32aには温度計27が備わる。また、加熱空気出口区域32aに別途温度計28を設けてもよいし、温度計27、温度計28に加えて別途1つ以上の温度計をさらに設けてもよい。
【0022】
ダクト50に導入された空気はダクト50の下流端に接続された再生ファン16入口に流入し、同再生ファン16出口に接続されたダクト43を通過し、排気EA1として除湿システム10外に排出される。
【0023】
ダクト46からダクト47が分岐して配され、ダクト47の下流端がチャンバ32のパージ空気入口区域32bに接続される。ダクト47にはダンパユニットV2を設けておくとよい。給気ファン17からダクト46に導入された空気の一部はダクト47を通過しパージ空気入口区域32bに流入する。パージ空気入口区域32bに流入した空気は、パージ域31b、パージ空気出口区域33bを順に通過し、パージ空気出口区域33bに接続されたダクト48に導入される。ダクト48には圧力計P1が備わる。圧力計P1で測定された圧力に基づき再生ファン16を制御する調節計11が備わる。ダクト48の下流端がダクト49におけるダンパユニットV3の下流側に接続され、ダクト48を通過した空気がダクト49に導入され、ダクト49の空気(外気OA2)に合流する。
【0024】
加熱空気出口区域32aに備わる温度計27(温度計28や別途1つ以上の温度計を設けている場合はこれら全ての温度計)の測定値の入力信号を受け、この入力信号に基づいてダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3の各々に出力信号を発する演算装置(PLC)が設けられている。
【0025】
本実施形態に備わる調節計11、調節計12、調節計15,調節計24,調節計26、演算装置PLCはそれぞれ独立に各機器(再生ファン16、供給ファン17、ヒータ34、圧力調整ダンパPCD、冷却コイル35、ダンパユニット(ダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3))の運転を調節する。しかしながら、これら調節計全部又は一部と演算装置PLCの演算を総括して行うメイン演算装置(図示しない)を別途備えて、有機的な調節を行うようにしてもよい。例えば、一例として調節計17や調節計12からの信号をメイン演算装置(図示しない)が受信し、ダンパユニットに開度調節の信号を発信するように調節する制御をしてもよい。ダンパユニットにはVAVユニット、風量調節機能を備えたダンパなどを用いることができる。
【0026】
以下、各々の機器・機材について説明する。
【0027】
(吸着ロータ)
減湿システム10には、軸心周りに回転駆動される吸着ロータ31を有し、吸着ロータ31には、区画された吸着部材が複数回転方向に並んでおり、各吸着部材が軸芯方向に貫通する筒部を多数有し、この筒部を通じて通気可能となる形態を一例に提示できる。吸着部材相互は例えば、シール材で接合されてよく、接合された接合部が回転方向に間隔を空けて複数、軸芯から放射状に延在する形態にすることができる。
【0028】
吸着ロータ31の吸着部材は、空気に含まれる水分が吸着される吸着材(乾燥材)を備えている。吸着材(乾燥材)にはシリカゲルやゼオライト、吸湿系樹脂が用いられる。また、吸着部材には吸着材(乾燥材)を備えず吸収液、例えば、塩化リチウムや塩化カルシウムを含侵させたものを用いることもできる。
【0029】
前述の筒部は例えば、六角柱や三角柱を一例とすることができるがこれに限るものではない。吸着ロータ31の形状は六角柱の筒部を実質、隙間なく並べて円柱構造体(すなわち、ハニカム構造体)としたものや三角柱の筒部を実質、隙間なく並べて円柱構造体(以下、「ハニカム構造体等)という。)としたものを一例とするがこれに限るものではない。そして、この吸着ロータ31は、この多数の筒部の貫通方向、すなわち、厚さ方向(軸芯方向)に空気が貫通される構造になっている。
【0030】
吸着ロータ31は、冷却された外気OA1と還気RAとで混合された空気を減湿処理して低露点室Rに空気を供給する冷却空気の通過域(減湿域)と、パージされた空気と外気OA2とで混合して加熱された加熱空気を加湿し排気EA1として排出する加熱空気の通過域(再生域)と、加熱空気の通過で再生され昇温した吸着ロータ31に外気OA1を送風して放熱するパージ空気の通過域(パージ域)とに跨って配設される。軸芯60を中心に軸心回りの回転で吸着ロータ31の各筒部が冷却空気の通過域(減湿域)、加熱空気の通過域(再生域)、パージ空気の通過域(パージ域)の順に移動を繰り返すことになる。またこの吸着ロータ31は、軸芯60を中心に連続回転しながら、減湿域を通過する空気中の水分を吸着して空気を減湿し、吸着した水分を再生域を通過する加熱空気に脱着させることを繰り返し行っている。
【0031】
吸着ロータ31は同吸着ロータ31の軸芯60を中心に回転稼働する。吸着ロータ31の回転速度(回転数)は、一定速度とすることもできるし、可変速度とすることもできる。回転数は対象とする低露点室Rの容積、部屋数、同室R内の物資や作業員の数、吸着ロータ31の性能等により適宜調節できる。例えば、1時間当たりの回転数(rph)を2〜15rphとすることができる。
【0032】
吸着ロータ31の回転手法は特に限定されないが、一例として、吸着ロータ31の周面にベルトを張りギアモータ等で回転させる手法とすることができる。吸着ロータ31の回転速度はギアモータ等をインバータによる周波数で制御することができる。
【0033】
(空気通過域)
吸着ロータ31は軸芯60を中心軸とする回転で順次入れ替わる減湿域31cと再生域31aとパージ域31bに跨って設置される。減湿域31cは冷却空気入口区域32cから吸着ロータ31に導入された冷却空気が冷却空気出口区域33cに導出される場合に通過する冷却空気が通過する吸着ロータ31の領域をいう。再生域31aは加熱空気入口区域32bから吸着ロータ31に導入された加熱空気が加熱空気出口区域32aに導出される場合にこの加熱空気が通過する吸着ロータ31の領域をいう。パージ域31bはバージ入口区域32bから吸着ロータ31に導入されたパージ空気がパージ空気出口区域33bに導出される場合にパージ空気が通過する吸着ロータ31の領域をいう。例えば、吸着ロータ31の回転で吸着ロータ31の吸着部材の各筒部が、減湿域31cから再生域31aに移動し、その後パージ域31bに移動し、その後再度減湿域31cに移動する。この筒部はこれら3つの領域間の移動を繰り返す。吸着ロータ31が回転方向71に回転し、チャンバ32に設けられた仕切り板52aをθ=0°と仮定すると、例えば、チャンバ32のθ=0°〜90°までの区域(加熱空気出口区域32a)に対向する吸着ロータ31の領域が再生域31a、θ=90°〜135°までの区域(パージ空気入口区域32b)に対向する吸着ロータ31の領域がパージ域31b、θ=135°〜360°(=0°)までの区域(冷却空気入口区域32c)に対向する吸着ロータ31の領域が減湿域31cとなる。しかしながら、チャンバ32の3つの区域、チャンバ33の3つの区域の仕切り板の位置角度が異なるときは吸着ロータ31の前述の3つのゾーンの容積も同仕切り板の位置角度に対向するように異なったものとなる。
【0034】
吸着ロータ31の成形について一例を示す。吸着ロータ31は、
図5、
図6に示すように、同形の2つの半円柱体である吸着部材63aと吸着部材63bの接合面を対向させて成形する。具体的には吸着部材63aの中心軸方向の切断面(接合面)と吸着部材63bの中心軸方向の切断面(接合面)を対向させて円柱体に成形する。成形される吸着ロータ31の中心軸には同吸着ロータ31を回転させるための軸芯60が配される。また、吸着部材63aの中心軸方向の切断面(接合面)と吸着部材63bの中心軸方向の切断面(接合面)の間に補強材62を介装させると、吸着ロータ31の型崩れを防ぐことができ好適である。しかしながら、補強材62を介装させずに成形してもよい。
【0035】
前述のとおりに成形された吸着ロータ31の周面をリム61で覆ってもよい。吸着ロータ31の型崩れを防止できる。また、吸着ロータ31の両端面に硬化材を備えるとよい。減湿システム10の稼働時には、チャンバ32、33の仕切り板における同端面に対向する端縁に、吸着ロータ31の両端面が接触しつつ回転する。同両端面に硬化材を備えて補強することで除湿システム10の長期的使用による、吸着ロータ31の両端面の摩耗、すり減りを防止できる。
【0036】
吸着部材63aにおける端面(半円形面)の弦(直径部分)66aと、この弦に対向する弦(すなわち、円柱体63bにおける端面(半円形面)の弦(直径部分))66bとで形成される隙間を塞ぐように、これらの対向する弦66a、66bに沿ってシール材64(
図5の斜線部で囲まれた部分)を配してもよい。吸着ロータ31の回転軸方向に空気を通過させる場合、この隙間があると空気がこの隙間を通過してしまい、水分の吸着及び脱着が不十分となるおそれがある。この隙間をシール材64で塞ぐことで、空気が同隙間に流れ込むのを防止できる。
【0037】
前述のほか、吸着部材63aと吸着部材63bの対向面(接合面)の全面又は一部にシール材64を設ける形態としてもよい。
【0038】
