特許第6843210号(P6843210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843210タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いて製造したタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843210
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いて製造したタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/06 20060101AFI20210308BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20210308BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20210308BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   C08L9/06
   C08K3/36
   C08K5/541
   B60C1/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-196010(P2019-196010)
(22)【出願日】2019年10月29日
(65)【公開番号】特開2020-70438(P2020-70438A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2019年10月29日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0129597
(32)【優先日】2018年10月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】林 基 元
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/002506(WO,A1)
【文献】 特開2017−031409(JP,A)
【文献】 特開2013−213179(JP,A)
【文献】 特開平04−279641(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/190346(WO,A1)
【文献】 特開昭63−234045(JP,A)
【文献】 特開2011−057922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ゴム100重量部と、
シリカ100〜150重量部と、
軟化点が100〜150℃である樹脂15〜60重量部と
を含み、
前記原料ゴムは、溶液重合スチレンブタジエンゴムからなり、前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、全体として、スチレン含有量が8〜30重量%であり、ブタジエンが含有するビニルの含有量が20〜35重量%であり、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2〜5であり、
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、スチレン含有量が互いに異なる第1及び第2の溶液重合スチレンブタジエンゴムからなるタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記第1の溶液重合スチレンブタジエンゴムは、スチレン含有量が7〜12重量%であり、
前記第2の溶液重合スチレンブタジエンゴムは、スチレン含有量が13〜19重量%であり、
前記原料ゴムは、前記第1の溶液重合スチレンブタジエンゴムと、前記第2の溶液重合スチレンブタジエンゴムとを、70/30〜30/70の重量比で混合したものである、請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記第1の溶液重合スチレンブタジエンゴムは、スチレン含有量が8〜17重量%であり、
前記第2の溶液重合スチレンブタジエンゴムは、スチレン含有量が34〜42重量%であり、
前記原料ゴムは、前記第1の溶液重合スチレンブタジエンゴムと、前記第2の溶液重合スチレンブタジエンゴムとを、70/30〜30/70の重量比で混合したものである、請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴム100重量部に対して、10〜40重量部のオイルが添加されており、
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、ガラス転移温度が−70〜−30℃であり、
前記ガラス転移温度は、前記溶液重合スチレンブタジエンゴム100重量部に対して、10〜40重量部のオイルが添加される場合であるものである、請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
前記樹脂は、軟化点が110〜150℃である第1樹脂5〜25重量部と、
軟化点が100〜130℃である第2樹脂10〜40重量部とを含み、
前記第1樹脂と前記第2樹脂の重量比は、1:1〜1:5であるものである、請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項6】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、前記原料ゴム100重量部に対して、シランカップリング剤5〜15重量部をさらに含み、
前記シリカは、窒素吸着比表面積が150〜300m/gであり、CTAB吸着比表面積が140〜280m/gであり、水素イオン指数がpH5〜8であるものであり、
前記シランカップリング剤は、スルフィド系シラン化合物とメルカプト系シラン化合物とを含み、
前記スルフィド系シラン化合物と前記メルカプト系シラン化合物の重量比は、1:1〜1:2であるものである、請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの項に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造したタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いて製造したタイヤに関するものであり、低燃費性能を維持し、極限のドライ路面及びウェット路面での制動性能とハンドリング性能を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いて製造したタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、自動車の高性能化が進む中、消費者はタイヤの高性能化も同時に求めている。特に、高性能のチューニングカーやスポーツカーなどの場合、極限のドライ路面及びウェット路面での制動性能とハンドリング性能、及びグローバルラベリング制度の導入に伴い、低燃費性能に対するニーズは非常に高い。これにより、耐摩耗性、ハンドリング(handling)及びライド(ride)性能、ウェット制動性能及び低燃費性をいずれも兼ね備えたタイヤに対するニーズが高まることにより、新しい概念の素材の応用が積極的に検討されている。
【0003】
また、これらのタイヤの耐摩耗性、制動性能、ハンドリング及びライド性能及び低燃費性を同時に兼ね備えたタイヤの技術は、特に材料の分野において活発に開発が行われている。
【0004】
一般的に、タイヤの燃費性能に関わる転がり抵抗を低減させる技術として、シリカなどの補強性充填剤の量を減少させることによってヒステリシスロスを減らす方法が用いられている。しかし、この技術は、補強性充填剤の量が減少することで、タイヤトレッドの重要な特性であるウェット路面での制動性能及び操縦安定性能を低減させる欠点がある。
【0005】
このように、現在のタイヤ材料の開発技術において、一般的に、タイヤの燃費性能を向上させると、ウェット路面での制動性能はむしろ低下する虞があり、タイヤのウェット路面での制動性能を向上させると、低燃費性能が不利となる虞がある。
【0006】
このように、タイヤの各性能は、一つの性能を向上させると他の一つの性能が低下する問題が見られるため、一つの性能を向上させながらも、他の一つの性能は低下を最小限に抑えるか、ひいては、同時に二つの性能を向上させることができる技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2011−0071607号
【特許文献2】WO2016/002506(PCT/JP2015/067343)
