【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、少なくとも部分的には、請求項1に記載の製造方法により解決される。一実施形態では、プラスチック構成要素、特にスポーツ衣料品用の緩衝要素を製造するための方法が提供される。この方法は、発泡材料の粒子を含む第1の材料で型を充填するステップと、エネルギーを供給することにより粒子の表面同士を融着するステップとを含む。このエネルギーは、少なくとも1つの電磁場の形態で供給される。
【0010】
粒子にエネルギーを供給するために1つまたは複数の電磁場を使用することにより、様々な厚さおよび複雑なジオメトリを有するプラスチック構成要素の製造もまた可能になる。なぜならば、このエネルギーの供給は、例えば結合剤または蒸気の導入などのいかなる種類の材料輸送とも組み合わされないからである。少なくとも1つの電磁場が、本質的に均質に粒子を充填された型を透過し、全ての粒子に本質的に一定のエネルギー量を供給するように選択されてもよく、これにより均質かつ一定の粒子表面同士の融着が、プラスチック構成要素全体にわたっておよび構成要素のあらゆる深さにおいて達成される。あるいは、型内に配置された粒子へのエネルギーの供給が、以下でより詳細に説明するように局所的に変化するように、少なくとも1つの電磁場が選択される。このようにすることで、粒子表面同士の融着の性質および度合いが、局所的に影響され得る。特に、プラスチック構成要素の内部の粒子表面同士の融着が、プラスチック構成要素の表面における粒子表面同士の融着とは無関係に制御され得る。
【0011】
型空間内の粒子の密度は、粒子のエネルギー吸収に、およびしたがってその部分のエネルギー吸収に影響を及ぼし得る。粒子の密度を高めることにより、結果として加熱の向上をもたらすことが可能となる。この加熱の向上は、低誘電損率を有する空気に起因する。
したがって、融着プロセスに関与する空気を最小限に抑えることにより、電磁場により与えられるエネルギーの吸収が高まり、したがって粒子同士の融着が向上する。
【0012】
同じ理由により、より高い粒子の圧縮比またはより大きなクラック隙間を有する型もまた、粒子の充填密度が高いことにより結果としてより良好なエネルギー吸収をもたらすこととなる。これは、高い充填密度により粒子表面の加熱の難度が上昇することによってサイクル時間が増大することで知られる先行技術から知られている蒸気箱成形に比べて、特に有利であることを指摘しておく。
【0013】
ここで、あらゆる種類のエネルギー供給は、明瞭化のために、本願内ではその固有の電磁場と言語的に関連付けられる点を明確に述べておく。したがって、「少なくとも1つの電磁場」に関して述べる場合に、これは、「その電磁場」の形態で融着のためにエネルギーを供給する少なくとも1つのエネルギー源が存在することを意味し得る。しかし、複数のエネルギー源が使用されるか、または1つのエネルギー源が異なる周波数を有する放射を放出し得るなどもまた可能であり、そのため、これらの場合には複数の電磁場に(言語的に)言及がなされる。これらの場は、空間内の所与の箇所にて重畳して、空間内のこの箇所に物理的な電磁場を形成する。
【0014】
粒子は、ランダムに配置されてもよい。しかし、粒子または粒子の少なくともいくつかは、相互に整列されてもよく、または型内で他の様式で意図的に配置されてもよい。
【0015】
粒子は、例えば以下の材料、すなわち発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)、発泡ポリアミド(ePA)、発泡ポリエーテルブロックアミド(ePEBA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、熱可塑性ポリエステルエーテルエラストマ(TPEE)の中の1つまたは複数を含んでもよい。
【0016】
発泡粒子を作製するために使用される他の可能なポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、およびポリオレフィンの中の少なくとも1つから選択されてもよい。ポリアミドは、ホモポリアミド、コポリアミド、ポリエーテルブロックアミド、およびポリフタルアミドの中の少なくとも1つであることが可能である。ポリエーテルケトンは、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエーテルケトンケトン(PEKK)の中の少なくとも1つであることが可能である。ポリオレフィンは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、オレフィンブロック共重合体(OBC)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリブテン(PB)、およびポリイソブチレン(PIB)の中の少なくとも1つであることが可能である。発泡ポリマー材料は、適切な鎖延長剤を含む。