吸着ロータ31の成形について別の例を示すことができる。円柱体の中心軸を中心軸方向に十字に切断された4つの吸着部材65a、65b、65c、65dについて、まず、吸着部材65aの切断面(接合面)と吸着部材65bの切断面(接合面)を対向させて半円柱体の吸着部材(65a、65b)に成形する。同様に吸着部材65cの切断面(接合面)と吸着部材65dの切断面(接合面)を対向させて半円柱体の吸着部材(65c、65d)を成形する。次に、円柱体が成形されるように、半円柱体の吸着部材(65a、65b)の中心軸方向の切断面(接合面)と半円柱体の吸着部材(65c、65d)の中心軸方向の切断面(接合面)とを対向させることにより、吸着ロータ31が成形される。成形された吸着ロータ31の中心軸には同吸着ロータ31を回転させるための軸芯60(図示しない)が配される。また、前述のように対向させる場合は、対向される切断面間に補強材62を介装させることができる。しかしながら、補強材62を介在させずに成形してもよい。
【0039】
このように成形された吸着ロータ31に対しても、前述同様、同吸着ロータ31の周面をリム61で覆うとよい。また、吸着ロータ31の両端面に硬化材を備えるとよい。そして、吸着部材65aの一方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)67a、68aと、吸着部材65bの一方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)67b、68bと、吸着部材65cの一方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)67c、68cと、吸着部材65dの一方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)67d、68dとが対向して形成される隙間の各々を塞ぐようにシール材64を配するとよい。
【0040】
同様に、吸着部材65aの他方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)と、吸着部材65bの他方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)と、吸着部材65cの他方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)と、吸着部材65bの他方の端面(扇形面)における直線状の端縁(半径部分)とが対向して形成される隙間の各々を塞ぐようにシール材64を配するとよい。
【0041】
また、
図17に示すようにシール材64を設ける範囲を次記のとおりにしてもよい。吸着部材65aの切断面(接合面)と吸着部材65bの切断面(接合面)との対向面の全面又は一部にシール材64aを設けてもよい。同様に、吸着部材65cの切断面(接合面)と吸着部材65dの切断面(接合面)との対向面の全面又は一部にシール材64aを設けてもよい。また、半円柱体の吸着部材(65a、65b)の中心軸方向の切断面(接合面)と半円柱体の吸着部材(65c、65d)の中心軸方向の切断面(接合面)との対向面の全面又は一部にシール材64aを設けてもよい。
【0042】
前述のとおり吸着部材の接合面をシール材64で接合した接合部は吸着ロータ31の回転方向に間隔を空けて複数、軸芯から放射状に延在されたものとなる。前述では一つの吸着ロータ31に対して接合部は2又は4つ備わることになるが、吸着部材を変形させて、接合部を2〜8つ備わるように成形してもよい。
【0043】
シール材64は吸着部材相互を接合できればよく、シリコンシールを用いることができる。しかしながら、これに限るものではなく、適宜公知の接合材を用いることができる。
【0044】
(チャンバ)
吸着ロータ31の一方の端面には空気が通過するチャンバ32が備わる。吸着ロータ31の回転方向に沿って、チャンバ32は3つの区域、すなわち、冷却空気入口区域32c、加熱空気出口区域32a、パージ空気入口区域32bに区分される。冷却空気入口区域32cと加熱空気出口区域32aの境界には仕切り板52aが設けられ、両区域が仕切られている。加熱空気出口区域32aとパージ空気入口区域32bの境界には仕切り板52bが設けられ、両区域が仕切られている。パージ空気入口区域32bと冷却空気入口区域32cの境界には仕切り板52cが設けられ、両区域が仕切られている。
【0045】
また、吸着ロータ31における冷却空気の出口側の端面に、吸着ロータ31の筒部を通過する空気の通過域であるチャンバ33が隣接して備わる。吸着ロータ31の回転方向に沿って、チャンバ33は3つの区域、すなわち、冷却空気出口区域33c、加熱空気入口区域33a、パージ空気出口区域33bに区分される。加熱空気入口区域33aとパージ空気出口区域33bの境界には仕切り板53bが設けられ、両区域が仕切られている。パージ空気出口区域33bと冷却空気出口区域33cの境界には仕切り板53cが設けられ、両区域が仕切られている。冷却空気出口区域33cと加熱空気入口区域33aの境界には仕切り板53aが設けられ、両区域が仕切られている。
【0046】
仕切り板52a、52b、52cのそれぞれは、チャンバ32内を吸着ロータ31の軸芯方向に配され、冷却空気入口区域32Cと加熱空気出口区域32aとパージ空気入口区域32bを区分している。この仕切り板52a、52b、52cにより冷却空気入口区域32Cと加熱空気出口区域32aとパージ空気入口区域32bの相互間で空気の流通がほとんどない又はないようにすることができる。
【0047】
また、仕切り板53a、53b、53cのそれぞれは、チャンバ33内を吸着ロータ31の軸芯方向に配され、冷却空気出口区域33cと加熱空気入口区域33aとパージ空気出口区域33bを区分している。この仕切り板53a、53b、53cにより冷却空気出口区域33cと加熱空気入口区域33aとパージ空気出口区域33bの相互間で空気の流通がほとんどない又はないようにすることができる。
【0048】
吸着ロータ31の回転方向71の座標θ(位置角度θ)を用い、仕切り板52aをθ=0°としてチャンバ32の各区域を説明すると、一例として加熱空気出口区域32aをθ=0°〜90°(すなわち中心角90°)、パージ空気入口区域32bをθ=90°〜135°(すなわち中心角45°)、冷却空気入口区域32cをθ=135°〜360°(すなわち中心角225°)とすることができる。しかしながら、低露点室Rの用途、諸機器(ヒータや冷却コイル、ファンなど)の性能等に応じ各区域の大きさ(すなわち、中心角)を適宜設計できる。例えば、加熱空気出口区域32aの中心角を60〜180°の範囲とし、パージ空気入口区域32bの中心角を15〜90°の範囲とし、冷却空気入口区域32cの中心角を180〜285°の範囲として設計可能である。
チャンバ33の各区域の位置角度及び中心角は、チャンバ32の各区域の位置角度及び中心角と対向するようにする。具体的には、吸着ロータ31の回転方向の座標θ(位置角度)を用い、一例として仕切り板53aをθ=0°とすると、加熱空気入口区域33aをθ=0°〜90°(すなわち中心角90°)、パージ空気出口区域33bをθ=90°〜135°(すなわち中心角45°)、冷却空気出口区域33cをθ=135°〜360°(すなわち中心角225°)とする。このようにすると、例えば、冷却空気入口区域32cから吸着ロータ31に導入された空気が冷却空気出口区域33cを通過することになる。チャンバ33の各区域の大きさ(すなわち、中心角)はチャンバ32の区画の大きさ(すなわち、中心角)に対向させて適宜設計するとよい。
【0049】
加熱空気出口区域32aには温度計27(請求項における「第1温度計」をいう。)が設置されている。吸着ロータ31の回転で加熱空気の出口温度は所定の温度幅で振動する。そして、加熱空気出口区域32a内でこの温度幅が10℃以上25℃以下、好ましくは15℃以上20℃以下となる箇所に温度計27を設置するとよい。
【0050】
さらに、加熱空気出口区域32aに温度計28(請求項における「第2温度計」をいう。)を設置してもよい。設置する場合、加熱空気出口区域32a内で振動する温度幅が5℃以上10℃未満となる箇所に温度計28を設置するとよい。
【0051】
温度計27及び温度計28を備えた場合、それぞれの温度計の測定値の情報を演算装置PLCで受信され、この情報に基づき再生域31aに導入される加熱空気風量が演算される。演算の入力値の一例としては、特定の時刻における温度計27の測定値と温度計28の測定値との差を求め、その差を演算の入力値とする手法を提示できる。ここで、演算の入力値がロータ31の回転に伴い振動すると、演算結果である加熱空気の風量(出力値)も同入力値に対応して変動するものとなる。
【0052】
温度計27の測定値と温度計28の測定値の差(温度差82)を加熱空気風量の演算の入力値とすることができる。例えば、温度計27で加熱空気出口区域32aにおける位置角度65°の加熱空気の出口温度を測定する。また、温度計28で加熱空気出口区域32aにおける位置角度33°の加熱空気の出口温度を測定する。温度計27の測定値と温度計28の測定値との差(温度差82)を縦軸にとり、吸着ロータ31の回転に伴う時間経過を横軸とすると、温度差82が時間経過とともに振動する(
図7参照)。時間経過に伴うこの振動による温度幅は、温度計27のみによる測定値の振動による温度幅ほど大きいものとならない場合がある。この温度差82を加熱空気風量の演算の入力値とすることができる。
【0053】
温度計27設置して減湿システム10を稼働させた場合、温度計を加熱空気出口区域32aに設けずに稼働させた場合と比較すると、単位時間当たりの加熱空気の総風量を31%削減でき、ランニングコストを抑えることができ再生効率に優れる減湿システム10の稼働を図ることができる。