【特許文献3】WO2016/085285(PCT/KR2015/012821)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、低燃費性能を維持し、高温度環境や寒冷地での耐久レースといった極限的な条件でのドライ路面及びウエット路面での制動性能とハンドリング性能を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造したタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の一側面にかかるタイヤトレッド用ゴム組成物は、原料ゴム(ジエン系または非ジエン系のゴム成分)100重量部と、シリカ100〜150重量部と、軟化点が100〜150℃である樹脂15〜60重量部とを含む。
【0011】
前記原料ゴムは、スチレン含有量が8〜30重量%であり、ブタジエンが含有するビニルの含有量が20〜35重量%であり、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2〜5である溶液重合スチレンブタジエンゴムを含むことができる。
【0012】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、ガラス転移温度Tgが−70〜−30℃であり、前記Tgは、前記溶液重合スチレンブタジエンゴム100重量部に対して、10〜40重量部のオイルが添加される場合のTgであってもよい。
【0013】
前記シリカは、窒素吸着比表面積(ISO 9277:2010)が150〜300m/gであり、CTAB吸着比表面積(ISO 5794-1:2005, Annex G)が140〜280m/gであり、水素イオン指数(5%懸濁液のpH)がpH5〜8であってもよい。
【0014】
前記樹脂は、軟化点が110〜150℃である第1樹脂5〜25重量部と、軟化点が100〜130℃である第2樹脂10〜40重量部とを含み、前記第1樹脂と前記第2樹脂の重量比は、1:1〜1:5であってもよい。
【0015】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、前記原料ゴム100重量部に対して、シランカップリング剤5〜15重量部をさらに含むことができる。
【0016】
前記シランカップリング剤は、スルフィド系シラン化合物とメルカプト系シラン化合物とを含み、前記スルフィド系シラン化合物と前記メルカプト系シラン化合物の重量比は、1:1〜1:2であってもよい。
【0017】
本発明の他の一側面にかかるタイヤは、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造される。
【発明の効果】
【0018】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、優れた低燃費性能を維持しながら、極限のドライ路面及びウェット路面での制動性能とハンドリング性能が向上したタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0020】
本発明の一実施例に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、原料ゴム100重量部と、シリカ100〜150重量部と、樹脂15〜60重量部とを含む。
【0021】
前記原料ゴムは、溶液重合スチレンブタジエンゴム(Solution−polymerized Styrene Butadiene Rubber;S−SBR)を含む。特に、特有の構造と制御された物性を有する溶液重合スチレンブタジエンゴムを原料ゴムとして使用することにより、原料ゴムに多量のシリカを配合することができ、諸物性の悪化のない、ウェット路面での制動性能及びハンドリング性能が向上したタイヤを提供することができる。
【0022】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、全体の溶液重合スチレンブタジエンゴムを基準に結合されたスチレンを8〜30重量%で含み、全体の溶液重合スチレンブタジエンゴムを基準にブタジエンが含有するビニルの含有量が20〜35重量%で含み、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)が−70〜−30℃であってもよい。前記ガラス転移温度は−70〜−30℃で比較的低い数値を持つことが好ましい。ガラス転移温度が高いスチレンブタジエンゴムを使用する場合、ガラス転移温度が常温以上の樹脂を共に使用するため、ゴム組成物のガラス転移温度が高くなりすぎて、気温による性能差が大きくなる虞があり、摩耗に不利となる虞がある。
【0023】
前記のように溶液重合スチレンブタジエンゴムの結合されたスチレン及びビニル基の含有量とガラス転移温度を制御する場合、多量のシリカを原料ゴムに均一に配合することが可能である。また、前記の場合、ウェット路面での制動性能とハンドリング性能に優れたタイヤを提供することができる。
【0024】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、オイルが添加されていない状態で使用することもでき、オイルが添加された状態で使用することもできる。一つの例で、溶液重合スチレンブタジエンゴムにオイルを添加する場合、前記ゴム100重量部に対して、10〜40重量部のオイルを添加することができる。オイルを前記のような範囲で、前記溶液重合スチレンブタジエンゴムに添加する場合、スチレン構造の影響で低下したゴムの柔軟性を補完することができる。
【0025】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムに添加できるオイルは、例えば、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)オイルであってもよい。
【0026】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度は、一定量のオイルが添加された状態で測定したガラス転移温度を意味する。そのため、オイルが添加されていない状態の溶液重合スチレンブタジエンゴムを使用するとしても、ガラス転移温度を測定する際は、溶液重合スチレンブタジエンゴムの一部を取り出して、一定量のオイルと配合した上で、ガラス転移温度を測定することができる。
【0027】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、例えば、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2〜5であるものであってもよい。前記範囲の分子量分布を有する溶液重合スチレンブタジエンゴムは、タイヤトレッド用ゴム組成物に、優れた加工性を与えることができる。溶液重合スチレンブタジエンゴムは、前記のような広い分子量分布を有するために、例えば、連続式の方法によって製造することができる。
【0028】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムは、例えば、カップリング剤によって分子がカップリングされた状態で使用することができる。溶液重合スチレンブタジエンゴムをカップリングすると、カップリングを介して各分子が連結されることにより、ヒステリシス損失が発生する原因である分子の末端の数を減少させることができる。その結果、カップリングされた状態の溶液重合スチレンブタジエンゴムを使用する場合、低燃費性能が最大化されたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することができる。前記で溶液重合スチレンブタジエンゴムをカップリングするためのカップリング剤としては、本発明の技術分野で使用されるものを特に制限なく使用することができ、例えば、ケイ素(Si)又はスズ(Sn)などを使用することができる。すなわち、四塩化ケイ素や四塩化スズなどを用いるカップリングにより、2個またはそれ以上の数のポリマー分子を、互いに連結させることができる。
【0029】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムとしては、例えば、末端が変性されたものを使用することができる。末端が変性された溶液重合スチレンブタジエンゴムは、表面が親水性であるシリカと疎水性であるゴムとの間の親和性を高め、シリカの分散を向上させ、ゴムの物性を向上させることができる長所がある。前記において溶液重合スチレンブタジエンゴムの末端を変性させるための化合物としては、本発明の技術分野で使用されるものを特に制限なく使用することができ、例えば、アミノシラン系化合物又はグリシジルアミノ系化合物などを使用することができる。
【0030】