【0017】
さらに、ポリマーは、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニリデン(PVCD)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)の中の少なくとも1つから選択されてもよい。例えば、ポリマーは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を含み、鎖延長剤は、エポキシ基、ピロメリト酸二無水物、スチレン無水マレイン酸、あるいはそれらの1つまたは複数の組合せ、特に反応性エポキシ基を含むスチレン−アクリル酸塩共重合体を含むポリマー材料から選択される少なくとも1つを含む。
【0018】
さらに、ポリマーは、ポリアミド(PA)またはポリエーテルブロックアミド(PEBA)を含んでもよく、鎖延長剤は、エポキシ基、ピロメリト酸二無水物、スチレン無水マレイン酸、あるいはそれらの1つまたは複数の組合せ、特に反応性エポキシ基を含むスチレン−アクリル酸塩共重合体を含むポリマー材料から選択される少なくとも1つを含む。また、ポリマーは、熱可塑性ポリエステルエーテルエラストマー(TPEE)を含んでもよく、鎖延長剤は、エポキシ基、ピロメリト酸二無水物、スチレン無水マレイン酸、あるいはそれらの1つまたは複数の組合せ、特に反応性エポキシ基を含むスチレン−アクリル酸塩共重合体を含むポリマー材料から選択される少なくとも1つを含む。
【0019】
一般的には、電磁(高周波)放射を十分な程度まで吸収する、すなわち比較的高い誘電損率を有する例えば半結晶性ポリマーなどの任意のポリマー材料が使用されてもよく、それにより、追加の熱伝導媒体は不要となる。さらに、一般的には、ポリマー材料に1つまたは複数の添加物を組み込んで誘電損率を高めることもまた可能である。
【0020】
上述の材料の中の1つまたは複数による粒子を含むプラスチック構成要素は、非常に優れた緩衝特性ならびに優れた弾性およびエネルギー還元を特徴とし、また同時に非常に軽量で提供され得る。また、それらの特性は、温度無依存性が高いものであり得る。したがって、本明細書において説明される方法を使用して構成要素へと後に形成され得る異なる発泡粒子の混合物(または領域)を型内で使用することが有利となり得る。
【0021】
さらに、粒子は、少なくとも1つ電磁場により供給されるエネルギーを吸収するエネルギー吸収材料を含むことが可能であり、それによりエネルギー吸収材料は、粒子の表面同士の融着に寄与する。
【0022】
エネルギー吸収材料は、単位時間当たりで電磁場から粒子によって吸収されるエネルギー量を増大させる役割を果たし得る。これは、プラスチック構成要素の製造を加速させ、製造のエネルギー効率をより高め得る。また、以下でさらに詳細に論じられるように、エネルギー吸収材料は、吸収されるエネルギー量におよびしたがって粒子表面が共に融着される度合いに影響を局所的に及ぼすために使用されてもよい。
【0023】
エネルギー吸収材料が粒子の表面にのみ与えられる場合には、エネルギー吸収材料の使用は、電磁場が粒子の内部にエネルギーを顕著には付与せずに透過する一方で、粒子同士がそれらの表面においてのみ共に融着するため、粒子のセル構造およびしたがって弾性特性が内部において本質的に変化されずに留まり得るという利点をさらに有することが可能である。
【0024】
粒子は、型の充填前にエネルギー吸収材料を与えられてもよい。
【0025】
型内への充填前に、粒子は、例えば保管容器内のエネルギー吸収材料内に保管されても、および/またはエネルギー吸収材料と混合されても、エネルギー吸収材料で被覆されても、エネルギー吸収材料に浸漬されても、もしくはエネルギー吸収材料で含侵されてもよい。エネルギー吸収材料は、例えば粒子で型を充填するために使用される送給ライン内の粒子に追加されてもよい。これにより、エネルギー吸収材料の追加投与が可能となり、それにより粒子当たりのエネルギー吸収材料の量が、型の充填中に調節および変更され得る。
【0026】
エネルギー吸収材料は、例えば水を含んでもよい。
【0027】
水は、特に安価であり、環境に優しく、取扱いが容易であり、例えば粒子の表面またはセル構造または外観に望ましくない影響を与え得る望ましくない化学反応を粒子との間で生じないというさらなる利点を有する。
【0028】
また、エネルギー吸収材料は、金属を含むことも可能である。
【0029】