【0054】
また、前述のように温度計27と温度計28を設置して減湿システム10を稼働させた場合、温度計を加熱空気出口区域32aに設けずに加熱空気風量を一定にして稼働させた場合と比較すると、単位時間当たりの加熱空気の総風量を49%削減でき、省エネルギー化を図ることができる、ことを発明者は知見している。なお、温度計を設けずに稼働させる場合、加熱空気の風量を一定にして運転する手法を一例に示すことができる。
【0055】
この他、移動平均法により温度計27の測定値の移動平均値(例えば、第1平均値ともいう。)と温度計28の測定値の移動平均値(例えば、第2平均値ともいう。)とをそれぞれ求め、特定の時刻におけるこれら移動平均値の差を演算の入力値としてもよい。また、相加平均(算術平均)法や相乗平均(幾何平均)法、調和平均法など種々の平均法で温度計27の測定値の移動平均値と温度計28の測定値をそれぞれ算出して利用できる。温度計27及び温度計28による温度測定は1〜60秒毎に1回、好ましくは1〜10秒ごとに1回行うとよい。1秒よりも短い時間で測定される温度が大きく変化することは稀であり、60秒よりも長いと吸着ロータ31等の環境変化への追従が鈍くなる。平均する時間は適宜調節でき例えば、10秒〜600秒、好ましくは60秒〜300秒とするとよい。10秒より短いと平均の効果が薄れ、600秒より長いと吸着ロータ31等の環境変化への追従が鈍くなる。
【0056】
図8を参照しつつ説明すると、加熱空気出口区域31aの各位置角度(θ=81°、73°、65°、57°、49°、41°、33°、25°、17°、9°)の温度変化、すなわち、加熱空気の出口温度の変化を移動平均法で表した場合、各位置角度における温度の振動が相対的に小さくなる。
図8は各位置角度について、5秒ごとの温度測定値を5分の間隔で移動平均法により算出した移動平均値をプロットしたグラフである。
【0057】
振動する温度幅が10℃以上25℃以下に設置された温度計27(例えば、位置角度θ=65°に設置された温度計)の測定値に基づく移動平均値と、振動する温度幅が5℃以上10℃未満に設置された温度計28(例えば、位置角度θ=33°に設置された温度計)の測定値に基づく移動平均値とから差(温度差83)を求め、その差83を加熱空気風量の演算の入力値とすることができる。例えば、同差を縦軸にとり、吸着ロータ31の回転に伴う時間経過を横軸とすると、この温度差83が時間経過とともに振動する(
図8参照)。しかしながら、この場合の振動による温度幅は前述した平均値を用いない場合の振動による温度幅(すなわち、
図7に示す温度差82の振動による温度幅)よりも相対的に小さいものとなっている。
【0058】
この温度差83を加熱空気風量の演算の入力値とすると、演算された加熱空気の風量が時間経過に対して相対的に大きく変動し難くなる。
【0059】
(ヒータ)
ヒータ34はダクト44に設けられ、ダクト44に導入された空気を加熱するものである。加熱された空気は再生域31aに導入される。加熱された空気が再生域31aの水分を脱着させ、再生域31aを乾燥させることで、吸着ロータ31が再度水分を吸着できるように再生される。
【0060】
予め設定された温度(設定温度、例えば、140〜200℃)を調節計15に設定しておき、温度計T1で測定された温度が同設定温度と異なるときは、同設定温度に近づくように調節される。ヒータ34の温度は、一例として、ヒータ34内の抵抗部に流れる平均電流値をSSRの発信頻度を変化させる等して調節される。調節の方式は、特に限定されないが、PID制御、PI制御を一例とすることができる。例えば、温度計T1で測定された温度が設定温度よりも高い場合、平均電流値を小さくしてヒータ34の温度を下げる。結果、温度計T1で測定される空気の温度が低くなり、設定温度に近づく。一方、温度計T1で測定された温度が設定温度よりも低い場合、平均電流値を大きくしてヒータ34の温度を上げる。結果、温度計T1で測定される空気の温度が高くなり、設定温度に近づく。温度計T1で測定される温度が設定温度になった場合、同設定温度の状態が維持される。
【0061】
(供給ファン)
供給ファン17は、ダクト42に導入された外気OA1を減湿域31cに送風して、減湿域31を通過して減湿された空気を低露点室Rに供給するものである。また、供給ファン17は、またパージ域31bに空気を送風するものである。供給ファン17の回転数は供給ファン17に備わるインバータで制御され、風量が調節される。インバータの周波数は圧力計P2で測定された圧力をもとに調節計12で制御される。制御方式は特に限定されないが、PID制御、PI制御を一例に示すことができる。圧力計P2は特に限定されないが、冷却空気出口区域33cに接続されたダクト45の上流側に設置すると、圧力損失が少なく好適である。風量の調節は、予め設定された圧力値(設定圧力値)SV2にP2で測定された圧力値を一致させるようにインバータ周波数を制御して行う。例えば、P2で測定された圧力値が設定圧力値SV2よりも低い場合には、インバータ周波数を増加させて風量を増加させることで、P2で測定される圧力値が高くなり、設定圧力値SV2に近づく。P2で測定された圧力値が設定圧力値SV2よりも高い場合には、インバータ周波数を減少させて風量を減少させことでP2で測定される圧力値が低くなり設定圧力値SV2に近づく。P2で測定される圧力値が設定圧力値SV2となった場合、ダクト45における圧力計P2付近の圧力値は設定圧力値SV2の状態に維持される。
【0062】
(再生ファン)
再生ファン16は、再生域31aの通過により加湿された空気を除湿システム10外に排気EA1として排出するものである。再生ファン16の回転数は再生ファン16に備わるインバータで制御され、風量が調節される。インバータの周波数は圧力計P1で測定された圧力をもとに調節計12で制御される。制御方式は特に限定されないが、PID制御、PI制御を一例に示すことができる。圧力計P1は特に限定されないが、パージ空気出口区域33bに接続されたダクト48の上流側に設置すると、圧力損失が少なく好適である。風量の調節は、予め設定された圧力値(設定圧力値)SV1にP1で測定された圧力値を一致させるようにインバータ周波数を制御して行う。例えば、P1で測定された圧力値が設定圧力値SV1よりも低い場合には、インバータ周波数を増加させて、風量を増加させることで、P1で測定される圧力値が高くなり、設定圧力値SV1に近づく。P1で測定された圧力値が設定圧力値SV1よりも高い場合には、インバータ周波数を減少させて風量を減少させることでP1で測定される圧力値が低くなり設定圧力値SV1に近づく。P1で測定される圧力値が設定圧力値SV1となった場合、ダクト48における圧力計P1付近の圧力値は設定圧力値SV1の状態に維持される。
【0063】
予め設定された圧力値(設定圧力値)SV2と、予め設定された圧力値(設定圧力値)SV1とはそれぞれ独立に設定されてもよい。具体的には本実施形態では供給ファン17の風量を増減させつつ除湿システム10を稼働させるのでダクト45の圧力値も増減する。また、ダンパユニットV2のダンパ部の開度が設定風量により可変するのでダクト48の圧力値も増減する。そして、ダクト45の圧力値とダクト48の圧力値は互いに独立して増減する。しかしながら、予め設定された圧力値(設定圧力値)SV2を、予め設定された圧力値(設定圧力値)SV1よりも高く設定しておくことは次の理由により好ましい。
【0064】
低露点室Rは常に所定値Dp以下の露点に維持されることが求められる。冷却空気出口区域33cの雰囲気中の水分濃度とパージ空気出口区域33bの雰囲気中の水分濃度の比は、およそ(冷却空気出口区域33cの雰囲気中の水分濃度):(パージ空気出口区域33bの雰囲気中の水分濃度)=1:100である。仮に、パージ空気出口区域33bから冷却空気出口区域33cへ空気漏れが発生すると、冷却空気出口区域33cの雰囲気中の水分濃度が高まり、結果、低露点室Rの露点が求められる露点Dpを超過するおそれがある。
【0065】
吸着ロータ31の稼働時には、仕切り板53cにおける吸着ロータ31側の端縁を吸着ロータ31が擦れつつ回転する。この時仕切り板53cにおける吸着ロータ31側の端縁とロータ31との間で空気のごく僅かな連通が生じる可能性がある。そこで、冷却空気出口区域33c付近の圧力値(すなわち、設定圧力値SV2)をパージ空気出口区域33b付近の圧力値(すなわち、設定圧力値SV1)よりも高めておく、そして、これらの圧力さを維持しておくことで、パージ空気出口区域33bから冷却空気出口区域33cへの空気の流入を防止できる。結果、低露点室Rは所定値Dp以下の露点に維持される。
【0066】
(ダンパユニットV2)
ダンパユニットV2はダクト47の空気風量を測定するものである。また、ダンパユニットV2はダンパ部を備え、ダクト47を流れる空気の風量を調節し、結果、パージ域31bを通過する空気の風量を調節するものである。また、パージ域31bを通過した空気はダクト48、ダクト44を順次通過し、再生域31aに導入される。よって、ダンパユニットV2は再生域31aを通過する空気の風量を調節するものでもある。
【0067】