前記原料ゴムとしては、1種以上の溶液重合スチレンブタジエンゴムを使用するか、又は1種以上の溶液重合スチレンブタジエンゴムを別のゴムと一緒に配合して使用することが可能である。一つの例で、前記原料ゴムには、前記原料ゴム全体の重量に対して、溶液重合スチレンブタジエンゴムが80〜100重量%で含まれてもよい。
【0031】
この範囲で、ウェット路面での制動性能とハンドリング性能が向上したタイヤトレッド用ゴム組成物を生成することができる。
【0032】
前記において、溶液重合スチレンブタジエンゴムと配合することができる別のゴムとしては、タイヤゴムの分野で使用されるゴムを特に制限なく使用することができる。
【0033】
前記別のゴムは、例えば、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0034】
前記天然ゴムは、一般的な天然ゴム又は変性天然ゴムであってもよい。
【0035】
前記一般的な天然ゴムは、天然ゴムとして知られているものであればいずれも使用することができ、原産地などは限定されない。前記天然ゴムは、シス−1,4−ポリイソプレンを主体として含むが、要求特性に応じてトランス−1,4−ポリイソプレンを含むこともできる。よって、前記天然ゴムには、シス−1,4−ポリイソプレンを主体として含む天然ゴムの他に、例えば、南米産のアカテツ科のゴムの一種であるバラタなど、トランス−1,4−イソプレンを主体として含む天然ゴムを含むこともできる。
【0036】
前記変性天然ゴムは、前記一般的な天然ゴムを変性又は精製したもののことを意味する。例えば、前記変性天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱蛋白天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどを挙げることができる。
【0037】
前記合成ゴムは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、変性スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、変性ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、水素化されたニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、変性ニトリルブタジエンゴム、クロリネイテッドポリエチレンゴム、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム、ハイパロンゴム、クロロプレンゴム、エチレンビニルアセテートゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、ビニルベンジルクロライドスチレンブタジエンゴム、ブロモメチルスチレンブチルゴム、マレイン酸スチレンブタジエンゴム、カルボン酸スチレンブタジエンゴム、エポキシイソプレンゴム、マレイン酸エチレンプロピレンゴム、カルボン酸ニトリルブタジエンゴム、ブロミネイテッドポリイソブチルイソプレン - コ - パラメチルスチレン(brominated polyisobutyl isoprene−co−paramethyl styrene、BIMS)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0038】
一つの例で、溶液重合スチレンブタジエンゴムと配合されるゴムとしては、ブタジエンゴムを使用することができる。
【0039】
前記ブタジエンゴムは、例えば、シス−1,4ブタジエンの含有量が96重量%以上であり、ガラス転移温度(Tg)が−104〜−107℃である高シスブタジエンゴム(High Cis−Butadiene rubber)であってもよい。また、前記ブタジエンゴムは、100℃でのムーニー粘度が43〜47であるものであってもよい。前記高シスブタジエンゴムを使用する場合、耐摩耗性能及び動的ストレス(Dynamic Stress)の下での熱蓄積制御(Heat Build Up)面で有利な効果がある。
【0040】
前記ブタジエンゴムは、例えば、前記原料ゴム全体の重量に対して、0〜20重量%で原料ゴムに含まれてもよい。この範囲で、適切な機械的剛性及び耐摩耗性を有するタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することができる。
【0041】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、補強性充填剤としてシリカを含む。
【0042】
前記シリカは、本発明の目的に適合したタイヤトレッド用ゴム組成物を得るために、窒素吸着比表面積(nitrogen surface area per gram,N2SA)が150〜300m/gであり、CTAB(cetyltrimethylammonium bromide)吸着比表面積が140〜280m/gである特性を持つことができる。こうしたシリカは、原料ゴムに対して高分散性を持ち、適切な補強性能及び加工性をタイヤトレッド用ゴム組成物に付与することができる。
【0043】
前記シリカの窒素吸着比表面積が150m/g未満であると、配合ゴムの剛性が低下してハンドリングとウェット路面での制動性能が低下して、充填剤であるシリカの補強性能が不利となる虞があり、300m/gを超過すると、シリカの分散が難しく、過度な剛性向上により諸性能が低下し、ゴム組成物の加工性が不利となる虞がある。また、前記シリカのCTAB吸着比表面積が140m/g未満であると、配合ゴムの剛性が低下してハンドリングとウェット路面での制動性能が低下して充填剤であるシリカによる補強性能が不利となる虞があり、280m/gを超過すると、シリカの分散が難しく、過度な剛性向上により諸性能が低下し、ゴム組成物の加工性が不利となる虞がある。
【0044】
前記シリカは、前記原料ゴム100重量部に対して、100〜150重量部又は110〜140重量部で使用することができる。通常、多量のシリカは、原料ゴムに均一に混合されず、多量のシリカが配合されたゴム組成物を工場で扱うのには困難が多い。よって、前記のように多量のシリカを原料ゴムに配合することは、実際に行われていない。しかし、前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、前述した溶液重合スチレンブタジエンゴムを原料ゴムとして使用することにより、多量のシリカを含むことができる。その結果、タイヤの諸性能の悪化のない、向上した剛性及びウェット路面での制動性能に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することができる。
【0045】
シリカは、例えば、pH5〜pH8の水素イオン指数を有するものであってもよい。この範囲の水素イオン指数を有するシリカは、原料ゴムの物性を低下させずに原料ゴムに均一に配合することができる。
【0046】
前記シリカは、前記物性を有するよう、当業界に知られている方法によって製造することができる。例えば、前記シリカは、湿式法又は乾式法で製造されたものを使用することができる。
【0047】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、前記シリカの分散性の向上と補強性の発現のためにカップリング剤をさらに含むことができる。
【0048】
前記カップリング剤は、シランカップリング剤であってもよく、シランカップリング剤としては、スルフィド系シラン化合物、メルカプト系シラン化合物、ビニル系シラン化合物、アミノ系シラン化合物、グリシドキシ系シラン化合物、ニトロ系シラン化合物、クロロ系シラン化合物、メタクリル系シラン化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができ、好ましくは、スルフィド系シラン化合物又はスルフィド系シラン化合物とメルカプト系シラン化合物とを組み合わせて使用することができる。
【0049】
前記スルフィド系シラン化合物は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0050】
前記メルカプトシラン化合物は、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジ(トリデカン−1−オキシ−13−ペンタ(エチレンオキサイド))メトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジ(トリデカン−1−オキシ−13−ペンタ(エチレンオキサイド))エトキシシラン、3−メルカプトエチル−ジ(トリデカン−1−オキシ−13−ペンタ(エチレンオキサイド))メトキシシラン、3−メルカプトエチル−ジ(トリデカン−1−オキシ−13−ペンタ(エチレンオキサイド))エトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記ビニル系シラン化合物は、エトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記アミノ系シラン化合物は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0051】