例えば金属粉末の形態の金属は、少なくとも1つの電磁場から特に高いエネルギー量を吸収し得ると同時に、取扱いおよび投与が容易であるため有利となり得る。さらに、金属は、例えば金属光沢を有するプラスチック構成要素を実現するなど、所望に応じてプラスチック構成要素の外観に影響を与える役割も果たし得る。
【0030】
エネルギーは、例えばマイクロ波範囲内の、すなわち300MHz〜300GHzの範囲内の周波数を有する放射の形態で供給されてもよい。
【0031】
マイクロ波発生器は、市販されており、比較的少ない労力で本発明の方法を実施するための製造デバイスに実装され得る。さらに、発泡材料の粒子が適切なデバイスにより充填された型の空洞部に対して基本的にマイクロ波放射を集中させることが可能となり得るため、この方法のエネルギー効率が上昇する。さらに、マイクロ波放射の強度および周波数は、各要件に合わせて容易に変更および適合化され得る。
【0032】
また、エネルギーは、高周波範囲内の、すなわち30kHz〜300MHzの範囲内の周波数を有する放射の形態で供給されてもよい。
【0033】
高周波発生器もまた市販されており、製造デバイスに容易に実装され得る。さらに、高周波放射もまた、製造デバイスの各部分に集中され、その強度および周波数が、要件に合わせて適合化され得る。
【0034】
さらに、エネルギーは、上述の周波数範囲とは異なる周波数範囲の放射の形態で供給されることが可能である。
【0035】
具体的な一例としては、エネルギーは、赤外(IR)放射の形態で供給されてもよい。紫外(UV)放射の使用もまた考えられ得る。
【0036】
さらに、エネルギーは、電磁誘導により供給されることが可能である。
【0037】
上記の場合、すなわち放射または電磁誘導によるエネルギーの供給のいずれにおいても、構成要素は、蒸気箱成形に比べて追加的な水を本質的に含まない。これにより、製造される構成要素は、さらなる加工ステップへとすぐに進むことが可能となる。例えば、組立て(一般的にはソールまたはスポーツ衣料品の)および/またはアッパーへの装着というさらなる製造ステップが、構成要素の製造に直接的に続き得る(例えば、さらなる製造ステップが赤外溶接および/またはRF融着を伴い得る)。
【0038】
したがって、本明細書において説明されるような製造プロセスは、シューズなどのカスタマイズされたスポーツ衣料品の製造に有利である。特に、スポーツ衣料品は、本明細書において説明されるような製造するための適切な方法を使用して店内にて製造され得る。スポーツ衣料品のカスタマイズ製造のプロセスは、本出願人の欧州特許出願EP2862467A1およびEP2865289A1にさらに詳細に説明されている。
【0039】
電磁誘導は、磁束の時間的変化により電場を生成するものである。したがって、電磁誘導の場合でも、エネルギーは、時間的に変化する電磁場の形態で供給される。電磁誘導は、粒子またはそれらの表面がある特定の導電性を有する材料を含むかまたはその材料で被覆される場合には、特に粒子表面同士を融着させるために使用され得る。次いで、電磁誘導により生成される電場は、この材料に電流を発生させることが可能であり、これにより粒子表面が加熱される。これにより、選択的なおよび局所的に集中させたエネルギー供給が可能となり得る。したがって、粒子の表面における融着度が、プラスチック構成要素の内部に配置された粒子についても非常に正確に影響および制御され得る。
【0040】
マイクロ波範囲の放射、高周波範囲の放射、または電磁誘導のいずれを使用することがより有利であるかは、例えば型がどの材料から作製されるかという問題によって決定されることがある。好ましくは、型が、使用される電磁場から可能な限り最少のエネルギー量を吸収するというオプションが選択される。当然ながら、上述のオプションの組合せを使用することもまた可能である。
【0041】
さらに、より多くのエネルギーが、型の第2の部分領域よりも型の第1の部分領域において粒子に供給されることが可能である。
【0042】
このようにすることで、それぞれの厚さ、剛性、通気性、可撓性、弾性、触感、外観、または他の特徴に関して相互に異なる個々の部分領域が、プラスチック構成要素内に形成され得る。この場合に、場合によっては同一の基材が使用されてもよく、これにより製造が容易になり得る。
【0043】
本出願では、好ましくは、粒子に供給されるエネルギー量は、電磁場から粒子により実際に吸収されるエネルギー量を指す。
【0044】
例えば、エネルギーが、第1の周波数を有する電磁場により型の第1の部分領域にて、および第2の周波数を有する電磁場により型の第2の部分領域にて粒子に供給されることが可能である。ここで、第2の周波数は、第1の周波数とは異なる。
【0045】