ダンパユニットV2による風量調節は次記のとおりに行う。ダクト47に流すべき風量(すなわち、設定風量)の情報をダンパユニットV2が演算装置PLCから予め受信する。実際に流れる風量がダンパユニットV2で測定され、(1)設定風量と実際に流れる風量とのズレがない、又は僅少である場合、実際に流れる風量を維持する。(2)設定風量と実際に流れる風量とのズレがない、又は僅少である場合でない場合(すなわち、上記(1)でない場合)、ダンパユニットV2のダンパ部が開閉されて、設定風量に近づくように実際に流れる風量が調節される。また、設定風量を変更した場合であって上記(2)に該当する場合、ダンパユニットV2のダンパ部が開閉されて、設定風量に近づくように実際に流れる風量が調節される。ダンパ部の開閉により、実際に流れる風量が設定風量になった場合、その実際に流れる風量が維持される。
【0068】
例えば、ダンパユニットV2の設定風量が実際の風量より大きく設定変更された場合、ダンパユニットV2のダンパ部が開き方向に調節され、ダクト47に流れる空気の風量が増加する。そして、この風量が増加された空気がダクト48、ヒータ34を備えたダクト44を通過して、再生域31aに流入する。ここで、再生域31aに流入する空気はヒータ34により加熱される。この空気の流入量の増加により再生域31aでは水分の脱着が促進されつつ、再生域31aでの昇温が加速される。結果、再生域31aの出口に備わる加熱空気出口区域32aの雰囲気が昇温される。
【0069】
一方、ダンパユニットV2の設定風量が実際の風量より小さく設定変更された場合、ダンパユニットV2のダンパ部が閉じ方向に調節され、ダクト47に流れる空気の風量が減少する。そして、この風量が減少された空気がダクト48、ヒータ34を備えたダクト44を通過して、再生域31aに流入する。この空気の流入量の減少により再生域31aでは水分の脱着が抑制されつつ、再生域31aでの昇温が減速される。結果、再生域31aの出口に備わる加熱空気出口区域32aの雰囲気が降温される。
【0070】
(ダンパユニットV3)
ダンパユニットV3はダクト49の空気風量を測定するものである。また、ダンパユニットV3はダンパ部を備え、ダクト49を流れる空気の風量を調節し、結果、ダクト44及び再生域31aに導入される空気の風量を調節するものである。再生域31aに導入される空気は、パージ域31bを通過した空気と外気OA2とで構成される。そして、通常稼働時ではパージ域31bを通過した空気の方が外気OA2よりも多い。再生域31aに導入される空気をパージ域31bを通過した空気で賄おうとした場合に、再生域31aにおいて吸着材からの水分の脱着(すなわち、再生)が不十分なときがある。このとき、外気OA2を導入してパージ域31bを通過した空気と合流させて、この合流した空気を再生域31aに導入させることで吸着材からの水分の脱着(すなわち、再生)を図る。外気OA2の導入量は、特に限定されないが、例えば、必要とされる再生に必要な空気量のうち、パージ域31bを通過した空気量だけでは不十分である場合、再生に必要な空気量を補う量とすることができる。また、外気OA2の導入量をパージ域31bを通過した空気量に比例または反比例させた量としてもよい。
【0071】
ダンパユニットV3による風量調節は次記のとおりに行う。ダクト49に流すべき風量(すなわち、設定風量)の情報をダンパユニットV2が演算装置PLCから予め受信する。実際に流れる風量がダンパユニットV3で測定され、(1)設定風量と実際に流れる風量とのズレがない、又は僅少である場合、実際に流れる風量を維持する。(2)設定風量と実際に流れる風量とのズレがない、又は僅少である場合でない場合(すなわち、上記(1)でない場合)、ダンパユニットV3のダンパ部が開閉されて、設定風量に近づくように実際に流れる風量が調節される。また、設定風量を変更した場合であって上記(2)に該当する場合、ダンパユニットV3のダンパ部が開閉されて、設定風量に近づくように実際に流れる風量が調節される。ダンパ部の開閉により、実際に流れる風量が設定風量になった場合、その実際に流れる風量が維持される。
【0072】
(冷却コイル)
冷却コイル35はダクト42に設けられるものであり、ダクト42に導入された外気OA1を冷却するものである。除湿システム10に外気OA1を導入する場合、外気OA1には多量の湿気が含まれるため、導入された外気OA1が冷却コイル35で冷却されつつ減湿される。予め設定された温度(設定温度)を調節計26に設定しておき、温度計T2で測定された温度が同設定温度と異なるときは、同設定温度に近づくように調節される。調節の方式は、特に限定されないが、PID制御、PI制御を一例とすることができる。例えば、温度計T2で測定された温度が設定温度よりも高い場合、調節計26が図示しない電動バルブの開度を開き方向に変更して冷却コイル35に流れる冷却水量を増加させる。結果、外気OA1がより冷却され、設定温度に近づく。一方、温度計T2で測定された温度が設定温度よりも低い場合、調節計26が図示しない電動バルブの開度を閉じ方向に変更して冷却コイル35に流れる冷却水量を減少させる。結果、外気OA1の冷却が緩和されて、設定温度に近づく。温度計T2で測定される温度が設定温度になった場合、同設定温度の状態が維持される。
【0073】
(ダンパユニットV1)
ダンパユニットV1はダクト45の空気風量を測定するものである。また、ダンパユニットV1はダンパ部を備え、ダンパユニットV1(ダクト45)を流れる空気の風量を調節し、結果、低露点室Rに供給される給気SAの風量を調節するものである。例えば、低露点室R外に排出される空気(還気RA)量相当量を給気SAとして供給するようにダンパユニットV1の風量を調節することができる。
【0074】
ダンパユニットV1による風量調節は次記のとおりに行う。ダンパユニットV1はダクト45に流すべき風量(すなわち、設定風量)の情報を演算装置PLCから予め受信する。実際に流れる風量がダンパユニットV1で測定され、(1)設定風量と実際に流れる風量とのズレがない、又は僅少である場合、実際に流れる風量を維持する。(2)設定風量と実際に流れる風量とのズレがない、又は僅少である場合でない場合(すなわち、上記(1)でない場合)、ダンパユニットV1のダンパ部が開閉されて、設定風量に近づくように実際に流れる風量が調節される。また、設定風量を変更した場合であって上記(2)に該当する場合、ダンパユニットV1のダンパ部が開閉されて、設定風量に近づくように実際に流れる風量が調節される。ダンパ部の開閉により、実際に流れる風量が設定風量になった場合、その実際に流れる風量が維持される。
【0075】
例えば、低露点室Rに作業員がいる場合等、低露点室Rの湿度が増加する要因がある場合、設定風量がより大きく設定され、ダンパ部の開度が開き方向に調節され、給気SA量が増加する。一方、低露点室Rの湿度が増加する要因がない場合、設定風量は変更されないか、又はより小さく設定(この場合設定できる最小風量に設定されることを含む)される。設定風量がより小さく設定されたときは、ダンパ部の開度が閉じ方向に調節され、給気SA量が減少する。
【0076】
(排気)
低露点室Rは、露点を所定値以下に保つため、同室R内外の空気の出入りを、給気SAと還気RAのみとしてよい。しかしながら、この給気SAと還気RAの他に、同室R内の空気の一部を排気EA2として同室R外に排出する排気口を設けてもよい。排気口を設ける場合は、同室R内の圧力を同室R外の圧力よりも高めにするとよい。このようにすると同室R内の空気の一部が同室R外に排気EA2として排出され、同室R外の湿気を含む空気がこの排気口から同室R内に流入するのを防ぐことができ、望ましい。
【0077】
(圧力調節ダンパ)
低露点室Rの室内圧力(気圧)を所定圧力に保つためダクト41の上流側(低露点室R側)に圧力調節ダンパPCDを設置するとよい。圧力調節ダンパPCDは、この圧力調節ダンパPCDが取り付けられているダクト内の気圧、ひいてはこのダクトに接続される低露点室Rの気圧(気圧)を調節するためのものである。圧力調節ダンパPCDに備わるダンパの開閉により、低露点室R内の圧力が調節される。低露点室Rの露点や吸着ロータ31の回転速度、給気ファン17、各ダンパユニット等の設定状態により低露点室R内への給気SAの量が変化する。低露点室R内の圧力(気圧)を低露点室R外の圧力(気圧)よりも高くなるように圧力調整ダンパ23で調節することで排気EA2が低露点室R外へ定常的に排出される状態を維持できる。予め設定された圧力値(設定圧力値)を圧力調整ダンパ23に設定しておき、圧力調整ダンパ23が低露点室Rの圧力計P3により測定された圧力値を調節計24から受ける。測定された圧力値と設定圧力値が異なるときは、低露点室Rの圧力値が設定圧力値に近づくよう調節される。調節の方式は、特に限定されない。例えば、圧力計P3で測定された圧力値が設定圧力値よりも高い場合、圧力調整ダンパ23の開度を開き方向に変更して還気RAの量を増加させることで、低露点室Rが減圧される。一方、圧力計P3で測定された圧力値が設定圧力値よりも低い場合、圧力調整ダンパ23の開度を閉じ方向に変更して還気RAの量を減少させることで、低露点室Rが加圧される。圧力計P3で測定される圧力値が設定圧力値になった場合、同設定圧力値の状態が維持される。
【0078】
<作業員不在時>
低露点室Rに作業員が不在である場合、前述の各機器・機材の稼働状態、調節機構、制御方式等は作業員が在中する場合と原則的に同様である。しかしながら、省エネルギー化を図るため作業員が不在である場合、各機器・機材の稼働状態、調節機構、制御方式等を以下のようにすることが可能である。
【0079】
(供給ファン)