前記グリシドキシ系シラン化合物は、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記ニトロ系シラン化合物は、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記クロロ系シラン化合物は、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0052】
前記メタクリル系シラン化合物は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0053】
前記シランカップリング剤は、前記シリカの分散性を向上させるために、前記原料ゴム100重量部に対して、5〜15重量部で含まれてもよい。前記シランカップリング剤の含有量が5重量部未満である場合、シリカの分散性向上が不足して、ゴムの加工性が低下したり、低燃費性能が低下したりする虞があり、15重量部を超過する場合、シリカとゴムの相互作用が強すぎて、低燃費性能には優れるかもしれないが、制動性能がかなり低下する虞がある。
【0054】
また、前記シランカップリング剤として、スルフィド系シラン化合物とメルカプト系シラン化合物とを組み合わせて使用する場合、前記スルフィド系シラン化合物と前記メルカプト系シラン化合物の重量比は1:1〜1:2で組み合わせることができ、前記スルフィド系シラン化合物と前記メルカプト系シラン化合物を同時に適用することにより、160℃以上の高温混合放出時にシリカの分散性と反応性を向上させることができる。前記重量比が1:1未満である場合、160℃以上の高温放出時に過剰反応によるゴムの凝集現象で加工性が著しく低下する虞があり、1:2を超過する場合、スコーチ(Scorch)現象の発生リスクが高まる問題がある。
【0055】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、高軟化点の樹脂を含む。前記樹脂は、前記ゴム組成物から製造されるゴムに剛性を付与し、ウェット路面での制動性能及びハンドリング性能に優れたタイヤを提供することができる。
【0056】
前記樹脂は、原料ゴム100重量部に対して、15〜60重量部で含まれてもよい。この範囲でタイヤのゴムに適切な剛性を付与し、ウェット路面での制動性能及びハンドリング性能に優れたタイヤを提供することができる。
【0057】
また、前記樹脂は、25〜75℃のTgを有するものを使用することができる。
【0058】
また、前記樹脂は、Tgが25〜75℃であり、軟化点が100〜150℃であってもよい。この範囲のTgと軟化点を有する樹脂を使用する場合、ゴム組成物内に混合する際は、軟化点以上で混合されて、加工性の向上に役立ち、常温及び一般タイヤの走行時の温度では、硬い(hard)部分として作用して、ゴムの剛性が向上し、高分散性を有することにより、低燃費性能が向上したタイヤトレッド用ゴム組成物を提供することができる。前記樹脂の軟化点が100℃未満であると、タイヤの走行、制動、ハンドリング時のゴム組成物内の樹脂が軟化して、ゴム組成物の剛性が低下し、150℃を超過すると、配合中の分散性が低下して加工性の低下及び耐摩耗性能に損失をもたらす虞がある。
【0059】
また、前記樹脂は、軟化点が110〜150℃である第1樹脂5〜25重量部と、軟化点が100〜130℃である第2樹脂10〜40重量部とを同時に含んで使用することができ、前記第1樹脂と前記第2樹脂の重量比は、1:1〜1:5の割合で使用することが好ましい。
【0060】
前記重量比が1:1未満である場合、ゴム組成物の剛性とヒステリシスの減少で制動性能及びハンドリング性能に不利となる虞があり、1:5を超過する場合、耐摩耗性能及び低転がり抵抗(Low Rolling Resistance、LRR)性能が低下してしまう問題がある。
【0061】
前記第1樹脂は、シリカ親和性フェノール系樹脂であってもよい。例えば、フェノール系樹脂としては、ノボラック樹脂を使用することができる。前記ノボラック樹脂は、フェノール類をアルデヒド類と酸触媒下で反応させたことを意味する。前記フェノール類は、フェノール、クレゾール、レゾルシノールなどを例として挙げることができ、アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒドなどを例として挙げることができ、酸触媒は、シュウ酸、塩酸、硫酸、及びp−トルエンスルホン酸などを例として挙げることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0062】
前記第2樹脂は、高分子親和性アリファティック(Aliphatic)系樹脂(例えばC4〜C6を中心とした脂肪族系樹脂)、ナフテン(Naphthenic)系樹脂(例えばC8〜C10を中心とした芳香族系樹脂)、及びこれらの組み合わせのいずれか一つであってもよい。例えば、アリファティック(Aliphatic)系樹脂は、例えば、イソプレン(Isoprene)といったC5系石油樹脂などであってもよく、ナフテン(Naphthenic)系樹脂は、例えば、テルペン系(Terpene)、DCPE(Dicyclopentadiene;ジシクロペンタジエン)などであってもよく、アリファティック系樹脂とナフテニック系樹脂の組み合わせであってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0063】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、選択に応じて、追加の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、充填剤、老化防止剤、軟化剤、又は粘着剤などの各種添加剤をさらに含むことができる。前記各種添加剤は、本発明の属する分野で通常用いられるものであれば、いかなるものでも用いることができ、これらの含有量は通常のタイヤトレッド用ゴム組成物において用いられる配合比に従うが、特に限定されるものではない。
【0064】
前記加硫剤としては、硫黄系加硫剤を好ましく用いることができる。前記硫黄系加硫剤は、粉末硫黄(S)、不溶性硫黄(S)、沈降硫黄(S)、コロイド(colloid)硫黄などの無機加硫剤を用いることができる。前記硫黄加硫剤としては、具体的には、元素硫黄、又は硫黄を作り出す加硫剤、例えば、アミンジスルフィド(amine disulfide)、高分子硫黄などを用いることができる。
【0065】
前記加硫剤は、前記原料ゴム100重量部に対して、0.5〜4.0重量部で含まれるものが、適切な加硫効果として、原料ゴムが熱に比較的敏感ではなく、化学的に安定になるという点で好ましい。
【0066】
前記加硫促進剤は、加硫速度を促進したり、初期の加硫段階で遅延作用を促進したりする促進剤(accelerator)のことを意味する。
【0067】
前記加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0068】
前記スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのスルフェンアミド系化合物を使用することができる。
【0069】
前記チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールの銅塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのチアゾール系化合物を使用することができる。
【0070】
前記チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのチウラム系化合物を使用することができる。
【0071】
前記チオウレア系加硫促進剤としては、例えば、チアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのチオウレア系化合物を使用することができる。
【0072】
前記グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのグアニジン系化合物を使用することができる。
【0073】
前記ジチオカルバミン酸系加硫促進剤としては、例えば、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシルイソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、オクタデシルイソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つのジチオカルバミン酸系化合物を使用することができる。