例えば、エネルギーは、型の第2の部分領域よりも型の第1の部分領域において、より高い周波数を有する電磁放射によって粒子に供給されてもよい。本明細書において、それぞれ異なる周波数を有する両種類の放射は、例えば単一の放射源から起始してもよく、または2つの周波数の中の一方を有する放射をそれぞれ放出する別個の放射源が使用されてもよい。また、3つ以上の異なる周波数を有する複数の種類の放射への一般化も可能である。
【0046】
さらに、放射の(または種々の種類の放射の)強度が、型の個々の領域において局所的に変化することと、このようにすることで粒子表面同士の融着度が影響され得ることとが可能である。
【0047】
他方で、多様な構成要素厚さ(シューズのミッドソール製造では、多様な構成要素厚さは時として壁部厚さとも呼ばれる)を有するパーツに対する一定のエネルギー印加を可能にするために、工具厚さを多様化することが可能である。例えば、より高い密度の材料はより迅速に加熱し得るため、したがって工具は、より低い密度エリアのエネルギー吸収と釣り合いをとるためにより多くのエネルギーを吸収するように局所的に調節されてもよい。これは、変動的な電磁場を印加することよりも一定の電磁場を印加することがより容易であるため有利となり得る。したがって、材料の密度を多様にすることにより、構成要素の特性は、変動的な電磁場(例えば周波数の変動)を印加することによるものよりもさらに簡単に影響され得る。
【0048】
さらに、粒子当たりのエネルギー吸収材料の平均量が、型内において多様であることが可能である。
【0049】
これは、粒子に供給されるエネルギー量(すなわち粒子によって実際に吸収されるエネルギー量)に局所的に影響を与えるために、電磁場の特性を変化させる上述のオプションと相補的な可能性をもたらす。例えば、型の充填前に、ある一定量の粒子が、種々の量のエネルギー吸収材料と事前混合され、次いで種々の混合物が、所望の融着度に従って型の個々の部分領域に位置決めされることが可能である。あるいは、エネルギー吸収材料は、例えば送給ライン中などにおいて、型の充填中に投与する方法で粒子に追加されてもよく、それにより、型内に充填される粒子のエネルギー吸収材料の含有量が、多様となり得る。
【0050】
型は、少なくとも1つの電磁場によって本質的に変化されずに留まる第2の材料でさらに充填されてもよい。
【0051】
例えば、これは、電磁場が顕著には材料により吸収されることなく透過する材料であってもよい。特に、第2の材料は、エネルギー吸収材料を含まなくてもよい。本質的に変化されないとは、第2の材料が、溶融しないもしくは溶融を開始しない、またはより軟質もしくはより硬質にならないことを意味し得る。
【0052】
また、例えば第2の材料は、発泡材料の粒子、特にeTPU、ePA、ePEBA、PLA、PEBA、PET、PBT、および/またはTPEEの粒子を含んでもよい。他の例は上述済みである。
【0053】
したがって、本発明の製造方法により、例えば強力に融着したおよび/またはより高い剛性のおよび/または空気を通さない部分領域と、緩く組み付けられた粒子を備える部分領域とを備える単一の基材からプラスチック構成要素を製造することが可能となり、それによりプラスチック構成要素は、これらの領域により低い剛性と、しかしながらより高い通気性とを有し得る、などとなる。
【0054】
また、この製造方法は、融着後に粒子発泡構成要素を安定化させるステップを伴い得る。これは、構成要素が所望の部分形状を維持するように、融着後に工具内に構成要素を保持することによって実施され得る。型内の材料の体積がより大きいほど、構成要素を安定化させることがより有利となる。この安定化ステップはまた、構成要素が冷却し、したがって安定化される速度の制御を可能にするために、例えば冷却チャネルなどの手段を含んでもよい。
【0055】
また、この製造方法は、粒子発泡体上にスキンを形成するためにフォイルを使用する追加のステップを伴ってもよい。フォイルは、外部発泡粒子と融着され得る。一例では、これは、TPUであることが可能であるが、極性に関して最も感度の高いPVCなどの、結合のために高い極性を示す他の材料がまた使用されてもよい。
【0056】
第2の材料の粒子は、ランダムに配置されてもよい。あるいは、第2の材料の粒子または粒子の少なくともいくつかが、相互に整列されてもよく、または型内で他の様式で意図的に配置されてもよい。
【0057】
第1の材料および型により吸収される合計エネルギー量に対する、第1の材料により吸収されるエネルギー量の比率は、1.0〜0.2の範囲内であってもよく、または1.0〜0.5の範囲内であってもよく、またはさらには1.0〜0.8の範囲内であってもよい。
【0058】