低露点室Rに作業員が不在である場合、低露点室Rの露点の変化が小さい。そこで、供給ファン17のインバータ周波数を下げ、減湿域31cを通過させる空気量を減らし、結果、給気SAを減らすことができる。例えば、ダクト45の圧力計P2で測定される圧力値を相対的に低い状態で一定に制御することができる。また、ダンパユニットV1を閉じ方向に調整して給気SA量を減らすようにしてもよい。
【0080】
(再生ファン)
再生ファン16のインバータ周波数を下げ、再生域31aを通過させる空気量を減らし、結果、排気EA1を減らすことができる。例えば、ダクト48の圧力計P1で測定される圧力値を相対的に低い状態で一定に制御することができる。しかしながら、予め設定された圧力値(設定圧力値)SV2が、予め設定された圧力値(設定圧力値)SV1よりも高く設定しておくことは前述のとおり好ましい。
【0081】
また、ダンパユニットV2のダンパ開度を小さく設定することで再生域31aに供給される風量を減らし省エネルギー化を図ることができる。さらにダンパユニットV2に加えて、ダンパユニットV3のダンパ開度も小さく設定することでより再生域31aに供給される風量を減らし省エネルギー化を図ることができる。
【0082】
(冷却コイル、ヒータ)
冷却コイル35やヒータ34の稼働状態を頻度よく変更させることは、省エネルギー化を図る上で好ましくない。そこで、ダクト44における温度計T1付近の温度や、ダクト42における温度計T2付近の温度が過度に変化しないように、冷却コイル35の冷却水流量及びヒータ電流値を制御するとよい。
【0083】
(ダンパユニット)
設定できる最低の風量となるようにダンパユニットV1のダンパ部の開度を調節するとよい。
【0084】
加熱空気出口区域32aの温度計27の測定温度に基づきダンパユニットV2のダンパ部の開度を閉じ方向に調節することで、パージ域31b及び再生域31aに通過させる空気量を減らすことができ省エネルギー化を図ることができ好ましい。
【0085】
外気OA2の風量をダンパユニットV2を通過する風量に比例させるようにダンパユニットV3のダンパ部の開度を調節することで、ダンパユニットV2を通過する風量の減少に伴い、ダンパユニットV3を通過する外気OA2の風量も減少させることができる。
【0086】
本実施形態においては加熱空気出口区域32aの温度に基づき加熱空気風量が決定される。温度幅が10℃以上25℃以下、さらに好ましくは15℃以上20℃以下で振動する箇所の温度を測定して、この測定温度に基づき加熱空気風量を決定することで、安定した制御が可能となる。
【0087】
温度測定値が100℃よりも高温となる箇所に第1温度計を設置すると、振動する温度幅が大きく演算される設定風量が頻繁に変動するため、安定した制御に不向きである。また、温度測定値が50℃より低温となる箇所に同第1温度計を設置すると、振動する温度幅が小さく演算される設定温度の変動が鈍く、環境変化に対する応答性がよくない。
【0088】
(演算装置)
演算装置PLCは加熱空気出口区域32aに設けた温度計27や温度計28(また別途1つ以上の温度計)の温度測定値の情報を受信して、温度測定値の情報から演算を行い、ダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3各々の設定風量を演算する演算部81を備え、この演算の結果から、演算された設定風量の情報をダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3各々に送信する装置である。
【0089】
しかしながら、ダンパユニットV1に送信する設定風量の情報は、温度測定値の情報から換算することを必ずしも要しない。例えば、低露点室Rに作業員がいる場合等、低露点室Rの湿度が増加する要因がある場合の設定風量の情報を演算装置PLCに予め設定しておく。また、低露点室Rの湿度が増加する要因がない場合の設定風量の情報を演算装置PLCに予め設定しておく。そして、演算装置PLCが前者の場合と後者の場合のそれぞれの設定風量の情報をダンパユニットV1に送信するように制御してもよい。
【0090】
(制御)
加熱空気の風量制御の一例については、先ず温度計27の測定値(場合により温度計27の測定値に加え、温度計28の測定値)の情報を演算装置PLCが受信する。受信された測定値の情報から加熱空気の設定風量が演算される。この設定風量の情報がダンパユニットV2(必要に応じてダンパユニットV2及びダンパユニットV3)に送信される。設定風量の情報を受信したダンパユニットV2(必要に応じてダンパユニットV2及びダンパユニットV3)によってダンパ部の開度が調節され、再生域31aに設定風量の加熱空気が導入される。しかしながら、加熱空気の風量制御はこれに限るものではなく、供給ファン17の風量を増減させたり、ダンパユニットV1のダンパ部の開度が調節されて、設定風量を再生域31aに導入されるようにしてもよい。また、その他の機器、例えば、再生ファン16、冷却コイル35、ヒータ34等の設定が適宜調節されて設定風量が定まるようにしてもよい。
【0091】
また別の制御として、次記の例を提示できる。例えば、温度計27の測定値の情報を演算装置PLCが受信する。受信された測定値の情報からダンパユニットV2を流れる第1設定風量とダンパユニットV3を流れる第2設定風量とが演算される。この第1設定風量の情報をダンパユニットV2が受信する。また、第2設定風量の情報をダンパユニットV3が受信する。ダンパユニットV2がこの第1設定風量の外気OA1を送風する。ダンパユニットV3がこの第2設定風量の冷却空気を送風する。
【0092】
ところで、再生域31bでは、ヒータ34で加熱された空気が連続的に通過する。吸着ロータ31の回転により、吸着ロータ31の吸着部材が有する各筒部は、減湿域31cから再生域31aへ、その後パージ域31bへ移動し、さらにその後、再度減湿域31cへ移動し、この回転を繰り返す。この各筒部が減湿域31cから再生域31aへ差し掛かった直後では、当該筒部に水分が多量に吸着されており、相対的に低温である。その後、吸着ロータ31が回転し、この当該筒部が再生域31aからパージ域31bへ差し掛かる直前では、当該筒部から水分が脱着されており、相対的に高温である。よって、加熱空気出口区域32aにおけるパージ空気入口区域32b側(すなわち、
図3の位置角度θが90°側)を流れる空気の温度の方が、加熱空気出口区域32aにおける冷却空気入口区域32c側(すなわち、
図3の位置角度θが0°側)を流れる空気の温度よりも高い。換言すれば、
図4に示すように、加熱空気出口区域32aにおける位置角度の大きい側(例えば、θ=81°)の温度の方が位置角度の小さい側(例えば、θ=33°)の温度よりも高温である。
【0093】
再生域31aを通過する空気の風量が増加すると、再生域31aにおける位置角度が大きい箇所ほど水分の脱着が促進される。しかしながら、位置角度が相対的に小さい箇所では依然として、水分が多量に吸着している。そうすると、例えば、風量を増加させる前よりも増加させた後の方が、加熱空気出口区域32aの位置角度65°(すなわち、位置角度が相対的に大きい角度)における空気の温度は上昇する。一方、加熱空気出口区域32aの位置角度33°(すなわち、位置角度が相対的に小さい角度)における空気の温度は、位置角度65°のおける空気の温度ほど上昇しない。したがって、風量を増加させることで加熱空気出口区域32aに設置された、温度計27の温度測定値、温度計28の温度測定値との差(温度差)は大きくなる。
【0094】
他方、再生域31aを通過する空気の風量が減少すると、再生域31aにおける位置角度が大きい箇所でも水分の脱着は促進され難くなる。また、位置角度が相対的に小さい箇所も依然として、水分が多量に吸着している。そうすると、例えば、風量を減少させる前よりも減少させた後の方が、加熱空気出口区域32aの位置角度θ=65°(すなわち、位置角度が相対的に大きい角度)における空気の温度は降下する。一方、加熱空気出口区域32aの位置角度θ=33°(すなわち、位置角度が相対的に小さい角度)における空気の温度は、位置角度θ=65°における空気の温度ほど降下しない。したがって、風量を減少させることで加熱空気出口区域32aに設置された、温度計27の温度測定値、温度計28の温度測定値との差(測定温度差)は小さくなる。
【0095】
(工程)
ダクト42に導入された外気OA1が冷却コイル35を通過した後の空気の温度は特に限定されないがおよそ5℃程度となる。冷却が不十分な場合は、調節計26による調節で冷却コイル35を流れる冷却水流量が増加し所望の空気温度になる。しかしながら、例えば、冬季では外気OA1の温度が調節計26の設定温度よりも低い場合は、空気の温度が設定温度よりも低いまま供給ファン17に導入されてもよい。次いで、供給ファン17に冷却後の空気が導入され、減湿域31c、そしてその下流側の低露点室Rに空気が供給される。減湿域31cでは供給ファン17から送風された空気に含まれる水分が減湿域31cに備わる吸着材に吸着される。減湿されたおよそ40℃程度の空気が、減湿域31c、冷却空気出口区域33cを通過して冷却空気出口区域33cの下流端に備わるダクト45から低露点室Rに給気SAとして供給される。ダクト45にはダンパユニットV1が備わり、給気SAの供給風量が所定値になるよう調節される。ダクト45には露点計D2を設けることができ、露点の測定値の情報を記録している。しかしながら、露点の測定値の情報を演算装置PLCに送信し、演算装置PLCが露点の測定値を記録するようにしてもよい。また、供給ファン17による風量を必要以上に高めることは、主に必要除湿量が増え、冷却コイル35の処理熱量と吸着ロータ31の水分脱着に要する加熱空気風量が増えるため、省エネルギー化を図る観点からは適切ではない。圧力計P2をダクト45の任意の場所、好ましくは冷却空気出口区域33cに近接する場所、に設けるとよい。ダクト45の圧力値を所定の圧力とすることで、低露点室Rに供給される給気SA量を所定量に維持でき省エネルギー化を図ることができる。