【0074】
前記アルデヒド−アミン系又はアルデヒド−アンモニア系加硫促進剤としては、例えば、アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルデヒド−アミン系又はアルデヒド−アンモニア系化合物を使用することができる。
【0075】
前記イミダゾリン系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物を使用することができ、前記キサンテート系加硫促進剤としては、例えば、ジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物を使用することができる。
【0076】
前記加硫促進剤は、加硫速度の促進による生産性の向上及びゴム物性の向上を最大化するために、前記原料ゴム100重量部に対して、0.5〜4.0重量部で含まれてもよい。
【0077】
前記加硫促進助剤は、前記加硫促進剤と併用してその促進効果を完全なものにするために用いられる配合剤であり、無機系加硫促進助剤、有機系加硫促進助剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0078】
前記無機系加硫促進助剤としては、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸亜鉛(zinc carbonate)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉛(lead oxide)、水酸化カリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。前記有機系加硫促進助剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸、リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸、ジブチルアンモニウム−オレート(dibutyl ammonium oleate)、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0079】
特に、前記加硫促進助剤としては、前記酸化亜鉛と前記ステアリン酸を共に使用することができ、この場合、前記酸化亜鉛が前記ステアリン酸に溶けて前記加硫促進剤と有効な複合体(complex)を形成して、加硫反応中、有利な硫黄を作り出すことにより、ゴムの架橋反応を容易にする。
【0080】
前記酸化亜鉛と前記ステアリン酸を共に使用する場合、適切な加硫促進助剤としての役割を果たすために、それぞれ前記原料ゴム100重量部に対して、1〜5重量部及び0.5〜3重量部で使用することができる。前記酸化亜鉛と前記ステアリン酸の含有量が前記範囲の未満である場合、加硫速度が遅くて生産性が低下する虞があり、前記範囲を超過する場合、スコーチ現象が発生して物性が低下する虞がある。
【0081】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、前記シリカの他にも、当業界で使用される通常の充填剤をさらに含むことができる。前記充填剤は、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、粘土(水和ケイ酸アルミニウム)、水酸化アルミニウム、リグニン、ケイ酸塩、滑石、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0082】
前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(nitrogen surface area per gram、N2SA)が30〜300m/gであってもよく、DBP(n−dibutyl phthalate)吸油量が60〜180cc/100gであってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0083】
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が300m/gを超過すると、タイヤ用ゴム組成物の加工性が不利となる虞があり、30m/g未満であると、充填剤であるカーボンブラックによる補強性能が不利となる虞がある。また、前記カーボンブラックのDBP吸油量が180cc/100gを超過すると、ゴム組成物の加工性が低下する虞があり、60cc/100g未満であると、充填剤であるカーボンブラックによる補強性能が不利となる虞がある。
【0084】
前記カーボンブラックの代表例としては、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990又はN991などを挙げることができる。
【0085】
前記カーボンブラックは、前記原料ゴム100重量部に対して、5〜10重量部で含まれてもよい。前記カーボンブラックの含有量が5重量部未満であると、充填剤であるカーボンブラックによる補強性能が低下する虞があり、10重量部を超過すると、ゴム組成物の加工性が不利となる虞がある。
【0086】
前記軟化剤は、ゴムに可塑性を付与して加工を容易にするために、又は、加硫ゴムの硬度を低下させるために、ゴム組成物に添加されるものであり、ゴムの配合時やゴムの製造時に使用されるオイル類、その他の材料のことを意味する。前記軟化剤は、加工オイル(Process oil)、又はその他ゴム組成物に含まれるオイル類のことを意味する。前記軟化剤としては、石油系オイル、植物油脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0087】
前記石油系オイルとしては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0088】
前記パラフィン系オイルの代表例として、ミチャンオイル株式会社のP−1、P−2、P−3、P−4、P−5、P−6などを挙げることができ、前記ナフテン系オイルの代表例としては、ミチャンオイル株式会社のN−1、N−2、N−3などを挙げることができ、前記芳香族系オイルの代表例としては、ミチャンオイル株式会社のA−2、A−3などを挙げることができる。
【0089】
しかし、近年、環境意識が高まるにつれ、前記芳香族系オイルに含まれた多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons、以下「PAHs」という)の含有量が3重量%以上である場合、がんを引き起こす可能性が高いとされ、TDAE(treated distillate aromatic extract;処理留出物芳香族系抽出物)オイル、MES(mild extraction solvate;軽度抽出溶媒和物)オイル、RAE(residual aromatic extract;残留芳香族系抽出物)オイル、又は重質ナフテンオイルを好ましく使用することができる。
【0090】
特に、前記軟化剤として使用するオイルは、前記オイル全体に対してPAHs成分の総含有量が3重量%以下であり、動粘度が95以上(210°F SUS)、軟化剤内の芳香族成分が15〜25重量%、ナフテン系成分が27〜37重量%、及びパラフィン系成分が38〜58重量%であるTDAEオイルを好ましく使用することができる。
【0091】
前記TDAEオイルは、前記TDAEオイルを含むタイヤトレッドの低温特性、燃費性能を向上させながらも、PAHsのがん誘発の可能性などの環境的な要因に対しても有利な特性を持つ。
【0092】
前記植物油脂としては、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、キャノーラ油、大豆油、パーム油、ヤシ油、落花生油、パイン油、パインタール、トール油、コーン油、米糠油、紅花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、サフラワーオイル、桐油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0093】
前記軟化剤は、前記原料ゴム100重量部に対して、0〜20重量部で使用することが、原料ゴムの加工性を良くするという点で好ましい。
【0094】
前記老化防止剤は、酸素によってタイヤが自動酸化される連鎖反応を停止させるために用いられる添加剤だ。前記老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、キノリン系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、ワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを適宜選択して使用することができる。
【0095】