第2の材料(および場合によってはさらにさらなる材料)が型内に充填される場合には、上記の範囲は、型内の全ての材料により吸収される合計エネルギー量と型により吸収されるエネルギーとの和に対する、第1の材料により吸収されるエネルギー量の比率にも当てはまり得る。
【0059】
複数回にわたり既に述べたように、本発明の製造方法は、粒子表面同士の融着のためにエネルギーが必要とされる領域への選択的なエネルギー供給を可能にし得る。特に、これは、電磁場からの微量のエネルギー量のみを吸収する型を得るために、型に使用される材料の適切な選択をすることによって可能となり得る。一例を挙げると、これにより、製造方法のエネルギー効率がより高くなる。また、これは、型の顕著な加熱を防止するのを助け得るため、それにより冷却プロセスが著しく短縮され得る。また、型の予熱が回避され得る。型内の全ての材料および型自体により吸収される合計エネルギー量に対する、粒子を含む第1の材料により吸収されるエネルギー量の上述の比率は、現実的であることが判明している。
【0060】
しかし、スポーツ用品を製造するための方法は、型の壁部の少なくとも一部を加熱または予熱するステップをさらに含んでもよい。このようにすることで、表面品質が向上し、型表面に対する粒子の良好な充填が達成され得る。これを達成する1つの可能な方法は、型表面の材料よりも高い誘電損失を有し、そのため幾分かの放射を吸収し、したがって材料を溶融させることなく加熱する材料を型表面に塗布することによって達成され得る。この製造ステップを達成する別の方法は、工具(例えばより複雑なチャネルおよびさらに型表面により近いチャネルを可能にさせるレーザ焼結工具)を使用して、工具の周囲に/工具を貫通して流体を送ることによって型の加熱を可能にすることも可能である。この流体は、低い誘電損率を有するべきである。一般的には、構成要素の溶融温度を超える加熱により、構成要素壁部の溶融がもたらされることになり、これは望ましくない(確認されたい!)。材料のガラス転移温度の付近の、その温度の、またはその温度を超える温度にまで型を加熱する場合には、材料の誘電吸収がこの数値を超過するポリマーにおいては劇的に変化する、すなわち高い吸収により加熱がこの温度を超えて急激に上昇することになるため、注意しなければならない点に留意されたい。したがって、いくつかの場合では、材料のガラス転移温度の付近の、その温度の、またはその温度を超える温度にまで型を加熱することは回避されるべきである。
【0061】
当技術で既知の任意の型製造方法が、本明細書において説明される方法で使用するための型の作製に使用されてもよい。
【0062】
例えば、型は、全体または一部にエポキシ樹脂を含んでもよい。他の型材料もまたこの製造方法との組合せで使用され得る。例えば、この製造方法は、PTFE、PE、PEEK、または電磁場の印加時に構造的に安定的な他の材料の型を用意するステップを伴ってもよい。かかる構造的に安定した材料を用意することにより、粒子表面同士を融着するステップが改善され得る。
【0063】
また、エポキシ樹脂の使用により、複雑な3次元ジオメトリを有する型の製造が容易となり得る。さらに、例えば型または型の一部の加熱を回避または軽減し得るように、非導電性のエポキシ樹脂が用いられてもよい。電磁放射に対しても基本的に非吸収性を有するエポキシ樹脂から作製された型または型の一部が用意されてもよい。しかし、上記で論じたように、いくつかの状況では、型の少なくとも一部を加熱する追加のステップが有利である場合がある。
【0064】
本発明のさらなる態様は、本発明の方法の一実施形態により製造されたプラスチック構成要素、特にスポーツ衣料品用の緩衝要素によって提供される。
【0065】
本発明のさらなる態様は、かかる緩衝要素を有するシューズ、特にスポーツシューズに関する。このシューズは、例えばランニングシューズであってもよい。
【0066】
かかるプラスチック構成要素を製造するための本発明の製造方法を使用することにより、製造されるプラスチック構成要素の特性は、製造デバイスの複雑な設定を必要とせずに、選択的にかつ局所的に影響され得る。さらに、この製造は、エネルギー効率が良く、環境に優しく、比較的短い時間で完了され得る。したがって、本発明の製造方法は、他追えば本発明の利用により製造されるソールまたはソールの一部を有するシューズの製造などの大量生産での利用に適し得る。さらに、この方法は、高い度合いまで自動化され得ると共に、種々の種類のプラスチック構成要素が、例えば各プラスチック構成要素のそれぞれの要件に合わせて電磁場の周波数、強度、放射持続時間、焦点合わせ、および他の特性を適合化することなどによって、単一の製造デバイスを用いて製造され得る。
【0067】
本発明の可能な実施形態が、以下の図面を参照として以下の説明においてさらに説明される。