【0096】
低露点室Rの室温は室内で作業する作業員の人数や低露点室R外の雰囲気により変動するものの、およそ20℃程度の室温となる。低露点室Rに例えば作業員が在中する場合、同室R内湿度が増加するので低露点状態を保つため、給気SAを継続的又は断続的に供給されるとよい。そして、低露点室R内の空気の一部を還気RAとして低露点室Rに接続されたダクト41で同室R外に排除することで低露点室Rの低露点状態を保つようにできる。ダクト41に備わる圧力調整ダンパPCDとこの圧力調節ダンパPCDに設定圧力値を発信する調節計24で低露点室Rの圧力値を所定値に維持することは前述のとおりである。ダクト41には還気RAの露点を測定するための露点計D1を設けることができる。露点計D1を設ける位置は特に限定されないが、ダクト41における圧力調整ダンパPCDの下流側に設置すると、測定値が安定し好適である。この露点計D1で露点の測定値の情報を記録している。しかしながら、露点の測定値の情報を演算装置PLCに送信し、演算装置PLCが露点の測定値を記録するようにしてもよい。
【0097】
ダクト46からパージ空気入口区域32bに配されるダクト47が設けられている。ダクト47に設けられたダンパユニットV2は、パージ域31b及びその下流側にある再生域31aに導入される風量を調節している。再生ファン16の運転でパージ域31b、次いでパージ空気出口区域33bの下流側に接続されたダクト48を通過した空気が、ヒータ34を備えたダクト44に導入される。ヒータ34を通過した空気はおよそ140〜200℃程度となり加熱空気入口区域31aを通過し再生域31b導入される。温度計T1の測定値が調節計15の設定温度と異なる場合は、調節計15による調節で加熱空気入口区域32bに導入される空気温度が所望の温度となる。再生ファン16はパージ空気出口区域33bに接続されたダクト48の圧力値を所定の圧力に保つことを目的の一つとする。
【0098】
減湿域31cで水分を吸着した吸着部材が吸着ロータ31の回転で再生域31aに到達すると、加熱空気入口区域32bからの高熱空気の導入で吸着された水分が徐々に脱着し始める。さらなる吸着ロータ31の回転で再生域31aの位置角度が大きくなるにつれ水分が十分量脱着する。高熱空気の連続的な通過により再生域31aにおける水分の脱着とともに当該吸着部材は次第に高温(例えば、80〜140℃)となる。再生域31aから温度計27(別途温度計28やその他の温度計が備わる場合はそれらの温度計)を備えた加熱空気出口区域32aを通過した空気は再生ファン16を経てダクト43を通り除湿システム10外へ排気EA1として排出される。
【0099】
再生域31aに導入される空気はパージ域31b通過後の空気のみでは不足し、十分な水分の脱着(再生)を行えない場合がある。この場合、ダクト44に接続されるダクト49に外気OA2を導入することで補うことができる。外気OA2の導入量を調節するためダンパユニットV3がダクト49に備わる。
【0100】
ダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3の調節については、温度計27(別途温度計28やその他の温度計が備わる場合はそれらの温度計)の測定温度の情報を演算装置PLCが受信し、その測定温度の情報から設定風量を換算し、換算された設定風量をダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3に送信する。温度計が複数の場合(例えば、温度計27と温度計28が備わる場合)は、これらの測定温度の情報を演算装置PLCが受信し、これらの測定温度の情報から例えば、これら2つの温度測定値の差を演算し、演算結果から設定風量を換算し、換算された設定風量をダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3ユニットに送信する。
【0101】
ダンパユニットV1に関しては、システム上設定できる最大風量と、最小風量をそれぞれ最大設定風量、最小設定風量に決めておき、(1)低露点室Rの低露点状態が維持される場合は、最小設定風量をダンパユニットV1に送信し、(1)以外の場合は、最大設定風量をダンパユニットV2に送信するという制御を行ってもよい。
【0102】
本実施形態では、減湿域31cを通過する冷却空気とパージ域31bを通過するパージ空気が同方向に吸着ロータ31の筒部を通過する。またパージ域31bを通過する空気の風向を再生域31aを通過する空気の風向と実質的に逆方向としている。逆向きとすると次の利点がある。低露点室Rに供給される給気SAの湿度は、減湿域31cの減湿性能に依存する。そして、この給気SAの湿度は特に減湿域31cの出口側の空気の湿度に依存する。通常の稼働時ではヒータ34で加熱された空気が再生域31aに導入されるので、再生域31a入口付近の水分は十分に脱着される。一方、再生域31a出口付近の水分は再生域31a入口付近の水分と比較して同程度に脱着されていてもよいし、脱着されていなくてもよい。また、再生域31aにおけるパージ域31b寄りで、かつ軸芯方向の温度分布は、再生域31a入口付近の方が再生域31a出口付近よりも高い状態となる。この状態で吸着ロータ31が回転するので、再生域31a入口付近に近接するパージ域31b出口付近の温度が、パージ域31b入口付近の温度よりも相対的に高い状態となる。さらにこの状態で吸着ロータ31が回転するので、減湿域31cにおいては出口付近の方が入口付近よりも温度が高く水分の脱着が十分になされる。よって、減湿域31cを通過する空気が減湿域31c出口付近に至るまでに確実に吸着される。減湿域31cから導出された空気は確実に減湿されているので、低露点室Rの露点条件を満足する給気SAが低露点室Rに供給されることになる。
【0103】
しかしながら、パージ域31bを通過する空気の風向を再生域31aを通過する空気の風向と実質的に同方向としてもよい(
図16参照)。この場合、パージ域31bに接続されるダクト81をダクト45から分岐させ、パージ域31bを通過した空気をダクト50に導入させるために、ダクト82の上流端をパージ域31b側、下流端をダクト50に接続するとよい。
【0104】
<第2実施形態>
除湿システム10の第2実施形態を
図13を参照しつつ説明する。第2実施形態が前述の第1実施形態と異なる点は、冷却コイル35a、温度計T2a、調節計26aを追加した点と、ダンパユニットV2の位置をダクト43に移動させた点である。
【0105】
予め設定された温度(設定温度)を調節計26aに設定しておき、温度計T2aで測定された温度が同設定温度と異なるときは、同設定温度に近づくように調節される。調節の方式は、特に限定されないが、PID制御、PI制御を一例とすることができる。例えば、温度計T2aで測定された温度が設定温度よりも高い場合、調節計26aが図示しない電動バルブの開度を開き方向に変更して冷却コイル35aに流れる冷却水量を増加させる。結果、減湿域31cを通過した空気が冷却され、設定温度に近づく。一方、温度計T2aで測定された温度が設定温度よりも低い場合、調節計26aが図示しない電動バルブの開度を閉じ方向に変更して冷却コイル35aに流れる冷却水量を減少させる。結果、減湿域31cを通過した空気の冷却が緩和されて、設定温度に近づく。温度計T2aで測定される温度が設定温度になった場合、同設定温度の状態が維持される。
【0106】
例えば、減湿域31cを通過した直後の空気の温度が40℃程度である場合、冷却コイル35aにより同空気を冷却することで低露点室Rに冷却された給気SAを供給することができる。
【0107】
また、再生域31aを通過する空気はパージ域31bを通過した空気と外気OA2とが合流された空気で構成される。ダンパユニットV2のダンパ部の開度とダンパユニットV3のダンパ部の開度を調節することでパージ域31bを通過する空気量が決定される。例えば、ダンパユニットV2を流れる空気量をA2、ダンパユニットV3を流れる空気量をA3とすると、パージ域31bを通過する空気量がA2−A3(A2からA3を差し引いた量)となる(ただし、A2>A3とする。)。
【0108】
<第3実施形態>
除湿システム10の第3実施形態を
図14を参照しつつ説明する。第3実施形態が前述の第1実施形態と異なる点は、調節計11、調節計12、調節計15、調節計24、調節計26を設けず、これら調節計の機能を演算装置PLCに担わせた点である。温度計27、温度計28からの測定値の情報を演算装置PLCが受信し、演算結果に基づく設定値の情報をダンパユニットV1、ダンパユニットV2、ダンパユニットV3に発信する手段は、第1実施形態と同様である。これに加えて、第3実施形態では温度計T1、温度計T2、圧力計P1、圧力計P2、圧力計P3の測定値の情報を演算装置PLCが送信する。演算装置PLCで演算された結果に基づく調節値(制御値)の情報が冷却コイル35、供給ファン17、PCD23、ヒータ34、再生ファン16に送信される。これらの送信及び受信は有線で行われてもよいし、無線で行われてもよい。
【0109】