前記アミン系老化防止剤としては、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−オクチル−p−フェニレンジアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。前記フェノール系老化防止剤としては、フェノール系である2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。前記キノリン系老化防止剤としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン及びその誘導体を使用することができ、具体的には、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−アニリノ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−ドデシル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。前記ワックスとしては、好ましくは、ワックス質炭化水素を使用することができる。
【0096】
前記老化防止剤は、老化防止作用のほかに、ゴムに対する溶解度が大きいこと、揮発性が少ないこと、ゴムに対して不活性なものであること、加硫を阻害しないこと、などの条件を考慮する際に、前記原料ゴム100重量部に対して、1〜10重量部で含まれてもよい。
【0097】
前記粘着剤は、ゴムとゴムとの間の接着(tack)性能をさらに向上させ、充填剤などのその他の添加剤の混合性、分散性及び加工性を改善させ、ゴムの物性向上に貢献する。
【0098】
前記粘着剤としては、ロジン(rosin)系樹脂又はテルペン(terpene)系樹脂などの天然樹脂系粘着剤と、石油樹脂、又は、アルキルフェノール系樹脂もしくはその他のノボラック樹脂などの合成樹脂系粘着剤を使用することができる。
【0099】
前記ロジン系樹脂は、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素添加ロジンエステル樹脂、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。前記テルペン系樹脂は、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0100】
前記石油樹脂は、脂肪族系樹脂、酸改質脂肪族系樹脂、脂環族系樹脂、水素添加脂環族系樹脂、芳香族系(C9)樹脂、水素添加芳香族系樹脂、C5−C9共重合樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0101】
前記石油樹脂は、クマロンインデン樹脂(coumarone−indene resin)であってもよい。
【0102】
前記アルキルフェノール樹脂は、p−tert−アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂又はレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂であってもよく、前記p−tert−アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂は、p−tert−ブチル−フェノールホルムアルデヒド樹脂、p−tert−オクチル−フェノールホルムアルデヒド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0103】
前記粘着剤は、前記原料ゴム100重量部に対して、2〜4重量部で含まれてもよい。前記粘着剤の含有量が、前記原料ゴム100重量部に対して、2重量部未満であると、接着性能が不利となる虞があり、4重量部を超過すると、ゴム物性が低下する虞がある。
【0104】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、通常の2つの連続する製造工程によって製造することができる。すなわち、110〜190℃に達する最大温度、好ましくは、130〜180℃の高温で熱機械的に処理する又は混錬する第1段階と、架橋結合システムが混合される仕上げ段階において、通常110℃未満、例えば、40〜100℃の低い温度で機械的に処理する第2段階を用いて、適切な混合器内で製造することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0105】
前記タイヤトレッド用ゴム組成物は、トレッド(トレッドキャップ及びトレッドベース)に限定されず、タイヤを構成する様々なゴム構成要素に含まれてもよい。前記ゴム構成要素としては、サイドウォール、サイドウォール挿入物、エーペックス(apex)、チェーファー(chafer)、ワイヤーコート又はインナーライナーなどが挙げられる。
【0106】
本発明の別の一実施例に係るタイヤは、前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いて製造される。前記タイヤトレッド用ゴム組成物を用いてタイヤを製造する方法は、従来のタイヤの製造に用いられる方法であればいかなるものでも適用することが可能であるので、詳しい説明は本明細書では省略する。
【0107】
前記タイヤは、乗用車用タイヤ、競走用タイヤ、飛行機タイヤ、農機械用タイヤ、オフロード(off−the−road)タイヤ、トラックタイヤ又はバスタイヤなどであってもよい。また、前記タイヤは、ラジアル(radial)タイヤ又はバイアス(bias)タイヤであってもよく、好ましくは、ラジアルタイヤを使用することができる。
【0108】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で具現可能であり、ここで説明する実施例によって限定されるものではない。
【0109】
[製造例:ゴム組成物の製造]
下記表1に示す組成を用いて、下記の実施例及び比較例に従うタイヤトレッド用ゴム組成物を製造した。前記ゴム組成物の製造は、通常のゴム組成物の製造方法に従った。
【0110】
【表1】
【0111】
表1において、単位は重量部であり、原料ゴムで括弧内の数字は、オイルを除いた原料ゴムの重量を示す。
【0112】
(1)S−SBR1:連続式の方法によって製造されたもので、結合されたスチレンの含有量が38〜42重量%であり、ビニル含有量が26〜30重量%であり、末端はグリシジルアミノ系化合物で変性した溶液重合スチレンブタジエンゴムであって、前記ゴム100重量部に対して、50重量部のオイルが含まれた状態で使用し、オイルが含まれた状態でのガラス転移温度は約−28℃である。
【0113】
(2)S−SBR2:連続式の方法によって製造されたもので、結合されたスチレンの含有量が34〜38重量%であり、ビニル含有量が36〜40重量%であり、末端はアミノシラン系化合物で変性した溶液重合スチレンブタジエンゴムであって、前記ゴム100重量部に対して、25重量部のオイルが含まれた状態で使用し、25重量部のオイルが含まれた状態でのガラス転移温度は約−21℃である。なお、オイルが37.5重量部含まれた状態でのガラス転移温度は約−26℃である。また、数平均分子量Mnが400,000〜500,000、重量平均分子量Mwが1,100,000〜1,400,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.2〜3.5または2.5〜3.2である。
【0114】
(3)S−SBR3:連続式の方法によって製造されたもので、結合されたスチレンの含有量が8〜12重量%であり、ビニル含有量が25〜31重量%であり、末端はアミノシラン系化合物で変性した溶液重合スチレンブタジエンゴムであって、前記ゴムにオイルは含まれていない状態で使用し、オイルが37.5重量部含まれた状態でのガラス転移温度は約−60℃である。また、数平均分子量Mnが150,000〜300,000、重量平均分子量Mwが300,000〜500,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.5〜3.0または1.8〜2.4である。
【0115】
(4)S−SBR4:連続式の方法によって製造されたもので、結合されたスチレンの含有量が13〜17重量%であり、ビニル含有量が23〜27重量%であり、末端はアミノシラン系化合物で変性した溶液重合スチレンブタジエンゴムであって、前記ゴム100重量部に対して、37.5重量部のオイルが含まれた状態で使用し、オイルが含まれた状態でのガラス転移温度は約−60℃である。また、数平均分子量Mnが400,000〜500,000、重量平均分子量Mwが1,100,000〜1,400,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.2〜3.5または2.5〜3.2である。
【0116】