具体的には、冷却コイル35の調節については、まず温度計T2で測定された温度の情報が演算装置PLCに送信される。予め設定された温度(設定温度)と測定された温度が異なるときは、演算装置PLCが、温度計T2で測定される温度を設定温度に近づけるように調節する信号を冷却コイル35に送信する。また、設定温度と測定された温度が一致又はほぼ一致するときは、演算装置PLCは温度計T2で測定される温度を設定温度に近づけるように調節する信号を冷却コイル35に送信しない。なお、設定温度の情報は演算装置PLCに格納しておくとよい。
【0110】
ヒータ34の調節については、まず温度計T1で測定された温度の情報が演算装置PLCに送信される。予め設定された温度(設定温度)と測定された温度が異なるときは、演算装置PLCが、温度計T1で測定される温度を設定温度に近づけるように調節する信号をヒータ34に送信する。また、設定温度と測定された温度が一致又はほぼ一致するときは、演算装置PLCは温度計T1で測定される温度を設定温度に近づけるように調節する信号をヒータ34に送信しない。なお、設定温度の情報は演算装置PLCに格納しておくとよい。
【0111】
供給ファン17の調節については、まず圧力計P2で測定された圧力値の情報が演算装置PLCに送信される。予め設定された圧力値(設定圧力値)と測定された圧力値が異なるときは、演算装置PLCが、圧力計P2で測定される圧力値を設定圧力値に近づけるように調節する信号を供給ファン17に送信する。また、設定圧力値と測定された圧力値が一致又はほぼ一致するときは、演算装置PLCは圧力計P2で測定される温度を設定圧力値に近づけるように調節する信号を供給ファン17に送信しない。なお、設定圧力値の情報は演算装置PLCに格納しておくとよい。
【0112】
再生ファン16の調節については、まず圧力計P1で測定された圧力値の情報が演算装置PLCに送信される。予め設定された圧力値(設定圧力値)と測定された圧力値が異なるときは、演算装置PLCが、圧力計P1で測定される圧力値を設定圧力値に近づけるように調節する信号を再生ファン16に送信する。また、設定圧力値と測定された圧力値が一致又はほぼ一致するときは、演算装置PLCは圧力計P1で測定される圧力値を設定圧力値に近づけるように調節する信号を再生ファン16に送信しない。なお、設定圧力値の情報は演算装置PLCに格納しておくとよい。
【0113】
圧力調整ダンパ23の調節については、まず圧力計P3で測定された圧力値の情報が演算装置PLCに送信される。予め設定された圧力値(設定圧力値)と測定された圧力値が異なるときは、演算装置PLCが、圧力計P3で測定される圧力値を設定圧力値に近づけるように調節する信号を圧力調整ダンパ23に送信する。また、設定圧力値と測定された圧力値が一致又はほぼ一致するときは、演算装置PLCは圧力計P1で測定される圧力値を設定圧力値に近づけるように調節する信号を圧力調整ダンパ23に送信しない。なお、設定圧力値の情報は圧力調整ダンパ23又は演算装置PLCに格納しておくとよい。
【0114】
測定される温度と設定温度との調節の方式、及び測定される圧力値と設定圧力値との調節の方式は、特に限定されないが、PID制御、PI制御を一例とすることができる。第3実施形態では、演算装置PLCが、第1実施形態で設けている調節計11、調節計12、調節計15、調節計24、調節計26に代わって、調節計の機能を備えている。演算装置PLCは、これら調節計全てに代わって同調節計の機能を備えてもよいし、これら調節計の一部(例えば、温度に関わる調節計15、調節計26)に代わって同調節計の機能を備えてもよい。演算装置PLCに調節計の機能を持たせ、調節計全部または一部を設置しないことで調節計全部又は一部を設置するコストを低減できる利点がある。
【0115】
前述の、課題を解決するための手段に次の形態をさらに備えた手段を、好ましい手段として次記に提示できる。
<形態1に係る手段>
前記吸着部材相互がシール材で接合された接合部を複数有する、
減湿システム。
【0116】
吸着ロータを通過する空気は区画された吸着部材に備わる筒部を通過するのが好ましい。しかしながら、この筒部ではなく、吸着部材相互の接合部を空気が通過すると、水分の吸着及び脱着の効率が低下する。接合部にシール材を備え、吸着部材相互が接合部で接着されていると、接合部を流れる空気量が減少する。そうすると、吸着部材に備わる筒部を通過する空気が増加するので水分の吸着及び脱着の効率化が図られる。
【0117】
<形態2に係る手段>
前記減湿域を通過する前記冷却空気と前記パージ域を通過するパージ空気が同方向に前記吸着ロータの筒部を通過し、
前記吸着ロータにおける前記冷却空気の出口側の端面に、前記吸着ロータの筒部を通過する空気の通過域であるチャンバが隣接して備わり、
前記チャンバが前記冷却空気を通過させる冷却空気出口区域と、前記パージ空気を通過させるパージ空気出口区域とを有し、
前記冷却空気出口区域と前記パージ空気出口区域が仕切られ、
前記冷却空気出口区域の気圧が前記パージ空気出口区域の気圧よりも高い、
減湿システム。
【0118】
冷却空気出口区域の圧力をパージ空気出口区域の圧力よりも高め、これらの圧力差を維持しておくことで、パージ空気出口区域から冷却空気出口区域への空気の流入を防止できる。結果、低露点室Rは所定値Dp以下の露点に維持される。
【0119】
<形態3に係る手段>
前記温度幅が5℃以上10℃未満となる箇所に、第2温度計が設置されており、
前記第1温度計の測定値と前記第2温度計の測定値との温度差の情報から演算された加熱空気の設定風量を前記再生域に通過させ、前記温度差が予め設定された数値に近づくように制御される、
減湿システム。
【0120】
温度幅が5℃以上10℃未満となる箇所に、第2温度計を設置して、第1温度計の測定値の情報と第2温度計の測定値の情報を得ることで、加熱空気出口領域における2箇所の位置角度における温度を測定できる。設定風量の演算に用いられる入力値が2つ(つまり、2箇所の位置角度における温度の測定値)あり受信される情報量が多いので、再生域31aに導入すべき加熱空気風量の演算が迅速になされる。結果、低露点室Rの露点の変化に対する加熱空気風量の即応性が向上する。ここで、予め設定された数値を67〜83℃とすると加熱空気風量の即応性の向上が認められ好適である。しかしながら、67〜83℃以外の範囲でも適宜定めることができる。
【0121】
<形態4に係る手段>
前記第1温度計で所定の時刻から10〜600秒間に測定された複数の測定値から第1平均値を求め、
前記第2温度計で前記所定の時刻から10〜600秒間に測定された複数の測定値から第2平均値を求め、
前記第1平均値と前記第2平均値との差の情報から演算された加熱空気の設定風量を前記再生域に通過させ、前記第1平均値と前記第2平均値の差が予め設定された数値に近づくように制御される、
減湿システム。
【0122】
第1平均値と第2平均値の差を入力値とすると、吸着ロータ31の回転に伴う、これらの平均値の差の振動が緩和される。これらの平均値の差から演算された加熱空気の風量が時間経過に対して振動し難くなる。
【0123】
<形態5に係る方法>
前記第1温度計の測定値の情報から加熱空気の設定風量が演算される演算工程と、
前記演算工程で演算された加熱空気の設定風量が前記再生域を通過し、前記第1温度計の測定値が予め設定された温度に近づくように制御される制御工程と、
を備える減湿システムの運転方法。
【0124】
演算工程では、第1温度計(温度計27)の測定値の情報を演算装置PLCが受信し、その情報をもとに、例えば、演算装置PLCに備わる温度と設定風量の換算式により加熱空気の設定風量が算出される。その他、温度と設定風量の対応表により加熱空気の設定温度が算出されるとしてもよい。また、温度計27の測定値に加え、減湿域を通過する風量の変化の情報も演算装置PLCが受信する形態としてもよい。その設定風量の情報の送信を受けたダンパユニットV2とダンパユニットV3の少なくとも一方のダンパ開度が調節される。そして、加熱空気の設定風量を再生域31aに通過させ、温度計27の測定値が予め設定された温度に近づくように制御される。このような工程による制御で前述の課題を解決する手段の効果と同様の効果を有する。
【0125】
<形態6に係る方法>
前記第1温度計の測定値の情報から加熱空気の設定風量が演算される演算工程と、
前記演算工程で演算された加熱空気の設定風量を前記再生域に通過させ、前記第1温度計の測定値が予め設定された温度に近づくように制御される制御工程と、
を備える減湿システムの運転方法。
【0126】
態様1に係る手段と同様の効果を奏する。
【0127】
<形態7に係る方法>
前記第1温度計の測定値の情報から加熱空気の設定風量が演算される演算工程と、
前記演算工程で演算された加熱空気の設定風量を前記再生域に通過させ、前記第1温度計の測定値が予め設定された温度に近づくように制御される制御工程と、
前記制御工程と同時に、前記冷却空気出口区域の気圧を前記パージ空気出口区域の気圧よりも高く維持する圧力差維持工程と、
を備える減湿システムの運転方法。
【0128】
態様2に係る手段と同様の効果を奏する。圧力差維持工程は、演算工程及び制御工程に先立ち、行われてもよいが、同時に行われると好適である。
【0129】
<形態8に係る方法>
前記第1温度計の測定値の情報と前記第2温度計の測定値の情報を受信して、これら2つの測定値の情報から加熱空気の設定風量が演算される演算工程と、
前記演算工程で演算された加熱空気の設定風量を前記再生域に通過させ、前記第1温度計の測定値と前記第2温度計の測定値の温度差が予め設定された数値に近づくように制御される制御工程と、
を備える減湿システムの運転方法。
【0130】
演算工程には、加熱空気出口区域32aに設置する温度計を2本以上、例えば、3本〜5本設置する形態としてもよい。例えば、振動する温度幅が0〜5℃となる位置や、5℃以上10℃未満となる位置、15〜25℃となる位置、20〜30℃となる位置のいずれか1箇所以上に温度計を備えることもできる。そして、設置したこれらの温度計のうちの2本の温度計を選択して、同2本の温度計の測定値の情報を受信して、これら2つの測定値の情報から加熱空気の設定風量が演算される演算工程とすることができる。そして、演算工程で演算された加熱空気の設定風量を前記再生域に通過させ、同2本の温度計それぞれの測定値の温度差が予め設定された数値に近づくように制御される制御工程としてもよい。
【0131】
<形態9に係る方法>
前記第1温度計の測定値の情報を受信して、前記所定の時刻から10〜600秒間に測定された複数の測定値から第1平均値を求める第1平均値演算工程と、
前記第2温度計の測定値の情報を受信して、前記所定の時刻から10〜600秒間に測定された複数の測定値から第2平均値を求める第2平均値演算工程と、
前記第1平均値演算工程で求められた前記第1平均値と前記第2平均値演算工程で求められた第2平均値との差の情報から加熱空気の設定風量が演算される演算工程と、
前記演算工程で演算された加熱空気の設定風量を前記再生域に通過させ、前記第1温度計の測定値と前記第2温度計の測定値の温度差が予め設定された数値に近づくように制御される制御工程と、
を備える減湿システムの運転方法。
【0132】
第1平均値演算工程では、温度計27の測定値の情報を受信して、所定の時刻から10〜600秒間に測定された複数の測定値から第1平均値を求める工程である。また、第2平均値演算工程では、温度計28の測定値の情報を受信して、所定の時刻から10〜600秒間に測定された複数の測定値から第2平均値を求める工程である。しかしながら、平均する時間は10〜20秒、20〜30秒、30〜60秒、60〜120秒、120〜300秒、300〜600秒としてもよい。また、平均値の求め方は 前述の種々の平均法で行うことができる。また、第1平均値演算工程と第2平均値演算工程で平均する時間帯を必ずしも同時刻とする必要はない。例えば、第1平均値演算工程では所定の時刻から10〜20秒間に測定された複数の測定値から第1平均値を求める。第2平均値演算工程では所定の時刻から20秒経過時点から10〜20秒間に測定された複数の測定値から第2平均値を求める。そして、第1平均値と第2平均値との差の情報から加熱風量の設定風量が演算される演算工程としてもよい。その後、演算工程で演算された加熱空気の設定風量を再生域に通過させ、第1温度計の測定値と第2温度計の測定値の温度差が予め設定された数値に近づくように制御される制御工程を行う。これにより、振動する温度幅の影響を受け難く、安定し、かつランニングコストを抑えた減湿システムの稼働を行うことができる。
【実施例】
【0133】
(実施例1)
(再生出口温度分布グラフ)
加熱空気出口区域32aの振動する温度幅が、同区域32a内で異なることを発明者は知見している。この加熱空気出口区域32aの温度分布の一例を
図4を参照しつつ説明する。加熱空気出口区域32aの位置角度33°、41°、49°、57°、65°、73°、81°の箇所に温度計をそれぞれ設置し、それぞれの温度を測定した。測定は、18時間程度継続したが、
図4にはそのうちの一部の時間帯を示した。温度分布の傾向は、
図4に示した時間帯だけではなく、測定した全ての時間帯において同様であった。この測定時に吸着ロータ31に流した空気の風量はおよそ700m
3/hであった。所定の時刻における、中心角を90°とする加熱空気出口区域32aの温度分布については、吸着ロータ31の回転方向の位置角度θが大きくなるにしたがい、温度が高まる傾向にある。例えば、時刻2:06における加熱空気出口区域32aの温度は、吸着ロータ31の回転方向の位置角度33°の箇所では41℃、位置角度41°の箇所では53℃、位置角度49°の箇所では55℃、位置角度57°の箇所では60℃、位置角度65°の箇所では74℃、位置角度73°の箇所では90℃、位置角度81°の箇所では117℃である。また、時刻の経過にしたがい、位置角度33°の箇所の温度が上下に振動する現象が生じている。この現象は、別の箇所、例えば、位置角度41°の箇所、位置角度49°の箇所、位置角度57°の箇所、・・・でも生じている。そして、おおよそ位置角度が大きい箇所ほど、この振動の温度幅が大きくなる傾向にある。例えば、この温度幅は位置角度33°では9.1℃、位置角度41°では7℃、位置角度49°では8.1℃、位置角度57°では9.1℃、位置角度65°では16.5℃、位置角度73°では29.2℃、位置角度81°では41℃となっている。また、各位置角度相互における振動の周期はおよそ一致している。なお、
図4に示す再生出口温度分布グラフの時刻に対する温度幅の曲線は、吸着ロータ31に流した空気の風量をおよそ1400m
3/h、350m
3/hにした場合においてもほぼ同様の曲線になった。
【0134】
前述で示した現象が生じる理由は定かではないが、おそらくシール材64の関与によるものと思われる。吸着ロータ31を構成する吸着部材とシール材64とで熱容量がことなる可能性がある。この熱容量の相違により、吸着部材におけるシール材64の近傍領域を通過する空気は相対的に低温となり、シール材64の近傍領域から離れた領域を通過する空気は相対的に高温となる。
例えば、吸着ロータ31の両端面にシール材64が吸着ロータ31の半径方向外方に複数配される形態を一例に示す。吸着ロータ31の回転とともにシール材64も回転するため、例えば第1のシール材64が温度の測定箇所(例えば、位置角度65°)に接近したときに流れる空気の温度が低下する。その後、吸着ロータ31が回転を継続し第1のシール材64が温度の測定箇所から離隔すると、流れる空気の温度が上昇する。その後、吸着ロータ31が回転を継続し、次の第2のシール材64が温度の測定箇所(例えば、位置角度65°)に接近したときに、再度流れる空気の温度が低下する。さらにその後、吸着ロータ31が回転を継続し、この第2のシール材64が温度の測定箇所から離隔すると、再度流れる空気の温度が上昇する。このように、吸着ロータ31の回転で第1のシール材64、第2のシール部材64、第3のシール部材64、・・・が温度の測定箇所に接近することと離隔することを繰り返すため、温度の測定箇所における温度が上下に振動すると推測される。
【0135】
また、加熱空気出口区域32aの位置角度θが大きくなるにしたがって、当該位置角度における所定の時間(期間)の間測定された温度分布を平均した平均温度は、高くなる傾向にある。
【0136】
図4に示した時刻に関わらず除湿システム10の稼働を継続する間において上記傾向が示され、また、位置角度が大きくなるほど上下に振動する温度幅も大きくなる、ことを発明者は知見している。
(実施例2)
【0137】
温度計27を加熱空気出口区域32aの位置角度65°に設置し、温度計28を加熱空気出口区域32aの位置角度33°に設置した。温度計27の測定値と温度計28の測定値との差が予め設定された温度38℃に近づくように除湿システム10を稼働させた。結果を
図19に示す。なお、給気SAの露点が常時−55℃以下である状態を良好と判断する。
【0138】
図19で横軸は時間(単位:分)、左縦軸は露点(単位:℃)、右縦軸は風量(単位:m
3/h)である。給気SAの風量84を当初(0分)〜47分まで1422m
3/h、47分〜106分まで356m
3/h、106分〜127分まで1422m
3/hとした。再生空気の出口風量85は0分〜47分までおよそ450m
3/h、その後減少し当初から58分後200m
3/hになり、同58分後〜106分後まで200〜220m
3/hで推移し、その後同106分後〜115分後までおよそ450m
3/hに達し、その後127分まで450m
3/hに維持された。当初から127分まで給気SAの露点86が−55℃よりも低く良好であった。
<その他>
本明細書に記載される「吸着」とは、物体の界面において、水分濃度が周囲よりも増加する現象をいう。例えば、水分が吸着ロータ31の界面に付着することにより付着された部分の水分濃度がその部分の周囲よりも増加する現象をいうことができる。また、「脱着」とは、物体の界面において、水分濃度が周囲よりも減少する現象をいう。例えば、水分が吸着ロータ31の界面から脱離することにより脱離された部分の水分濃度がその部分の周囲よりも減少する現象をいうことができる。
【0139】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本発明が、ここに記載された実施形態に描かれ、実施形態はかなり詳細に記載されているが、出願人は、この記載によって添付する特許請求の範囲をいかようにも制限、限定する意図はない。追加の利点や修正は、当業者に理解され、一つの実施形態に記載された要素は、他の実施形態にも採用可能である。本発明は、広い面で特定の詳細事項に限定されず、各々の機器と実施例が示され、記載されている。したがって、出願人の一般的発明概念の精神と範囲から乖離しないで、これらの詳細に記載された事項から離れることもあり得る。