(5)BR:ガラス転移温度が約−106℃であるブタジエンゴム。
(6)シリカ:窒素吸着比表面積が約170m/gであり、CTAB吸着比表面積が約160m/gである高分散性シリカ。
【0117】
(7)カップリング剤1:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(商品名:Si69、メーカー:Degussa)。
(8)カップリング剤2:3−メルカプトプロピル-ジ(トリデカン−1−オキシ−13−ペンタ(エチレンオキサイド))エトキシシラン。
【0118】
(9)第1樹脂:軟化点が135〜150℃であるフェノール系樹脂。
(10)第2樹脂:軟化点が100〜110℃であるナフテン系樹脂。
【0119】
(11)老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン。
(12)加硫促進剤1:ジフェニルグアニジン(DPG)。
(13)加硫促進剤2:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)。
【0120】
[実験例1:製造されたゴム組成物の物性測定]
前記実施例及び比較例で製造したゴム試験片に対して物性を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0121】
【表2】
【0122】
−ムーニー粘度(ML1+4(125℃))は、ASTM規格D1646にしたがって測定した。未加硫ゴムの粘度を示す値で、数値が低いほど未加硫ゴムの加工性に優れる。
【0123】
−硬度は、DIN53505によって測定した。操縦安定性を示すもので、その値が高いほど操縦安定性に優れる。
【0124】
−300%モジュラスと破断エネルギーは、ISO37規格にしたがって測定した。破断エネルギーは、ゴムが破断する時に必要なエネルギーを示すもので、その値が高いほど、必要なエネルギーが高くて耐摩耗性能に優れる。
【0125】
−粘弾性は、ARES測定器(TA Instruments社製 ARES-G2)を用いて、0.5%変形(strain)にて10Hz Frequencyの下で、−60℃から60℃までG’(貯蔵弾性率)、G”(損失弾性率)、及びtanδ(δは位相角)を測定した。60℃tanδは、転がり抵抗特性を示すもので、数値が低いほど性能に優れることを示す。
【0126】
−ウェットグリップ指数(Wet Grip Index;EU Tire Labeling RegulationsのWET GRIP TEST METHOD IMPROVEMENT for Passenger Car Tyres (C1))は、ウェット路面での制動特性を示すもので、数値が高いほど制動性能に優れることを示す。
【0127】
−30℃/60℃ G(複素弾性率)は、ゴム組成物の剛性で、ドライ路面及びウェット路面での制動性能及びハンドリング性能に関連があり、数値が高いほど性能に優れる。
【0128】
−ランボーン摩耗Index(ISO 23794:2015)は、Lambourn摩耗測定器(Ueshima Seisakusho AB-1100)を用いて砥石車の回転速度50mm/minで測定した。数値が高いほど耐摩耗性能に有利であることを示す。
【0129】
前記表2を参照すると、本発明の実施例1〜6の場合、ML1+4が比較例1及び2より低いレベルを示しており、硬度と300%モジュラスが維持されることにより、向上した破断エネルギーを有するゴム組成物を提供することが確認できた。また、実施例1〜6の場合、60℃tanδを比較例1及び2と同等のレベルに維持しつつ、Wet Grip Index、30℃/60℃ Gが向上することにより、加工性、操縦安定性(ハンドリング性能)及び制動性能が非常に大きく向上したゴム組成物を提供することが確認できた。
【0130】
[実験例2:タイヤの性能試験]
前記実施例及び比較例で製造したゴムでトレッドを作り、前記トレッドを半製品として含む245 40ZR18規格のタイヤを製造した。前記タイヤに対するドライ路面及びウェット路面での制動性能及び転がり抵抗をテストし、比較例1のタイヤの結果に対する実施例1〜6及び比較例2の相対比率を下記表3に示した。
【0131】
【表3】
【0132】
前記表3を参照すると、実施例1〜6のタイヤの場合、転がり抵抗を従来と同等のレベルに維持して低燃費性能の損失を最小限に抑えながら、極限のドライ路面とウェット路面での制動性能と高ハンドリング性能を実現することができることが確認できた。
【0133】
以上、本発明の好ましい実施例について詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、後述する請求範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【0134】
本発明の好ましい一実施形態においては、下記のとおりである。
【0135】
1.ゴム成分をなす溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)
溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)は、アルキルリチウムなどのリチウム系触媒によるリビング重合により得られるランダムタイプのポリマーであり、各ポリマー分子における片方の末端または両末端に、アミノ基や水酸基などの親水性基、または、シリカの水酸基と反応しうる反応性基を導入したものである。すなわち、リビング重合の停止側の末端に官能性基を導入することができ、また、この際、開始端にも官能性基を導入しておくことができる。このような官能性基の導入のためには、先に詳述した、シランカップリング剤などのカップリング剤、または、これと類似の化合物を適宜に用いることができる。
【0136】
例えば、上記特許文献3(WO2016/085285)に記載されたポリマーを用いることができる。すなわち、2-メトキシエチル3-(ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)プロパノエートや3-(ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)アミノ)プロパノエートといったアミノシラン系化合物を用いることで、停止側の末端にシラノール基、特には、アミノアルキルシラノール基を導入することができる。
<特許文献3の図1
【0137】
溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)としては、具体的には、特許文献3の実施例1と同様に製造したものを用いることができる。本実施形態における溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)は、数平均分子量(Mn)が50,000〜2,000,000g/mol、特には100,000〜1,500,000g/molであり、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2〜5、例えば2.3〜4.5または2.5〜4である。
【0138】
溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量Mwは、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とし、40℃にて、ポリスチレンゲルカラム(Polymer Laboratories社のPLgel Olexis 2本+PLgel mixed-C 1本)を用いて測定し、ポリスチレン換算で算出したものである。
【0139】
なお、上記のアミノアルキルシラノール基に代えて、グリシジルアミノ基を導入することができる。例えば、グリシジルアミノ基で置換された1,1-ジフェニルエチレン誘導体をリビング重合の末端に反応させることができる。
【0140】
好ましくは、2種類の溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)を組み合わせて用いることができる。
【0141】
この場合の、第1の態様においては、ガラス転移点が−70〜−35℃、特には−70〜−40℃または−70〜−50℃である第1のS-SBR(表1の「S-SBR4」に対応)と、ガラス転移点が−30〜−10℃である第2のS-SBR(表1の「S-SBR2」に対応)とを、例えば30/70〜70/30の重量比、特には、40/60〜60/40の重量比または45/55〜55/45の重量比で、混合して用いることができる。ガラス転移点が低い方の第1のS-SBRは、スチレン含有量を8〜17重量%、特には10〜15重量%とし、ブタジエン部分におけるビニル含有量を23〜31重量%、特には25〜28重量%とすることができる。また、ガラス転移点が高い方の第2のS-SBRは、スチレン含有量を34〜42重量%、特には36〜40重量%とし、ブタジエン部分におけるビニル含有量を26〜40重量%、特には28〜38重量%とすることができる。
【0142】
また、第2の態様においては、ガラス転移点が上記の第1のS-SBRと同様である2種類の溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)を組み合わせて用いる。すなわち、ここで用いる第3のS-SBR(表1の「S-SBR4」に対応)及び第4のS-SBR(表1の「S-SBR3」に対応)は、いずれも、ガラス転移点が−70〜−35℃、特には−70〜−40℃または−70〜−50℃である。なお、第3のS-SBR(表1の「S-SBR4」に対応)と、第4のS-SBR(表1の「S-SBR3」に対応)とについても、例えば30/70〜70/30の重量比、特には、40/60〜60/40の重量比または45/55〜55/45の重量比で、混合して用いることができる。
【0143】
ここで、第3のS-SBR(表1の「S-SBR4」に対応)は、スチレン含有量を7〜12重量%、特には8〜12重量%または8〜11重量%とし、ブタジエン部分におけるビニル含有量を23〜33重量%、特には25〜31重量%または26〜30重量%とすることができる。なお、第3のS-SBR(表1の「S-SBR4」に対応)の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、2.0〜4.0、特には2.2〜3.5または2.5〜3.2でありうる。
【0144】
また、第4のS-SBR(表1の「S-SBR3」に対応)は、スチレン含有量を13〜19重量%、特には13〜17重量%とし、ブタジエン部分におけるビニル含有量を22〜28重量%、特には23〜27重量%または24〜26重量%とすることができる。なお、第4のS-SBR(表1の「S-SBR3」に対応)の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.5〜4.0、特には1.5〜3.0または1.8〜2.4でありうる。また、第4のS-SBR(表1の「S-SBR3」に対応)の分子量分布の値は、第3のS-SBR(表1の「S-SBR4」に対応)の分子量分布の値の40〜75%でありうる。
【0145】
ここでのガラス転移点は、ゴム100重量部に対して、37.5重量部のナフテン系オイル(具体的にはミチャンオイル株式会社のA−2)を加えた状態で測定したものとすることができる。プロセスオイルの配合量が50重量部や25重量部にまで増減すると、測定されるガラス転移点は、例えば5〜8℃変化しうる。そこで、37.5重量部のナフテン系オイルを加えた状態を基準にすることができる。なお、ガラス転移点(Tg)の測定は、ASTM D3418-03に従い、示差走査熱量計(DSC;例えばNETZSCH社のDSC 3500 Sirius)で行うことができる。
【0146】
なお、上記のゴム成分(原料ゴム)には、上述の高シスブタジエンゴムを3〜20重量%、特には5〜20重量%または5〜15重量%含むことができる。この場合、上記の2種類のSBRと、高シスブタジエンゴムとの3種の混合物とすることができる。
【0147】
2.軟化点が150℃以下の樹脂
軟化点が互いに異なるとともに150℃以下である2種の樹脂、特には粘着性の樹脂を用いる。このような粘着性の樹脂を、2種のトータルで、上記のゴム成分(原料ゴム)100重量部に対し、15〜60重量部、特には15〜55重量部または20〜50重量部含むことができる。
【0148】
一の態様においては、第1樹脂の軟化点が125〜150℃、特には130〜150℃または135〜150℃であり、第2樹脂の軟化点が100〜120℃、特には100〜115℃または100〜110℃である。他の一の態様においては、第1樹脂の軟化点が上記と同様、25〜150℃、特には130〜150℃または135〜150℃であり、第2樹脂の軟化点が、第1樹脂の軟化点よりも、5℃以上、特には10℃以上、15℃以上または20℃以上、低い。
【0149】
第1樹脂には、アルキルフェノール樹脂、または、その他のフェノールノボラック樹脂を用いることができ、例えば、Kolon IndustriesのHirenol Resin(登録商標)KPT-F1360(軟化点135〜145℃)を用いることができる。また、第2樹脂には、Hirenol Resin(登録商標)KA-18及びKA-19、または、日本ゼオン社のアリファティック(C5が中心)石油樹脂であるQuintone(登録商標)100シリーズのD200(軟化点102℃)などを用いることができる。なお、樹脂の軟化点は、ASTM D36にしたがい、例えば、Anton Paar社の軟化点測定機RKA 5を用いて行うことができる。
【0150】
3.シリカ、カーボンブラック、及びカップリング剤
用いるシリカは、窒素吸着比表面積(ISO 9277:2010)が150〜300m/g、特には150〜250m/gまたは150〜200m/gであり、CTAB吸着比表面積(ISO 5794-1:2005, Annex G)が140〜280m/g、特には150〜250m/gまたは150〜200m/gである。シリカには、湿式シリカまたは乾式シリカを用いることができる。
【0151】
また、上述のようなカーボンブラックを、ゴム成分(原料ゴム)100重量部に対して、例えば3〜15重量部、特には3〜10重量部または3〜8重量部だけ含むことができる。一方、上述のようなカップリング剤を、シリカの重量の5〜15重量%、特には5〜10重量%または6〜9重量%含むことができる。
【0152】
なお、上記実施例における具体的な条件は、下記のとおりである。
【0153】
上記表1にしたがい、4Lバンバリーミキサーを用いて、まず、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品全量を5分間、排出温度150℃にて混練り(ベース練り)した。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、3分間練り込み(仕上げ練り)、未加硫ゴム組成物を得た。この際のゴム最高温度は100℃とした。得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加熱し、加硫ゴム組成物を得た。このように得られた未加硫ゴム組成物からゴム試験片を製造して、上記表2における、ムーニー粘度及びウェットグリップ指数を除いた、各項目の測定を行った。
【0154】
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で12分間プレス加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:245/40R18)を得た。上記表3の制動性能及び転がり抵抗の評価のためには、上記試験用タイヤを排気量2000ccのセダンFR車に装着し、HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.のタイヤ専用性能試験場(Proving Ground, PG)にて、500km走行を行った。走行は、乾燥路面、路面温度20〜30℃の条件で行った。また、この結果より、上記のウェットグリップ指数を算出した。
【0155】
なお、実施例で具体的に用いた溶液重合スチレンブタジエンゴム及び第1〜第2樹脂は、次のとおりである。
・S−SBR2〜S−SBR4:ポリマーの片方の末端に、2-メトキシエチル3-(ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)プロパノエートが結合することにより、アミノアルキルシラノール基を形成。
・S−SBR2:スチレン含有量が36重量%であり、ビニル含有量が38重量%。
オイルが37.5重量部含まれた状態でのガラス転移温度は約−26℃である。数平均分子量Mnが450,000、重量平均分子量Mwが1,250,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.8である。
・S−SBR3:スチレンの含有量が10重量%であり、ビニル含有量が28重量%。数平均分子量Mnが225,000、重量平均分子量Mwが400,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.8である。
・S−SBR4:スチレンの含有量が15重量%であり、ビニル含有量が25重量%。数平均分子量Mnが450,000、重量平均分子量Mwが1,250,000、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.8である。
・第1樹脂:Kolon IndustriesのHirenol Resin(登録商標)KPT-F1360(軟化点135〜145℃)。
・第2樹脂:日本ゼオン社のQuintone(登録商標)100シリーズのD200(軟化点102℃)。